薄毛や抜け毛の悩みは、多くの男性にとって深刻な問題です。その原因の一つとして、遺伝が大きく関わっていることをご存知でしょうか。
AGA(男性型脱毛症)は、遺伝的要因と男性ホルモンの影響によって進行します。AGA遺伝子検査は、科学的根拠に基づき、ご自身のAGA発症リスクや体質を深く理解するための一つの手段です。
この検査では、アンドロゲン受容体(AR)遺伝子や5α還元酵素に関する遺伝子情報などを分析し、あなたの持つ遺伝的感受性を明らかにします。
この記事では、AGA遺伝子検査で何がわかるのか、その仕組みから結果の活用法まで、専門的な情報を分かりやすく解説します。
AGA遺伝子検査とは?遺伝的感受性を知る第一歩

AGA遺伝子検査は、薄毛の悩みの根源に科学的にアプローチする方法です。
多くの人が漠然と「家系的に薄毛だから」と考えていますが、具体的にどの遺伝子がどのように影響しているのかを知ることで、より的確な対策を講じる道が開けます。
遺伝情報を知ることは、いたずらに不安を煽るものではなく、ご自身の体質と向き合い、未来のヘアケアを考えるための重要な指標となります。
なぜ遺伝子が薄毛に関係するのか
AGAの発症には、遺伝的背景が強く影響します。特に、男性ホルモンに対する感受性の高さは、親から子へと受け継がれる遺伝子によって決まります。
毛髪の成長サイクルに深く関わる毛乳頭細胞に、男性ホルモンが作用することで、髪の毛が十分に成長する前に抜け落ちてしまう現象が起きます。
この「男性ホルモンへの感受性」は個人差が大きく、その差を生み出しているのが遺伝子の違いなのです。
したがって、遺伝子を調べることは、薄毛になりやすい体質かどうかを判断する上で非常に有効な情報をもたらします。
AGA発症の遺伝的要因を科学的に解明
近年の研究、特にGWAS(ゲノムワイド関連解析)などの大規模な解析により、AGAの発症に関連する複数の遺伝子領域が特定されてきました。
これにより、かつては経験則で語られていた「薄毛の遺伝」が、具体的な遺伝子名やSNP(単一塩基多型)といった科学的な言葉で説明できるようになりました。
AGA遺伝子検査は、これらの研究成果を応用し、個人のDNAを分析して、AGAに関連する遺伝子型を持っているかどうかを判定し、客観的なデータに基づいてご自身の遺伝的感受性(genetic susceptibility)を評価できます。
自分の薄毛リスクを把握する重要性
ご自身のAGA発症リスクを遺伝子レベルで把握することは、予防と対策の観点から極めて重要です。
リスクが高いとわかれば、早期から生活習慣に気を配ったり、専門医に相談したりといった行動を起こすきっかけになります。
逆に、リスクが低いとわかれば、過度な心配から解放されるかもしれません。
いずれにせよ、遺伝子情報を知ることで、漠然とした不安を具体的な知識へと変え、ご自身に合ったヘアケア計画を冷静に立てられるようになります。
アンドロゲン受容体(AR)遺伝子の役割
AGAを語る上で最も重要な遺伝子の一つが、アンドロゲン受容体(AR)遺伝子です。
アンドロゲンとは男性ホルモンの総称であり、この受容体は、男性ホルモンを細胞が受け取るための「鍵穴」のような役割を果たします。
AR遺伝子の特徴が、AGAの進行度合いを大きく左右するのです。
男性ホルモンとAR遺伝子の関係

AR遺伝子は、アンドロゲン受容体というタンパク質の設計図となる遺伝子です。この受容体が毛乳頭細胞に存在し、血中の男性ホルモンと結合すると、脱毛を促す信号が発信されます。
AR遺伝子の構造に個人差があるため、同じ量の男性ホルモンが存在していても、受容体の感受性が高い人と低い人がいます。
感受性が高い人ほど、男性ホルモンの影響を強く受け、AGAが発症・進行しやすくなります。
AR遺伝子の特徴
項目 | 説明 | AGAとの関連 |
---|---|---|
遺伝子名 | アンドロゲン受容体(AR)遺伝子 | 男性ホルモンへの感受性を決定する |
染色体上の位置 | X染色体 | 母方の家系から遺伝的影響を受けやすい |
機能 | 男性ホルモンの受容体タンパク質を生成 | 感受性が高いと脱毛シグナルが強まる |
CAGリピート長とGGCリピート長の影響

AR遺伝子の中には、「CAG」と「GGC」という塩基配列が繰り返し現れる部分があります。この繰り返しの回数(リピート長)が、アンドロゲン受容体の感受性を調節していると考えられています。
特にCAGリピート長は重要で、この繰り返しが短いほど、受容体の感受性が高くなる傾向があります。
つまり、CAGリピートが短い遺伝子型を持つ人は、男性ホルモンの影響を強く受けやすく、AGAのリスクが高いと判断されます。
GGCリピート長も感受性に関連すると考えられており、これらのリピート長の分析は、AGA遺伝子検査の核となる項目です。
感受性の高さがAGA進行を左右する
アンドロゲン受容体の感受性の高さは、AGAの進行スピードや重症度に直接的な影響を与えます。
感受性が高いと、少量のアンドロゲンでも脱毛シグナルが強く発生し、毛髪のミニチュア化(軟毛化)が急速に進行します。
遺伝子検査によってご自身のAR遺伝子のタイプ、特にCAGリピート長を調べることで、アンドロゲン受容体の感受性の高さを予測し、将来的なAGAの進行リスクを評価することができます。
5α還元酵素とSRD5A2遺伝子多型

AGAの進行には、テストステロンという男性ホルモンが、より強力なジヒドロテストステロン(DHT)に変換されることが深く関わっています。
この変換を行うのが「5α還元酵素」という酵素であり、この酵素の活性度にも遺伝子が影響しています。
酵素の働きとジヒドロテストステロン(DHT)
5α還元酵素にはタイプ1とタイプ2の2種類が存在しますが、AGAに主に関与するのはタイプ2です。
この5α還元酵素(タイプ2)は、主に毛乳頭細胞に存在し、男性ホルモンであるテストステロンを、より強力な活性を持つジヒドロテストステロン(DHT)へと変換します。
生成されたDHTがアンドロゲン受容体と結合することで、強力な脱毛シグナルが発生し、毛周期の成長期が短縮され、薄毛が進行します。
つまり、5α還元酵素(タイプ2)の活性が高い人ほど、DHTが生成されやすく、AGAのリスクが高まります。
ホルモン変換の概要
変換前のホルモン | 変換を促す酵素 | 変換後のホルモン |
---|---|---|
テストステロン | 5α還元酵素(タイプ2) | ジヒドロテストステロン(DHT) |
SRD5A2遺伝子多型(V89L/A49T)とは

5α還元酵素(タイプ2)の働きは、その設計図であるSRD5A2遺伝子によって決まります。この遺伝子には個人差があり、これを遺伝子多型と呼びます。
特に注目されるのが「V89L」と「A49T」という二つのSNP(単一塩基多型)です。
これらは遺伝子の塩基配列が一つだけ異なっているもので、この違いによって生成される5α還元酵素の活性度が変わることが研究で示されています。
例えば、V89L多型において「L」の遺伝子型を持つ人は、酵素の活性が高い傾向があり、DHTを生成しやすい体質である可能性が指摘されています。
テストステロンからDHTへの変換効率
SRD5A2遺伝子多型を調べることで、テストステロンからDHTへの変換効率、つまり5α還元酵素(タイプ2)の活性度の高さを遺伝的に予測できます。
この酵素の活性が高い遺伝子型を持つ人は、頭皮でDHTが多く作られやすいため、AGAのリスクが高まります。
遺伝子検査でご自身のSRD5A2遺伝子のタイプを知ることは、AR遺伝子の感受性と合わせて、AGAのリスクを多角的に評価するために重要です。
検査で明らかになるSNPとハプロタイプ
個人の遺伝的な違いは、DNAの塩基配列のわずかな差によって生まれます。AGA遺伝子検査では、このような個人差を示すマーカーを分析することで、薄毛のリスクを評価します。
その代表的なものがSNPとハプロタイプです。
SNP(単一塩基多型)が示す個人差

SNP(Single Nucleotide Polymorphism、単一塩基多型)とは、ゲノムの塩基配列における一個人の違いです。
例えば、ある場所の塩基が多くの人は「A」なのに、一部の人は「G」になっている、といった違いを指します。
ヒトゲノムには数百万以上のSNPが存在し、これが体質や病気へのかかりやすさといった個人差を生み出す要因の一つです。
AGAの関連遺伝子においても複数のSNPが報告されており、遺伝子検査ではこれらのSNPを調べることで、遺伝的リスクを判定します。
SNPの概念
配列例 | 説明 |
---|---|
Aさんの配列: …AGCTACGT… | 基準となる配列 |
Bさんの配列: …AGCTGCGT… | 一塩基が異なっている(SNP) |
GWAS(ゲノムワイド関連解析)による知見

GWAS(Genome-Wide Association Study)は、疾患を持つ人々の集団と持たない人々の集団のゲノム情報を網羅的に比較し、疾患に関連するSNPを統計的に見つけ出す研究手法です。
AGA研究においてもGWASは積極的に用いられ、これまでにAR遺伝子やSRD5A2遺伝子以外にも、多くの関連SNPが同定されています。
これらの研究成果の蓄積により、AGAの遺伝的背景の理解は飛躍的に深まり、遺伝子検査の精度向上にも貢献しています。
複数の遺伝子情報から見るハプロタイプ
ハプロタイプとは、遺伝的に連鎖して親から子へと受け継がれるSNPの組み合わせのことです。
一つのSNPだけでなく、複数のSNPの組み合わせ(ハプロタイプ)を分析することで、より精度高く疾患リスクを評価できる場合があります。
遺伝子は単独で機能するのではなく、互いに影響し合いながら働くため、ハプロタイプ解析は遺伝的感受性を総合的に判断する上で重要な情報を提供します。
AGA遺伝子検査の具体的な方法
専門的な遺伝子情報を調べるというと、複雑で大変な手続きが必要だと感じるかもしれません。しかし、現在のAGA遺伝子検査は、医療機関や自宅で手軽に行えるようになっています。
ここでは、検査の一般的な流れを紹介します。
自宅で可能な唾液/口腔上皮DNA採取

AGA遺伝子検査の検体として最も一般的に用いられるのが、唾液や口腔上皮(頬の内側の粘膜)です。専用のキットを使って、ご自身で簡単に検体を採取できます。痛みは全くなく、数分で完了します。
採取した検体は、付属の容器に入れて返送するだけです。この手軽さが、多くの人に利用されている理由の一つです。
一般的な検査キットの流れ
ステップ | 内容 | 場所 |
---|---|---|
1. 申し込み | Webサイトやクリニックで検査を申し込む | 自宅/クリニック |
2. キット受け取り | 専用のDNA採取キットが郵送で届く | 自宅 |
3. 検体採取・返送 | 説明書に従い唾液などを採取し、返送する | 自宅 |
4. 結果確認 | 数週間後にWebや郵送で検査結果を受け取る | 自宅/クリニック |
PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)によるDNA増幅

検査機関に送られた検体は、まずDNAを抽出します。そして、PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)という技術を用いて、解析対象となる特定の遺伝子領域(AR遺伝子など)だけを数百万倍以上に増幅させます。
採取した検体に含まれるDNAはごく微量なため、この増幅の工程が正確な解析には必要です。PCRは現代の遺伝子解析技術の根幹をなすものです。
ジェノタイピングで遺伝子型を特定
PCRによって十分に増幅されたDNAを用いて、次に行うのがジェノタイピングです。ジェノタイピングとは、個人の遺伝子型、つまりCAGリピートの回数や特定のSNPがどのタイプであるかを決定する作業です。
様々な手法がありますが、これにより、あなたのDNAが持つAGA関連遺伝子の特徴が具体的に明らかになります。このジェノタイピングの結果が、最終的なリスク評価の基礎データとなります。
薬理遺伝学とフィナステリドの効果予測

薬理遺伝学(ファーマコジェネティクス)は、遺伝子情報に基づいて薬の効果や副作用の個人差を研究する学問分野です。
AGA治療においても、この薬理遺伝学の考え方は非常に重要で、遺伝子検査の結果が治療薬の選択に役立つ可能性があります。
薬物反応性と遺伝子の関係
同じ薬を同じ量だけ使用しても、その効果の現れ方や副作用の出方には大きな個人差があります。
この「薬物反応性」の違いには、薬の代謝や作用に関わる遺伝子の個人差(遺伝子多型)が影響していることがわかっています。
薬理遺伝学は、この関係を解明し、個人の遺伝子型に合わせた最適な薬物治療の実現を目指します。
フィナステリド(5α還元酵素阻害薬)の作用
フィナステリドは、AGA治療に用いられる代表的な内服薬です。この薬は、5α還元酵素(タイプ2)の働きを阻害することで、テストステロンからDHTへの変換を抑制し、AGAの進行を抑える効果を発揮します。
フィナステリドは、AGAの根本原因の一つに直接アプローチする治療薬として広く認知されています。
AGA治療薬の作用点
治療薬 | 分類 | 主な作用 |
---|---|---|
フィナステリド | 5α還元酵素阻害薬 | DHTの産生を抑制する |
ミノキシジル | 血管拡張薬 | 毛母細胞を活性化させる |
遺伝子情報から治療薬の効果を考える
フィナステリドの効果にも、遺伝的な個人差がある可能性が指摘されています。
例えば、SRD5A2遺伝子多型によって5α還元酵素の活性がもともと非常に高い人の場合、フィナステリドによる阻害効果がより顕著に現れるかもしれません。
また、将来的にはAR遺伝子の感受性なども含め、複数の遺伝子情報から総合的にフィナステリドへの薬物反応性を予測できるようになることが期待されています。
遺伝子検査は、治療開始前にご自身の体質を知り、治療方針を検討する上での参考情報となり得ます。
検査結果を活かした個別ケアの選択

AGA遺伝子検査の最大の目的は、検査結果を今後のヘアケアや治療に活かすことです。
遺伝子情報は変えることができませんが、その情報を知ることで、ご自身のリスクに合わせた最適な対策を選択することが可能になります。
あなたの頭皮や毛根の状態に合わせた、よりパーソナライズされたケアへの道筋が見えてきます。
遺伝子情報に基づく治療薬の選定
検査によって、アンドロゲン受容体の感受性が非常に高いことや、5α還元酵素の活性が高いことがわかった場合、DHTの産生を抑制するフィナステリドなどの治療薬が有効である可能性が高いと考えることができます。
医師は、遺伝子検査の結果を問診や視診などの情報と合わせて総合的に判断し、あなたにとって最適な治療計画を提案します。
遺伝子情報は、治療方針を決定する際の客観的な判断材料の一つとして、非常に役立ちます。
遺伝的リスクと対策の方向性
- AR遺伝子の感受性が高い場合 → DHTの影響を抑制する対策を重視
- SRD5A2遺伝子の活性が高い場合 → DHTの産生を抑える治療薬の有効性が期待できる
- 上記のリスクが共に低い場合 → AGA以外の脱毛症の可能性や、生活習慣の要因を検討
あなたに合う育毛剤を見つけるヒント
市販されている育毛剤には様々な成分が含まれています。遺伝子検査の結果は、どの成分に注目して育毛剤を選べばよいかのヒントを与えてくれます。
例えば、遺伝的にDHTの影響を受けやすい体質だとわかっていれば、DHTの働きをブロックする成分や、頭皮のホルモンバランスを整える成分が含まれた製品を選ぶ、といった判断ができます。
遺伝子情報を参考にすることで、数多くの製品の中から、ご自身の体質に合った育毛剤を見つけやすくなります。
注目したい育毛成分の例
遺伝的傾向 | 注目したい成分の方向性 | 成分例 |
---|---|---|
DHTの影響を受けやすい | 5α還元酵素の阻害、抗男性ホルモン作用 | オウゴンエキス、ヒオウギエキス |
頭皮の血行不良が懸念される | 血行促進作用 | センブリエキス、ビタミンE誘導体 |
毛母細胞の活性低下 | 細胞賦活作用 | アデノシン、t-フラバノン |
遺伝子検査付き育毛剤
国内で唯一、遺伝子検査を行うことができる育毛剤が市販されています。
Pesod(ペソッド)という名前の育毛剤で、遺伝子検査キットで自宅で検体(ほほのだ液)を採取し、遺伝子検査機関にて分析後に、あなたの遺伝子傾向に適合した育毛剤をセミオーダーする画期的な医薬部外品です。
価格は初回が2,980円(税込)で、2か月目以降(1か月に1本の育毛剤)は毎月7,980円です。公式サイトにPesod使用者のビフォーアフター画像が掲載されていますので参考にされるとよいかと思います。
AGA遺伝子検査に関するよくある質問
- 検査結果はどのくらいでわかりますか?
-
検査機関やサービスによって異なりますが、一般的には検体を返送してから2週間から4週間程度で結果がわかります。
結果は、Webサイトのマイページで確認したり、報告書が郵送されたりする形式が一般的です。
結果報告書には、各遺伝子項目の判定結果や、それに基づく総合的なリスク評価、今後の対策に関するアドバイスなどが記載されています。
- 遺伝子検査でAGAが確定するのですか?
-
いいえ、遺伝子検査はあくまでAGAになりやすい「遺伝的リスク」や「体質」を評価するものであり、AGAであると診断を確定するものではありません。
AGAの確定診断は、医師による問診、視診、毛髪の状態の診察などに基づいて総合的に行います。遺伝子検査の結果は、その診断の補助的な情報として非常に有用です。
- 検査結果は他人に知られますか?
-
遺伝子情報は究極の個人情報であり、厳重に管理されます。
信頼できる検査機関や医療機関では、個人情報保護法や関連指針を遵守し、本人の同意なく第三者に結果が開示されることはありません。
申し込みの際には、その事業者のプライバシーポリシーや個人情報の取り扱いについて、よく確認することが大切です。
- AGA遺伝子検査はどこで受けられますか?
-
AGA遺伝子検査は、当院を含むAGA治療を専門とするクリニックの一部で受けることができるのと、オンラインで申し込み、自宅で検体を採取して返送する形式の遺伝子検査付き育毛剤で提供されています。
医療機関で受ける場合は、医師による結果の説明や、その後の治療相談がスムーズに行える利点があります。自宅で受けるサービスは、手軽さが魅力で育毛剤の選定も適格です。
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