ふと鏡を見たとき、つむじがパックリと割れて地肌が目立つように感じ、不安になっていませんか?「もしかして、はげの始まりかも…」と心配になる方も多いでしょう。
特に20代でつむじ割れが目立つと、悩みは深刻です。しかし、その「つむじ割れ」は、必ずしも薄毛(AGA)が原因とは限りません。
この記事では、「つむじ割れ」とは何か、その基本的な定義から、20代でも目立ってしまう原因を詳しく解説します。
さらに、多くの方が混同しやすい「つむじはげ」との具体的な見分け方、そして今日からできる対策やスタイリング方法まで、あなたの疑問と不安に寄り添いながら丁寧に情報をお届けします。
この記事の執筆者

AGAメディカルケアクリニック 統括院長
前田 祐助
【経歴】
慶應義塾大学医学部医学研究科卒業
慶應義塾大学病院 初期臨床研修課程終了
大手AGAクリニック(院長)を経て、2018年に薄毛・AGA治療の「AGAメディカルケアクリニック」新宿院を開設
2020年に横浜院、2023年に東京八重洲院を開設
資格・所属学会・症例数
【資格】
- 医師免許
- ⽇本医師会認定産業医
- 医学博士
【所属学会】
- 日本内科学会
- 日本美容皮膚科学会
- 日本臨床毛髪学会
【症例数】
3万人以上※
※2018年5月~2022年12月AGAメディカルケアクリニック全店舗の延べ患者数
「つむじ割れ」とは?基本的な定義
「つむじ割れ」という言葉は、医学的な専門用語ではありませんが、一般的に「つむじ周辺の髪が分かれて、地肌が目立ちやすくなっている状態」を指します。
多くの場合、髪の毛の流れ(毛流)によって引き起こされる現象です。髪が薄くなっていなくても、髪の生え方や寝ぐせ、髪の長さなどによって、つむじが割れたように見えることがあります。
つむじ割れの見た目と特徴
つむじは、頭頂部にある毛が渦を巻いている部分です。この渦の中心、あるいはその周辺で髪が放射状に生えているため、もともと地肌が見えやすい場所です。
つむじ割れが起こると、この渦の流れに沿って髪がパックリと分かれ、地肌の見える範囲が線状または面状に広がって見えます。特に髪が濡れている時や、皮脂で髪が束になっている時に目立ちやすくなります。
髪の毛自体の太さや本数が減っていなくても、毛流のクセが強いと割れやすくなるのが特徴です。
「つむじ割れ」と「つむじはげ(AGA)」の根本的な違い
ここが最も重要なポイントです。「つむじ割れ」と「つむじはげ(AGA=男性型脱毛症)」は、根本的に異なります。「つむじ割れ」は、主に「毛流」や「髪の状態」の問題です。
髪が特定の方向に強く流れていたり、寝ぐせで髪の根元が潰れていたりすることで発生します。
一方、「つむじはげ(AGA)」は、「毛髪の減少」の問題です。AGAは、男性ホルモンの影響などでヘアサイクル(毛周期)が乱れ、髪の毛が十分に成長する前に抜け落ちてしまう状態を指します。
具体的には、つむじ周辺の髪の毛が細く、短く(軟毛化)なり、全体の密度が低下することで地肌が透けて見えます。
つまり、つむじ割れは「髪がそこにあるが、分かれてしまう」状態、つむじはげは「髪そのものが細く・少なくなっている」状態、という大きな違いがあります。
なぜ「つむじ割れ」が目立つと気になるのか
つむじ割れが目立つと気になる最大の理由は、それが「薄毛(はげ)の初期症状」に見えてしまうからです。
特に男性にとって、つむじ周辺はAGAが進行しやすい部位の一つであるため、地肌が目立つことに対して敏感になります。
また、スタイリングがうまく決まらないという実用的な問題もあります。
どれだけワックスをつけても、つむじの部分だけが分かれてしまい、ヘアスタイルが台無しになることにストレスを感じる人も少なくありません。
こうした見た目の不安とスタイリングの難しさが、つむじ割れを大きな悩みにしてしまうのです。
20代でも「つむじ割れ」が目立つ主な原因
薄毛の悩みは中高年以降と思われがちですが、実際には20代でも「つむじ割れ」に悩む人は多くいます。
これはAGA(男性型脱毛症)が原因である場合もありますが、それ以上に「生活習慣」や「ヘアケア」が大きく関わっていることが多いのが20代の特徴です。
原因1:生まれつきの毛流れやつむじの位置
つむじ割れの最も一般的な原因の一つが、生まれつきの毛流の強さです。つむじが二つある人や、渦の流れが特に強い人は、髪が自然と分かれやすく、地肌が見えやすくなります。
また、つむじの位置が頭頂部の平らな部分にあるか、後頭部の傾斜部分にあるかによっても、割れの目立ちやすさは変わります。
これは髪の量や太さに関係なく起こるため、20代でも元々つむじが目立ちやすい人はいます。
原因2:生活習慣の乱れと頭皮環境の悪化
20代は、学業、仕事、プライベートと忙しく、生活習慣が乱れがちな年代です。
睡眠不足、栄養バランスの偏った食事(特に脂っこいものやジャンクフードの多食)、過度なストレスは、自律神経やホルモンバランスを乱します。
その結果、頭皮の皮脂分泌が過剰になったり、血行が悪くなったりします。皮脂が多すぎると髪が束になり、つむじ割れが目立ちやすくなります。
また、頭皮環境の悪化は、将来的な薄毛のリスクを高める可能性もあります。
原因3:ヘアスタイルやスタイリングの影響
特定のヘアスタイルもつむじ割れの原因となります。例えば、長期間ずっと同じ分け目にしていると、その部分で髪が分かれるクセがついてしまいます。
また、髪が長い場合、髪の重みで根元が立ち上がりにくくなり、つむじ部分がペタッと寝てしまい、割れ目が目立つことがあります。
逆に、スタイリング剤の洗い残しも毛穴を詰まらせ、頭皮環境を悪化させる一因です。
原因4:頭皮の血行不良
デスクワークやスマートフォンの長時間使用は、20代の生活に多く見られます。これらは、首や肩のコリ、眼精疲労を引き起こします。首や肩の筋肉が緊張すると、頭部への血流が滞りやすくなります。
頭皮は髪を育てる土壌であり、血流によって栄養が運ばれます。
血行不良が続くと、頭皮が硬くなったり、健康な髪が育ちにくくなったりして、結果的につむじ割れが目立ちやすくなるだけでなく、髪全体のハリやコシも失われがちです。
20代の生活習慣とつむじ割れ要因
| 20代に多い生活習慣 | 頭皮への影響 | 対策の方向性 |
|---|---|---|
| 睡眠不足・夜更かし | 成長ホルモンの分泌減少、頭皮のターンオーバーの乱れ | 質の良い睡眠を6〜7時間確保する |
| 脂質の多い食事・外食 | 皮脂の過剰分泌、毛穴の詰まり | ビタミン、ミネラル、タンパク質を意識した食事 |
| 長時間のPC・スマホ使用 | 眼精疲労、首・肩のコリによる頭皮の血行不良 | 適度な休憩、ストレッチ、頭皮マッサージ |
| 過度なストレス | 自律神経の乱れ、血管収縮による血行不良 | リラックスできる時間を作り、趣味などで発散する |
「つむじ割れ」と「つむじはげ」自己チェックで見分ける方法
「このつむじ割れは、ただのクセなのか、それともAGAの始まりなのか…」この見極めは非常に重要です。ここでは、自分で確認できるチェックポイントを3つ紹介します。
見分け方1:地肌の状態を確認する
まずは、つむじ周辺の地肌の色と硬さをチェックしてみましょう。健康な頭皮は青白い色をしていますが、血行が悪かったり炎症を起こしたりしていると、赤っぽくなったり、茶色っぽくくすんだりします。
単なる「つむじ割れ」の場合、地肌の色は他の部分と変わらず健康的な青白い色をしていることが多いです。
一方、「つむじはげ(AGA)」が進行している場合、頭皮環境が悪化し、赤みがかっていたり、皮脂で黄色っぽくなったりしていることがあります。
また、頭皮を指で動かしてみて、硬く突っ張っている感じがする場合も血行不良のサインであり、注意が必要です。
見分け方2:抜け毛の質と量をチェックする
シャンプー時や朝起きた時の枕元の抜け毛を確認してください。健康な髪の毛は、一定の太さと長さがあり、毛根(毛の根元)もふっくらしています。
AGAが進行すると、ヘアサイクルが短縮化するため、髪が十分に成長しきる前に抜けてしまいます。そのため、「細くて短い、産毛のような毛」の割合が増加します。
もし、抜け毛の中に明らかに細く力のない毛が多い場合、それはつむじはげ(AGA)のサインである可能性が高まります。単なるつむじ割れ(毛流の問題)であれば、抜け毛の質に大きな変化は見られません。
見分け方3:つむじ周辺の毛髪の密度と太さ
鏡を使って、つむじ周辺の髪と、側頭部や後頭部の髪を比較してみてください。
単なる「つむじ割れ」であれば、髪が分かれているだけで、そこに生えている一本一本の髪の太さや、全体の密度(生えている本数)は他の部分と大きく変わりません。
一方、「つむじはげ(AGA)」は、つむじ(頭頂部)や前頭部から進行する特徴があります。
もし、側頭部や後頭部の髪に比べて、つむじ周辺の髪だけが明らかに細くなっていたり、密度が低く地肌が広範囲に透けて見えたりする場合は、AGAを疑う強い根拠となります。
つむじ割れ vs つむじはげ 比較チェックリスト
| チェック項目 | つむじ割れ(毛流の問題) | つむじはげ(AGA)の疑い |
|---|---|---|
| 髪の太さ | 他の部分と変わらない | つむじ周辺の髪が細く、力がない(軟毛化) |
| 髪の密度 | 他の部分と変わらない(割れて地肌が見えるだけ) | つむじ周辺の密度が低く、地肌が透けている |
| 抜け毛の状態 | 太く健康な毛が多い | 細く短い毛(産毛のような毛)が多い |
| 地肌の色 | 青白く健康的(個人差あり) | 赤い、茶色い、皮脂で黄色っぽい |
つむじ割れを目立たなくするセルフケアと対策
つむじ割れが毛流の問題や頭皮環境の悪化によるものであれば、日々のセルフケアを見直すことで目立たなくできる可能性があります。ここでは、今日から実践できる対策を紹介します。
対策1:シャンプーと頭皮ケアの見直し
毎日のシャンプーは、頭皮環境を左右する重要なケアです。洗浄力が強すぎるシャンプーは、必要な皮脂まで奪い、頭皮を乾燥させてしまうことがあります。
乾燥はかえって皮脂の過剰分泌を招くこともあるため、アミノ酸系などのマイルドな洗浄成分のシャンプーを選ぶことをおすすめします。
洗い方も重要です。まずはお湯でしっかりと予洗いし、汚れの多くを落とします。シャンプーは手のひらで泡立ててから髪につけ、指の腹を使って頭皮をマッサージするように優しく洗います。
爪を立ててゴシゴシ洗うのは頭皮を傷つけるため禁物です。すすぎ残しは毛穴詰まりの原因になるため、シャンプー剤が残らないよう、時間をかけて丁寧にすすぎましょう。
入浴中や入浴後に、指の腹で頭皮全体を動かすようにマッサージするのも良い方法です。頭皮の血行を促進し、リラックス効果も期待できます。
対策2:生活習慣の改善で健やかな頭皮へ
健康な髪は、健康な生活習慣から作られます。特に20代は無理をしがちですが、髪のためにも生活を見直しましょう。
第一に「睡眠」です。髪の成長に関わる成長ホルモンは、深い睡眠中に最も多く分泌されます。最低でも6〜7時間の質の良い睡眠を心がけましょう。
第二に「食事」です。髪の主成分であるタンパク質(肉、魚、卵、大豆製品)、髪の成長を助けるビタミン(野菜、果物)、ミネラル(特に亜鉛。牡蠣、レバー、ナッツ類)をバランス良く摂取することが大切です。
第三に「ストレス管理」です。ストレスは血管を収縮させ、頭皮の血行を悪化させます。適度な運動や趣味の時間を取り入れ、ストレスを溜め込まない工夫をしましょう。
頭皮環境を整える栄養素
| 栄養素 | 主な働き | 多く含む食品 |
|---|---|---|
| タンパク質 | 髪の毛の主成分(ケラチン)を作る | 肉、魚、卵、大豆製品、乳製品 |
| 亜鉛(ミネラル) | タンパク質の合成を助け、ヘアサイクルを正常に保つ | 牡蠣、レバー、牛肉(赤身)、チーズ、ナッツ類 |
| ビタミンB群 | 皮脂の分泌を調整し、頭皮の新陳代謝を促す | 豚肉、レバー、うなぎ、マグロ、納豆、卵 |
対策3:ドライヤーのかけ方と乾かし方の工夫
つむじ割れを目立たなくする上で、髪の乾かし方は非常に重要です。髪の毛は濡れている状態から乾く瞬間に形が決まります。
シャンプー後は、まずタオルドライで優しく水分を拭き取ります。その後、ドライヤーを使います。つむじ割れを防ぐポイントは、「根元を立ち上げる」ことです。
つむじ周辺の髪を、毛流とは逆の方向(例えば、右渦巻きなら左へ)に指で引っ張りながら、根元に温風を当てます。
いろいろな方向から風を当てることで、髪が一方に偏るのを防ぎ、根元がふんわりと立ち上がります。
全体の8割ほどが乾いたら、最後に冷風を当てます。冷風にはキューティクルを引き締め、髪にツヤを出すと同時に、乾く瞬間に決まった形をキープさせる効果があります。
この一手間で、翌朝のスタイリングが格段にしやすくなります。
スタイリングで解決!つむじ割れをカバーする髪型
日々のケアと同時に、ヘアスタイルやスタイリングを工夫することで、つむじ割れの悩みは劇的に改善できます。ここでは、つむじ割れをカバーするための具体的な方法を紹介します。
カバーしやすい髪型の選び方
つむじ割れをカバーするには、髪の毛の重さを利用したり、動きを出したりすることがポイントです。
最も簡単なのは「短髪(ショートヘア)」です。髪が短くなると、髪自体の重さがなくなるため、根元が立ち上がりやすくなります。
特にトップに長さを残しつつ、サイドを刈り上げるようなスタイル(ソフトモヒカンやベリーショートなど)は、自然とトップにボリュームが出て、つむじが目立ちにくくなります。
もし長さをある程度残したい場合は、「パーマ」をかけるのも非常に有効な手段です。つむじ周辺に緩くパーマをかけることで、髪に自然なボリュームと動きが生まれ、毛流をぼかすことができます。
これにより、パックリと割れてしまうのを防ぎます。
スタイリング剤の選び方と使い方
スタイリング剤は、つむじ割れをカバーする強い味方です。ただし、選び方と使い方を間違えると逆効果になるため注意しましょう。
オイルやグリースなど、重くて油分の多いスタイリング剤は、髪が束になりやすく、かえってつむじ割れや地肌の透けを目立たせてしまうことがあります。
おすすめは、ドライワックスやクレイワックスなど、油分が少なくセット力のあるマットな質感のものです。
これらを少量(米粒程度から)手のひらにしっかり伸ばし、髪の内側から空気を入れるように揉み込みます。つむじ周辺は、根元を立ち上げるように意識してつけましょう。
最後に、スタイルをキープするためにヘアスプレー(特にハードスプレー)を使用します。
つむじの根元が立ち上がった状態で、少し離れた位置からスプレーを吹きかけると、一日中ふんわり感を維持できます。
つむじ割れカバーに適したスタイリング剤
| 種類 | 特徴 | おすすめの使い方 |
|---|---|---|
| ドライワックス/クレイワックス | マットな質感。セット力が高く、軽い仕上がり。 | 根元を立ち上げ、ふんわりとしたボリュームを出す。 |
| ヘアスプレー(ハード) | スタイルを強力に固定する。 | スタイリングの仕上げに、立ち上げた根元をキープする。 |
| パウダーワックス | 髪の根元につける粉状。皮脂を吸着しボリュームを出す。 | ボリュームが欲しい部分の根元に直接ふりかける。 |
美容師への相談のポイント
セルフケアやスタイリングで改善しない場合は、プロである美容師に相談するのが一番の近道です。
予約時やカウンセリングの際に、単に「おまかせで」と言うのではなく、「つむじが割れやすくて悩んでいる」と具体的に伝えましょう。
プロの美容師は、あなたの毛流、髪質、頭の形を理解した上で、つむじ割れをカバーできるカット技術(例えば、根元の生え方を調整するカット)や、パーマの提案、自宅でできるスタイリング方法まで具体的にアドバイスしてくれます。
髪を乾かす際の基本
- 根元から先に乾かす
- 毛流に逆らって多方向から風を当てる
「つむじ割れ」が悪化するNG習慣とは?
つむじ割れを目立たなくしようとする努力も、日常の何気ない習慣が原因で無駄になってしまうことがあります。
ここでは、頭皮環境を悪化させ、つむじ割れを助長する可能性のあるNG習慣を見直してみましょう。
NG習慣1:髪が濡れたまま寝る
これは頭皮ケアにおいて最も避けたい習慣の一つです。髪が濡れた状態は、雑菌が最も繁殖しやすい環境です。頭皮で雑菌が増殖すると、フケやかゆみ、炎症を引き起こし、頭皮環境が著しく悪化します。
また、髪は濡れているとキューティクルが開いており、非常にデリケートな状態です。その状態で寝てしまうと、枕との摩擦で髪が傷んでしまいます。
さらに、濡れたままの髪は変なクセがつきやすく、一度ついた寝ぐせは、翌朝直すのが非常に困難です。特につむじ周りで変なクセがつけば、つむじ割れはさらに悪化して見えます。
シャンプー後は必ずドライヤーで根元からしっかり乾かすことを徹底してください。
NG習慣2:洗浄力の強すぎるシャンプーの使用
頭皮のベタつきが気になるからといって、洗浄力が非常に強いシャンプー(高級アルコール系など)を毎日使うと、頭皮を守るために必要な皮脂まで根こそぎ洗い流してしまいます。
頭皮が乾燥しすぎると、体は「皮脂が足りない」と判断し、かえって皮脂を過剰に分泌しようとします。
この悪循環が、ベタつきと乾燥が混在する不安定な頭皮環境を作り出し、毛穴の詰まりや炎症を招きます。自分の肌質(乾燥肌、脂性肌)に合った、適度な洗浄力のシャンプーを選ぶことが重要です。
NG習慣3:無理なブラッシングや頭皮への刺激
髪の絡まりを無理やりブラシで解こうとしたり、頭皮を強く擦ったりする行為は、髪と頭皮に物理的なダメージを与えます。
髪が引っ張られることで毛根に負担がかかり、抜け毛の原因になることもあります。また、硬いブラシで頭皮をゴシゴシ擦ると、頭皮が傷つき、炎症を起こす可能性があります。
ブラッシングは毛先から優しくほぐし、頭皮マッサージは指の腹を使って心地よい圧で行うようにしましょう。
頭皮に負担をかける日常の行動
| NG行動 | 頭皮への具体的な影響 | 推奨される改善策 |
|---|---|---|
| 熱すぎるお湯でのシャワー | 必要な皮脂を奪い、頭皮を乾燥させる | 38〜40度程度のぬるま湯ですすぐ |
| スタイリング剤の洗い残し | 毛穴を詰まらせ、炎症や雑菌繁殖の原因に | シャンプー前の予洗いを丁寧に行う |
| 頻繁な帽子の着用(蒸れ) | 蒸れにより雑菌が繁殖しやすい環境になる | 通気性の良い帽子を選び、こまめに汗を拭く |
これは危険信号?つむじはげ(AGA)が疑われるサイン
セルフケアやスタイリングを試しても、つむじ割れが改善しない。それどころか、以前よりも地肌が目立つようになってきた…。
その場合、それは単なる「つむじ割れ」ではなく、「つむじはげ(AGA)」が進行しているサインかもしれません。AGAは進行性のため、早期の気づきが重要です。
サイン1:つむじ周辺の髪が明らかに細くなった(軟毛化)
AGAの最大の特徴は「軟毛化(なんもうか)」です。これは、髪の毛が太く長く成長する「成長期」が短くなり、細く短い「産毛」のような状態のまま抜け落ちてしまう現象です。
つむじ周辺の髪を触ってみて、側頭部や後頭部の髪と比べ、明らかにハリやコシがなく、細くフワフワとした毛が増えている場合、AGAが進行している可能性が高いです。
サイン2:地肌が透けて見える範囲が広がった
以前は「線状」だったつむじ割れが、だんだんと「面状」に広がってきた、と感じる場合は注意が必要です。
これは、毛流の問題ではなく、その部分の髪の毛の密度が実際に低下している(=髪の本数が減っている、または細くなっている)ことを示しています。
鏡で定期的に頭頂部の写真を撮り、過去の写真と比較してみると、変化が分かりやすいです。
サイン3:家族歴(遺伝)とAGAの関係性
AGAの発症には、遺伝的要因が大きく関わっています。特に母方の家系(母方の祖父や曽祖父)に薄毛の人がいる場合、AGAを発症しやすい体質を受け継いでいる可能性があります。
もちろん、父親からの遺伝も関係します。家族に薄毛の人がおり、かつ自身のつむじが気になり始めた場合、それはAGAのサインである可能性を考慮する必要があります。
AGAの初期サイン
- シャンプーやドライヤー時の抜け毛が明らかに増えた
- 髪全体のボリュームが減り、スタイリングが決まりにくくなった
つむじはげが疑われる場合の次の行動
上記のサイン(軟毛化、密度の低下、家族歴)が複数当てはまる場合、セルフケアだけで改善を目指すのは難しいかもしれません。AGAは進行性であり、放置しておくと薄毛はゆっくりと確実に進行していきます。
最も確実な方法は、皮膚科やAGA専門のクリニックで専門家の診断を受けることです。
専門家であれば、マイクロスコープで頭皮の状態や毛髪の太さを詳細に確認し、それが毛流による「つむじ割れ」なのか、AGAによる「つむじはげ」なのかを的確に判断してくれます。
20代であっても、AGAの診断を受ける人は珍しくありません。不安を抱え続けるよりも、一度現状を正確に把握することが、適切な対策への第一歩となります。
Q&A(つむじ割れに関するよくある質問)
- つむじ割れは育毛剤で治りますか?
-
原因によります。もし「つむじ割れ」の原因が、血行不良や頭皮環境の悪化によるものであれば、頭皮環境を整え、血行を促進するタイプの育毛剤(医薬部外品)を使用することで、髪にハリやコシが戻り、割れが目立ちにくくなる可能性はあります。
しかし、原因が生まれつきの「毛流」や「クセ」である場合、育毛剤で毛の流れ自体を変えることはできません。その場合はスタイリングや髪型でカバーするのが現実的です。
また、もし「つむじはげ(AGA)」が原因である場合は、育毛剤ではなく、AGA治療薬(医薬品)の使用を検討する必要があります。
- 20代後半から急につむじ割れが気になりだしました。AGAでしょうか?
-
20代後半は、AGAが発症しやすくなる時期の一つであり、その可能性は否定できません。しかし、同時に仕事のストレスが増えたり、生活習慣が乱れたりしやすい時期でもあります。
まずはこの記事で紹介した「つむじはげとの見分け方」をセルフチェックしてみてください。
抜け毛に細い毛が増えていたり、つむじ周辺の髪だけが明らかに細くなっていたりする場合は、AGAの可能性があります。
生活習慣を見直しても改善が見られない、または悪化するようであれば、一度専門家に相談することをおすすめします。
- 頭皮マッサージは本当につむじ割れに効果がありますか?
-
頭皮マッサージの主な目的は「血行促進」と「リラックス」です。
マッサージによって毛流(髪の生える方向)を直接変えることはできませんが、頭皮が硬くなっている(血行不良)ことが原因で髪の立ち上がりが悪くなり、つむじ割れが目立っている場合には、効果が期待できます。
頭皮が柔らかくなり、血流が改善することで、髪の根元が立ち上がりやすくなります。また、頭皮環境を健やかに保つことは、健康な髪を育てる上で非常に重要です。
- 髪を短くすればつむじ割れは目立たなくなりますか?
-
はい、多くの場合、目立たなくなります。髪が長いと、その重みで根元が寝てしまい、つむじ部分がパックリと割れやすくなります。
髪を短くすると、髪の重さがなくなり、根元が自然と立ち上がりやすくなるため、割れ目が目立ちにくくなります。
美容師に「つむじ割れが気になる」と伝えた上で、トップにボリュームが出るようなショートスタイルにしてもらうと良いでしょう。
- つむじが二つあると割れやすいですか?
-
はい、その傾向はあります。つむじが二つあると、毛流が複雑になり、髪がそれぞれの渦の中心に向かって流れるため、その間で髪が分かれやすくなります。
これは生まれつきの特性であり、薄毛とは直接関係ありません。ただし、毛流が複雑な分、スタイリングでカバーするのに少し工夫が必要な場合があります。
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