M字はげの「初期症状」を見逃すな!生え際の後退サインと、今すぐ始めるべき対策

M字はげの「初期症状」を見逃すな!生え際の後退サインと、今すぐ始めるべき対策

「最近、生え際が後退してきた気がする」「おでこが広くなったかも…」と感じていませんか。それはもしかすると、M字はげの初期症状かもしれません。

M字はげは進行性のため、初期段階での気づきと対策が非常に重要です。

この記事では、M字はげの初期症状の見分け方から、進行の主な原因、そして今すぐ自宅で始められる対策や育毛剤の選び方まで、わかりやすく解説します。

不安を抱えているあなたの疑問に答え、早期対策への一歩を応援します。

目次

この記事の執筆者

AGAメディカルケアクリニック統括院長 前田 祐助
Dr.前田 祐助

AGAメディカルケアクリニック 統括院長

前田 祐助

【経歴】

慶應義塾大学医学部医学研究科卒業

慶應義塾大学病院 初期臨床研修課程終了

大手AGAクリニック(院長)を経て、2018年に薄毛・AGA治療の「AGAメディカルケアクリニック」新宿院を開設

2020年に横浜院、2023年に東京八重洲院を開設

院長プロフィール

資格・所属学会・症例数

【資格】

  • 医師免許
  • ⽇本医師会認定産業医
  • 医学博士

【所属学会】

  • 日本内科学会
  • 日本美容皮膚科学会
  • 日本臨床毛髪学会

【症例数】

3万人以上※

※2018年5月~2022年12月AGAメディカルケアクリニック全店舗の延べ患者数

M字はげとは?基本的な知識

「M字はげ」という言葉はよく耳にしますが、具体的にどのような状態を指すのか、正確に理解している人は意外と少ないかもしれません。

まずは、M字はげの基本的な知識を深め、自分の状態を客観的に把握するための土台を作りましょう。

生え際の後退が特徴

M字はげとは、その名の通り、額の生え際がアルファベットの「M」の字のように後退していく状態を指します。具体的には、こめかみの上あたり、いわゆる「剃り込み」部分から抜け毛が増え、生え際が後退していくのが特徴です。

中央部分は残りやすいため、結果としてM字型に見えるようになります。

初期の段階では、この後退がわずかであるため、自分では気づきにくいことも少なくありません。

しかし、M字はげは一度始まると自然に治癒することは難しく、徐々に進行していく傾向があります。だからこそ、初期症状を見逃さないことが大切なのです。

M字はげとAGA(男性型脱毛症)の関係

M字はげの多くは、AGA(Androgenetic Alopecia)、すなわち「男性型脱毛症」の一種と考えられています。

AGAは、成人男性によく見られる進行性の脱毛症で、遺伝的な要因や男性ホルモンの影響が強く関与しています。

AGAには、M字はげのように生え際から後退していくタイプ、頭頂部(つむじ周り)から薄くなるタイプ、そしてその両方が同時に進行するタイプがあります。

M字はげは、このAGAの典型的な症状パターンの一つであり、対策を講じなければ薄毛の範囲が広がっていく可能性があります。

なぜ「M字」と呼ばれるのか

生え際の後退の仕方に由来します。多くの人の生え際は、もともと緩やかなカーブを描いています。しかし、AGAが発症すると、特に生え際の両サイド(側頭部の上部)の髪の毛が影響を受けやすくなります。

この部分の髪の毛が細くなり、抜けやすくなることで、剃り込みが深くなったように後退していきます。一方で、生え際の中央部分は比較的影響を受けにくく、残りやすい傾向があります。

そのため、両サイドが後退し、中央が残ることで、正面から見たときに「M」の字のような生え際のラインが形成されるのです。

進行性の脱毛症であることを理解する

M字はげ、特にAGAが原因である場合、最も重要な点は「進行性である」ということです。つまり、初期症状に気づいたまま何も対策をしなければ、薄毛は徐々に進行していきます。

髪の毛が細くなり、抜け毛が増え、M字の部分がさらに深くなり、やがて頭頂部の薄毛と繋がっていく可能性もあります。

しかし、進行性であるからこそ、早期の対策が非常に重要になります。

M字はげの初期症状に気づいた段階で適切なケアを始めることで、その進行を遅らせたり、頭皮環境を整えて健康な髪の毛を育むサポートをしたりすることが期待できます。

手遅れになる前に行動を起こすことが、将来の髪の毛を守る鍵となります。

これってM字はげ?初期症状セルフチェック

「もしかして自分もM字はげの初期症状かも?」と不安に感じたら、まずは自分の頭皮や髪の毛の状態を客観的にチェックしてみましょう。

M字はげは、生え際の後退だけでなく、髪の毛の質にも変化が現れます。鏡と自分の指先を使って、以下のポイントを確認してください。

生え際の産毛が細く短くなった

M字はげの初期症状として非常に特徴的なのが、生え際、特にM字になる部分の髪の毛の変化です。

太くしっかりとした髪の毛が抜け落ち、その後に生えてくる髪の毛(産毛)が、以前よりも細く、弱々しく、そして短くなる傾向があります。

これは、AGAの影響でヘアサイクル(毛周期)が乱れ、髪の毛が十分に成長する前に抜け落ちてしまうためです。

鏡で生え際をよく見て、他の部分の髪の毛と比べて産毛が目立っていないか、細くて色の薄い毛が増えていないかを確認しましょう。

以前より額が広くなったと感じる

毎日鏡を見ていると、わずかな変化には気づきにくいものです。しかし、ふとした瞬間に「昔よりおでこが広くなった気がする」と感じたら、それはM字はげの初期症状のサインかもしれません。

過去の写真、例えば1年前や数年前の自分と現在の自分を比べてみるのが効果的です。特に、生え際の両サイド、剃り込み部分の位置が変わっていないかを確認します。

指で生え際に触れたときの感触や、前髪を上げたときの印象が変わったと感じる場合も注意が必要です。

髪の毛全体のハリやコシが失われてきた

M字はげは生え際だけの問題と思われがちですが、AGAの影響は頭皮全体に及ぶことがあります。

初期症状として、髪の毛全体が以前より細くなり、ハリやコシが失われて、ボリュームが出にくくなることがあります。

朝、髪型をセットしようとしても、髪の毛が立ち上がりにくかったり、全体的にペタッとした印象になったりする場合、それは髪の毛が弱ってきているサインかもしれません。

指で髪の毛をつまんだときの感触も確認してみましょう。

抜け毛の中に細くて短い毛が増えた

シャンプーのときや朝起きたときの枕元など、日常の抜け毛を意識してチェックすることも重要です。健康な状態でも髪の毛は毎日抜けますが、その「質」に注目してください。

M字はげが進行し始めると、ヘアサイクルが短くなり、十分に成長しきれないまま抜ける髪の毛が増えます。

そのため、抜け毛の中に、太く長い毛だけでなく、細くて短い毛が目立つようになります。これは、髪の毛が「成長期」を全うできずに「退行期」「休止期」へと移行してしまっている証拠です。

排水溝や枕元の抜け毛を注意深く観察してみましょう。

抜け毛の質チェックポイント

自分の抜け毛が注意が必要な状態か、以下の表でセルフチェックしてみてください。

チェック項目正常な抜け毛(目安)注意が必要な抜け毛(M字はげ初期症状の可能性)
毛根の形マッチ棒の先のように、ぷっくりと膨らんでいる尖っている、または毛根自体が付着していない
毛の太さ太く、しっかりとしたハリがある細く、弱々しい。他の毛と比べて明らかに細い
毛の長さある程度の長さがある(成長しきった毛)短い毛(産毛のような毛)が目立つ

これらのサインが複数当てはまる場合、M字はげの初期症状が始まっている可能性があります。早めに対策を検討することが重要です。

M字はげが進行する主な原因

M字はげの初期症状に気づいたら、次に気になるのは「なぜM字はげになるのか」という原因でしょう。原因を知ることは、適切な対策を立てるための第一歩です。

M字はげ、特にAGAによるものは、複数の要因が複雑に絡み合って進行します。

遺伝的要因の影響

M字はげを含むAGAの発症には、遺伝的な要因が強く関わっていることが知られています。具体的には、「男性ホルモン(アンドロゲン)レセプター(受容体)の感受性」が遺伝しやすいとされています。

この感受性が高いと、後述する男性ホルモンの影響を受けやすくなり、薄毛が進行しやすくなります。特に母方の家系からこの感受性の高さを受け継ぎやすいという研究報告もあります。

家族や親戚に薄毛の人がいる場合、自分も体質的にAGAを発症しやすい可能性があると認識しておくとよいでしょう。

ただし、遺伝的要因があるからといって必ず発症するわけではなく、あくまで「可能性の一つ」です。

男性ホルモンの関与

M字はげの進行に直接的に関与するのが、男性ホルモンの一種である「ジヒドロテストステロン(DHT)」です。

体内の男性ホルモン「テストステロン」が、「5αリダクターゼ」という還元酵素と結びつくことで、より強力なDHTに変換されます。

このDHTが、毛根にある男性ホルモンレセプターと結合すると、髪の毛の成長を妨げる信号(脱毛シグナル)が出されます。

これにより、髪の毛の「成長期」が短縮され、髪の毛が太く長く成長する前に抜け落ちてしまうのです。

M字はげが起こりやすい生え際(特に両サイド)は、この5αリダクターゼやレセプターが多く存在するといわれています。

頭皮環境の悪化(血行不良など)

遺伝やホルモンの影響が土台にあったとしても、頭皮環境の悪化がM字はげの進行を早める要因となることがあります。

髪の毛は、毛根にある毛母細胞が、毛細血管から運ばれてくる栄養素や酸素を受け取って成長します。

しかし、何らかの理由で頭皮の血行が悪くなると、毛母細胞に必要な栄養が十分に行き渡らなくなります。その結果、髪の毛が細くなったり、成長が妨げられたりします。

血行不良は、運動不足、喫煙、ストレス、さらには皮脂の過剰分泌による毛穴の詰まりなど、様々な要因で引き起こされます。

ストレスや生活習慣の乱れ

現代社会と切り離せないストレスも、髪の毛の健康に悪影響を与えます。強いストレスを感じると、自律神経のバランスが崩れ、交感神経が優位になります。

これにより血管が収縮し、頭皮の血行不良を引き起こす可能性があります。

また、睡眠不足、偏った食生活、過度な飲酒などの生活習慣の乱れも、髪の毛の成長に必要な栄養素の不足やホルモンバランスの乱れを招き、結果としてM字はげの進行を助長することがあります。

これらの要因は、AGAの直接的な原因とは言えなくとも、頭皮環境を悪化させ、薄毛を進行させる「引き金」や「悪化要因」となり得るのです。

初期症状を見つけたらすぐに始めたい対策

M字はげの初期症状に気づいたとき、「もう手遅れだ」と諦める必要は全くありません。むしろ、初期段階だからこそ、対策の効果を実感しやすい時期でもあります。

進行性の脱毛症であるからこそ、「気づいた今」行動を起こすことが何よりも重要です。ここでは、すぐに始められる具体的な対策を紹介します。

対策は早いほど効果的

M字はげの初期症状、つまり「生え際の産毛が細くなった」「抜け毛が細く短くなった」と感じる段階は、毛根の機能がまだ残っている証拠です。

髪の毛を生み出す毛母細胞が完全に活動を停止してしまった後では、髪の毛を取り戻すのは非常に困難になります。

しかし、初期段階であれば、毛母細胞はまだ活動しています。この時期に適切な頭皮ケアや生活習慣の見直しを行うことで、ヘアサイクルを正常化し、毛母細胞の活動をサポートすることが期待できます。

進行を遅らせ、現状を維持し、さらには改善を目指すためにも、1日でも早い対策開始が鍵となります。

まずは頭皮環境を整えることから

健康な髪の毛は、健康な頭皮という「土壌」から育ちます。M字はげの対策を始めるにあたり、まずはこの土壌である頭皮環境を整えることが基本です。

皮脂や汚れが毛穴に詰まっていたり、頭皮が乾燥や炎症を起こしていたりすると、育毛剤の成分も浸透しにくくなります。

正しいシャンプー方法

頭皮環境を整える基本は、毎日のシャンプーです。ただし、洗いすぎや間違った洗い方は逆効果になります。まず、シャンプー前にお湯だけで髪と頭皮を十分に予洗いし、汚れの多くを落とします。

シャンプーは手のひらでよく泡立ててから、髪の毛ではなく頭皮を洗う意識で、指の腹を使って優しくマッサージするように洗います。特にM字部分や頭頂部は皮脂が多いため、丁寧に洗いましょう。

すすぎ残しは頭皮トラブルの原因になるため、シャンプー剤が残らないよう、時間をかけてしっかりと洗い流してください。

頭皮マッサージのすすめ

頭皮マッサージは、硬くなりがちな頭皮をほぐし、血行を促進するのに役立ちます。シャンプー中や、育毛剤を塗布した後などに行うのが効果的です。

指の腹を頭皮に密着させ、頭蓋骨から頭皮を動かすようなイメージで、円を描いたり、掴んで持ち上げたりします。生え際から頭頂部、後頭部へと全体的に行いましょう。

爪を立てたり、強くこすりすぎたりすると頭皮を傷つけるので、心地よいと感じる強さで行うことが大切です。

育毛剤の使用を検討する

頭皮環境を整えるケアと並行して、育毛剤の使用を検討するのもM字はげ初期段階の有効な対策です。

育毛剤は、頭皮の血行を促進したり、毛母細胞の働きをサポートしたり、頭皮の炎症を抑えたりする成分が含まれており、健康な髪の毛が育つ環境を整える助けとなります。

M字はげの初期症状が出ている部分は、特に念入りに塗布することが推奨されます。ただし、育毛剤は医薬品ではなく医薬部外品であり、効果の実感には個人差があり、継続的な使用が必要です。

専門クリニックへの相談

セルフケアだけでは不安な場合や、M字はげの進行が早いと感じる場合は、皮膚科やAGA専門のクリニックに相談することも有力な選択肢です。

専門家による診断を受けることで、自分の薄毛が本当にAGAなのか、他の原因がないかを知ることができます。

クリニックでの主な相談内容

クリニックでは、個々の状態に合わせたアドバイスや治療法の提案が期待できます。

相談内容具体例期待できること
状態の診断マイクロスコープでの頭皮・毛穴チェック、問診自分のM字はげの進行度や頭皮の状態を客観的に把握できる
原因の特定生活習慣のヒアリング、血液検査(場合による)薄毛の背景にある要因を探り、個々に合った対策のヒントを得る
治療法の提案内服薬、外用薬(ミノキシジルなど)、施術の紹介医学的根拠に基づいた、より積極的な進行抑制や発毛促進の選択肢を知る

M字はげの初期症状は、専門家の助けを借りることで、より効果的に対処できる可能性があります。一人で抱え込まず、相談してみる勇気も大切です。

生活習慣の見直しでM字はげ対策をサポート

M字はげ対策として育毛剤の使用や頭皮マッサージを始めても、日々の生活習慣が乱れていては、その効果も半減してしまうかもしれません。髪の毛の健康は、体全体の健康と密接に関連しています。

特に「食事」「睡眠」「運動」「ストレス管理」は、頭皮環境や髪の毛の成長に大きく影響します。M字はげの初期症状に気づいた今こそ、自分の生活を見直してみましょう。

バランスの取れた食事が基本

髪の毛は、私たちが食べたものから作られています。特定の食品だけを食べれば髪が生えるということはありませんが、栄養バランスの取れた食事は、健康な髪の毛を育む土台となります。

特に、髪の毛の主成分であるタンパク質、髪の毛の合成を助ける亜鉛、頭皮環境を整えるビタミン類は重要です。

髪の健康をサポートする主な栄養素

日々の食事で意識して摂取したい栄養素の例です。

栄養素期待される働き多く含む食品例
タンパク質髪の毛の主成分(ケラチン)を作る肉、魚、卵、大豆製品、乳製品
亜鉛タンパク質の合成を助ける、5αリダクターゼの働きを抑制する可能性牡蠣、レバー、牛肉(赤身)、ナッツ類
ビタミンB群頭皮の新陳代謝を促す、皮脂の分泌を調整する豚肉、レバー、マグロ、カツオ、納豆、玄米

これらの栄養素をバランスよく摂ることを心がけ、脂っこい食事やインスタント食品、過度なアルコール摂取は控えるようにしましょう。

これらは皮脂の過剰分泌や血行不良を招く可能性があります。

質の高い睡眠を確保する

髪の毛は、私たちが寝ている間に成長します。特に、入眠後に分泌される「成長ホルモン」は、細胞の修復や新陳代謝を促し、髪の毛の成長にも深く関わっています。

睡眠不足が続くと、成長ホルモンの分泌が減少し、自律神経のバランスも乱れて頭皮の血行不良を招く可能性があります。

M字はげの対策のためにも、単に睡眠時間を確保するだけでなく、「質」の高い睡眠を心がけることが重要です。

毎日決まった時間に就寝・起床する、寝る前はスマートフォンやパソコンの画面を見ない、リラックスできる環境を整えるなどの工夫をしましょう。

適度な運動で血行を促進

デスクワーク中心の生活で運動不足になっていませんか。運動不足は、全身の血行不良につながり、当然ながら頭皮への血流も低下させます。

頭皮に十分な栄養を届けるためには、適度な運動を習慣にすることが効果的です。

激しい運動である必要はありません。ウォーキング、ジョギング、ストレッチなど、自分が続けやすい有酸素運動を週に数回取り入れるだけでも、全身の血流は改善します。

運動はストレス解消にも役立つため、一石二鳥の効果が期待できます。

ストレスとの上手な付き合い方

ストレスがM字はげの直接的な原因になるわけではありませんが、悪化要因となることは十分に考えられます。ストレスは血管を収縮させ、頭皮の血行を悪くします。

また、ホルモンバランスの乱れを引き起こすこともあります。

現代社会でストレスをゼロにすることは難しいですが、自分なりのストレス解消法を見つけ、溜め込まないようにすることが大切です。

趣味の時間を持つ、リラックスできる音楽を聴く、ゆっくり入浴するなど、心身ともにリフレッシュできる時間を作りましょう。

ストレスサインと対策例

ストレスが溜まっているサインに早めに気づき、対処することも重要です。

ストレスサイン対策例ポイント
イライラする、不安感が強い深呼吸をする、軽いストレッチをする意識的に体の緊張をほぐし、気分転換を図る
寝つきが悪い、途中で目が覚める就寝前にリラックスできる時間(読書、音楽など)を持つカフェインやアルコールを避け、リラックスを優先する
集中力が続かない、疲れやすい短い休憩をこまめに取る、自然の中を散歩するオンとオフの切り替えを意識し、脳を休ませる

M字はげの初期症状に気づくこと自体がストレスになるかもしれませんが、それも自分の体からのサインと前向きに捉え、生活全体を見直す良い機会としましょう。

M字はげ対策と育毛剤の選び方

M字はげの初期症状に気づき、セルフケアを始めようとするとき、多くの方が「育毛剤」の使用を検討するでしょう。

育毛剤は、頭皮環境を整え、抜け毛を防ぎ、健康な髪の毛の発育を促進することを目的とした医薬部外品です。しかし、種類が非常に多いため、どれを選べばよいか迷ってしまうかもしれません。

ここでは、M字はげ対策としての育毛剤の選び方のポイントを解説します。

育毛剤の役割と目的

まず理解しておきたいのは、育毛剤の主な役割です。

「育毛」という言葉から「髪の毛を新しく生やす」イメージを持つかもしれませんが、医薬部外品である育毛剤の主な目的は、以下の点にあります。

  • 頭皮の血行促進
  • 毛母細胞の活性化サポート
  • 頭皮の炎症やフケ・かゆみの防止
  • 頭皮の保湿と清浄

これらを通じて、「今ある髪の毛を健康に保ち、抜け毛を防ぐ(防毛)」「髪の毛が育ちやすい頭皮環境を整える(育毛・発毛促進)」ことを目指します。

M字はげの初期症状の段階、つまりまだ毛根が活動している時期に使い始めることで、進行を予防し、頭皮環境を健やかに保つ助けとなります。

M字はげ対策で注目したい育毛剤の成分

育毛剤には様々な有効成分が含まれています。

M字はげ(AGA)の原因や症状の進行には、男性ホルモンの影響や血行不良が関わっているため、それらにアプローチする成分に注目するとよいでしょう。

主な育毛・頭皮ケア成分と働き

育毛剤を選ぶ際に、パッケージや説明書で確認したい成分の例です。

成分カテゴリー期待される働き代表的な成分例
血行促進成分頭皮の毛細血管の血流を良くし、毛根へ栄養を届けるサポートセンブリエキス、ニンジンエキス、ビタミンE誘導体(酢酸トコフェロール)
抗炎症成分頭皮の炎症を抑え、フケやかゆみを防ぎ、頭皮環境を健やかに保つグリチルリチン酸ジカリウム(グリチルリチン酸2K)、アラントイン
毛母細胞活性化成分毛根にある毛母細胞の働きをサポートし、発毛を促進するt-フラバノン、パントテニルエチルエーテル

このほか、男性ホルモンの働きに関連して、5αリダクターゼの働きを阻害するとされる成分(オウゴンエキス、ヒオウギエキスなど)や、頭皮を保湿する成分(セラミド、ヒアルロン酸、コラーゲンなど)が含まれている製品もあります。

自分の目的に合った成分が含まれているかを確認しましょう。

自分の頭皮タイプに合ったものを選ぶ

頭皮も肌の一部であり、人によってタイプが異なります。「乾燥肌」「脂性肌(オイリー肌)」「敏感肌」など、自分の頭皮タイプを考慮することも重要です。

例えば、脂性肌の人が保湿力の高すぎるしっとりしたタイプの育毛剤を使うと、ベタつきを感じるかもしれません。

逆に乾燥肌の人は、アルコール(エタノール)が多く含まれる清涼感の強いタイプだと、刺激を感じたり乾燥が進んだりする可能性があります。

アルコールフリーや無添加(香料、着色料、パラベンなどが不使用)をうたった、頭皮に優しい処方の製品も増えています。

テスターなどで使用感を確かめたり、自分の肌質に合うかどうかを考慮したりして選びましょう。

継続して使用することの重要性

育毛剤選びで最も大切な心構えは、「継続して使用する」ことです。

M字はげ対策は、一朝一夕に結果が出るものではありません。

髪の毛にはヘアサイクルがあり、育毛剤を使い始めてから頭皮環境が整い、髪の毛の質に変化を感じるまでには、最低でも3ヶ月から6ヶ月程度はかかるといわれています。

すぐに効果が出ないからといって使用をやめてしまっては、それまでのケアが無駄になってしまうかもしれません。

高価で続けられないものよりも、自分が毎日無理なく使い続けられる価格帯や使用感(テクスチャー、香りなど)のものを選ぶことが、結果につながる近道です。

育毛剤の正しい使い方と注意点

M字はげの初期症状対策として育毛剤を選んだら、次はその効果を最大限に引き出すための「正しい使い方」をマスターすることが重要です。

せっかくの成分も、使い方を間違えると頭皮に十分届かず、期待した効果が得られない可能性があります。また、使用する上での注意点も理解しておきましょう。

使用前に頭皮を清潔にする

育毛剤は、清潔な頭皮に使用するのが基本です。頭皮に皮脂や汚れ、整髪料などが残っていると、育毛剤の成分が毛穴や頭皮に浸透するのを妨げてしまいます。

最も効果的なタイミングは、夜のシャンプー後です。シャンプーで頭皮の汚れをしっかり落とし、タオルドライで髪の毛の水分をよく拭き取った後、頭皮が少し湿っている状態で使用するのがおすすめです。

ドライヤーで完全に乾かしすぎてしまうと、頭皮も乾燥しすぎてしまうことがあるため、乾かしすぎない程度(7〜8割程度乾いた状態)が目安です。

適量を守り、正しく塗布する

育毛剤は、たくさんつければ効果が上がるというものではありません。製品ごとに定められた「適量」を守ることが大切です。

量が少なすぎれば効果が期待できず、多すぎても頭皮トラブルの原因になったり、ベタついたりするだけです。

塗布する際は、髪の毛ではなく「頭皮」に直接つけることを意識します。特にM字はげが気になる生え際の部分は、鏡を見ながら、ボトルの先端を頭皮に直接当てるか、指先に取ってから丁寧に塗布しましょう。

気になる部分だけでなく、頭皮全体に行き渡るように塗布するのが理想です。

塗布後のマッサージ方法

育毛剤を塗布した後は、成分を頭皮全体になじませ、血行を促進するために頭皮マッサージを行うとより効果的です。両手の指の腹を頭皮に密着させ、強くこすらず、頭皮自体を動かすイメージで行います。

まず、生え際(M字部分を含む)から頭頂部に向かって、下から上へと指圧するようにゆっくりと揉みほぐします。

次に、側頭部(耳の上あたり)から頭頂部へ、同様にマッサージします。最後に、後頭部(襟足あたり)から頭頂部へと、頭皮全体を引き上げるように行います。

各箇所、数回ずつ、1〜3分程度を目安に心地よいと感じる強さで行いましょう。

すぐに効果が出なくても焦らない

前述の通り、M字はげ対策や育毛ケアは、ヘアサイクル(毛周期)の関係上、効果を実感するまでに時間がかかります。

通常、ヘアサイクルは数年単位ですが、AGAの影響で短くなっているサイクルを正常に戻し、細くなった髪の毛が太く成長するには、最低でも3ヶ月から6ヶ月は必要とされています。

使い始めて1〜2ヶ月で「効果がない」と判断し、使用をやめてしまうのは早計です。まずは半年間、毎日欠かさず継続することを目標にしましょう。

M字はげの初期症状は、根気強くケアを続けることで、進行を食い止めることが期待できます。

副作用や肌トラブルが出た場合の対処法

多くの育毛剤は医薬部外品であり、比較的低刺激に作られていますが、体質や頭皮の状態によっては、肌に合わない場合もあります。

使用を中止すべきサイン

育毛剤を使い始めてから、以下のような症状が出た場合は、使用を中止してください。

  • 頭皮の赤み
  • かゆみ、ヒリヒリとした刺激感
  • フケの急激な増加
  • 湿疹、かぶれ

これらの症状は、育毛剤に含まれる特定の成分(アルコールや添加物など)に対するアレルギー反応や、刺激が強すぎることが原因である可能性があります。

使用を中止しても症状が改善しない場合や、症状がひどい場合は、速やかに皮膚科の医師に相談してください。M字はげの対策も、健康な頭皮があってこそ可能です。

M字はげ対策に関する誤解

M字はげや薄毛に関しては、科学的根拠のない俗説や誤解が数多く存在します。

これらの誤った情報に振り回されると、かえって頭皮環境を悪化させたり、適切な対策のタイミングを逃したりすることにもなりかねません。

M字はげの初期症状に悩む今だからこそ、正しい知識を持ち、誤解を解いておくことが重要です。

「海藻類を食べれば髪が生える」は本当か

「わかめや昆布などの海藻類は髪に良い」とよくいわれます。これは、海藻類に含まれるミネラル(特にヨウ素)が髪の毛の健康維持に関係しているとされるためです。

ヨウ素は甲状腺ホルモンの原料となり、甲状腺ホルモンは体の新陳代謝を活発にするため、髪の毛の成長にも間接的に良い影響を与えます。

しかし、「海藻類だけを大量に食べれば髪の毛がフサフサになる」というのは誤解です。髪の毛の主成分はタンパク質であり、亜鉛やビタミン類など、他の栄養素もバランスよく摂取することが必要です。

海藻類はあくまで健康な髪をサポートする食品の一つとして、バランスの良い食事の中に取り入れるのが正解です。

「帽子をかぶるとはげる」は本当か

「帽子やヘルメットを長時間かぶっていると、頭皮が蒸れてはげる」という説もあります。

確かに、帽子を長時間かぶることで頭皮が蒸れ、雑菌が繁殖しやすい環境になることはあります。これが頭皮の炎症やかゆみにつながる可能性は否定できません。


しかし、「帽子をかぶること」自体がM字はげ(AGA)の直接的な原因になるわけではありません。

むしろ、帽子には頭皮を紫外線から守るという大きなメリットがあります。紫外線は頭皮にダメージを与え、乾燥や炎症を引き起こすため、薄毛対策としてはむしろ帽子を活用すべき場面もあります。

重要なのは、帽子をかぶった後は、こまめに汗を拭いたり、帰宅後にシャンプーで頭皮を清潔に保ったりすることです。通気性の良い帽子を選ぶのも一つの方法です。

「シャンプーのしすぎは良くない」は本当か

「シャンプーをしすぎると、必要な皮脂まで洗い流してしまい、頭皮が乾燥してはげる」という説もあれば、「皮脂が毛穴に詰まるとはげるから、しっかり洗うべき」という説もあります。

これはどちらも一理ありますが、極端なのは良くありません。

M字はげ対策として重要なのは、「自分の頭皮タイプに合った頻度と方法で洗う」ことです。

脂性肌の人であれば、皮脂や汚れをリセットするために毎日1回のシャンプーが必要です。一方、乾燥肌の人が洗浄力の強すぎるシャンプーで毎日2回も洗えば、乾燥を助長してしまいます。

ほとんどの人は、1日1回、夜に正しい方法(指の腹で頭皮を優しく洗い、しっかりすすぐ)でシャンプーするのが適切です。洗いすぎも、洗わなすぎも、頭皮環境の悪化につながります。

M字はげは治らないという思い込み

M字はげの初期症状に気づくと、「もう治らない」「遺伝だから仕方ない」と諦めてしまう人がいます。

確かに、AGAは進行性であり、完全に「治癒」させて元の状態に戻すのは、現在の医学でも容易ではありません。
しかし、「治らない」と思い込んで何も対策をしないのは、非常にもったいないことです。

初期症状の段階であれば、適切なケアと生活習慣の見直しによって、進行を大幅に遅らせたり、現状を維持したりすることは十分に可能です。

早期対策の重要性

対策を始める時期によって、その目的や期待できる結果も変わってきます。

対策時期主な目的期待できること
M字はげ初期症状進行予防・現状維持・頭皮環境改善抜け毛の減少、産毛の維持・成長サポート、髪のハリ・コシの改善
進行期進行抑制・(医学的治療による)発毛促進進行スピードの鈍化、一部の発毛実感が期待できる(専門治療の場合)
後期(薄毛が定着)(医学的治療による)発毛促進専門的な治療(投薬、植毛など)が必要となり、時間も費用もかかる

M字はげの初期症状は、将来の髪の毛を守るための「アラーム」です。諦めずに、今できることから始めることが、最も賢明な選択といえます。

Q&A

M字はげの初期症状に関して、多くの方が抱く疑問についてお答えします。

M字はげの初期症状はどれくらいの期間で進行しますか?

M字はげ(AGA)の進行スピードには、非常に大きな個人差があります。

遺伝的な要因、ホルモンの影響度、生活習慣、ストレスの度合いなど、様々な要因によって変わるため、一概に「どれくらいの期間で進行する」とはいえません。

数ヶ月で目に見えて後退する人もいれば、数年かけてゆっくりと進行する人もいます。

しかし、共通していえるのは、AGAは進行性であるため、対策を講じなければ基本的にはゆっくりと、しかし確実に進行していくということです。

初期症状に気づいたら、進行スピードに関わらず早めに対策を始めることをおすすめします。

育毛剤はいつから使い始めるべきですか?

育毛剤の使用を開始するタイミングに、「早すぎる」ということはありません。

むしろ、M字はげの初期症状、例えば「生え際の産毛が細くなった」「抜け毛の質が変わった」と感じた時点が、最適な開始タイミングの一つといえます。

育毛剤の主な目的は、頭皮環境を整え、抜け毛を防ぎ、今ある髪の毛を健康に育てることです。

毛根の機能がまだ十分にあり、髪の毛が弱り始めた「初期」段階からケアを始めることで、進行予防の効果がより期待できます。

「まだ大丈夫」と先延ばしにするよりも、予防的な観点から取り入れるのが賢明です。

食事や睡眠以外に気をつけることはありますか?

はい、日常生活で見直したいポイントは他にもあります。

例えば「喫煙」は、血管を収縮させ、頭皮の血行を著しく悪化させるため、M字はげ対策にとっては大敵です。可能であれば禁煙を目指すのが理想です。

また、「紫外線の浴びすぎ」も頭皮にダメージを与え、乾燥や炎症を引き起こします。屋外での活動が多い日は、帽子や日傘で頭皮を守る工夫が必要です。

さらに、髪の毛を強く引っ張るような髪型(きついポニーテールなど)や、刺激の強すぎる整髪料の使いすぎも、生え際に負担をかける可能性があるため注意しましょう。

父親がM字はげだと、自分も必ずなりますか?

いいえ、必ずなるわけではありません。M字はげ(AGA)の発症には遺伝的要因が強く関与しており、特に「男性ホルモンレセプターの感受性」は遺伝しやすいとされています。

そのため、父親や母方の祖父が薄毛の場合、ご自身もAGAを発症しやすい体質を受け継いでいる可能性は高くなります。

しかし、それはあくまで「可能性が高い」というだけで、100%遺伝するわけではありません。また、発症したとしても、その進行度合いや始まる時期には個人差があります。

遺伝的な要因を認識しつつも、悲観的になりすぎず、M字はげの初期症状に注意を払い、食生活や頭皮ケアなど、自分でコントロールできる対策を早期から行うことが重要です。

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