フィナステリドをやめた後のリバウンドと対策

フィナステリドの服用を続けていく中で、経済的な理由や妊活、あるいは効果への満足感から「そろそろ薬をやめたい」と考える瞬間は誰にでも訪れます。

しかし、そこで最も懸念されるのが、フィナステリドをやめたら一気に薄毛が進行してしまうのではないか、いわゆる「リバウンド」の状態に陥るのではないかという不安です。

結論から言えば、フィナステリドは服用を中止すると抑えられていたAGA（男性型脱毛症）の進行が再開し、元の状態に戻ろうとする力が働きます。

本記事ではフィナステリドをやめると具体的に体に何が起こるのか、リバウンドのリスクを最小限に抑えるためにはどのような対策が必要なのかを詳細に解説します。

正しい知識を持って行動することで、服用中止後の不安を解消しましょう。

フィナステリドをやめるとどうなるのか

フィナステリドをやめると、薬によって抑制されていたヘアサイクルの乱れが再発し、数ヶ月かけて治療前の薄毛の状態、あるいは年齢相応に進行した状態へと戻っていきます。

フィナステリドは体内に留まって永続的に効果を発揮する薬ではなく、服用している間だけ酵素の働きを阻害して抜け毛を防ぐ性質を持っています。

したがって、服用を中止すれば、体内から成分が消失すると同時に、AGAの進行を止めていた堤防が決壊するように、再び脱毛症状が現れ始めます。

ここでは、服用中止後に体と髪に起こる具体的な変化について詳しく見ていきます。

服用中止によるヘアサイクルの変化

フィナステリドの服用を中止すると、正常化していたヘアサイクルが再び短縮し始めます。

AGAの原因物質であるDHT（ジヒドロテストステロン）の生成を抑える力が失われるため、毛根は再びDHTの攻撃を受けることになります。

通常、髪の毛は2年から6年かけて太く長く成長しますが、フィナステリドをやめると、この成長期が数ヶ月から1年程度にまで極端に短くなります。

その結果、髪が十分に育つ前に抜け落ちるようになり、細く短い毛が増えていきます。

この変化は服用を中止した翌日にすぐ起こるわけではなく、毛根の内部で徐々に進行していきます。鏡を見て「髪が細くなった」と感じる頃には、すでにヘアサイクルの短縮がかなり進んでいる状態です。

ヘアサイクルが乱れると、毛穴から生える髪の本数が減ったり、地肌が透けて見えやすくなったりといった、AGA特有の症状が再び現れます。

薄毛進行のリスクと再発の可能性

フィナステリドをやめたら薄毛の進行が再開する可能性は極めて高く、ほぼ100％の確率でAGAの症状が戻ってきます。

AGAは進行性の症状であり、薬で進行を「止めている」あるいは「遅らせている」状態に過ぎません。薬というブレーキを外せば、車が坂道を下るように薄毛は再び進行を始めます。

特に注意が必要なのは、薬をやめた後に「服用開始前よりも薄くなった」と感じるケースが多いことです。

これは薬を飲んでいた期間中も本来であれば加齢とともに薄毛が進行していたはずが、薬の力で抑えられていただけだからです。

薬をやめると、その期間に進行するはずだった分も含めて症状が現れるため、一気に悪化したように見えることがあります。この再発リスクを理解した上で中止の判断をする必要があります。

体内の薬効消失までの期間

フィナステリドの成分自体は、服用を中止してから比較的短期間で体内から消失します。血液中の薬物濃度は、服用をやめてから約24時間でおよそ半分以下になり、数日もすれば体内からほぼ完全に排出されます。

しかし、成分がなくなったからといって、すぐに抜け毛が増えるわけではありません。

毛根に残っている影響やヘアサイクルの周期的な遅れがあるため、実際に抜け毛の増加や薄毛の進行を目で見て実感するまでにはタイムラグがあります。

一般的には服用中止から3ヶ月から6ヶ月経過した頃に、明らかな変化を感じる人が多いです。

この期間は個人差がありますが、薬の効果が完全に切れ、毛根が再びDHTの影響を強く受け始めるまでの猶予期間と捉えることができます。

服用中止から症状再発までの期間目安

経過期間	体と髪の状態の変化	自覚症状の有無
中止直後〜数日	血中から成分が消失し、DHT生成抑制効果が失われる	変化なし
1ヶ月〜3ヶ月	ヘアサイクルが徐々に短縮し始め、毛根が縮小傾向になる	髪のハリやコシの低下を感じる
3ヶ月〜6ヶ月	成長期が短くなり、細く短い抜け毛が増加する	抜け毛の増加、地肌の透け感を自覚する
6ヶ月以降	治療前の状態、またはそれ以上に薄毛が進行する	明らかな見た目の変化（リバウンド）

リバウンドと呼ばれる現象の正体

AGA治療において「リバウンド」と呼ばれる現象は、薬をやめた反動で通常以上のスピードで髪が抜けることではなく、薬で抑え込んでいた本来の進行スピードに体が追いつこうとする現象を指します。

多くの人が「薬をやめると倍返しでハゲる」という恐怖を持っていますが、科学的には薬が副作用として脱毛を加速させるわけではありません。

あくまで、本来の自分の髪の状態に戻る過程が、急激な変化として感じられるために「リバウンド」と呼ばれています。

このセクションでは、なぜ急激な変化が起こるのか、その正体を解明します。

急激な脱毛はなぜ起こるのか

フィナステリドをやめた後に起こる急激な脱毛は、これまで薬によって無理やり「成長期」を維持されていた毛髪が、一斉に「退行期」「休止期」へと移行するために起こります。

薬の力で寿命を延ばされていた髪の毛たちが薬の供給が絶たれたことで支えを失い、本来の寿命を迎えて抜け落ちていくのです。

通常、髪の毛は1本1本異なるタイミングで生え変わっていますが、薬の効果が切れると多くの毛髪が同じタイミングで成長を止めてしまいます。

これにより、まとまった量の髪が短期間で抜けることになり、患者さんは「急激にハゲた」と感じることになります。

これはダムが決壊して水が一気に流れ出す様子に似ており、溜まっていた「抜けるはずだった髪」が一気に放出される現象です。

元の状態に戻るのかそれとも悪化するのか

フィナステリドをやめると、基本的には治療を開始しなかった場合の現在の状態に戻ります。つまり、治療前の状態に戻るだけでなく、治療期間中に経過した年数分の加齢による進行が加わった状態になります。

例えば、3年間フィナステリドを服用して維持していた場合、薬をやめると「3年前の状態」に戻るのではなく、「3年分の老化が進んだ状態」に着地することになります。

そのため、主観的には「薬を飲む前よりも悪化した」と感じることがほとんどです。これは薬の害ではなく、AGAという病気が進行性であるという性質によるものです。

リバウンドで悪化したように見えるのは、薬で止めていた時間の流れが服用中止によって一気に現在に追いついてきた結果であると理解することが大切です。

現状維持ができていた期間がいかに貴重だったかを、皮肉にもやめた後に実感することになります。

リバウンドと初期脱毛の違い

リバウンドによる脱毛と、治療開始時に起こる初期脱毛は、メカニズムが全く異なります。初期脱毛は古く弱った髪を押し出して新しい強い髪が生えてくるためのポジティブな生え変わり現象です。

一方で、リバウンドによる脱毛はヘアサイクルが乱れて成長期が短くなり、髪が育つ前に抜けてしまうネガティブな退行現象です。

初期脱毛の場合は抜けた後に太く健康な髪が生えてくることが期待できますが、リバウンドの場合は抜けた後に生えてくるのは細く短い産毛のような髪ばかりになります。

この違いを見極めることは重要ですが、服用を中止したタイミングで起きる脱毛は、ほぼ間違いなくリバウンド（AGAの進行再開）によるものです。

対策を講じなければ、そのまま薄毛は進行し続けることになります。

服用を中止しても良いケースと悪いケース

フィナステリドの服用中止は、個人のライフステージや健康状態によって積極的に検討すべき場合と、できるだけ避けるべき場合があります。

AGA治療は長期戦であるため、状況に応じて柔軟な判断が必要です。しかし、自己判断で安易に中止すると、後悔する結果を招くことも少なくありません。

ここでは、専門的な視点から服用を中止しても良い妥当な理由と、中止することでデメリットが大きくなる避けるべきケースについて整理します。

妊活中やパートナーの妊娠

服用を中止すべき最も明確で重要なタイミングは、子作り（妊活）を計画している期間です。フィナステリドは男性ホルモンに作用する薬であり、ごく微量ですが精液中に成分が移行する可能性があります。

胎児、特に男児の生殖器の形成に影響を与えるリスクが理論上ゼロではないため、念のために服用を一定期間中止することが推奨されます。

一般的には子作りの1ヶ月以上前から服用を中止すれば体内から成分が完全に抜け、精液への影響もなくなると考えられています。

パートナーが妊娠中である場合も万が一の接触リスク（錠剤に触れるなど）を避けるため、管理を厳重にするか、心配であれば一時的に服用を休止する選択肢もあります。

このケースでは、薄毛の進行よりも将来の家族の安全と安心を優先すべきです。

副作用が強く出た場合

フィナステリドの副作用として、性欲減退、勃起機能不全（ED）、肝機能障害、気分の落ち込みなどが報告されています。

これらの症状が強く現れ、日常生活や精神状態に支障をきたしている場合は、直ちに服用を中止する正当な理由になります。健康を害してまで髪を守る必要はありません。

特に肝機能の数値に異常が見られた場合や、抑うつ症状がひどい場合は、医師の指示に従って服用を中止してください。

副作用が原因で中止する場合は、フィナステリド以外の治療法（外用薬やメソセラピーなど）への切り替えを検討することで、薄毛対策を継続することが可能です。

無理に服用を続けることは避け、体からのサインを見逃さないようにしましょう。

経済的な理由や自己判断での中断

一方で、経済的な理由や「もう大丈夫だろう」という自己判断での中断は、悪いケースに分類されます。

経済的に厳しい場合は、ジェネリック医薬品への切り替えや、まとめ買いによるコストダウンなど、中止する前に検討できる策があります。

完全にやめてしまうと、これまでの投資が無駄になってしまう可能性が高いです。

また、「髪が生え揃ったからもう薬はいらない」と自己判断でやめてしまうのも危険です。前述の通り、フィナステリドは飲んでいる間だけ効果がある薬です。

自己判断で中止すると、数ヶ月後にリバウンドが始まり、慌てて再開しても元の状態に戻すのに時間がかかる、あるいは戻らないこともあります。

どうしてもやめたい場合は、医師と相談しながら計画的に行うことが大切です。

服用継続と中止の判断基準

状況・理由	判断の方向性	推奨される対応
妊活・パートナーの妊娠	中止を推奨	子作り開始の1ヶ月前には断薬する
重い副作用の発現	直ちに中止	医師に相談し、薬の変更や治療法の見直しを行う
経済的負担	継続を模索	ジェネリックへの変更やクリニックの見直し
効果への過信（自己判断）	継続が必要	維持療法として減薬を相談する

フィナステリドをやめた後の抜け毛対策

諸事情によりフィナステリドをやめる決断をした場合でも、何も対策をしなければ薄毛は進行する一方です。

薬の効果に頼れなくなった分、他の方法で頭皮環境を守り、少しでもヘアサイクルの悪化を食い止める努力が必要になります。

薬ほどの劇的な効果は期待できないかもしれませんが、リバウンドの速度を緩やかにし、現状を少しでも長く維持するための具体的な対策を紹介します。

生活習慣の見直しによる頭皮環境改善

薬の力がなくなった今、自身の自然治癒力やホルモンバランスを整えるために、生活習慣の質を高めることが重要です。

睡眠不足や栄養の偏り、過度なストレスは自律神経を乱し、血管を収縮させて頭皮への血流を悪化させます。血流が悪くなると、髪に必要な栄養が届かなくなり、抜け毛が加速する原因となります。

特に食事においては、髪の主成分であるタンパク質（ケラチン）の元となる良質なアミノ酸、亜鉛、ビタミン類を意識的に摂取しましょう。

また、質の高い睡眠は成長ホルモンの分泌を促し、毛母細胞の修復を助けます。タバコは血管を収縮させるため、可能な限り禁煙することが望ましいです。

日々の積み重ねが、薬なしでの頭皮の健康維持につながります。

頭皮環境を守るための生活習慣チェック

• 日付が変わる前に就寝し、6時間以上の睡眠時間を確保する
• 大豆製品や牡蠣など、髪に良い栄養素を毎食取り入れる
• 有酸素運動を習慣化し、全身の血行を促進させる

育毛剤や発毛剤の代替使用

フィナステリド（内服薬）をやめた後は市販の育毛剤や発毛剤（外用薬）で外側からアプローチすることで、リバウンドの影響を和らげることができます。

特にミノキシジル配合の外用薬はフィナステリドとは異なる作用機序で発毛を促すため、併用や切り替えにおいて有効な手段です。内服薬をやめても、外用薬だけは続けるという選択肢は非常に合理的です。

また、医薬部外品の育毛剤には頭皮の炎症を抑えたり、血行を良くしたりする成分が含まれています。これらはAGAの根本原因であるDHTをブロックする力はありませんが、今ある髪を元気に保つ土壌作りには役立ちます。

自分の頭皮の状態に合ったものを選び、朝晩のマッサージとともに継続使用することで、頭皮環境の悪化を防ぎましょう。

植毛やカツラという選択肢

薬による治療に限界を感じたり、副作用で薬が使えなくなったりした場合は、自毛植毛やカツラ（ウィッグ）、増毛エクステといった物理的な対処法も視野に入ります。

自毛植毛はAGAの影響を受けにくい後頭部の髪を薄くなった部分に移植する手術で、定着すれば薬なしでも生え続ける可能性があります。

初期費用は高額ですが、長期的なメンテナンスの手間が減るというメリットがあります。

カツラや増毛は即効性があり、薬の副作用の心配も全くありません。最近の製品は非常に精巧で、周囲に気づかれることも少なくなっています。

フィナステリドをやめることが「薄毛の受容」ではなく、「別の解決手段への移行」であると捉え直すことで、精神的な負担も軽くなります。自分にとって何が一番大切かを考え、最適な方法を選びましょう。

減薬という選択肢と段階的な中止

フィナステリドを完全にやめてしまうのではなく、量を減らしたり間隔を空けたりしながら徐々にやめていく減薬や段階的な中止は、リバウンドの衝撃を和らげる賢い方法です。

急にゼロにするのではなく、体を徐々に薬のない状態に慣らしていくことで、急激な抜け毛のリスクをコントロールできる可能性があります。

ここでは、無理のない減薬のアプローチについて解説します。

服用頻度を減らす方法

最も一般的な減薬方法は服用の間隔を空けることです。これまで毎日1錠飲んでいたものを2日に1回、慣れてきたら3日に1回というように、徐々にペースダウンしていきます。

フィナステリドの効果は24時間以上続く場合もあるため、1日飲み忘れただけでは効果はなくなりません。この性質を利用して、体内の薬物濃度を緩やかに下げていきます。

この方法のメリットは、薬を完全に断つ前に、髪の状態がどう変化するかをモニタリングできる点です。2日に1回に減らしても抜け毛が増えなければ、そのペースで維持できる可能性があります。

逆に、減らしたことで抜け毛が急増した場合は、すぐに毎日の服用に戻すことでリカバリーが可能です。自分の最低限必要な維持量を見極めるためにも有効な手段です。

配合量を調整するアプローチ

服用の間隔を変える以外に、1回の摂取量を減らすという方法もあります。フィナステリド錠には1mgや0.2mgなどの種類があります。

通常は1mgを服用していることが多いですが、これをピルカッターなどで半分にカットしたり、0.2mg錠に切り替えたりすることで、摂取する有効成分の量を減らすことができます。

医学的なデータでは、0.2mgでも1mgに近い抑制効果があるという報告もあり、量を減らしてもある程度の維持効果は期待できます。

副作用のリスクを下げつつ、薄毛の進行も抑えたいという場合、この微量投与による維持療法は有効な妥協点となり得ます。

ただし、錠剤を分割する場合はコーティングが剥がれて成分が飛散する可能性があるため、妊婦や子供が触れないよう厳重な管理が必要です。

医師との相談の重要性

減薬や段階的な中止を行う際は独断で行わず、必ず主治医と相談しながら進めることが大切です。

医師は現在の毛髪の状態やこれまでの治療経過を把握しており、どの程度のペースで減薬すればリスクが少ないか、客観的なアドバイスをしてくれます。

また、減薬中に抜け毛が増えた場合のバックアッププランや、代替療法の提案も受けることができます。

自己判断での減薬はリバウンドの兆候を見逃したり、減らしすぎて効果がなくなったりする失敗につながりやすいです。治療の出口戦略こそ、専門家の知見を借りて慎重に行うべきです。

段階的な減薬スケジュールの例

段階	服用方法	目的と観察ポイント
ステップ1	1日1回 1mg（通常通り）	現状の維持ができていることを確認
ステップ2	2日に1回 1mg	1ヶ月程度様子を見て、抜け毛が増えないか確認
ステップ3	3日に1回 1mg または毎日0.2mg	さらに間隔を空けるか用量を減らし、維持できる限界を探る
ステップ4	週に1回 または 完全中止	最終的な中止、または最小限の頻度での維持

他のAGA治療薬への切り替え

フィナステリドの効果に満足できない、あるいは副作用が原因で続けられないという場合でも、治療自体を諦める必要はありません。

作用機序の異なる他の薬に切り替えることで、リバウンドを防ぎながら治療を継続できる可能性があります。ここでは、フィナステリドの代替となり得る選択肢について解説します。

デュタステリドへの移行

フィナステリドの上位互換とも言われる薬が「デュタステリド（商品名：ザガーロなど）」です。

フィナステリドがII型の5αリダクターゼという酵素のみを阻害するのに対し、デュタステリドはI型とII型の両方を阻害します。

そのため、フィナステリドでは効果が不十分だった人や、より強力に薄毛進行を抑えたい人への切り替え先として選ばれます。

フィナステリドをやめてデュタステリドに切り替える場合、リバウンドのリスクは低く、むしろ発毛効果が高まることが期待できます。ただし、作用が強力な分、副作用の発現率もやや高くなる傾向があります。

フィナステリドの副作用が原因でやめる場合には向きませんが、効果不足でやめようとしているなら、デュタステリドへの変更は非常に有効な選択肢です。

外用薬（ミノキシジル）のみでの維持

内服薬の副作用が心配でフィナステリドをやめる場合、塗り薬であるミノキシジル外用薬のみに切り替える方法があります。

ミノキシジルは血行を促進し、毛母細胞を直接刺激して発毛を促す成分です。ホルモンバランスには影響を与えないため、性欲減退などの副作用を避けたい人に適しています。

ただし、ミノキシジルには抜け毛を抑える作用（守りの効果）は弱いため、フィナステリドをやめるとAGAの進行自体は止まらない可能性があります。

それでも発毛力を高めることで抜ける量と生える量のバランスを取り、見た目のボリュームを維持することは可能です。

内服薬なしでどこまで維持できるか、医師と相談しながら濃度などを調整していくと良いでしょう。

サプリメントや漢方の活用

医薬品に抵抗がある場合、ノコギリヤシなどのサプリメントや、体質改善を目的とした漢方薬に切り替える人もいます。

ノコギリヤシにはフィナステリドと同様に5αリダクターゼを阻害する作用があると言われていますが、その効果は医薬品に比べて非常にマイルドです。

サプリメントや漢方はあくまで補助的な役割であり、フィナステリドと同等の効果を期待することはできません。

しかし、何もしないよりは良いですし、プラセボ効果も含めて精神的な安心感を得ることはできます。生活習慣の改善と組み合わせることで、健康的な頭皮環境を作る一部として取り入れるのが良いでしょう。

主なAGA治療薬と代替手段の比較

薬剤・成分名	分類	特徴と切り替え時の注意点
フィナステリド	内服薬	基準となる薬。II型酵素を阻害し抜け毛を防ぐ。
デュタステリド	内服薬	I型・II型を阻害。効果は高いが副作用リスクも考慮が必要。
ミノキシジル	外用薬	発毛を促進。守りの効果は弱いため、進行抑制には限界がある。
ノコギリヤシ	サプリ	副作用はないが、効果は限定的。あくまで補助的な手段。

再開する際の注意点と効果

一度フィナステリドをやめてしまい、リバウンドで薄毛が進行してしまった後でも、服用を再開することは可能です。

しかし、再開すればすぐに元の状態に戻るわけではなく、一度失った髪を取り戻すには再び長い時間と根気が必要になります。再開を検討する際に知っておくべき、効果の現れ方や注意点について解説します。

服用再開のタイミング

フィナステリドの服用再開は、早ければ早いほど良いです。AGAは進行性であり、毛根には寿命があります。長期間放置して毛根が完全に萎縮し、死滅してしまってからでは、薬を再開しても髪は生えてきません。

薄毛の進行に気づいたら、ためらわずに再開することが、リカバリーの成功率を高める鍵となります。もし妊活のために一時中断していたのであれば、妊活終了後すぐに再開するのが理想的です。

自己判断でやめて後悔している場合も、恥ずかしがらずに医師に相談し、再処方してもらいましょう。空白期間が短ければ短いほど、元の状態に戻れる可能性は高くなります。

効果が再び現れるまでの期間

再開後の効果は初めて服用した時と同じように、実感できるまでに時間がかかります。一般的には、再開してから効果を感じるまでに最低でも6ヶ月程度は必要です。

一度乱れてしまったヘアサイクルを正常に戻し、新しい髪が育つまでには一定の期間がかかるからです。「再開したのにすぐに生えない」と焦ってはいけません。

また、一度進行してしまった薄毛が、以前のフサフサな状態まで完全に戻る保証もありません。しかし、再開することでそれ以上の進行を食い止めることは確実にできます。

長期的な視点を持ち、再び治療に取り組む姿勢が大切です。

初期脱毛が再度起こる可能性

フィナステリドを再開した際、多くの人が再び「初期脱毛」を経験します。

これは薬が効き始めている証拠であり、古い髪が押し出されて新しい髪に生え変わる準備期間です。一度やめた後の再開時にも、このメカニズムは働きます。

以前経験したこととはいえ、再び抜け毛が増えるのは精神的に辛いものですが、ここで怖がってまたやめてしまっては意味がありません。

「これは良くなる前の好転反応だ」と理解し、この時期を乗り越えることが重要です。初期脱毛は通常1ヶ月から2ヶ月程度で収まりますので、冷静に経過を見守りましょう。

服用再開後のタイムライン予測

経過期間	予想される状態	心構え
再開〜1ヶ月	初期脱毛が始まる可能性がある	薬が効いている証拠と捉え、動揺しない
3ヶ月〜4ヶ月	抜け毛が減り、産毛が生え始める	初期効果を実感し始める時期。継続が鍵
6ヶ月〜1年	髪の太さや密度が改善してくる	見た目の変化が現れる。以前の状態へ近づく

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よくある質問

フィナステリドの服用中止やリバウンドに関して、多くの患者さんから寄せられる疑問にお答えします。正しい知識を持つことで不安を解消し、適切な判断ができるようになります。

1週間だけ飲み忘れたらどうなりますか？

1週間程度の飲み忘れであれば、すぐにリバウンドが起きてハゲてしまうことはありません。

体内の薬効は数日で消えますが、ヘアサイクルが急激に悪化して抜け毛として現れるまでには数ヶ月のタイムラグがあるからです。

気づいた時点からまた毎日服用を再開すれば、大きな影響はなく元の効果を維持できることがほとんどです。

ただし、飲み忘れが頻繁に続くと効果が不安定になるため、習慣化を心がけてください。

献血はいつからできるようになりますか？

フィナステリドを服用している間は献血ができませんが、服用を中止してから1ヶ月が経過すれば献血が可能になります。

これは、薬の成分が体内から完全に排出されるのに必要な期間を考慮して設定された基準です。

1ヶ月経てば血液中に成分は残っていないため、輸血を受ける人（特に妊婦）への影響もなくなります。献血を予定している場合は、計画的に1ヶ月間の休薬期間を設ける必要があります。

若いうちにやめると影響は大きいですか？

一般的に若いうちにAGA治療をやめると、その後の進行スピードが速く、影響が大きくなる傾向があります。

若年性のAGAは進行力が強いため、薬の抑えがなくなると一気に薄毛が進むリスクが高いです。また、若い時期は外見を気にする場面も多いため、精神的なダメージも大きくなります。

若いうちにやめる場合は将来的な薄毛のリスクを十分に考慮し、慎重に判断することが必要です。

個人輸入の薬に変えてもいいですか？

コストを抑えるためにクリニック処方の薬から個人輸入の薬へ切り替えることは、リスクが高いため推奨されません。

個人輸入の薬は偽物や粗悪品が混入している可能性があり、効果がないばかりか予期せぬ健康被害を招く恐れがあります。また、万が一重篤な副作用が出た場合に国の救済制度を受けられないというデメリットもあります。

安全に治療を続けるためには、医療機関で処方された正規の薬を使用することが大切です。