40代の白髪、みんなどうしてる?「染める派」「隠す派」「活かす派」比較

40代の白髪、みんなどうしてる?「染める派」「隠す派」「活かす派」比較

40代を迎えると、鏡を見るたびに増えていく白髪に、「みんなどうしてるんだろう?」と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。

白髪への対処法は一つではありません。「染める」「隠す」「活かす」という主な3つの選択肢があります。

この記事では、40代男性が直面する白髪問題について、それぞれの方法のメリット・デメリット、費用感、手軽さなどを詳しく比較します。。

目次

この記事の執筆者

AGAメディカルケアクリニック統括院長 前田 祐助
Dr.前田 祐助

AGAメディカルケアクリニック 統括院長

前田 祐助

【経歴】

慶應義塾大学医学部医学研究科卒業

慶應義塾大学病院 初期臨床研修課程終了

大手AGAクリニック(院長)を経て、2018年に薄毛・AGA治療の「AGAメディカルケアクリニック」新宿院を開設

2020年に横浜院、2023年に東京八重洲院を開設

院長プロフィール

資格・所属学会・症例数

【資格】

  • 医師免許
  • ⽇本医師会認定産業医
  • 医学博士

【所属学会】

  • 日本内科学会
  • 日本美容皮膚科学会
  • 日本臨床毛髪学会

【症例数】

3万人以上※

※2018年5月~2022年12月AGAメディカルケアクリニック全店舗の延べ患者数

40代男性の白髪事情なぜ増える?

40代は、仕事でもプライベートでも責任が増す重要な時期です。それと同時に、身体の変化も感じやすくなります。特に白髪は、見た目の印象に大きく影響を与えるため、深く気にする方が多いようです。

なぜこの年代で白髪が増えやすいのか、その背景と原因を探ります。

白髪が発生する主な原因

髪の毛は、毛根にある毛母細胞で作られる時点では色がついていません。そこにメラノサイト(色素細胞)が生み出すメラニン色素が取り込まれることで、初めて黒や茶色といった髪の色がつきます。

白髪とは、このメラノサイトの働きが何らかの理由で低下したり、失われたりすることで、色素が取り込まれないまま生えてきた髪の毛を指します。

メラノサイトの機能が低下する最大の要因は「加齢」です。年齢と共に、体のさまざまな細胞の働きが自然と衰えていくのと同じです。

しかし、それ以外にも遺伝的な要因や、日々の生活環境も複雑に影響し合っていると考えられています。

40代で白髪が増える背景

40代は、一般的に「白髪がはっきりと気になりだす」時期と言われます。

もちろん個人差はありますが、30代後半から少しずつ顔を出し始めた白髪が、40代になるとその量や範囲が広がり、他人からも認識されやすくなることが多いようです。

これは、加齢による色素細胞の機能低下が、この年代で顕著に現れやすくなるためです。

また、40代は社会的には中間管理職に就くなど、仕事上のストレスが増加する時期でもあります。

家庭内でも子どもの教育や親の介護など、さまざまなプレッシャーがかかることもあります。こうした環境的な要因が、白髪の増加に拍車をかけている可能性も否定できません。

白髪とストレスや生活習慣の関係

「苦労すると白髪が増える」と昔から言われるように、過度なストレスが白髪の引き金になる可能性は、近年の研究でも示唆されています。

強いストレスは自律神経のバランスを乱し、血管を収縮させて血行不良を引き起こすことがあります。

頭皮への血流が悪くなると、髪の毛を作る毛母細胞や色素を作るメラノサイトに、必要な栄養が十分に行き渡らなくなり、その機能が低下する恐れがあります。

同様に、不規則な食生活による栄養バランスの偏り、慢性的な睡眠不足、運動不足、喫煙習慣なども、頭皮環境や全身の健康状態に悪影響を与えます。

これらが積み重なることで、白髪を増やす間接的な要因になり得ます。健康な髪は、健康な身体と頭皮から育まれます。生活習慣全体を見直すことも、白髪ケアの重要な一環です。

育毛剤メディアから見た白髪ケアの視点

私たちは育毛剤メディアとして、日々多くの髪の悩みに向き合っています。

白髪と薄毛(AGAなど)は、発生する仕組みそのものは異なりますが、どちらも「頭皮環境」が深く関わっているという共通点があります。

「白髪染めによる頭皮へのダメージが心配」「白髪も薄毛も同時にケアしたい」という切実な声も数多く寄せられます。

この記事では、白髪にどう対処するかという3つの選択肢を詳しく解説すると同時に、どの選択肢を選んだとしても「頭皮の健康を保つ」という視点を忘れないでいただきたいと考えています。

健やかな頭皮環境こそが、白髪と上手に付き合い、また将来の育毛を考える上での大切な基盤となります。

選択肢(1)「染める派」の徹底解説

白髪が気になったときに、最も多くの方がまず検討する方法が「白髪染め」です。白髪をしっかりと黒や好みの色に染めることで、見た目の印象を若々しく保ちやすいという明確なメリットがあります。

ここでは、「染める派」の具体的な方法や特徴、メリット・デメリットを詳しく見ていきます。

白髪染めの種類と特徴

一口に白髪染めと言っても、その種類はさまざまです。使われる染料のタイプによって、染まり方、色の持続性、そして髪や頭皮への影響度が異なります。

代表的なものを知り、ご自身の目的やライフスタイルに合ったものを選ぶことが大切です。

主な白髪染めの種類

市販されているものや美容院で使われる白髪染めには、主に以下のタイプがあります。それぞれの特徴を理解しましょう。

種類(染毛剤の分類)特徴持続性(目安)
ヘアカラー(酸化染毛剤)髪の内部まで染料を浸透させます。色持ちが最も良く、色の選択肢も豊富です。約1~2ヶ月
ヘアマニキュア(酸性染毛料)髪の表面(キューティクル)をコーティングするように染めます。頭皮への刺激は少ない傾向です。約2~4週間
カラートリートメント使うたびに徐々に染まります。トリートメント効果があり、髪や頭皮に最も優しいタイプです。数日~1週間程度(使用中止後)

自宅染め(セルフカラー)のメリット・デメリット

ドラッグストアなどで染毛剤を購入し、自宅で自分で行う白髪染めは、その手軽さが魅力です。最大のメリットは「コスト」と「時間的自由度」です。

美容院で染めるよりも費用を大幅に抑えることができますし、深夜や早朝など、自分の都合の良いタイミングで染めることが可能です。

一方、デメリットとしては「手間がかかる」ことと「染めムラのリスク」が挙げられます。特に後頭部や襟足、耳の後ろなど、見えにくい部分は自分では均一に塗布しにくく、色ムラができやすいです。

また、薬剤の選定ミスや塗布の技術不足によっては、髪や頭皮に予期せぬダメージを与えてしまう可能性もあります。

薬剤が飛び散って浴室や洗面所が汚れるといった点も、人によっては大きな手間と感じる要因の一つです。

美容院染めのメリット・デメリット

美容院(ヘアサロン)での白髪染めは、プロの美容師による技術で、仕上がりの美しさを追求できるのが最大のメリットです。

現在の髪の状態や髪質、白髪の量に合わせて最適な薬剤を選定し、根元の新生部から毛先まで、ムラなくきれいに染め上げます。自分では難しい後頭部も当然、完璧に仕上がります。

また、頭皮の状態をプロの目でチェックしながら施術してくれるため、頭皮ダメージのリスクも比較的少ないと言えます。「ゼロテク」と呼ばれる、薬剤を頭皮に極力つけない技術を導入しているサロンもあります。

ヘアカットと同時に行うことで、トータルでのスタイル提案を受けられるのも大きな魅力です。

デメリットは、やはり「コスト」と「時間」です。自宅染めに比べて費用は高額になりますし、美容院への往復時間や施術時間を含めると、数時間のまとまった時間を確保する必要があります。

定期的に通い続けるとなると、その負担は小さくありません。

白髪染めの頻度とコスト感

白髪染めは一度染めて終わりではなく、新しく生えてくる白髪(特に根元)との継続的な戦いになります。一般的に髪は1ヶ月に約1cm伸びると言われています。

そのため、白髪の量や生え方にもよりますが、早い人では3週間、平均的には1ヶ月から1ヶ月半に一度の頻度でリタッチ(根元染め)や全体染めを行う方が多いようです。

コストは、自宅染めか美容院染めかで大きく変わってきます。自宅染め(セルフカラー)は1回あたり数百円から2,000円程度が相場です。

一方、美容院染めは、カット料金別で5,000円から10,000円程度が相場となります。

これを年間で考えると、数万円から十数万円の大きな違いになるため、ご自身のライフスタイルの中で継続可能かどうかを考える上で重要なポイントです。

選択肢(2)「隠す派」の手軽な方法

「定期的に染めるのは面倒だ」「髪や頭皮へのダメージが気になる」「次の美容院までの数日間だけ、白髪を目立たなくしたい」という方には、「隠す」という選択肢があります。

一時的に白髪を物理的にカバーするアイテムを使った、非常に手軽な方法です。

一時的に白髪を隠すアイテム

白髪隠し専用のアイテムは、お出かけ前や会議前など、気になったそのときにサッと使えるのが最大の魅力です。

その日の夜にシャンプーで簡単に洗い流せるものがほとんどで、髪や頭皮への負担が白髪染めに比べて格段に少ないのも特徴です。

さまざまなタイプが市販されているため、ご自身の白髪の量や場所、使い方に合わせて選ぶことができます。

白髪隠しアイテムの種類

どのようなアイテムがあるのか、代表的なものを紹介します。用途に合わせて使い分けるのも良い方法です。

種類使用感・特徴カバー力・適した場所
スプレータイプ広範囲に素早く塗布できます。ふんわりとした仕上がりになります。中~高(分け目・頭頂部)
マスカラタイプブラシが細かく、1本1本狙って塗れます。生え際やもみあげに便利です。高(ピンポイント)
ファンデーション・パウダータイプパフやブラシで塗布します。分け目や生え際など、面でカバーするのに適しています。中~高(分け目・生え際)

白髪隠しスプレーやマスカラ

スプレータイプは、分け目や頭頂部など、広範囲に白髪が点在している場合に便利です。髪から少し離してスプレーするだけで、瞬時に広範囲をカバーできます。

ただし、顔や首、服などにかからないよう、ケープやタオルでガードするなどの注意が必要です。

マスカラタイプは、ブラシが細かく設計されており、生え際やもみあげ、眉毛の近くなど、他の部分に付けたくない細かい部分の白髪を1本1本狙って隠すのに最適です。

ポーチに入れて持ち運べるコンパクトなサイズのものも多く、外出先で気になったときにも手軽にリタッチできます。

白髪隠しファンデーションやパウダー

ファンデーションタイプやパウダータイプは、付属のパフやブラシを使って、肌にファンデーションを塗るようにポンポンと叩いたり、滑らせたりして塗布します。

分け目の地肌が透けて見える場合や、生え際を広めにカバーしたい場合に特に有効です。地肌についても目立ちにくく、自然な仕上がりを期待できます。

汗や水に強いウォータープルーフタイプもありますが、基本的にはシャンプーで落ちるため、毎日の使用が前提となります。

「隠す派」が向いているシチュエーション

「隠す派」は、以下のような方やシチュエーションに特におすすめです。

  • まだ白髪の量がそれほど多くなく、染めるほどではないと感じる方
  • 白髪染めによる髪や頭皮へのダメージを極力避けたい方
  • 白髪染めをした後、次に染めるまでの「つなぎ」として使いたい方
  • 急な外出や大事な会議、人と会う予定の前に、一時的にカバーしたい方

手軽さが最大のメリットである一方、根本的な解決にはならない点、毎日使用する手間がかかる点、そして汗や雨、手で触ることなどで色落ちする可能性がある点は理解しておく必要があります。

白髪と上手に付き合うための、便利で一時的な手段として非常に有効です。

選択肢(3)「活かす派」のスタイリング

近年、白髪をあえてネガティブなものと捉えず、染めずにそのまま活かす「グレイヘア(ロマンスグレー)」という選択肢が、性別を問わず注目されています。

40代ではまだ早いと感じるかもしれませんが、白髪の量や生え方、そして本人の意識次第では、非常に魅力的なスタイルを作ることも可能です。「活かす派」の魅力と、成功させるためのポイントを紹介します。

グレイヘア(ロマンスグレー)の魅力

グレイヘアの最大の魅力は、無理に若作りするのではなく、年齢を重ねたからこその大人の余裕や知性、そして清潔感を演出できる可能性を秘めている点です。

黒髪と白髪が中途半端に混じった状態は、手入れがされていないと「疲れた印象」や「老けた印象」を与えがちです。

しかし、意識的に「活かす」と決めて手入れをすることで、その人だけの個性的でスタイリッシュな印象に変えることができます。

また、定期的に白髪染めを続けるストレスやプレッシャーから解放されるという、精神的なメリットも非常に大きいでしょう。白髪染めにかかっていたコストや時間も節約できます。

白髪を活かすヘアカット術

白髪を活かす上で、最も重要と言っても過言ではないのが「ヘアカット」です。白髪は黒髪よりも水分量が少なく、一般的に硬くてパサついて見えやすい性質があります。

そのため、「清潔感」を出すことが何よりも重要です。だらしなく伸びた状態では、それは「活かしている」のではなく、ただの「白髪放置」に見えてしまいます。

白髪が目立ちにくく、かつオシャレで清潔感のあるスタイルとしては、やはり短髪がおすすめです。

白髪を活かすカットスタイルの例

  • サイドや襟足を短く刈り上げた、メリハリのあるショートヘア
  • トップに動きを出しつつ、サイドをスッキリさせたツーブロックスタイル

短くカットすることで清潔感が格段にアップし、白髪特有のパサつきも目立ちにくくなります。

そして、その清潔感を保つためには、3週間~1ヶ月に一度という、こまめな頻度で美容院に通い、カットをメンテナンスすることが成功の秘訣です。

白髪を活かすためのヘアケア

白髪を活かすと決めた場合、染めないからといってヘアケアが不要になるわけではありません。むしろ、染めている時以上に「髪の質感」を高めるための積極的なヘアケアが求められます。

白髪はメラニン色素がないため、紫外線などの外部ダメージを受けやすく、不純物を吸着して「黄ばみ」やすいという弱点があります。

この黄ばみを抑え、きれいな銀色や灰色を保つための「シルバーシャンプー(通称:紫シャンプー)」の使用や、パサつきを抑えて潤いを与えるためのトリートメントによる保湿ケアが大切です。

また、髪にツヤを出すためのスタイリング剤(グリースやジェル、ヘアオイルなど)を使い、髪にまとまりと清潔感を出すことも重要です。

「活かす派」を選ぶ心構え

40代で「活かす派」を選ぶには、ある程度の心構えも必要です。

白髪の量がまだ中途半端な場合(全体の30%未満など)、かえって老けて見えたり、手入れを怠っているように見えたりするリスクが高いのも事実です。

特に、今まで白髪染めをしていた方がグレイヘアに移行する期間は、根元の白髪と染めた部分の色の差がくっきりと出てしまい、最も我慢が必要な時期となります。

「活かす」と決めたら、中途半端にせず、カットやヘアケア、さらには服装や振る舞いなども含めてトータルで「格好良いグレイヘアの自分」を目指すという強い意識が大切です。

信頼できる美容師に相談し、自分に似合うグレイヘアスタイルを二人三脚で見つけていくことが成功の鍵となります。

「染める」「隠す」「活かす」3つの選択肢を徹底比較

ここまで「染める派」「隠す派」「活かす派」それぞれの特徴を詳しく見てきました。どれも一長一短があり、どれがご自身にとってベストな選択なのか迷う方も多いでしょう。

ここでは、3つの選択肢をさまざまな角度から横並びで比較し、あなたがどの選択肢を選ぶべきかの判断材料を提供します。

メリット・デメリットの比較

それぞれの方法が持つ、主な利点と欠点を改めて整理します。

3つの選択肢 メリット比較

選択肢メリット(利点)
染める白髪がなくなり、確実に若々しい印象になる。色の選択肢が豊富。手入れをしている印象。
隠す手軽で即効性がある。髪や頭皮へのダメージが少ない。必要な時だけ使える。コストが安い。
活かす染める手間やコスト、頭皮ダメージの懸念から解放される。自然体で大人の魅力を出せる。

3つの選択肢 デメリット比較

選択肢デメリット(欠点・懸念点)
染める定期的な手間(リタッチ)とコストがかかる。髪や頭皮へのダメージが避けられない。
隠す根本的な解決にはならない。毎日手間がかかる。汗や雨、接触で色落ちする可能性がある。
活かす高い清潔感を保つためのカットやケアが必須。白髪の量や質によっては難しい。黄ばみやすい。

コストパフォーマンスの比較

白髪との付き合いは、多くの場合、長期戦になります。そのため、コストパフォーマンス(費用対効果)は非常に重要な判断基準です。

「染める派」は、美容院染めを選ぶか自宅染めを選ぶかでコストは大きく変動しますが、いずれにせよ継続的な出費が発生します。

特に美容院染めを月一回続ける場合、年間コストは最も高額になる選択肢です。

「隠す派」は、使用するアイテム自体の価格は1,000円~3,000円程度と手頃ですが、毎日使用する場合は消耗品としてのコストがかかります。

使用頻度や範囲にもよりますが、白髪染めを続けるよりは安価に収まることが多いでしょう。

「活かす派」は、白髪染めの染料代はゼロになります。

しかし、清潔感を保つための「カット代」の頻度が上がること(例:月1回必須)や、黄ばみ防止シャンプーや高品質なトリートメントなどの「ヘアケア代」が必要です。

トータルで見ると、「自宅染め」と同等か、場合によってはそれ以上になる可能性もあります。

手間や持続性の比較

どれだけの手間を許容できるかも、人によって大きく異なります。

「染める派」は、染める作業自体(自宅染めなら準備と後片付け、美容院染めなら予約と移動時間)にまとまった手間がかかります。ただし、一度染めれば数週間はその状態が持つという「持続性」があります。

「隠す派」は、毎朝のスタイリング時に「隠す」という数分の手間が発生します。持続性はその日限りで、シャンプーすればリセットされます。手間は毎日少しずつかかります。

「活かす派」は、染める手間は一切ありませんが、日々の「スタイリング」や「ヘアケア(黄ばみ対策など)」に手間がかかります。

また、定期的な「散髪」の手間(頻度)が、3つの選択肢の中で最も高くなる可能性があります。

40代男性に多い白髪の悩みと対処法

白髪の悩みは「全体的に増えた」ことだけではありません。40代の男性が直面しがちな、より具体的で厄介な悩みとその対処法について考えます。

「一部だけ白髪」はどうする?

40代の白髪は、全体的に均一に増えるというより、もみあげや生え際、分け目、または後頭部の一部など、特定の場所に集中して生える「かたまり白髪」に悩む方も非常に多いです。

この場合、まだ黒髪が大半を占めるのに、全体を染めるのはもったいないし、髪へのダメージも気になると感じるかもしれません。

このような場合の対処法としては、「隠す派」のアイテムが最も有効です。マスカラタイプやファンデーションタイプを使って、気になる部分だけをピンポイントにカバーするのが手軽で効率的です。

もし染める場合も、美容院で部分染め(ポイントカラー)を相談するか、自宅でリタッチ用の部分染めアイテムを使うのが良いでしょう。

「染めてもすぐに目立つ」場合の対策

白髪染めをしても、早い人では2週間、平均でも3~4週間もすれば、根元から新しく生えてきた白い髪が伸びてきて目立ってしまいます。

特に髪を短くしている男性は、根元の白髪がすぐに目立ちやすい傾向にあります。これは「染める派」の宿命とも言えます。

対策としては、次の全体染めまでの「つなぎ」として、「隠す派」のアイテムを併用することです。

分け目や生え際など、特に目立つ部分だけでも白髪隠しでカバーすれば、美容院に行く頻度を少し延ばせるかもしれません。

また、最近では白髪が伸びても目立ちにくいように、あえてハイライトなどを入れて黒髪と白髪のコントラストを和らげる「白髪ぼかし」という技術を美容院で相談するのも一つの有効な手です。

白髪染めによる頭皮ダメージが心配

白髪も気になるけれど、それと同じくらい、あるいはそれ以上に薄毛も気になるのが40代の悩みです。

白髪染め、特にヘアカラー(酸化染毛剤)は、薬剤が頭皮に付着することで、人によってはアレルギー反応(かゆみ、かぶれ、赤み)や、乾燥などを引き起こす可能性があります。

頭皮環境が悪化すれば、当然、健康な髪の育成が妨げられ、薄毛や抜け毛のリスクを高める懸念もあります。

頭皮へのダメージを最小限に抑えるには、美容院で「頭皮に薬剤を極力つけないように塗ってもらう(ゼロテクニック)」、または頭皮に優しいオーガニック系の薬剤などを選んでもらう、といった相談が有効です。

自宅染めの場合は、染める前に頭皮にワセリンや専用の保護オイルを塗る、薬剤を必要以上に長時間放置しない、染めた後はシャンプーとトリートメントで薬剤をしっかり洗い流し、頭皮を保湿する、といった基本を守ることが非常に重要です。

育毛との両立は可能か

白髪染めと育毛剤の使用は、基本的には両立可能です。ただし、使用するタイミングには注意が必要です。

白髪染めの直後は頭皮が非常にデリケートになっているため、染めた当日は育毛剤の使用を控えるのが無難です。製品によっては染めた後2~3日は使用を控えるよう推奨しているものもあります。

また、ヘアカラーの色落ちを防ぐためにも、染めた当日のシャンプーや育毛剤の使用は控えるよう美容師から指示されることが多いです。

自分に合った白髪との付き合い方を見つけるために

「染める」「隠す」「活かす」。この記事で紹介したように、どの選択肢にもメリットとデメリットがあり、どれが唯一の正解ということはありません。

大切なのは、ご自身の考え方や生活スタイルに合った方法を選び、ご自身が納得して白髪と付き合っていくことです。最後に、その選択のためのヒントをいくつか提案します。

ライフスタイルから考える

まず、ご自身の日常生活や仕事環境を振り返ってみましょう。例えば、営業職や接客業など、人前に出る仕事が多く、常にきちんとした若々しい印象を保ちたい方は「染める派」が適しているかもしれません。

一方、在宅ワークが中心で、たまの外出時に対応できれば良いという方は「隠す派」で十分かもしれません。

アウトドアスポーツが趣味で汗をかく機会が多い方は「隠す派」は色落ちの心配があり不向きかもしれませんし、逆にこまめに美容院に行くのが面倒だと感じる方には「活かす派」の頻繁なメンテナンスは難しいかもしれません。

ご自身の生活リズムや、どれだけの手間を許容できるかを基準に考えてみましょう。

価値観や目指すイメージ

あなたが「白髪」に対してどのようなイメージを持っているか、そして周囲にどのようなイメージを持たれたいかも重要な判断基準です。

「年齢より若く見られたい」「精悍に見せたい」という気持ちが強いなら「染める派」、「年齢相応に、自然体で格好良くいたい」と考えるなら「活かす派」がしっくりくるでしょう。

「白髪=老い、衰え」とネガティブに捉えるのではなく、「白髪=大人の個性、ダンディズム」とポジティブに捉え直すことができれば、「活かす派」へのハードルも下がるかもしれません。

ご自身が目指す憧れの人物像(グレイヘアが素敵な俳優や著名人など)を見つけるのも良い方法です。

まずは試してみるという選択

どの方法が自分に合うか分からない場合は、最も手軽でリスクの少ない方法から試してみるのがおすすめです。一度染めると、元に戻すのは大変ですが、隠すのはすぐにやめられます。

お試ししやすい白髪ケアの順序

試すケア方法手軽さ(始めやすさ)費用目安(初回)
白髪隠し(マスカラ・パウダー等)◎(即日可能)1,000円~3,000円
カラートリートメント(自宅)○(数日~)2,000円~4,000円
白髪ぼかし(美容院)△(要予約・相談)5,000円~(カット別)

「隠す派」のアイテムは、ドラッグストアなどですぐに購入でき、もし合わなければ使用をやめるのも簡単です。

「染める派」の中でも、カラートリートメントなら髪や頭皮へのダメージを抑えながら、徐々に染まり具合を試すことができます。

パートナーや周囲の意見

自分では良かれと思って選んだ方法が、家族やパートナー、職場の同僚から見てどう映るかも、一つの参考になります。

もちろん、最終的に決めるのはご自身ですが、「染めた方が若々しくて良い」「白髪が混じっている方が渋くて格好良い」など、身近な人の率直な意見が、ご自身の思い込みを外してくれることもあります。

特に「活かす派」を選ぶ場合は、家族から「疲れて見える」「老けた」と心配されないよう、ご自身が思う以上に清潔感を保つ努力が求められることを認識しておくと良いでしょう。

Q&A

40代の白髪に関して、多くの方が抱く素朴な疑問について、テキストベースでお答えします。

白髪は抜くと増えますか?

「白髪を抜くと増える」というのは、医学的な根拠はありません。都市伝説のようなものです。

白髪を1本抜いても、その毛穴から次に生えてくる髪も(色素細胞の機能が回復していなければ)白髪である可能性が高いというだけです。

しかし、髪の毛を無理に抜く行為は、毛根や頭皮を傷つけ、毛周期を乱したり、炎症(毛嚢炎)を引き起こしたりする原因になります。

最悪の場合、その毛穴から髪が生えてこなくなる可能性もあります。

したがって、白髪は抜かずに、根元でハサミで切るか、染める・隠す・活かすといった他の対処をすることを強く推奨します。

白髪染めはどのくらいの頻度で行うのが一般的ですか?

これは、その方の白髪の量、髪が伸びるスピード、そしてご自身がどれだけ根元の白髪を許容できるかによって大きく異なります。

一般的には、3週間から1ヶ月半に一度の頻度で染めている方が多いようです。特に40代の男性はヘアスタイルが短い方が多く、髪が1cm伸びるだけでも根元の白髪は非常に目立ちやすくなります。

そのため、早い方では2~3週間で根元の白髪(リタッチ)が気になりだすようです。

美容院でのリタッチと、合間の期間は自宅でのセルフカラーや白髪隠しを組み合わせて、コストと手間を調整している方も多くいます。

白髪を活かす場合、特別なケアは必要ですか?

はい、必要です。「活かす」=「何もしなくて良い、放置する」と誤解されがちですが、それは大きな間違いです。

むしろ、染めている時以上に「髪の質感」と「清潔感」を保つための特別なケアが求められます。

白髪は黒髪よりもパサつきやすく、うねりやすく、そして空気中の不純物や水道水のミネラルなどの影響で「黄ばみ」やすい特徴があります。

そのため、清潔感を保つためのこまめなカット(3~4週間に一度推奨)、パサつきを抑えるための保湿トリートメント、そして黄ばみを化学的に防ぐためのシルバーシャンプー(紫シャンプー)の使用など、積極的なヘアケアが重要です。

40代からでも白髪予防はできますか?

残念ながら、すでに生えてきた白髪を、元の黒髪に戻す確実な方法は、現在のところ見つかっていません。

しかし、これから生えてくる髪の毛が白髪になるのを「遅らせる」ことや、頭皮環境を健やかに保つことで「白髪の増加スピードを緩やかにする」という観点での予防やケアは可能です。

最も重要なのは、バランスの取れた食事(特に髪の毛の材料となるタンパク質、色素の元となるチロシン、ミネラルやビタミン)、十分な睡眠、適度な運動、そしてストレスを溜めない生活といった、基本的な生活習慣の見直しです。

また、頭皮マッサージなどで頭皮の血行を促進し、毛根にある色素細胞に栄養を届けやすくすることも、健康な髪を育むために役立ちます。

Reference

TRÜEB, Ralph; HOFFMANN, Rolf. Aging of hair. In: Textbook of Men’s Health and Aging. CRC Press, 2007. p. 715-728.

AWOSIKA, Olabola; BURGESS, Cheryl M.; GRIMES, Pearl E. Considerations when treating cosmetic concerns in men of color. Dermatologic Surgery, 2017, 43: S140-S150.

CLARKE, Laura Hurd; KOROTCHENKO, Alexandra. Shades of grey: to dye or not to dye one’s hair in later life. Ageing & Society, 2010, 30.6.

MIRMIRANI, Paradi. Age-related hair changes in men: mechanisms and management of alopecia and graying. Maturitas, 2015, 80.1: 58-62.

CECIL, Vanessa, et al. Women’s grey hair as an abomination of the body: Conceal and pass, or reveal and subvert. In: Feminist Interrogations of Women’s Head Hair. Routledge, 2018. p. 124-140.

MARSH, Jennifer Mary, et al. Healthy hair. New York: Springer International Publishing, 2015.

HERDIANA, Yedi. Gray Hair: From Preventive to Treatment. Clinical, Cosmetic and Investigational Dermatology, 2025, 1475-1494.

GRAY, John. Hair care and hair care products. Clinics in dermatology, 2001, 19.2: 227-236.

RASSMAN, William R.; BERNSTEIN, Robert M. Hair loss and replacement for dummies. John Wiley & Sons, 2008.

目次