【10代の薄毛】「ハゲるかも」と悩む君へ。考えられる原因とセルフチェック、やるべき対処法

【10代の薄毛】「ハゲるかも」と悩む君へ。考えられる原因とセルフチェック、やるべき対処法

「最近、抜け毛が多い気がする」「髪のボリュームが減ったかも」「もしかしてハゲるんじゃ…」。10代という多感な時期に、そんな不安を抱えている君へ。一人で悩んでいませんか。

10代で薄毛を気にするのは、決して珍しいことではありません。

この記事では、なぜ10代で薄毛の悩みが出てくるのか、その考えられる原因と、自分でできるセルフチェック方法、そして今すぐ始めるべき対処法を、分かりやすく解説します。

正しい知識を身につけ、不安を解消する第一歩を踏み出しましょう。

目次

この記事の執筆者

AGAメディカルケアクリニック統括院長 前田 祐助
Dr.前田 祐助

AGAメディカルケアクリニック 統括院長

前田 祐助

【経歴】

慶應義塾大学医学部医学研究科卒業

慶應義塾大学病院 初期臨床研修課程終了

大手AGAクリニック(院長)を経て、2018年に薄毛・AGA治療の「AGAメディカルケアクリニック」新宿院を開設

2020年に横浜院、2023年に東京八重洲院を開設

院長プロフィール

資格・所属学会・症例数

【資格】

  • 医師免許
  • ⽇本医師会認定産業医
  • 医学博士

【所属学会】

  • 日本内科学会
  • 日本美容皮膚科学会
  • 日本臨床毛髪学会

【症例数】

3万人以上※

※2018年5月~2022年12月AGAメディカルケアクリニック全店舗の延べ患者数

10代で「ハゲるかも」と感じる瞬間

毎日鏡を見るたび、あるいはふとした瞬間に、髪の変化に気づくと、心臓がドキッとするかもしれません。特に10代は、周りの目も気になりやすい時期。

どんな時に「ハゲるかも」という不安がよぎるのか、多くの人が経験する瞬間を見ていきましょう。

朝起きたら枕に抜け毛がたくさん

目が覚めて枕元を見た時、以前は気にならなかったはずの抜け毛が目につく。一本一本数えてはいなくても、黒い枕カバーに落ちた髪の毛が明らかに増えていると感じると、強い不安を覚えるものです。

睡眠中に髪が抜けるのは自然なことですが、その量が増えると「何か異常が起きているのではないか」と心配になるのは当然です。

お風呂の排水溝に髪の毛が詰まる

シャンプーをした後、排水溝に溜まる髪の毛の塊。それを見て「こんなに抜けて大丈夫か?」と焦る経験は、薄毛を意識し始めた多くの人が通る道です。

髪を洗う行為は、すでに抜け落ちる準備ができていた髪が洗い流されるため、抜け毛が目立ちやすいタイミング。

とはいえ、その量が日増しに増えていくように感じると、恐怖すら覚えるかもしれません。

髪をセットしてもボリュームが出ない

以前はワックスで簡単に立ち上がっていた髪が、ペタッとしてしまう。つむじ周りがうまく隠せない。前髪が割れやすくなった。髪型が思うように決まらないと、朝の気分も台無しです。

髪一本一本が細くなったり、全体の量が減ったりすることで起こるこの変化は、薄毛のサインではないかと疑う大きなきっかけになります。

友人や家族からの視線が気になる

自分自身が気にし始めると、他人の視線も過剰に意識してしまいます。「今、頭を見られたかも」「何か言われるんじゃないか」。

実際には誰も何も思っていないかもしれなくても、授業中や会話中に、つむじや生え際に視線を感じる気がして、自信を持てなくなることもあります。

こうした心のストレスも、10代にとっては大きな悩みです。

10代の薄毛 考えられる主な原因

なぜ、まだ若い10代で薄毛の悩みが生まれるのでしょうか。大人の男性の悩みというイメージが強い薄毛ですが、10代には10代特有の、そして若くても起こりうる原因が存在します。

主な原因を知ることで、対策のヒントが見つかります。

AGA(男性型脱毛症)の可能性

AGA(Androgenetic Alopecia)は、男性型脱毛症とも呼ばれ、成人男性の薄毛の主な原因です。

これは、男性ホルモンや遺伝的要因が関わって発症します。思春期以降に発症するため、10代後半から始まるケースもゼロではありません。

生え際が後退したり、頭頂部が薄くなったりするのが特徴です。もし家族、特に父方や母方の祖父・父に薄毛の人がいる場合、その体質を受け継いでいる可能性は考慮する必要があります。

ただし、10代での発症は全体から見れば少数であり、他の原因と切り分けて考えることも重要です。

生活習慣の乱れによる影響

10代の薄毛で非常に大きな割合を占めると考えられるのが、この生活習慣の乱れです。勉強や部活、友人関係、アルバイト、そしてスマートフォンやゲーム。10代の生活は忙しく、不規則になりがちです。

特に「睡眠不足」「食生活の偏り」「運動不足」は、髪の成長に深刻な影響を与えます。

髪の毛は、私たちが眠っている間に分泌される成長ホルモンによって成長が促され、食事から摂取した栄養素(特にタンパク質やビタミン、ミネラル)を材料にして作られます。

夜更かしが続き、ジャンクフードやコンビニ食ばかりでは、髪を作るための材料も時間も足りなくなり、健康な髪が育ちにくくなります。

生活習慣の乱れが髪に与える影響

乱れた生活習慣髪への主な影響具体例
睡眠不足成長ホルモンの分泌減少髪の成長が妨げられる、頭皮の修復が遅れる
食生活の偏り髪に必要な栄養素の不足髪が細くなる、頭皮環境の悪化
運動不足全身の血行不良頭皮に栄養が届きにくくなる

ストレスが引き起こす頭皮トラブル

受験勉強のプレッシャー、部活動でのレギュラー争い、友人や家族との人間関係など、10代は多くのストレスにさらされています。

本人が意識していなくても、心と体はストレスを感じていることがあります。 強いストレスを感じると、自律神経のバランスが崩れます。

自律神経は、血管を収縮させたり拡張させたりする働きをコントロールしているため、バランスが崩れると頭皮の血管が収縮し、血行不良を引き起こします。

血行が悪くなると、髪の成長に必要な栄養や酸素が毛根まで届きにくくなり、抜け毛や薄毛につながるのです。

過度なヘアケアや間違った頭皮ケア

おしゃれに敏感な10代は、ヘアワックスやスプレーを毎日使ったり、頻繁にヘアカラーやパーマを楽しんだりすることもあるでしょう。

しかし、これらのスタイリング剤や薬剤が頭皮に残ったままになると、毛穴を詰まらせ、炎症を引き起こす原因になります。

また、「皮脂が気になるから」と、1日に何度もシャンプーをしたり、洗浄力の強すぎるシャンプーでゴシゴシ洗ったりするのも逆効果です。

頭皮に必要な皮脂まで奪ってしまい、乾燥を招いたり、逆に皮脂の過剰分泌を引き起こしたりして、頭皮環境を悪化させることにつながります。

まずは自分で確認 抜け毛・頭皮のセルフチェック

「ハゲるかも」という不安は、多くの場合、客観的な事実が分からないことから生まれます。まずは自分の抜け毛や頭皮の状態を冷静にチェックしてみましょう。

正常な範囲内なのか、それとも注意が必要なサインが出ているのかを知ることが、対策の第一歩です。

正常な抜け毛と危険な抜け毛の違い

髪の毛には「ヘアサイクル(毛周期)」があり、成長し、抜け落ち、また新しく生えてくるというサイクルを繰り返しています。

そのため、髪の毛は毎日自然に抜けるものであり、健康な人でも1日に50本から100本程度は抜けていると言われます。お風呂や枕元の抜け毛がすべて異常というわけではありません。

問題なのは、その「本数」が急激に増えたり(例えば毎日150本以上コンスタントに抜けるなど)、抜ける毛の「質」が変わったりすることです。

抜け毛の毛根をチェックしよう

抜け毛をチェックする上で最も重要なのが「毛根」の状態です。お風呂の排水溝や枕に落ちていた抜け毛を数本拾い、明るい場所でじっくり観察してみてください。

健康な抜け毛は、毛根の先端が白っぽく、マッチ棒の先端のように丸く膨らんでいます。これは、髪が寿命(成長期)を全うして、自然に抜けた証拠です。

一方で、注意が必要なのは、毛根がなかったり、先端が尖っていたり、黒い点(色素)だけが付着していたりする抜け毛です。

これらは、まだ成長途中だった髪が、何らかの原因で無理やり引き抜かれたか、成長が妨げられて抜けてしまったサインかもしれません。

危険な抜け毛のサイン(毛根チェック)

チェック項目危険なサイン(例)考えられる状態
抜け毛の太さ細く、短い毛、産毛のような毛が多いヘアサイクルが乱れ、髪が十分に育っていない可能性
毛根の形膨らみが全くない、または非常に小さい毛根が弱っている、栄養不足の可能性
毛根の色・付着物毛根が黒い、または皮脂の塊が付いている成長途中で抜けた、または皮脂過多の可能性

頭皮の色や状態を確認する

次に、鏡を使って自分の頭皮の色をチェックしてみましょう。分け目を変えながら、頭頂部や生え際など、いくつかの箇所を確認します。スマートフォンのカメラで撮影してみるのも良い方法です。

健康な頭皮は、少し透明感のある「青白い色」をしています。もし頭皮が「黄色っぽい」または「茶色っぽい」場合は、血行不良や皮脂が酸化しているサインかもしれません。

「赤い色」をしている場合は、炎症や日焼け、シャンプーのすすぎ残しなどで頭皮が敏感になっている証拠です。赤みやかゆみ、フケがひどい場合は、皮膚炎を起こしている可能性もあります。

頭皮の健康状態チェック(色)

頭皮の色状態考えられる原因
青白い健康な状態良好な血行と水分バランス
黄色・茶色注意が必要血行不良、皮脂の酸化、新陳代謝の低下
赤色危険信号炎症、日焼け、刺激、シャンプーの残り

つむじや生え際の状態はどうか

AGA(男性型脱毛症)は、特定の場所から進行しやすい特徴があります。「生え際(特にM字部分)」と「頭頂部(つむじ周り)」です。

鏡を見て、生え際が以前より後退していないか、つむじ周りの地肌が透けて見えやすくなっていないかを確認します。数ヶ月前の自分の写真と見比べてみるのも一つの方法です。

もし、これらの部分の髪が細く、地肌の見える範囲が広がっているように感じたら、AGAの可能性も視野に入れて対策を考える必要があります。

10代が今すぐやるべき薄毛対処法【生活習慣編】

セルフチェックで「ちょっと危ないかも」と感じた君も、「今はまだ大丈夫そう」と思った君も、髪の健康は日々の生活習慣によって作られます。

10代の薄毛の原因が生活習慣の乱れにあることは非常に多いです。今すぐ始められる、そして最も重要な対策は、毎日の生活を見直すことです。

髪の成長を支える睡眠

「寝る子は育つ」と言いますが、これは髪の毛にも当てはまります。私たちが眠っている間、特に深い眠りに入っている時に「成長ホルモン」が分泌されます。

この成長ホルモンは、体の組織を修復したり、新しい細胞を作ったりする働きがあり、髪の毛の成長や頭皮の新陳代謝(ターンオーバー)にも深く関わっています。

勉強やゲームで夜更かしが続くと、成長ホルモンの分泌が不十分になり、髪の成長が妨げられます。理想は毎日6〜8時間、質の良い睡眠をとること。

寝る1時間前からはスマートフォンやパソコンの画面を見るのをやめ、部屋を暗くしてリラックスする時間を作ることが、質の良い睡眠への近道です。

バランスの取れた食事が頭皮を作る

髪の毛の主成分は「ケラチン」というタンパク質です。つまり、良質なタンパク質が不足すれば、健康な髪は作られません。

また、タンパク質を髪に変えるためには、ビタミンやミネラル(特に亜鉛)の助けが必要です。 10代の食生活は、どうしても炭水化物や脂質に偏りがち。

カップラーメンや菓子パン、ファストフードだけで食事を済ませていませんか?髪のためには、肉、魚、卵、大豆製品などのタンパク質を毎食しっかり摂ることが重要です。

さらに、野菜や海藻類からビタミン、ミネラルもバランスよく摂取しましょう。

髪の成長に必要な主な栄養素

栄養素髪への働き多く含む食品例
タンパク質髪の主成分(ケラチン)の材料になる肉、魚、卵、大豆製品(豆腐、納豆)
ビタミンB群頭皮の新陳代謝を助け、皮脂のバランスを整える豚肉、レバー、マグロ、カツオ、バナナ
亜鉛タンパク質を髪の毛に変える(合成する)のを助ける牡蠣、牛肉(赤身)、レバー、チーズ

適度な運動で血行を良くする

頭皮も体の一部であり、血液によって栄養や酸素が運ばれています。運動不足で全身の血行が悪くなると、当然、頭皮への血流も滞ってしまいます。

どれだけバランスの良い食事を摂っても、それを頭皮まで運ぶ「血流」が悪ければ、毛根は栄養不足になってしまいます。 激しい運動である必要はありません。

通学で一駅分歩く、階段を使う、部活動で汗を流す、お風呂上がりにストレッチをするなど、日常生活の中で体を動かすことを意識するだけで血行は改善します。

適度な運動は、ストレス発散にもつながり、一石二鳥です。

スマートフォンとの上手な付き合い方

現代の10代にとって、スマートフォンは欠かせないアイテムです。しかし、長時間の使用は髪にとってもマイナスに働く可能性があります。

第一に、夜遅くまで画面を見続けることによる「睡眠不足」。ブルーライトが睡眠を妨げることはよく知られています。第二に、「眼精疲労」による血行不良。

目を酷使すると、首や肩の筋肉が緊張し、頭部への血流が悪化します。第三に、「うつむき姿勢」による首への負担。これも首周りの血行を悪くします。

スマートフォンを使う時間を決めたり、定期的に目を休ませたり、ストレッチをしたりする工夫が必要です。

10代が今すぐやるべき薄毛対処法【ヘアケア編】

生活習慣の改善と並行して、毎日行うヘアケアの見直しも非常に重要です。10代は皮脂の分泌が活発な時期。しかし、間違ったケアは頭皮環境を悪化させ、薄毛を進行させる原因にもなりかねません。

正しい知識で、頭皮を健康に保ちましょう。

正しいシャンプーの選び方と洗い方

ベタつくからといって、洗浄力の強い「高級アルコール系(ラウリル硫酸〜など)」のシャンプーでゴシゴシ洗うのは禁物です。

必要な皮脂まで奪い去り、頭皮が乾燥し、それを補おうと余計に皮脂が分泌されるという悪循環に陥ることがあります。

おすすめは、頭皮への刺激がマイルドな「アミノ酸系」や「ベタイン系」のシャンプーです。洗浄力は穏やかですが、正しく洗えば汚れは十分落ちます。

洗い方は、まず髪を濡らす前にブラッシングでホコリを落とし、ぬるま湯(38度程度)で1〜2分かけてしっかり予洗いします。

シャンプーは手のひらで泡立ててから髪につけ、爪を立てず、指の腹を使って頭皮をマッサージするように優しく洗いましょう。

正しいシャンプーの手順(基本)

  • ブラッシングで髪のもつれを解き、汚れを浮かす
  • ぬるま湯(38度前後)で頭皮と髪をしっかり予洗いする
  • シャンプーは手のひらでよく泡立ててから髪につける
  • 指の腹を使い、頭皮全体をマッサージするように優しく洗う
  • 時間をかけて(2〜3分目安)、すすぎ残しがないよう徹底的に洗い流す

(※上記は手順の概要です。詳細は本文の解説を参考にしてください。)

すすぎ残しは頭皮の大敵

シャンプーで「洗う」こと以上に重要なのが「すすぐ」ことです。

シャンプー剤やコンディショナーが頭皮に残っていると、それが毛穴に詰まったり、頭皮を刺激したりして、かゆみやフケ、炎症の原因となります。

特に、生え際、耳の後ろ、首の付け根(襟足)はすすぎ残しが多い場所です。

洗う時の倍の時間をかけるくらいの意識で、シャワーヘッドを地肌に近づけながら、指の腹で頭皮を軽くこするようにして、ぬめり感が完全になくなるまで、徹底的にすすぎましょう。

頭皮マッサージのやり方

硬くなった頭皮は血行不良のサイン。シャンプー中や、お風呂上がりのリラックスした時間に、頭皮マッサージを取り入れるのも良い方法です。頭皮の血行を促進し、毛根に栄養を届きやすくする助けになります。

やり方は簡単です。両手の指の腹(爪を立てないように)で、頭皮全体を掴むように押さえます。「こする」のではなく、頭蓋骨から頭皮を「動かす」イメージで、ゆっくりと円を描くようにマッサージします。

生え際から頭頂部へ、側頭部から頭頂部へ、と徐々に場所をずらしていくと効果的です。気持ちいいと感じる程度の力加減で行いましょう。

ドライヤーで正しく乾かす

「面倒だから」「短いから」と、髪を自然乾燥させていませんか?髪が濡れたままの(湿った)状態が続くと、頭皮で雑菌が繁殖しやすくなり、フケやかゆみ、臭いの原因になります。

また、髪のキューティクルが開いたままになり、髪が傷む原因にも。 シャンプー後は、まずタオルで優しく(ゴシゴシこすらず)水分を押さえるように拭き取ります(タオルドライ)。

その後、すぐにドライヤーで乾かしましょう。 ドライヤーは頭皮から20cmほど離し、同じ場所に熱が集中しないように小刻みに振りながら使います。

まずは根元(頭皮)から乾かし、全体が8〜9割乾いたら、最後に冷風を当てるとキューティクルが引き締まり、髪にツヤが出ます。

薄毛の悩みを抱え込まないために

髪の悩みは非常にデリケートです。特に10代では、周りの目が気になり、誰にも言えずに一人で抱え込んでしまいがちです。

しかし、そのストレスこそが、さらに薄毛を進行させる要因にもなりかねません。

悩みは信頼できる人に相談する

「ハゲるかも」という不安を一人で抱え続けるのは、精神的に非常につらいものです。もし可能であれば、ご両親や信頼できる大人(学校の先生、保健室の先生など)に、勇気を出して相談してみてください。

「こんなことで悩んでいる」と口に出すだけでも、心が少し軽くなることがあります。また、客観的な意見をもらえたり、一緒に解決策を考えてくれたりするかもしれません。

特に、病院やクリニックを受診する際には、ご両親の理解と協力が必要になる場合が多いです。

コンプレックスを隠す髪型のリスク

薄くなってきた部分を隠そうと、ワックスで無理やり髪を立ち上げたり、スプレーでガチガチに固めたり、あるいは一日中帽子をかぶって過ごしたり。その気持ちは痛いほど分かります。

しかし、スタイリング剤の使いすぎや洗い残しは、頭皮環境を悪化させます。また、帽子を長時間かぶり続けると、頭皮が蒸れて雑菌が繁殖しやすくなり、これも頭皮トラブルの原因になります。

コンプレックスを隠すための一時的な行為が、結果的に薄毛を助長してしまう可能性があることを知っておく必要があります。

専門のクリニック(皮膚科・AGAクリニック)という選択肢

セルフケアを試しても抜け毛が減らない、頭皮の状態が改善しない、あるいはAGA(男性型脱毛症)の可能性が強く疑われる場合、専門家の力を借りることも重要な選択肢です。

まずは一般の「皮膚科」で相談するのが良いでしょう。頭皮の炎症(脂漏性皮膚炎など)が原因であれば、適切な治療で改善が見込めます。

AGAが疑われる場合は、「AGA専門クリニック」で相談するという方法もあります。

ただし、10代(未成年)の場合、保護者の同意が必要であったり、そもそも治療(特に内服薬)の適応とならなかったりする場合も多いです。

まずは現状を正しく診断してもらう、という目的で受診を検討しましょう。

正しい情報を見極める

インターネット上には、「これをやれば絶対生える」といった怪しげな情報や商品が溢れています。

不安な時ほど、そうした過激な宣伝文句に飛びつきたくなるものですが、一歩立ち止まってください。 薄毛の原因は人それぞれであり、万人に効く特効薬はありません。

高額な商品を売りつけられたり、間違ったケアでかえって悪化させたりしないためにも、情報の出どころ(公的な医療機関、信頼できる専門家など)を確認し、正しい情報を見極める目を持つことが大切です。

育毛剤や発毛剤 10代は使ってもいいのか

薄毛の悩みが深くなると、育毛剤や発毛剤といったアイテムが気になってくるかもしれません。

このメディア(男性用育毛剤特集)としても関心の高いテーマですが、10代の使用については慎重に考える必要があります。

育毛剤と発毛剤の違いを理解する

まず、この二つの違いを正確に理解しておくことが重要です。名前は似ていますが、目的も分類も全く異なります。 「育毛剤」は、主に「医薬部外品」に分類されます。

その目的は、今ある髪を健康に育てること、そして抜け毛を予防することです。具体的には、頭皮の血行を促進したり、フケやかゆみを抑えたり、毛根に栄養を与えたりすることで、頭皮環境を整えます。

一方、「発毛剤」は、「医薬品」に分類されます。その目的は、文字通り「新しい髪の毛を生やす(発毛させる)」ことです。日本では「ミノキシジル」という成分が配合された製品が有名です。

育毛剤と発毛剤の主な違い

項目育毛剤発毛剤
分類医薬部外品(一部、化粧品)医薬品(第1類医薬品など)
主な目的頭皮環境の改善、抜け毛予防、育毛促進発毛促進(新しい毛を生やす)
期待できる効果フケ・かゆみを防ぐ、髪にハリ・コシを与える壮年性脱毛症(AGA)における発毛

10代が育毛剤を使うメリットとデメリット

10代の薄毛が、主に生活習慣の乱れや不適切なヘアケアによる「頭皮環境の悪化」に起因している場合、頭皮環境を整える「育毛剤」の使用は、選択肢の一つにはなり得ます。

メリットとしては、保湿成分や抗炎症成分、血行促進成分などが、乾燥やフケ、かゆみを抑え、健康な髪が育つ土台作りをサポートしてくれる点が挙げられます。

デメリットとしては、10代のデリケートな頭皮には刺激が強すぎる製品(アルコール濃度が高いものなど)もあるため、製品選びに注意が必要なことです。

また、育毛剤はあくまで「サポート」であり、生活習慣の改善など、根本原因へのアプローチを怠れば、十分な効果は期待できません。

発毛剤(医薬品)の使用は慎重に

「発毛剤」については、10代の使用は原則として推奨されません。

例えば、発毛成分ミノキシジルを配合した医薬品(リアップなど)の多くは、添付文書で「未成年者(20歳未満)は使用しないでください」と明記されています。

これは、未成年者に対する安全性や有効性が十分に確認されていないためです。

また、AGA治療で使われる内服薬(フィナステリドやデュタステリド)も、10代での使用は適応外であり、特に男性ホルモンに作用する薬は、体の成長に影響を与える可能性があるため禁忌とされています。

自己判断での使用は絶対に避け、もしAGAが強く疑われる場合は、必ず専門の医師に相談してください。

まずは頭皮環境を整えることから

結論として、10代の君がまず取り組むべきは、育毛剤や発毛剤に頼ることではなく、ここまで解説してきた「生活習慣の見直し」と「正しいヘアケア」です。

これらを徹底してもなお、頭皮の乾燥やフケが気になる場合に限り、10代でも使える(低刺激、アルコールフリーなど)と明記された「育毛剤(医薬部外品)」を、頭皮ケアの一環として補助的に使うことを検討する、というのが正しい順番です。

焦って高価なケア用品に手を出す必要はありません。

Q&A

ここでは、10代の薄毛に関してよく寄せられる質問や疑問についてお答えします。

10代の薄毛は治りますか?

10代の薄毛は、AGA(男性型脱毛症)が原因である場合を除き、その多くが生活習慣の乱れ(睡眠不足、栄養の偏り)、過度なストレス、不適切なヘアケアによる頭皮環境の悪化が原因です。

これらの原因は、日々の行動を見直すことで改善できる可能性が高いものです。原因を取り除き、頭皮環境を整えることで、髪の状態が良くなる、あるいは抜け毛が減る可能性は十分にあります。

AGAの場合でも、早期に正しい対策(専門医への相談など)を行うことが、将来の進行を食い止める上で非常に重要です。

ワックスやヘアスプレーはハゲる原因になりますか?

A. スタイリング剤(ワックスやスプレー)自体が、直接的にハゲる(脱毛症を引き起こす)原因になることは稀です。

おしゃれを楽しみたい10代にとって、これらを全く使わないというのも難しいでしょう。問題となるのは、その「使い方」と「落とし方」です。

スタイリング剤が頭皮の毛穴に詰まったり、洗い残したりすると、頭皮が炎症を起こしたり、フケやかゆみの原因となったりします。

これが頭皮環境を悪化させ、結果として抜け毛につながる可能性はあります。使用した日は、その日のうちに必ず正しいシャンプーで丁寧に洗い流すことを徹底してください。

親がハゲていたら自分もハゲますか?

AGA(男性型脱毛症)の発症には、遺伝的要因が強く関わっていることが科学的に分かっています。

ご家族(父方、母方ともに)に薄毛の方がいる場合、AGAを発症しやすい体質を受け継いでいる可能性は、そうでない人に比べて高いと言えます。

しかし、「遺伝=必ずハゲる」というわけではありません。発症する年齢や進行のスピードには個人差が大きいです。

たとえ遺伝的な要因を持っていたとしても、若い頃から頭皮に悪い生活習慣(喫煙、過度の飲酒、睡眠不足など)を避けることや、適切なヘアケアを心がけることで、発症を遅らせたり、進行を緩やかにしたりすることは期待できます。

髪を早く伸ばす方法はありますか?

髪の毛が伸びる速度は、健康な人でおおよそ1ヶ月に1cm〜1.5cm程度と決まっており、これを意図的に「早く」することは、残念ながらできません。

しかし、髪が「健康に」育つための環境を整えることはできます。髪の成長が途中で止まったり、細く弱々しい髪になったりするのを防ぐことが重要です。

そのために必要なのは、やはり「バランスの取れた食事(特にタンパク質、ビタミン、亜鉛)」「十分な睡眠(成長ホルモンの分泌)」「適度な運動(血行促進)」そして「ストレスの管理」です。

これらを整えることが、結果的に健康な髪を育てる一番の近道となります。

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