つむじはげの「初期症状」を見逃すな!地肌の透け・髪の細さ…セルフチェック法

つむじはげの「初期症状」を見逃すな!地肌の透け・髪の細さ…セルフチェック法

ふと鏡を見たとき、あるいはスマートフォンの写真に写った自分のつむじを見て、「あれ?」と思ったことはありませんか。

「以前より地肌が目立つ気がする」「髪が細くなったかも」といった小さな変化は、つむじはげの初期症状かもしれません。この不安を放置すると、気づいた時には進行している可能性もあります。

この記事では、つむじはげの初期症状を具体的に解説し、自分でも簡単にできるセルフチェック法を紹介します。早期発見と適切な対策で、大切な髪を守るための一歩を踏み出しましょう。

目次

この記事の執筆者

AGAメディカルケアクリニック統括院長 前田 祐助
Dr.前田 祐助

AGAメディカルケアクリニック 統括院長

前田 祐助

【経歴】

慶應義塾大学医学部医学研究科卒業

慶應義塾大学病院 初期臨床研修課程終了

大手AGAクリニック(院長)を経て、2018年に薄毛・AGA治療の「AGAメディカルケアクリニック」新宿院を開設

2020年に横浜院、2023年に東京八重洲院を開設

院長プロフィール

資格・所属学会・症例数

【資格】

  • 医師免許
  • ⽇本医師会認定産業医
  • 医学博士

【所属学会】

  • 日本内科学会
  • 日本美容皮膚科学会
  • 日本臨床毛髪学会

【症例数】

3万人以上※

※2018年5月~2022年12月AGAメディカルケアクリニック全店舗の延べ患者数

あなたの「つむじ」は大丈夫?つむじはげのサインとは

頭頂部にある「つむじ」は、もともと髪の毛の流れが渦を巻いているため、地肌が見えやすい部分です。

しかし、それが単なる「つむじ」なのか、それとも「つむじはげ」の始まりなのかを見極めることは非常に重要です。初期症状を見逃さず、早期に対処することが、将来の髪の状態を大きく左右します。

正常なつむじと危険なつむじの違い

まず、正常なつむじの状態を理解しましょう。健康なつむじは、中心からくっきりと渦を巻いており、地肌は見えるものの、その範囲は限定的です。

また、つむじ周辺の髪の毛は、他の部分と同じように太く、ハリやコシがあります。

一方、つむじはげが疑われる状態では、いくつかの特徴的なサインが現れます。これらのサインに気づくことが、早期対策の鍵となります。

正常なつむじと初期症状の比較

比較項目正常なつむじつむじはげの初期症状
髪の渦渦がはっきりしている渦の中心がぼやけ、不明瞭になる
地肌の透け中心部のみがわずかに見える地肌が見える範囲が広がっている
髪の毛太く、ハリやコシがある細く、短く、弱々しい毛が目立つ

「つむじはげ」を疑うべき初期症状

つむじはげの初期症状は、ゆっくりと現れるため、日々の小さな変化に気づきにくいものです。以下の点を意識してチェックしてみましょう。

地肌の透け具合

最も分かりやすいサインの一つが、地肌の透け具合の変化です。以前と比べて、つむじ周辺の地肌が明らかに広く見えるようになったと感じる場合、注意が必要です。

特に、髪が濡れている時だけでなく、乾いている状態でも地肌が目立つようであれば、毛量が減少しているか、髪が細くなっている可能性があります。

髪の毛の細さ・弱さ

つむじはげの多くはAGA(男性型脱毛症)に関連しており、AGAは髪の毛が十分に成長する前に抜けてしまう「ヘアサイクルの乱れ」を引き起こします。

その結果、つむじ周辺に「細く」「短く」「色の薄い」産毛のような毛(軟毛)が増えてきます。

髪全体のボリューム感が失われ、セットがしにくくなったと感じる場合も、この軟毛化が影響しているかもしれません。

つむじ周辺の髪質の変化

髪の毛が細くなるだけでなく、髪質そのものが変わることもあります。

例えば、以前は直毛だったのに、つむじ周辺だけがうねるようになったり、逆にクセ毛だった人がその部分だけ弱々しい直毛になったりするケースです。

これは毛根の力が弱まり、髪を真っ直ぐに押し出す力が低下しているサインと考えられます。

他の部分との比較の重要性

つむじはげの初期症状かどうかを判断する上で、側頭部や後頭部の髪の状態と比較することが非常に有効です。

AGAは一般的に、頭頂部(つむじ)や前頭部(生え際)から進行し、側頭部や後頭部の髪は影響を受けにくい特徴があります。

つむじ周辺の髪だけが明らかに細く、弱々しくなっている場合、AGAが始まっている可能性が高いと判断できます。

なぜ「つむじはげ」は始まるのか?主な原因を探る

つむじはげの初期症状に気づいたとき、次に気になるのは「なぜ?」という原因でしょう。原因を理解することは、適切な対策を講じるための第一歩です。

つむじはげを引き起こす要因は一つではなく、複数が絡み合っている場合がほとんどです。

AGA(男性型脱毛症)の影響

成人男性のつむじはげの最も一般的な原因は、AGA(Androgenetic Alopecia)、すなわち男性型脱毛症です。これは進行性の脱毛症で、遺伝的要因と男性ホルモンの影響が大きく関わっています。

体内の男性ホルモン「テストステロン」が、「5αリダクターゼ」という酵素と結びつくと、「ジヒドロテストステロン(DHT)」という強力な男性ホルモンに変換されます。

このDHTが毛根にある受容体と結合すると、髪の成長期が短縮され、髪が太く長く成長する前に抜け落ちてしまいます。このサイクルが繰り返されることで、徐々に薄毛が進行します。

AGAの進行パターン

AGAの進行パターンには個人差がありますが、つむじから薄くなる「O字型」や、生え際から後退する「M字型」、その両方が同時に進行する「U字型」などがあります。

つむじはげは、この「O字型」の典型的な現れ方です。

生活習慣の乱れ

AGAが主な原因であっても、不健康な生活習慣は頭皮環境を悪化させ、薄毛の進行を早める要因となります。直接的な原因でなくとも、髪の成長を妨げる「土壌」を作ってしまうのです。

食生活の偏り

髪の毛は主に「ケラチン」というタンパク質でできています。そのため、タンパク質の摂取が不足すると、健康な髪は育ちません。

また、ビタミンやミネラル(特に亜鉛)は、タンパク質が髪の毛に変わるのを助ける重要な役割を果たします。

脂っこい食事やインスタント食品に偏ると、皮脂が過剰に分泌され、頭皮環境が悪化することもあります。

睡眠不足

髪の成長には「成長ホルモン」が深く関わっています。この成長ホルモンは、主に私たちが深く眠っている間に分泌されます。

睡眠時間が不足したり、睡眠の質が低下したりすると、成長ホルモンの分泌が妨げられ、毛母細胞の分裂や修復が十分に行われず、髪の成長が滞ってしまいます。

ストレス

過度なストレスは、自律神経のバランスを崩します。自律神経のうち交感神経が優位になると、血管が収縮し、頭皮への血流が悪化します。

血流が悪くなると、髪の成長に必要な栄養素や酸素が毛根まで届きにくくなり、抜け毛や細毛の原因となります。

頭皮環境の悪化

シャンプーの洗い残し、整髪料の詰まり、過剰な皮脂、乾燥などは、頭皮の炎症や毛穴の詰まりを引き起こします。

これにより頭皮環境が悪化すると、健康な髪が育つ土壌が失われ、抜け毛が増えることがあります。特に、つむじは皮脂腺が多く、汚れが溜まりやすい部分でもあるため、日々のケアが重要です。

遺伝的要因との関係

つむじはげの原因として、遺伝的要因は無視できません。特にAGAは遺伝的素因が強く影響します。

具体的には、「5αリダクターゼの活性度」や「男性ホルモン受容体の感受性」が遺伝によって決まる傾向があります。

親族に薄毛の方がいる場合、体質を受け継いでいる可能性があり、早期からのケアを心がけることが大切です。

今すぐできる!つむじはげのセルフチェック法

「もしかして?」と感じたら、まずは自分でつむじの状態を客観的にチェックしてみましょう。定期的に確認することで、小さな変化にも気づきやすくなります。

鏡を使った確認方法

つむじは自分では直接見えにくい場所にあるため、鏡を効果的に使う必要があります。

合わせ鏡でのチェック

最も基本的な方法が、合わせ鏡です。正面の洗面台の鏡に向かい、手鏡を持って頭頂部を映します。

このとき、部屋の照明が明るすぎたり、一方向からだけ当たったりすると、実際よりも地肌が目立って見えることがあるため注意が必要です。

なるべく自然光に近い明るさで、複数の角度から確認しましょう。

スマートフォンでの撮影

合わせ鏡が難しい場合や、より客観的に記録を残したい場合は、スマートフォンでの撮影が有効です。フラッシュはたかずに、明るい室内で頭頂部を真上から撮影します。

これを1ヶ月ごとなど、定期的に同じ場所、同じ明るさで撮影し、画像を比較することで、地肌の見える範囲や髪の密度、髪の太さの変化を時系列で把握できます。

指先の感覚でチェック

視覚だけでなく、触覚も重要なチェックポイントです。

つむじ周辺の頭皮の硬さ

健康な頭皮は、指で動かすと適度な弾力があり、柔らかく動きます。一方、血行が悪化している頭皮は硬く、突っ張った感じがします。

つむじ周辺を指の腹で優しくマッサージするように動かし、側頭部など他の部分の頭皮の硬さと比べてみましょう。つむじ周辺だけが明らかに硬い場合は、血流が滞っているサインかもしれません。

髪の毛のハリ・コシ

つむじ周辺の髪の毛を指でつまみ、その感触を確かめます。健康な髪は一本一本に弾力(ハリ)と強さ(コシ)を感じます。

もし、つむじ周辺の髪が、側頭部の髪と比べて明らかに細く、フワフワと力ない感触であれば、髪が軟毛化している初期症状の可能性があります。

抜け毛の状態をチェック

抜け毛は誰にでも起こる自然な現象ですが、その「質」と「量」に注意が必要です。

枕元の抜け毛

朝起きたとき、枕についている抜け毛を集めてみましょう。本数が急激に増えた場合も注意ですが、それ以上に「どのような毛が抜けているか」が重要です。

太く長い毛(正常なヘアサイクルを終えた毛)ではなく、細く短い毛が多い場合、AGAによって成長途中で抜けてしまった毛である可能性が高まります。

シャワー時の抜け毛

シャワーの際、排水溝に溜まる髪の毛もチェック対象です。こちらも、本数とともに毛の質を確認します。

危険な抜け毛の特徴

チェック項目正常な抜け毛(休止期毛)危険な抜け毛(AGAなど)
毛の太さ・長さ太く、しっかりしている細く、短い(産毛のよう)
毛根の形状先端が丸く、棍棒状細く尖っている、または皮脂が付着
抜け毛の割合抜け毛全体の大半を占める細く短い毛の割合が増加している

つむじはげの初期症状と混同しやすい状態

「つむじが薄く見える」と感じても、それが必ずしもつむじはげ(AGA)の初期症状とは限りません。不安を抱えすぎる前に、他の可能性も知っておきましょう。

生まれつきのつむじの形

つむじの渦の巻き方や強さ、地肌の見える範囲は個人差が大きいです。生まれつき渦が大きく、地肌が目立ちやすい人もいます。

また、つむじが二つある「鳥居つむじ」などの場合も、毛流れが複雑になり薄く見えがちです。昔から変わらないのであれば、それはあなたの個性であり、薄毛の症状ではない可能性が高いです。

寝癖やつむじ割れ

朝起きたときや、特定の髪型にしたときに、つむじ周辺で髪がパックリと分かれて地肌が目立つことがあります。これは「つむじ割れ」や寝癖による一時的なものです。

髪を濡らしてドライヤーで根元から立ち上げるように乾かすと、分け目が目立たなくなる場合は、薄毛ではなく毛流れの問題です。

円形脱毛症との違い

円形脱毛症は、自己免疫疾患の一種と考えられており、毛根が誤って攻撃されることで突然髪が抜け落ちる症状です。

AGAがゆっくりと進行し、髪が細くなるのに対し、円形脱毛症は境界がはっきりとした円形(または楕円形)に、ある日突然髪が抜け落ちるのが特徴です。

つむじはげ(AGA)と円形脱毛症の違い

特徴つむじはげ (AGA)円形脱毛症
進行速度ゆっくりと時間をかけて進行急速・突然に発症
抜け方髪が細く短くなり(軟毛化)、徐々に薄くなる境界明瞭な脱毛斑が(円形に)できる
主な原因男性ホルモン、遺伝自己免疫疾患、ストレスなど

脂漏性皮膚炎による脱毛

皮脂の過剰分泌によって頭皮が炎症を起こす「脂漏性皮膚炎」も、抜け毛の原因となります。

この場合、つむじ周辺だけでなく頭皮全体(特に皮脂の多い部分)にフケやかゆみ、赤みが見られるのが特徴です。AGAとは異なり、まず頭皮の炎症を抑える治療が必要です。

初期症状に気づいたら?まず取り組むべき対策

セルフチェックで「つむじはげの初期症状かも」と感じたら、深刻に進行する前に、できるだけ早く対策を始めることが重要です。

まずは日々の生活の中で見直せることから取り組みましょう。

生活習慣の見直し

髪の健康は、体全体の健康と密接に関連しています。健やかな髪を育てるための土台作りとして、生活習慣の改善は非常に大切です。

栄養バランスの取れた食事

髪は「食べたもの」から作られます。特定の食材だけを食べるのではなく、バランスの良い食事を心がけましょう。特に髪の成長に必要な栄養素を意識して摂取することが推奨されます。

髪の健康に必要な栄養素

栄養素主な働き多く含まれる食材例
タンパク質髪の主成分(ケラチン)の材料肉、魚、卵、大豆製品、乳製品
亜鉛タンパク質を髪に変えるサポート牡蠣、レバー、牛肉、ナッツ類
ビタミンB群頭皮の新陳代謝、皮脂の調整豚肉、レバー、うなぎ、マグロ、納豆

質の高い睡眠の確保

前述の通り、髪の成長を促す成長ホルモンは睡眠中に分泌されます。単に長く寝るだけでなく、「質の高い睡眠」をとることが重要です。

就寝前のスマートフォン操作やカフェイン摂取を避け、リラックスできる環境を整えましょう。

ストレスコーピング

ストレスを完全になくすことは難しいですが、溜め込まないように自分なりの解消法を見つけることが大切です。軽い運動、趣味の時間、入浴などでリフレッシュし、自律神経のバランスを整えましょう。

正しいヘアケアの実践

頭皮環境を健やかに保つことは、育毛の基本です。毎日のシャンプー方法を見直してみましょう。

シャンプー選びと洗い方

洗浄力が強すぎるシャンプーは、頭皮に必要な皮脂まで奪い、乾燥やかゆみの原因になることがあります。

自分の頭皮タイプ(乾燥肌、脂性肌など)に合った、アミノ酸系などのマイルドな洗浄成分のシャンプーを選ぶことをおすすめします。

洗い方にもコツがあります。まずはお湯で髪と頭皮を十分に予洗いし、汚れの大半を落とします。シャンプーは手のひらでよく泡立ててから、指の腹を使って頭皮をマッサージするように優しく洗います。

爪を立ててゴシゴシ洗うのは厳禁です。すすぎ残しは毛穴詰まりや炎症の原因になるため、シャンプー剤が残らないよう、時間をかけて丁寧に洗い流しましょう。

頭皮マッサージ

頭皮マッサージは、硬くなった頭皮をほぐし、血行を促進するのに役立ちます。シャンプー中や、お風呂上がりの血行が良いときに行うのが効果的です。

指の腹で頭皮全体を掴むように、下から上へ、気持ち良いと感じる強さで揉みほぐします。

育毛剤の活用

生活習慣やヘアケアの見直しと並行して、育毛剤の使用を検討するのも初期症状の段階では有効な選択肢です。

育毛剤の役割

育毛剤は、主に「今ある髪を健康に育てる」ことや「抜け毛を防ぐ」ことを目的とした医薬部外品です。

頭皮の血行を促進したり、毛母細胞に栄養を与えたり、頭皮環境を清潔に保ったりする成分が含まれています。

AGAの進行を直接止めるものではありませんが、頭皮環境を整え、薄毛が進行しにくい状態をサポートします。

育毛剤と発毛剤の違い

項目育毛剤 (医薬部外品)発毛剤 (第1類医薬品)
目的抜け毛予防、今ある髪の育成新たな髪の毛を生やす(発毛)
主な成分例センブリエキス、グリチルリチン酸2Kなどミノキシジルなど
分類医薬部外品医薬品

自分に合った成分の選び方

育毛剤には様々な種類があります。自分の頭皮の状態や悩みに合わせて選びましょう。

例えば、頭皮の乾燥が気になるなら保湿成分、皮脂が多いなら皮脂抑制成分、血行不良が気になるなら血行促進成分が配合されたものが適しています。

つむじはげ対策としての育毛剤選びのポイント

つむじはげの初期症状対策として育毛剤を使い始めるなら、自分に合った製品を選ぶことが重要です。継続して使用することで効果が期待できるため、「続けやすさ」も考慮に入れましょう。

配合成分に着目する

育毛剤の核となるのが配合成分です。自分の悩みにアプローチできる成分が含まれているかを確認します。

  • 頭皮環境を整える成分(グリチルリチン酸2K、ピロクトンオラミンなど)
  • 血行を促進する成分(センブリエキス、ビタミンE誘導体など)
  • 毛母細胞に働きかける成分(パントテニルエチルエーテル、t-フラバノンなど)

これらの有効成分が、自分の頭皮の状態(乾燥、脂性、敏感など)や薄毛の原因(血行不良、栄養不足など)に対して、どのように作用するのかを理解して選ぶことが大切です。

使いやすさと継続性

育毛剤は、最低でも3ヶ月から6ヶ月は継続して使用することが推奨されます。そのため、日々のケアに取り入れやすい「使いやすさ」は非常に重要です。

テクスチャと香り

液体タイプ、ジェルタイプ、スプレータイプなど、テクスチャは様々です。液だれしにくいか、ベタつかないかなど、好みに合わせて選びましょう。

また、香りが強すぎると、特に日中使用する場合は気になるかもしれません。無香料タイプや、ほのかな香りのものを選ぶのも良いでしょう。

容器の形状

つむじに直接塗布しやすいノズルタイプや、広範囲に噴射できるスプレータイプなど、容器の形状も使い勝手に影響します。自分が最もストレスなく塗布できると感じるものを選びましょう。

価格と内容量のバランス

継続するためには、価格も重要な要素です。高価なものが必ずしも自分に合うとは限りません。1ヶ月あたりのコストを計算し、無理なく続けられる価格帯の製品を選びましょう。

安価であっても、内容量が極端に少なく、すぐに使い切ってしまうようでは意味がありません。

育毛剤選びのチェックポイント

チェック項目確認内容重視する点
有効成分血行促進、抗炎症、保湿など自分の悩み(地肌の透け、細毛)に合っているか
使い心地テクスチャ、香り、容器の形状毎日ストレスなく使用できるか
コスト1本あたりの価格と使用可能期間長期的に継続可能な価格か

口コミや評判の確認方法

実際に使用した人の感想(口コミ)は参考になりますが、鵜呑みにするのは危険です。肌質や体質は人それぞれ異なるため、「自分と似た悩みを持っていた人がどう感じたか」という視点で見ることが大切です。

また、極端に良い評価や悪い評価だけでなく、多くの人の平均的な意見を参考にすると良いでしょう。

対策しても進行する場合の選択肢

セルフケアを続けていても、つむじの薄さが改善しない、あるいは進行しているように感じる場合は、AGAが強く関わっている可能性が高いです。

その場合、セルフケアだけでは進行を食い止めるのが難しくなります。一人で悩まず、専門家の知見を借りることも重要な選択肢です。

専門クリニックへの相談

薄毛治療を専門とするクリニック(皮膚科やAGA専門クリニック)では、医師が頭皮の状態を診察し、薄毛の原因を診断してくれます。

カウンセリングの重要性

多くのクリニックでは、治療を始める前に無料または有料のカウンセリングを行っています。

現在の悩みや不安、生活習慣などを詳しく伝え、どのような治療法があるのか、費用はどれくらいか、どのような効果とリスクがあるのかをしっかりと説明してもらうことが重要です。

どのような検査を行うか

クリニックでは、視診や触診に加え、マイクロスコープで頭皮や毛穴の状態を詳細に確認したり、血液検査で体調やホルモン値を調べたりすることがあります。

場合によっては、AGAの遺伝的リスクを調べる検査を行うこともあります。

クリニックでの主な治療法

AGAと診断された場合、その進行度や患者の希望に応じて、いくつかの治療法が提案されます。

内服薬・外用薬治療

現在のAGA治療の主流は、薬による治療です。AGAの原因であるDHTの生成を抑える内服薬や、頭皮の血流を改善し発毛を促す外用薬などが用いられます。

主なAGA治療薬の種類

種類主な成分期待される効果
内服薬フィナステリド、デュタステリドAGAの原因(DHT)の生成を抑制し、抜け毛を防ぐ
外用薬ミノキシジル頭皮の血流を改善し、毛母細胞を活性化させ発毛を促す

注入治療

頭皮に直接、髪の成長に必要な成分(成長因子やミノキシジルなど)を注入する治療法もあります。内服薬や外用薬と併用して行われることが多いです。

自毛植毛

薄毛がかなり進行している場合や、薬物治療の効果が限定的な場合には、AGAの影響を受けにくい後頭部や側頭部の自分の髪を、薄くなったつむじ周辺に移植する「自毛植毛」という外科的な選択肢もあります。

早期相談のメリット

AGAは進行性です。治療の開始が早ければ早いほど、髪の毛が残っている状態(毛根が生きている状態)で治療を開始できるため、効果を実感しやすく、将来的な進行を食い止める可能性が高まります。

つむじはげの初期症状に気づいた段階で専門家に相談することは、将来の髪を守る上で非常に賢明な判断と言えます。

Q&A

最後につむじはげの初期症状に関してよく寄せられる質問にお答えします。

つむじはげはどの年代から始まりますか?

つむじはげ(AGA)が始まる時期には大きな個人差があります。早い方では20代前半から初期症状が現れることもありますし、30代、40代になってから徐々に気になりだす方もいます。

遺伝的要因や生活習慣によっても発症時期は異なります。「まだ若いから大丈夫」と過信せず、変化に気づいたら早めに対処することが大切です。

セルフチェックで判断がつかない場合はどうすればよいですか?

ご自身での判断が難しい場合は、専門家に相談するのが一番確実です。薄毛専門のクリニックや皮膚科で、医師に頭皮の状態を直接診てもらうことをおすすめします。

マイクロスコープなどで詳細に確認することで、それがAGAの初期症状なのか、あるいは他の原因(皮膚炎や円形脱毛症など)なのかを正しく診断してもらえます。

育毛剤はどれくらい続ければ効果が出ますか?

育毛剤は、乱れたヘアサイクルを正常な状態に戻すサポートをするものです。髪の毛には生え変わりのサイクル(毛周期)があるため、効果を実感するまでには時間がかかります。

一般的には、最低でも3ヶ月から6ヶ月は毎日継続して使用することが推奨されます。すぐに効果が出ないからと諦めず、根気よく続けることが重要です。

食事や睡眠を変えるだけでつむじはげは改善しますか?

食事や睡眠といった生活習慣の改善は、健康な髪を育てるための「土台作り」として非常に重要です。

頭皮環境が整い、髪に栄養が行き届きやすくなるため、抜け毛の予防や髪質の改善にはつながります。

しかし、つむじはげの主な原因がAGAである場合、生活習慣の見直しだけでAGAの進行を完全に止めることは難しいです。

育毛剤の使用や専門的な治療と並行して行うことが、最も効果的な対策となります。

つむじはげが進行してしまったらもう手遅れですか?

手遅れということはありません。薄毛が進行している状態でも、毛根が活動を停止していなければ、治療によって髪の毛が太くなったり、密度が改善したりする可能性は十分にあります。

確かに初期症状の段階で対策を始めるのが理想ですが、気づいた時点があなたにとっての「始め時」です。諦めずに専門クリニックに相談するなど、適切な行動を起こしましょう。

Reference

STARACE, Michela, et al. Female androgenetic alopecia: an update on diagnosis and management. American journal of clinical dermatology, 2020, 21.1: 69-84.

ALESSANDRINI, A., et al. Common causes of hair loss–clinical manifestations, trichoscopy and therapy. Journal of the European Academy of Dermatology and Venereology, 2021, 35.3: 629-640.

WHITING, David A. Possible mechanisms of miniaturization during androgenetic alopecia or pattern hair loss. Journal of the American Academy of Dermatology, 2001, 45.3: S81-S86.

AMORETTI, Aline; LAYDNER, Humberto; BERGFELD, Wilma. Androgenetic alopecia and risk of prostate cancer: a systematic review and meta-analysis. Journal of the American Academy of Dermatology, 2013, 68.6: 937-943.

THUANGTONG, Rattapon. Vertex accentuation in female pattern hair loss in asians. Siriraj Medical Journal, 2016, 68.3: 155-159.

PRICE, Vera H. Androgenetic alopecia in women. In: Journal of Investigative Dermatology Symposium Proceedings. Elsevier, 2003. p. 24-27.

HENNING, Ania; ALDRICH, Nely; WEAVER, Joshua. Square alopecia on the vertex scalp. International Journal of Dermatology, 2021, 60.7.

LIU, Yingzi, et al. Androgenetic alopecia. Nature Reviews Disease Primers, 2025, 11.1: 73.

HILLMANN, Kathrin, et al. A

single-centre, randomized, double-blind, placebo-controlled clinical trial to investigate the efficacy and safety of minoxidil topical foam in frontotemporal and vertex androgenetic alopecia in men. Skin pharmacology and physiology, 2015, 28.5: 236-244.

PHILLIPS, T. Grant; SLOMIANY, W. Paul; ALLISON, Robert. Hair loss: common causes and treatment. American family physician, 2017, 96.6: 371-378.

目次