センター分けだとはげて見える女性へ。それ「薄毛」じゃなく「生え癖」かも?

センター分けだとはげて見える女性へ。それ「薄毛」じゃなく「生え癖」かも?

いつも鏡を見るたびに気になる、センター分けにしたときの地肌の目立ち。もしかして「薄毛が始まった?」と不安に感じていませんか。

センター分けではげて見えると感じる女性は少なくありませんが、それが必ずしも薄毛(FAGA)とは限りません。

多くの場合、それは髪の生え方や毛流れによる「生え癖」が原因です。

長年同じ分け目を続けることで癖が強くなり、髪がぺたんこになって地肌が透けやすくなっている可能性があります。

この記事では、地肌が目立つ原因、生え癖と薄毛の違い、そして今日からできるスタイリングやケア方法まで、あなたの悩みに寄り添いながら詳しく解説します。

目次

この記事の執筆者

AGAメディカルケアクリニック統括院長 前田 祐助
Dr.前田 祐助

AGAメディカルケアクリニック 統括院長

前田 祐助

【経歴】

慶應義塾大学医学部医学研究科卒業

慶應義塾大学病院 初期臨床研修課程終了

大手AGAクリニック(院長)を経て、2018年に薄毛・AGA治療の「AGAメディカルケアクリニック」新宿院を開設

2020年に横浜院、2023年に東京八重洲院を開設

院長プロフィール

資格・所属学会・症例数

【資格】

  • 医師免許
  • ⽇本医師会認定産業医
  • 医学博士

【所属学会】

  • 日本内科学会
  • 日本美容皮膚科学会
  • 日本臨床毛髪学会

【症例数】

3万人以上※

※2018年5月~2022年12月AGAメディカルケアクリニック全店舗の延べ患者数

センター分けがはげて見える?多くの女性が抱える悩み

センター分けにしたときに地肌が目立ってしまい、「はげて見えるのでは?」と悩む女性は非常に多いです。特にトップのボリュームが出にくいと感じる方は、その悩みが深刻になりがちです。

しかし、その悩みの原因が、必ずしも髪の減少による「薄毛」であるとは限りません。

悩みの共感「私だけ?」

鏡の前で髪をセンターで分けた瞬間、くっきりと見える地肌のライン。「もしかして私だけがこんなに目立つのでは…」と不安になる気持ち、よくわかります。

友人や周りの人と比べて落ち込んだり、人の視線が分け目に集まっているように感じたりすることもあるでしょう。

しかし、安心してください。この悩みはあなただけのものではありません。

髪質、毛量、そして後述する「生え癖」によって、センター分けが似合いにくい、あるいは地肌が目立ちやすいと感じている女性は、実際には大勢います。

特に日本人の場合、髪の色が黒く、頭皮の色とのコントラストがはっきりしているため、少し地肌が見えるだけでも目立ちやすい傾向があります。

「センター分けはげ」は本当に薄毛?

「センター分けはげ」という言葉をインターネットなどで目にして、ますます不安が募るかもしれません。

地肌が見える=薄毛、と短絡的に考えてしまいがちですが、一度立ち止まって冷静に考えてみましょう。

確かに、女性型脱毛症(FAGA)などによって髪の毛自体が細くなったり、本数が減ったりして地肌が透ける場合もあります。

しかし、特にセンター分けの「分け目だけ」が目立つ場合、それは髪の毛流れ、つまり「生え癖」によって、髪が左右にぱっくりと分かれてしまい、地肌が露出しやすくなっているだけの可能性があります。

薄毛ではなくとも、髪の毛が特定の方向に倒れやすい癖がついていると、根元が立ち上がらず、地肌が目立ってしまうのです。

見た目の印象と地肌の目立ちやすさ

髪のトップ(頭頂部)は、顔の額縁とも言える部分です。ここにボリュームがあるかないかで、見た目の印象は大きく変わります。トップがふんわりしていると、若々しく、生き生きとした印象を与えます。

逆に、センター分けで地肌が目立ち、トップがぺたんこになっていると、どうしても疲れた印象や、実年齢よりも上に見られてしまう原因になりがちです。

また、分け目が目立つことで、顔の形や長さが強調されてしまうこともあります。だからこそ、多くの女性が「センター分けではげて見える」という点に敏感になり、悩みを抱えるのです。

なぜセンター分けだと地肌が目立つのか

センター分けで地肌が目立つ主な原因は、髪が根元から立ち上がらず、左右に強く分かれてしまうことにあります。

これは多くの場合、生まれ持った毛流れや、長年の習慣によって作られた「生え癖」が関係しています。また、頭皮の健康状態も髪の立ち上がりに影響を与えます。

「生え癖」の正体とは?

「生え癖」とは、髪の毛が自然に生えている方向や、特定の方向に倒れやすい「癖」のことを指します。これは、毛穴(毛包)が頭皮に対してどのような角度で存在しているかによって、生まれつき決まっている部分が大きいです。

例えば、つむじ周りの毛流れが強かったり、前髪がいつも同じ方向に流れたりするのも生え癖の一種です。

センター分けにしようとしても、この生え癖によって髪が自然と左右のどちらかに流れようとするため、分け目がうまく定まらなかったり、片方だけが不自然に分かれたりすることがあります。

特に、髪が元々倒れやすい方向に分け目を作ると、根元が立ち上がらず、地肌が見えやすくなります。

頭皮の「つむじ」と毛流れの影響

ほとんどの人は、頭頂部につむじを持っています。つむじは髪の毛が渦を巻くように生えている部分であり、ここを起点として髪全体の毛流れがある程度決まります。

センター分けにしようとするラインが、このつむじの強い毛流れと交差する場合、髪が反発してしまい、うまく分けられないことがあります。

また、つむじ自体が頭頂部の中心(センター)に近い場合、その部分の地肌が元々見えやすいため、センター分けにするとつむじの地肌と分け目のラインがつながって見え、よりはげている印象を強くしてしまうことがあります。

自分のつむじの位置と毛流れを理解することは、地肌が目立つ原因を探る第一歩です。

長年同じ分け目にしてきた影響

生まれつきの生え癖に加えて、後天的な要因として大きいのが「長年同じ分け目を続けてきた」ことです。毎日同じ場所で髪を分けていると、その部分の髪の根元がその形で固定化されてしまいます。

髪は濡れている状態から乾くときに形が決まるため、シャンプー後にいつも同じ場所で分けて乾かしていると、その分け目が「形状記憶」されてしまうのです。

この状態になると、髪がその分け目でしか分かれなくなり、根元が完全に寝てしまいます。根元が立ち上がらないため、髪の重みで左右にぺったりと分かれ、地肌が一直線にくっきりと見えてしまいます。

これが「センター分けはげ」に見える大きな原因の一つです。

頭皮環境と髪の立ち上がり

髪の根元の立ち上がりは、頭皮の健康状態とも深く関連しています。頭皮が乾燥していたり、逆に皮脂でベタついていたりすると、毛穴周りの環境が悪化します。

例えば、皮脂が過剰に分泌されて毛穴に詰まると、髪がスムーズに生えるのを妨げたり、髪が根元から重くなって立ち上がりにくくなったりします。

また、頭皮が硬く凝り固まっていると、血行不良になり、髪に十分な栄養が行き渡らなくなります。

その結果、髪自体が細くなったり、ハリやコシが失われたりして、全体的にボリュームダウンし、地肌が透けやすくなるという悪循環に陥ることもあります。

「生え癖」と「女性の薄毛(FAGA)」の違い

センター分けで地肌が目立つ場合、「これは単なる生え癖なのか、それとも女性の薄毛(FAGA)が始まっているのか」を見極めることは非常に重要です。

生え癖であればスタイリングやケアで対応できますが、FAGAの場合は早期の対策が求められます。

見極めのポイント

生え癖による地肌の目立ちと、薄毛による地肌の目立ちには、いくつかの違いがあります。生え癖の場合、髪の毛自体の太さや本数が減っているわけではなく、あくまで「髪の倒れ方」によって地肌が見えている状態です。

一方、女性の薄毛(FAGA)は、女性ホルモンの影響などでヘアサイクル(毛周期)が乱れ、髪の毛が十分に成長しないまま細く短くなり(軟毛化)、最終的には抜け落ちてしまう状態を指します。

特に頭頂部や分け目周辺が全体的に薄くなる傾向があります。

生え癖の特徴的なサイン

生え癖が主な原因である場合、以下のような特徴が見られます。まず、分け目以外の部分、例えば側頭部や後頭部の毛量は変わっていない、あるいは十分にあることが多いです。

また、抜け毛の量をチェックしたときに、以前と比べて極端に増えたという実感がない場合も、生え癖の可能性が高いです。

さらに、髪を濡らしてみたり、分け目を変えてみたりすると、地肌の目立ち方が変わる(例えば、違う場所で分ければ地肌が目立たなくなる)場合も、特定の分け目の癖が原因であると考えられます。

生え癖と薄毛(FAGA)の簡易比較

項目生え癖が主な原因の場合薄毛(FAGA)の初期症状
地肌の目立ち方特定の分け目(特にセンター)がくっきり目立つ分け目を中心に全体的(びまん性)に地肌が透ける
髪質の変化髪の太さやハリは変わらないことが多い髪が細く、柔らかく(軟毛化)なる
抜け毛の量特に増減はないシャンプー時やブラッシング時の抜け毛が増加する

薄毛(FAGA)の初期症状

一方で、女性の薄毛(FAGA)が始まっている場合、生え癖とは異なるサインが現れます。最もわかりやすいのは、髪の毛自体の質の変化です。

以前と比べて、髪の毛1本1本が細くなった、ハリやコシがなくなったと感じる場合は注意が必要です。

また、センター分けだけでなく、頭頂部全体の髪のボリュームが減り、地肌が全体的に透けて見える「びまん性脱毛」の症状が現れるのがFAGAの特徴です。

分け目を変えても、なんとなく全体が薄いと感じる場合は、専門家への相談を検討する時期かもしれません。

自己診断の限界と専門家への相談

ここまで生え癖と薄毛の違いについて説明しましたが、ご自身で完璧に見極めるのは難しいのが現実です。

特に、長年の生え癖による地肌の目立ちと、FAGAの初期症状が同時に進行しているケースもあります。

「最近、抜け毛が急に増えた」「髪が明らかに細くなった」「何をしてもトップのボリュームが出ない」といった不安が続くようであれば、自己判断で悩みを抱え込まず、皮膚科や女性の薄毛を専門に扱うクリニックに相談することをお勧めします。

専門家による診断を受けることで、原因が明確になり、適切な対策を早期に始めることができます。

自宅でできる!生え癖対策とスタイリング術

センター分けがはげて見える原因が「生え癖」である場合、日々のスタイリングや髪の乾かし方を工夫するだけで、見た目の印象を大きく変えることができます。

地肌の目立ちをカバーし、ふんわりとしたトップを取り戻すための具体的なテクニックを紹介します。

分け目をずらす「ジグザグ分け」

最も簡単で効果的な対策は、長年続けてきた「いつものセンター分け」をやめることです。

分け目はずっと同じ場所にあると、その部分の頭皮が紫外線などのダメージを受けやすくなるというデメリットもあります。

おすすめは、分け目を数ミリずらすか、コームの先端などを使って「ジグザグ」に分ける方法です。ジグザグに分けると、分け目のラインが直線でなくなるため、地肌の露出が目立ちにくくなります。

また、左右の髪が少し重なり合うことで、根元に自然な立ち上がりが生まれ、トップにボリューム感を出すことができます。

ドライヤーを使った根元の立ち上げ方

生え癖をリセットし、根元を立ち上げるためには、シャンプー後のドライヤーの使い方が非常に重要です。髪は濡れている状態から乾く瞬間に形が決まります。

まず、タオルドライをしっかり行った後、分け目をつけずに、髪全体の根元を乾かします。このとき、いつも分けている方向とは「逆」の方向から温風を当てるのがコツです。

例えば、いつもセンターで分けているなら、右側の髪を左へ、左側の髪を右へ流すようにしながら、地肌を指の腹でこするようにして乾かします。

根元が8割ほど乾いたら、下を向いて髪をすべて前に垂らし、後頭部からドライヤーの風を当てて根元を乾かします。こうすることで、生え癖がリセットされ、髪全体の根元が立ち上がります。

根元を立ち上げるドライヤーテクニック

手順ポイント目的
1. タオルドライ地肌と髪の水分をしっかり拭き取るドライヤーの時間を短縮し、熱ダメージを減らす
2. 根元を乾かす分け目と逆方向から温風を当てる(例:右の髪は左へ)生え癖をリセットし、根元を立ち上げる
3. 仕上げ下を向いて後頭部から風を当て、最後に冷風で固定する全体のボリュームアップとスタイルのキープ

スタイリング剤の選び方と使い方

ドライヤーで根元を立ち上げたら、スタイリング剤でその状態をキープしましょう。ただし、スタイリング剤の選び方と使い方を間違えると、逆効果になるので注意が必要です。

髪が細い方やボリュームが出にくい方が、オイルやワックスなどの油分が多い重いスタイリング剤を根元につけてしまうと、髪が重みでぺたんこになり、かえって地肌が目立ってしまいます。

トップのボリュームアップには、根元専用のミストや、パウダータイプのスタイリング剤、あるいは軽い質感のスプレーワックスが適しています。

髪を持ち上げ、根元付近にシュッとスプレーし、指先で軽く揉み込むようになじませます。つけすぎはベタつきの原因になるため、少量ずつ使うのがポイントです。

前髪やトップのボリュームアップ術

ドライヤーやスタイリング剤を使っても、なかなかトップにボリュームが出ないという場合は、ヘアアイロンやホットカーラー(マジックカーラー)の力を借りるのも一つの手です。

トップの髪(分け目をまたぐ部分)を幅5センチほど取り、根元からヘアアイロン(ストレートアイロン)で挟み、軽く内巻きに半回転させるように熱を通します。

これだけで根元に自然な「Cカール」がつき、ふんわりとした立ち上がりが生まれます。

また、太めのマジックカーラーをトップの髪に巻いて、ドライヤーの温風を当て、そのまま冷めるまで(あるいはメイク中など)数分間置いておくだけでも、簡単に根元を立ち上げることができます。

根本改善を目指す頭皮ケアと生活習慣

スタイリングで一時的にカバーするだけでなく、髪が根元から健康的に立ち上がるための「土台」を整えることも大切です。健やかな髪は、健康な頭皮環境と規則正しい生活習慣から育まれます。

生え癖に負けない、ハリとコシのある髪を目指しましょう。

健やかな髪を育む頭皮マッサージ

頭皮が硬くなっていると血行が悪くなり、髪の成長に必要な栄養素が毛根まで届きにくくなります。その結果、髪が細くなったり、元気がなくなったりして、立ち上がりが弱くなる可能性があります。

シャンプーのついでや、お風呂上がりのリラックスタイムに、指の腹を使った頭皮マッサージを取り入れましょう。

両手の指の腹で頭皮全体をつかむようにし、頭蓋骨から頭皮を動かすイメージで、円を描くように優しくマッサージします。

特に、つむじ周りやこめかみ、生え際などは凝りやすいポイントです。毎日続けることで、頭皮が柔らかくなり、血行が促進されます。

頭皮環境を整えるシャンプーの選び方

毎日のシャンプーは、頭皮環境を左右する重要なケアです。洗浄力が強すぎるシャンプーは、頭皮に必要な皮脂まで奪ってしまい、乾燥やかゆみ、フケの原因となります。

逆に、頭皮が乾燥すると、それを補おうとして皮脂が過剰に分泌され、ベタつきや毛穴詰まりを引き起こすこともあります。

頭皮が乾燥しやすい方や、敏感になっていると感じる方は、「アミノ酸系」や「ベタイン系」の洗浄成分を使用した、マイルドな洗い上がりのシャンプーを選ぶと良いでしょう。

洗い残しがないよう、すすぎは丁寧に行うことも重要です。

頭皮ケアシャンプーの選び方

洗浄成分の種類特徴おすすめの肌タイプ
アミノ酸系洗浄力がマイルドで、保湿力が高い乾燥肌、敏感肌
ベタイン系アミノ酸系よりさらに低刺激。ベビーシャンプーにも使われる特に敏感な肌、乾燥肌
高級アルコール系(硫酸系)洗浄力が強く泡立ちが良い。市販品に多い皮脂が多い方(ただし、乾燥を招くことも)

食生活と髪の健康

髪の毛は、私たちが食べたものから作られています。美しい髪を育てるためには、バランスの取れた食事が欠かせません。

髪の主成分である「タンパク質」、そのタンパク質の合成を助ける「亜鉛」、そして頭皮の血行を良くする「ビタミンE」や、頭皮環境を整える「ビタミンB群」などを意識して摂取することが大切です。

偏った食事や無理なダイエットは、髪に必要な栄養素が不足する原因となり、髪が細くなったり、抜け毛が増えたりする可能性があります。

髪の健康に役立つ栄養素と主な食材

栄養素主な役割多く含まれる食材
タンパク質髪の毛の主成分(ケラチン)の材料となる肉、魚、卵、大豆製品
亜鉛タンパク質の合成を助け、ヘアサイクルを整える牡蠣、レバー、牛肉(赤身)、ナッツ類
ビタミンB群頭皮の新陳代謝を促し、皮脂のバランスを整える豚肉、レバー、うなぎ、マグロ、納豆

睡眠とストレスが髪に与える影響

髪の成長には「成長ホルモン」が深く関わっています。

この成長ホルモンは、主に私たちが眠っている間、特に夜の10時から深夜2時のゴールデンタイム(最近では入眠後最初の3時間が重要とも言われます)に活発に分泌されます。

睡眠不足が続くと、成長ホルモンの分泌が減少し、髪の成長や修復が妨げられます。質の良い睡眠を十分にとることを心がけましょう。

また、過度なストレスは自律神経のバランスを崩し、血管を収縮させて頭皮の血行不良を引き起こします。血行が悪くなると、いくら良い栄養を摂っても毛根まで届きません。

自分なりのリラックス方法を見つけ、ストレスを溜め込まないようにすることも、健やかな髪を育てるためには重要です。

「生え癖」カバーにおすすめのヘアスタイル

スタイリングやケアと並行して、ヘアスタイル自体を見直すことも、センター分けの地肌の目立ちをカバーする有効な手段です。

美容師さんに相談し、自分の生え癖や髪質に合った髪型にすることで、毎日のスタイリングが格段に楽になります。

レイヤーカットでトップに動きを

トップにボリュームが出にくいのは、髪の重さが原因である場合も多いです。特に髪が長いと、その重みで根元が引っ張られ、ぺたんこになりがちです。

そこでおすすめなのが、髪の表面に「レイヤー(段)」を入れるカットです。トップ周辺の髪を短くすることで、髪全体の重さが軽減され、根元が立ち上がりやすくなります。

また、毛先に動きが出ることで、視線が分け目からずれ、地肌の目立ちをカモフラージュする効果も期待できます。

美容師さんには「トップにボリュームが欲しい」「分け目が目立たないようにしたい」と具体的に伝えましょう。

前髪を作って視線をそらす

センター分けは、顔が縦に長く見えやすく、同時におでこから頭頂部にかけてのラインが強調されるため、分け目が目立ちやすいスタイルとも言えます。

思い切って前髪を作ることで、この問題を解決できる場合があります。前髪があると、人の視線は自然と目元や前髪に集まるため、頭頂部の分け目への注目度が下がります。

また、前髪の奥行きを深めにとる(頭頂部に近い位置から前髪を作る)ことで、トップの髪を前に持ってくることになり、頭頂部のボリュームアップにもつながります。

「シースルーバング」のような軽い前髪でも、印象は大きく変わります。

パーマでふんわり感をプラス

髪が直毛で、どうしても根元が立ち上がりにくい、アイロンやカーラーを使ってもすぐに元に戻ってしまうという方には、パーマをかけるという選択肢もあります。

ただし、髪全体に強いパーマをかける必要はありません。トップの根元だけを立ち上げる「ポイントパーマ」や「根元パーマ」といったメニューを提供している美容院もあります。

毛先に緩やかなカールをつけるだけでも、髪全体がふんわりとした印象になり、分け目の地肌が目立ちにくくなります。髪のダメージと相談しながら、美容師さんに適した方法を提案してもらいましょう。

生え癖カバーのヘアスタイル比較

ヘアスタイルカバーの仕組みおすすめの髪質
レイヤーカットトップの重さを軽減し、根元を立ち上げやすくする毛量が多い、髪が重い
前髪を作る視線を分け目からそらし、トップの毛量を前に使う直毛、おでこが広い
ポイントパーマ根元に物理的な立ち上がりや毛流れを作る直毛、猫っ毛、スタイリングが苦手

ショートやボブスタイルの利点

ロングヘアと比べて、ショートヘアやボブスタイルは、髪全体の重さが格段に軽いため、トップにボリュームを出しやすいという利点があります。

特に、後頭部に丸みを持たせた(グラデーションを入れた)ボブや、トップにレイヤーを入れたショートボブは、乾かすだけで自然なふんわり感が得られやすいスタイルです。

センター分けにこだわらず、分け目をサイドにずらしたり、分け目をあいまいにしたりするスタイリングもしやすいため、生え癖のカバーには非常に適しています。

どうしても気になる時の対処法

セルフケアやヘアスタイルの変更を試みても、どうしても生え癖が強くて分け目が目立ってしまう、あるいは薄毛の進行も併発していて不安が消えない場合、さらに積極的な対処法を検討することも一つの道です。

美容院での「生え癖矯正」とは

一部の美容院では、「生え癖矯正」や「毛流矯正」といった技術を導入しています。

これは、パーマ液や特殊な薬剤(縮毛矯正とは異なる、髪に優しいものが多い)とアイロン技術を使い、髪の根元の毛流れの方向を物理的に変えてしまう施術です。

特につむじ周りの「ぱっくり割れ」や、前髪の強い生え癖などに効果が期待できます。ただし、髪が伸びてくれば元の生え癖に戻っていくため、定期的な施術が必要です。

また、対応している美容院が限られるため、お近くのサロンで提供しているか調べてみる必要があります。

部分ウィッグやヘアピースの活用

「今日は大事な日だから、完璧にカバーしたい」「スタイリングに時間をかけられない」という時には、部分ウィッグ(ヘアピース)を活用するのも非常に賢い方法です。

最近のヘアピースは非常に精巧に作られており、人毛100%のものや、通気性の良いものなど、種類も豊富です。

自分の髪色や髪質に合ったものを選べば、誰にも気づかれることなく、気になるトップの分け目や地肌を自然にカバーし、ボリュームアップできます。

育毛剤メディアとしては、根本的なケアも重要ですが、こうしたアイテムで悩みを即座に解消し、QOL(生活の質)を上げることも大切だと考えます。

アートメイクという選択肢

頭皮のアートメイク(ヘアタトゥー)は、医療機関や専門サロンで行われる施術で、頭皮(地肌)に専用の色素を入れ、髪の毛の影や毛根があるように見せる技術です。

分け目の地肌が目立つ部分に施術することで、地肌の「白さ」を和らげ、透け感を軽減する効果が期待できます。

ただし、一度入れると簡単には消せないため、施術者と十分なカウンセリングを行い、メリットとデメリットを理解した上で判断することが重要です。

育毛剤の役割と選び方

センター分けが目立つ原因が「生え癖」だけでなく、「髪のハリ・コシの低下」や「軽度の薄毛(FAGA)」も関係しているかもしれないと感じる場合、女性用育毛剤の使用を検討するのも良いでしょう。

育毛剤の主な役割は、すでに生えている髪を太く強く育てること、そして頭皮環境を整えて抜け毛を予防することです。

FAGAの進行を抑える成分や、頭皮の血行を促進する成分、保湿成分などが配合されています。

自分の頭皮の状態(乾燥しているか、ベタついているかなど)や、悩みに合った成分が配合されているかを確認して選びましょう。

女性用育毛剤の選び方ポイント

注目するポイント内容期待できる効果
有効成分センブリエキス、グリチルリチン酸2Kなど血行促進、抗炎症、抜け毛予防
保湿成分ヒアルロン酸、セラミド、コラーゲンなど頭皮の乾燥を防ぎ、健やかな環境を整える
使用感・刺激アルコールフリー、無香料、無着色など敏感な頭皮でも継続して使用しやすい

Q&A

分け目を毎日変えた方がいいですか?

はい、できるだけ毎日変えることをお勧めします。同じ分け目を続けていると、その部分の生え癖が強くなるだけでなく、頭皮が紫外線や外的な刺激を集中して受けることになります。

分け目部分の頭皮が日焼けしたり、乾燥したりすると、頭皮環境が悪化し、将来的にその部分の髪が細くなる原因にもなりかねません。

日によって数ミリずらすだけでも効果があります。

頭皮マッサージはいつ行うのが効果的ですか?

頭皮マッサージは、血行が良くなっているお風呂上がりに行うのが最も効果的です。

タオルドライ後、育毛剤や頭皮用ローションなどをつけたタイミングで行うと、成分の浸透を助ける効果も期待できます。

また、リラックス効果も高いため、就寝前の習慣にするのも良いでしょう。シャンプー中に泡の上から行うのも、指の滑りが良くなるためお勧めです。

髪の生え癖は完全に治せますか?

生まれつきの毛穴の向き(生え癖)を完全に「治す」ことは難しいです。

しかし、この記事で紹介したように、ドライヤーのかけ方を工夫したり、スタイリング剤を使ったり、定期的に分け目を変えたりすることで、生え癖を目立たなくさせる、あるいは「リセット」することは十分に可能です。

美容院での「生え癖矯正」も一時的ではありますが、強い癖を緩和する方法の一つです。

育毛剤を使えば生え癖は改善しますか?

育毛剤の直接的な効果は、頭皮環境の改善、血行促進、抜け毛予防、そして毛髪のハリ・コシのアップです。育毛剤が毛穴の向き(生え癖)自体を変えることはありません。

しかし、育毛剤の使用によって髪1本1本にハリやコシが出て、根元から立ち上がりやすくなれば、結果として生え癖による「ぺたんこ」感が改善され、分け目が目立ちにくくなる可能性はあります。

センター分けが似合う人と似合わない人の違いは何ですか?

センター分けは、顔の左右のバランスがはっきりと出るスタイルです。そのため、一般的に顔の形が卵型や面長の方、左右のバランスが整っている方に似合いやすいと言われています。

また、トップに自然なボリュームがあり、生え癖が強すぎないことも重要です。逆に、丸顔やベース型の方がセンター分けにすると、顔の横幅やエラが強調されてしまうことがあります。

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