スカルプシャンプーの効果とは?「髪は生える?」薄毛・フケ・臭いへの効果を解説

スカルプシャンプーの効果とは?「髪は生える?」薄毛・フケ・臭いへの効果を解説

「スカルプシャンプーを使えば髪が生える?」そんな期待を持つ方もいるかもしれません。しかし、スカルプシャンプーの本当の効果を知っていますか?

この記事では、「スカルプシャンプーの効果」について、薄毛や抜け毛、フケ、かゆみ、頭皮の臭いといった具体的な悩みへのアプローチを徹底的に解説します。

髪が生えるのかという疑問にも真正面からお答えし、あなたに合ったシャンプーの選び方、効果を高める正しい使い方まで、専門的な知見を交えて分かりやすく紹介します。

頭皮環境を整え、健やかな髪を育む第一歩を踏み出しましょう。

目次

この記事の執筆者

AGAメディカルケアクリニック統括院長 前田 祐助
Dr.前田 祐助

AGAメディカルケアクリニック 統括院長

前田 祐助

【経歴】

慶應義塾大学医学部医学研究科卒業

慶應義塾大学病院 初期臨床研修課程終了

大手AGAクリニック(院長)を経て、2018年に薄毛・AGA治療の「AGAメディカルケアクリニック」新宿院を開設

2020年に横浜院、2023年に東京八重洲院を開設

院長プロフィール

資格・所属学会・症例数

【資格】

  • 医師免許
  • ⽇本医師会認定産業医
  • 医学博士

【所属学会】

  • 日本内科学会
  • 日本美容皮膚科学会
  • 日本臨床毛髪学会

【症例数】

3万人以上※

※2018年5月~2022年12月AGAメディカルケアクリニック全店舗の延べ患者数

スカルプシャンプーとは?通常のシャンプーとの違い

最近よく耳にする「スカルプシャンプー」。

なんとなく頭皮に良さそうなイメージはあっても、通常のシャンプーと具体的に何が違うのか、育毛剤とどう関係するのか、正確に理解している方は少ないかもしれません。

まずは、スカルプシャンプーの基本的な定義と、その役割について解説します。

スカルプシャンプーの基本的な定義

スカルプシャンプーとは、その名の通り「スカルプ(scalp=頭皮)」のケアを主な目的としたシャンプーです。

通常のシャンプーが主に髪の汚れを落とすことや、髪の手触り・仕上がりを重視するのに対し、スカルプシャンプーは頭皮の健康を保つことに重点を置いています。

頭皮を清潔にし、健やかな状態に整えることで、将来的な髪の健康維持につなげることを目指します。

通常のシャンプーとの目的の違い

最大の違いは「ケアの対象」です。通常のシャンプーは「髪」を、スカルプシャンプーは「頭皮」をメインターゲットとしています。

通常のシャンプーは、髪についたホコリや整髪料を落とし、シリコンなどのコーティング剤で髪の指通りを良くすることを目的とする製品が多いです。

一方、スカルプシャンプーは、頭皮の余分な皮脂や毛穴の詰まりを洗浄し、頭皮に必要なうるおいを与え、フケやかゆみ、臭いなどの頭皮トラブルを防ぐ成分を配合していることが特徴です。

スカルプシャンプーの主な役割は頭皮環境のケア

スカルプシャンプーの最も重要な役割は、「頭皮環境を整える」ことです。頭皮は髪が育つ土壌です。

土壌が荒れていては、良い作物が育たないのと同じで、頭皮環境が悪化すれば、健やかな髪は育ちにくくなります。

スカルプシャンプーは、この土壌を耕し、清潔でうるおいのある状態に保つためのアイテムと言えます。皮脂のバランスを整え、雑菌の繁殖を防ぎ、頭皮を柔らかく保つことが、その主な役割です。

育毛シャンプーや薬用シャンプーとの関係

スカルプシャンプーとしばしば混同されるものに「育毛シャンプー」や「薬用シャンプー」があります。これらは法律(医薬品医療機器等法)上の分類や目的が異なります。

それぞれの特徴を理解し、自分の目的に合ったものを選ぶことが重要です。

シャンプーの種類と目的の比較

種類分類主な目的
スカルプシャンプー化粧品頭皮環境を清浄にし、健やかに保つ(フケ・かゆみ・臭いの予防など)
通常のシャンプー化粧品髪の汚れを落とす、髪の仕上がり(指通り・ツヤ)を良くする
薬用シャンプー(育毛)医薬部外品有効成分により「育毛・薄毛・脱毛の予防」効果を訴求する
薬用シャンプー(フケ・かゆみ用)医薬部外品有効成分により「フケ・かゆみを防ぐ」効果を訴求する

「育毛シャンプー」という名称は、多くの場合「育毛」効果が認められた有効成分を配合した「薬用シャンプー(医薬部外品)」を指します。

ただし、スカルプシャンプー(化粧品)であっても、頭皮環境を整えることで結果的に育毛環境をサポートするという意味合いで「育毛」という言葉を使っている製品も存在するため、医薬部外品であるかどうかを確認することが一つの目安になります。

スカルプシャンプーに「髪を生やす」効果はある?

スカルプシャンプーを検討する多くの方が最も知りたいこと、それは「髪は生えるのか?」という疑問でしょう。育毛剤メディアとして、この点について明確にお答えします。

結論「髪を生やす」直接的な効果は期待できない

結論から言うと、スカルプシャンプーを含むいかなるシャンプーにも、それ自体に「髪を生やす(発毛させる)」効果はありません。

発毛とは、毛母細胞が分裂を停止して毛が抜けた毛穴から、再び新しい毛を生やすことです。この「発毛」効果が医学的に認められているのは、ミノキシジルなどの一部の医薬品成分のみです。

シャンプーは「化粧品」または「医薬部外品」であり、「医薬品」ではないため、発毛効果を謳うことはできません。

スカルプシャンプーの役割は「育毛環境を整える」こと

では、スカルプシャンプーは無意味なのでしょうか?決してそうではありません。前述の通り、スカルプシャンプーの最大の効果は「頭皮環境を整える」ことです。

これは「育毛環境を整える」こととイコールです。

頭皮が過剰な皮脂で汚れ、毛穴が詰まっていたり、乾燥してカサカサだったり、炎症を起こしていたりすれば、今ある髪の成長が妨げられたり、抜け毛が増えたりする原因になります。

スカルプシャンプーは、これらの問題を洗浄や保湿によってケアし、髪が健やかに育つための「土壌」を良好な状態に保つ役割を担います。

なぜ「髪が生える」と誤解されるのか

スカルプシャンプーを使うと「髪が生える」と誤解されがちな理由がいくつかあります。一つは、広告イメージです。薄毛に悩む人をターゲットにした製品が多いため、育毛剤や発毛剤と混同されやすいのです。

また、スカルプシャンプーを使用して頭皮環境が改善し、髪にハリやコシが出ると、髪全体がボリュームアップしたように感じることがあります。

これを「髪が増えた(生えた)」と実感するケースもあります。さらに、抜け毛が減ることで、結果的に髪が減るのを防ぎ、薄毛の進行を遅らせる手助けになることもあります。

発毛を望む場合の選択肢

もし、現在薄毛が進行しており、単なる予防や環境整備ではなく、「発毛」を強く望むのであれば、シャンプーだけのケアでは不十分です。

発毛を目指すためには、シャンプーでの頭皮ケアに加えて、別の選択肢を検討する必要があります。

発毛を目指すための主な選択肢

  • 育毛剤(医薬部外品)の使用
  • 発毛剤(第一類医薬品など)の使用
  • 専門のクリニック(皮膚科・AGAクリニック)への相談

育毛剤は「今ある髪を育てる・抜け毛を防ぐ」ことを目的とし、発毛剤は「新しい髪を生やす」ことを目的とします。自分の状態や目的に合わせて、適切なケアを選ぶことが重要です。

まずはスカルプシャンプーで頭皮環境を整えつつ、必要に応じてこれらの選択肢を検討するのが現実的なアプローチです。

スカルプシャンプーの具体的な効果 薄毛・抜け毛へのアプローチ

スカルプシャンプーに直接的な発毛効果はないものの、薄毛や抜け毛に悩む方にとって多くのメリットがあります。

頭皮環境を整えることで、薄毛や抜け毛の「予防」や「進行抑制」をサポートする効果が期待できます。

頭皮の汚れや皮脂を洗浄する効果

薄毛の原因の一つに、過剰な皮脂分泌による毛穴の詰まりがあります。皮脂が毛穴に詰まると、髪の正常な成長を妨げたり、頭皮に炎症を引き起こしたりすることがあります。

スカルプシャンプーは、通常のシャンプーよりも頭皮の洗浄力に優れている製品が多く、毛穴に詰まった古い皮脂や汚れをしっかりと除去します。

頭皮を清潔に保つことは、健やかな髪を育むための基本中の基本です。

頭皮の血行促進をサポートする成分

髪の成長には、毛根に十分な栄養素が送られることが必要です。その栄養素を運ぶのが血液です。頭皮の血行が悪くなると、毛根に栄養が行き渡らず、髪が細くなったり、抜けやすくなったりします。

スカルプシャンプーの中には、頭皮の血行促進をサポートする成分(例:センブリエキス、ビタミンE誘導体など)を配合しているものがあります。

もちろん、シャンプー時のマッサージによる物理的な効果も大きいため、成分だけに頼らず、マッサージを併用することが効果的です。

髪にハリ・コシを与える成分

髪が細く、コシがなくなると、全体的にボリュームがなくなり、薄毛が目立ちやすくなります。

スカルプシャンプーには、髪の内部を補修したり、キューティクルを整えたりすることで、髪にハリやコシを与える成分(例:加水分解ケラチン、コラーゲンなど)を配合しているものがあります。

これにより、髪一本一本がしっかりとし、スタイリングしやすく、見た目の印象を改善する効果が期待できます。

薄毛・抜け毛悩み向けの注目成分例

成分カテゴリー代表的な成分例期待される役割
血行促進サポートセンブリエキス、ビタミンE誘導体、ナイアシンアミド頭皮の血流を促し、毛根への栄養補給を助ける
抗炎症グリチルリチン酸2K、アラントイン頭皮の炎症を抑え、抜け毛の原因となるトラブルを防ぐ
髪のハリ・コシ加水分解ケラチン、加水分解コラーゲン、パンテノール髪を補修・保湿し、ボリューム感をアップさせる

抜け毛予防に繋がる頭皮環境の正常化

薄毛・抜け毛の悩みに対し、スカルプシャンプーが提供する最大の効果は、これらすべての要素を通じた「頭皮環境の正常化」です。

洗浄、保湿、血行促進サポート、抗炎症など、多角的に頭皮にアプローチし、髪が育ちやすい環境を維持すること。これが、スカルプシャンプーが抜け毛予防に貢献できる最大の理由です。

スカルプシャンプーの具体的な効果 フケ・かゆみへのアプローチ

フケやかゆみは、頭皮環境が悪化しているサインです。スカルプシャンプーは、これらの不快な症状を改善・予防するためにも効果を発揮します。

フケ・かゆみの主な原因

フケ・かゆみの原因は一つではありませんが、主に以下の二つに大別されます。

一つは、皮脂の過剰分泌です。皮脂が多すぎると、それをエサにするマラセチア菌などの常在菌が異常繁殖し、その代謝物が頭皮を刺激して炎症を起こし、フケ(脂性フケ)やかゆみが発生します。

もう一つは、頭皮の乾燥です。洗浄力の強すぎるシャンプーや加齢、季節的な要因で頭皮が乾燥すると、角質が剥がれやすくなり、フケ(乾性フケ)やかゆみが発生します。

スカルプシャンプーは、これらの原因に合わせてアプローチします。

過剰な皮脂や汚れを落とす洗浄力

脂性フケやそれに伴うかゆみに悩む場合、まずは頭皮の余分な皮脂と汚れをしっかり落とすことが重要です。

スカルプシャンプーは、頭皮の洗浄を重視して設計されているため、皮脂を適切に除去し、頭皮を清潔に保つ効果があります。

ただし、洗浄力が強すぎると乾燥を招くこともあるため、自分の皮脂量に合った洗浄力の製品を選ぶ必要があります。

頭皮の乾燥を防ぐ保湿成分

乾性フケや乾燥によるかゆみに悩む場合は、洗浄力よりも保湿力が重要です。頭皮も顔の肌と同じように、うるおいが必要です。

スカルプシャンプーには、セラミド、ヒアルロン酸、コラーゲン、植物エキスといった保湿成分を豊富に配合し、シャンプー後も頭皮の水分を保持し、乾燥を防ぐ設計の製品が多くあります。

洗浄力はマイルドで、保湿を重視したタイプを選ぶと良いでしょう。

フケ・かゆみ悩み向けの注目成分例

成分カテゴリー代表的な成分例期待される役割
抗炎症成分グリチルリチン酸2K、アラントイン頭皮の炎症や赤みを抑え、かゆみを鎮める
殺菌・抗菌成分ピロクトンオラミン、ミコナゾール硝酸塩フケの原因菌(マラセチア菌)の繁殖を抑える(主に薬用)
保湿成分セラミド、ヒアルロン酸、コラーゲン、アミノ酸頭皮のうるおいを保ち、乾燥によるフケ・かゆみを防ぐ

炎症を抑える有効成分(薬用の場合)

フケやかゆみが慢性化している場合や、症状が強い場合は、化粧品のスカルプシャンプーでは対応しきれないことがあります。

その場合は、抗炎症成分(グリチルリチン酸ジカリウムなど)や、フケの原因菌の増殖を抑える殺菌・抗菌成分(ピロクトンオラミン、ミコナゾール硝酸塩など)を配合した「薬用スカルプシャンプー(医薬部外品)」を選ぶことが効果的です。

これらの有効成分が、頭皮の炎症や菌のバランスに直接働きかけ、症状を改善に導きます。

スカルプシャンプーの具体的な効果 頭皮の臭いへのアプローチ

自分では気づきにくい頭皮の臭い。特に男性は皮脂分泌が多いため、悩んでいる方も多い問題です。スカルプシャンプーは、この頭皮の臭い対策にも効果を発揮します。

頭皮の臭いが発生する原因

頭皮の臭いの主な原因は、頭皮から分泌される「皮脂」と、汗や汚れが混ざり合い、それを「常在菌」が分解することによって発生するガス(ノネナールなど)です。

特に、分泌されてから時間が経った皮脂が酸化すると、独特の脂っぽい臭い(加齢臭やミドル脂臭)が強くなります。

皮脂分泌が多い人、汗をかきやすい人、シャンプーが不十分で汚れが残っている人は、臭いが発生しやすい状態と言えます。

皮脂の酸化を防ぐ洗浄効果

臭い対策の基本は、原因となる皮脂を溜めないことです。スカルプシャンプーは、頭皮の余分な皮脂や毛穴の汚れをしっかりと洗浄する効果が高いため、臭いの元を根本から取り除きます。

その日の皮脂汚れをその日のうちにリセットし、皮脂が酸化するのを防ぐことが、臭い予防の第一歩です。

雑菌の繁殖を抑える殺菌・抗菌成分(薬用の場合)

皮脂をエサにする雑菌の繁殖を抑えることも、臭い対策には重要です。一部の薬用スカルプシャンプーには、殺菌・抗菌成分(イソプロピルメチルフェノールなど)が配合されています。

これらの成分が雑菌の活動を抑制し、皮脂が分解されて不快な臭いが発生するのを防ぎます。

ただし、常在菌は頭皮を守る役割も担っているため、必要以上に殺菌しすぎないよう、自分の頭皮状態に合った製品を選ぶことが大切です。

頭皮の臭い悩み向けの注目成分例

成分カテゴリー代表的な成分例期待される役割
殺菌・抗菌成分イソプロピルメチルフェノール、ピロクトンオラミン臭いの原因となる雑菌の繁殖を抑える(主に薬用)
消臭・吸着成分柿タンニン、緑茶エキス、炭(チャコール)発生した臭いを中和・吸着したり、皮脂を吸着したりする
皮脂分泌調整(期待)ダイズ種子エキス、ビタミンC誘導体過剰な皮脂分泌のバランスを整えるサポート

香りでマスキングするだけではない根本ケア

市販のシャンプーには香りが強いものも多く、一時的に臭いを隠す(マスキングする)ことはできます。

しかし、頭皮の汚れや皮脂が残ったままだと、その香りと混ざってかえって不快な臭いになることもあります。

スカルプシャンプーの多くは、強い香りでごまかすのではなく、頭皮を清潔にし、臭いの原因菌や酸化皮脂にアプローチすることで、臭いの発生源からケアすることを目指しています。

もちろん、メントール配合などで爽快な使用感や、ほのかな香りが楽しめる製品も多くあります。

自分に合うスカルプシャンプーの選び方

スカルプシャンプーの効果を実感するためには、自分の頭皮状態や悩みに合った製品を選ぶことが非常に重要です。ここでは、選ぶ際のポイントを4つ紹介します。

頭皮タイプ(乾燥肌・脂性肌・敏感肌)で選ぶ

自分の頭皮がどのタイプかを知ることが第一歩です。シャンプー後、数時間でベタつくなら「脂性肌」。一日中カサカサしていたり、フケが出やすかったりするなら「乾燥肌」。

シャンプーがしみたり、赤みが出やすかったりするなら「敏感肌」の可能性があります。

頭皮タイプ別のおすすめ成分傾向

頭皮タイプ洗浄成分の傾向保湿成分の要否
脂性肌やや洗浄力が高め(石けん系、高級アルコール系の一部)必須(さっぱりタイプ)
乾燥肌マイルド(アミノ酸系、ベタイン系)非常に重要(高保湿タイプ)
敏感肌非常にマイルド(アミノ酸系、ベタイン系)で低刺激処方非常に重要(低刺激・高保湿)

脂性肌の人は、余分な皮脂をしっかり落とせる洗浄力が必要ですが、落としすぎると逆に皮脂分泌が過剰になることもあるため注意が必要です。

乾燥肌・敏感肌の人は、洗浄力がマイルドで、頭皮のうるおいを守る保湿成分が豊富なものを選びましょう。

配合されている洗浄成分(アミノ酸系・石けん系など)で選ぶ

シャンプーの洗浄力や刺激性は、主に使われている洗浄成分(界面活性剤)によって決まります。成分表示を見て、どのような洗浄成分がメインかを確認しましょう。

主な洗浄成分の種類と特徴

洗浄成分の種類洗浄力・刺激性特徴
アミノ酸系マイルド・低刺激(例:ココイルグルタミン酸~、ラウロイルメチルアラニン~)保湿性が高く、乾燥肌・敏感肌向き。
ベタイン系非常にマイルド・低刺激(例:コカミドプロピルベタイン)アミノ酸系と併用されることが多い。ベビーシャンプーにも使用。
高級アルコール系強い・やや高刺激(例:ラウレス硫酸~、ラウリル硫酸~)泡立ちが良く安価。脂性肌でしっかり洗いたい人向きだが、乾燥しやすい。
石けん系強い・やや高刺激(アルカリ性)(例:石ケン素地、カリ石ケン素地)さっぱり感が強い。皮脂をしっかり落としたい人向きだが、髪がきしみやすい。

スカルプシャンプーでは、頭皮への優しさを考慮し、アミノ酸系やベタイン系を主成分とした製品が増えています。

悩みに合わせた有効成分(保湿・抗炎症など)で選ぶ

自分の主な悩みが何かを明確にし、それにアプローチできる成分が入っているかを確認します。

前述の表(薄毛・抜け毛、フケ・かゆみ、臭い)を参考に、薄毛予防なら血行促進サポート成分、フケ・かゆみなら抗炎症成分や保湿成分、臭いなら殺菌・抗菌成分や消臭成分といった具合です。

特に「医薬部外品」と表示されている製品は、これらの有効成分が一定濃度配合されているため、悩みが明確な場合は良い選択肢になります。

継続使用できる価格帯と使用感

スカルプシャンプーの効果は、一度や二度使っただけでは実感できません。頭皮環境が改善し、その効果が髪に現れるまでには数ヶ月単位の時間が必要です。

そのため、毎日無理なく続けられる価格帯であることが重要です。

また、泡立ち、香り、洗い上がりの感触(さっぱり感、しっとり感)など、自分が心地よく使える「使用感」も、継続のためには無視できないポイントです。

サンプルやトライアルセットがあれば、試してみるのも良いでしょう。

スカルプシャンプーの効果を高める正しい使い方

せっかく自分に合ったスカルプシャンプーを選んでも、使い方が間違っていては効果が半減してしまいます。

頭皮環境を改善し、シャンプーの効果を最大限に引き出すための正しい洗い方を紹介します。

シャンプー前の予洗いを丁寧に行う

シャンプーをつける前に、まずはお湯(ぬるま湯が推奨)だけで頭皮と髪をしっかりとすすぎます。

これを「予洗い(よあらい)」と言います。予洗いを1~2分程度丁寧に行うだけで、髪についたホコリや汚れ、軽い皮脂汚れの多くは落ちます。

また、頭皮が温まり毛穴が開くことで、シャンプーの泡立ちが良くなり、毛穴の汚れも落ちやすくなります。シャンプーの使用量を減らすことにも繋がります。

手のひらでしっかりと泡立てる

シャンプー液を直接頭皮につけるのは避けましょう。原液が頭皮の一部に集中して刺激になったり、すすぎ残しの原因になったりします。

適量を手のひらに取り、少量のお湯を加えながら、両手でしっかりと泡立てます。クリーミーな泡を作ることで、髪同士の摩擦を防ぎ、泡が頭皮全体に行き渡りやすくなります。

指の腹を使って頭皮をマッサージするように洗う

洗うのは「髪」ではなく「頭皮」です。泡立てたシャンプーを頭皮全体になじませたら、爪を立てず、指の腹(指紋の部分)を使って頭皮を優しくマッサージするように洗います。

ゴシゴシと強くこすると頭皮が傷ついてしまうため、力は入れすぎないことが重要です。頭皮全体を動かすようなイメージで、生え際から頭頂部、後頭部から襟足へと、全体をまんべんなく洗いましょう。

洗髪時の注意点

  • 絶対に爪を立てない
  • 力を入れてこすりすぎない
  • 頭皮全体をもみほぐすように動かす

マッサージには頭皮の血行を促進する効果も期待できます。1~2分程度、リラックスしながら行うと良いでしょう。

すすぎ残しがないように徹底的に洗い流す

シャンプーの成分が頭皮に残ると、それが刺激となってフケやかゆみ、臭いの原因になります。すすぎは「洗い」以上に入念に行う必要があります。

シャワーヘッドを頭皮に近づけ、髪の内部や生え際、耳の後ろ、襟足など、すすぎ残しやすい部分も意識して、ヌルつきが完全になくなるまで、しっかりと洗い流しましょう。

予洗いよりも長い時間をかけるくらいの意識が大切です。

Q&A

スカルプシャンプーは毎日使っても良いですか?

はい、基本的に毎日使用することを前提に作られています。頭皮の汚れや皮脂は毎日蓄積するため、その日のうちにリセットすることが頭皮環境を健やかに保つために重要です。

ただし、洗浄力が強すぎると感じる場合や、頭皮が乾燥しすぎると感じる場合は、使用頻度を調整するか、よりマイルドな洗浄力の製品に見直すことを検討してください。

効果はどれくらいで実感できますか?

フケ、かゆみ、臭いといった頭皮の表面的なトラブルについては、シャンプーが合っていれば数日~数週間で改善を実感できる場合があります。

一方で、頭皮環境が改善されて、髪にハリ・コシが出るといった「髪質の変化」や「抜け毛の予防」効果については、時間がかかります。

髪の成長サイクル(ヘアサイクル)も関係するため、最低でも3ヶ月から6ヶ月程度は継続して使用し、様子を見ることが推奨されます。

女性が男性用スカルプシャンプーを使っても大丈夫ですか?

使用すること自体に大きな問題はありませんが、推奨はされません。

男性と女性では皮脂の分泌量や頭皮の状態が異なるため、男性用スカルプシャンプーは洗浄力が強めに設定されていたり、爽快感を出すためにメントールが多く配合されていたりする場合があります。

女性が使用すると、必要な皮脂まで取りすぎて乾燥したり、刺激を感じたりする可能性があります。

女性は、女性の頭皮環境に合わせて作られた女性用のスカルプシャンプーを選ぶ方が安心です。

スカルプシャンプーと育毛剤は併用すべきですか?

併用することは非常に効果的です。スカルプシャンプーの役割は、育毛剤が浸透しやすいように頭皮を清潔にし、環境を整えることです。

シャンプーで頭皮の汚れや余分な皮脂をしっかり落とした後に育毛剤を使用することで、育毛剤の有効成分が角質層まで浸透しやすくなります。

薄毛や抜け毛の予防・改善を本気で考えるなら、シャンプーでの土壌整備と、育毛剤での栄養補給(または発毛剤での発毛促進)の両方を行うことが理想的なケアと言えます。

Reference

T. CHIU, Chin-Hsien; HUANG, Shu-Hung; D. WANG, Hui-Min. A review: hair health, concerns of shampoo ingredients and scalp nourishing treatments. Current pharmaceutical biotechnology, 2015, 16.12: 1045-1052.

TRÜEB, Ralph M., et al. Scalp condition impacts hair growth and retention via oxidative stress. International journal of trichology, 2018, 10.6: 262-270.

DAVIS, Michael G., et al. Scalp application of antioxidants improves scalp condition and reduces hair shedding in a 24‐week randomized, double‐blind, placebo‐controlled clinical trial. International Journal of Cosmetic Science, 2021, 43: S14-S25.

SCHWARTZ, J. R., et al. The role of oxidative damage in poor scalp health: ramifications to causality and associated hair growth. International Journal of Cosmetic Science, 2015, 37: 9-15.

BEAUQUEY, Bernard. Scalp and hair hygiene: shampoos. The science of hair care, 2005, 83-127.

XIAO, Lei, et al. A Timosaponin B‐II containing scalp care solution for improvement of scalp hydration, dandruff reduction, and hair loss prevention: A comparative study on healthy volunteers before and after application. Journal of Cosmetic Dermatology, 2021, 20.3: 819-824.

TRÜEB, Ralph M. Shampoos: ingredients, efficacy and adverse effects. JDDG: Journal der Deutschen Dermatologischen Gesellschaft, 2007, 5.5: 356-365.

PUNYANI, Supriya, et al. The impact of shampoo wash frequency on scalp and hair conditions. Skin appendage disorders, 2021, 7.3: 183-193.

DAVIS, Michael G., et al. Scalp application of the antioxidant piroctone olamine reduces hair shedding in an 8‐week randomized, double‐blind, placebo‐controlled clinical study. International journal of cosmetic science, 2021, 43: S26-S33.

WOLFF, Hans; FISCHER, Tobias W.; BLUME-PEYTAVI, Ulrike. The diagnosis and treatment of hair and scalp diseases. Deutsches Ärzteblatt International, 2016, 113.21: 377.

目次