髪が細くなってきた時の症状と治療開始時期

髪が細くなってきた時の症状と治療開始時期

最近、鏡を見るたびに「髪のボリュームが減った気がする」「スタイリングが決まらない」と感じていませんか。その悩み、もしかしたら髪が細くなってきたサインかもしれません。

多くの方が「気のせいかな」と見過ごしがちですが、その変化はAGA(男性型脱毛症)の初期症状である可能性があります。

この記事では髪が細くなってきた時に現れる具体的な症状、その背景にある原因、そして最も重要な「いつ治療を開始すべきか」について詳しく解説します。

早期に正しい知識を得て対策を始めることが、あなたの髪の未来を守る鍵となります。手遅れになる前に、今できることを一緒に確認していきましょう。

目次

この記事の執筆者

AGAメディカルケアクリニック統括院長 前田 祐助
Dr.前田 祐助

AGAメディカルケアクリニック 統括院長

前田 祐助

【経歴】

慶應義塾大学医学部医学研究科卒業

慶應義塾大学病院 初期臨床研修課程終了

大手AGAクリニック(院長)を経て、2018年に薄毛・AGA治療の「AGAメディカルケアクリニック」新宿院を開設

2020年に横浜院、2023年に東京八重洲院を開設

院長プロフィール

資格・所属学会・症例数

【資格】

  • 医師免許
  • ⽇本医師会認定産業医
  • 医学博士

【所属学会】

  • 日本内科学会
  • 日本美容皮膚科学会
  • 日本臨床毛髪学会

【症例数】

3万人以上※

※2018年5月~2022年12月AGAメディカルケアクリニック全店舗の延べ患者数

髪が細くなってきたと感じる主な症状

髪が細くなってきたという変化は、いくつかの具体的な症状として現れます。

最も分かりやすいのは髪全体のボリュームダウンですが、他にも地肌の透けや髪質の変化など注意深く観察すると気づくサインがあります。

これらはAGAの初期段階でよく見られる兆候です。

髪が細くなった男性のボリューム低下と地肌の透け感イラスト

髪のボリュームが減ったと感じる

朝のスタイリング時や、ふと鏡を見た瞬間に「以前より髪がペタッとしている」「ふんわり感がなくなった」と感じるなら、それは髪が細くなっている証拠かもしれません。

髪の毛一本一本の太さが失われると髪全体が密集感を失い、結果としてボリュームダウンにつながります。特に頭頂部や前髪の生え際は、この変化が顕著に現れやすい部分です。

雨の日や湿気が多い日にいつも以上に髪がまとまらない、あるいは潰れてしまうと感じる場合も、髪のハリやコシが失われているサインと考えられます。

地肌が透けて見えるようになった

髪が細くなると、同じ本数でも地肌を覆う面積が小さくなります。そのため、以前は気にならなかった頭頂部やつむじ周り、分け目などの地肌が透けて見えるようになります。

特に明るい照明の下や、髪が濡れている時に地肌が目立つようになったと感じる場合は注意が必要です。家族や友人から「頭頂部、少し薄くなった?」と指摘されて初めて気づくケースも少なくありません。

地肌の露出が増えることは、薄毛が進行している可能性を示す重要なサインです。

髪の毛にハリやコシがなくなった

健康な髪は、指でつまむとしっかりとした弾力(ハリ)と、しなやかさ(コシ)を感じます。しかし、髪が細くなると、このハリやコシが失われ、髪の毛が弱々しく、頼りない感触になります。

手ぐしを通した時に、以前のような抵抗感やしっかりとした手触りがなく、フニャフニャとした感触に変わってきたら要注意です。

また、抜け毛をチェックした際に、以前は太く黒々としていた毛が細く、色も薄いうぶ毛のような毛(軟毛)に変わっている場合も、髪が細くなっている証拠と言えます。

スタイリングがうまく決まらない

髪が細くなりハリやコシを失うと、スタイリングにも影響が出ます。ワックスやジェルを使っても髪が立ち上がりにくい、スプレーで固めてもすぐに形が崩れてしまう、といった経験はありませんか。

これは、髪の毛自体がセット剤の重さや外部の力に耐えられなくなっているためです。

また、分け目がパックリと割れやすくなったり、思い通りのヘアスタイルが作れなくなったりすることも、髪が細くなってきたことによる影響の一つです。

毎朝のスタイリングに以前より時間がかかるようになったら、髪質の変化を疑ってみましょう。

髪が細くなるのはなぜ?AGA(男性型脱毛症)との関係

髪が細くなる現象、いわゆる「軟毛化」の背景には、多くの場合AGA(男性型脱毛症)が関わっています。

AGAは男性ホルモンの影響によって髪の成長サイクルが乱れ、髪が十分に太く成長する前に抜け落ちてしまう状態を指します。

このヘアサイクルの乱れが、髪が細くなる直接的な原因です。

AGAの仕組みとヘアサイクル

髪の毛には「ヘアサイクル(毛周期)」と呼ばれる成長のサイクルがあります。

通常、髪は「成長期」(2年~6年)で太く長く育ち、「退行期」(約2週間)で成長が止まり、「休止期」(約3ヶ月~4ヶ月)を経て自然に抜け落ち、また新しい髪が生えてきます。

しかしAGAを発症すると、この成長期が極端に短縮されます。数ヶ月から1年程度しか成長できなくなるため、髪は太く長く育つ時間を与えられません。

DHTとヘアサイクルの乱れで髪が細くなる仕組み図解イラスト

その結果、細く、短く、色の薄い軟毛が増えてしまい、これが「髪が細くなってきた」という実感につながるのです。

男性ホルモン(DHT)の影響

AGAによるヘアサイクルの乱れには、「DHT(ジヒドロテストステロン)」という強力な男性ホルモンが深く関与しています。

DHTは男性ホルモンの一種であるテストステロンが、頭皮(特に前頭部や頭頂部)に存在する「5αリダクターゼ」という酵素と結びつくことで生成されます。

このDHTが毛根にある毛乳頭細胞の受容体(アンドロゲンレセプター)と結合すると、髪の成長を妨げる信号(脱毛因子)が発信されます。

この信号が「成長期を短縮せよ」という指令となり、結果として髪の軟毛化と抜け毛を引き起こすのです。DHTの生成量や受容体の感受性の高さが、AGAの進行度合いに影響します。

遺伝や生活習慣も関係する?

AGAの発症には遺伝的な要因が大きく関わっています。特にDHTを生成する5αリダクターゼの活性度の高さや、アンドロゲンレセプターの感受性の高さは両親や祖父母から遺伝しやすいとされています。

親族に薄毛の方がいる場合、ご自身もAGAを発症する可能性が相対的に高いと考える必要があります。

ただし、遺伝だけがすべてではありません。不規則な食生活、睡眠不足、過度なストレス、喫煙や過剰な飲酒といった生活習慣の乱れは、頭皮の血行を悪化させたり、ホルモンバランスを崩したりする原因となります。

これらはAGAの直接的な原因ではありませんが、頭皮環境を悪化させてAGAの進行を早めたり、症状を悪化させたりする要因(増悪因子)となり得ます。

遺伝的な素因を持つ方が不健康な生活習慣を続けると、AGAの発症が早まる可能性も指摘されています。

AGA以外の脱毛症との違い

髪が細くなったり抜けたりする原因は、AGAだけではありません。

過度なストレスが原因で円形に髪が抜ける円形脱毛症や、頭皮の皮脂が過剰になって炎症を起こす脂漏性脱毛症、特定の薬剤の影響や基礎疾患が原因となる場合もあります。

AGAは主に前頭部や頭頂部の髪が細く、薄くなるのが特徴ですが、他の脱毛症は抜け方や症状の現れ方が異なります。

自己判断は難しいため、気になる症状があれば専門医に相談し、原因を特定することが重要です。

脱毛症の主な種類と特徴

脱毛症の種類主な原因特徴的な症状
AGA(男性型脱毛症)男性ホルモン(DHT)、遺伝生え際や頭頂部から徐々に細くなり、薄くなる。
円形脱毛症自己免疫疾患、ストレスなど円形や楕円形に突然髪が抜ける。
脂漏性脱毛症皮脂の過剰分泌、マラセチア菌の増殖頭皮の赤み、かゆみ、フケ。髪がベタつく。

放置は危険?髪の細さが進行するサイン

髪が細くなってきたという初期症状は、AGAの始まりの合図です。AGAの最大の特徴は進行性であること、つまり何もしなければ症状はゆっくりと、しかし確実に悪化していく点にあります。

放置すると細い毛(軟毛)の割合がさらに増え、最終的には抜け毛が目立つようになります。

抜け毛の質や量の変化

AGAが進行すると、シャンプーやブラッシングの際の抜け毛に変化が現れます。

まず「量」ですが、ヘアサイクルの成長期が短くなることで、本来ならまだ成長するはずだった髪が休止期に入り、抜け落ちるため、抜け毛の総数が増加する傾向にあります。

さらに重要なのが「質」の変化です。抜け毛の中に細くて短い、色の薄い毛が混じるようになります。これらは、十分に成長する前にヘアサイクルを終えてしまった軟毛です。

枕や排水溝に以前は見られなかったような弱々しい毛が増えてきたら、AGAが進行しているサインと考えられます。

太く長い毛が抜けるのは自然な生え変わり(休止期脱毛)である可能性も高いですが、細く短い毛の増加は、成長期が短縮している明確な証拠です。

ご自身の抜け毛の質を一度チェックしてみることをお勧めします。

生え際や頭頂部の後退

AGAは発症する部位に特徴があります。男性ホルモン(DHT)の影響を受けやすいのは、主に前頭部(生え際)と頭頂部(つむじ周り)です。これらの部位の髪が選択的に細くなり、抜けやすくなります。

生え際については、いわゆるM字部分から後退していくパターン(ハミルトン・ノーウッド分類のM型)が多く見られます。以前よりもおでこが広くなった、剃り込みが深くなったと感じる場合は注意が必要です。

頭頂部については、つむじ周りの地肌が目立つようになるパターン(O型)です。自分では見えにくい場所のため、家族からの指摘や合わせ鏡で確認して初めて気づくことも多いです。

生え際と頭頂部の両方から進行するパターン(M+O型)もあります。これらの部位に変化を感じたら、AGAの進行を疑う必要があります。

細い毛(軟毛)の増加

AGAが進行するということは、ヘアサイクルにおける成長期が短縮され続けるということです。本来2年~6年あるはずの成長期が1年、半年、数ヶ月とどんどん短くなっていきます。

その結果、頭皮全体に占める「太く健康な毛(硬毛)」の割合が減り、「細く短い毛(軟毛)」の割合が増加します。

髪の毛をかき分けて頭皮をよく観察してみてください。他の部分に比べて、生え際や頭頂部の毛が明らかに細く、弱々しくなっていませんか。

硬毛の間にうぶ毛のような軟毛が目立つようになると、それはAGAがかなり進行している状態を示しています。

この軟毛化がさらに進むと毛根自体が小さく(萎縮)なり、やがて髪の毛を生み出す力を失ってしまう可能性もあります。そうなる前に対策を講じることが重要です。

AGAセルフチェックと診断の目安

「髪が細くなってきたかも」と感じても、それがAGAなのか、一時的なものなのか判断に迷うかもしれません。

いくつかの項目を自分でチェックすることで、AGAの可能性をある程度判断する材料になります。ただし、セルフチェックはあくまで目安であり、正確な診断は専門医にしかできません。

自宅でできる初期症状の確認

日常生活の中でAGAの兆候がないか確認してみましょう。以下の項目に当てはまるものが多いほど、AGAの可能性が高いと考えられます。

ただし、これらはあくまで簡易的な目安であり、診断を確定するものではありません。

AGA簡易セルフチェックリスト

チェック項目詳細
親族(特に父方・母方)に薄毛の人がいるAGAは遺伝的要因が強いため、血縁者に薄毛の人がいるとリスクが高まります。
以前より生え際が後退した、またはおでこが広くなったAGAは生え際(M字部分)から進行することが多いです。
頭頂部(つむじ)の地肌が透けて見える頭頂部もAGAが進行しやすい部位です。
抜け毛に細く短い毛が増えたヘアサイクルの乱れ(軟毛化)を示しています。
髪にハリやコシがなくなり、スタイリングが決まらない髪が細くなっているサインです。
頭皮が脂っぽく、フケやかゆみがある脂漏性皮膚炎がAGAを悪化させる場合があります。
AGAセルフチェックで髪の細さや抜け毛を確認する男性イラスト

専門クリニックでの診断方法

セルフチェックでAGAの可能性が高いと感じた場合、または不安が解消されない場合はAGA専門のクリニックや皮膚科で相談することをお勧めします。

専門医は自己判断では難しい正確な診断を行います。 クリニックでの診断は、まず丁寧な「問診」から始まります。いつから薄毛が気になり始めたか、家族歴、生活習慣、既往歴などを詳しくヒアリングします。

次に「視診」や「触診」で、医師が直接頭皮や髪の状態(薄毛の進行パターン、髪の太さ、密度、頭皮の色や硬さなど)を確認します。

さらに詳しい診断のためにマイクロスコープを使って頭皮や毛穴、毛髪の状態を拡大して観察することもあります。これにより髪の太さのばらつき(軟毛化の度合い)や毛穴の詰まりなどを客観的に評価できます。

場合によっては血液検査を行い、他の病気(甲状腺機能の異常など)が隠れていないか、また治療薬を使用するにあたって健康状態に問題がないかを確認することもあります。

診断を受けるべきタイミング

AGAは進行性です。そのため、診断を受けるタイミングは早ければ早いほど良いと言えます。

「髪が細くなってきた」「抜け毛が増えた」など、ご自身で少しでも変化を感じた時点が、受診を検討すべきタイミングです。

「まだ大丈夫だろう」「そのうち治るかもしれない」と自己判断で放置してしまうと、その間にもAGAは進行し続けます。

AGA治療は、残っている毛根の働きを活性化させることが基本です。毛根が完全に活動を停止し、髪が生えてこなくなってから(毛穴が閉じてから)治療を始めても、十分な効果を得ることは難しくなります。

治療の効果を最大限に引き出すためにも、初期症状に気づいた段階で勇気を持って専門医の診断を受け、現状を正確に把握することが何よりも大切です。

治療開始の最適な時期はいつか

AGA治療を開始する最適な時期は、一言で言えば、髪が細くなってきたと感じたまさにその時です。AGAは進行性であるため、放置すれば症状は悪化の一途をたどります。

治療の開始が早ければ早いほど症状の進行を食い止め、良好な状態を維持できる可能性が高まります。

「気になった時」が始め時

「もう少し様子を見てから」「まだ大丈夫だろう」という先延ばしは、AGA治療において最も避けるべき判断です。なぜならAGAは一度発症すると自然に治ることがなく、進行し続けるからです。

髪が細くなってきた初期段階は、まだ多くの毛根(毛母細胞)が活動している状態です。この段階で治療を開始すれば毛根の働きをサポートし、ヘアサイクルを正常化させることで、髪が太く、強く育つ可能性が十分にあります。

しかし、進行が進み、毛根が萎縮し、活動を停止してしまうと、同じ治療を行っても反応が鈍くなり、回復が難しくなります。

したがって、「おかしいな」と感じた初期段階こそが、治療介入の最大のチャンスなのです。

早期治療のメリット

AGA治療を早期に開始することには、多くのメリットがあります。最大のメリットは現状維持、あるいは改善の可能性が格段に高まることです。

初期段階であれば抜け毛を減らし、髪の細さを改善し、薄毛の進行を食い止めることが主な目的となります。

これは、すでに薄毛がかなり進行した状態から髪を生やすことよりも、はるかに現実的で効果も実感しやすいです。

また、治療効果が早く現れやすいこともメリットの一つです。毛根の活力が残っているため、治療薬への反応も良好な場合が多いです。

さらに、症状が軽いうちに対処することで将来的に必要となるかもしれない治療の選択肢(より強力な治療や植毛など)を増やすことなく、シンプルな治療(内服薬や外用薬のみ)で対応できる可能性が高まります。

精神的な負担や、将来的な治療費用を抑えることにも繋がります。

治療開始時期による比較

項目早期(髪の細さが気になる段階)進行後(薄毛が目立つ段階)
治療の主な目的進行予防、現状維持、細毛の改善発毛、毛量の回復
期待できる効果進行を食い止め、ハリ・コシが戻る可能性が高い回復には時間がかかり、個人差も大きくなる
毛根の状態多くが活動中(休止期・成長期)活動を停止(萎縮)した毛根が増加

治療を遅らせるデメリット

逆に、治療の開始を遅らせることには多くのデメリットが伴います。

最も大きなデメリットは、その間にAGAが進行し、失われた髪を取り戻すのが難しくなることです。AGAが進行すると、毛根が徐々に小さくなり(萎縮)、やがて髪を生み出す能力を完全に失ってしまいます。

一度活動を停止した毛根を再び活性化させることは、現在の医療でも非常に困難です。 治療開始が遅れるほど元の状態に戻すための時間と労力、そして費用も多く必要になる傾向があります。

また、薄毛が目立つようになってから治療を始めても期待したほどの効果が得られず、治療への満足度が低くなってしまう可能性もあります。

髪が細くなってきたという初期サインを見逃さず、早期に行動を起こすことが、将来の髪を守るために最も賢明な選択と言えます。

AGA治療の基本的な流れと種類

AGA治療の基本的な流れと治療法イメージ図(内服薬・外用薬・注入治療)

髪が細くなってきた原因がAGAであると診断された場合、専門クリニックでは医学的根拠に基づいた治療を行います。

治療の基本はAGAの進行を抑えること、そして可能であれば発毛を促すことです。主に内服薬や外用薬が用いられますが、医師が患者さん一人ひとりの状態に合わせて適切な治療法を提案します。

専門クリニックでの相談から治療開始まで

まず、AGA専門のクリニックや皮膚科を受診すると、無料または有料のカウンセリングから始まることが多いです。カウンセラーや医師が、あなたの髪の悩み、生活習慣、家族歴などを丁寧にヒアリングします。

次に、医師による診察です。頭皮の状態、髪の太さや密度、薄毛の進行度合い(ハミルトン・ノーウッド分類など)を視診やマイクロスコープで確認し、AGAであるかどうか、またどの程度進行しているかを診断します。

診断結果に基づき、医師が具体的な治療方針を提案します。どのような治療法があるのか、それぞれの効果や副作用、費用、治療期間の目安などについて詳しい説明があります。

患者さん自身が内容を十分に理解し、納得した上で治療を開始するかどうかを決定します。

治療を開始する場合は、必要に応じて血液検査(治療薬の副作用リスクがないかなどを確認するため)を行い、処方を受けます。

主な治療薬の種類と特徴

現在のAGA治療で中心となるのは、内服薬と外用薬です。これらはAGAの原因であるDHTの生成を抑制したり、頭皮の血流を改善して発毛を促したりする働きがあります。

AGA治療薬の主な種類

種類代表的な成分主な働き
内服薬フィナステリド、デュタステリドAGAの原因であるDHT(ジヒドロテストステロン)の生成を抑え、抜け毛を防ぎ、ヘアサイクルを正常化する。
外用薬ミノキシジル頭皮の毛細血管を拡張させ、血流を増加させる。毛母細胞に直接働きかけ、発毛を促進する。

内服薬(フィナステリドやデュタステリド)はAGAの根本原因にアプローチし、進行を守る治療です。一方、外用薬(ミノキシジル)は、髪の成長を攻める治療と言えます。

症状の進行度合いや患者の希望に応じてこれらを単独で用いるか、あるいは併用する(推奨されることが多い)かが決まります。

その他の治療選択肢

内服薬や外用薬の他にも、クリニックによっては様々な治療選択肢が用意されています。

例えば、注入治療(メソセラピー)は、発毛に有効な成分(ミノキシジル、成長因子、ビタミンなど)を注射や特殊な機器を使って頭皮に直接注入する方法です。薬の浸透を高め、より直接的な効果を期待します。

また、LEDの光を頭皮に照射する低出力レーザー治療も、毛母細胞の活性化や血流改善に効果があるとされ、自宅用の機器も販売されています。

これらの治療は内服薬や外用薬と組み合わせて行うことで、相乗効果を狙う補助的な治療として位置づけられることが多いです。どの治療法が最適かは、医師と相談の上で決定します。

治療開始前に知っておきたい注意点

AGA治療は、一度始めればすぐに髪がフサフサに戻るといった魔法のようなものではありません。

治療を始める前には、その特性や注意点を正しく理解しておくことが途中で挫折せず、納得のいく結果を得るために重要です。

治療は継続が重要

AGA治療の最大のポイントは継続です。AGAは進行性の疾患であり、治療薬(特に内服薬)はAGAの進行を抑えている状態を作ります。

治療を開始して効果が現れ始めたとしても、それは薬の力によってヘアサイクルが改善されているためです。

もし自己判断で治療をやめてしまうと、抑えられていたDHTの生成が再び活発になり、ヘアサイクルは元の乱れた状態に戻ってしまいます。

その結果、抜け毛が再び増え始め、治療によって得られた効果は数ヶ月のうちに失われてしまうことがほとんどです。

効果を実感するまでにも、最低3ヶ月から6ヶ月は必要です。治療は長期戦であることを理解し、医師の指示に従って根気強く続けることが何よりも大切です。

副作用の可能性について

AGA治療薬は医薬品である以上、効果がある一方で、副作用のリスクもゼロではありません。頻度は非常にまれですが、どのような可能性があるのかを知っておくことは重要です。

AGA治療薬の主な副作用の例

薬剤成分報告されている主な副作用(頻度はまれ)
フィナステリド/デュタステリド(内服)性欲減退、勃起機能不全(ED)、肝機能障害など
ミノキシジル(外用)頭皮のかゆみ、かぶれ、発疹、初期脱毛(※)など
ミノキシジル(内服・国内未承認)動悸、むくみ、多毛症、低血圧など

(※)初期脱毛:外用ミノキシジル使用開始後、数週間程度、一時的に抜け毛が増える現象。ヘアサイクルがリセットされる過程で起こる好転反応とされます。

これらの副作用の多くは使用を中止すれば改善すると報告されています。治療中に体調の変化を感じた場合は、すぐに医師に相談してください。

また、安全に治療を続けるため、定期的な血液検査を推奨するクリニックもあります。

治療中の生活習慣の見直し

AGA治療薬が根本的な対策である一方、健やかな髪を育てるための土台を整えることも非常に重要です。

偏った食生活や睡眠不足、ストレスは頭皮の血行を悪化させ、髪の成長を妨げます。治療効果を最大限に引き出すためにも、生活習慣の見直しを並行して行いましょう。

  • バランスの取れた食事(タンパク質、ビタミン、ミネラル)
  • 質の良い睡眠(6時間~7時間以上)
  • 適度な運動(血行促進)
  • ストレスの管理(リラックスできる時間を作る)
  • 禁煙(喫煙は血管を収縮させます)

クリニック選びのポイント

AGA治療は長期間にわたるパートナーシップです。したがって、どのクリニックで治療を受けるかは非常に重要です。

まず、AGA治療の経験が豊富な専門のクリニックや医師を選ぶことが基本です。ウェブサイトなどで実績や治療方針を確認しましょう。

次に、費用が明確であることです。治療は継続が必要なため、月々どれくらいの費用がかかるのか、薬代以外に必要な費用(診察料、検査料など)はないか、事前に確認することが大切です。

そして何より、医師やスタッフがあなたの悩みに親身になって耳を傾け、治療法や副作用について丁寧に説明してくれるかどうかが重要です。

複数のクリニックでカウンセリングを受け、ご自身が「ここなら信頼して任せられる」と感じる場所を選ぶことをお勧めします。

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髪が細くなってきた時の症状や治療に関するよくある質問

髪が細くなってきた時の症状や治療に関して、多くの方が抱く疑問にお答えします。

治療を開始するとすぐに効果が出ますか?

AGA治療の効果を実感するまでには個人差がありますが、一般的に3ヶ月から6ヶ月程度の継続が必要です。

これは、乱れたヘアサイクル(髪の成長サイクル)が正常に戻り、新しく生えてくる髪が太く健康に育つまでに時間が必要だからです。

治療開始後1ヶ月~2ヶ月頃に、一時的に抜け毛が増える初期脱毛が起こることもありますが、これは治療が効いているサイン(好転反応)である場合が多いです。

焦らず、医師の指示に従って治療を続けることが大切です。

治療薬を途中でやめるとどうなりますか?

AGAは進行性の疾患です。治療薬(特に内服薬)は、AGAの進行を抑えている状態を維持するものです。

もし自己判断で治療を中断すると、抑えられていたAGAの原因(DHTの生成など)が再び活発になり、ヘアサイクルは治療前の乱れた状態に戻っていきます。

その結果、抜け毛が再び増え始め、治療によって改善した髪の状態も、数ヶ月かけて元に戻ってしまう可能性が非常に高いです。

治療の継続や中止については、必ず医師と相談してください。

生活習慣の改善だけで髪は太くなりますか?

バランスの取れた食事、十分な睡眠、適度な運動、ストレス管理といった生活習慣の改善は、頭皮環境を整え、髪の健やかな成長をサポートするために非常に重要です。

しかし、髪が細くなっている原因がAGAである場合、AGAは男性ホルモンや遺伝が関わる疾患です。

そのため、生活習慣の改善だけで進行を止めたり、細くなった髪を太く戻したりすることは困難です。

生活習慣の改善は、あくまで専門的なAGA治療の効果を高めるための土台作りと捉え、治療と並行して行うことを強く推奨します。

どのクリニックを選べばよいですか?

AGA治療は継続が重要なため、クリニック選びは非常に大切です。まず、AGA治療の症例や経験が豊富な専門のクリニックや、皮膚科専門医がいる医療機関を選びましょう。

次に、費用体系が明確であることも重要です。月々の薬代の他に診察料や検査料が別途必要なのかなど、総額でどれくらいかかるのかを事前に確認しましょう。

そして最も大切なのは、医師があなたの話をよく聞き、治療の選択肢、効果、副作用のリスクについて丁寧に説明してくれるかどうかです。

無料カウンセリングなどを利用してクリニックの雰囲気や医師との相性を確認し、ご自身が信頼できると感じた場所を選ぶことをお勧めします。

記事のまとめ
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