ボリュームアップシャンプーはなぜふんわりする?女性が知りたい仕組みと効果的な使い方

ボリュームアップシャンプーはなぜふんわりする?女性が知りたい仕組みと効果的な使い方

年齢と共に、髪のハリやコシが失われ、「なんだかトップがぺたんこ…」「スタイリングが決まらない」と感じる女性は少なくありません。

髪のボリュームがダウンすると、実年齢より上に見えてしまうのではないかと、鏡を見るたびにため息をつきたくなることもあるでしょう。

そんな悩みに応えてくれるのが「ボリュームアップシャンプー」です。この記事では、なぜボリュームアップシャンプーが髪をふんわりと立ち上がらせるのか、その仕組みを詳しく解説します。

さらに、ご自身の髪質に合った選び方から、効果を最大限に引き出す正しい使い方まで、女性が知りたい情報を網羅しました。

この記事を読めば、あなたもふんわりとした、若々しい印象のヘアスタイルを目指すための一歩を踏み出せるはずです。

目次

この記事の執筆者

AGAメディカルケアクリニック統括院長 前田 祐助
Dr.前田 祐助

AGAメディカルケアクリニック 統括院長

前田 祐助

【経歴】

慶應義塾大学医学部医学研究科卒業

慶應義塾大学病院 初期臨床研修課程終了

大手AGAクリニック(院長)を経て、2018年に薄毛・AGA治療の「AGAメディカルケアクリニック」新宿院を開設

2020年に横浜院、2023年に東京八重洲院を開設

院長プロフィール

資格・所属学会・症例数

【資格】

  • 医師免許
  • ⽇本医師会認定産業医
  • 医学博士

【所属学会】

  • 日本内科学会
  • 日本美容皮膚科学会
  • 日本臨床毛髪学会

【症例数】

3万人以上※

※2018年5月~2022年12月AGAメディカルケアクリニック全店舗の延べ患者数

ボリュームアップシャンプーが女性の髪をふんわりさせる仕組み

ボリュームアップシャンプーは、髪を根元から立ち上げやすくし、髪一本一本にハリやコシを与えるように設計された成分の働きによって、ふんわりとした仕上がりを実現します。

単に汚れを落とすだけでなく、髪の土台となる頭皮環境を整え、髪を内部から補修・外部からコーティングすることで、重さに負けない軽い質感を生み出します。

髪がぺたんこになる主な原因

女性の髪がボリュームダウンする背景には、いくつかの要因が考えられます。これらを理解することが、適切なケアへの第一歩となります。

加齢による髪質の変化

年齢を重ねると、女性ホルモンのバランスの変化などの影響で、髪の毛そのものが細くなったり、うねりが出やすくなったりします。

髪一本一本が細くなれば、全体の密度が同じでもボリュームは失われがちです。また、髪内部のタンパク質や脂質が減少し、ハリやコシが低下することも、ぺたんこ髪の大きな原因となります。

頭皮環境の乱れ

髪が育つ土壌である頭皮が健康でないと、元気な髪は育ちません。皮脂の過剰分泌や乾燥、血行不良などが起こると、毛穴が詰まったり、髪に十分な栄養が届かなくなったりします。

特に皮脂が過剰だと、髪が根元からべたつき、立ち上がりが悪くなってしまいます。

ダメージの蓄積

カラーリングやパーマ、毎日のヘアアイロンや紫外線の影響で、髪は日々ダメージを受けています。

髪の表面を覆うキューティクルが剥がれると、内部のタンパク質が流出し、髪がスカスカの状態になります。その結果、髪はハリを失い、外部の湿気なども吸いやすくなり、重さでへたってしまいます。

髪の構造とボリュームの関係

髪の部位主な役割ボリュームへの影響
キューティクル(表面)髪の内部保護、ツヤ剥がれるとダメージでハリ・コシ低下
コルテックス(内部)髪の強度、弾力(ハリ・コシ)ここの密度や状態がボリュームを左右
メデュラ(中心部)(役割は諸説あり)細い髪では存在しないことも

これらの成分は、髪の主成分であるタンパク質に近い構造を持っており、ダメージホールに入り込んで内部を補強します。

その結果、髪一本一本がしっかりとし、重力に負けずに立ち上がる力を得ることができます。

髪をコーティングする「ボリュームアップポリマー」

ハリ・コシ成分で内部を補強するのと同時に、髪の表面をコーティングして物理的に太く見せたり、髪同士がくっつくのを防いでふんわり感を出す成分も重要です。

これらは「ボリュームアップポリマー」や「皮膜形成剤」などと呼ばれます。例えば、(アクリレーツ/メタクリル酸ステアレス-20)コポリマーなどの成分がこれに該当することがあります。

これらが髪の表面に薄い膜を作ることで、滑らかさを出しつつも、重くならずに軽い仕上がりを助け、髪の根元を立ち上げやすくします。

頭皮環境を整える洗浄成分の役割

ふんわり髪の土台は、健康な頭皮です。ボリュームアップシャンプーは、頭皮の余分な皮脂や汚れを適切に落とす洗浄成分を選んでいます。

皮脂が毛穴に詰まったり、髪の根元にこびりついたりすると、髪は重さで寝てしまいます。

適度な洗浄力で頭皮を清潔に保ち、毛穴を引き締めることで、髪が根元からしっかりと立ち上がる環境を整えます。

一般的なシャンプーとの違いは?

ボリュームアップシャンプーと一般的なシャンプーの大きな違いは、仕上がりの軽さと髪へのアプローチにあります。

一般的なシャンプーが「汚れを落とすこと」や「指通りを良くすること」を主目的とするのに対し、ボリュームアップシャンプーは「髪を根元から立ち上げ、軽くふんわり見せること」に特化しています。

洗浄成分の違い

一般的なシャンプー(特にしっとりタイプ)には、洗浄力が穏やかで保湿力が高い成分や、髪の指通りを良くするための油性成分が多く含まれる傾向があります。

一方、ボリュームアップシャンプーは、頭皮の余分な皮脂をしっかり落としつつ、髪や頭皮に不必要な油分を残さない、比較的さっぱりとした洗い上がりの洗浄成分(例:アミノ酸系の中でも洗浄力が調整されたもの、タウリン系など)が選ばれることが多いです。

ただし、洗浄力が強すぎると逆に頭皮が乾燥してハリを失うため、バランスが重要です。

シリコン配合の有無と影響

シリコン(ジメチコン、シクロペンタシロキサンなど)は、髪の表面をコーティングし、指通りを滑らかにしたり、摩擦によるダメージを防いだりする役割があります。

しかし、そのコーティング力が高いがゆえに、髪一本一本が重くなり、根元が立ち上がりにくくなる、つまりボリュームダウンの原因になることがあります。

そのため、ボリュームアップをうたうシャンプーやトリートメントは、シリコンの配合量を少なくするか、全く配合しない「ノンシリコン」処方を採用している製品が多く見られます。

シリコン配合の有無による特徴

種類メリットデメリット(ボリューム観点)
シリコン配合指通り滑らか、摩擦軽減、ツヤ出し髪が重くなりやすい、根元が立ち上がりにくい
ノンシリコン軽い仕上がり、根元がふんわりしやすい髪がきしみやすい場合がある(特にダメージ毛)

ノンシリコンシャンプーは仕上がりが軽くなる一方で、髪がきしみやすいと感じることもあります。

その場合は、毛先を中心にノンシリコンのトリートメントや、軽い仕上がりのシリコン配合トリートメントを併用すると良いでしょう。

保湿成分と補修成分のバランス

髪のパサつきは広がりにつながる一方、過度な保湿は重さにつながります。一般的なしっとり系シャンプーは、オイルや重めの保湿剤を多く配合しがちです。

対してボリュームアップシャンプーは、重さを出さない保湿成分(例:ヒアルロン酸、セラミド、植物エキスなど)を選びつつ、前述したケラチンやシルクなどのハリ・コシを与える補修成分をバランス良く配合しています。

髪内部の水分と油分のバランスを整え、内側から弾力を出すことを目指します。

女性特有の髪悩みに合わせた処方

女性は加齢やホルモンバランスの変化により、髪が細くなる、地肌が透けやすくなる、といった特有の悩みを抱えがちです。

そのため、女性向けのボリュームアップシャンプーには、頭皮の血行を促進する成分(例:センブリエキス、オタネニンジン根エキスなど)や、女性ホルモンと似た働きを持つとされる植物由来成分(例:ダイズイソフラボンなど)を配合し、頭皮環境そのものにアプローチする製品も多くあります。

これは、皮脂対策に重点を置くことが多い男性用シャンプーとの大きな違いの一つです。

ボリュームアップシャンプーの選び方【女性編】

ご自身の髪質や頭皮の状態に合った成分が配合されているか、洗浄成分の種類は何か、という点を確認して選ぶことが重要です。

せっかく使っても、自分に合っていなければ期待するふんわり感は得られません。

選ぶ際の確認ポイント

  • 洗浄成分の種類(アミノ酸系、石けん系など)
  • ハリ・コシ成分(ケラチン、シルクなど)の有無
  • 頭皮ケア成分(保湿、血行促進など)の有無

自分の髪質(細い・柔らかい等)に注目

もともと髪が細く柔らかい「軟毛」や「猫っ毛」の方は、特に髪がへたりやすい傾向にあります。

このような髪質の方は、シリコン配合のシャンプーや、オイル成分がリッチなトリートメントを避けるのが賢明です。

ノンシリコン処方で、かつ、加水分解ケラチンや加水分解シルクといった、髪の内部を補強してくれる成分が配合されたものを選ぶと、髪にハリが生まれ、根元から立ち上がりやすくなります。

重いコーティング剤ではなく、軽い質感で仕上げることを意識しましょう。

頭皮タイプ(乾燥肌・脂性肌)で選ぶ

頭皮の状態によっても、適したシャンプーは異なります。ふんわりさせるためには、頭皮環境が健やかであることが大前提です。

頭皮タイプと洗浄成分の目安

頭皮タイプおすすめの主な洗浄成分特徴
乾燥肌・敏感肌アミノ酸系、ベタイン系マイルドな洗浄力、うるおいを残す
脂性肌(オイリー肌)石けん系、高級アルコール系(適度なもの)さっぱりとした洗いあがり、皮脂をしっかり除去
混合肌アミノ酸系+適度な洗浄力のものバランス型、洗い上がりの感触で調整

乾燥肌の方が洗浄力の強いシャンプーを使うと、必要な皮脂まで奪われて頭皮がさらに乾燥し、フケやかゆみ、かえって髪のパサつきにつながります。

アミノ酸系などのマイルドな洗浄成分を選びましょう。逆に、脂性肌の方がマイルドすぎると、皮脂を落としきれずに毛穴が詰まり、べたつきやニオイ、ボリュームダウンの原因になります。

適度な洗浄力を持つものを選ぶ必要があります。

ハリ・コシを与える成分をチェック

パッケージの裏などに記載されている全成分表示を確認し、どのようなハリ・コシ成分が含まれているかを見てみましょう。

先に挙げた「加水分解ケラチン」「加水分解シルク」「加水分解コラーゲン」のほか、「(加水分解シルク/PGプロピルメチルシランジオール)クロスポリマー」のような、ダメージ補修とコーティングを両立する成分や、「γ-ドコサラクトン」のように熱を利用して髪にハリ・コシを与える成分もあります。

自分の髪のダメージ度合いに合わせて、補修力の高そうな成分が入っているかどうかも判断材料になります。

香りやテクスチャーも継続のポイント

シャンプーは毎日使うものですから、使い心地も非常に重要です。泡立ちの良さ、洗い流すときの感触、そして好みの香りであるかどうかは、ストレスなくヘアケアを続けるための大切な要素です。

リラックスできる香りであれば、バスタイムが心地よい時間にもなります。テスターやトライアルセットがあれば、購入前に試してみるのも良い方法です。

効果を引き出す!正しいシャンプー&トリートメント術

ボリュームアップシャンプーの効果を最大限に引き出すには、シャンプー前のブラッシングと予洗い、そして頭皮をしっかり洗い、トリートメントを毛先中心につけることが、ふんわり感を出すための鍵です。

いくら良いシャンプーを使っても、洗い方が間違っていては効果も半減してしまいます。

ステップ1:シャンプー前のブラッシング

乾いた髪の状態で、まずは優しくブラッシングをしましょう。髪のからまりをほどき、表面についたホコリや汚れを大まかに浮かせることができます。

また、頭皮への適度な刺激が血行を促進する助けにもなります。その結果、シャンプーの泡立ちが良くなり、汚れも落ちやすくなります。

毛先のもつれから解き、徐々に根元に向かってとかしていくのがコツです。

ステップ2:ぬるま湯での「予洗い」が重要

シャンプー剤をつける前に、38度程度のぬるま湯で髪と頭皮をしっかりと「予洗い」します。熱すぎるお湯は頭皮を乾燥させる原因になるため避けましょう。

1分から2分ほどかけて、指の腹で頭皮をマッサージするようにしながら、髪全体にお湯を行き渡らせます。実は、この予洗いだけで髪の汚れの7割程度は落ちるといわれています。

予洗いをしっかり行うことで、シャンプーの使用量を減らすことにもつながり、泡立ちも格段に良くなります。

ステップ3:シャンプーは「頭皮」を洗う意識で

シャンプーの目的は、髪の汚れを落とすことよりも、「頭皮の毛穴に詰まった皮脂や汚れを落とすこと」にあります。髪の毛自体は、泡が通過するだけで十分汚れは落ちます。

泡立て方と指の腹を使ったマッサージ洗い

シャンプー剤は手のひらで軽く泡立ててから、頭皮の数か所(額の生え際、頭頂部、後頭部、耳の後ろなど)につけます。

そして、指の爪を立てず、指の腹を使って頭皮全体を優しくマッサージするように洗います。特に、皮脂分泌の多い頭頂部や、洗い残しやすい耳の後ろ、襟足は丁寧に洗いましょう。

ゴシゴシと強くこすると頭皮を傷つけてしまうので、力加減には注意が必要です。

すすぎ残しはボリュームダウンの原因に

洗う時間以上に、すすぎには時間をかける意識を持ちましょう。

シャンプー剤やコンディショナーが頭皮や髪の根元に残っていると、それが毛穴詰まりやべたつき、かゆみの原因となり、せっかくのボリュームアップ効果を妨げてしまいます。

生え際、耳の後ろ、襟足などは特に残りやすい部分です。ぬるつきが完全になくなるまで、ぬるま湯で丁寧にしっかりと洗い流しましょう。

ステップ4:トリートメントは毛先中心に

ボリュームアップシャンプーとセットで使うトリートメントやコンディショナーは、頭皮や髪の根元にはつけないように注意することが鉄則です。

油分を含むトリートメント類が根元につくと、髪が重くなり、ぺたんと寝てしまいます。ダメージが気になる毛先を中心に、髪の中間から毛先にかけてなじませるように塗布します。

塗布後は、すぐに洗い流さず、数分置いて成分を浸透させるとより効果的ですが、その際も頭皮につかないよう気をつけましょう。

ふんわり感を高めるドライヤー術

髪を乾かす順番と、根元に風を当てる角度がふんわり感を左右します。タオルドライ後、根元から先に乾かし、最後に冷風で仕上げましょう。

濡れたまま放置するのは、雑菌の繁殖やダメージの原因になるだけでなく、ボリュームダウンにもつながるので厳禁です。

まずはしっかりタオルドライ

ドライヤーの時間を短縮し、熱によるダメージを最小限に抑えるためにも、まずはタオルドライで髪の水分をしっかり取り除きます。ここでもゴシゴシこするのはNGです。

キューティクルが傷んでしまいます。吸水性の高いタオルで、髪を優しく挟み込むようにポンポンと叩きながら、水分をタオルに移し取ります。

頭皮の水分も、指の腹でタオルを押し当てるようにして拭き取りましょう。

乾かす順番は「根元」から「毛先」へ

ドライヤーをかける際は、最も乾きにくく、ボリュームを出したい「根元」から乾かし始めます。毛先は乾きやすく、熱も加わりやすいため、後回しにします。

根元に先に温風を当てることで、髪が立ち上がった状態で乾き、ふんわりとしたベースを作ることができます。全体の根元が乾いてきたら、次に髪の中間、最後に毛先の順で乾かしていきます。

根元を立ち上げる風の当て方

ボリュームを出すためには、風の当て方にコツがあります。髪の生えている方向や、いつもの分け目と逆方向に髪をかき分けながら、根元に下から温風を送り込むようにします。

髪の流れに逆らって乾かす

つむじや分け目の部分は特にぺたんこになりやすいポイントです。

分け目をつけずに、左右両方から、あるいは後ろから前へと、髪の流れに逆らうように手ぐしで髪を動かしながら、根元に風を当てます。

こうすることで、毛穴がキュッと引き締まり、髪が根元から立ち上がりやすくなります。

指で根元を持ち上げながら

ボリュームを出したいトップの部分は、指で髪の根元を軽く持ち上げるようにしながら、その内側に温風を当てると効果的です。

ドライヤーを持っている手と逆の手で、頭皮をこするように動かしながら乾かすのも良い方法です。髪が乾いてくると、根元の立ち上がりを実感できるはずです。

仕上げの冷風でスタイルキープ

髪は温かい状態から冷める瞬間に形が固定される性質があります。全体が8割から9割方乾いたら、ドライヤーを冷風に切り替えましょう。

根元を立ち上げた状態で頭全体に冷風を当てることで、キューティクルが引き締まってツヤが出るとともに、ふんわりとしたスタイルを長時間キープしやすくなります。

このひと手間が、仕上がりの持ちを大きく左右します。

ボリュームアップシャンプー使用時の注意点

すぐに劇的な変化が現れるわけではなく、継続使用が基本です。また、洗浄力が強すぎると逆効果になる場合もあるため、自分の頭皮に合うか見極める必要があります。

期待を持って使い始めたのに「思ったのと違う」とならないよう、いくつかの注意点を押さえておきましょう。

即効性を期待しすぎない

ボリュームアップシャンプーは、髪の仕上がり(手触りやふんわり感)については、比較的早く変化を感じやすいかもしれません。

しかし、髪質そのものの改善や、頭皮環境が整うことによるハリ・コシアップには時間がかかります。

髪にはヘアサイクルがあり、健やかな髪が育つ土台を作るには、最低でも3か月から半年程度の継続使用を見込む必要があります。

まずは一本使い切ってみて、頭皮や髪の状態を観察しましょう。

洗浄力が強すぎないかチェック

ボリュームアップのためには皮脂をしっかり落とすことが重要ですが、必要な皮脂まで取り除いてしまうと、頭皮は乾燥してしまいます。

乾燥した頭皮は、かえってハリを失い、髪を支える力が弱くなったり、フケやかゆみを引き起こしたりします。また、乾燥から守ろうとして、逆に皮脂が過剰に分泌されてしまうこともあります。

頭皮・髪からのサイン

サインの例考えられる原因
頭皮のかゆみ・フケ(特に乾いたもの)乾燥、必要な皮脂まで落としすぎている
髪のきしみ・パサつきがひどい洗浄力によるダメージ、保湿不足
洗髪後、半日も経たずにべたつく皮脂の過剰分泌(落としすぎの反動)

このようなサインが出た場合は、洗浄力が強すぎる可能性があります。

使用頻度を1日おきにする、または、もう少し洗浄力がマイルドなタイプ(アミノ酸系洗浄成分が主体のものなど)に変更することを検討しましょう。

トリートメントのつけすぎに注意

シャンプーの項目でも触れましたが、トリートメントやコンディショナーの使い方は非常に重要です。

特に、ボリュームアップ用のシャンプーを使っているのに、しっとりタイプの重いトリートメントを根元からベッタリつけてしまうと、シャンプーの効果が台無しになってしまいます。

トリートメントは、あくまでダメージの出やすい毛先中心に、適量をなじませるにとどめましょう。すすぎ残しにも十分注意してください。

他のヘアケアアイテムとの併用

シャンプーとトリートメントは、できるだけ同じライン(シリーズ)で揃えることをおすすめします。

メーカーは、シャンプーの洗浄力や仕上がりに合わせて、最適なバランスになるようにトリートメントを設計しているからです。

ボリュームアップシャンプーに、他社の非常にしっとりするトリートメントを組み合わせると、ねらったふんわり感が出にくくなる可能性があります。

もし他のアイテムと併用する場合は、仕上がりが重くならないか、相性を確認しながら使いましょう。

シャンプー以外のボリュームアップ対策

健やかな髪を育むための生活習慣や、日々のスタイリング方法を見直すことも、髪のボリューム感アップには大切です。

シャンプーはあくまでサポート役と考え、多角的にアプローチしましょう。

栄養バランスの取れた食事

髪は、私たちが食べたものから作られています。

特に、髪の主成分であるタンパク質(ケラチン)と、その合成を助ける亜鉛、頭皮環境を整えるビタミン類は重要です。

健やかな髪のための栄養素例

栄養素主な働き多く含まれる食品例
タンパク質髪の主成分(ケラチン)の材料肉、魚、卵、大豆製品
亜鉛ケラチンの合成を助ける牡蠣、レバー、赤身肉、ナッツ類
ビタミンB群頭皮環境を整える、代謝を助ける豚肉、レバー、青魚、納豆、卵

これらの栄養素を偏りなく、バランス良く摂取することが、内側からのヘアケアにつながります。

無理なダイエットは、髪に必要な栄養が不足し、細毛や抜け毛の原因にもなるため注意が必要です。

質の良い睡眠

髪の成長は、睡眠中に分泌される成長ホルモンと深く関係しています。

特に、入眠から最初の3時間(「睡眠のゴールデンタイム」とも呼ばれます)に、成長ホルモンの分泌が最も活発になるといわれています。

睡眠不足が続くと、ホルモンバランスが乱れ、頭皮の血行も悪くなり、髪の成長が妨げられます。毎日6時間から7時間程度、質の良い睡眠を確保するよう心がけましょう。

頭皮マッサージの習慣化

頭皮が硬くなっていると、血流が悪くなり、髪に十分な栄養が届きにくくなります。

シャンプー中や、お風呂上がりのリラックスした時間に、指の腹を使って頭皮全体を優しく動かすマッサージを取り入れましょう。

側頭部や後頭部から頭頂部に向かって、引き上げるように動かすのがポイントです。育毛剤や頭皮用ローションを使うと、滑りが良くなり、保湿ケアも同時に行えます。

スタイリング剤(ワックス・スプレー)の活用

シャンプーやドライヤーでふんわりさせたスタイルを、さらにキープしたり、強調したりするために、スタイリング剤を上手に活用しましょう。

ただし、重いオイルやワックスは逆効果です。ボリュームアップ用の、軽いテクスチャーのものを選びます。

ボリュームアップのためのスタイリング剤

  • 根元専用のボリュームアップスプレー(ミスト)
  • 軽い仕上がりのファイバーワックスやクレイワックス
  • ふんわり感を固めすぎずにキープするヘアスプレー

ワックスなどは、手のひらでよく伸ばしてから、毛先や髪の中間を中心にもみ込むようにつけます。根元につけすぎると重さでつぶれてしまうので注意しましょう。

根元用のスプレーは、髪を持ち上げて内側にシュッと吹きかけると効果的です。これらを活用することで、日中のスタイル維持が格段にしやすくなります。

よくある質問

ボリュームアップシャンプーに関する、女性から寄せられる疑問にお答えします。

ボリュームアップシャンプーで髪は増えますか?

いいえ、ボリュームアップシャンプーは、今生えている髪を根元から立ち上げたり、ハリ・コシを与えたりすることで「ふんわりと多く見せる」ためのものであり、髪の毛の本数自体を増やす(発毛)効果はありません。

ただし、頭皮環境を清潔で健やかに保つことは、これから生えてくる髪にとって良い影響を与えるため、抜け毛予防や健やかな髪の育成サポートは期待できます。

毎日使っても大丈夫ですか?

はい、基本的には毎日ご使用いただけます。

ボリュームアップシャンプーは、頭皮の余分な皮脂を落として根元を立ち上げやすくするものが多いため、皮脂分泌が気になる方などは毎日の使用がおすすめです。

ただし、ご自身の頭皮タイプに対して洗浄力が強すぎると感じた場合(かゆみや乾燥が出るなど)は、使用頻度を1日おきに減らすか、より洗浄力がマイルドな製品への変更を検討してください。

効果はどれくらいで実感できますか?

洗い上がりの「ふんわり感」や「根元の立ち上がり」といった仕上がりに関しては、使用した直後、髪を乾かした時点から実感しやすいです。

一方で、髪質そのものの「ハリ・コシが出てきた」という変化や、「頭皮環境が改善された」という実感を得るには、ある程度の期間、継続して使用する必要があります。

髪の生まれ変わりの周期(ヘアサイクル)も考慮すると、まずは3か月から半年ほど使い続けてみることをおすすめします。

男性用のボリュームアップシャンプーとの違いは?

男性の頭皮は、一般的に女性に比べて皮脂の分泌量が多い傾向にあります。

そのため、男性用のボリュームアップシャンプーは、その多い皮脂をしっかり洗い流すために、洗浄力が強めに設定されていたり、強い清涼感(メントールなど)が加えられていたりする製品が多いです。

女性が使用すると、洗浄力が強すぎて必要な皮脂まで奪われ、頭皮が乾燥してしまう可能性があります。

女性のデリケートな頭皮や髪質に合わせて作られた、女性用の製品を選ぶことを強くおすすめします。

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