円形脱毛症の治療における注射療法の効果と特徴

円形脱毛症の治療における注射療法の効果と特徴

円形脱毛症は突然髪の毛が抜け落ちる疾患であり、多くの方が悩みを抱えています。

その治療法の一つとして注射療法が挙げられますが「効果はいつから出るのか」「値段はどのくらいかかるのか」「注射は痛いのではないか」といった疑問や不安を感じる方も少なくないようです。

この記事では円形脱毛症に対する注射療法の効果が現れるまでの期間や費用の目安、痛みの程度と軽減策について詳しく解説します。

目次

円形脱毛症とは?その原因と種類

円形脱毛症は頭部や体毛に円形または楕円形の脱毛斑が突然現れる疾患です。ここでは円形脱毛症の基本的な情報とその原因、種類について解説します。

円形脱毛症の概要

円形脱毛症は、性別や年齢に関わらず誰にでも発症する可能性のある自己免疫疾患の一つと考えられています。

毛髪を作り出す毛包組織に対して免疫機能が誤って攻撃してしまうため毛が抜け落ちます。多くの場合、自覚症状なく突然発症しますが、かゆみや軽い違和感を伴うケースもあります。

脱毛斑は1箇所だけの場合もあれば複数箇所に現れることもあり、その範囲や進行の仕方は人それぞれです。

円形脱毛症の主な原因

円形脱毛症の正確な原因はまだ完全には解明されていませんが、主に以下の要因が関与していると考えられています。

第一に自己免疫反応の異常です。通常、体を守るはずの免疫システムが、自身の毛包を異物と誤認し攻撃してしまう状態です。

第二に遺伝的素因が挙げられます。家族内に円形脱毛症の方がいる場合、発症リスクが高まることが知られています。ただし遺伝的素因があっても必ず発症するわけではありません。

第三に精神的ストレスです。過度のストレスが引き金となり、免疫系のバランスが崩れ発症につながるケースがあります。

第四にアトピー素因です。アトピー性皮膚炎や気管支喘息などのアレルギー疾患を持つ方は、円形脱毛症を併発しやすい傾向があります。

円形脱毛症の原因因子

原因と考えられる要素具体的な内容
自己免疫反応の異常Tリンパ球などが毛包を攻撃する
遺伝的素因家族歴がある場合に発症リスクが上昇する可能性がある
精神的ストレス過度のストレスが免疫系のバランスを乱す可能性がある

円形脱毛症の種類

円形脱毛症はその症状の現れ方によっていくつかの種類に分類されます。

代表的なものとして単発型があります。これは頭部に1箇所だけ脱毛斑が現れるタイプで、最も多い種類です。

次に多発型です。2箇所以上の脱毛斑が同時に、あるいは時間差で現れます。脱毛斑が融合して大きくなるケースもあります。

また蛇行型は後頭部から側頭部の生え際に沿って、帯状に脱毛が広がるタイプです。全頭型は頭部全体の毛髪がほぼ全て抜け落ちてしまう状態を指します。

さらに汎発型は頭髪だけでなく眉毛、まつ毛、体毛など全身の毛が失われる最も重症なタイプです。

円形脱毛症の主な種類と特徴

種類主な特徴
単発型頭部に円形または楕円形の脱毛斑が1箇所だけ現れるタイプ。
多発型脱毛斑が2箇所以上現れるタイプ。脱毛斑同士が融合することもある。
蛇行型後頭部から側頭部にかけて、髪の生え際に沿って帯状に脱毛するタイプ。
全頭型頭部全体の毛髪がほぼ全て抜け落ちてしまうタイプ。
汎発型頭髪に加え、眉毛、まつ毛、体毛など全身の毛が失われるタイプ。

円形脱毛症における注射療法とは?

円形脱毛症の治療法の一つとして注射療法があります。これは脱毛部位に直接薬剤を注入することで発毛を促す治療法です。

注射療法の基本的な考え方

円形脱毛症の注射療法は、脱毛が起きている部位の皮膚に直接薬剤を注入する方法です。主な目的は毛包への免疫細胞の攻撃を抑え、炎症を鎮めて毛髪の再生を促すことです。

局所的に薬剤を作用させるため、内服薬などに比べて全身への影響を抑えやすいという特徴があります。

多くの場合、ステロイド薬が用いられますが、症状や範囲によっては他の薬剤が選択されるケースもあります。

注射療法の目的と対象

注射療法の主な目的は脱毛部位における免疫反応の抑制と、それに伴う発毛促進です。特に活動性の高い脱毛斑や、他の治療法で効果が見られにくい場合に選択肢となります。

一般的には脱毛範囲が比較的小さい成人患者が対象となる例が多いですが、脱毛の範囲や進行度、患者さんの年齢や健康状態などを総合的に判断して適応が決定されます。小児の場合は痛みを伴うため、慎重な判断が必要です。

他の治療法との比較

円形脱毛症の治療には注射療法の他に、外用薬(塗り薬)、内服薬(飲み薬)、紫外線療法、局所免疫療法などがあります。

円形脱毛症の主な治療法

治療法主な特徴対象となりやすい症状例
注射療法脱毛部に直接薬剤注入、局所的な効果が高い範囲が限定的な脱毛斑、活動性の高い脱毛斑
外用薬患部に塗布、比較的軽症例で用いられる軽度から中等度の脱毛斑
内服薬全身に作用、広範囲な脱毛例にも広範囲の脱毛、急速に進行する脱毛
紫外線療法特殊な紫外線を照射、免疫反応を調整広範囲の脱毛、難治性の脱毛
局所免疫療法かぶれを起こす物質を塗り、免疫反応を変化広範囲の脱毛、難治性の脱毛

注射療法は、外用薬だけでは効果が不十分な場合や、内服薬による全身性の副作用を避けたい場合に有効な選択肢となります。

それぞれの治療法にはメリットとデメリットがあり、医師は患者さんの症状や希望に合わせて適した治療計画を提案します。

注射療法の種類とそれぞれの特徴

円形脱毛症の注射療法にはいくつかの種類があり、使用される薬剤や作用が異なります。ここでは代表的な注射療法の種類とその特徴について解説します。

ステロイド局所注射

ステロイド局所注射は、円形脱毛症の注射療法として最も一般的に行われている治療法です。脱毛斑の皮膚に直接ステロイド薬を注入します。

ステロイドには強力な抗炎症作用と免疫抑制作用があり、毛包を攻撃するリンパ球の働きを抑えることで脱毛の進行を止め、発毛を促す効果が期待できます。

通常、数週間から1ヶ月に1回の間隔で治療を行います。

ステロイド局所注射の概要

項目内容
使用薬剤トリアムシノロンアセトニドなどのステロイド薬
作用抗炎症作用、免疫抑制作用
治療間隔数週間〜1ヶ月に1回程度
主な対象成人の単発型、多発型円形脱毛症

この治療法は脱毛範囲が限られている場合に特に有効とされています。ただし注射部位の皮膚の萎縮や陥凹、毛細血管拡張などの副作用が起こる可能性があります。

JAK阻害薬の注射(研究段階)

近年、新しい治療選択肢としてJAK阻害薬が注目されています。JAK(ヤヌスキナーゼ)は細胞内のシグナル伝達に関わる酵素であり、免疫反応において重要な役割を果たします。

JAK阻害薬はこのJAKの働きを阻害して、円形脱毛症の原因となる免疫反応を抑える効果が期待されています。

現在、内服薬としては承認されているものがありますが、注射薬としての開発や臨床研究も進められています。今後の治療選択肢として期待される薬剤です。

その他の注射療法(PRP療法など)

ステロイド局所注射以外にも、研究段階のものを含めいくつかの注射療法が存在します。

その一つがPRP(Platelet-Rich Plasma:多血小板血漿)療法です。これは患者さん自身の血液から血小板を多く含む成分(PRP)を抽出し、脱毛部位に注入する方法です。

血小板に含まれる成長因子が毛母細胞を活性化させ、発毛を促すと考えられています。まだ保険適用外の治療法であり、効果や安全性についてはさらなる研究が必要です。

主な注射療法の比較

種類主な作用機序保険適用主な副作用の可能性
ステロイド局所注射免疫抑制、抗炎症あり皮膚萎縮、陥凹、毛細血管拡張
JAK阻害薬注射免疫反応に関わる酵素(JAK)阻害研究段階(今後の研究で明らかになる)
PRP療法成長因子による毛母細胞活性化なし注入部位の痛み、腫れ、内出血など

どの注射療法が適しているかは、患者さんの症状や脱毛範囲、進行度や年齢、そして治療に対する考え方などを考慮して、医師と相談の上で決定することが重要です。

注射治療の効果が出るまでの期間は?

円形脱毛症の注射治療を開始してから、実際に効果が現れるまでの期間は多くの方が気にする点です。

ここでは、「円形脱毛症の注射治療で効果が出るまでどのくらいかかるのか」という疑問について、個人差や影響する要因を踏まえて解説します。

効果発現までの一般的な目安

ステロイド局所注射の場合、一般的には治療を開始してから効果が実感できるまでに数ヶ月程度かかると言われています。

早い方では治療開始後1ヶ月~2ヶ月ほどで産毛のような細い毛が生え始める方もいますが、多くの場合はしっかりとした効果を確認するには3ヶ月から6ヶ月程度の継続的な治療が必要です。

治療効果の現れ方には個人差が大きい点を理解しておく必要があります。

効果に影響を与える要因

注射治療の効果が出るまでの期間には、いくつかの要因が影響します。

まず脱毛範囲と重症度です。脱毛範囲が狭く、症状が軽度な単発型の場合は比較的早く効果が現れる傾向があります。

一方、脱毛範囲が広い多発型や全頭型、汎発型の場合は治療に時間がかかる、あるいは注射療法だけでは十分な効果が得られないケースもあります。

次に発症からの期間です。円形脱毛症を発症してから治療開始までの期間が短いほど、治療効果は現れやすいとされています。

そして患者さん自身の体質や免疫状態も影響します。治療に対する反応性は人それぞれ異なります。

効果発現期間に影響する主な要因

  • 脱毛範囲の広さ
  • 脱毛症の重症度
  • 発症からの経過期間
  • 個人の体質や免疫状態

継続治療の重要性

円形脱毛症の注射治療は1回の注射ですぐに治癒するものではありません。効果を得るためには、医師の指示に従って定期的に治療を継続することが重要です。

治療間隔は通常、数週間から1ヶ月に1回程度ですが、症状の改善度合いを見ながら調整されます。

途中で治療をやめてしまうと、せっかく生え始めた毛が再び抜けてしまう可能性もあります。根気強く治療を続けることが、効果を実感するための鍵となります。

もし効果がなかなか現れないときでも、自己判断で治療を中断せず、医師に相談して治療方針を見直しましょう。

円形脱毛症の注射治療にかかる値段の目安

円形脱毛症の注射治療を検討する上で「円形脱毛症の注射治療の値段はいくらくらいなのか」という費用面は重要なポイントです。

ここでは、保険適用となる治療と自由診療のケース、そして治療費用の内訳について解説します。

保険適用の治療費

円形脱毛症のステロイド局所注射は、基本的には健康保険が適用される治療です。保険適用の場合、患者さんが窓口で支払う自己負担額は、総医療費の1割から3割(年齢や所得によって異なります)となります。

具体的な費用は、使用する薬剤の種類や量、注射する範囲、そして診察料などによって変動します。

保険適用(3割負担)の場合の費用目安(ステロイド局所注射)

項目費用の目安(1回あたり)備考
診察料数百円〜千円程度初診・再診によって異なる
注射手技料・薬剤料数千円程度脱毛範囲や使用量により変動
合計(目安)数千円〜1万円程度あくまで目安、医療機関により異なる

正確な費用については、治療を受ける医療機関に直接確認すると良いです。保険適用であっても、治療回数が重なれば総額はそれなりになりますので、事前に確認しておくと安心できるでしょう。

自由診療となるケース

円形脱毛症の治療法の中には、PRP療法のように保険適用外の自由診療となるものもあります。

自由診療の治療費は全額自己負担となり、医療機関が独自に価格を設定しているため、費用は高額になる傾向があります。

PRP療法の場合、1回の治療で数万円から十数万円程度かかるのが一般的です。

自由診療を受けるときは、治療内容や期待できる効果、リスクや費用について十分に説明を受け、納得した上で治療を開始しましょう。

治療費用の内訳と変動要因

円形脱毛症の注射治療にかかる費用は、いくつかの要素によって変動します。

初診か再診かによって料金が異なります。また、注射する範囲(脱毛斑の数や広さ)や使用する薬剤の種類・量によっても費用が変わります。範囲が広ければ、それだけ薬剤量も増え、手技も複雑になるため費用は高くなります。

注射治療は複数回の継続が必要となるため、治療が長引けば総額も増えていきます。さらに、他の治療法(外用薬や内服薬など)を併用する場合は、その分の費用も別途かかります。

治療費用を変動させる要因

  • 保険適用か自由診療か
  • 診察料(初診・再診)
  • 注射範囲(脱毛斑の数・広さ)
  • 使用する薬剤の種類と量
  • 治療回数
  • 併用する他の治療の有無

治療費用に関する不明点は、遠慮なく担当医やクリニックのスタッフに質問し、明確にしておきましょう。

注射治療の痛みはどの程度?軽減する方法は?

注射治療を受けるにあたり「円形脱毛症の注射は痛いのだろうか」という不安はつきものです。ここでは、注射時の痛みの程度や、痛みを和らげるための方法について説明します。

注射時の痛みの程度

円形脱毛症の注射治療、特にステロイド局所注射では、脱毛部位の皮膚に直接針を刺して薬剤を注入するため、ある程度の痛みが伴います。

痛みの感じ方には個人差がありますが、一般的には「チクッとする痛み」「薬剤が注入される際の圧迫感や鈍い痛み」と感じる方が多いようです。

注射する場所(頭皮など)や針の太さ、注入する薬剤の量によっても痛みの感じ方は異なります。特に頭皮は知覚神経が多いため、他の部位への注射よりも痛みを感じやすい傾向があります。

痛みを軽減するための工夫

医療機関では、注射時の痛みを少しでも和らげるために様々な工夫を行っています。

針が細ければ細いほど皮膚を通過する際の痛みが軽減されるため、極細の注射針を使用するのが基本です。

また、注射する部位を事前に冷却材などで冷やすと、皮膚の感覚を一時的に鈍らせて痛みを和らげる効果が期待できます。

薬剤を急いで注入すると組織への圧力が強まり、痛みを感じやすくなります。時間をかけてゆっくり注入すると、痛みを軽減できます。

クリニックによっては、麻酔クリームや麻酔テープを使用するところもあります。注射前に患部に麻酔成分の入ったクリームやテープを貼ると、皮膚表面の感覚を麻痺させて、針を刺す際の痛みを大幅に軽減できます。

ただし、麻酔の効果が出るまでに時間がかかる場合があります。

痛み軽減のための主な方法

方法内容期待される効果
極細針の使用細い注射針を用いる穿刺時の痛みの軽減
事前冷却注射部位を冷却材などで冷やす皮膚の感覚を鈍らせ、痛みを和らげる
ゆっくり注入薬剤を時間をかけて注入する注入時の圧迫感や痛みの軽減
表面麻酔麻酔クリームや麻酔テープを使用穿刺時の痛みの軽減

表面麻酔の使用は医療機関の方針や患者さんの希望により異なります。

痛みに対する不安への対応

注射に対する痛みが強い不安要素となっている場合は、遠慮なく医師や看護師に相談すると良いでしょう。

痛みの感じ方や不安の程度を伝えることで、より痛みを軽減できる方法(例えば、より細い針を使う、麻酔クリームを使用するなど)を検討してもらえたり、治療中の声かけなどで精神的なサポートを受けられたりする場合があります。

痛みを我慢しすぎず、医療スタッフと協力して治療を進めていくことが、継続的な治療のためにも重要です。

注射治療を受ける上での注意点と副作用

円形脱毛症の注射治療は効果が期待できる一方で、注意すべき点や副作用の可能性もあります。治療を安全かつ効果的に進めるために、これらの情報を理解しておくことが大切です。

治療前の確認事項

注射治療を開始する前には、いくつかの確認事項があります。

特に糖尿病や高血圧、感染症などがある場合や血液をサラサラにする薬を服用している場合は、治療に影響が出る可能性があるため必ず申し出てください。

また、妊娠中や授乳中の方、あるいは妊娠の可能性がある方は、治療が適切かどうか医師と慎重に相談する必要があります。ステロイド薬などが胎児や乳児に影響を与える可能性があるためです。

治療前に医師に伝えるべき情報例

  • 既往歴(現在治療中の病気、過去の大きな病気)
  • 服用中の薬(市販薬、サプリメント含む)
  • アレルギー歴(薬剤、食物など)
  • 妊娠・授乳の有無、またはその可能性

治療内容や期待される効果、起こりうる副作用や治療期間、費用などについて十分に説明を受け、理解・納得した上で治療同意書に署名するのも一般的です。

起こりうる副作用とその対策

ステロイド局所注射で最も注意すべき副作用は、注射部位の皮膚の変化です。

具体的には皮膚の萎縮(皮膚が薄くなる)、陥凹(皮膚がへこむ)、毛細血管拡張(皮膚表面の血管が浮き出て見える)、色素沈着または脱失などが挙げられます。

これらの副作用は、ステロイド薬の作用によるものや、注射の手技に関連して起こるケースがあります。

通常、これらの副作用は軽度で一時的な方が多いですが、まれに長引く場合もあります。もし注射後に皮膚の異常を感じた場合は、速やかに医師に相談してください。

ステロイド局所注射で起こりうる主な副作用

副作用の種類症状の例対策・注意点
皮膚萎縮・陥凹注射部位の皮膚が薄くなる、へこむ適切な薬剤濃度・量の使用、注入部位の分散
毛細血管拡張皮膚表面の血管が赤く浮き出て見える時間経過で改善することが多い
色素沈着・脱失注射部位の皮膚の色が濃くなる、または白くなる時間経過で改善することが多い
局所の感染まれに注射部位が赤くなる、腫れる、痛む消毒の徹底、異常時は速やかに医師に相談

治療期間中の生活上の注意

注射治療期間中も、特別な生活制限は基本的にありませんが、いくつか注意点があります。

注射当日は激しい運動や飲酒、長時間の入浴は避ける方が望ましい場合があります。血行が良くなりすぎると、注射部位の腫れや内出血が悪化する可能性があるためです。医師の指示に従ってください。

また、頭皮への注射の場合、治療当日の洗髪が可能かどうかを医師に確認しましょう。可能な場合でも、注射部位を強くこすらないように注意が必要です。

円形脱毛症はストレスが関与しているとも言われるため、治療期間中は十分な睡眠をとり、バランスの取れた食事を心がけて、ストレスを溜めないようにリラックスできる時間を作るのも大切です。

よくある質問

円形脱毛症の注射治療に関して、患者さんから寄せられることの多い質問とその回答をまとめました。

Q1 注射治療はどのくらいの頻度で通院が必要ですか?

ステロイド局所注射の場合、一般的には数週間から1ヶ月に1回程度の頻度で通院し、注射を受けるケースが多いです。ただし、症状の改善度合いや治療への反応性を見て、医師が治療間隔を調整します。

例えば、効果が安定してきたら間隔を空けたり、逆に改善が見られない場合は治療方針を見直したりすることがあります。具体的な通院頻度については、担当医とよく相談してください。

Q2 注射をすれば必ず髪の毛は生えてきますか?

注射治療、特にステロイド局所注射は多くの場合で有効性が認められていますが、残念ながら全ての方に必ず効果があるとは限りません。効果の現れ方には個人差が大きく、脱毛の範囲や重症度、発症からの期間、個人の体質などが影響します。

また、一度改善しても再発する可能性もあります。治療効果が見られない場合や再発を繰り返す場合は、他の治療法への変更や併用を検討することになります。医師と相談しながら、根気強く治療に取り組みましょう。

Q3 子供でも注射治療は受けられますか?

円形脱毛症の注射治療は、主に成人を対象として行われることが多いです。小児の場合は、注射に伴う痛みが負担になることや、副作用のリスクを考慮して、第一選択とはなりにくい傾向があります。

ただし、症状や状況によっては、保護者の理解と同意のもとで慎重に行われるケースもあります。お子さんの円形脱毛症治療については小児皮膚科医や専門医と十分に相談し、年齢や症状に合った治療法を選択しましょう。

Q4 注射治療の副作用が心配です。

ステロイド局所注射には、注射部位の皮膚の萎縮や陥凹、毛細血管拡張などの副作用のリスクが伴います。ただし、これらの副作用は適切な手技と薬剤量で行えば頻度は高くなく、多くは軽度で一時的なものです。

もし治療後に何か異常を感じた場合は、すぐに医師に相談してください。副作用のリスクと治療効果のバランスを考え、納得した上で治療を受けることが重要です。

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この記事を書いた人

Dr.前田祐助のアバター Dr.前田祐助 AGAメディカルケアクリニック 統括院長

経歴
慶應義塾大学医学部医学研究科卒業
慶應義塾大学病院 初期臨床研修課程終了
大手AGAクリニック(院長)を経て、2018年AGAメディカルケアクリニック新宿院を開設

資格
医師免許
⽇本医師会認定産業医
医学博士

所属学会
日本内科学会
日本美容皮膚科学会
日本臨床毛髪学会

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