はげの遺伝と母方からの影響｜治療と予防のポイント

髪の薄さが気になると、「家系の影響が強いのだろうか」「母方の遺伝が関係しているのでは」と疑問に思う方は多いのではないでしょうか。

男性でよく起こるはげの遺伝には複雑な仕組みがあり、環境要因やホルモンの働きも見逃せません。治療や予防を続けるうえで、正しい知識を深めておくことが大切です。

この記事では、はげの遺伝にまつわる基礎から母方の家系との関係、治療や予防のための考え方などを順番に解説します。

はげと遺伝の関係

髪の薄さには遺伝が大きく関わっているといわれていますが、それは単純な「親が薄いから自分も薄くなる」というものではありません。

多くの遺伝要因が複合的に作用し、ホルモンや生活習慣と結びつくことで進行しやすくなります。はげの遺伝の仕組みを学ぶと、治療や予防の取り組みに取りかかる際の判断材料が増えます。

遺伝によるはげのメカニズム

毛髪の成長サイクルには成長期、退行期、休止期があります。

通常は成長期が数年続いて毛髪が太く長くなるのですが、遺伝によって毛母細胞や毛乳頭に影響が及ぶと、成長期が短くなりやすいです。その結果、髪が十分に育たないまま抜けやすくなる状況が起こります。

男性型脱毛症と呼ばれるタイプではDHT（ジヒドロテストステロン）というホルモンの影響を受けやすい体質が関係します。

遺伝的にこのホルモンを受け取るレセプター（受容体）が活発に働く場合、はげが進行しやすくなるのです。

遺伝が作用しやすい仕組み

遺伝的要素	具体的な影響の例
DHTのレセプター感受性	髪の成長期が短縮しやすい
5αリダクターゼ活性	テストステロンからDHTへの変換が増加
頭皮の血行や代謝に関わる遺伝子	毛母細胞への栄養供給の偏り

こうした遺伝的要素が組み合わさり、毛髪の状態が個々で異なる形で表れます。

母方から受け継ぐ要素は本当にあるのか

はげの遺伝は「母方から強く影響を受ける」とよく言われます。これはX染色体に関連する遺伝子が男性型脱毛症に関わる可能性が高いからです。

男性はX染色体を母親から受け継ぐため、母方の家系に男性型脱毛症を持つ方が多い場合、本人も同じような傾向になりやすいと考えられます。

ただし、母方からの影響だけでなく、父方からの影響も無視できません。多因子遺伝という考え方があり、多くの遺伝子が組み合わさることで髪にまつわる体質が決まります。

母方だけを気にしていても、実際には父方の家系からの要素も影響を与える可能性があります。

男性ホルモンとのかかわり

はげの遺伝には男性ホルモンとのかかわりが非常に深いです。具体的には、体内のテストステロンをDHTに変換する5αリダクターゼという酵素があります。

DHTは髪の成長を妨げる方向に作用しやすく、遺伝的にこの働きが強い場合、AGAが進行しやすくなります。

男性ホルモンは髪だけでなく、筋肉の発達や体毛の濃さなどにも影響を与えます。同じ男性でもはげ方や体毛の濃さが違うのは、こうしたホルモン感受性の違いに加えて生活習慣も影響しているからです。

さまざまな遺伝パターン

はげの遺伝は単一の遺伝子による単純な仕組みではなく、多因子遺伝と呼ばれるパターンです。

遺伝子が複数組み合わさるほか、生活習慣、ストレス、栄養状態などの環境要因も髪の状態を左右します。

一卵性双生児であっても、同じ遺伝子を持ちながら生活習慣の差で脱毛の進行度合いに差が出ることがあります。

この事実は、遺伝だけで決まるわけではなく、日頃のケアや健康管理が重要であることを示しています。

母方の家系と父方の家系

「はげは母方から遺伝する」といったうわさがありますが、遺伝経路は母方だけに限りません。

ただし母方の家系で男性型脱毛症が目立つ場合、X染色体由来の影響が大きく働いている可能性があります。

一方で父方の家系も無関係とは言えず、はげの傾向を分析するときには両方の家系を確認すると理解が深まります。

家族歴の重要性

家族の中で同じような時期に髪が薄くなったり、おでこから後退したりしている人がいるかどうかを確かめると、遺伝の影響をある程度推測できます。

特に本人の父親だけでなく、母親の兄弟や祖父など母方の男性の薄毛状況も確認すると全体像が見えてきやすいです。

ただし、家族歴があるからといって必ず同じようにはげるとは限りません。髪に影響を与える遺伝子は多数あるため、他の遺伝子や生活要因との組み合わせで現れ方が変わります。

母方と父方の家系を比べるポイント

比較項目	母方家系	父方家系
薄毛の発症年齢	20代前半から進行している例が多いかなど	30代以降に進行が見られるケースなど
薄毛の進行パターン	頭頂部から進行しているか、前頭部からか	同様に確認
髪質の違い	くせ毛、柔らかい髪質、硬めの髪質など	同様に比較
家系での食生活	塩分や脂質の摂り方などの傾向	アルコールの摂取量などの傾向

各家系の特徴を把握すると、自分がどのようなパターンになりやすいかの目安になります。

男性型脱毛症とX染色体の関係

男性型脱毛症はX染色体に存在するとされる脱毛リスク遺伝子が関わると考えられます。

男性はXYの組み合わせで性別が決まり、X染色体は母親から、Y染色体は父親から受け継ぎます。そのため、母方の男性型脱毛症が多い家系では、このX染色体上の遺伝情報の影響を大きく受ける可能性があります。

もっとも、すべてをX染色体の影響だけで説明することはできません。他の常染色体に存在する遺伝子や、ホルモン感受性を高める別の因子も影響します。

父方からの影響も無視できない理由

父方の家系に早い段階で髪が薄くなる方が多い場合、やはり同様の傾向を受け継ぐ可能性があります。

頭髪やホルモン感受性は多くの遺伝子がかかわる複雑な仕組みなので、「母方だけで決まる」と断定するのは危険です。

実際、父方の祖父や父親と似たパターンではげが進行する方も珍しくありません。

また、父方家系由来の体質として「頭皮の皮脂分泌が多い」「髪が細い」といった特徴を受け継ぐ方もおり、そうした特徴がはげの進行速度を助長しているケースもあります。

家族の中での発症年齢とパターン

はげが起こる年齢は個人差が大きいです。家族の誰かが20代前半で髪が後退したのであれば、自分も20代で薄毛になるリスクを抱えているかもしれませんし、逆に同じ家系でも30代や40代以降になってようやく髪が気になり始める場合もあります。

遺伝による素因を持っていても、健康管理や生活習慣次第で発症が早まったり遅くなったりする可能性があります。

家系の発症年齢やパターンを知りながら、自分の生活を客観的に見直すことが大切です。

はげの症状と特徴

はげの進行パターンは一様ではありません。男性型脱毛症は前頭部からの後退型、頭頂部からの薄毛型、またはこの両方が同時に進むケースなどがあります。

どのタイプであっても、早期に変化を見つけることが治療やケアを円滑に進めるうえで重要です。

おでこが広がるタイプの特徴

生え際が後退し、おでこが広がったように見えるタイプです。前髪が薄くなることで全体的な印象が変わりやすく、特に若年層では心理的な負担が大きくなりやすいです。

遺伝要素に加えて頭皮環境やストレスなどが影響し、後退の速度に差が出ることがあります。

• 髪型を変えてごまかしにくい
• 前髪のセットが難しくなる
• 頭皮が日焼けしやすくなる

前頭部の後退と生活習慣

生活習慣の要因	影響の例
睡眠不足	ホルモンバランスの乱れで進行しやすい
タバコの習慣	血行が滞り、毛根への栄養不足が進む
栄養バランスの偏り	毛母細胞の働きが低下し、髪が細くなる傾向

頭頂部が薄くなるタイプの特徴

頭頂部が薄くなるタイプは、他人から見られたときに最初に気づかれることがあります。鏡では確認しにくい部位なので、自分では気づかないうちに進行してしまうことも少なくありません。

このタイプではDHTの影響を受けやすい頭頂部の毛髪が特に細くなりやすく、遺伝的にその傾向が強い場合、早期からボリュームダウンを実感する方が多いです。

全体的にボリュームが減るパターン

前頭部や頭頂部だけでなく、頭全体の毛量が徐々に減っていくパターンも見受けられます。遺伝の影響と栄養不足、ストレスなどが相まって、毛髪の寿命自体が短くなっている可能性があります。

このタイプは目立つ部分的なはげではなく、髪質の変化から気づくことが多いです。

髪が細く柔らかくなっている、スタイリングがうまくいかないなどの違和感を覚えたら注意深く観察するとよいでしょう。

進行の度合いと症状の個人差

髪が薄くなるペースは人それぞれです。同じ生活環境にいても、兄弟や双子で進行度に差が出るケースもあります。

遺伝要因はベースとして存在していても、食事や睡眠、ストレス耐性などが異なると進行度合いに大きな開きが生じるのです。

髪の変化は少しずつ進むので、毎日の生活の中では気づきにくいです。以前の写真と比較したり、美容師など第三者の意見を聞いたりすることによって初めて薄くなったと実感する方もいます。

日常生活で考えたい予防の取り組み

はげの遺伝を持っている場合でも、日常生活を意識することで進行を遅らせたり、目立ちにくくしたりすることが期待できます。大幅な負担を伴わない方法から始めて、継続することが大切です。

食生活と栄養バランスの見直し

髪を形成するたんぱく質を十分に摂ることは重要です。

肉や魚、大豆製品からの良質なたんぱく質だけでなく、亜鉛や鉄といったミネラルも欠かせません。ビタミンB群やビタミンC、Eなども頭皮環境を整えるうえで有益です。

コンビニ食や外食が多い方は、意識して野菜を多めに摂取したり、バランスの良い食事を心がける工夫が必要です。

急に食事内容を激変させるのは難しいので、少しずつ改善していくと続けやすくなります。

髪に役立つ主な栄養素と食品

栄養素	食品	働きのポイント
たんぱく質	魚、鶏ささみ、豆腐など	髪の主成分であるケラチンを形成
亜鉛	牡蠣、牛肉、ナッツ類	毛母細胞の分裂やホルモン調整を助ける
鉄	レバー、ほうれん草、ひじき	酸素供給のために重要
ビタミンB群	豚肉、納豆、緑黄色野菜など	エネルギー代謝や頭皮環境維持に関わる
ビタミンC	柑橘類、いちご、ピーマン	コラーゲン合成や血行促進に役立つ

ストレスケアと睡眠の質

ストレスや睡眠不足はホルモンバランスを乱し、はげの進行を早める要因になりやすいです。

深夜まで起きている習慣がある方や、仕事・家事で強いストレスを受けている方は、なるべく対策を考えることが大切です。

運動や趣味の時間を取り入れてリフレッシュを図ったり、就寝前のスマホ・PCの使用を控えたりするなど、取り組めることはいくつもあります。

• 睡眠時間を毎日6時間以上確保する
• 就寝前にスマホ画面の明るさを抑える
• 軽いウォーキングやストレッチで血行を良くする

こうした心がけを続けると、頭皮の環境だけでなく全身の健康にも良い変化が期待できます。

適度な頭皮マッサージの効果

頭皮の血行不良もはげの進行に関係します。頭皮マッサージを行うと、頭皮の血流が高まり、毛根への栄養供給が促進される可能性があります。

シャンプー時に指の腹で優しく揉み込むように洗ったり、お風呂上がりに育毛剤や頭皮ケア用品を使う際にマッサージを組み合わせたりすると効果的です。

強く擦ったり爪を立てたりすると頭皮を傷つけるリスクがあるので、力加減に注意して行いましょう。続けやすいマッサージ法を習得して、少しずつ習慣に取り入れてみてください。

頭皮マッサージの簡単な手順

手順	方法
1.姿勢	肩の力を抜き、リラックスして座る
2.指の当て方	指の腹を頭皮に密着させる
3.マッサージ	円を描くようにゆっくり動かす
4.仕上げ	頭頂部から首筋に向けてなで下ろす

禁煙や飲酒量のコントロール

タバコに含まれるニコチンは血管を収縮させ、頭皮への血流を低下させる一因になり得ます。

飲酒も適量であれば問題ない場合が多いですが、過度な摂取は栄養バランスを崩し、肝機能を圧迫することで髪の成長を妨げる可能性があります。

遺伝によるはげのリスクが高い方こそ、生活習慣全般を見直して頭皮や体の負担を減らすよう心がけたいものです。

AGA治療の選択肢

はげの遺伝がある場合でも、医学的な治療を組み合わせることで髪の状態を改善することが期待できます。

とくに男性型脱毛症（AGA）の治療法は多岐にわたり、内服薬や外用薬、クリニックでの施術などが存在します。

それぞれの特性を理解し、自分に合った方法を選ぶことが大切です。

内服薬や外用薬の特徴

AGA治療にはフィナステリドやデュタステリドなどの内服薬を用いる方法があります。これらは5αリダクターゼの働きを抑制し、DHTの生成を減らして髪の成長を後押しします。

外用薬としてはミノキシジルが一般的に使われ、頭皮の血流改善を期待できる成分です。

内服薬は薬の成分が全身に回るため、効果が現れやすい一方で副作用に留意する必要があります。外用薬は頭皮に直接作用するものの、塗り忘れや塗りムラなどがあると効果が安定しない可能性があります。

医師や薬剤師に相談しながら適切な使い方をすることが大切です。

内服薬と外用薬の比較

項目	内服薬	外用薬
主な成分	フィナステリド、デュタステリドなど	ミノキシジル
作用機序	5αリダクターゼを抑制してDHT生成を減らす	頭皮の血流改善、毛包への栄養供給を促進
効果実感までの期間	3～6か月程度で変化を感じるケースが多い	4か月～半年程度で効果を感じ始める
副作用リスク	性機能の変化、肝機能への影響など	頭皮のかゆみやかぶれなど
継続のしやすさ	1日1回の服用が多く、習慣化しやすい	朝晩の塗布が必要で、塗り忘れに注意

メリットとデメリットの比較

AGA治療は医薬品を使うため、メリットだけでなくデメリットも理解しておく必要があります。

たとえば内服薬は比較的高い効果を見込めますが、副作用や継続コストが大きくなるケースもあり得ます。外用薬は副作用が少ない傾向にあるものの、使うのをやめると再び進行してしまうことが多いです。

さらに効果を確実に得るためには、半年以上の継続が望ましい場合が多いです。

短期間で結果を求めるのではなく、長期的な視点を持って治療に取り組む意識が必要とされます。

治療法	メリット	デメリット
内服薬	効果を実感しやすい	副作用やコストに注意
外用薬	全身への影響は少なめ	使い方に手間がかかる
併用療法	より効果が期待できる	費用の負担が増える

血液検査や検診の活用

治療を始める前に血液検査を行うと、肝機能やホルモンバランスの状態がわかり、内服薬を使っても大丈夫かどうかの判断がつきやすいです。

AGAクリニックや皮膚科では、定期的に血液検査や頭皮の状態チェックを実施し、薬の効果や副作用の有無を評価します。

遺伝によるはげを抱えている方ほど早めに検査を受けて、自分の体質に合った治療法かどうかを確認すると安心です。

検査でチェックする項目

検査項目	チェック内容
肝機能 (AST, ALTなど)	薬の副作用リスクを把握
血中脂質 (LDL, HDLなど)	生活習慣病リスクの確認
ホルモン値 (テストステロンなど)	AGAとの関連性の目安をつかむ
血糖値	食生活の影響を確認
血清フェリチン	貧血や鉄不足の有無を判断

治療を継続するうえでのポイント

AGA治療は短期で完結するものではなく、数か月から数年単位で取り組む必要があります。途中で自己判断で薬をやめてしまうと、また抜け毛が増えてしまう場合も少なくありません。

根気よく続けるためには、医師との定期的なコミュニケーションや生活習慣の改善、ストレスケアなどを並行して行うことが大切です。

一度に多くのことを変えようとすると負担が大きくなるので、できるところから少しずつ進めると長続きしやすいです。

クリニックでの相談と治療の流れ

はげの遺伝があると感じている方は、専門の医療機関やAGA治療に対応しているクリニックで相談してみると具体的な対策を得られます。

相談の流れや治療方針はクリニックによって少しずつ異なるので、あらかじめ大まかなイメージを持っておくと安心です。

初回カウンセリングでの確認事項

クリニックへ初めて行く場合、受付や問診票の記入を経て、医師や専門スタッフによるカウンセリングを行います。

そこでは、以下のような点を確認することが多いです。

• 家族のはげの状況（母方・父方ともに）
• 抜け毛が増えた時期やきっかけ
• 食生活やストレスの有無
• 使用中の医薬品やサプリメント

疑問や不安がある場合はこの段階でしっかり質問すると、今後の治療プランを立てやすくなります。

初回カウンセリングでよくある質問

質問内容	医師やスタッフの回答例
「本当に治るのか？」	状況や体質に合わせた治療計画がある
「費用はどれくらいかかるか？」	内服薬や外用薬、施術などの選択肢で差が出る
「副作用が怖いが大丈夫か？」	血液検査や問診でリスクを評価しながら進められる
「どのくらい継続する必要があるか？」	半年から1年を目安に定期的に確認を行う
「他のクリニックとの違いは何か？」	治療の実績やサポート体制の特徴を説明

検査や診断

カウンセリングの次に、頭皮状態のマイクロスコープ検査や血液検査、場合によってはホルモン値を測定する検査を行います。

これによって脱毛の原因や進行度合いを把握し、内服薬や外用薬の効果が見込めるかどうか、他の要因が隠れていないかを判断します。その後、医師が診断結果をもとに治療プランを提示します。

遺伝的に薄毛リスクが高い方も、今の状況に合わせた治療を受けることで進行を遅らせたり改善を期待したりすることが可能です。

オンライン診療や遠隔相談の活用

近年、オンライン診療や遠隔相談を行うAGAクリニックが増えています。忙しくて通院が難しい方や近くに専門のクリニックがない地方の方にとって、良い選択肢の一つです。

初回だけ対面で受診して、以降はオンライン診療で経過観察や薬の処方を受けるというスタイルも広まっています。

ただし、頭皮の状態を直接見てもらう必要がある場合は対面診療が適しています。自分の生活や通院しやすさを考慮して、無理のない方法を選ぶとよいでしょう。

クリニック選びの基準

クリニックを選ぶ際には、以下のような点を比較検討すると自分に合った場所を選びやすいです。

• 医師の専門性や経験
• 診療実績や患者の口コミ
• 治療メニューの豊富さ（内服薬、外用薬、育毛メソセラピーなど）
• 費用やサポート体制

過剰な宣伝文句や不明瞭な料金体系には注意が必要です。

長期にわたって通いやすい環境やコミュニケーションが取りやすいスタッフがいるクリニックかどうかを重視して、納得できるところを選んでください。

治療後のケアと継続的な取り組み

はげの治療を進めて結果が出てきても、それで終わりではありません。

髪は常に生え変わりを繰り返しており、ホルモンや生活習慣の影響を受け続けます。治療を開始して一定の効果を得たら、その状態を維持し再発を防ぐためのケアを継続することが重要です。

定期的な通院の大切さ

AGA治療は内服薬をやめた途端に進行してしまう可能性があるため、医師の指示に従って定期的に通院することが大切です。

薬の効果を確認し、副作用のチェックや血液検査を適宜行うと、安全性と効果を維持しやすくなります。

また、頭皮や毛髪の状態は刻々と変化するため、通院のたびに医師から新たなアドバイスを受けられる点もメリットの1つです。

生活習慣の改善を意識

遺伝的要素だけでなく、生活習慣もはげの進行に大きく関わります。

治療期間中に食生活を見直したり、睡眠の質を向上させたりすると、結果が出やすくなるだけでなく健康全般にもプラスに働きます。

治療後もそのままの習慣を維持するか、さらに良い形に改善すると抜け毛の増加を抑えやすいです。

• バランスの良い食事
• 毎日6～7時間の睡眠
• 適度な運動で血行を促す
• ストレス発散を忘れない

このような取り組みを治療後も続ける姿勢が、髪の状態をキープするうえで役立ちます。

再発予防と早期対応

AGA治療を一度終えて髪が増えたとしても、治療をやめて時間が経つと再び抜け毛が増える可能性があります。

完全に治癒するというよりは、病状をコントロールするイメージで付き合っていくことが大切です。

何らかのきっかけで抜け毛が増えた場合、早めにクリニックへ相談して治療方針を見直すと、重症化を避けることにつながります。

自分の髪の状態に常にアンテナを張り、気になる変化を見つけたら早い段階で手を打ちましょう。

治療後の再発リスクを下げる工夫

取り組み	メリット
継続的な薬の使用	薬の効果を維持してDHTの抑制を続ける
定期検診の受診	進行状況の確認や新たな問題点の早期発見
食生活・睡眠の維持	毛髪や頭皮に良い状態を長く保つ
ストレス管理	ホルモンバランスを整え、抜け毛を増やさない
髪型やスタイリングの工夫	頭皮へのダメージを減らし、イメージを保つ

メンタルヘルス面のケア

髪の悩みはメンタル面にも影響しやすいです。特に若い世代では、薄毛が人に知られることを恐れて外出や人付き合いが不安になる方もいます。

治療や予防に力を入れることは見た目だけでなく、自信を取り戻すうえでも大切です。

自分一人で抱え込まず、クリニックのスタッフやカウンセラーに相談したり、同じ悩みを持つ方との情報交換を行ったりすると気持ちが楽になる場合があります。

治療は身体面とともに心のケアも含めて考えると、長く続けやすいです。

参考文献

ANASTASSAKIS, Konstantinos; ANASTASSAKIS, Konstantinos. Hormonal and genetic etiology of male androgenetic alopecia. Androgenetic Alopecia From A to Z: Vol. 1 Basic Science, Diagnosis, Etiology, and Related Disorders, 2022, 135-180.

HEILMANN-HEIMBACH, Stefanie, et al. Meta-analysis identifies novel risk loci and yields systematic insights into the biology of male-pattern baldness. Nature communications, 2017, 8.1: 14694.

UZOIGWE, Chika Edward, et al. Male pattern hair loss: Taking one for the team: The selfless gene. Medical Hypotheses, 2018, 114: 1-4.

HENNE, Sabrina K.; NÖTHEN, Markus M.; HEILMANN-HEIMBACH, Stefanie. Male-pattern hair loss: Comprehensive identification of the associated genes as a basis for understanding pathophysiology. Medizinische Genetik, 2023, 35.1: 3-14.

HEILMANN‐HEIMBACH, Stefanie, et al. Hunting the genes in male‐pattern alopecia: how important are they, how close are we and what will they tell us?. Experimental dermatology, 2016, 25.4: 251-257.