「ヘアトニックを使うとハゲる」「アルコール(エタノール)が頭皮に悪い」といった噂を耳にして、使用をためらっていませんか?
スーッとした清涼感が特徴のヘアトニックですが、薄毛や抜け毛との関係について不安を感じる方も少なくありません。
この記事では、そうした疑問や不安を解消するため、ヘアトニックが「ハゲる」と言われる理由、アルコールの本当の役割と頭皮への影響を徹底的に解説します。
さらに、育毛剤との違いや、ご自身の頭皮タイプに合わせた正しい選び方、効果的な使い方まで、詳しくご紹介します。噂の真相を知り、適切なヘアケアを選びましょう。
この記事の執筆者

AGAメディカルケアクリニック 統括院長
前田 祐助
【経歴】
慶應義塾大学医学部医学研究科卒業
慶應義塾大学病院 初期臨床研修課程終了
大手AGAクリニック(院長)を経て、2018年に薄毛・AGA治療の「AGAメディカルケアクリニック」新宿院を開設
2020年に横浜院、2023年に東京八重洲院を開設
資格・所属学会・症例数
【資格】
- 医師免許
- ⽇本医師会認定産業医
- 医学博士
【所属学会】
- 日本内科学会
- 日本美容皮膚科学会
- 日本臨床毛髪学会
【症例数】
3万人以上※
※2018年5月~2022年12月AGAメディカルケアクリニック全店舗の延べ患者数
「ヘアトニックを使うとハゲる」という噂の真相
なぜ「ハゲる」と噂されるのか
ヘアトニックが薄毛の原因になると噂される背景には、いくつかの誤解が存在します。最も大きな要因は、ヘアトニックに多く含まれる「アルコール(エタノール)」の刺激性に対する懸念です。
使用した際の強い清涼感や、一部の人が感じる刺激が、「頭皮に強すぎて悪い影響を与えるのではないか」という不安につながっています。
また、過去に使った製品が肌に合わず、かゆみやフケといったトラブルを経験したことから、「ヘアトニック=頭皮に悪い=ハゲる」という短絡的なイメージが形成された可能性も考えられます。
噂が広まった主な要因
- アルコールの刺激への懸念
- 使用後の過度な清涼感
- 過去の肌トラブルの経験
結論 ヘアトニック自体が直接的なハゲる原因ではない
まず結論からお伝えすると、市販されているヘアトニックを正しく使用している限り、それ自体が直接的な薄毛(AGAなど)の原因になることはありません。
多くのヘアトニックは、頭皮環境を健やかに保つことを目的に設計されています。
薄毛や抜け毛は、遺伝的要因、ホルモンバランスの乱れ、生活習慣、ストレスなど、非常に多くの要因が複雑に絡み合って発生します。
ヘアトニックの使用が、これらの根本的な原因を直接引き起こすとは考えにくいのです。
むしろ、頭皮環境の悪化(例えば、過剰な皮脂や乾燥)が抜け毛を助長する一因となるため、ヘアトニックによるケアが役立つ場面もあります。
むしろ頭皮環境を整える役割
ヘアトニックの本来の役割は、薄毛を進行させることではなく、頭皮環境を良好な状態に整えることです。
例えば、フケやかゆみを抑える成分、頭皮にうるおいを与える保湿成分、血行を促進する成分などが配合されています。
洗髪後の清潔な頭皮に使用することで、頭皮を保湿し、過剰な皮脂の分泌を抑え、清潔な状態を維持する手助けをします。
頭皮という「土壌」の状態を整えることで、健康な髪が育ちやすい環境をサポートするのが、ヘアトニックの主な目的です。したがって、「ハゲる」という噂は、その役割とは正反対のものと言えます。
使い方や選び方を間違えるとトラブルの原因に
ただし、ヘアトニック自体が原因でなくても、「選び方」や「使い方」を誤ると、頭皮トラブルを引き起こす可能性は否定できません。
例えば、極度の乾燥肌の人が高濃度のアルコールを含む製品を使用すると、必要な皮脂まで奪われてしまい、さらに乾燥が進むことがあります。
また、特定の成分に対するアレルギーがある場合、かゆみや赤みといった炎症反応が起こることもあります。
こうした頭皮トラブルが続くと、頭皮環境が悪化し、結果として抜け毛につながる可能性はゼロではありません。
重要なのは、製品のせいにするのではなく、自分の頭皮タイプに合った製品を選び、正しく使用することです。
噂の焦点「アルコール(エタノール)」は本当に頭皮に悪い?
ヘアトニックにアルコールが含まれる理由
多くのヘアトニックにアルコール(エタノール)が含まれているのには、明確な理由があります。
アルコールは単に「刺激物」として加えられているわけではなく、製品の品質や使用感を保つために重要な役割を担っています。
清涼感を与えるだけでなく、製品の安定性を高めたり、他の成分を均一に混ぜ合わせたりするためにも用いられます。
アルコールの特性を理解することで、なぜヘアトニックに配合されているのかが見えてきます。
ヘアトニックにおけるアルコールの主な役割
| 役割 | 具体的な働き | 期待できる効果 |
|---|---|---|
| 清涼感の付与 | アルコールが蒸発する際に熱を奪う(気化熱) | 頭皮にスーッとした爽快感を与え、使用感を良くする |
| 殺菌・防腐 | 雑菌の繁殖を抑える | 製品自体の品質を保ち、頭皮を清潔に維持する手助けをする |
| 成分の溶解 | 水に溶けにくい特定の成分(油溶性成分など)を溶かす | 製品全体を均一に混ぜ合わせ、有効成分を頭皮に届けやすくする |
アルコールが頭皮に与える影響
アルコールが頭皮に与える影響は、良い面と悪い面の両方があります。良い面としては、前述の通り、殺菌作用による頭皮の清浄化や、皮脂の除去によるさっぱり感(収れん作用)が挙げられます。
特に皮脂分泌が多い脂性肌(オイリー肌)の人にとっては、過剰な皮脂を取り除き、頭皮を清潔に保つ手助けとなります。
また、清涼感が気分をリフレッシュさせてくれる効果もあります。一方で、悪い面としては、その高い揮発性と脱脂力(油分を取り除く力)が挙げられます。
「アルコールが悪い」と言われる具体的な理由
「アルコールが悪い」というイメージが定着している最大の理由は、その「乾燥」と「刺激」の側面にあります。アルコールは非常に蒸発しやすいため、頭皮につけるとすぐに気化します。
この時、頭皮が本来持っている水分まで一緒に奪ってしまうことがあります。これにより、頭皮が乾燥しやすくなるのです。
また、アルコールの脱脂力は、頭皮を守るために必要な皮脂まで取り除いてしまうことがあります。皮脂のバリア機能が低下すると、外部からの刺激を受けやすくなり、乾燥やかゆみを引き起こす原因となります。
これが「アルコールは頭皮に悪い」と言われる主な理由です。
敏感肌・乾燥肌の人が注意すべき点
特に頭皮が敏感な人や、もともと乾燥しやすい人は、アルコールの配合量が多いヘアトニックの使用に注意が必要です。
健常な頭皮の人にとっては問題ない濃度であっても、バリア機能が低下している敏感肌・乾燥肌の人にとっては、アルコールの刺激が強く感じられたり、乾燥が助長されたりすることがあります。
使用後にヒリヒリとした刺激を感じる、かゆみが出る、フケが増えるといった症状が出た場合は、その製品が肌に合っていない可能性があります。
そのような場合は、アルコールの配合濃度が低いものや、アルコールフリー(ノンアルコール)と表示された製品を選ぶことを検討するのが賢明です。
ヘアトニックの主な役割と期待できる効果
頭皮の保湿
ヘアトニックの重要な役割の一つが、頭皮の保湿です。頭皮も顔の肌と同様に、乾燥するとバリア機能が低下し、フケやかゆみなどのトラブルを引き起こしやすくなります。
特に洗髪後は、皮脂が洗い流されて頭皮が最も乾燥しやすい状態です。ヘアトニックには、グリセリン、ヒアルロン酸、セラミド、植物エキスといった保湿成分が配合されているものが多くあります。
これらが角質層に水分を補給し、うるおいを保持することで、乾燥によるトラブルを防ぎ、柔軟で健康な頭皮環境を維持する手助けをします。
フケ・かゆみの防止
フケやかゆみは、頭皮環境の悪化を示すサインです。その原因は乾燥だけでなく、皮脂の過剰分泌によるマラセチア菌(常在菌の一種)の増殖なども関係しています。
ヘアトニックには、こうしたフケやかゆみを抑えるための有効成分が配合されている製品(医薬部外品)も多くあります。
例えば、殺菌作用のある「ピロクトンオラミン」や「イソプロピルメチルフェノール」は菌の繁殖を抑え、抗炎症作用のある「グリチルリチン酸ジカリウム」などは、かゆみや炎症を鎮める働きをします。
これらの成分が、フケやかゆみに悩む人の頭皮環境を整えます。
頭皮の悩みと代表的な有効成分(医薬部外品)
| 悩み | 期待できる作用 | 代表的な成分例 |
|---|---|---|
| フケ・かゆみ | 殺菌・抗菌作用 | ピロクトンオラミン、イソプロピルメチルフェノール |
| かゆみ・炎症 | 抗炎症作用 | グリチルリチン酸ジカリウム、アラントイン |
| 頭皮のニオイ | 殺菌・消臭作用 | 緑茶乾留エキス、フラボノイド類 |
頭皮の血行促進
健康な髪を育むためには、髪の毛を作る毛母細胞に十分な栄養と酸素を届けることが重要です。その栄養を運ぶのが血液です。
頭皮の血行が悪くなると、毛母細胞への栄養供給が滞り、髪の成長に影響が出る可能性があります。
ヘアトニックの中には、「センブリエキス」や「ビタミンE誘導体(酢酸トコフェロール)」、「ナイアシンアミド」など、頭皮の血行を促進する成分が配合されているものがあります。
これらの成分が頭皮の血管に働きかけ、血流を良くすることで、毛根への栄養補給をサポートし、健康な髪が育つ土台作りを助けます。
清涼感とニオイの抑制
ヘアトニックの最大の特徴ともいえるのが、使用時の清涼感です。これは主に「アルコール」や「メントール」によってもたらされます。
このスーッとした爽快感が、洗髪後の気分をリフレッシュさせ、頭皮を引き締める感覚(収れん作用)を与えてくれます。また、頭皮のニオイが気になる人にとってもヘアトニックは有効です。
皮脂が酸化したり、雑菌が繁殖したりすることがニオイの主な原因ですが、ヘアトニックに含まれる殺菌成分や消臭成分、そして香料が、不快なニオイを抑え、清潔感を保つのに役立ちます。
【目的別】ヘアトニックの正しい選び方
頭皮の乾燥・フケが気になる場合
頭皮が乾燥しやすく、カサカサした細かいフケが出る人は、保湿を最優先に考えた製品選びが大切です。アルコールの含有量が多い製品は、乾燥を助長する可能性があるため、なるべく避けた方がよいでしょう。
「アルコールフリー」や「低アルコール処方」と記載されているものを選びましょう。また、保湿成分が豊富に含まれているかどうかも重要なチェックポイントです。
注目したい保湿成分
- セラミド
- ヒアルロン酸
- コラーゲン
- グリセリン
- アミノ酸類
- 植物由来エキス(アロエエキスなど)
これらの成分が、頭皮の角質層にうるおいを与え、水分が蒸発するのを防ぎます。
抗炎症成分(グリチルリチン酸ジカリウムなど)が配合されていれば、乾燥によるかゆみも同時にケアできるため、より適しています。
頭皮のベタつき・ニオイが気になる場合
反対に、頭皮がベタつきやすく、脂っぽいフケが出る人や、日中の頭皮のニオイが気になる人は、適度な清涼感と皮脂コントロール、殺菌作用のある製品が向いています。
アルコールやメントールが配合された、さっぱりとした使用感のものが良いでしょう。これらが過剰な皮脂によるベタつきを抑え、爽快感を与えてくれます。
また、皮脂の酸化を防ぐ成分や、殺菌成分(イソプロピルメチルフェノールなど)、消臭成分が配合されている製品を選ぶことで、ニオイの根本原因にもアプローチできます。
頭皮がデリケート・敏感な場合
少しの刺激でもかゆみや赤みが出やすいデリケートな頭皮の持ち主は、成分を厳選し、できるだけシンプルな処方のものを選ぶ必要があります。最優先すべきは「低刺激性」です。
アルコールはもちろんのこと、メントールなどの清涼成分、香料、着色料、パラベン(防腐剤)なども刺激に感じる場合があります。
「敏感肌用」「低刺激処方」「アレルギーテスト済み」といった表記がある製品を選びましょう。特にアルコールフリー(ノンアルコール)であることは重要な選択基準となります。
将来の薄毛予防を考えたい場合
現時点で薄毛が進行しているわけではないものの、将来のために頭皮ケアを始めたいという人には、保湿や抗炎症といった基本的なケアに加えて、血行促進成分が配合された製品が適しています。
ヘアトニックは「育毛剤」ではありませんが、血行を促進し、頭皮環境を健やかに保つことは、健康な髪を維持するための重要な土台作りとなります。
「センブリエキス」「ビタミンE誘導体(酢酸トコフェロール)」などが配合されているかを確認してみましょう。これらは医薬部外品のヘアトニックによく見られます。
お悩み・目的別ヘアトニック選びのポイント
| 頭皮タイプ・悩み | 重視したいポイント | チェックしたい成分・表示 |
|---|---|---|
| 乾燥肌・カサカサフケ | 高保湿・低刺激 | 保湿成分(セラミド、ヒアルロン酸など)、アルコールフリー |
| 脂性肌・ベタつき・ニオイ | 清涼感・皮脂抑制・殺菌 | アルコール、メントール、殺菌成分、皮脂コントロール成分 |
| 敏感肌・刺激に弱い | 低刺激・無添加 | アルコールフリー、無香料、無着色、パラベンフリー、敏感肌用 |
| 将来の予防・頭皮環境改善 | 保湿・血行促進 | 保湿成分、血行促進成分(センブリエキスなど) |
育毛剤・発毛剤との決定的な違い
ヘアトニックの位置づけ
ヘアトニック、育毛剤、発毛剤は、しばしば混同されがちですが、その目的と法的な分類(薬機法)において明確な違いがあります。ヘアトニックの多くは「化粧品」に分類されます。化粧品の目的は、「体を清潔にし、美化し、魅力を増し、容貌を変え、又は皮膚若しくは毛髪を健やかに保つこと」です。つまり、ヘアトニック(化粧品)の役割は、主に「頭皮環境を健やかに保つ」ことであり、フケ、かゆみ、乾燥、ニオイなどを防ぐことが中心です。薄毛の「治療」や「育毛」を直接の目的とはしていません。ただし、一部のヘアトニックは「医薬部外品」に分類され、育毛剤に近い効果(抜け毛予防など)を持つものもあります。
育毛剤(医薬部外品)の役割
育毛剤は、そのすべてが「医薬部外品」に分類されます。医薬部外品は、「防止・衛生」を目的とし、人体に対する作用が緩和なものです。育毛剤の目的は、「抜け毛を防ぎ、髪を育てる(育毛)」ことです。
血行を促進したり、毛母細胞の働きを助けたりする有効成分が配合されており、今ある髪の毛が細くなったり、抜けたりするのを防ぎ、健康な髪の成長をサポートします。
ヘアトニック(化粧品)が「頭皮環境の整備」を中心とするのに対し、育毛剤はより一歩進んで「抜け毛の予防・育毛」に焦点を当てています。
発毛剤(医薬品)の役割
発毛剤は、「医薬品」に分類されます。医薬品の目的は、病気の「治療」や「診断」です。発毛剤は、薄毛(特にAGA:男性型脱毛症)を「治療」し、「新しい髪を生やす(発毛)」ことを目的としています。
代表的な成分として「ミノキシジル」があり、この成分が毛母細胞に直接働きかけ、発毛を促進することが認められています。
ヘアトニックや育毛剤が既存の髪の維持や頭皮環境の改善を目指すのに対し、発毛剤は「髪が抜けた状態から新たに生やす」という、より積極的な治療効果を追求するものです。
医師の診断のもとで使用するものや、薬剤師の説明が必要な第一類医薬品などがあり、取り扱いが異なります。
ヘアケア製品の分類と目的の違い
| 分類 | ヘアトニック(多くの場合) | 育毛剤 | 発毛剤 |
|---|---|---|---|
| 法的分類 | 化粧品(一部、医薬部外品) | 医薬部外品 | 医薬品 |
| 主な目的 | 頭皮環境を整える(保湿、フケ・かゆみ防止、清涼感) | 抜け毛の予防、育毛(今ある髪を育てる) | 発毛(新しい髪を生やす)、脱毛の進行予防 |
| 作用 | 緩和(清潔・健やかに保つ) | 緩和(予防・育毛) | 積極的(治療) |
ヘアトニックの効果を高める正しい使い方
使うタイミング (洗髪後が基本)
ヘアトニックを使用する最も効果的なタイミングは、夜の洗髪後です。シャンプーで頭皮の汚れや余分な皮脂をしっかり落とした清潔な状態が、ヘアトニックの成分が最も浸透しやすい(角質層まで)からです。
また、髪の毛が成長するのは主に夜間の睡眠中です。この時間に合わせて頭皮環境を整えておくことは、健やかな髪の育成にとって重要です。
タオルドライで髪の水分をしっかり拭き取った後、ドライヤーで髪を乾かす前に使用するのが一般的ですが、製品によってはドライヤー後に使用するものもあります。
使用する製品の説明書を確認しましょう。朝に使用する場合は、頭皮のニオイ防止や、寝癖直し、スタイリング前の頭皮の引き締めといった目的で使うと良いでしょう。
頭皮を清潔にしてから使用する
当然のことながら、ヘアトニックは清潔な頭皮に使用することが大前提です。
頭皮に皮脂や汚れ、整髪料などが残ったままヘアトニックをつけても、成分がうまく浸透しないばかりか、汚れを毛穴に押し込んでしまう可能性さえあります。
必ずシャンプーで丁寧に汚れを落とし、すすぎ残しがないようにしっかりと洗い流してから使用してください。
特に脂性肌の人は、予洗い(シャンプー前のお湯洗い)をしっかり行うと、シャンプーの泡立ちも良くなり、効率的に汚れを落とせます。
適量を守り、頭皮全体になじませる
効果を期待するあまり、一度に大量のヘアトニックを使用するのは逆効果です。量が多すぎると頭皮がベタついたり、アルコール製品の場合は刺激が強すぎたりすることがあります。
製品に記載されている「適量」を守ることが大切です。ノズルタイプの製品が多いですが、直接頭皮に数カ所(5〜10カ所程度)に分けて塗布します。
この時、髪の毛ではなく、必ず「頭皮」につけることを意識してください。指の腹を使って、頭皮全体に優しく擦り込むようにしてなじませます。
仕上げの頭皮マッサージ
ヘアトニックを塗布した後は、仕上げに頭皮マッサージを行うと非常に効果的です。マッサージによって頭皮の血行がさらに促進され、ヘアトニックの成分が角質層のすみずみまで行き渡りやすくなります。
また、硬くなった頭皮をほぐすことで、リラクゼーション効果も期待できます。マッサージの際は、絶対に爪を立てず、指の腹を使います。
頭全体を優しく掴むようにして、頭皮を動かすイメージで、下から上へ、ゆっくりと揉みほぐします。特に血行が滞りやすい頭頂部や側頭部を丁寧に行うと良いでしょう。
ヘアトニック使用の基本的な流れ
| 場面 | 行うこと | ポイント |
|---|---|---|
| 1. 洗髪 | シャンプーで頭皮の汚れを落とす | すすぎ残しがないよう、しっかり洗い流す |
| 2. タオルドライ | 髪と頭皮の水分を拭き取る | ゴシゴシ擦らず、優しく押さえるように拭く |
| 3. 塗布 | ヘアトニックを頭皮につける | 髪ではなく「頭皮」に、適量を数カ所に分けて塗布する |
| 4. なじませる&マッサージ | 指の腹でなじませ、マッサージする | 爪を立てず、頭皮全体を優しく動かすように揉む |
| 5. ドライヤー | 髪の毛を乾かす | 頭皮が湿ったままにならないよう、根元から乾かす |
ヘアトニック使用時の注意点とよくある誤解
つけすぎは逆効果?
「たくさんつければ、それだけ効果も高まるはず」と考えるかもしれませんが、これは誤解です。前述の通り、ヘアトニックの「適量」は決まっています。必要以上につけすぎると、いくつかの問題が生じます。
まず、コストパフォーマンスが悪くなります。次に、アルコールやメントールを多く含む製品の場合、刺激が強すぎて頭皮を傷めたり、過度に乾燥させたりする原因になります。
また、保湿成分が多い製品でも、つけすぎは頭皮のベタつきにつながり、毛穴を塞ぐ原因にもなりかねません。適量を守ることが、頭皮環境を健やかに保つための鍵です。
肌に合わない場合のサイン
ヘアトニックを使用していて、以下のようなサインが現れた場合、その製品があなたの肌に合っていない可能性があります。
使用を続けると症状が悪化し、頭皮環境を損ねる恐れがあるため、すぐに使用を中止し、様子を見る必要があります。
清涼感による一時的なスースーする感覚と、ヒリヒリする「刺激」や「痛み」は異なります。自分の頭皮の感覚に注意を払いましょう。
使用中止を検討すべき頭皮のサイン
- 使用直後〜数日後に赤みが出た
- ヒリヒリ、チクチクとした刺激や痛みを感じる
- かゆみが治まらない、または新たに出た
- フケ(特に乾燥したフケ)が以前より増えた
- 湿疹やニキビのようなものができた
これらの症状が出た場合は使用をやめ、症状がひどい場合や数日経っても改善しない場合は、皮膚科専門医に相談してください。
他のヘアケア製品との併用順序
育毛剤や発毛剤とヘアトニックを併用したいと考える人もいるかもしれません。しかし、基本的には併用は推奨されません。特に、医薬品である「発毛剤」とは絶対に併用しないでください。
発毛剤の成分の吸収に影響を与えたり、予期せぬ副作用を引き起こしたりする危険性があります。
医薬部外品である「育毛剤」と「ヘアトニック(化粧品)」の併用については、メーカーの指示に従うのが最も安全です。
もし併用する場合は、一般的に、頭皮に有効成分を浸透させたい「育毛剤」を先に使い、その成分が浸透した後に、頭皮環境を整える「ヘアトニック」を使う順序が考えられますが、製品同士の相性もあります。
自己判断せず、各製品の使用方法を確認するか、メーカーに問い合わせるのが確実です。
よくある質問
- ヘアトニックは朝晩使った方が良いですか?
-
必ずしも朝晩使う必要はありません。最も推奨されるタイミングは、頭皮が清潔になる夜の洗髪後です。夜に一度、丁寧にケアするだけでも十分な場合が多いです。
ただし、朝のスタイリング前に頭皮のベタつきやニオイを抑えたい、寝癖を直しながら頭皮ケアもしたいという場合は、朝の使用も有効です。
その場合、つけすぎに注意し、さっぱりとしたタイプのものを選ぶと良いでしょう。ご自身のライフスタイルや頭皮の状態に合わせて調整してください。
- 女性用の製品と何が違いますか?
-
男性用と女性用のヘアトニックでは、主に「清涼感の強さ」「香料」「配合成分の傾向」が異なります。
男性用は、強い清涼感(高濃度のアルコールやメントール)と、さっぱりとした使用感を重視する製品が多い傾向にあります。
一方、女性用は、マイルドな使用感で、保湿成分を重視し、香料もフローラル系など柔らかい香りのものが多いです。
ただし、基本的な「頭皮環境を整える」という役割は共通しています。肌質に合えば、男性が女性用のマイルドな製品を使っても問題ありません。
- アルコールフリーなら絶対に安全ですか?
-
「アルコールフリー=絶対に安全」とは限りません。
アルコール(エタノール)は、敏感肌や乾燥肌の人にとって刺激になりやすい代表的な成分であるため、それが入っていない「アルコールフリー」製品は、確かに低刺激な選択肢の一つです。
しかし、アルコール以外にも、香料、着色料、防腐剤(パラベンなど)、あるいは特定の植物エキスが、その人の肌質によっては刺激になったり、アレルギー反応を引き起こしたりする可能性があります。
アルコールフリーであることに加え、他の成分にも目を向け、「敏感肌用」や「アレルギーテスト済み」などの表記も参考にすると、より安心な製品選びができます。
- 効果はどれくらいで実感できますか?
-
ヘアトニックは医薬品ではないため、劇的な変化をすぐに実感できるものではありません。
フケやかゆみ、乾燥といった頭皮の表面的なトラブルに関しては、肌に合っていれば数日から数週間程度で改善を感じられる場合があります。
清涼感やニオイの抑制といった使用感は、つけた直後に実感できます。
しかし、頭皮環境を健やかに保ち、健康な髪の土台を作るという長期的な目的においては、最低でも3ヶ月から6ヶ月は継続して使用し、頭皮の状態を観察することが大切です。
頭皮ケアは日々の積み重ねが重要です。
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