頭部白癬（はくせん）性脱毛症の症状とセルフチェックの仕方

頭皮のフケやかゆみ、そして気になる抜け毛。「もしかして頭部白癬（通称：しらくも）かも？」と不安に感じていませんか。

頭部白癬は、白癬菌という真菌（カビ）の一種が頭皮に感染して起こる皮膚の病気です。放置すると脱毛範囲が広がったり、症状が悪化したりすることがあります。

この記事では、頭部白癬の特徴的な症状や、ご自身でできるセルフチェックの方法、そして医療機関を受診するタイミングについて、男性の薄毛治療に携わるクリニックの視点から詳しく解説します。

円形に髪が抜ける – 頭部白癬の特徴的な脱毛パターン

頭部白癬における脱毛は、その特徴的なパターンから他の脱毛症と区別する上で重要な手がかりとなります。

多くの場合、髪が円形または楕円形に抜け落ち、その境界が比較的はっきりしていることが観察されます。この脱毛斑は一つだけの場合もあれば、複数箇所に現れることもあります。

脱毛斑の見た目の特徴

脱毛した部分は、ただ髪がなくなるだけでなく、いくつかの特徴的なサインを示します。初期には、脱毛斑の表面に細かいフケのようなもの（鱗屑：りんせつ）が見られることが多いです。

この鱗屑は、白癬菌の活動によって頭皮の角質が剥がれ落ちることで生じます。

脱毛斑に見られる鱗屑と毛髪の変化

頭部白癬の脱毛斑では、残っている毛髪にも変化が見られることがあります。特に注目すべきは「黒点」と呼ばれる所見です。

これは、感染によって毛が弱くなり、毛穴のすぐ上で折れてしまった毛幹の断端が黒い点のように見える状態を指します。この黒点は、頭部白癬に比較的特有なサインの一つと言えます。

また、毛髪全体がもろくなり、切れやすくなる「毛髪脆弱化」も伴うことがあります。

脱毛斑の大きさや数の変化

脱毛斑は、初めは小さくても徐々に大きくなったり、数が増えたりすることがあります。放置すると、複数の脱毛斑が融合して広範囲な脱毛に至るケースも見られます。

そのため、小さな脱毛斑であっても早期に気づき、対応することが大切です。

脱毛パターンと他の脱毛症

円形に脱毛する症状は円形脱毛症でも見られますが、頭部白癬ではフケや落屑を伴うことが多い点が異なります。以下の表で、主な脱毛パターンの違いを比較してみましょう。

脱毛パターンの比較

特徴	頭部白癬の脱毛	円形脱毛症の脱毛
形状	円形～楕円形、境界明瞭	円形～楕円形、境界明瞭
表面の状態	フケ、落屑、時に発赤	通常、フケや落屑は少ない
毛髪の状態	黒点、毛髪脆弱化	感嘆符毛（！毛）

頭皮の異常を見逃すな – かゆみ・赤み・フケの3大症状

頭部白癬の初期症状として、脱毛以外にも頭皮に様々な変化が現れます。特に「かゆみ」「発赤（赤み）」「フケ」は、多くの患者さんが自覚しやすい代表的な症状です。

これらのサインに早めに気づくことが、早期発見・早期治療につながります。

しつこいかゆみとその原因

頭部白癬によるかゆみは、軽度なものから我慢できないほど強いものまで様々です。

このかゆみは、白癬菌が頭皮で増殖する際に産生する物質や、それに対する体の免疫反応によって引き起こされると考えられています。

特に、頭皮が乾燥していると、かゆみを感じやすくなる傾向があります。

かゆみの程度と持続性

一時的なかゆみであれば様子を見ることもありますが、頭部白癬のかゆみは持続的であったり、徐々に強くなったりすることが特徴です。

洗髪してもすぐにまたかゆくなる、夜間に特にかゆみが強くなるなどの場合は注意が必要です。

頭皮の発赤と炎症のサイン

頭皮の「発赤」は、炎症が起きているサインです。白癬菌の感染によって頭皮の毛包（毛根を包む組織）やその周辺に炎症が起こると、その部分が赤みを帯びて見えます。

発赤は、脱毛斑の周囲や、脱毛がまだ目立たない初期の段階でも現れることがあります。

炎症の範囲と見た目

炎症の範囲は、小さな点状のものから、脱毛斑全体に広がるものまで様々です。時には、わずかに盛り上がって見えることもあります。この発赤や炎症は、かゆみを伴うことが一般的です。

フケと落屑の違いと見分け方

「フケ」は頭部白癬でよく見られる症状の一つです。通常のフケと異なるのは、その量や質、そして他の症状との関連です。

頭部白癬の場合、乾燥した細かいフケ（鱗屑）だけでなく、やや厚みのある「落屑」として頭皮から剥がれ落ちることがあります。

この落屑は、白癬菌が角質層に感染し、皮膚のターンオーバーが異常になることで生じます。

フケ・落屑の特徴

項目	一般的なフケ	頭部白癬のフケ・落屑
量	少量～中程度	多量に出ることがある
質	乾燥した細かいもの、または脂っぽいもの	乾燥した細かい鱗屑、やや厚みのある落屑
伴う症状	軽度のかゆみ	強いかゆみ、発赤、脱毛

特に、円形の脱毛部分に一致して多量のフケや落屑が見られる場合は、頭部白癬の可能性を考える必要があります。

進行度で変わる症状 – 初期から重症化までの変化

頭部白癬の症状は、感染の初期段階から進行し、重症化するにつれて変化していきます。

早期に適切な治療を開始すれば、多くの場合、きれいに治癒しますが、放置すると症状が悪化し、治療が難しくなったり、永続的な脱毛（瘢痕性脱毛）につながるリスクも高まります。

初期症状 見逃しやすいサイン

頭部白癬の初期症状は、比較的軽微で気づきにくいことがあります。

• 少量のフケ
• 軽いかゆみ
• 部分的な頭皮のわずかな発赤
• 数本の切れ毛や細い毛

これらの症状は、日常的な頭皮トラブルと区別がつきにくいこともありますが、持続する場合や徐々に悪化する場合は注意が必要です。

特に、お子さんやペットと接触が多い方は、初期のサインを見逃さないようにしましょう。

中等症の症状 明確になる脱毛と炎症

症状が進行して中等症になると、よりはっきりとした変化が現れます。

脱毛斑の拡大と毛髪の変化

初期には小さかった脱毛斑が徐々に拡大し、境界がより明瞭になります。脱毛部分には「黒点」と呼ばれる、毛穴のすぐ上で折れた毛髪の断端が目立つようになります。

また、残っている毛髪も「毛髪脆弱化」が進み、触ると簡単に折れたり抜けたりすることがあります。

炎症の悪化と膿疱の出現

頭皮の「発赤」や「炎症」はより顕著になり、かゆみも強くなります。この段階になると、毛穴に一致して小さな「膿疱（のうほう）」、つまり膿を持った水ぶくれのようなものが現れることがあります。

膿疱は、白癬菌に対する強い炎症反応や、二次的な細菌感染によって生じると考えられています。

症状の進行度と主な所見

進行度	主な脱毛所見	主な炎症所見
初期	軽微な切れ毛、細い毛	軽度のかゆみ、わずかな発赤、少量のフケ
中等症	明瞭な円形脱毛、黒点、毛髪脆弱化	強いかゆみ、明らかな発赤、落屑、時に膿疱
重症	広範囲な脱毛、ケルスス禿瘡	強い炎症、多数の膿疱、痂皮、リンパ節腫脹、発熱

重症化した場合の症状 ケルスス禿瘡とは

頭部白癬がさらに進行し、重症化すると「ケルスス禿瘡（とくそう）」と呼ばれる状態になることがあります。

これは、白癬菌に対する体の免疫反応が過剰に起こり、頭皮に強い炎症と多数の膿疱、そして「痂皮（かひ）」と呼ばれるかさぶたが形成された状態です。

ケルスス禿瘡の見た目と症状

ケルスス禿瘡の部分は、ブヨブヨと盛り上がり、触ると痛みを感じることがあります。毛髪は広範囲に抜け落ち、毛穴からは膿が排出されることもあります。

この状態になると、頭皮だけでなく、首の「リンパ節腫脹」や「発熱」といった全身症状を伴うこともあります。

瘢痕性脱毛のリスク

ケルスス禿瘡のような重度の炎症が長期間続くと、毛包組織が破壊され、治癒後も毛が生えてこない「瘢痕性脱毛」という状態になる可能性があります。

これは永続的な脱毛であり、治療が非常に難しくなります。そのため、症状が重症化する前に、できるだけ早く専門医の診断と治療を受けることが重要です。

他の脱毛症との違い – 見分けるためのサインは？

頭皮の脱毛やかゆみは、頭部白癬だけでなく、他の様々な脱毛症や皮膚疾患でも見られる症状です。

しかし、それぞれに特徴的なサインがあり、それらを注意深く観察することで、ある程度は見分けることが可能です。正確な診断は専門医が行いますが、セルフチェックの参考にしてください。

円形脱毛症との比較

頭部白癬と最も混同されやすいのが円形脱毛症です。どちらも円形に脱毛することが特徴ですが、いくつかの違いがあります。

円形脱毛症で見られる特徴的なサイン

• 脱毛斑の表面は比較的滑らかで、フケや落屑は少ないことが多い。
• 脱毛斑の辺縁に「感嘆符毛（！毛）」と呼ばれる、毛根側が細く、毛先側が太くなっている毛が見られることがある。
• かゆみは伴うことも伴わないこともある。

一方、頭部白癬では、脱毛斑にフケや「落屑」が多く見られ、「黒点」や「毛髪脆弱化」が特徴的です。

頭部白癬と円形脱毛症の鑑別ポイント

所見	頭部白癬	円形脱毛症
フケ・落屑	多い傾向	少ない傾向
黒点	見られることがある	通常見られない
感嘆符毛	通常見られない	見られることがある

脂漏性皮膚炎との比較

脂漏性皮膚炎も、フケやかゆみ、頭皮の赤みを伴うため、頭部白癬と間違われることがあります。

脂漏性皮膚炎に特徴的なフケと炎症

脂漏性皮膚炎のフケは、乾燥した細かいものから、黄色っぽく湿ったものまで様々です。頭皮の皮脂分泌が多い部分（生え際、頭頂部など）に好発し、炎症による赤みや「かゆみ」を伴います。

脱毛は通常、主な症状ではありませんが、炎症が長期間続くと抜け毛が増えることもあります。頭部白癬のような境界明瞭な「円形脱毛」や「黒点」は見られないことが一般的です。

尋常性乾癬との比較

尋常性乾癬（じんじょうせいかんせん）が頭皮に発症した場合も、フケや赤みが見られます。

乾癬に見られる厚い鱗屑と境界明瞭な紅斑

頭皮の乾癬では、銀白色の厚い鱗屑（フケ）が付着した、境界明瞭な赤い発疹（紅斑）が特徴です。かゆみを伴うこともあります。

脱毛は通常起こりませんが、鱗屑を無理に剥がすと出血したり、炎症が強くなったりすることがあります。頭部白癬のような「毛髪脆弱化」や「黒点」は典型的ではありません。

鏡でできるセルフチェック – 確認すべき5つのポイント

頭部白癬の早期発見には、ご自身で頭皮の状態を定期的にチェックすることが大切です。鏡を使って、以下の5つのポイントを確認してみましょう。

特に、洗髪後や髪を乾かす際にチェックする習慣をつけると良いでしょう。

ポイント1 脱毛部分の有無と形状

まず、頭皮全体を見渡し、髪が薄くなっている部分や、明らかに抜けている部分がないか確認します。

脱毛斑の確認

• 円形や楕円形など、特定の形をした脱毛部分はないか。
• 脱毛部分の境界ははっきりしているか、ぼやけているか。
• 脱毛部分は1箇所か、複数箇所にあるか。

特に、つむじ周りや分け目だけでなく、側頭部や後頭部も鏡を使って丁寧に観察しましょう。

ポイント2 頭皮の色と状態

次に、頭皮の色や表面の状態をチェックします。健康な頭皮は青白い色をしていますが、炎症があると赤みを帯びることがあります。

頭皮の赤み（発赤）と炎症の兆候

脱毛部分やその周辺、あるいは頭皮全体に「発赤」がないか確認します。軽いピンク色から、はっきりとした赤色まで、程度は様々です。

赤みのある部分が盛り上がっていたり、熱感を持っていたりする場合も注意が必要です。

ポイント3 フケやかさぶたの有無

フケの量や質も重要なチェックポイントです。

フケ・落屑・痂皮の観察

乾燥した細かいフケ、あるいは厚みのある「落屑」が頭皮に付着していないか、髪をかき分けて確認します。特に、脱毛部分に集中してフケや落屑が見られる場合は要注意です。

また、じゅくじゅくした部分や、それが乾燥してできた「痂皮」（かさぶた）がないかも確認しましょう。

フケの状態チェックリスト

チェック項目	頭部白癬の可能性
円形の脱毛部分にフケが集中している	高い
フケが厚く、剥がれにくい（落屑）	あり
フケと共に強いかゆみや赤みがある	あり

ポイント4 毛髪の状態

残っている毛髪の状態も、頭部白癬を見つける手がかりになります。

切れ毛・黒点の確認

毛が途中で切れて短くなっている部分（切れ毛）がないか、特に脱毛部分の毛髪をよく観察します。毛穴のすぐ上で毛が折れて、黒い点のように見える「黒点」は、頭部白癬に特徴的な所見の一つです。

毛髪が全体的に弱々しく、簡単に折れたり抜けたりする「毛髪脆弱化」の兆候がないかも確認しましょう。

ポイント5 かゆみの有無と程度

頭皮にかゆみがあるか、ある場合はどの程度の強さかを確認します。

かゆみの特徴

一時的な軽いかゆみではなく、持続する「かゆみ」や、我慢できないほどの強いかゆみがある場合は注意が必要です。

特に、特定の場所が繰り返し痒くなる場合は、その部分を重点的に観察してください。

家族に協力してもらう – 見えない部分の確認方法

頭頂部や後頭部など、自分では直接見ることが難しい部分のチェックは、ご家族やパートナーに協力してもらうのが効果的です。スマートフォンのカメラ機能などを活用するのも良いでしょう。

見えにくい場所のチェックポイント

協力者には、以下のポイントを中心に頭皮全体を観察してもらいます。

頭頂部・後頭部の観察依頼

• つむじ周りの脱毛や薄毛の進行具合
• 後頭部の髪の生え際部分の赤みやフケ
• 自分では気づきにくい小さな脱毛斑や黒点

明るい場所で、髪をかき分けながら細かく見てもらうことが大切です。

協力者への伝え方

何を見てほしいのかを具体的に伝えることで、より正確なチェックが可能になります。

具体的な観察ポイントの指示

「円形に髪が抜けていないか」「赤いところはないか」「フケがたくさん出ていないか」「黒い点々がないか」など、具体的な言葉で依頼しましょう。

もし可能であれば、頭部白癬の症状写真などを参考に見てもらうのも有効です。

確認時の注意点

確認ポイント	協力者への依頼例
脱毛の形状	「丸くハゲているところはない？」
頭皮の色	「地肌が赤くなっているところはない？」
フケ・落屑	「白い粉みたいなものや、カサカサした皮がめくれているところはない？」
黒点	「毛穴に黒い点々が見えるところはない？」

写真で記録する – 症状の変化を把握するコツ

頭皮の状態を定期的に写真で記録しておくことは、症状のわずかな変化を客観的に把握し、医師に相談する際の貴重な資料となります。

撮影のポイントと頻度

同じ条件で撮影することで、比較がしやすくなります。

撮影条件の統一

毎回同じ場所、同じ照明の下で、同じ角度から撮影するように心がけましょう。スマートフォンのカメラで十分ですが、ピントがしっかり合うように注意してください。

髪をかき分けて、頭皮がはっきり見えるように撮影します。

撮影頻度の目安

症状が気になる場合は、1週間に1回程度の頻度で撮影するのがおすすめです。特に変化がないように見えても、記録を続けることで微妙な進行に気づけることがあります。

記録する内容

写真だけでなく、その時の自覚症状も一緒に記録しておくと役立ちます。

日付と自覚症状のメモ

撮影した日付と共に、「かゆみが強かった」「フケが多かった」「新しい脱毛部分を見つけた」など、気づいたことを簡単にメモしておきましょう。

これにより、症状の変動パターンが見えてくることがあります。

記録項目の例

記録日	主な所見（写真と共に）	自覚症状
例：5月1日	頭頂部に500円玉大の脱毛、フケあり	時々かゆみを感じる
例：5月8日	脱毛範囲やや拡大、赤みも出現	かゆみが強くなった、フケが増えた

受診のタイミング – こんな症状が出たらすぐ病院へ

セルフチェックで頭部白癬が疑われる症状が見つかった場合や、症状が改善しない、あるいは悪化している場合は、自己判断せずに皮膚科専門医を受診することが重要です。

特に、以下のような症状が見られる場合は、早めに医療機関を受診しましょう。

急速な脱毛の進行

短期間のうちに脱毛範囲が明らかに広がったり、新しい脱毛斑が次々と現れたりする場合は、活動性の高い頭部白癬の可能性があります。

強いかゆみや痛み

我慢できないほどの強い「かゆみ」や、頭皮に触れると痛みを感じる場合は、炎症が強いか、重症型のケルスス禿瘡に進行している可能性があります。

膿疱や痂皮の出現

頭皮に「膿疱」（膿を持った水ぶくれ）や「痂皮」（かさぶた）が見られる場合は、炎症が進行しており、場合によっては二次的な細菌感染も考えられます。

これは「ケルスス禿瘡」の兆候であることもあります。

リンパ節の腫れや発熱

首の周りの「リンパ節腫脹」や原因不明の「発熱」を伴う場合は、感染が重症化しているサインかもしれません。このような全身症状が現れた場合は、速やかに医療機関を受診してください。

放置すると「瘢痕性脱毛」につながるリスクも高まります。

受診を急ぐべき症状のまとめ

症状	考えられる状態
急速な脱毛、複数の脱毛斑	活動性の高い頭部白癬
強いかゆみ、痛み	重度の炎症、ケルスス禿瘡の可能性
膿疱、痂皮	炎症の悪化、ケルスス禿瘡、細菌感染
リンパ節腫脹、発熱	重症感染、全身への影響

これらの症状は、頭部白癬が進行している、あるいは重症化している可能性を示唆します。早期に適切な治療を開始することで、症状の悪化を防ぎ、良好な回復が期待できます。

よくある質問

頭部白癬は自然に治りますか

頭部白癬が自然に治癒することは稀です。白癬菌は生命力が強く、適切な抗真菌治療を行わないと、症状が慢性化したり、悪化したりする可能性が高いです。

特に「ケルスス禿瘡」のような重症型に進行すると、「瘢痕性脱毛」という永続的な脱毛を引き起こすリスクもあります。

疑わしい症状があれば、早めに皮膚科を受診し、医師の指示に従って治療を受けることが大切です。

市販のフケ止めシャンプーは効果がありますか

市販のフケ止めシャンプーの中には、抗真菌成分（ミコナゾール硝酸塩など）を含むものがあり、軽度の脂漏性皮膚炎などによるフケには効果が期待できる場合があります。

しかし、頭部白癬の原因である白癬菌に対しては、これらのシャンプーだけでは十分な治療効果が得られないことが多いです。

頭部白癬の治療には、医療機関で処方される内服の抗真菌薬や、より強力な外用の抗真菌薬が必要です。「フケ」や「かゆみ」が続く場合は、自己判断せずに皮膚科医に相談しましょう。

頭部白癬の脱毛は元に戻りますか

早期に適切な治療を開始すれば、頭部白癬による「脱毛」は多くの場合、毛髪が再生し元に戻ります。

しかし、炎症が非常に強かった場合や、「ケルスス禿瘡」のように毛包組織が破壊されてしまった場合には、残念ながら「瘢痕性脱毛」となり、毛髪が再生しないことがあります。

そのため、症状に気づいたらできるだけ早く皮膚科を受診し、治療を開始することが、毛髪を回復させる上で非常に重要です。

家族にうつりますか

はい、頭部白癬は接触によって家族にうつる可能性があります。白癬菌は、感染した人の頭皮や毛髪、フケなどに存在し、タオル、櫛、帽子、寝具などを介して感染を広げることがあります。

ご家族に頭部白癬と診断された方がいる場合は、これらの共用を避け、こまめな清掃や洗濯を心がけることが大切です。

また、ご自身や他のご家族にも同様の症状（「かゆみ」「フケ」「脱毛」など）が見られないか注意し、もし疑わしい場合は一緒に皮膚科を受診することをお勧めします。

頭部白癬（しらくも）性脱毛症の関連記事