こめかみの薄毛と生え際の後退における男性型脱毛症の特徴

こめかみの薄毛と生え際の後退における男性型脱毛症の特徴

近年、男性型脱毛症が社会的にも注目されていますが、特にこめかみ付近の生え際が薄くなる症状に悩む方が増えています。

生え際の形は人の印象を大きく左右するため、「こめかみ付近が薄い」と感じると外見だけでなく精神的な負担にもつながりやすいです。

そこで、こめかみと生え際の後退に着目しながら、男性型脱毛症の特徴や治療の考え方をわかりやすく解説いたします。

目次

こめかみと生え際の薄毛が注目される背景

こめかみの薄毛や生え際の後退は、これまで「年齢による自然な変化」と捉えられてきました。

しかし、実際には男性型脱毛症の一部として進行する例が多く、早いうちから意識する人が増えています。

こめかみが目立ちやすい理由

こめかみは顔の正面からも側面からも視線が集まりやすい領域です。髪のボリュームが少なくなったり、生え際が後退すると、見た目の印象が大きく変化します。

特にこめかみが薄いと感じる場合、次のような状況が考えられます。

  • 生え際が元々高めの方が、年齢とともにより広く感じる
  • 髪の毛一本あたりの太さが細くなってきて、密度が低下する
  • 額の形や頭蓋骨の構造的な理由から、こめかみ部分に陰影ができやすい

こうした理由から、こめかみ 生え際の変化は薄毛の進行を意識する大きなきっかけになっています。

生え際の後退が与える心理的な負担

こめかみや前頭部の髪が後退すると、「年齢より上に見られてしまうのではないか」という不安を抱きやすいです。

男性型脱毛症の特徴の1つである生え際の後退は、自分自身の加齢を強く意識させる要因になるともいわれています。

さらに、鏡を見るたびに気になるため、次のような心理状態に陥りやすいでしょう。

  • 他人の視線が常に生え際やこめかみに向かっていると感じる
  • 帽子や前髪で隠したくなるため、外出が億劫になる
  • 気分が沈み、自信を失う場面が増える

外見の悩みはメンタル面にも影響するため、早めに対応策を考えるようにしましょう。

こめかみ付近の毛髪は年齢以外の要素でも変化する

こめかみ付近の髪の毛が薄くなる要因は、単なる年齢的な変化だけではありません。

男性型脱毛症ではDHT(ジヒドロテストステロン)の影響が大きいですが、それ以外にもストレスや睡眠不足などの生活習慣が関連する可能性があります。

たとえば以下の要素も大きく関わります。

  • 遺伝的体質
  • 栄養バランスの偏り
  • タバコやアルコールの摂取量
  • 過度なダイエット

総合的に原因を探ると、意外なところに薄毛を加速する要因が潜んでいるかもしれません。

抜け毛のタイミングと変化に気づきやすい

前頭部やこめかみは、鏡を見ればすぐに把握できる部位です。他の部位と比べて抜け毛や毛量の変化に気づきやすいため、自分自身でも早期に発見できます。

逆にいえば、気にしすぎるあまり精神的負担を感じやすいともいえます。自分で定期的にチェックを行いながら、必要に応じて受診を検討するとよいでしょう。

部位視線が向かう頻度変化の気づきやすさ
こめかみ付近高い変化に気づきやすい
前頭部(生え際)高い抜け毛に気づきやすい
頭頂部中程度周囲から指摘されて気づくケースが多い
後頭部低い自分では気づきにくい

このように、こめかみや生え際は自分でもチェックしやすい部位であるものの、その分、精神的な負担が大きくなりやすい点が特徴です。

男性型脱毛症とは:こめかみや生え際に現れやすい理由

男性型脱毛症(AGA)は、男性ホルモンや遺伝、生活習慣などが複合的に関与する疾患です。こめかみや生え際に特徴的なパターンが現れる方が多いです。

AGAの基本的なメカニズム

AGAの大きな要因として、男性ホルモンであるテストステロンが酵素5αリダクターゼによってDHTに変換されるプロセスが挙げられます。

DHTは毛根に作用し、髪の成長サイクルを短くします。結果として、新たに生えてくる髪は細く短いものになり、次第にボリュームが減っていくのです。

AGAとDHTの関連

要素働き・影響
テストステロン男性らしい体格や筋肉発達に関与
5αリダクターゼテストステロンをDHTに変換する酵素
DHT(ジヒドロテストステロン)毛母細胞へ作用し、ヘアサイクルを短縮させる

このメカニズムは前頭部や頭頂部の毛髪に特に強く作用し、こめかみ 生え際の部分が顕著に薄くなる原因となります。

こめかみ付近に出やすい理由

男性型脱毛症では、前頭部からこめかみにかけての「M字型」や「生え際全体が後退するU字型」のパターンが代表的です。

これは、生え際近くの毛包がDHTの影響を受けやすい性質を持つ点に起因します。

具体的には以下のような要因が考えられます。

  • 前頭部・こめかみ付近の毛包はDHTに対する感受性が高い
  • 血流量や栄養供給が減少すると毛母細胞の機能が落ちやすい
  • ストレスや生活習慣によるホルモンバランスの乱れも前頭部に影響しやすい

生え際が後退するだけでなく、こめかみの薄毛として段階的に進行するケースも多く見られます。

M字型とU字型の違い

AGAの代表的な進行パターンとしては、M字型とU字型が挙げられます。

M字型は、額の両側(こめかみ部分)から後退していくために、生え際がアルファベットの「M」のような形になる状態です。一方でU字型は、生え際全体が後退し、額が大きく広がった状態になります。

どちらの型でも、最初に気づくのはこめかみ付近の後退という場合が多いです。

  • M字型は、こめかみが深くへこんだように後退するため顔全体の印象が変わりやすい
  • U字型は、生え際全体が広く後退し、おでこが広い印象になる

遺伝とホルモンの複合的な影響

男性型脱毛症は遺伝の影響も強く、自分の父親や祖父がこめかみや生え際の薄毛に悩んでいた場合、同様の症状が出る可能性があります。

ただし、単に遺伝だけではなく生活習慣やストレスも要因となり得るため、以下の点にも注意が必要です。

  • 高タンパク・高脂肪の食事で皮脂分泌が増加すると毛穴が詰まりやすい
  • 慢性的な睡眠不足でホルモンバランスが乱れる
  • 喫煙や過度な飲酒は血行を悪化させる

AGA発症に関わる複合要因

要因具体例髪への影響
遺伝家族の薄毛傾向AGA発症リスクが上がる
ホルモンDHT過剰産生毛母細胞の機能低下
生活習慣栄養バランスの偏り髪の成長に必要な栄養不足
ストレス自律神経の乱れ血流低下やホルモン異常

これらの要因が複合的に働くため、一概に「遺伝だけが原因」とはいえません。総合的な視点で原因を探ることが大切です。

こめかみの薄毛と生え際の後退を判断するポイント

自分のこめかみや生え際が本当に後退しているのかどうかを判断するには、客観的な基準を確認すると良いです。

自己判断で「気になる」と思うだけでなく、どのようにチェックすると適切かを説明します。

写真による定期的な比較

日々の変化は少しずつ進むため、毎日鏡を見ていても後退の度合いに気づけない場合があります。

そこで、2〜3カ月ごとに同じ角度や明るさで写真を撮影し、変化を比較する方法が有効です。

  • スマホのカメラを利用して前頭部とこめかみ付近を撮影
  • できるだけ同じ背景・同じ照明環境で撮る
  • 定期的に撮影して画像フォルダで比較

このように、写真で確認すると感覚ではなく視覚的に判断できます。

写真比較時に注目したい項目

項目チェックポイント
こめかみのラインM字型の進行や後退の深さ
生え際の境界おでこが広くなっていないか
毛の密度毛量や太さの変化
頭皮の見え方肌色が目立つ範囲

比較する際は「前頭部全体」「こめかみ周辺」「頭頂部」など複数アングルから撮影するとより正確です。

抜け毛の状態を日常的に観察

シャンプーやドライヤーの際に、抜け毛の本数や太さをチェックするのも有用です。ただし、1日あたり100本程度の抜け毛は正常範囲といわれています。

そのため、以下のような点に注目してください。

  • 抜け毛が細く短いものが多い場合、成長期が十分に保たれていない可能性がある
  • 毛根部が白くない抜け毛(切れ毛)の増加は、髪のダメージの可能性がある
  • 抜け毛が急激に増えた・質が変わったと感じる場合は何らかの異変を疑う
  • 抜け毛の太さや長さ、毛根の状態まで確認すると原因を推測しやすい
  • ブラッシング時、髪に過度のダメージを与えていないかも要チェック

髪の立ち上がりとスタイリング時の変化

生え際が後退すると、前髪のボリュームが出にくくなります。また、スタイリングの際に髪が思うように立ち上がらない、セットしてもすぐにへたってしまうなどの変化に気づく方が多いです。

こめかみ付近で髪が割れてしまい、生え際が目立つようになるケースもあります。

スタイリングがうまくいかない要因

要因結果
毛が細くなりハリ・コシが低下セットが長持ちしない
頭皮の皮脂が増加根元がペタッとしやすい
生え際の後退髪型のバランスが取りにくい

スタイリング剤を変えても改善しない場合、AGAが進行しているサインかもしれません。

家族や友人からの指摘

自分では気づきにくい変化でも、会うたびに見ている家族や友人は敏感に察知します。

もし「最近おでこが広くなったんじゃない?」「こめかみ付近が薄くなった気がする」などの指摘があれば、前述した写真撮影や抜け毛の状態確認を行ってみてください。早めに対策を考えるきっかけになります。

  • 周囲の意見は客観的な視点として有用
  • 恥ずかしがらず、積極的に髪の状態をチェックしてもらうのも選択肢

男性型脱毛症の進行パターンとこめかみ・生え際の特徴

男性型脱毛症には、進行度合いによって特徴的な変化が現れます。特にこめかみ付近や生え際の後退パターンは、その人の生活習慣や遺伝的要因なども反映されます。

軽度:生え際に違和感を覚える段階

まだはっきりした後退がないものの、前髪を上げたり額を出したりすると「少し広くなったかも」と感じる程度です。

周囲からの指摘は少なく、自分が気づくかどうかの微妙な段階です。

  • 生え際の産毛が徐々に細くなる
  • こめかみ付近の髪が少しセットしづらい
  • 髪型によってはほとんど目立たない

中等度:こめかみが薄いと自覚し始める

鏡でこめかみ付近を確認すると、髪の密度が薄くなっているとわかる段階です。

生え際が少し後退したと感じ、M字型になりかけるケースが多いでしょう。周囲の人も変化に気づくようになります。

  • M字部分がはっきりしてきて、髪型で隠しづらくなる
  • スタイリング次第では目立たなくなるが、気をつけないとすぐに露出する
  • 抜け毛も増え始め、髪一本一本のコシや太さが低下している可能性が高い

高度:おでこが顕著に広がる

前頭部全体が後退し、こめかみ付近だけでなく生え際全体が広く見えてくる段階です。

頭頂部の薄毛も同時進行している場合もあり、髪型でカバーするのが難しくなります。

  • おでこが大きく感じられ、セットが難しい
  • 前髪が短く細い毛しか残らない
  • 頭頂部との繋がりも気になり、帽子を被る機会が増える

こめかみ・生え際が進行した場合の心理的影響

高度な段階まで進行すると、コンプレックスが強くなり日常生活にも支障をきたすことがあります。

  • 鏡を見るたびに強いストレスを受ける
  • 人前で帽子や前髪を気にしすぎてコミュニケーションに支障が出る
  • 仕事やプライベートで自信を失い、消極的になる

男性型脱毛症は放置すると進行していく傾向があるため、早めの対策や治療が重要です。

こめかみと生え際の進行度の違い

進行度こめかみ部分の特徴生え際全体の特徴
軽度産毛が増える・細くなる額が少しだけ広くなった気がする
中等度こめかみが深く後退M字型をはっきり認識し始める
高度前頭部全体が後退額が広く、頭頂部も薄くなってくる

こめかみが薄いときに考慮したい生活習慣と対策

こめかみや生え際の後退が気になったら、まずは普段の生活習慣を見直すことが大切です。

ホルモンの影響だけでなく、栄養や血行不良など、日常の習慣が薄毛を進行させる要因となっている場合もあります。

睡眠とストレス管理

睡眠不足や慢性的なストレスはホルモンバランスを乱し、髪の成長にも悪影響を与えます。

7時間前後の睡眠を確保し、心身を休ませる時間を作るよう意識してください。

  • 就寝前はスマホやPCの画面を見続けない
  • 寝る数時間前から照明を少し暗くして体をリラックスさせる
  • 軽いストレッチや深呼吸などを習慣づける
  • 趣味や軽い運動でストレスを発散

食生活の改善

髪の毛はケラチンというタンパク質から作られます。十分なタンパク質に加え、ビタミンやミネラルをバランスよく摂取することが大切です。

また、高脂質・高糖質の食事が続くと皮脂が過剰に分泌され、毛穴詰まりを助長します。

食事に取り入れたい栄養素と食品

栄養素食品例髪への主な効果
タンパク質豆腐、納豆、魚、肉、卵髪の構成成分を補う
ビタミンB群レバー、豚肉、玄米頭皮の血行促進と細胞代謝のサポート
亜鉛牡蠣、牛肉、かぼちゃの種髪の成長サイクルを支援
鉄分ほうれん草、レバー、赤身肉酸素供給を助ける

食生活を整えると、こめかみや生え際だけでなく全体的な髪の健康が向上するでしょう。

頭皮環境の整備

頭皮の汚れや皮脂が溜まると、毛穴が詰まり髪の成長を妨げる可能性があります。適度な洗髪と頭皮マッサージで清潔な状態を保ちましょう。

ただし、洗いすぎも乾燥や刺激につながるため、以下の点に注意が必要です。

  • シャンプーは1日1回を目安に、優しく指の腹で洗う
  • 頭皮に合ったシャンプー選びをする(低刺激タイプなど)
  • 髪を乾かす際はドライヤーを適度な温度で使用し、頭皮を十分に乾かす

運動習慣の導入

血行が滞ると、毛根に必要な栄養や酸素が行き渡りにくくなります。

適度な有酸素運動は血行促進に役立ち、こめかみや生え際の毛根を元気にする手助けをしてくれます。

  • ウォーキングやジョギング、サイクリングを週2〜3回程度取り入れる
  • 激しすぎる運動は疲労やストレスの原因となるので適度を心がける
  • 食生活や睡眠、運動などの日常習慣を総合的に改善する意識が大切
  • こめかみの薄毛や生え際の後退を抑えるために、小さな積み重ねを意識

こめかみや生え際への治療方法

生活習慣の改善で症状の進行を緩やかにできる可能性はありますが、男性型脱毛症の進行が顕著な場合は医療的なケアも検討すべきです。

ここでは、一般的に行われる治療方法や特徴について解説します。

内服薬による治療

AGA治療では、5αリダクターゼを阻害するタイプの内服薬が使われるケースが多いです。

これによりDHTの産生を抑え、こめかみや生え際の毛髪が細くなるのを抑制します。また、血管拡張作用を持つ成分の内服薬も選択肢の1つです。

内服薬の特徴比較

成分主な作用注意点
フィナステリド5αリダクターゼを阻害女性には使用不可、継続的な服用が必要
デュタステリド5αリダクターゼⅠ型・Ⅱ型を阻害フィナステリドより強い効果が期待できる場合があるが、副作用リスクも考慮
ミノキシジル(内服)血管拡張により毛根への血流を増やす動悸やむくみなどの副作用に注意

外用薬や育毛剤の併用

内服薬と合わせて、頭皮に直接作用する外用薬や育毛剤を使用するケースもあります。

特にミノキシジルの外用薬は、血行促進や毛母細胞の活性化を促す働きがあり、こめかみや生え際の発毛をサポートします。

  • 夜の洗髪後など頭皮が清潔な状態で使用する
  • 継続して塗布しないと効果が実感できない場合が多い
  • 肌に合わない場合、かゆみや赤みが出ることがあるため注意が必要

注入療法やメソセラピー

頭皮に直接有効成分を注入し、毛母細胞を活性化させる治療法も存在します。注入される成分は、成長因子やビタミン、アミノ酸などです。

こめかみの薄毛が進んでいる部分にピンポイントで働きかけられます。

  • 痛みが少ない方法が増えている
  • 定期的に複数回行う必要がある
  • 費用がやや高額になることも多い

自毛植毛という選択肢

自分の後頭部など、比較的毛量の多い部分から毛根を移植する方法です。

外科的な処置となるため費用とダウンタイムがかかりますが、移植した毛は自分の毛として定着するため抜けにくいとされます。ただし、以下の課題も考えられます。

  • ドナーとなる毛髪の採取範囲や移植範囲によっては時間がかかる
  • 治療後のケアや定期検診が必要
  • 大掛かりな手術になるほど負担も大きくなる
  • 症状の進行度や生活スタイル、予算に応じて治療方法を選ぶ
  • 医師の診断を受けた上で、自分に合った方法を検討することが大切

こめかみの薄毛とクリニックでの治療検討

こめかみや生え際の後退を感じたら、一度クリニックを受診して専門的な視点から評価を受けるのがおすすめです。

自分の薄毛が本当に男性型脱毛症なのか、それ以外の要因があるのかを見極めると、治療方針を明確にできます。

カウンセリングと問診の重要性

クリニックでは、まず医師やカウンセラーが患者の生活習慣や薄毛の経過などを詳細に聞き取ります。

  • いつ頃から薄毛が気になり始めたか
  • 抜け毛や髪質の変化を自覚しているか
  • 家族に似た症状を持つ人がいるか

これらの情報をもとに、男性型脱毛症が疑われる場合はさらに頭皮の状態を診察し、適した治療法の提案につなげます。

治療プランの選択と費用

内服薬の処方や外用薬の利用、注入療法やメソセラピー、自毛植毛に至るまで、選択肢は複数あります。

費用面も大きく異なるため、事前に各治療法のメリットとデメリットを把握しておく必要があります。

  • 内服薬や外用薬は比較的手軽に始められるが、効果には個人差がある
  • 注入療法や自毛植毛は費用が高くなるが、こめかみや生え際への集中的な取り組みが可能
  • 複数の治療方法を組み合わせて行うクリニックもある

経過観察とフォローアップ

治療は一度行えば終わりではなく、経過を確認しながら継続的にフォローアップすることが大切です。特に男性型脱毛症は進行型の疾患なので、内服薬や外用薬を続けていく必要があります。

クリニックで定期的に診察を受けると、以下のような点を確認できます。

  • 発毛や抜け毛の状況が改善しているか
  • 副作用やトラブルの有無
  • 必要に応じた治療法や薬剤の変更

治療経過を確認するタイミング

治療経過を確認するタイミングは、内服を始めてから3カ月目、6カ月目、12カ月目が一般的です。ただし、副作用の心配があるケースではさらに細かく通院する場合があります。

タイミング特徴
内服薬を始めてから3カ月目髪の成長サイクルに変化が出る頃
6カ月目肉眼で発毛や抜け毛減少が実感できる場合が多い
12カ月目治療の効果が安定してくるため、今後のプランを見直す時期

安心して治療を続けるために

男性型脱毛症の治療は、早期に開始するほど効果が得られやすい傾向があります。

また、クリニックでは薬剤の処方や施術だけでなく、生活習慣のアドバイスも行っているところが多いです。自宅でもできるケアや頭皮マッサージなどを含めて、総合的なサポートを受けられます。

  • 専門医に相談することで、自己流のケアだけでは得られない客観的なアドバイスが期待できる
  • こめかみ付近の薄毛が気になるなら、時間をかけて診断・治療を進めるのが望ましい

早めの対策で得られる利点と受診のタイミング

こめかみや生え際の後退は、放置すると進行が進む場合が多く、精神的にも大きな負担となります。そこで、早めの対策を実践して得られる利点や、受診の目安になるタイミングを整理します。

進行の抑制が期待できる

男性型脱毛症は進行型の疾患なので、早期の段階で手を打つほど症状が軽い状態で維持しやすくなります。

こめかみの薄毛や生え際の後退を感じたら、まずは生活習慣の改善や頭皮ケアを始めてみましょう。

効果が感じられない場合は医療機関の検討も視野に入れるとよいでしょう。

メリット具体的な効果
精神的負担の軽減抜け毛の悩みが減り、前向きな気持ちで過ごせる
治療コストの抑制症状が軽度のうちに対処すれば大掛かりな治療が不要
毛母細胞の活性化まだダメージが軽い毛根は回復しやすい

自己判断より専門医の診断が重要

「まだ大丈夫だろう」と放置してしまうと、こめかみ付近がさらに薄くなってから受診することになります。

自己流のケアだけでは限界があるため、薄毛の進行が早いと感じた場合や、抜け毛の質が変わってきたと感じるときこそ受診のタイミングです。

  • 1〜2カ月で抜け毛が急増したとき
  • こめかみや生え際のラインが明らかに変わったとき
  • スタイリングで隠しきれなくなったとき

周囲の目を気にする必要が減る

こめかみが薄いと感じ始めると、人と会うときや外出時に帽子などで隠そうとする場面が増えるかもしれません。

早めにケアを始めれば、周囲から指摘を受ける前に対策を講じられるため、人間関係や社会生活にもメリットがあります。

  • 気持ちが楽になることでコミュニケーションが円滑になる
  • 外見上のストレスが減ることで前向きに行動できる

総合的な健康状態の改善にもつながる

実は、こめかみや生え際の後退がきっかけで生活習慣を見直し、健康状態が改善するケースもあります。

薄毛対策として取り組んだ運動や食生活の改善が、血圧や体重のコントロールにも良い影響を与える場合があります。

受診のタイミングに迷ったら、少しでも不安を感じる時点で医療機関に相談してみると良いでしょう。

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この記事を書いた人

Dr.前田祐助のアバター Dr.前田祐助 AGAメディカルケアクリニック 統括院長

経歴
慶應義塾大学医学部医学研究科卒業
慶應義塾大学病院 初期臨床研修課程終了
大手AGAクリニック(院長)を経て、2018年AGAメディカルケアクリニック新宿院を開設

資格
医師免許
⽇本医師会認定産業医
医学博士

所属学会
日本内科学会
日本美容皮膚科学会
日本臨床毛髪学会

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