ふと鏡を見たとき、自分の分け目が以前より目立つように感じ、「もしかしてハゲの前兆?」と不安になっていませんか。分け目が目立つ原因は一つではありません。
AGA(男性型脱毛症)のサインである可能性もあれば、頭皮環境の悪化や生活習慣が影響している場合もあります。
大切なのは、現状を正しく把握し、原因に合わせた対策を早期に始めることです。
この記事では、男性の分け目が目立つ原因を詳しく解説し、今日から実践できる具体的な対策法を紹介します。
この記事の執筆者

AGAメディカルケアクリニック 統括院長
前田 祐助
【経歴】
慶應義塾大学医学部医学研究科卒業
慶應義塾大学病院 初期臨床研修課程終了
大手AGAクリニック(院長)を経て、2018年に薄毛・AGA治療の「AGAメディカルケアクリニック」新宿院を開設
2020年に横浜院、2023年に東京八重洲院を開設
資格・所属学会・症例数
【資格】
- 医師免許
- ⽇本医師会認定産業医
- 医学博士
【所属学会】
- 日本内科学会
- 日本美容皮膚科学会
- 日本臨床毛髪学会
【症例数】
3万人以上※
※2018年5月~2022年12月AGAメディカルケアクリニック全店舗の延べ患者数
「分け目が目立つ」と感じる男性が増えている
最近、「分け目がくっきりしてきた」「地肌が透けて見えるようになった」と感じる男性は少なくありません。
特に「分け目 目立つ 男」といったキーワードで情報を探す人が増えていることからも、この悩みが多くの男性にとって共通のものであることがうかがえます。
年齢に関わらず、頭髪の変化は自信にも影響を与えるため、深刻な悩みとなり得ます。
鏡を見て「あれ?」と思った瞬間
日々の生活の中で、分け目の変化に気づく瞬間は様々です。
例えば、洗面所の明るい照明の下で髪をセットしている時、ふと撮影された写真に写る自分の頭頂部を見た時、あるいは美容室で「少し分け目部分の地肌が見えやすくなっていますね」と指摘された時などです。
こうした小さな「あれ?」という違和感が、不安の始まりとなることが多いのです。しかし、この気づきこそが、対策を始める絶好の機会でもあります。
分け目が目立つのは気のせいか、それとも…
「分け目が目立つ」という感覚は、単なる気のせいなのでしょうか。それとも、何らかの頭皮や毛髪の変化が実際に起きているのでしょうか。
髪型を変えたり、たまたま光の当たり方が違ったりするだけで、一時的に目立って見えることもあります。しかし、その状態が続くようであれば、単なる気のせいとは片付けられません。
頭皮環境の悪化や、髪の毛自体の細毛化、あるいは毛量の減少が始まっているサインである可能性を考慮する必要があります。
20代・30代でも油断できない男性の頭皮環境
薄毛や抜け毛の悩みは、かつては40代以降の中高年のものというイメージがありました。しかし、現代では20代や30代の若い世代でも、分け目が目立つことに悩む男性が増加傾向にあります。
食生活の欧米化、日常的なストレスの増大、スマートフォンの長時間使用による睡眠の質の低下など、現代社会特有の要因が、若い世代の頭皮環境にも影響を与えていると考えられます。
年齢を問わず、早期からの頭皮ケアへの意識が重要になっています。
分け目が目立つ主な原因とは?
男性の分け目が目立つ背景には、複数の原因が考えられます。代表的なものとしては、AGA(男性型脱毛症)の進行、頭皮環境の悪化、生活習慣の乱れ、そして外部からのダメージなどが挙げられます。
これらの原因は単独で作用することもあれば、複数組み合わさって症状を悪化させることもあります。自分の分け目が目立つ原因がどれに当てはまるのかを考えることが、適切な対策への第一歩となります。
分け目が目立つ主な原因の概要
| 主な原因 | 特徴 | 起こりうること |
|---|---|---|
| AGA(男性型脱毛症) | 遺伝や男性ホルモンが関与し、主に前頭部や頭頂部から進行する。 | 分け目周辺の髪が細く短くなり、地肌が透けやすくなる。 |
| 頭皮環境の悪化 | 皮脂の過剰分泌、乾燥、血行不良など。 | 毛穴の詰まり、フケ、かゆみ、髪の成長阻害。 |
| 生活習慣の乱れ | 食生活の偏り、睡眠不足、ストレス。 | 髪に必要な栄養が不足し、頭皮の血流が悪化する。 |
原因1 AGA(男性型脱毛症)の可能性
男性の分け目が目立つ場合、最も考えられる原因の一つがAGA(男性型脱毛症)です。AGAは成人男性に多く見られる脱毛症で、遺伝的な要因や男性ホルモンの影響によって引き起こされます。
特に頭頂部(つむじ周辺)や前頭部(生え際)から薄毛が進行することが特徴です。
分け目が位置することが多い頭頂部から症状が始まる場合、分け目部分の髪の毛が細く、弱々しくなり、結果として地肌が透けて目立つようになります。
原因2 頭皮環境の悪化(皮脂、乾燥、血行不良)
健康な髪は、健康な頭皮から育ちます。頭皮環境が悪化すると、分け目が目立つ原因となります。例えば、皮脂が過剰に分泌されると毛穴が詰まり、炎症を起こしやすくなります。
逆に、頭皮が乾燥しすぎるとフケが発生し、かゆみから頭皮を掻きむしることで、頭皮や毛根にダメージを与えてしまいます。
また、頭皮の血行不良は、髪の成長に必要な栄養素や酸素が毛根に届きにくくなるため、髪が細くなったり、抜けやすくなったりする原因となります。
原因3 生活習慣の乱れ(食生活、睡眠、ストレス)
日々の生活習慣も、頭皮や髪の状態に大きく影響します。特に食生活の乱れは深刻です。
脂っこい食事やインスタント食品に偏ると、皮脂の分泌が過剰になったり、髪の主成分であるタンパク質や、成長を助けるビタミン、ミネラルが不足したりします。
また、睡眠不足は髪の成長を促す成長ホルモンの分泌を妨げます。さらに、精神的なストレスは血管を収縮させ、頭皮の血行不良を引き起こすため、分け目が目立つ間接的な原因となり得ます。
原因4 紫外線や間違ったヘアケアによるダメージ
日常生活で受ける外部からのダメージも無視できません。特に分け目部分は、頭皮が露出しやすいため、紫外線の影響を直接受けやすい場所です。
紫外線は頭皮を乾燥させ、炎症を引き起こすだけでなく、毛母細胞にダメージを与え、髪の成長を妨げることがあります。
また、洗浄力の強すぎるシャンプーの使用、爪を立ててゴシゴシと洗う間違ったシャンプー方法、ドライヤーの熱を当てすぎることなども、頭皮や髪にダメージを与え、分け目が目立つ一因となります。
ハゲの前兆?分け目の状態セルフチェック
分け目が目立つと感じたら、まずは自分の頭皮や髪の状態を客観的にチェックしてみましょう。ハゲ(脱毛症)の前兆かどうかを判断するためには、いくつかのポイントがあります。
鏡やスマートフォンのカメラを使って、分け目部分を注意深く観察してください。
チェックポイント1 分け目部分の頭皮の色
健康な頭皮は青白い色をしています。しかし、分け目部分の頭皮が赤っぽくなっている場合は、炎症を起こしている可能性があります。皮脂の過剰分泌や乾燥、紫外線のダメージなどが原因かもしれません。
また、頭皮が茶色っぽくくすんでいる場合は、血行不良や新陳代謝の低下が考えられます。頭皮の色は、その時の健康状態を映す鏡です。
頭皮の色でわかる健康状態
| 頭皮の色 | 考えられる状態 | 対策の方向性 |
|---|---|---|
| 青白い | 健康な状態 | 現状のケアを継続する |
| 赤い | 炎症、皮脂過剰、日焼けなど | シャンプーの見直し、紫外線対策 |
| 茶色・黄色い | 血行不良、代謝の低下、皮脂の酸化 | 生活習慣の改善、頭皮マッサージ |
チェックポイント2 分け目周辺の髪の毛の太さ
分け目が目立つ大きな理由の一つに、髪の毛の「細毛化(軟毛化)」があります。AGAが進行すると、髪の毛が十分に成長する前に抜け落ちる「ヘアサイクルの乱れ」が生じます。
その結果、分け目周辺の髪の毛が、側頭部や後頭部の髪の毛と比べて明らかに細く、短く、弱々しくなります。指で分け目周辺の髪と他の部分の髪を触り比べ、太さやコシに違いがないか確認してみましょう。
チェックポイント3 以前と比べた分け目の広がり
定期的に自分の分け目を写真に撮っておくと、変化に気づきやすくなります。例えば、3ヶ月前や半年前の写真と現在の分け目を比較してみてください。
「以前よりも明らかに分け目の線が太くなった」「分け目から地肌が見える範囲が広がった」と感じる場合は、毛量が減少しているか、髪が細くなっている可能性が高いです。
特に頭頂部の分け目は自分では見えにくいため、家族に確認してもらうか、合わせ鏡を使うと良いでしょう。
チェックポイント4 抜け毛の質と量の変化
シャンプーやブラッシングの際に抜ける髪の毛の状態も重要なチェックポイントです。
1日に抜ける髪の毛は50本から100本程度であれば正常の範囲内ですが、明らかに抜け毛の量が増えたと感じる場合は注意が必要です。
また、抜けた毛の中に、細くて短い毛や、毛根がふくらんでいない弱々しい毛が多く混じっている場合、ヘアサイクルが乱れているサインかもしれません。
これはAGAの初期症状である可能性も示唆しています。
分け目が目立つ原因別の詳細解説
分け目が目立つ原因について、さらに深く掘り下げて解説します。特にAGA、頭皮環境、生活習慣は密接に関連しており、それぞれの問題を理解することが対策の鍵となります。
AGA(男性型脱毛症)とは何か
AGAは「Androgenetic Alopecia」の略で、日本語では「男性型脱毛症」と呼ばれます。成人男性の薄毛の最も一般的な原因であり、進行性の脱毛症です。
一度発症すると、何も対策をしなければ薄毛は徐々に進行していきます。分け目が目立つと感じた場合、このAGAが原因である可能性をまず考える必要があります。
ジヒドロテストステロン(DHT)の影響
AGAの主な原因物質とされるのが、ジヒドロテストステロン(DHT)という強力な男性ホルモンです。
男性ホルモンの一種であるテストステロンが、頭皮に存在する「5αリダクターゼ」という酵素によってDHTに変換されます。
このDHTが、毛根にある受容体と結合すると、髪の成長期を短縮させ、髪が太く長く成長する前に抜け落ちるように指令を出します。
これによりヘアサイクルが乱れ、髪が細く短くなり、結果として分け目などが目立つようになります。
遺伝的要因との関連
AGAの発症には遺伝的な要因が強く関わっています。具体的には、「5αリダクターゼ」の活性度の高さや、男性ホルモン受容体の感受性の強さが、遺伝によって受け継がれやすいとされています。
親族に薄毛の人がいる場合、自分もAGAを発症しやすい体質である可能性があり、分け目の変化にはより一層の注意が必要です。
ただし、遺伝的要因があっても必ず発症するわけではなく、発症しない人もいます。
頭皮環境の悪化が引き起こすトラブル
AGAではなく、頭皮環境の悪化が直接的な原因で分け目が目立つことも多々あります。頭皮は髪が育つ土壌であり、この土壌の状態が悪ければ、健康な髪は育ちません。
過剰な皮脂と毛穴の詰まり
頭皮の皮脂腺から分泌される皮脂は、本来、頭皮を乾燥や外部の刺激から守るバリア機能の役割を果たしています。
しかし、脂っこい食事の多い人や、ホルモンバランスの乱れなどで皮脂が過剰に分泌されると、古い角質やホコリと混ざり合って毛穴を塞いでしまうことがあります。
毛穴が詰まると、髪の正常な成長が妨げられるだけでなく、雑菌が繁殖しやすくなり、「脂漏性皮膚炎」などの頭皮トラブルを引き起こし、抜け毛の原因となることがあります。
乾燥によるフケとかゆみ
皮脂が過剰な場合の逆で、頭皮が乾燥しすぎるのも問題です。洗浄力の強すぎるシャンプーの使いすぎや、空気の乾燥、加齢などによって頭皮の水分と油分のバランスが崩れると、頭皮は乾燥します。
乾燥した頭皮はバリア機能が低下し、外部からのわずかな刺激にも敏感になります。
その結果、かゆみが生じ、無意識に頭皮を掻きむしることで毛根にダメージを与えたり、乾燥性のフケ(カサカサした細かいフケ)が発生し、毛穴を塞いだりすることがあります。
血行不良による栄養不足
髪の毛は、毛根にある毛母細胞が細胞分裂を繰り返すことで成長します。この毛母細胞が活動するためには、血液によって運ばれる栄養素と酸素が不可欠です。
しかし、ストレス、運動不足、喫煙、長時間のデスクワークによる肩こりや首こりなどが原因で頭皮の血行が悪くなると、毛母細胞まで十分な栄養が届かなくなります。
栄養不足に陥った毛母細胞は活動が鈍くなり、生えてくる髪が細くなったり、成長が途中で止まって抜け落ちたりするため、分け目が目立つようになります。
生活習慣が髪に与える影響
髪の健康は、日々の生活習慣と密接に結びついています。不規則な生活や偏った食事が続けば、それは必ず頭皮や髪の状態に表れます。
栄養バランスの偏りと髪の成長
髪の毛の約90%は「ケラチン」というタンパク質でできています。そのため、日々の食事で良質なタンパク質を摂取することは非常に重要です。しかし、タンパク質だけを摂取すれば良いわけではありません。
摂取したタンパク質を体内でケラチンに再合成するためには、亜鉛などのミネラルや、ビタミンB群などのビタミンが必要です。これらの栄養素がバランス良く揃って初めて、健康な髪が作られます。
髪の成長に必要な栄養素
| 栄養素 | 主な働き | 多く含む食品 |
|---|---|---|
| タンパク質 | 髪の主成分(ケラチン)の材料となる | 肉、魚、卵、大豆製品 |
| 亜鉛 | タンパク質の再合成を助け、細胞分裂を促す | 牡蠣、レバー、牛肉(赤身)、ナッツ類 |
| ビタミンB群 | 頭皮の新陳代謝を促し、皮脂の分泌を調整する | 豚肉、レバー、うなぎ、青魚、納豆 |
睡眠不足と成長ホルモンの関係
髪の毛の成長や、日中に受けた頭皮のダメージの修復は、主に睡眠中に行われます。
特に、入眠後(特にノンレム睡眠時)に多く分泌される「成長ホルモン」は、毛母細胞の細胞分裂を活発にし、髪の成長を促す重要な役割を担っています。
睡眠時間が不足したり、睡眠の質が低下したりすると、成長ホルモンの分泌が減少し、髪の成長や頭皮の修復が十分に行われず、細毛や抜け毛につながります。
ストレスと血管収縮
現代社会においてストレスを完全になくすことは困難ですが、過度なストレスは髪にとって大敵です。強いストレスを感じると、自律神経のうち交感神経が優位になります。
交感神経が活発になると、血管が収縮し、血流が悪化します。特に頭皮のような末端の毛細血管は影響を受けやすく、血行不良に陥ります。
前述の通り、血行不良は毛根への栄養供給を妨げるため、髪の成長に悪影響を与えます。また、ストレスはホルモンバランスの乱れや、睡眠の質の低下にもつながり、複合的に分け目が目立つ原因となります。
今すぐ始められる!分け目対策5選
分け目が目立つ原因がわかったら、次に行動に移すことが大切です。専門的な治療が必要な場合もありますが、まずは日常生活の中で自分でできる対策から始めましょう。
ここでは、今日からでも取り組める5つの対策を紹介します。
対策1 正しいシャンプー方法の見直し
毎日のシャンプーは、頭皮環境を左右する非常に重要な習慣です。間違った方法を続けていると、良かれと思ってやっていることが逆効果になっているかもしれません。
頭皮を清潔に保ちつつ、必要なうるおいは残す洗い方に見直しましょう。
シャンプー選びのポイント
市販のシャンプーには様々な種類がありますが、洗浄力が強すぎるもの(高級アルコール系など)は、頭皮に必要な皮脂まで洗い流してしまい、乾燥や皮脂の過剰分泌を招くことがあります。
分け目が気になる方や頭皮がデリケートな方は、アミノ酸系やベタイン系といった、マイルドな洗浄成分を使用したシャンプーを選ぶことをお勧めします。
また、フケやかゆみが気になる場合は、抗炎症成分や殺菌成分が配合された薬用シャンプー(スカルプシャンプー)も選択肢の一つです。
頭皮を傷つけない洗い方
髪を洗うというよりも、「頭皮を洗う」という意識が大切です。シャンプー前にはブラッシングでホコリを落とし、ぬるま湯でしっかりと予洗い(湯シャン)をします。
これにより、汚れの多くは落ち、シャンプーの泡立ちも良くなります。シャンプーは手のひらでよく泡立ててから頭皮に乗せ、指の腹を使って頭皮全体を優しくマッサージするように洗います。
爪を立ててゴシゴシ洗うのは、頭皮を傷つける原因となるため絶対にやめましょう。すすぎ残しは毛穴の詰まりや炎症の原因になるため、シャンプー剤が残らないよう、時間をかけて丁寧にすすぎます。
正しいシャンプーの手順(例)
| 手順 | ポイント | 注意点 |
|---|---|---|
| 1. ブラッシング | 乾いた髪の状態で、毛先の絡まりをほどき、頭皮の汚れを浮かす。 | 強くこすらないこと。 |
| 2. 予洗い | 38〜40℃程度のぬるま湯で、1〜2分かけて頭皮と髪全体を濡らす。 | 熱すぎるお湯は頭皮の乾燥を招く。 |
| 3. シャンプー | シャンプーを手のひらで泡立て、指の腹で頭皮をマッサージするように洗う。 | 爪を立てない。髪同士をこすり合わせない。 |
| 4. すすぎ | シャンプーの倍以上の時間をかけ、生え際や耳の後ろもしっかりすすぐ。 | すすぎ残しは厳禁。 |
対策2 食生活の改善で内側からケア
髪は、私たちが食べたものから作られます。外側からのケアと同時に、内側から髪の成長に必要な栄養を補給することが重要です。バランスの取れた食事を心がけ、髪の土台を強くしましょう。
髪に必要な栄養素
前述の通り、髪の主成分であるタンパク質、それをサポートする亜鉛、ビタミンB群は特に重要です。
これらに加え、頭皮の血行を促進するビタミンE(ナッツ類、植物油など)や、頭皮の健康を保つビタミンA(緑黄色野菜など)、コラーゲンの生成を助けるビタミンC(果物、野菜など)もバランス良く摂取することが望まれます。
避けたほうが良い食習慣
一方で、過剰な摂取を避けたい食品もあります。脂っこい揚げ物やスナック菓子、糖分の多いジャンクフードやスイーツは、皮脂の過剰分泌を招き、頭皮環境を悪化させる可能性があります。
また、過度なアルコール摂取や喫煙も、血行不良やビタミンの消費を招くため、控えることが賢明です。
- 脂質の多い食事(揚げ物、ラーメンなど)
- 糖質の多い食事(菓子パン、ジュース、お菓子など)
- 刺激物(唐辛子などの過度な摂取)
対策3 質の高い睡眠の確保
「睡眠は最高の育毛剤」とも言われるほど、睡眠と髪の健康は密接です。特に、髪の成長を促す成長ホルモンが多く分泌されると言われる、入眠後の深い睡眠(ノンレム睡眠)をしっかりとることが大切です。
単に長く寝るだけでなく、睡眠の「質」を高める工夫をしましょう。
就寝1〜2時間前に入浴して体を温めたり、寝る前のスマートフォンやパソコン操作を控えたりすることで、スムーズな入眠と深い睡眠を促すことができます。
対策4 ストレスとの上手な付き合い方
過度なストレスは頭皮の血行不良を招き、抜け毛や細毛の原因となります。ストレスをゼロにすることは難しいですが、自分なりのストレス解消法を見つけ、溜め込まないようにすることが重要です。
軽い運動(ウォーキングやジョギング)、趣味に没頭する時間、リラックスできる音楽を聴く、アロマを焚くなど、心身ともにリフレッシュできる方法を日常生活に取り入れましょう。
適度な運動は、ストレス解消だけでなく、全身の血行促進にもつながるため、頭皮環境改善にも効果が期待できます。
対策5 頭皮マッサージで血行促進
分け目が目立つ原因の一つである頭皮の血行不良を改善するために、頭皮マッサージは手軽で効果的な方法です。頭皮が硬くなっていると感じる人は、血流が滞っている可能性があります。
シャンプーのついでや、お風呂上がりのリラックスした時間などに、指の腹を使って頭皮全体を優しく動かすようにマッサージしましょう。頭頂部に向かって引き上げるように行うと効果的です。
ただし、爪を立てたり、強くこすりすぎたりすると頭皮を傷めるので、力加減には注意が必要です。
分け目を目立たせないためのヘアスタイリング術
原因への対策と並行して、今すぐにでもできる「分け目を目立たせない」ための工夫も取り入れましょう。髪型やスタイリング方法を少し変えるだけで、見た目の印象は大きく変わります。
これは根本的な解決にはなりませんが、対策の効果が出るまでの間の精神的な安心感にもつながります。
髪型でカバーする方法
分け目が目立つ場合、髪が長いほど髪の重みで分け目がくっきりとつきやすく、地肌が目立ちやすくなる傾向があります。思い切って短めのスタイルに挑戦するのも一つの方法です。
短くすることで髪が立ち上がりやすくなり、全体のボリューム感を出しやすくなります。
また、トップ(頭頂部)にレイヤー(段)を入れたり、パーマを軽くかけて毛流れを作ったりすることで、分け目をぼかし、地肌の露出を抑えることができます。
信頼できる美容師に相談し、自分の髪質や頭の形に合った、分け目が目立ちにくい髪型を提案してもらうと良いでしょう。
分け目を固定しない工夫
毎日同じ位置で髪を分けていると、その部分の頭皮に負担が集中し、紫外線のダメージも受けやすくなります。
また、その分け目で髪がパックリと割れる「クセ」がついてしまい、余計に目立ちやすくなります。意識的に分け目を変えることが大切です。
例えば、いつもと逆側で分けてみたり、ジグザグに分けてみたり、あるいはあえて明確な分け目を作らずに髪を乾かしたりするだけでも、印象は変わります。
髪を乾かす際に、分け目と逆方向からドライヤーの風を当て、根元を立ち上げるように乾かすのがコツです。
スタイリング剤の選び方と使い方
スタイリング剤をうまく使うことで、分け目をカバーし、ボリューム感を演出できます。ただし、選び方と使い方には注意が必要です。
ワックスやジェルなどの油分が多いスタイリング剤は、つけすぎると髪が束になり、かえって地肌が透けて目立ってしまうことがあります。
また、毛穴を塞ぐ原因にもなりかねません。分け目を目立たせたくない場合は、髪をふんわりと立ち上げるマット系ワックスを少量、またはボリュームアップ用のヘアスプレーなどを選ぶのがお勧めです。
- 頭皮に優しい成分のもの
- 洗浄(シャンプー)で落としやすいもの
- 油分が多すぎず、軽い質感のもの
それでも改善しない場合は?専門家への相談
セルフケアを続けても分け目が目立つ状態が改善しない、あるいは抜け毛が増え続けて不安だという場合は、自己判断で悩まずに専門家へ相談することを検討しましょう。
早期の対策が、将来の髪の状態を大きく左右します。
対策のステップと選択肢
| 段階 | 主な対策 | 特徴 |
|---|---|---|
| 初期段階(セルフケア) | 生活習慣改善、ヘアケア見直し、頭皮マッサージ | 自分で今日から始められる。予防と現状維持が主。 |
| 中級段階(市販品活用) | 育毛剤の使用、スカルプシャンプーの活用 | 頭皮環境を整え、抜け毛予防や育毛を促す。 |
| 専門的段階 | 発毛剤の使用(※要確認)、専門クリニックへの相談 | AGAなど、具体的な原因に対する積極的なアプローチ。 |
育毛剤や発毛剤の活用
セルフケアの一環として、育毛剤の使用も有効な選択肢です。育毛剤は、主に頭皮環境を整え、血行を促進し、今ある髪を健康に育てること(育毛)や、抜け毛を予防することを目的としています。
分け目が気になり始めた「初期段階」の対策として適しています。
一方で、分け目の目立ちがAGAの進行によるもので、明らかに髪が細く、少なくなっている場合は、「発毛剤」の使用を検討する必要があります。
発毛剤には、毛母細胞に働きかけて新たな髪を生やし、髪を太く成長させる成分(ミノキシジルなど)が含まれています。育毛剤と発毛剤は目的が異なるため、自分の状態に合ったものを選ぶことが重要です。
育毛剤と発毛剤の主な違い
| 項目 | 育毛剤(医薬部外品) | 発毛剤(第1類医薬品など) |
|---|---|---|
| 主な目的 | 育毛、抜け毛予防、頭皮環境改善 | 発毛、脱毛(AGA)の進行抑制 |
| 主な対象者 | 分け目が気になり始めた人、頭皮環境を整えたい人 | 薄毛や抜け毛が進行している人(主にAGA) |
| 分類 | 医薬部外品 | 医薬品 |
専門クリニックでのカウンセリング
「分け目が目立つ原因がAGAなのか、他の要因なのか自分では判断できない」「セルフケアや市販の育毛剤を試しても効果が感じられない」といった場合は、皮膚科やAGA専門のクリニックで専門医の診断を受けることを強く推奨します。
専門医は、頭皮の状態や毛根の状態をマイクロスコープなどで詳しく調べ、血液検査なども含めて、分け目が目立つ根本的な原因を特定してくれます。
その上で、個々の症状や体質に合わせた適切なアドバイスや、必要であれば内服薬や外用薬による治療法を提案してくれます。
早めの対策が鍵
分け目が目立つというサインに気づいた時、最も重要なのは「まだ大丈夫だろう」と放置しないことです。
特にAGAの場合、進行性であるため、対策が遅れれば遅れるほど、元の状態に戻すのが難しくなります。
違和感を覚えた早い段階で生活習慣を見直し、適切なヘアケアを始め、必要であれば専門家の助けを借りること。この「早期発見・早期対策」こそが、将来の髪を守るために最も大切な心構えです。
分け目に関するよくある質問
最後に、男性の分け目が目立つことに関して、多くの方が抱く疑問についてお答えします。
- 分け目を毎日変えると効果はありますか?
-
はい、一定の効果が期待できます。毎日同じ位置で分けていると、その部分の頭皮が常に露出し、紫外線のダメージを受けやすくなったり、髪の重みで毛根に負担がかかったりします。
分け目を定期的に変えることで、これらの負担を分散させることができます。また、髪の「分けグセ」が固定化するのを防ぎ、スタイリングでボリュームを出しやすくなるという利点もあります。
薄毛の直接的な治療にはなりませんが、頭皮環境を健やかに保つための良い習慣と言えます。
- 頭皮マッサージはどれくらいの頻度で行うべきですか?
-
頭皮マッサージは、毎日続けることが大切です。一度に長時間行うよりも、1回あたり3分から5分程度でも、毎日継続することで頭皮の血行が徐々に改善されていきます。
シャンプーの時や、お風呂上がりで体が温まり血行が良くなっているタイミングで行うのが効果的です。ただし、やり過ぎや力の入れ過ぎは逆効果です。
頭皮を傷つけないよう、指の腹で優しく、心地よいと感じる強さで行ってください。
- 育毛剤はいつから使い始めるべきですか?
-
育毛剤の使用を開始するのに「早すぎる」ということはありません。
分け目が目立つ、髪にハリやコシがなくなってきた、抜け毛が少し増えたかも、と感じた「違和感の初期段階」で使い始めるのが最も効果的です。
育毛剤の主な目的は、頭皮環境を整えて「抜け毛を防ぎ、今ある髪を健康に育てる」ことです。
薄毛が進行してから慌てて対策するよりも、予防的な観点で早めに頭皮ケアの一環として取り入れることをお勧めします。
- 髪を短くすると分け目は目立ちにくくなりますか?
-
はい、多くの場合、目立ちにくくなります。髪が長いと、その重みで髪が寝てしまい、分け目がパックリと割れやすくなり、地肌が透けて見えやすくなります。
一方、髪を短くすると、髪の重みが軽減されるため根元が立ち上がりやすくなり、全体的にボリューム感が出ます。その結果、分け目がぼやけ、地肌が目立ちにくくなる効果が期待できます。
ただし、単に短くするだけでなく、トップに動きを出したり、毛量を調整したりするなど、分け目をカバーしやすい髪型にすることがポイントです。
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