市販育毛剤で始める男性の薄毛ケア

市販育毛剤で始める男性の薄毛ケア

薄毛の悩みは、多くの方が抱えるデリケートな問題です。特に男性の場合、AGA(男性型脱毛症)が進行すると、見た目の印象が大きく変わってしまうこともあります。

しかし薄毛の初期段階であれば、市販の育毛剤によるセルフケアで進行を緩やかにしたり、頭皮環境を整えたりすることが期待できます。

この記事では、薄毛の進行度に応じたケアの考え方から、あなたに合った市販育毛剤の選び方、そして市販品で効果が見られない場合の次の対応まで、専門的な視点から詳しく解説します。

正しい知識を身につけ、早期からの適切なケアを始めましょう。

この記事の執筆者

AGAメディカルケアクリニック統括院長 前田 祐助
Dr.前田 祐助

AGAメディカルケアクリニック 統括院長

前田 祐助

【経歴】

慶應義塾大学医学部医学研究科卒業

慶應義塾大学病院 初期臨床研修課程終了

大手AGAクリニック(院長)を経て、2018年に薄毛・AGA治療の「AGAメディカルケアクリニック」新宿院を開設

2020年に横浜院、2023年に東京八重洲院を開設

院長プロフィール

資格・所属学会・症例数

【資格】

  • 医師免許
  • ⽇本医師会認定産業医
  • 医学博士

【所属学会】

  • 日本内科学会
  • 日本美容皮膚科学会
  • 日本臨床毛髪学会

【症例数】

3万人以上※

※2018年5月~2022年12月AGAメディカルケアクリニック全店舗の延べ患者数

目次

なぜ薄毛の進行度に応じた治療法選びが大切なのか – 早期発見と適切な対応の重要性

男性が拡大鏡で自分の頭頂部を観察し早期の薄毛サインを確認している線画イラスト

薄毛の悩みは一人ひとり異なります。進行度を正しく理解し、適切なケアを選ぶことが改善への第一歩です。

薄毛のケアを始めるにあたりまず理解しておくべきことは、薄毛の状態や進行度によって適切な対応が異なるという点です。

自己判断で手当たり次第に製品を試すのではなく、自身の状態を客観的に把握し、それに応じたケアを選択する。これが時間と費用の無駄を防ぎ、効果的な結果を得るために重要です。

特にAGA(男性型脱毛症)は進行性の脱毛症であり、早期に気づき、適切な対策を講じることでその進行を遅らせることが期待できます。

薄毛のサインを見逃さない

多くの場合、薄毛はゆっくりと進行するため、初期の変化に気づきにくいです。ただ、日常の中で注意深く観察することで、いくつかのサインを捉えることができます。

薄毛のサインに早期に気づくことが、適切なケアを開始する上で非常に大切です。

初期症状の具体例

薄毛初期サイン

薄毛の初期サインには以下のようなものがあります。このような変化を感じたら、薄毛ケアを意識し始めるタイミングかもしれません。

  • 抜け毛の増加(枕や排水溝、ブラッシング時など)
  • 髪の毛が細くなった、ハリやコシがなくなった
  • 髪のボリュームが減り、スタイリングがしにくくなった
  • 頭頂部やつむじ周りの地肌が透けて見えるようになった
  • 生え際が以前より後退したように感じる

自己判断の危険性

初期のサインに気づいたとしても、「まだ大丈夫だろう」「そのうち治るだろう」と自己判断で放置してしまうのは避けるべきです。特にAGAの場合、放置すると薄毛は徐々に進行していきます。

また、薄毛の原因はAGAだけではありません。

他の皮膚疾患や生活習慣、ストレスなどが原因である可能性も考慮し、不安な場合は専門医に相談することも視野に入れましょう。

自己判断で誤ったケアを続けると、かえって状態を悪化させてしまうケースもあります。

進行度による薄毛の分類

男性型脱毛症をステージ別に示した頭部シルエット図

薄毛、特にAGAの進行度を把握するためには、一般的に用いられる分類法を知っておきましょう。現在の自分の状態がどの程度なのかを客観的に理解しやすくなります。

AGAの進行パターン

AGAの進行パターンは、主に「ハミルトン・ノーウッド分類」という指標で評価します。

この分類は、額の生え際から後退していくM字型、頭頂部から薄くなるO字型、これらが混合するU字型(M字とO字の混合)など、いくつかの典型的なパターンと進行段階を示します。

Ⅰ型からⅦ型まであり、数字が大きくなるほど進行している状態を意味します。ご自身の頭髪の状態を鏡で確認し、どのパターンや段階に近いかを見てみるのも一つの方法です。

分類に応じたケアの考え方

薄毛の進行度によって、推奨されるケアの考え方も変わってきます。

例えば、ハミルトン・ノーウッド分類で初期段階(Ⅰ型~Ⅱ型程度)であれば、生活習慣の改善や市販の育毛剤による頭皮環境のケアが中心となります。

中等度(Ⅲ型~Ⅳ型程度)に進行している場合は、市販の育毛剤だけでは効果を感じにくいこともあり、専門医に相談の上、医薬品による治療を検討する段階と言えるでしょう。

さらに進行した状態(Ⅴ型以上)では、より専門的な治療や複合的なアプローチが必要になることが一般的です。

薄毛の進行度に応じたセルフケアから医薬品治療への流れを示すフローチャート

治療法選択の基本的な考え方

薄毛治療やケアの方法を選択する際には、いくつかの基本的な考え方があります。より納得のいく選択ができるように、この基本を理解しておきましょう。

進行度と期待できる効果

前述の通り、薄毛の進行度によって、それぞれの治療法やケアで期待できる効果の範囲は異なります。

初期であれば現状維持や緩やかな改善が期待できますが、進行してしまった状態から元の状態に戻すことは容易ではありません。どのような状態を目指すのか、現実的な目標設定が大切です。

過度な期待はせず、専門家の意見も参考にしながら、自分に合った方法を選びましょう。

費用と期間の考慮

薄毛のケアや治療は、一般的に長期間継続することが必要です。そのため、費用面も重要な選択基準となります。市販の育毛剤から専門的な治療まで、費用には大きな幅があります。

また、効果を実感できるまでの期間も方法や個人差によって異なります。

無理なく続けられる範囲で、かつ効果が期待できる方法を総合的に判断し、治療方法を選んでいくべきなのです。

薄毛の進行度別ケアの目安

進行度主な状態推奨されるケアの方向性
ごく初期抜け毛が少し気になる程度
髪質の変化をわずかに感じる
生活習慣の見直し
スカルプシャンプーの利用
頭皮マッサージ
初期抜け毛の増加が明確
髪のハリ・コシ低下
うぶ毛の増加
市販育毛剤の使用開始
頭皮環境改善への意識
中期地肌の透け感が目立つ
生え際の後退や頭頂部の薄毛が明確
専門医への相談
AGA治療薬(フィナステリド・ミノキシジル等)の検討

この表はあくまで一般的な目安です。個々の状態や希望に応じて、最適なケアは異なります。不安な場合は、早めに専門医に相談することをおすすめします。

初期の薄毛に医薬品は必要ない理由 – まずは頭皮環境の改善から

健康な頭皮 vs 乱れた頭皮環境

薄毛が気になり始めたら、すぐに医薬品に頼るべきなのでしょうか。初期段階では、より穏やかなアプローチが有効な場合があります。

薄毛のサインに気づくと、「すぐにでも効果の高い治療を始めたい」と焦る気持ちになるかもしれません。

特にAGA治療薬として知られるフィナステリドやミノキシジルについては、その効果から使用を検討する方がとても多い薬です。

しかし、薄毛の初期段階においては、必ずしも最初から医薬品が必要というわけではありません。

むしろ、頭皮環境の改善や生活習慣の見直しといった基本的なケアが将来的な髪の健康にとって必要である、ということを頭に入れておきましょう。

医薬品の役割と対象

医薬品、特にAGA治療薬は、薄毛の原因に直接的に作用し、発毛を促したり脱毛の進行を抑制したりする効果が期待できます。

しかし、その効果の裏には副作用のリスクも伴いますし、そもそも医薬品が推奨されるのは、ある程度薄毛が進行した状態や、医師がその必要性を認めた場合です。

AGA治療薬の作用機序

代表的なAGA治療薬には、フィナステリド(内服薬)やデュタステリド(内服薬)、ミノキシジル(外用薬・内服薬)があります。

フィナステリドやデュタステリドは、AGAの主な原因物質であるDHT(ジヒドロテストステロン)の生成を抑制することで、抜け毛を減らし、毛周期を正常化させる働きがあります。

ミノキシジルは、毛母細胞を活性化させ、血行を促進することで発毛を促す効果が期待されます。これらの薬剤は、医師の診断と処方が必要です。

医薬品が推奨される進行度

一般的に、医薬品による治療は、薄毛がある程度進行し、セルフケアだけでは改善が難しいと判断される場合に検討されます。

ハミルトン・ノーウッド分類でⅢ型以上の状態や、抜け毛が著しく、急速に薄毛が進行している場合などが該当します。

初期の段階で、まだ頭皮環境の乱れや生活習慣の影響が大きいと考えられる場合は、まずそちらの改善から取り組むことが推奨されます。

初期段階におけるケアの優先順位

薄毛の初期段階では、①髪の成長に必要な土壌である頭皮環境を整えること、②そして髪の成長をサポートする健康的な生活習慣を確立すること、この2つが優先です。

この基本的なケアが、将来的な医薬品治療の効果を高めることにも繋がります。

頭皮環境の正常化

健康な髪は、健康な頭皮から育ちます。頭皮の乾燥、過剰な皮脂、炎症、血行不良などは、髪の成長を妨げる要因となります。

まずは適切なシャンプー選びや洗髪方法、保湿ケア、頭皮マッサージなどを通じて、頭皮環境を清潔で潤いのある状態に保つことが大切です。

そこで、どんなものでケアをするかが重要になってきます。

特に、自分の頭皮タイプ(乾燥肌、脂性肌、敏感肌など)に合ったケア製品を選ぶことが重要です。(どうやって選ぶの?ということについてもこのあと解説します。)

生活習慣の見直し

食事・睡眠・運動・禁煙を示す4つのライフスタイル改善アイコン

次に生活習慣の改善です。髪の健康は、体全体の健康と密接に関連しています。

バランスの取れた食事(特にタンパク質、ビタミン、ミネラル)、十分な睡眠、適度な運動、ストレス管理は、髪の成長に必要な栄養を届け、ホルモンバランスを整え、血行を促進するために不可欠です。

また、もちろん喫煙や過度な飲酒は、血行を悪化させ、髪に悪影響を与える可能性があるため、控えることが望ましいです。

市販育毛剤で期待できること

薄毛の初期段階においては、医薬品ではなく、市販の育毛剤(医薬部外品)がケアの選択肢として有効です。

市販の育毛剤は医薬品のような直接的な発毛効果を謳うものではありませんが、頭皮環境を整え、抜け毛を予防し、育毛をサポートする成分が含まれています。

保湿と栄養補給

多くの市販育毛剤には、頭皮に潤いを与え、乾燥を防ぐ保湿成分や毛根に栄養を補給する成分が配合されています。

これにより頭皮のバリア機能を高め、外部刺激から守り、髪が育ちやすい環境を整える効果が期待できます。

血行促進効果

頭皮の血行が悪くなると、髪の成長に必要な酸素や栄養素が毛根まで届きにくくなります。

市販育毛剤の中には、センブリエキスやビタミンE誘導体など、頭皮の血行を促進する成分が含まれているものがあり、これにより毛母細胞の活性化を助けることが期待されます。

血管から毛包へ栄養が届く様子を示す頭皮断面図の線画

ただ、市販の育毛剤はあくまで頭皮環境を整え、育毛をサポートするものです。

AGAが進行している場合は、育毛剤だけで顕著な発毛効果を得ることは難しいことを理解しておく必要があります。

初期薄毛ケアのポイント

ケア項目具体的な内容期待される効果
頭皮ケアアミノ酸系などマイルドなシャンプー
正しい洗髪
頭皮マッサージ
保湿
フケ・かゆみ抑制
血行促進
健やかな頭皮環境の維持
生活習慣バランスの取れた食事
質の高い睡眠
禁煙・節酒
髪の成長に必要な栄養供給
ホルモンバランスの安定
ストレス管理適度な運動
趣味の時間
リラクゼーション
自律神経の安定
血行改善

上記のような基本的なケアを丁寧に行うことが、初期の薄毛対策の第一歩となります。すぐに医薬品に頼るのではなく、焦らずじっくりと取り組むことが大切です。

医薬品治療に伴う副作用のリスクを知っておこう – 安全な薄毛治療のために

AGA治療薬は効果が期待できる一方で、副作用が起こる可能性もあります。

フィナステリドなど主要AGA薬と代表的副作用を示すアイコン表

AGA(男性型脱毛症)の治療において、フィナステリドやミノキシジルといった医薬品は有効な選択肢の一つです。薄毛の進行を抑制したり、発毛を促したりする効果が科学的に認められています。

しかし、医薬品である以上、効果だけでなく副作用のリスクも存在します。

治療を開始する前、あるいは検討する際には、どのような副作用が起こり得るのかを正しく理解し、万が一副作用が現れた場合の対処法についても知っておくことが、安全かつ安心して治療を続けるために非常に重要です。

主なAGA治療薬とその副作用

AGA治療に用いられる代表的な医薬品と、それぞれに報告されている主な副作用について解説します。ただし、副作用の現れ方や程度には個人差があることを念頭に置いてください。

フィナステリド系薬剤の副作用

フィナステリド(プロペシアなど)やデュタステリド(ザガーロなど)は、5αリダクターゼという酵素の働きを阻害し、AGAの原因物質であるDHT(ジヒドロテストステロン)の産生を抑制する内服薬です。

報告されている主な副作用には以下のようなものがあります。

性機能関連リビドー(性欲)減退、勃起機能不全(ED)、射精障害、精液量減少など。これらの発生頻度は数%程度とされていますが、治療を中止すれば改善することがほとんどです。
精神症状抑うつ気分、無気力感など。頻度は稀ですが、もし気分の落ち込みなどが続く場合は医師に相談が必要です。
肝機能障害まれに肝臓の数値に影響が出ることがあります。そのため、定期的な血液検査を推奨する場合があります。
その他乳房の圧痛や腫れ、めまい、頭痛などが報告されることもあります。

フィナステリドやデュタステリドは男性ホルモンに作用するため、女性、特に妊娠中や授乳中の女性、また妊娠の可能性のある女性は、薬剤に触れることも避ける必要があります。

分割・粉砕した錠剤から有効成分が経皮吸収される可能性があるためです。

ミノキシジル(外用薬)の副作用

ミノキシジル外用薬(リアップなど)は、頭皮に直接塗布することで毛母細胞を活性化し、血行を促進して発毛を促す薬剤です。主な副作用は、塗布部位の皮膚症状です。

  • 頭皮のかゆみ、発疹、発赤、フケ、かぶれ、熱感など。
  • 「初期脱毛」→使用開始後、一時的に抜け毛が増えることがあります。これは休止期にあった毛髪が新しい毛髪に押し出されるために起こる現象で、治療効果の現れ始めのサインとも考えられますが、数週間から1ヶ月程度で落ち着くことが一般的です。
  • まれに頭痛、めまい、胸の痛み、心拍が速くなる、原因不明の体重増加、手足のむくみなどが報告されています。

ミノキシジル(内服薬)の副作用(※国内未承認)

ミノキシジルには内服薬(ミノキシジルタブレット、通称ミノタブ)も存在しますが、日本ではAGA治療薬として承認されていません。

元々は高血圧治療薬として開発されたものであり、血管拡張作用が強いため、副作用のリスクも外用薬より高くなります。

安易な個人輸入などでの使用は大きな健康リスクを伴うため、必ず医師の管理下で使用する必要があります。

主な副作用としては、多毛症(全身の毛が濃くなる)、動悸、息切れ、めまい、頭痛、低血圧、むくみ(顔や手足)、体重増加、心電図異常などが報告されています。

特に心臓への負担が懸念されるため、心疾患の既往がある方などは禁忌となる場合があります。

副作用の頻度と重篤度

治療効果と副作用リスクを天秤で比較した線画インフォグラフィック

AGA治療薬の副作用の発生頻度は、一般的にはそれほど高くありません。例えば、フィナステリドの性機能に関する副作用は数パーセント程度と報告されています。

しかし、副作用の現れ方やその程度には個人差が大きく、体質や健康状態によっても異なります。多くの場合、副作用は軽微で一過性ですが、稀に重篤な症状が現れる可能性もゼロではありません。

そのため、治療開始前には医師から十分な説明を受け、理解しておくことが大切です。

副作用が出た場合の対処法

もしAGA治療薬を使用していて何らかの体調変化や気になる症状が現れた場合は、自己判断で対処したり、我慢したりせずに、速やかに処方を受けた医師に相談することが重要です。

速やかに医師に相談する

症状の種類や程度、患者さんの状態を総合的に判断し、薬剤の減量、一時的な休薬、あるいは薬剤の変更など、適切な指示を医師からもらいましょう。

副作用の初期段階で対応することで、症状の悪化を防ぐことができます。

自己判断での中断は危険

副作用が心配だからといって医師に相談せずに自己判断で治療を中断してしまうと、それまで得られていた治療効果が失われ、薄毛が再び進行してしまう可能性があります。

また、中断することで別の問題が生じることも考えられます。必ず医師の指示に従いましょう。

主なAGA治療薬の副作用まとめ

薬剤成分主な副作用の可能性注意点
フィナステリド/デュタステリド(内服)性機能低下(数%)、肝機能障害(稀)、抑うつ気分(稀)医師の処方が必要、定期的な診察、女性・小児は禁忌
ミノキシジル(外用)頭皮の炎症(かゆみ、発疹)、初期脱毛、まれに動悸・むくみ用法用量を守る、異常時は使用中止し医師相談
ミノキシジル(内服)多毛症、動悸、低血圧、むくみ、心臓への負担(国内未承認)医師の厳格な管理下でのみ使用、安易な個人輸入は危険

医薬品治療は、医師との信頼関係のもと、効果とリスクを十分に理解した上で進めることが大切です。不安な点や疑問点は遠慮なく医師に質問し、納得のいく治療選択をしましょう。

市販の育毛剤選びが難しい本当の理由 – 成分と効果の多様性

育毛関連製品がずらりと並ぶドラッグストア棚

薄毛ケアを始めようとドラッグストアやオンラインショップを訪れると、驚くほど多くの種類の育毛関連製品が並んでいます。どれを選べば良いのか迷うのは当然です。

「育毛剤」「発毛剤」「スカルプエッセンス」など名称も様々で、価格帯も幅広いため、どれを選べば自分の悩みに合っているのか判断するのは非常に難しいと感じる方が多いでしょう。

育毛剤の種類と目的の違い

市販されている頭髪ケア製品は、薬機法(旧薬事法)に基づいて大きく3つに分類されます。

  1. 育毛剤(医薬部外品)
  2. 発毛剤(第1類医薬品)
  3. 化粧品(スカルプケア製品)

育毛剤(医薬部外品)

一般的に「育毛剤」として販売されているものの多くは、この医薬部外品に該当します。「脱毛の予防」「育毛」「養毛」「ふけ・かゆみを防ぐ」といった効果効能が認められた有効成分が一定濃度配合されています。

主な目的は、頭皮環境を整え、現在生えている髪を健康に保ち、抜け毛を予防することです。医薬品ではないため、医師の処方箋なしで購入できますが、病気の治療を目的としたものではありません。

新しい髪を生やす「発毛」効果を謳うことはできません。

発毛剤(第1類医薬品)

「発毛剤」は、その名の通り「発毛」効果が認められている医薬品です。

代表的な成分としてミノキシジルが配合されており、壮年性脱毛症(AGA)における発毛、育毛及び脱毛(抜け毛)の進行予防の効能があります。医薬品であるため、薬剤師からの情報提供を受けて購入する必要があります。

効果が期待できる一方で、副作用のリスクもあるため、使用上の注意をよく守ることが大切です。

化粧品(スカルプケア製品)

「スカルプローション」「ヘアトニック」「頭皮用美容液」などと表示される製品の多くは、化粧品に分類されます。化粧品の目的は、頭皮や毛髪を清浄にし、健やかに保つことです。

保湿成分や清涼成分などが配合され、使用感の良さや香りに特徴がある製品も多いです。

医薬部外品や医薬品のような特定の効果効能を謳うことはできませんが、頭皮のコンディションを整える日常的なケアとして役立ちます。

配合成分の多種多様性

多様な成分を示す分子・植物アイコン

特に医薬部外品である育毛剤には、メーカー各社が独自の研究に基づいて様々な成分を配合しています。これらの成分は、期待される働きによっていくつかのグループに大別できます。

血行促進成分

頭皮の血行を促進し、毛根へ栄養を届けやすくする成分です。代表的なものに、センブリエキス、ニコチン酸アミド、ビタミンE誘導体(酢酸トコフェロールなど)があります。

抗炎症成分

頭皮の炎症を抑え、フケやかゆみを防ぐ成分です。グリチルリチン酸ジカリウム、アラントインなどがよく用いられます。

保湿成分

頭皮の乾燥を防ぎ、潤いを保つ成分です。ヒアルロン酸、コラーゲン、セラミド、各種植物エキスなどが代表的です。

毛母細胞活性化成分

毛髪を作り出す毛母細胞の働きをサポートする成分です。パントテニルエチルエーテル、t-フラバノンなどが知られています。

その他独自成分

上記以外にも、各メーカーが独自に開発した成分や、特定の植物エキス、アミノ酸、ペプチドなどが配合されていることがあります。これらの成分が、製品ごとの特徴や差別化に繋がっています。

このように多種多様な成分が存在するため、どの成分が自分の頭皮の状態や薄毛の悩みに合っているのかを見極めるのは容易ではありません。

誇大広告と情報の見極めは難しい

誇大広告に注意

育毛関連製品の広告には、時に消費者の期待を過度にあおるような表現が見られます。「これを使えば必ず髪が生える」「驚きの効果」といったキャッチコピーには注意が必要です。

特に医薬部外品や化粧品は、医薬品のような明確な「発毛」効果を保証するものではありません。

「必ず生える」はあり得ない

薄毛の原因や進行度は個人差が大きく、また、製品との相性もあります。どのような製品であっても、全ての人に同じように効果が現れるわけではありません。

「必ず」や「絶対」といった言葉を鵜呑みにせず、冷静に情報を判断する姿勢が大切です。

効果効能の範囲の理解

製品が医薬部外品なのか、医薬品なのか、化粧品なのかを確認し、それぞれに認められている効果効能の範囲を理解することが重要です。

例えば、医薬部外品の育毛剤に期待できるのは、あくまで「育毛促進」「脱毛予防」「頭皮環境改善」であり、「発毛」ではありません。この違いを認識しておきましょう。

原因の特定が先決

自分に合った育毛剤を選ぶためには、まず自分の薄毛の「原因」や「タイプ」をある程度把握することが重要です。

例えば、AGAが主な原因であるのに、AGAへのアプローチが弱い育毛剤を選んでも、期待する効果は得られにくいでしょう。

頭皮の乾燥が気になるのに脂性肌向けのさっぱりとした使用感の製品を選べば、かえって乾燥を助長する可能性もあります。

育毛剤関連製品の分類と特徴

種類法的分類主な目的・効果効能
育毛剤医薬部外品脱毛予防、育毛、養毛、ふけ・かゆみ防止、頭皮環境改善
発毛剤第1類医薬品壮年性脱毛症における発毛、育毛、脱毛進行予防(ミノキシジル等)
スカルプケア製品(ローション等)化粧品頭皮・毛髪の清浄、保湿、健やかに保つ

この表を参考に、製品の分類をまず確認し、自分の目的に合ったものを選ぶようにしましょう。

成分表示や商品説明をよく読み、不明な点はメーカーに問い合わせるか、薬剤師や専門医に相談することも有効です。

あなたに合った育毛剤の見つけ方 – 個別化ケアの時代へ

自分の薄毛タイプを確認するチェックリストを描いた線画

無数にある育毛剤の中から、自分にとって最適な一本を見つけ出すにはどうすれば良いのでしょうか。その鍵は、自分自身の状態を深く知ることにあります。

市販の育毛剤選びが難しいことは前述の通りですが、それでも自分に合った製品を見つけるためのヒントはあります。

それは、まず自分自身の薄毛の状態、頭皮のコンディション、そして遺伝的な背景などを多角的に理解することです。

近年では、科学的なアプローチを取り入れた個別化ケアの考え方も広がりつつあり、より自分にフィットした育毛剤選びが可能になってきています。

自分の薄毛タイプを知る

薄毛と一言で言っても、その原因や症状の現れ方は様々です。

まずは、自分の薄毛がどのタイプに当てはまる可能性が高いのかを把握することが、適切なケア製品を選ぶための第一歩となります。

AGA(男性型脱毛症)の特徴

成人男性の薄毛の多くはAGA(Androgenetic Alopecia:男性型脱毛症)です。

AGAは、男性ホルモンの一種であるテストステロンが、頭皮に存在する5αリダクターゼという酵素の働きによってDHT(ジヒドロテストステロン)に変換され、このDHTが毛乳頭細胞の受容体と結合することで毛母細胞の増殖を抑制し、毛髪の成長期を短縮させてしまうことが主な原因です。

特徴としては、思春期以降に発症し徐々に進行すること、額の生え際が後退する(M字型)、頭頂部が薄くなる(O字型)、あるいはその両方が進行するパターンが見られることなどが挙げられます。

遺伝的要因と男性ホルモンの影響が強いとされています。

その他の脱毛症

AGA以外にも、薄毛を引き起こす原因はいくつかあります。例えば、円形脱毛症は自己免疫疾患の一つと考えられており、頭部に円形や楕円形の脱毛斑が突然現れます。

脂漏性脱毛症は皮脂の過剰な分泌によって頭皮に炎症が起こり、抜け毛が増える状態です。また、過度なストレス、栄養不足、睡眠不足、甲状腺疾患などの内科的疾患、薬剤の副作用などが原因で薄毛が起こることもあります。

これらの場合は、原因に応じた対処が必要です。

正確な原因特定のためには皮膚科やAGA専門クリニックを受診し、医師の診断を受けることが最も確実です。

頭皮の状態を把握する

育毛剤は頭皮に直接塗布して使用するため、自分の頭皮の状態に合った製品を選ぶことが大切です。

頭皮の状態が悪いと、育毛剤の成分がうまく浸透しなかったり、かえって頭皮トラブルを引き起こしたりする可能性があります。

乾燥肌、脂性肌、敏感肌

頭皮も顔の肌と同じように、乾燥しやすいタイプ、皮脂が出やすいタイプ、刺激に弱いタイプなどがあります。乾燥肌の場合は、保湿成分が豊富に含まれたしっとりタイプの育毛剤が適しています。

脂性肌の場合は、皮脂の分泌を抑える成分や、さっぱりとした使用感のものが良いでしょう。敏感肌の場合は、アルコールフリーや無香料、無着色など、低刺激性の製品を選ぶことが重要です。

フケやかゆみの有無

フケやかゆみがある場合は、その原因が乾燥によるものなのか、皮脂の過剰分泌や真菌(カビ)によるものなのかを見極める必要があります。

抗炎症成分や抗菌成分が配合された育毛剤が有効な場合もありますが、症状が強い場合は、まず皮膚科医に相談し、適切な治療を受けることを優先しましょう。

遺伝的要因の考慮

特にAGAの発症には、遺伝的な要因が大きく関わっていることが知られています。家族歴を確認することも、自分の薄毛リスクを推測する上で参考になります。

AGA発症と遺伝の関係

AGAのなりやすさには、男性ホルモンの影響を受ける感受性の遺伝子(アンドロゲンレセプター遺伝子)や、5αリダクターゼの活性度に関わる遺伝子などが関与していると考えられています。

これらの遺伝的素因は、両親のどちらからでも受け継がれる可能性があります。

一般的に、父方または母方の祖父や父に薄毛の人がいる場合、自身もAGAを発症するリスクが高いと言われています。

家族歴の確認

ご自身の家族(父、母、祖父母、兄弟など)に薄毛の方がいるかどうかを確認してみましょう。

ただし、家族に薄毛の人がいなくてもAGAを発症することもありますし、逆に家族に薄毛の人がいても必ずしも発症するわけではありません。あくまで一つの目安として捉えましょう。

遺伝子検査によるアプローチ

遺伝子検査イメージ

近年、個人の遺伝情報を解析することで、AGAの発症リスクや特定の薬剤成分への感受性などを予測する「遺伝子検査」が登場し、注目されています。

これにより、一人ひとりに合った、よりパーソナルな育毛剤選びやケア方法の検討が可能になりつつあります。

AGAリスクの評価

AGA関連遺伝子検査では、主にアンドロゲンレセプター遺伝子の感受性や、5αリダクターゼの活性度に関連する遺伝子多型を調べます。

これにより、自分が将来的にAGAを発症しやすいタイプなのか、あるいはDHTの影響を受けやすい体質なのか、といった傾向を把握できます。

特定成分への感受性予測

一部の遺伝子検査では、フィナステリドなどのAGA治療薬に対する効果の現れやすさや、副作用の出やすさといった感受性を予測する試みも行われています。

ただしこれらの予測はあくまで統計的な傾向であり、絶対的なものではありません。検査結果の解釈には専門的な知識が必要であり、医師や専門家のアドバイスを受けることが重要です。

よりパーソナルな育毛剤選びのヒントに

遺伝子検査の結果は、自分に合った育毛剤を選ぶ上での一つのヒントになります。

例えば、DHTの影響を受けやすい遺伝的傾向が示された場合、DHTの産生を抑制する働きが期待される成分(ノコギリヤシエキスなど、ただし効果は限定的)や、頭皮環境を整えて毛髪の成長をサポートする成分を重視するといった考え方ができます。

ただし、遺伝子検査の結果だけで育毛剤を選ぶのではなく、自身の頭皮状態や生活習慣なども総合的に考慮することが大切です。

育毛剤選びのチェックポイント

チェック項目確認内容なぜ重要か
薄毛のタイプAGAの兆候(生え際、頭頂部)、その他の脱毛症の可能性原因に応じた適切な成分やアプローチを選ぶため
頭皮の状態乾燥、脂性、敏感、フケ、かゆみ、炎症の有無頭皮トラブルを避け、育毛剤の効果を高めるため
配合成分自分の目的(保湿、血行促進、抗炎症など)に合った成分か、刺激性成分の有無期待する効果を得るため、アレルギーや刺激を避けるため

これらのチェックポイントを参考に、製品の成分表示や説明をよく読み、試供品があれば試してみるなどして、自分に合った育毛剤を見つけていきましょう。

迷った場合は、やはり専門医に相談するのが確実です。

当院がおすすめする市販育毛剤はこれ – 科学的根拠と臨床経験から

当院がおすすめする市販育毛剤

数ある市販育毛剤の中から、専門的な視点で見てどのような製品が選択肢となり得るのか。当院の考え方と、具体的な製品タイプについて解説します。

AGAクリニックとして日々多くの薄毛に悩む患者様と接していると、「市販の育毛剤ではどれを使えば良いのか」というご質問を頻繁にいただきます。

市販の育毛剤は種類が非常に多く、玉石混交であることも事実です。

当院では、特定の市販育毛剤を強く推奨するという立場ではありませんが、患者様がセルフケアの一環として育毛剤を選ぶ際の参考になるような情報提供を心がけています。

ここでは、当院が市販育毛剤を評価する際の基準や、注目しているアプローチについてご紹介します。

当院の育毛剤選定基準

私たちが市販の育毛剤についてアドバイスをする際に重視するポイントは、主に以下の3点です。

  1. 成分の有効性と安全性
  2. 使用感と継続のしやすさ
  3. 価格と効果のバランス

患者様にとって、この3つが安全かつ効果的にセルフケアを行うために重要だと考えています。

成分の有効性と安全性

成分の有効性と安全性

まず最も重要なのは、配合されている成分に一定の科学的根拠があり、かつ安全性が確認されていることです。育毛や頭皮環境改善に寄与するとされる成分は多数ありますが、その作用機序や臨床データがどの程度明確であるかを確認します。

また、アレルギー反応や頭皮への刺激を引き起こす可能性のある成分が過度に含まれていないか、防腐剤や香料などの添加物についても注意が必要です。

使用感と継続のしやすさ

使用感と継続のしやすさ

育毛ケアは、効果を実感するまでに数ヶ月単位の継続が必要です。そのため、毎日無理なく続けられる使用感であることは非常に大切です。

ベタつきが少ない、香りが強すぎない、塗布しやすい容器であるなど、使用者のストレスにならない工夫がされている製品が望ましいと考えます。

また、価格も継続のしやすさに関わる重要な要素です。高価すぎると経済的な負担が大きくなり、途中でケアを断念してしまうことにもなりかねません。

価格と効果のバランス

価格と効果のバランスチャート

市販の育毛剤は、数千円のものから数万円するものまで価格帯が幅広いです。価格が高いからといって、必ずしも効果が高いとは限りません。

期待できる効果と価格のバランスが取れているかを見極めることが重要です。

過度な広告宣伝費が価格に上乗せされているような製品よりも、研究開発にコストをかけ、適正な価格で提供されている製品を選びたいものです。

遺伝子検査の活用

近年、個人の遺伝的体質を考慮したケアが注目されています。その一つとして、AGA関連遺伝子を調べる検査キットと育毛剤がセットになった「Pesod(ペソッド)」という製品があります。

当院でも、遺伝子検査を基にしたアプローチは、患者様がご自身の状態をより深く理解し、個別化されたケアを選択する上での一つの有用なツールとなり得ると考えています。

Pesodの概要(遺伝子検査キット付き育毛剤)

Pesodの概要(遺伝子検査キット付き育毛剤)

Pesod(ペソッド)」は、AGAの発症リスクや特定の薬剤感受性に関連する遺伝子を検査するキットと、その検査結果に基づいた情報提供を受けられる育毛剤(医薬部外品)がセットになった製品の一例です。

利用者は自宅で唾液を採取して送付することで、自身の遺伝的傾向を知ることができます。

なぜPesodが選択肢の一つとなり得るのか

Pesodのような遺伝子検査付き育毛剤が注目される理由は、画一的なケアではなく、個人の遺伝的情報という客観的なデータに基づいて、より自分に合ったケアの方向性を見出す手助けとなる可能性がある点です。

例えば、遺伝子検査によって、自分がAGAを発症しやすいタイプなのか、あるいは特定の有効成分に対してどのような反応を示す傾向があるのか、といった情報を得ることができます。

これにより、数多くの育毛剤の中から、自分の体質に合った成分が配合されているものや、避けるべき成分などをある程度絞り込むことが期待できます。

科学的な根拠に基づいたアプローチで製品を選ぶ

闇雲に様々な製品を試すよりも、科学的な根拠に基づいたアプローチで製品を選ぶことは、時間的・経済的な効率性の観点からもメリットがあると言えるでしょう。

ただし、これはPesodを特段に推奨するという意味ではなく、このようなアプローチが存在することを知っていただくための例示です。

Pesod使用の注意点

遺伝子検査付き育毛剤を利用する際には、いくつかの注意点があります。まず、Pesodを含む市販の育毛剤は、あくまで医薬部外品であり、AGAの「治療」を目的とした医薬品ではありません。

したがって、発毛効果を保証するものではなく、また医師の診断や治療に代わるものでもありません。 遺伝子検査の結果はあくまで統計的な傾向を示すものであり、個人の将来の薄毛の状態を確定的に予測するものではありません。

生活習慣や環境要因も薄毛には大きく影響します。 検査結果の解釈や、それに基づいた具体的なケアプランの立案については、自己判断せず、必要であれば医師や専門家のアドバイスを求めることが賢明です。

その他の推奨できる市販育毛剤のタイプ

遺伝子検査付き製品以外にも、当院が患者様にお話しする際に、比較的安心しておすすめできる市販育毛剤のタイプとしては以下のようなものが挙げられます。

有効成分が明確なもの

どのような有効成分が、どのくらいの濃度で配合されているかが明確に表示されており、その成分の作用機序や効果に関する情報が信頼できる形で提供されている製品。

例えば、日本皮膚科学会のAGA診療ガイドラインで推奨度がC1(行ってもよい)とされている成分(アデノシン、t-フラバノン、サイトプリン・ペンタデカンなど)が配合されているものも一つの目安になります。

刺激の少ないもの

アルコール濃度が高すぎない、香料や着色料が無添加であるなど、頭皮への刺激が少ない処方になっている製品。

特に敏感肌の方や、頭皮に炎症やかゆみが出やすい方は、低刺激性の製品を選ぶことが重要です。

Pesod(遺伝子検査付き育毛剤)の特徴

特徴詳細期待されること
遺伝子検査唾液検体によりAGA関連遺伝子(例:アンドロゲンレセプター感受性、5αリダクターゼ活性など)を分析自身の薄毛リスクや遺伝的体質傾向の把握
情報提供・製品検査結果に基づいたアドバイスシートの提供。結果に応じた、あるいは汎用的な育毛剤(医薬部外品)の提供より自分に合ったケアのヒントを得る。検査とケアを同時に開始可能
製品の成分(例)一般的な育毛剤と同様、頭皮環境を整える成分(保湿、血行促進、抗炎症など)を配合頭皮環境の改善、育毛促進、脱毛予防

上記は遺伝子検査付き育毛剤の一般的な特徴であり、特定の製品の効果を保証するものではありません。製品選択の際は、ご自身で情報をよく確認し、必要であれば専門家にご相談ください。

Pesodのような製品を検討する際のポイント

  • 自分の薄毛の原因や進行度について、ある程度の予測や自覚がある。
  • これまで色々な育毛剤を試したが、効果を感じられなかった、または選びきれない。
  • 科学的なアプローチや、個別化された情報に基づいてケアを選びたい。
  • 医師の診断を受ける前段階として、まずは自分でできる範囲で情報を集めたい。

最終的にどの育毛剤を選ぶにしても、過度な期待はせず、最低でも3ヶ月から6ヶ月は継続して使用し、頭皮の状態や抜け毛の変化を観察することが大切です。

そして、市販品で効果が見られない、あるいは薄毛が進行すると感じた場合は、早めに専門医に相談することを強くおすすめします。

市販育毛剤で効果がなければ次のステップへ – 専門医への相談も視野に

男性患者がクリニックで医師に薄毛治療相談をする線画イラスト

セルフケアには限界もあります。市販育毛剤で満足のいく結果が得られない場合、専門医の診断と治療が新たな道を開くかもしれません。

市販の育毛剤は、薄毛の初期段階におけるセルフケアとして手軽に始められる選択肢です。頭皮環境を整え、抜け毛を予防し、育毛をサポートする効果が期待できます。

しかし、AGA(男性型脱毛症)がある程度進行している場合や、薄毛の原因が他にある場合など、市販の育毛剤だけでは十分な効果が得られないことも少なくありません。

そのような場合は、いたずらに時間や費用を費やすのではなく、専門医(皮膚科医やAGA専門クリニックの医師)に相談し、より専門的な診断と治療を検討することが賢明です。

効果の判断基準と期間

セルフケアから専門治療へ段階的に進むステップラダー図

市販の育毛剤を使い始めたものの、いつまで続ければ効果が出るのか、どの程度の変化をもって「効果あり」と判断すれば良いのか、迷う方も多いでしょう。

効果の判断には、適切な期間と客観的な視点が必要です。

最低でも3ヶ月~6ヶ月は継続使用

毛髪にはヘアサイクル(毛周期)があり、成長期、退行期、休止期を繰り返しています。育毛剤の効果が目に見える形で現れるまでには、このヘアサイクルが正常化し、新しい健康な髪が育つ時間が必要です。

一般的に、最低でも3ヶ月、できれば6ヶ月程度は継続して使用し、その間の変化を観察することが推奨されます。数週間程度の使用で効果が出ないからといって、すぐに諦めてしまうのは早計かもしれません。

初期脱毛の可能性も考慮

一部の育毛剤や発毛剤(特にミノキシジル配合のもの)では、使用開始後1~2ヶ月程度の間に、一時的に抜け毛が増える「初期脱毛」という現象が起こることがあります。

これは、乱れたヘアサイクルが正常化する過程で、休止期にあった古い毛髪が新しい毛髪に押し出されるために起こると考えられています。

多くの場合この初期脱毛は一時的なもので、その後、太く健康な髪が生えてくる準備段階と捉えられます。しかし、この時期に不安になって使用を中止してしまうと、本来得られるはずだった効果を逃すことにもなりかねません。

初期脱毛が続く場合や不安な場合は、医師や薬剤師に相談しましょう。

効果の判断基準としては、抜け毛の量の変化(枕や排水溝の毛が減ったか)、髪の質感の変化(ハリやコシが出てきたか)、鏡で見たときの地肌の透け具合の変化、産毛の発生などを客観的に観察します。

可能であれば、使用開始前の頭部の写真を撮っておき、数ヶ月後に比較するのも良い方法です。

専門医(AGAクリニック)への相談タイミング

市販の育毛剤によるセルフケアを続けていても、以下のような状況が見られる場合は、専門医への相談を検討するタイミングと言えるでしょう。

市販品で改善が見られない

推奨される期間(例えば6ヶ月以上)継続して市販の育毛剤を使用しても、抜け毛が減らない、薄毛が改善しない、あるいはむしろ進行しているように感じる場合。

これは、使用している育毛剤が自分の薄毛の原因やタイプに合っていないか、あるいは薄毛の進行度が市販品で対応できる範囲を超えている可能性を示唆しています。

時間経過とともに抜け毛が増える様子を時計で表現した線画

薄毛が急速に進行している

短期間のうちに明らかに抜け毛が増えたり、地肌が目立つようになったりするなど、薄毛が急速に進行していると感じる場合。AGAは進行性の脱毛症ですが、その進行スピードには個人差があります。

急速な進行は、より積極的な医学的介入が必要なサインかもしれません。

より積極的な治療を望む

現状維持やわずかな改善ではなく、より明確な発毛効果や薄毛の改善を望む場合。市販の育毛剤(医薬部外品)は、主に頭皮環境の改善や育毛促進を目的としており、医薬品のような直接的な発毛効果は期待できません。

より積極的な治療を求めるのであれば、専門医の診断のもと、医薬品治療などを検討する必要があります。

その他、薄毛の原因が自分では判断できない場合や、頭皮に炎症やかゆみなどの異常がある場合、強い不安を感じている場合なども、専門医に相談することをおすすめします。

クリニックで受けられる治療

AGAクリニックなどの専門医療機関では、医師による正確な診断に基づき、個々の患者さんの状態や希望に合わせた様々な治療法が提供されています。

市販品では得られない、より専門的で効果的なアプローチが期待できます。

医師による正確な診断

まず、問診、視診、触診、マイクロスコープによる頭皮や毛髪の状態観察などを行い、薄毛の原因や進行度を正確に診断します。必要に応じて血液検査などを行い、他の疾患の可能性も排除します。

この診断に基づいて、最適な治療方針が立てられます。

内服薬・外用薬の処方

外用薬の塗布

AGA治療の基本となるのが、医療用医薬品の処方です。代表的なものには、DHTの産生を抑制するフィナステリドやデュタステリドの内服薬、毛母細胞を活性化し発毛を促すミノキシジルの外用薬があります。

これらの薬剤は、医師の処方箋に基づいて使用します。

クリニックによっては、ミノキシジルの内服薬(国内未承認薬ですが、医師の責任において処方される場合があります)や、個々の状態に合わせて成分を配合したオリジナルの処方薬を提供しているところもあります。

注入治療やその他の治療法

薬物療法以外にも、様々な治療法があります。例えば、発毛成長因子やミノキシジルなどを頭皮に直接注入する「メソセラピー」や「HARG療法」、低出力レーザーを頭皮に照射して毛母細胞を活性化する治療などがあります。

また、薄毛がかなり進行した場合には、後頭部や側頭部の自身の毛髪を薄くなった部分に移植する「自毛植毛」も選択肢の一つとなります。

これらの治療は、効果や費用、ダウンタイムなどが異なるため、医師とよく相談して決定します。

専門医相談を検討するサイン

状況考えられる理由推奨される次の行動
市販育毛剤を6ヶ月以上使用しても効果を感じないケアが合っていない、AGAが進行している、他の原因の可能性AGA専門クリニックや皮膚科を受診し、正確な診断を受ける
抜け毛が急に増えた、薄毛が急速に悪化したAGAの活動性が高い、ストレスや他の疾患の影響速やかに専門医を受診し、原因特定と早期治療開始を検討
自己判断でのケアに限界を感じる、より確実な効果を求める市販品では対応できない進行度、医学的根拠のある治療を希望専門医のカウンセリングを受け、治療選択肢について相談する

薄毛の悩みは一人で抱え込まず、専門家である医師に相談することで、解決への道が開けることがあります。

市販育毛剤でのケアはあくまで第一歩と考え、効果が見られない場合は、勇気を出して専門医の扉を叩いてみましょう。早期の適切な対応が、将来の髪の状態を大きく左右する可能性があります。

育毛剤で生えなかったら発毛剤へ移行

市販の育毛剤を3〜6ヶ月使用しても期待した効果が得られない場合は、より効果的な治療法へのステップアップを検討する時期かもしれません。次の段階として、ミノキシジルを配合した発毛剤による治療があります。

育毛ローションからミノキシジル製品へ切り替える場面

市販のものから医療用まで、様々な選択肢と使い方のポイントがあり、適切に使用することで多くの方が改善を実感されています。

詳しくは「発毛剤(ミノキシジル外用薬)による男性の薄毛治療」の記事で、効果的な使用方法や注意点について解説していますので、ぜひご覧ください。

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