古くから「医者いらず」とも呼ばれ、家庭でも親しまれてきたアロエ。そのアロエが、実は髪の毛や頭皮のケアにも素晴らしい効果をもたらすことをご存知でしょうか。
この記事では、「アロエを頭皮に塗る」「髪に塗る」ことにどのようなメリットがあるのか、その科学的根拠と具体的な効果を深掘りします。
乾燥やフケ、かゆみといった頭皮トラブルへのアプローチから、髪の保湿、ツヤ向上まで、アロエの力を最大限に活かすための正しい使い方と注意点を、男性の育毛を考える視点も交えて詳しく解説します。
この記事の執筆者

AGAメディカルケアクリニック 統括院長
前田 祐助
【経歴】
慶應義塾大学医学部医学研究科卒業
慶應義塾大学病院 初期臨床研修課程終了
大手AGAクリニック(院長)を経て、2018年に薄毛・AGA治療の「AGAメディカルケアクリニック」新宿院を開設
2020年に横浜院、2023年に東京八重洲院を開設
資格・所属学会・症例数
【資格】
- 医師免許
- ⽇本医師会認定産業医
- 医学博士
【所属学会】
- 日本内科学会
- 日本美容皮膚科学会
- 日本臨床毛髪学会
【症例数】
3万人以上※
※2018年5月~2022年12月AGAメディカルケアクリニック全店舗の延べ患者数
アロエとは?その驚くべき成分
古くから知られるアロエの力
アロエは、ユリ科(またはススキノキ科)に属する多肉植物で、その歴史は古く、古代エジプト時代から健康や美容のために用いられてきた記録が残っています。
肉厚な葉の内部にある透明なジェル状の部分(葉肉)が、主に利用される部位です。
日本でも「医者いらず」という言葉があるように、軽いやけどや切り傷の手当てに民間療法として使われてきた経緯があり、非常に身近な植物の一つと言えるでしょう。
その多岐にわたる働きが、近年になって科学的にも解明されつつあり、化粧品や健康食品、医薬品など幅広い分野で活用が進んでいます。
アロエに含まれる主な有効成分
アロエの葉肉には、水分を筆頭に、ビタミン、ミネラル、アミノ酸、酵素、多糖類など、200種類以上とも言われる有用な成分が含まれています。
これらが複合的に作用することで、アロエ特有の様々な効果を発揮します。特に髪や頭皮に関連する成分は重要です。
アロエの主な含有成分と期待される働き
| 成分カテゴリー | 主な成分例 | 期待される働き(髪・頭皮関連) |
|---|---|---|
| 多糖類 | アロエベロース、ムコ多糖類 | 高い保湿力、保水力の維持、頭皮の保護 |
| ビタミン類 | ビタミンA, C, E, B群 | 抗酸化作用、頭皮の新陳代謝サポート、皮脂調整 |
| 酵素類 | ブラジキニナーゼなど | 炎症を抑える働き(頭皮のかゆみ等) |
この他にも、アミノ酸(髪の毛の構成成分であるケラチンの材料)やサポニン(天然の洗浄成分)など、頭皮環境や髪の健康維持に役立つ成分が豊富です。
なぜアロエが髪と頭皮に注目されるのか
アロエが髪と頭皮のケアに注目される理由は、その多機能性にあります。単に水分を与えるだけでなく、炎症を抑える働きや、頭皮を健やかに保つための栄養素を補給できる点が大きな魅力です。
特に、現代人はストレスや生活習慣の乱れ、紫外線、ヘアカラーやパーマなどにより、頭皮が乾燥したり、敏感になったりしがちです。
アロエの持つ自然な保湿力と鎮静作用は、こうした現代人の頭皮トラブルに対して、穏やかにアプローチできる素材として高く評価されています。
育毛を考える上でも、土台となる頭皮環境を整えることは非常に重要であり、そのサポート役としてアロエの活用が期待されています。
アロエが髪の毛にもたらす主な効果
髪の保湿とツヤの向上
アロエの最大の特長の一つが、その卓越した保湿力です。アロエのジェルに含まれるムコ多糖類は、非常に高い保水能力を持ち、髪の内部に水分をしっかりと閉じ込めます。
髪の毛がパサつく主な原因は、キューティクルの損傷による内部の水分の流出です。アロエの成分が髪の表面をコーティングし、水分の蒸発を防ぐことで、しっとりとした潤いのある髪へと導きます。
水分バランスが整うことで、髪本来が持つ自然なツヤも回復しやすくなります。
ダメージヘアの補修サポート
紫外線やドライヤーの熱、ヘアカラー、パーマなどによってダメージを受けた髪は、タンパク質が流出し、内部がスカスカの状態になっています。
アロエに含まれる豊富なアミノ酸は、髪の主成分であるケラチンタンパク質の構成要素です。 アロエを髪に塗ることで、これらのアミノ酸がダメージ部分に浸透し、失われた栄養分を補給します。
これにより、髪の内部構造を補強し、ダメージの進行を防ぐサポートが期待できます。
ただし、一度深刻なダメージを受けた髪が完全に元に戻るわけではなく、あくまで「補修をサポート」し、「現状維持・改善」を目指すものと理解することが大切です。
髪の強度としなやかさ
髪の健康は、水分と油分、タンパク質のバランスによって保たれています。アロエは水分と栄養素(アミノ酸やビタミン類)を同時に補給できるため、髪の内部バランスを整えるのに役立ちます。
潤いと栄養が行き渡った髪は、乾燥して脆くなった髪に比べて柔軟性が増し、しなやかになります。
これにより、ブラッシング時の摩擦や、ちょっとした外的刺激による切れ毛や枝毛を防ぎ、髪全体の強度向上にもつながります。
アロエによる髪への主なメリット
| 効果 | 主な要因となる成分 | 期待できる結果 |
|---|---|---|
| 保湿・ツヤ向上 | 多糖類、水分 | パサつきの改善、自然な光沢感 |
| ダメージ補修サポート | アミノ酸、ビタミン類 | 内部栄養の補給、しなやかさの回復 |
| 強度・弾力アップ | アミノ酸、水分バランス | 切れ毛・枝毛の予防 |
キューティクルの保護
髪の表面を覆うキューティクルは、うろこ状に重なり合って内部を守る鎧のような役割を担っています。
しかし、アルカリ性(例:ヘアカラー剤)に傾いたり、乾燥したりすると、キューティクルが開いて剥がれやすくなります。
アロエのジェルは弱酸性であるため、髪や頭皮のpHバランスを整えるのに役立ちます。開いたキューティクルを引き締め、髪の表面を滑らかに整えることで、内部の水分やタンパク質の流出を防ぎます。
また、アロエの成分が形成する薄い保護膜が、外部の刺激からキューティクルを守る働きもします。
アロEが頭皮環境に与える好影響
頭皮の乾燥を防ぐ保湿力
頭皮も顔の肌と同様に、乾燥するとバリア機能が低下し、様々なトラブルを引き起こします。
特に男性の頭皮は、皮脂分泌が多い一方で、水分が不足しがちな「インナードライ」状態にあることも少なくありません。
アロエのジェルを頭皮に塗ることで、その高い保水力により、角質層に十分な潤いを与えます。頭皮が潤うことでバリア機能が正常に働き、外部刺激から頭皮を守る力が強まります。
健康な髪は、健康な頭皮という土壌から育つため、頭皮の保湿は育毛の基本と言えます。
フケやかゆみを抑える働き
フケやかゆみの原因は様々ですが、主な原因として「頭皮の乾燥」と「常在菌(マラセチア菌など)の異常繁殖」が挙げられます。
まず、アロエの保湿力が乾燥によるフケ(乾性フケ)を軽減します。さらに、アロエには抗炎症作用や抗菌・抗真菌作用を持つ成分(ブラジキニナーゼ、アロエチンなど)が含まれているとされています。
これらの成分が、かゆみを引き起こす炎症を鎮めたり、フケの原因となる菌の過剰な増殖を抑えたりすることで、頭皮環境を健やかに保ち、フケやかゆみの発生を予防する効果が期待できます。
頭皮トラブルとアロエの働き
| 頭皮トラブル | 主な原因 | アロエの期待される働き |
|---|---|---|
| 乾燥・乾性フケ | 水分不足、バリア機能低下 | 高い保湿力(多糖類)による水分補給 |
| かゆみ・炎症 | 乾燥、刺激、菌の影響 | 抗炎症作用(酵素など)による鎮静 |
| 脂性フケ・ベタつき | 皮脂過剰、菌の繁殖 | 皮脂バランス調整、抗菌作用 |
頭皮の皮脂バランス調整
頭皮が乾燥すると、肌は「潤いが足りない」と判断し、かえって皮脂を過剰に分泌してしまうことがあります。これが頭皮のベタつきや、皮脂をエサにする菌の繁殖(脂性フケ)につながります。
アロエで頭皮にしっかりと水分を補給することで、肌は「潤っている」と認識し、過剰な皮脂分泌を抑制するよう働きます。
また、アロエに含まれるビタミンB群なども、皮脂の分泌をコントロールする働きに関与しています。このように、アロエは乾燥肌だけでなく、脂性肌の頭皮バランスを整えるためにも役立ちます。
清潔な頭皮を保つサポート
アロエには「サポニン」という成分が含まれています。これは天然の洗浄成分(界面活性剤)であり、水と油をなじませる働きがあります。
アロエジェルを頭皮に塗布してマッサージすることで、サポニンが毛穴に詰まった古い皮脂や汚れを浮き上がらせ、除去しやすくします。
強い洗浄剤のように必要な皮脂まで奪いすぎることなく、穏やかに頭皮を清浄に保つことができるため、頭皮を健康な状態に維持するのに貢献します。
アロエの育毛への期待と実際のところ
血行促進による頭皮活性化
髪の毛は、毛根にある毛母細胞が、毛細血管から運ばれてくる酸素や栄養素を受け取って細胞分裂することで成長します。したがって、頭皮の血行は育毛において非常に重要です。
アロエのジェルで頭皮をマッサージすること、そのものによる物理的な刺激が血流を促します。
加えて、アロエに含まれるビタミンEやアミノ酸(アルギニンなど)には、血管を拡張させたり、血流を改善したりする働きが知られています。
頭皮の血行が良くなることで、毛母細胞へ栄養が届きやすくなり、髪の成長がサポートされると考えられます。
毛穴の汚れ除去と頭皮清浄
前述の通り、アロエにはサポニンによる穏やかな洗浄作用と、酵素による古い角質(タンパク質)の分解を助ける働きがあります。
シャンプーだけでは落としきれない毛穴の奥の皮脂詰まり(角栓)や、古い角質が頭皮に残っていると、毛穴を塞いで健康な髪の成長を妨げたり、炎症を引き起こしたりする原因になります。
アロエを使った頭皮パックなどは、これらの不要な汚れを取り除き、毛穴を清潔な状態に保つのに役立ちます。毛穴環境が整うことで、髪が健やかに生えるための土台ができます。
育毛とアロEに関する研究
アロエの育毛効果に関して、いくつかの研究や報告が存在します。
例えば、アロエに含まれる特定の成分(アロエニンなど)が毛乳頭細胞に働きかける可能性や、休止期の毛包を成長期に誘導するサポートをする可能性などが示唆されています。
しかし、現状では、「アロエそのものに、医薬品の育毛剤(ミノキシジルなど)と同等の強力な発毛効果がある」と断言できるほどの、大規模かつ明確な科学的根拠(臨床試験データ)は確立されていません。
研究の多くは動物実験や細胞レベルのものであり、人に対する直接的な発毛効果については、まだ解明されていない部分が多いのが実情です。
あくまで頭皮環境改善がメイン
アロエを育毛の文脈で捉える場合、最も重要なのは「直接的な発毛促進」よりも、「発毛・育毛に適した頭皮環境を整備する」という役割です。
乾燥、炎症、フケ、かゆみ、皮脂過剰、毛穴詰まり、血行不良…。
これらはすべて、健康な髪の成長を妨げる要因です。アロエは、これらの複合的な頭皮トラブルに対して、保湿、抗炎症、皮脂調整、清浄、血行促進といった多角的なアプローチで働きかけます。
アロエは、髪が育つための「土壌」を豊かに、健康にするための優れたサポーターである、と位置づけるのが適切でしょう。
育毛剤の効果を最大限に引き出すためにも、まずはアロエで頭皮環境を整えることは非常に有意義な取り組みです。
アロエを髪と頭皮に使う正しい方法
生のアロエ(アロエベラ)を使う場合
家庭で栽培しているアロエ(主にアロエベラ)を直接使う方法です。新鮮なジェルを使えるメリットがありますが、下処理が必要です。
生アロエの処理と使い方
| 手順 | 内容 | 注意点 |
|---|---|---|
| 1. カット | 肉厚な葉を選び、根元からカットする。 | |
| 2. 刺激物の除去 | 切り口から出る黄色い汁(アロイン)を洗い流す。 | アロインは皮膚に刺激を与えるため重要。 |
| 3. 皮むき | 葉の両側のトゲを取り、緑色の皮をむく。 | 中の透明なジェル(葉肉)のみを取り出す。 |
| 4. ジェル化 | 取り出した葉肉をミキサーやすり鉢で滑らかにする。 | ダマが残らないようにする。 |
| 5. 塗布 | (後述) |
この方法は手間がかかる上、アロインの除去が不十分だと頭皮トラブルの原因にもなるため、注意深く行う必要があります。
アロエジェルの選び方と使い方
市販のアロエジェル(アロエベラジェル)を使うのが最も手軽で安全な方法です。多くの製品は、アロインが除去され、安定化されています。
市販アロエジェルの選び方
- 高純度(アロエベラエキスの配合率が高い)
- 無香料・無着色
- アルコール(エタノール)フリーまたは低配合
- 添加物が少ない(パラベン、鉱物油など)
特にアルコールは、保湿目的で使用する際に揮発して頭皮の乾燥を招くことがあるため、成分表示を確認することが大切です。
アロエジェルの使い方(頭皮パック)
シャンプー前の乾いた頭皮、またはシャンプー後のタオルドライした頭皮に、アロエジェルをたっぷりとなじませます。指の腹を使って、頭皮全体を優しくマッサージします。
特に乾燥やフケが気になる部分には丁寧に塗り込みます。 その後、蒸しタオルやシャワーキャップで頭全体を覆い、10分から15分ほど放置します。
これにより、アロエの成分が頭皮に浸透しやすくなります。時間が経ったら、ぬるま湯でジェルをしっかりと洗い流します。(シャンプー前に行った場合は、その後通常通りシャンプー・トリートメントを行います)
アロエ入りシャンプー・トリートメントの活用
日常的にアロエの恩恵を受けたい場合、アロエエキスが配合されたヘアケア製品を選ぶのも良い方法です。
シャンプーは、アロエの保湿力や清浄作用により、頭皮の潤いを守りながら優しく洗い上げるものが期待できます。トリートメントやコンディショナーは、髪の保湿やダメージケアに焦点を当てた製品が多いです。
自分の髪質や頭皮の状態(乾燥肌向け、脂性肌向けなど)に合った製品を選ぶことが重要です。
アロエオイルでのヘアパック
アロエエキスをホホバオイルやココナッツオイルなどのキャリアオイルに漬け込んで成分を抽出した「アロエオイル」も市販されています。
アロエの水溶性の成分(保湿)と、オイルの油溶性の成分(エモリエント効果、保護)を同時に得られるメリットがあります。
使い方はアロエジェルと同様に頭皮マッサージやヘアパックに使用しますが、オイルベースなので、よりしっとりとした仕上がりになります。
特に髪のパサつきがひどい場合や、乾燥が厳しい季節に向いています。使用後はシャンプーでしっかりと洗い流す必要があります。
アロエ使用時の注意点とリスク
アレルギー(パッチテストの重要性)
アロエは自然由来の成分ですが、すべての人に安全とは限りません。
特に、ユリ科の植物(タマネギ、ニンニク、ヒヤシンスなど)にアレルギーがある人は、アロエにもアレルギー反応(アレルギー性接触皮膚炎)を起こす可能性があります。
症状としては、塗布した部分のかゆみ、赤み、発疹、ヒリヒリ感などが出ることがあります。
パッチテストの簡単な手順
初めてアロエ(生または市販ジェル)を頭皮に使う前には、必ずパッチテストを行ってください。
- 少量のジェルを、二の腕の内側など皮膚の柔らかい部分に塗る。
- そのまま(可能であれば絆創膏などで覆い)24時間から48時間放置する。
- 赤み、かゆみ、発疹などの異常が出ないか確認する。
少しでも異常を感じた場合は、すぐに洗い流し、その製品の使用は中止してください。
使用を避けるべき人
前述のアロエアレルギーが明らかな人、またはユリ科植物にアレルギーがある人は、使用を避けるべきです。
また、現在頭皮に重度の湿疹、炎症、傷がある場合、アロエの成分が刺激になる可能性があります。まずは皮膚科専門医に相談し、治療を優先してください。
敏感肌の人も、低刺激性の製品を選ぶか、パッチテストを慎重に行う必要があります。
「アロイン」など刺激成分の除去(生の場合)
生のキダチアロエやアロエベラの皮のすぐ下には、「アロイン」という黄色い苦味成分が含まれています。
アロインには緩下作用(下剤としての作用)があるほか、皮膚に対して強い刺激(かぶれや色素沈着)を引き起こす可能性があります。
生のアロエを頭皮に使う場合は、このアロイン(黄色い汁)を徹底的に洗い流し、透明な葉肉部分だけを使用することが絶対条件です。
この処理に自信がない場合は、アロインが除去処理された市販のアロエジェルを使用する方がはるかに安全です。
アロエ使用時の主なリスク
| リスク | 対象 | 対処法 |
|---|---|---|
| アレルギー反応 | ユリ科アレルギー体質など | パッチテストの実施、異常時は使用中止 |
| 皮膚刺激(アロイン) | 生のアロエを使用する場合 | 黄色い汁を完全に除去、または市販品を使用 |
| 症状の悪化 | 頭皮に傷や湿疹がある場合 | 使用を控え、皮膚科医に相談 |
過度な使用による影響
アロエは有益な成分ですが、「多ければ多いほど良い」というわけではありません。
特に頭皮パックなどを高頻度(毎日など)で行うと、頭皮の常在菌のバランスが崩れたり、逆に頭皮がふやけてバリア機能が低下したりする可能性もゼロではありません。
頭皮パックなどのスペシャルケアは、週に1回から2回程度を目安にし、頭皮の様子を見ながら頻度を調整することが大切です。
アロエ配合のシャンプーなど、日常使いを想定した製品は、その製品の用法・用量を守って使用してください。
アロエと育毛剤の併用について
併用のメリットと注意点
アロエによる頭皮環境ケアと、医薬品や医薬部外品の育毛剤を併用することには、大きなメリットが期待できます。
育毛剤は、頭皮環境が整っている状態で使用する方が、その成分が浸透しやすく、効果を発揮しやすいからです。 アロエで頭皮の乾燥や炎症を抑え、毛穴を清潔に保つことは、育毛剤が働くための「下地作り」になります。
注意点としては、同時に使用することで成分同士が干渉したり、アロエジェルが育毛剤の浸透を妨げたりしないように、使用するタイミングを考慮する必要があります。
アロエで頭皮を整え、育毛剤で促す
基本的な考え方は「アロエで守り(保湿・鎮静)」「育毛剤で攻める(血行促進・毛母細胞活性化)」という役割分担です。
例えば、アロエ配合のシャンプーで頭皮を優しく洗い上げ、清潔な状態にした後で育毛剤を使用する。
あるいは、週に数回のアロエジェルパックで頭皮の大掃除と保湿を行った上で、日々の育毛剤ケアを続ける、といった使い分けです。
このように、アロエの頭皮環境改善効果を育毛の「サポート役」として取り入れることで、育毛剤単体で使用するよりも、効率的に健やかな髪を育む環境を整えることができます。
使用する順番の目安
アロエジェル(パック)と育毛剤を同日に使用する場合、順番が重要です。 一般的には、まず頭皮を清潔にし、余分な皮脂や汚れがない状態を作ることが先決です。
推奨される順番(例): 1. アロエジェルで頭皮パック(シャンプー前の場合) 2. シャンプーでジェルと汚れを洗い流す 3. タオルドライ 4. 育毛剤を塗布
もしアロエジェルを洗い流さないタイプ(化粧水代わりなど)として使う場合は、育毛剤を塗布し、それがしっかり浸透・乾燥した後に、上からアロエジェルで保湿する、という順番も考えられます。
ただし、製品のテクスチャ(粘度)によっては育毛剤の浸透を妨げる可能性があるため、基本的には「清潔な頭皮にまず育毛剤」と考え、アロエケアはシャンプー時や別の時間帯に行うのが無難です。
アロエの髪・頭皮ケアに関するよくある質問
- アロエケアは毎日行っても大丈夫ですか?
-
アロエ配合のシャンプーやトリートメントなど、毎日使用することを前提とした製品は、用法通り毎日お使いいただけます。
ただし、生アロエや市販のアロエジェルを使った頭皮パックなどのスペシャルケアは、頭皮への刺激や常在菌バランスへの影響を考慮し、週に1〜2回程度を目安にすることをおすすめします。
頭皮の状態を見ながら頻度を調整してください。
- アロエで髪の毛がベタつくことはありますか?
-
アロエジェル自体は油分を含まないため、正しく使用すればベタつきの原因にはなりにくいです。
もしベタつきを感じる場合、使用量が多すぎるか、洗い流しが不十分である可能性が考えられます。特に頭皮パックの後は、ぬるま湯でしっかりとすすぐことが重要です。
アロエオイルを使用した場合は、油分が残らないようシャンプーで丁寧に洗い流してください。
- 生のアロエと市販のアロエジェル、どちらが効果的ですか?
-
生のアロエは新鮮ですが、皮膚への刺激となる「アロイン」の除去処理を自分で行う必要があり、手間とリスクが伴います。
一方、市販のアロエジェルは、アロインが除去され、品質が安定しているため、手軽かつ安全に使用できるメリットがあります。
アロエエキスの純度が高い製品を選べば、市販のジェルでも十分な保湿効果や頭皮ケア効果が期待できます。
- アロエが頭皮に合わない場合、どのような症状が出ますか?
-
アロエが体質に合わない(アレルギーなど)場合、使用した部位(頭皮)に、かゆみ、赤み、ヒリヒリとした刺激感、発疹などが出ることがあります。
使用中や使用後に少しでも異常を感じたら、すぐに使用を中止し、大量のぬるま湯で洗い流してください。
症状が続く場合は、皮膚科専門医に相談することをおすすめします。
- アロエで白髪は改善しますか?
-
現時点では、アロエに白髪を黒髪に戻す直接的な効果があるという科学的根拠はありません。
白髪の主な原因は、髪を黒くするメラニン色素の不足や、色素幹細胞の機能低下です。
アロエによる頭皮の血行促進や栄養補給が、頭皮全体の健康状態を改善し、間接的に毛髪の健康をサポートする可能性はありますが、白髪改善を主目的として使用するのは難しいでしょう。
Reference
HAIR, Deep Cleans Oily. Aloe Vera for Hair Loss: Benefits and Usage Tips.
SHAKEENA, D., et al. Formulation and evaluation of aloe vera gel shampoo. International Journal of Pharmaceutics and Drug Analysis, 2021, 9.3: 172-179.
JAYASINGHE, I. G. E. P.; DAHANAYAKE, D. Transformative Applied Research in Computing, Engineering, Science and Technology Exploring the Benefits of Natural Plant Compounds in Hair Oils—A Mini Review. Transformative Applied Research in Computing, Engineering, Science and Technology, 2024, 322-327.
PATIL, Ashwini Vijay; BHADAKWAD, Abhishek Vasant. FORMULATION AND EVALUATION OF ANTIHAIRFALL AND ANTIDANDRUFF SHAMPOO. 2024.
SETIAWAN, Mochammad Agung Dhani. The Effectiveness of Aloe Vera in Multiple Moist Spray Products as a Hair Tonic to Reduce Students Scalp Irritation. Jurnal Kesehatan Komunitas Indonesia, 2024, 4.2: 142-149.
AL-WORAFI, Yaser Mohammed. Evidence-Based Complementary, Alternative and Integrated Medicine and Efficacy and Safety: Hair Care. In: Handbook of Complementary, Alternative, and Integrative Medicine. CRC Press. p. 920-938.
AHMED, Azhar, et al. Herbal Remedies for Hair Loss: A Review of Efficacy and Safety. Skin Appendage Disorders, 2025.
TESSEMA, Tegen Dagnew, et al. Formulation and experimental evaluation of antidandruff shampoo from leaf-extracted herbs of Aloe vera (Eret), Ocimum sanctum (Damakase), and Withania somnifera (Gizewa): An outlook as a herbal medicine. In: Sustainable Development Research in Manufacturing, Process Engineering, Green Infrastructure, and Water Resources: Advancement of Science and Technology. Cham: Springer Nature Switzerland, 2025. p. 259-278.
KUMARI, KM U.; YADAV, Narayan Prasad; LUQMAN, Suaib. Promising essential oils/plant extracts in the prevention and treatment of dandruff pathogenesis. Current topics in medicinal chemistry, 2022, 22.13: 1104-1133.
RASHID, K., et al. Hair care promising herbs: A review. Pharm. Res, 2020, 10: 677-688.

