髪のボリュームや生え際の変化が気になり、「何とかしたい」と焦りを感じている男性は少なくないようです。
育毛剤やシャンプーを変えても変化がないとき、見落としがちなのが体の内側からの栄養補給、特に「亜鉛」の摂取です。
亜鉛は髪の主成分であるケラチンの合成に必要であり、不足すると髪が育たないだけでなく、抜け毛の原因にもなります。
しかし、亜鉛は「吸収率が非常に悪い」という厄介な性質を持っているため、ただ摂取するだけでは不十分です。
そこで鍵となるのが「キレート効果」です。キレート効果とは、吸収されにくい亜鉛をコーティングして体内にスムーズに届ける仕組みを指します。
この記事では、亜鉛のキレート効果が薄毛対策にどう役立つのか、そして効果を最大化するための具体的な摂取方法について解説します。
この記事の執筆者

AGAメディカルケアクリニック 統括院長
前田 祐助
【経歴】
慶應義塾大学医学部医学研究科卒業
慶應義塾大学病院 初期臨床研修課程終了
大手AGAクリニック(院長)を経て、2018年に薄毛・AGA治療の「AGAメディカルケアクリニック」新宿院を開設
2020年に横浜院、2023年に東京八重洲院を開設
資格・所属学会・症例数
【資格】
- 医師免許
- ⽇本医師会認定産業医
- 医学博士
【所属学会】
- 日本内科学会
- 日本美容皮膚科学会
- 日本臨床毛髪学会
【症例数】
3万人以上※
※2018年5月~2022年12月AGAメディカルケアクリニック全店舗の延べ患者数
亜鉛が髪の成長を助ける理由と不足したときのリスク
亜鉛は、髪の毛の成長プロセスにおいてエンジンのような役割を果たしており、この栄養素が不足することは薄毛リスクの増大につながります。
髪の毛はそのほとんどがケラチンというタンパク質でできていますが、食事で摂ったタンパク質を髪に変えるためには亜鉛の助けが必要です。
さらに、男性を悩ませるAGA(男性型脱毛症)の原因物質を抑制する働きも持っているため、亜鉛は「育毛」と「抜け毛予防」の両面で活躍します。
亜鉛が体内でどのように髪を支えているのか、そして不足すると具体的にどのようなダメージがあるのかを詳しく見ていきましょう。
髪の主成分であるケラチンの合成には亜鉛が必要
私たちの髪は、肉や魚などの食事から摂取したタンパク質が体内でアミノ酸に分解され、再び「ケラチン」というタンパク質に組み換えられることで作られます。
この再合成の作業を行う際に、アミノ酸同士をつなぎ合わせる接着剤のような不可欠な役割を果たすのが亜鉛です。
もし体内に十分な亜鉛がないと、いくら良質なタンパク質を大量に摂取しても、それらは髪の毛として合成されずに終わってしまいます。
つまり、亜鉛不足は髪の製造ラインをストップさせることと同じであり、結果として髪が細くなったり、伸びるのが遅くなったりします。
太く丈夫な髪を育てるためには、材料となるタンパク質だけでなく、作業員である亜鉛を常に現場に送り続ける取り組みが大切です。
脱毛ホルモンの生成を抑える働きが期待できる
多くの男性が恐れるAGA(男性型脱毛症)は、テストステロンという男性ホルモンが「5αリダクターゼ」という還元酵素と結びつくことで発症します。
これが「ジヒドロテストステロン(DHT)」という強力な脱毛ホルモンに変化し、毛根を攻撃して髪の成長期を強制的に終わらせてしまうのです。
亜鉛には、この諸悪の根源である5αリダクターゼの働きを阻害する作用があることが、近年の研究で示唆されています。
もちろん、亜鉛だけでAGAを完全に治療するのは難しいですが、脱毛ホルモンの生成を抑えるサポート役として機能します。
日々の摂取が将来の薄毛リスクを減らす盾となりますので、守りの育毛という観点からも、亜鉛は非常に重要です。
亜鉛欠乏が招く髪と頭皮への悪影響
| 症状 | 具体的な状態 | 髪へのリスク |
|---|---|---|
| 抜け毛の増加 | ヘアサイクルが乱れ成長期が短くなる | 高(薄毛直結) |
| 髪質の低下 | 髪が細くなりハリやコシが失われる | 中(ボリューム減) |
| 白髪の発生 | メラニン色素の生成が滞る | 中(見た目の老化) |
| 頭皮環境悪化 | 皮膚の代謝が落ちフケや乾燥を招く | 低(間接的影響) |
亜鉛不足が続くと抜け毛や白髪が増えるのか
亜鉛不足が慢性化すると、抜け毛が増えるだけでなく、白髪の増加という別の悩みも引き起こす場合があります。髪を黒くしているメラニン色素を作る細胞も、活動するために亜鉛を必要としているからです。
亜鉛が足りないと色素細胞の機能が低下し、新しく生えてくる髪に色がつきにくくなる可能性があります。
さらに、毛母細胞という髪を作る工場の細胞分裂も滞るため、毛根が萎縮して抜け落ちやすくなってしまいます。
「最近、抜け毛が増えたな」「急に白髪が目立つようになったな」と感じる場合、それは頭皮の老化だけが原因ではありません。
慢性的な亜鉛不足のサインである可能性があるため、髪の若々しさを保つためには、不足させない意識を持ち続けましょう。
キレート効果が亜鉛の吸収率を高める具体的な働き
亜鉛を摂取する上で最大のハードルとなるのが、その「吸収率の悪さ」ですが、これを解決する鍵がキレート効果です。
亜鉛は単体では腸管で吸収されにくく、食べたものの約70%はそのまま体外に排出されてしまうといわれています。
しかし、亜鉛をアミノ酸などで包み込む「キレート加工」を行うと、体への吸収率を劇的に高めることが可能です。
効率よく髪に栄養を届けるためには、ただ亜鉛を摂るのではなく、このキレート効果を理解し活用しましょう。
吸収されにくい亜鉛をアミノ酸で包み込む
通常、食事から摂取された亜鉛は、腸の中で食物繊維やフィチン酸といった他の成分と結びつきやすく、吸収されないまま排出される運命にあります。
しかし、亜鉛をアミノ酸や有機酸の分子でカニのハサミのように挟み込んで(キレートして)包み込むと、状況は一変します。
アミノ酸でコーティングされた亜鉛は、腸壁の吸収ゲートで「これは亜鉛ではなくアミノ酸だ」と認識され、スムーズに通過できるようになります。
まるでセキュリティの厳しい入り口を、顔パスが許されたVIPと一緒に通過するようなものです。
この仕組みによって、本来なら無駄になってしまう亜鉛を、しっかりと体内に取り込むことができるようになります。
クエン酸やビタミンCと一緒に摂ると吸収が良い
サプリメントに頼らなくても、食事の組み合わせを工夫すると、体内でのキレート効果に似た現象を起こせます。
その代表的なパートナーが「クエン酸」と「ビタミンC」であり、これらは亜鉛を包み込んで溶けやすい形に変え、吸収を助けます。
居酒屋で生牡蠣にレモンを絞ったり、焼き魚にすだちを添えたりするのは、味の相性が良いだけでなく、栄養学的にも理にかなっています。
亜鉛を多く含む食材を食べる際は、梅干し、レモン、グレープフルーツ、ブロッコリーなど、酸味のあるものを一緒に並べましょう。
ビタミンCが豊富な野菜を一緒に摂るように意識するだけで、吸収率は大きく変わります。
キレート加工されたサプリメントを選ぶメリット
市販の亜鉛サプリメントを選ぶ際、パッケージの裏面を見て「グルコン酸亜鉛」や「ピコリン酸亜鉛」といった表記があるかを確認してください。
これらはあらかじめキレート加工が施された亜鉛であり、安価な「酸化亜鉛」などと比較して、体内への吸収スピードや利用効率が格段に優れています。
特に、胃腸が弱く栄養の吸収力に自信がない人や、短期間でしっかりと血中の亜鉛濃度を上げて髪への効果を期待したい人もいるでしょう。
そのような場合は、吸収効率の良いキレートタイプのサプリメントを選ぶことが、賢明な投資となります。
代表的なキレート亜鉛の種類と特徴
| 種類 | 特徴 | 吸収性の高さ |
|---|---|---|
| グルコン酸亜鉛 | 食品添加物として一般的で安全性が高い | 高い |
| ピコリン酸亜鉛 | 有機酸と結合し非常に吸収されやすい | 非常に高い |
| 酵母亜鉛 | 酵母に取り込ませた自然に近い形 | 中程度 |
| 酸化亜鉛 | 安価だが吸収率は低く胃への負担がある | 低い |
効率よく亜鉛を摂取するための食事と食べ合わせ
サプリメントは便利ですが、基本はやはり毎日の食事から自然な形で栄養を摂ることであり、食材選びと食べ合わせが髪の運命を左右します。
亜鉛は特定の食品に偏って含まれているため、意識的にメニューを選ばないと簡単に不足してしまいます。
さらに、せっかく亜鉛を摂っても、同時に食べるものが悪ければ吸収を阻害されてしまう場合もあります。
髪のために積極的に選びたい食材と、コンビニでもできる手軽な工夫、そして避けるべきNGな食べ合わせについて解説します。
牡蠣やレバーなど亜鉛を豊富に含む食品を食べる
亜鉛の王様といえば「生牡蠣」です。数個食べるだけで1日の必要量を余裕でクリアできるほどの圧倒的な含有量を誇ります。
しかし、毎日牡蠣を食べるのは現実的ではないため、日常的には豚レバー、牛の赤身肉、卵、納豆などをローテーションで食べるのがおすすめです。
特に牛肉の赤身は、亜鉛だけでなく髪の材料となる良質なタンパク質や鉄分も同時に摂れるため、薄毛が気になる男性には最強の食材です。
魚派の人は、うなぎや煮干し、ホタテなどを意識して選ぶと良いでしょう。和食を中心とした献立を心がけるだけで、自然と亜鉛の摂取量は底上げされます。
日常で使いやすい高亜鉛食品
| 食品名 | 亜鉛含有量(mg/100g) | おすすめ調理法 |
|---|---|---|
| 牡蠣(生) | 約13.2 | レモンをかけて生食かフライ |
| 豚レバー | 約6.9 | ニラと炒めてレバニラに |
| 牛肩ロース | 約6.4 | ステーキや焼肉でシンプルに |
| パルメザンチーズ | 約7.3 | サラダやパスタにかける |
コンビニでも買える手軽な亜鉛摂取メニュー
忙しくて自炊ができない日でも、コンビニエンスストアでの選び方ひとつで髪への貢献度は変わります。
ランチにおにぎりやカップ麺だけを選ぶのではなく、サイドメニューとしてゆで卵、冷奴、サバの塩焼きなどを追加してください。
おやつやおつまみには、スナック菓子ではなく、アーモンドやカシューナッツ、ビーフジャーキー、あたりめなどを選ぶのが正解です。特にナッツ類は良質な脂質も含まれており、髪のツヤを守る助けにもなります。
「あと一品」を選ぶときに、原材料を見て亜鉛が含まれていそうなタンパク質源を手に取る癖をつけると良いでしょう。
コーヒーや加工食品が亜鉛の吸収を妨げる理由
亜鉛摂取において最も注意すべきなのは「阻害物質」の存在です。例えば、コーヒーや紅茶、緑茶に含まれる「タンニン」は、亜鉛と結合して吸収できない物質に変えてしまいます。
食事中や食後すぐに濃いコーヒーを飲む習慣がある人は、せっかく摂った亜鉛を捨てているようなものです。
また、スナック菓子や加工食品、インスタント食品に多く使われる「ポリリン酸」などの食品添加物も、強力なキレート作用で亜鉛を体外に排出してしまいます。
髪を本気で守りたいなら、食事の前後1時間はカフェインを控え、できるだけ加工度の低い自然な食材を選ぶことが求められます。
サプリメントで亜鉛を補給するときに注意すべきポイント
食事からの摂取が難しい場合、サプリメントは非常に強力な武器になりますが、使い方を間違えると効果がないばかりか健康を害する恐れがあります。
亜鉛は「微量ミネラル」と呼ばれ、必要な量はごくわずかですが、そのバランスは繊細です。過剰に摂取すれば毒にもなり得ますし、飲むタイミングが悪ければ全く吸収されません。
サプリメントの効果を最大限に引き出しつつ、安全に継続するために守るべき鉄則について確認しておきましょう。
1日の摂取目安量を守り過剰摂取を防ぐ
「たくさん飲めば早く髪が生えるはずだ」という考えは非常に危険です。厚生労働省の基準では、成人男性の亜鉛摂取推奨量は1日約11mg、上限量は約40〜45mgとされています。
通常の食事で上限を超えることはまずありませんが、サプリメントを規定量より多く飲んだり、複数のサプリを併用したりすると容易に過剰摂取になります。
過剰な亜鉛は銅の吸収を阻害し、貧血や免疫力低下、善玉コレステロールの減少などを引き起こします。
髪のために健康を損なっては本末転倒ですので、製品に記載された目安量を必ず守り、自分の体調と相談しながら摂取します。
飲むタイミングは食後が良いといわれる理由
亜鉛サプリメントを飲むベストなタイミングは「食後」です。空腹時に亜鉛を摂取すると、胃の粘膜を刺激してしまい、キリキリとした胃痛や吐き気を感じるときがあるからです。
また、食事に含まれるタンパク質が消化される過程で亜鉛の吸収が促進されるため、吸収効率の面でも食後が有利です。
特に夕食後は、就寝中の成長ホルモン分泌に合わせて栄養を供給できるため、髪の成長にとって理想的なゴールデンタイムといえます。
飲み忘れを防ぐためにも、「夕食を食べたら飲む」と習慣化してしまうのが良い方法です。
継続して飲み続けると髪への効果を実感する
髪の毛の成長スピードは1ヶ月に約1cm程度であり、サプリメントを飲み始めたからといって翌日に変化が出るものではありません。
ヘアサイクル(毛周期)が整い、新しく健康な髪が頭皮から顔を出すまでには、最低でも3ヶ月から半年程度の期間が必要です。
最初の1ヶ月で変化がなくても諦めず、コツコツと体内の亜鉛貯金を増やしていく忍耐力が必要です。
継続すると爪が割れにくくなったり、肌の調子が良くなったりといった変化が先に現れるケースもあり、それが亜鉛が効いているサインとなります。
サプリ摂取のOK・NGチェック
| 行動 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 空腹時に飲む | NG | 胃痛や吐き気の原因になる |
| コーヒーで飲む | NG | タンニンが吸収を阻害する |
| ビタミンCと併用 | OK | 吸収率が高まる最強の組み合わせ |
| 倍量飲む | NG | 副作用のリスクが高まる |
キレート亜鉛と他の育毛成分との相性を考える
薄毛対策の効果を加速させるためには、亜鉛単体で戦うのではなく、相性の良い他の成分とチームを組ませることが重要です。
髪の成長には亜鉛以外にも多くの栄養素が関わっており、それらを組み合わせると「1+1」が3にも4にもなる相乗効果が期待できます。
特にAGA対策成分や、髪の材料となるアミノ酸との併用は、攻めと守りの両面を強化します。
ノコギリヤシと併用して攻めと守りを固める
ノコギリヤシは、欧米では古くから前立腺肥大の治療などに使われてきたハーブで、AGAの原因となる5αリダクターゼを抑制する働きがあることで知られています。
亜鉛にも同様の酵素阻害作用があるため、この2つを併用すると、抜け毛の原因物質であるDHTの生成をより強力にブロックできる可能性があります。
多くの育毛サプリメントで亜鉛とノコギリヤシがセットで配合されているのは、この相乗効果を狙っているからです。
亜鉛が髪の栄養補給という「守り」を固めつつ、ノコギリヤシと共に酵素を抑制するという「攻め」を行えば、多角的な働きかけが可能になります。
相乗効果が期待できる成分組み合わせ
| 成分名 | 働き | 亜鉛との相性 |
|---|---|---|
| L-リジン | 必須アミノ酸 | 亜鉛の吸収を助け育毛効果を高める |
| ビタミンB群 | 代謝促進 | 頭皮環境を整え細胞分裂を支える |
| ノコギリヤシ | 酵素抑制 | AGA原因物質への対抗力を強化 |
リジンと一緒に摂るとさらに吸収率が上がる
L-リジンは必須アミノ酸の一種で、髪のケラチンを構成する重要な成分ですが、それ以上に注目すべきなのが「亜鉛の吸収パートナー」としての能力です。
研究によると、亜鉛を単独で摂取するよりも、リジンと一緒に摂取したほうが血中亜鉛濃度が高まり、薄毛改善の効果が向上したという報告があります。
リジンは食事だけでは不足しがちな成分でもあるため、サプリメントで亜鉛とセットで摂取するのが非常に効率的です。
「亜鉛+リジン」の組み合わせは、育毛を志す人にとっての基本公式として覚えておく価値があります。
育毛剤とサプリメントを併用する場合の考え方
「育毛剤を使っているからサプリはいらない」と考えるのは早計です。外側から頭皮にアプローチする育毛剤と、内側から血液を通じて栄養を送るサプリメントは、役割が完全に異なります。
むしろ、両方を併用すると、外と内の両方向から毛根を挟み撃ちにしてケアできます。
どんなに優れた育毛剤で血行を良くしても、肝心の血液の中に髪の材料となる亜鉛やタンパク質が不足していれば、髪は育ちようがありません。
車のエンジンを良くしてもガソリンがなければ走らないのと同じです。内服と外用のダブルケアこそが、最短ルートで結果を出すための戦略です。
薄毛対策における亜鉛の限界とAGA治療との関係
亜鉛は髪にとって非常に重要な栄養素ですが、決して「万能薬」ではありません。特に進行してしまったAGAに対しては、亜鉛の力だけでは太刀打ちできない壁が存在します。
過度な期待を持って亜鉛サプリだけに頼り続けると、その間に薄毛が進行してしまい、取り返しのつかない状態になるリスクもあります。
亜鉛だけでは遺伝的な薄毛を完全に防げない
AGAの発症には強力な遺伝的要因や男性ホルモンの影響が関わっており、亜鉛の持つマイルドな酵素抑制作用だけでは、その進行を完全に食い止めるのは困難です。
医薬品であるフィナステリドやデュタステリドのような強力な作用は、食品やサプリメントである亜鉛にはありません。
すでに生え際が大きく後退している場合や、頭頂部が薄くなっている場合には、亜鉛はあくまで「現状維持」や「進行を遅らせる」ための補助的な手段です。
劇的な発毛を期待して亜鉛だけを飲み続けるのは、時間のロスになる可能性があります。
専門クリニックでの治療と併用する意義
しかし、AGA治療において亜鉛が無力というわけではありません。
クリニックで処方される治療薬で「発毛のスイッチ」を入れつつ、亜鉛摂取によって「髪の材料」を供給し続けることは、治療の成功率を高めるために極めて重要です。
実際に多くのAGA専門クリニックでも、治療薬の処方とセットで亜鉛やビタミンのサプリメントを推奨しています。
治療薬が工事現場の監督だとすれば、亜鉛はレンガやセメントです。監督が優秀でも材料がなければビルは建ちません。医学的な治療と栄養補給を組み合わせると、太く強い髪を育てる土台が完成します。
進行した薄毛には医学的なアプローチが必要
もし半年以上、亜鉛サプリメントや市販の育毛剤を試しても改善の兆しが見えない場合、あるいは抜け毛の量が異常に多いと感じる場合は、セルフケアの限界を超えているサインかもしれません。
その段階では、迷わず専門医に相談しましょう。
早期に医学的な診断を受け、適切な内服薬や外用薬を使用すると、薄毛の悩みから解放される確率は格段に上がります。
亜鉛摂取は一生続けられる健康習慣として残しつつ、必要に応じてプロの手を借りる柔軟な姿勢が、あなたの髪を守ることにつながります。
専門医で行われる主なAGA治療法
- 内服薬(フィナステリド等)による進行ストップ
- 外用薬(ミノキシジル)による発毛促進
- メソセラピー(成長因子注入)による集中ケア
- 自毛植毛による外科的な毛髪移動
生活習慣を見直して亜鉛の効果を最大限に引き出す
どんなに高品質なキレート亜鉛を摂取しても、土台となる生活習慣がボロボロでは、その効果はザルのように漏れ出してしまいます。
体は生命維持に重要な臓器へ優先的に栄養を配分するため、睡眠不足やストレス過多の状態では、髪の毛への配給は後回しにされてしまうからです。
また、悪い生活習慣は体内の亜鉛を大量に浪費する原因にもなります。
亜鉛のパワーを100%髪に届けるためには、ただ飲むだけでなく、体が髪を育てる余裕を持てるような生活環境を整えましょう。
質の高い睡眠をとって成長ホルモンを分泌させる
髪の成長ホルモンは、私たちが深く眠っている間に分泌されます。特に、入眠直後の深いノンレム睡眠の時間は、髪の修復と成長が行われるゴールデンタイムです。
睡眠時間が短かったり、質が悪かったりすると、成長ホルモンの分泌が激減し、せっかく摂取した亜鉛やタンパク質が髪の合成に使われません。
寝る直前までスマホを見てブルーライトを浴びるのをやめ、ぬるめのお湯に浸かってリラックスしてからベッドに入るなど、対策が必要です。
質の高い睡眠を確保する工夫は、どんな高価な育毛剤にも勝る最高のケアです。
亜鉛を無駄遣いしてしまう悪習慣
- 慢性的な睡眠不足や夜更かし
- アルコールの多量摂取(分解に亜鉛消費)
- 精神的なストレスの蓄積
- 喫煙習慣(血流悪化とビタミン破壊)
- 過度な激しい運動や肉体疲労
ストレスを溜めないことが亜鉛の消費を抑える
強いストレスを感じると、体はそれに対抗するために防御反応を示しますが、その過程で大量の亜鉛が消費されてしまいます。
つまり、ストレスフルな生活を送っていると、髪のために摂った亜鉛がすべてストレス処理に使われてしまい、毛根まで届かないのです。
「ストレスでハゲる」というのは、血管収縮だけでなく、この亜鉛の枯渇も大きな原因の一つです。
趣味の時間を持ったり、深呼吸をしたりしてこまめにストレスを発散させることは、体内の亜鉛を節約し、髪に回すための重要な戦略となります。
適度な運動で血行を良くし栄養を頭皮に届ける
摂取した亜鉛を胃腸で吸収し、頭皮の毛根まで運んでくれるのは血液です。運動不足で血流が滞っていると、栄養素は体の末端である頭皮までスムーズに届きません。
ウォーキングやジョギングなどの軽い有酸素運動は、全身の血行を促進し、新陳代謝を高める効果があります。
また、適度な運動はストレス解消にも役立つため、亜鉛の浪費を防ぐという意味でも一石二鳥です。
毎日激しいトレーニングをする必要はありませんが、週に数回、軽く汗ばむ程度の運動を習慣にすることで、亜鉛の効果をより実感しやすい体に変わっていきます。
よくある質問
- 亜鉛サプリメントを飲むだけで髪は生えますか?
-
亜鉛サプリメントはあくまで髪の材料を補給し、頭皮環境を整えるための栄養補助食品であり、飲むだけで髪が次々と生えてくる発毛薬ではありません。
しかし、亜鉛不足が原因で抜け毛が増えている場合や髪が細くなっている場合には、継続して摂取すると状態が改善することは十分に期待できます。
髪のコシやボリューム感が増す場合もありますが、AGAの進行を止めるには、亜鉛サプリメントだけでなく専門的な治療との併用が必要になる方が多いです。
- キレート亜鉛の効果を実感するまでどのくらいの期間が必要ですか?
-
キレート亜鉛の効果を体感できるまでの期間には個人差がありますが、髪が生え変わるヘアサイクルを考慮すると、最低でも3ヶ月から半年程度の継続が必要です。
爪が伸びるのが早くなったり、肌の調子が良くなったりといった変化は比較的早く現れるときがありますが、髪質の変化や抜け毛の減少を実感するには時間がかかります。
短期間で判断せず、焦らずじっくりと継続しましょう。
- 亜鉛の過剰摂取による副作用にはどのような症状がありますか?
-
亜鉛の過剰摂取を続けると、急性中毒として吐き気、嘔吐、胃痛、下痢などが起こる場合があります。
また長期的な過剰摂取は、体内の銅や鉄の吸収を妨げ、貧血や免疫力の低下、善玉コレステロールの減少、神経障害などを引き起こすリスクがあります。
1日の摂取上限量(成人男性で約40〜45mg)を超えないよう注意し、サプリメントのパッケージに記載された目安量を守りましょう。
- 白髪の予防や改善に亜鉛の摂取は効果を期待できますか?
-
亜鉛の摂取は白髪対策にも一定の効果を期待できます。
髪を黒くするメラニン色素は、毛根にあるメラノサイトという細胞で作られますが、この細胞が正常に働くためには亜鉛が必要です。
亜鉛不足によって白髪になっている場合は、亜鉛を補うとメラノサイトの働きが活性化し、黒髪が戻る可能性があります。
ただし、加齢や遺伝による白髪には効果が限定的であることも理解しておく必要があります。
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