リウマチによる抜け毛対策と治療法

リウマチの治療中に、ふと髪のボリュームが減ったと感じたり、抜け毛が増えたりすると、大きな不安を感じるものです。

「このまま薄毛が進行してしまうのだろうか」「リウマチと関係があるのか」と悩んでいませんか。

リウマチによる抜け毛には病気そのものの影響や治療薬の副作用など、いくつかの要因が考えられます。しかし適切な対策と治療法を知ることで、その進行を食い止め、改善を目指すことは可能です。

この記事ではリウマチと抜け毛の関係性を解き明かし、ご自身でできる日常の対策から専門的な治療法までを詳しく解説します。

あなたの髪の悩みを解消するための一助となれば幸いです。

リウマチで抜け毛が起こる主な原因

リウマチで抜け毛が起こる主な原因は病気の活動性、使用する薬剤の副作用、そしてそれに伴うストレスの3つが挙げられます。

これらの要因が単独、あるいは複合的に絡み合って脱毛を引き起こすと考えられています。

関節リウマチそのものが与える影響

関節リウマチは自己免疫疾患の一つであり、免疫系が自身の体を攻撃することで関節などに炎症を引き起こします。

この免疫異常や炎症が髪の毛の成長サイクル（毛周期）に影響を与え、抜け毛を誘発することがあります。

特にリウマチの活動性が高い時期（症状が悪化している時期）には体への負担が大きくなり、髪の毛の成長が妨げられやすくなります。

髪の毛を作る毛母細胞の働きが弱まると、髪が十分に成長する前に抜け落ちてしまう「休止期脱毛」という状態になることがあります。

治療薬（DMARDsなど）による副作用

リウマチ治療の柱となる抗リウマチ薬（DMARDs）の中には、副作用として脱毛が報告されているものがあります。代表的なのはメトトレキサート（MTX）です。

この薬は細胞の増殖を抑える作用があり、炎症を引き起こす免疫細胞の働きを抑制しますが、同時に髪の毛を作る毛母細胞のような活発に分裂する細胞にも影響を与えやすいのです。

その結果、髪の毛が細くなったり、抜けやすくなったりすることがあります。ただし、すべての人に副作用が出るわけではなく、用量や個人差によります。

リウマチ抜け毛の主な要因

要因	具体的な内容	対策の方向性
疾患そのもの	免疫異常、炎症、活動性の高さ	リウマチ自体の治療とコントロール
治療薬の副作用	メトトレキサート（MTX）など	主治医と相談し薬剤調整や葉酸補充
ストレス・その他	痛みによる精神的ストレス、栄養不足	セルフケア、ストレス管理、栄養改善

精神的なストレスと脱毛の関係

関節の痛みや腫れ、日常生活への支障などリウマチは大きな精神的ストレスを伴う病気です。長期間にわたるストレスは自律神経やホルモンバランスの乱れを引き起こします。

自律神経が乱れると頭皮の血管が収縮し、毛根への血流が悪化する可能性があります。血流が悪くなると髪の毛の成長に必要な酸素や栄養素が十分に行き渡らなくなり、抜け毛が増加する一因となります。

また、痛みによる睡眠不足も、髪の健やかな成長を妨げる要因です。

栄養状態の変化と頭皮環境

リウマチの症状が強い時期には痛みや倦怠感から食欲が低下し、栄養バランスが偏りがちになることがあります。

髪の毛は主にタンパク質（ケラチン）でできており、その成長には亜鉛やビタミン類なども必要です。これらの栄養素が不足すると健康な髪の毛を作ることが難しくなり、抜け毛や薄毛につながります。

また、全身の炎症は頭皮環境にも影響を与え、乾燥やかゆみ、皮脂の過剰分泌などを引き起こし、抜け毛を助長することもあります。

リウマチによる抜け毛の特徴とAGAとの違い

リウマチによる抜け毛は髪全体が均一に薄くなる「びまん性脱毛」が多いのに対し、AGA（男性型脱毛症）は生え際や頭頂部から薄くなる特徴があり、原因も異なります。

ご自身の抜け毛がどちらのタイプに近いかを知ることは、適切な対策を講じる上で重要です。

脱毛のパターン（びまん性脱毛）

リウマチに関連する抜け毛の多くは、「びまん性脱毛」と呼ばれるパターンをとります。これは頭部全体で均一に髪の毛が抜け落ち、全体のボリュームが減少する状態を指します。

特定の場所だけが極端に薄くなるというよりは、分け目が目立つようになったり、髪を束ねたときの太さが細くなったりすることで気づくことが多いです。

これは病気や薬剤、ストレスなどが毛周期全体に影響を与え、多くの髪の毛が同時に休止期に入ってしまうために起こります。

AGA（男性型脱毛症）との見分け方

AGA（男性型脱毛症）は男性ホルモン（DHT）の影響で毛周期が乱れ、主に前頭部（生え際）や頭頂部（つむじ周り）の髪の毛が細く、短くなっていくのが特徴です。

進行パターンが比較的はっきりしており、側頭部や後頭部の髪は影響を受けにくい傾向があります。

一方、リウマチによるびまん性脱毛は部位に関係なく全体的に薄くなります。この違いを理解することは大切です。

リウマチ性脱毛とAGAの主な違い

項目	リウマチによる抜け毛（びまん性脱毛）	AGA（男性型脱毛症）
主な原因	疾患の活動性、薬剤、ストレスなど	男性ホルモン（DHT）、遺伝
脱毛部位	頭部全体が均一に薄くなる	生え際、頭頂部が局所的に薄くなる
進行速度	原因により比較的急速に進むことも	ゆっくりと時間をかけて進行する

抜け毛以外の頭皮の症状

リウマチの活動性が高い場合や、体調がすぐれないときには頭皮にも変化が現れることがあります。

例えば頭皮の乾燥が進んでフケが増えたり、逆にかゆみや赤み、皮脂の過剰分泌が見られたりすることもあります。これらは頭皮環境の悪化を示しており、抜け毛をさらに悪化させる要因となり得ます。

AGAでは頭皮が脂っぽくなる（脂漏性）傾向が見られることもありますが、リウマチの場合は乾燥と脂っぽさの両方の可能性が考えられます。

脱毛が起こりやすい時期

リウマチによる抜け毛が起こりやすい時期には、いくつかの傾向があります。

一つは、リウマチの症状が悪化している「活動期」です。炎症やストレスが体に強くかかっている時期は、髪への影響も出やすくなります。

もう一つは、メトトレキサート（MTX）などの治療薬を開始した直後や、用量を増やした時です。体が薬に慣れるまで、あるいは副作用が出やすい用量に達した際に、一時的に抜け毛が増えることがあります。

抜け毛を引き起こす可能性のあるリウマチ治療薬

リウマチ治療薬の中には、メトトレキサート（MTX）や一部の生物学的製剤など副作用として脱毛が報告されているものがあります。

ただし、これらの薬が必ずしも抜け毛を引き起こすわけではなく、その頻度や程度には個人差が大きいことを理解しておく必要があります。

メトトレキサート（MTX）と葉酸代謝

メトトレキサート（MTX）は、リウマチ治療において中心的な役割を果たす薬剤です。この薬は葉酸の働きを阻害することで免疫細胞の過剰な増殖を抑えます。

しかし、髪の毛を作る毛母細胞も細胞分裂が活発であるため、MTXの影響を受けて増殖が抑制され、結果として抜け毛が起こることがあります。

この副作用の対策として、MTXの作用を妨げない形で葉酸製剤を補充することが一般的です。通常、MTXを服用した翌日や翌々日に葉酸を服用します。

脱毛の副作用が報告される主な薬剤

薬剤の種類	代表的な薬剤名（一般名）	抜け毛への影響（可能性）
抗リウマチ薬（DMARDs）	メトトレキサート（MTX）	葉酸代謝を阻害し、毛母細胞の増殖に影響
生物学的製剤（一部）	TNFα阻害薬など	頻度は高くないが報告例あり
免疫抑制剤（その他）	レフルノミド、アザチオプリンなど	MTXと同様に細胞増殖への影響

生物学的製剤と脱毛の関連性

生物学的製剤は炎症を引き起こす特定の物質（サイトカインなど）の働きをピンポイントで抑える薬です。

高い治療効果が期待できる一方、一部の薬剤（特にTNFα阻害薬など）で、まれに脱毛が報告されることがあります。ただし、MTXと比較するとその頻度は低いとされています。

もし生物学的製剤の使用開始後に抜け毛が気になり始めた場合は、薬との関連性を主治医と相談することが大切です。

その他の免疫抑制剤の影響

MTX以外にも、レフルノミドやアザチオプリンといった免疫抑制作用を持つ抗リウマチ薬が使用されることがあります。

これらの薬剤も細胞の増殖を抑える作用機序を持つため、副作用として脱毛が起こる可能性があります。

どの薬剤が原因となっているか、あるいは薬剤以外の要因（リウマチの活動性など）が原因かを判断するには、専門医による診断が必要です。

薬による抜け毛への基本的な考え方

リウマチ治療薬による抜け毛は多くの場合、治療の継続によって体が慣れてきたり、葉酸の補充などで軽減されたりすることが期待できます。

また、薬の副作用による脱毛は薬の使用を中止すれば回復することがほとんどです。リウマチの炎症を抑えることは関節の保護だけでなく、全身の健康状態を保つ上でも非常に重要です。

抜け毛が気になる場合でも自己判断で薬を中断せず、まずは主治医に相談し、リウマチのコントロールと抜け毛対策のバランスを取ることが求められます。

すぐに始めたいリウマチ抜け毛の日常的な対策

リウマチによる抜け毛対策の基本は主治医への相談に加え、頭皮の血行促進、栄養バランスの取れた食事、ストレス管理といったセルフケアです。

これらは髪の毛が育ちやすい環境を整えるために重要な取り組みです。

頭皮環境を整えるヘアケア方法

抜け毛が気になる時は頭皮への刺激を減らし、清潔に保つことが基本です。シャンプーはアミノ酸系などの低刺激なものを選び、指の腹を使って優しくマッサージするように洗いましょう。

熱すぎるお湯は頭皮の乾燥を招くため、ぬるま湯（38度程度）が適しています。

洗髪後はタオルで優しく水分を拭き取り、ドライヤーで早めに乾かします。ただし、ドライヤーの熱風を頭皮に近づけすぎないよう注意が必要です。

丁寧なヘアケアのポイント

手順	ポイント	注意点
洗髪前	ブラッシングで埃や絡まりを取る	無理に引っ張らない
シャンプー	指の腹で優しくマッサージ洗い	爪を立てない、熱いお湯を避ける
乾燥	タオルドライ後、ドライヤーで根本から乾かす	頭皮に熱風を当てすぎない

髪の成長を支える栄養素と食事

健康な髪の毛は、日々の食事から作られます。特にタンパク質、亜鉛、ビタミン類は髪の成長に重要です。

タンパク質は髪の主成分（ケラチン）の材料となり、肉、魚、卵、大豆製品に多く含まれます。亜鉛はケラチンの合成を助けるミネラルで、牡蠣やレバー、ナッツ類に豊富です。

ビタミンB群やビタミンEは頭皮の血行を促進したり、新陳代謝を助けたりする働きがあります。

リウマチの症状で食事が偏りがちな時は、これらの栄養素を意識して摂取するよう心がけましょう。

髪の健康に役立つ主な栄養素

栄養素	主な働き	多く含む食品例
タンパク質	髪の主成分（ケラチン）の材料	肉、魚、卵、大豆製品
亜鉛	ケラチンの合成を助ける	牡蠣、レバー、赤身肉、ナッツ類
ビタミンB群	頭皮の新陳代謝、血行促進	豚肉、レバー、青魚、玄米

良質な睡眠の確保

髪の毛は私たちが眠っている間、特に成長ホルモンが多く分泌される夜間に成長します。

リウマチによる痛みで睡眠が妨げられることもあるかもしれませんが、できるだけ質の良い睡眠を確保することが髪の健康にもつながります。

寝る前にリラックスできる時間を作ったり、寝室の環境を整えたりする工夫が有効です。

痛みが強い場合は主治医に相談し、適切な鎮痛対策を行うことも睡眠の質を改善する上で大切です。

ストレスコーピングとリラクゼーション

リウマチという病気と向き合う中で、ストレスをゼロにすることは難しいかもしれません。しかし、ストレスを上手に管理（コーピング）することは可能です。

ストレスは頭皮の血流を悪化させ、抜け毛の原因となります。

• 趣味や好きなことに没頭する時間を持つ
• ウォーキングなど、関節に負担の少ない軽い運動
• 親しい友人や家族と話す

これらのような、ご自身に合った方法で心身をリラックスさせることが、結果として頭皮環境の改善にもつながります。

医療機関で行う抜け毛の診断と検査

医療機関では抜け毛の原因を特定するために、まず問診と視診を行い、必要に応じて血液検査や頭皮の詳しい検査を進めます。

リウマチによるものか、AGAなど他の原因が隠れていないかを正確に判断するためです。

専門医（皮膚科・リウマチ科）の役割

リウマチ患者さんの抜け毛の場合、まずはリウマチの主治医（リウマチ科）に相談することが第一歩です。

使用している薬剤の副作用の可能性や、リウマチの活動性との関連について評価してもらえます。同時に、抜け毛や頭皮の状態を専門的に診断するために皮膚科の受診を勧められることもあります。

特にAGAメディアとしてはAGAの合併が疑われる場合、皮膚科や薄毛治療専門クリニックの役割が重要になる点を押さえておく必要があります。

問診で確認される内容

診察では、まず詳しい問診が行われます。

いつから抜け毛が気になり始めたか、1日にどれくらい抜けるか、抜け毛以外の頭皮の症状（かゆみ、フケなど）はないか、リウマチの症状や治療内容、生活習慣（食事、睡眠、ストレス）などについて詳しく尋ねられます。

これらの情報は、抜け毛の原因を探る上で重要な手がかりとなります。

血液検査で調べる項目

抜け毛の原因として、リウマチ以外にも甲状腺機能の異常や、貧血（鉄欠乏）、亜鉛不足などが隠れていることがあります。これらを調べるために、血液検査が行われるのが一般的です。

リウマチの活動性を測る炎症反応（CRPやESR）と合わせて甲状腺ホルモン値、血算（貧血の有無）、血清鉄、亜鉛の値などをチェックし、全身状態から抜け毛の原因を評価します。

抜け毛診断のための主な血液検査項目

検査項目例	調べる目的
炎症反応（CRP, ESR）	リウマチの活動性の評価
甲状腺ホルモン（TSH, FT4）	甲状腺機能低下症・亢進症の有無
血算、血清鉄、フェリチン	貧血（鉄欠乏性貧血）の有無
亜鉛	髪の成長に必要なミネラルの不足確認

頭皮マイクロスコープ検査

皮膚科や専門クリニックでは、マイクロスコープ（拡大鏡）を使って頭皮の状態や毛穴、髪の毛の太さを詳しく観察することがあります。

これにより、頭皮の炎症の有無、皮脂の詰まり具合、髪の毛が細くなっている（軟毛化）の程度などを視覚的に確認できます。

AGAの場合は特徴的な軟毛化が見られますが、びまん性脱毛の場合は全体的に毛の本数が減っている様子が観察されることが多いです。

リウマチ患者向けの抜け毛治療法

リウマチ患者の抜け毛治療はリウマチ自体のコントロールを最優先しつつ、薬剤の調整や頭皮ケア、場合によっては脱毛症治療薬の使用を検討します。リウマチ治療との兼ね合いが非常に重要です。

リウマチ治療（原疾患）のコントロール

最も重要な治療法は、リウマチそのものの活動性を良好にコントロールすることです。

リウマチによる炎症や免疫異常が抜け毛の一因である場合、適切な治療によってリウマチの症状が落ち着けば（寛解状態になれば）、抜け毛も自然と改善していくことが期待できます。

主治医の指示に従って治療を継続し、リウマチの活動性を低く保つことが、抜け毛対策の土台となります。

薬剤の変更・調整の可能性

もし抜け毛の原因が、メトトレキサート（MTX）などの治療薬の副作用である可能性が高いと判断された場合、主治医はリウマチの活動性を見ながら薬剤の調整を検討します。

例えばMTXの用量を減らしたり、葉酸の補充量を増やしたり、あるいは他の薬剤への変更を考えたりします。

ただし、これらの判断はリウマチ治療全体への影響を考慮して慎重に行う必要があり、自己判断での減薬や中断は絶対にしてはいけません。

外用薬（ミノキシジルなど）の使用

リウマチ治療と並行して、抜け毛に対する直接的な治療として、ミノキシジル外用薬の使用が検討されることがあります。

ミノキシジルは頭皮の血流を改善し、毛母細胞の働きを活性化させることで発毛を促す効果が認められています。

市販薬もありますが、リウマチ治療中の方は使用前に必ず主治医や皮膚科医に相談し、現在の治療との併用に問題がないか確認することが大切です。

内服薬（AGA治療薬）の併用に関する注意点

リウマチによる抜け毛とAGAが合併している場合、AGA治療薬（フィナステリドやデュタステリド）の内服が選択肢になることもあります。これらの薬は男性ホルモンに作用する薬です。

しかし、リウマチ治療で既に多くの薬を服用している場合、薬の飲み合わせ（相互作用）や肝臓への負担などを考慮する必要があります。

AGA治療薬の開始にあたっては、リウマチの主治医と薄毛治療の専門医が連携し、その必要性と安全性を慎重に判断することが求められます。

抜け毛対策としてのリウマチ治療薬の調整

抜け毛がリウマチ治療薬の副作用である場合、リウマチの活動性を見ながら主治医が葉酸の追加処方や薬剤の変更・減量を検討することが対策となります。

患者さん自身と主治医との良好な関係性が重要です。

主治医への相談タイミング

抜け毛が気になり始めたら、我慢せずに早めに主治医に相談することが大切です。「抜け毛くらいで大げさかもしれない」と遠慮する必要はありません。

特に治療薬の変更や増量があった後に抜け毛が増えた場合や、抜け毛の量が急に増えて日常生活で不安を感じるようになった場合は、次の診察を待たずに連絡することも検討しましょう。

メトトレキサート（MTX）と葉酸の補充

MTXによる抜け毛対策として最も一般的に行われるのが、葉酸製剤の適切な補充です。

MTXは葉酸の働きを妨げるため、体内の葉酸が不足しがちになります。これにより抜け毛や口内炎などの副作用が出やすくなります。主治医はMTXの副作用を軽減するために葉酸を処方します。

もし抜け毛が増えてきた場合、葉酸の服用が適切に行われているか（MTX服用の翌日か翌々日に飲んでいるかなど）を確認し、場合によっては葉酸の増量を検討することもあります。

頭皮マッサージの際の注意点

• 爪を立てず、指の腹を使う
• 強く擦ったり、叩いたりしない
• 頭皮が動く程度の優しい力加減で行う

薬の自己判断による中断リスク

抜け毛が心配だからといって、ご自身の判断でリウマチの治療薬を中断したり、減らしたりすることは絶対に避けてください。

治療薬を中断することでリウマチの活動性が一気に高まり、関節の痛みや腫れが再燃（再発）する危険性があります。関節の炎症が続くと関節破壊が進行してしまう可能性もあります。

抜け毛の問題よりも、リウマチのコントロールを優先することが、長期的な健康維持のために最も重要です。

治療薬と抜け毛のバランス

リウマチ治療は病気の活動性を抑える「効果」と、抜け毛を含む「副作用」のバランスを常に考慮しながら進められます。

主治医は患者さんの関節の状態、血液検査のデータ、そして抜け毛などの自覚症状を総合的に評価し、その時点での最善の治療法を選択します。

抜け毛がつらいという患者さんの気持ちも治療計画を立てる上で重要な情報です。遠慮なく主治医に伝え、一緒に最適なバランス点を見つけていくことが大切です。

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リウマチによる抜け毛に関するよくある質問

リウマチによる抜け毛に関して、多くの方が抱く疑問についてお答えします。

リウマチの症状が改善すれば抜け毛も治まりますか？

抜け毛の原因がリウマチの活動性そのものにある場合、治療によって炎症が治まり、全身状態が改善するにつれて、抜け毛も自然と減少していくことが期待できます。

ただし、髪の毛には成長サイクル（毛周期）があるため、症状が改善してから抜け毛が減るまでに数ヶ月程度の時間がかかることが一般的です。

抜け毛対策に市販の育毛剤を使ってもよいですか？

市販の育毛剤や発毛剤（ミノキシジル配合のものなど）を使用する前に、まずは主治医や皮膚科医に相談することをお勧めします。

リウマチ治療で使用している薬剤との兼ね合いや、現在の頭皮の状態（炎症や乾燥の有無）によっては、使用を控えた方がよい場合もあるためです。

特に頭皮に赤みやかゆみがある場合は、育毛剤の成分が刺激になる可能性もあります。

髪型やスタイリングで気をつけることはありますか？

抜け毛が気になる時期は、頭皮や髪に負担をかけるヘアスタイルは避ける方が賢明です。

例えば、髪を強く引っ張るポニーテールや編み込み（牽引性脱毛症の原因になる）、あるいはパーマやカラーリングなどは、頭皮や毛髪にダメージを与える可能性があります。

できるだけ頭皮に優しい髪型を心がけ、スタイリング剤も頭皮に直接つかないように使用しましょう。

治療薬を変更したらすぐに抜け毛は減りますか？

薬剤の副作用による抜け毛の場合、原因となる薬剤の変更や減量が行われると、抜け毛は次第に減少に向かいます。

しかし、ヘアサイクルの関係上、すぐに抜け毛がゼロになるわけではありません。

影響を受けてすでに休止期に入ってしまった髪の毛が抜け落ちるまでには時間がかかるため、効果を実感するまでには1〜3ヶ月程度、あるいはそれ以上かかることもあります。

抜け毛がひどい場合、ウィッグも検討すべきですか？

抜け毛によって外見の変化が大きな精神的ストレスになる場合は、医療用ウィッグ（かつら）の使用も有効な対策の一つです。

最近のウィッグは非常に自然で、通気性なども考慮されています。ウィッグを使用することで、人の目を気にせず安心して治療に専念できるというメリットもあります。

精神的な安定は、リウマチ治療そのものにも良い影響を与えます。