AGA治療薬の通販とジェネリック医薬品の選び方

AGA治療を考えたとき、費用の安さから「通販（個人輸入）」や「ジェネリック医薬品」という言葉が気になる方も多いでしょう。

しかし、その手軽さの裏には大きなリスクが潜んでいます。安全な治療のためには薬を正しく選び、正しく使うことが何よりも重要です。

この記事ではAGA治療薬の個人輸入に潜む危険性からジェネリック医薬品の正しい知識、そして安全な入手方法である「オンライン診療」まで専門家の視点から詳しく解説します。

賢い選択であなたの髪と健康を守りましょう。

AGA治療薬の通販（個人輸入）が危険な理由

インターネットで海外製のAGA治療薬を安価に販売しているサイトを見かけますが、これらは「個人輸入代行」と呼ばれるものです。

医師の処方なく医薬品を入手する行為は深刻な健康被害につながる可能性があります。

偽造薬・不純物が混入した薬のリスク

個人輸入で入手した薬の最大の危険性は偽造薬である可能性です。有効成分が全く入っていなかったり、表示と異なる成分や不純物が混入していたりするケースが報告されています。

効果がないばかりか予期せぬ副作用やアレルギー反応を引き起こす恐れがあり、命に関わることもあります。

正しい用法・用量がわからない

AGA治療薬はその人の症状の進行度や体質によって適切な種類や用量が異なります。

医師の診断なしに自己判断で服用すると効果が十分に得られないだけでなく、副作用のリスクを高めてしまいます。薬は多ければ効くというものではありません。

個人輸入に潜む主なリスク

リスクの種類	具体的な危険性	考えられる結果
品質の問題	偽造薬、不純物の混入	効果がない、健康被害
使用法の問題	用法・用量の自己判断	効果不十分、副作用の増大
副作用発生時の問題	相談相手がいない、対処不能	症状の悪化、後遺症

副作用が出たときに対応できない

医薬品には必ず副作用のリスクが伴います。医療機関で処方された薬であれば、万が一副作用が出た場合でもすぐに医師に相談し、薬の減量や変更といった適切な対処が可能です。

しかし、個人輸入の場合は相談する専門家がおらず全て自己責任となり、対応が遅れて重篤な事態に陥る可能性があります。

国の副作用被害救済制度の対象外

日本国内で医師の処方に基づき正規に流通した医薬品を使用し、重篤な副作用が出た場合、「医薬品副作用被害救済制度」という公的な補償を受けられます。

しかし個人輸入した薬による健康被害はこの制度の対象外です。治療費や障害年金などの給付は一切受けられません。

ジェネリック医薬品とは？先発薬との違い

ジェネリック医薬品（後発医薬品）は、AGA治療の費用を抑える上で有効な選択肢です。正しく理解し、賢く活用しましょう。

同じ有効成分・同じ効果

ジェネリック医薬品は新薬（先発医薬品）の特許期間が満了した後に、同じ有効成分を使って製造される医薬品です。

有効成分が同一であるため、効能・効果、用法・用量も先発医薬品と基本的に同じです。

厚生労働省の厳しい審査を経て承認されており、品質、有効性、安全性は先発医薬品と同等であることが保証されています。

なぜ価格が安いのか

先発医薬品は開発に長い年月と莫大な費用がかかるため、薬の価格も高くなります。

一方、ジェネリック医薬品は既に有効性や安全性が確立された成分を使用するため、開発コストを大幅に抑えることができます。

このことにより、薬の価格を安く設定できるのです。

先発医薬品とジェネリック医薬品の比較

項目	先発医薬品（新薬）	ジェネリック医薬品（後発医薬品）
有効成分	同じ	同じ
効果・効能	同じ	同じ
開発費用	高額	低額
薬の価格	高い	安い

国が認めた品質・安全性・有効性

「安いから品質が悪いのでは」と心配する方もいますが、それは誤解です。

日本のジェネリック医薬品は製造管理や品質管理において厳しい基準が設けられており、生物学的同等性試験など様々な試験をクリアしなければ承認されません。

安心して使用できる医薬品です。

クリニックで処方されるAGA治療薬とジェネリック

AGA治療専門クリニックでは患者さんの症状や希望に応じて、先発医薬品とジェネリック医薬品の両方から処方を選択できます。

抜け毛を止める薬（フィナステリド・デュタステリド）

AGAの進行を抑制する基本薬です。フィナステリド（先発品名：プロペシア）と、より強力なデュタステリド（先発品名：ザガーロ）があります。

これらの薬には国内の様々な製薬会社からジェネリック医薬品が発売されています。

発毛を促す薬（ミノキシジル）

頭皮の血流を改善し、発毛を促進する薬です。頭皮に塗る外用薬と、より効果の高い内服薬があります。

ミノキシジルに関しても、クリニックではジェネリックの処方が可能です。

主なAGA治療薬とジェネリックの有無

有効成分	先発医薬品名	ジェネリックの有無
フィナステリド	プロペシア	あり
デュタステリド	ザガーロ	あり
ミノキシジル	（リアップなど※）	あり

※ミノキシジル外用薬の市販薬名。医療機関ではジェネリックが処方されます。

どのジェネリックを選ぶかは医師と相談

ジェネリック医薬品は多くの製薬会社から販売されており、価格も様々です。どのメーカーのジェネリックを扱うかはクリニックによって異なります。

信頼できる国内メーカーのものを処方しているかどうかも、クリニック選びの一つの基準になります。

安全なジェネリック医薬品の選び方

ジェネリック医薬品の恩恵を安全に受けるためには、守るべき原則があります。それは「医師の診断のもとで、正規の医療機関から処方してもらう」ということです。

医師の処方のもとで使用することが大前提

ジェネリック医薬品が安全で効果的であるのは、あくまで医師があなたの症状を正しく診断し、適切な薬を適切な量だけ処方するという前提があってこそです。

自己判断で個人輸入したジェネリック薬を使用することは前述の通り非常に危険な行為です。

国内で承認された製薬会社のものを選ぶ

クリニックで処方を受ける際には、どの製薬会社のジェネリック医薬品なのかを確認するのも良いでしょう。

国内で承認され、多くの医療機関で採用実績のある信頼できるメーカーの製品を処方してくれるクリニックを選びましょう。

• 医師による正確な診断
• 国内承認の医薬品
• 適切な用法・用量の指導
• 副作用発生時のサポート

安さだけで選ばない

個人輸入サイトでは海外製の未承認ジェネリックが驚くほど安い価格で販売されていますが、品質や安全性の保証は全くありません。

目先の安さに惑わされず、自分の体を守ることを最優先に考えてください。安全は何物にも代えがたい価値があります。

「安さ」の裏にあるもの – あなたが本当に支払うコスト

通販サイトの薬の価格とクリニックで支払う治療費。一見すると通販の方が圧倒的に安く見えるかもしれません。

しかし、あなたが本当に支払っている「コスト」について、もう一度深く考えてみませんか。

薬の値段 vs 治療全体の価値

通販で買うのは、単なる「薬というモノ」です。

一方、クリニックで支払う費用には薬そのものの価格に加えて、あなたの薄毛の原因を特定する「医師の診断」、安全性を確保するための「検査」、副作用が出たときの「サポート」、そして治療経過を共に追っていく「責任」といった目に見えない多くの価値が含まれています。

あなたが支払う費用の内訳

支払うもの	個人輸入（通販）	クリニック（オンライン診療含む）
薬の価格	○	○
医師の診断・診察	×	○
安全性・品質保証	×	○
副作用時の対応	×	○

時間という最も大切なコスト

もし、あなたが個人輸入した薬が偽物で効果のないまま半年、一年と過ごしてしまったらどうでしょうか。

その間にあなたのAGAは確実に進行してしまいます。失われた髪を取り戻すのは、進行を食い止めるよりも、はるかに多くの時間と費用が必要です。

間違った選択によって失われた「時間」は、お金では決して取り戻せない、最も大きなコストなのです。

精神的な安心感というプライスレスな価値

「この薬は本物だろうか」「副作用が出たらどうしよう」。そんな不安を抱えながら薬を飲み続けることは、大きな精神的ストレスになります。

医師の管理下で正規品を安心して服用できる。この「精神的な安心感」こそ、クリニックでの治療が提供する、お金には換えられない価値の一つです。

オンライン診療という安全な選択肢

「クリニックに行く時間がない」「対面での診察に抵抗がある」。

そんな方には自宅にいながら医師の診察を受け、安全に薬を処方してもらえる「オンライン診療」という選択肢があります。

自宅で医師の診察が受けられる

スマートフォンやパソコンのビデオ通話機能を使い、自宅や好きな場所から医師の診察を受けることができます。

移動時間や待ち時間がなく、忙しい方でも治療を始めやすいのが特徴です。もちろん、診察するのは当院の経験豊富な医師です。

処方薬は自宅に配送される

診察後、処方された薬はご自宅のポストなどに配送されます。

プライバシーに配慮した梱包で、誰にも知られずに治療を始めることが可能です。薬局に行く手間も省けます。

個人輸入とオンライン診療の決定的違い

項目	個人輸入（通販）	オンライン診療
医師の診察	なし	あり
薬の品質・安全性	保証なし（危険）	保証あり（安全）
法的根拠	グレーゾーン（自己責任）	正規の医療行為

個人輸入との決定的な違い

オンライン診療は場所が離れているだけで対面診療と同じ正規の医療行為です。医師法に基づき、医師が責任を持ってあなたを診断し、国内で承認された安全な医薬品を処方します。

これは医師の介在しない危険な個人輸入とは全く異なる、安全で合法的な方法です。

よくある質問

最後にAGA治療薬の通販やジェネリックに関して、患者さんからよくいただく質問とその回答をまとめました。

ジェネリック医薬品の効果は本当に同じですか？

はい、同じです。

厚生労働省が定める厳格な試験により、有効成分、効果、安全性が先発医薬品と同等であることが科学的に証明されています。安心してご使用いただけます。

海外のジェネリックはなぜあんなに安いのですか？

国によって医薬品の開発基準や安全基準、物価が異なるため、価格が安くなることがあります。

しかし、それらの多くは日本の安全基準を満たしていない未承認薬です。品質や安全性が保証されておらず、偽造薬のリスクも高いため、安易に手を出すべきではありません。

一度ジェネリックにしたら先発薬に戻せますか？

はい、もちろん可能です。

ジェネリック医薬品が体に合わないと感じた場合や、ご希望がある場合にはいつでも先発医薬品に戻すことができます。

医師と相談の上、最適な薬を選択しましょう。

オンライン診療でもジェネリック医薬品を処方してもらえますか？

はい、可能です。当クリニックのオンライン診療では、対面診療と同様に、患者様のご希望に応じてジェネリック医薬品を処方しています。診察時に医師にお申し付けください。

以上

参考文献

NOMURA, Kaori, et al. Medicine reclassification processes and regulations for proper use of over-the-counter self-care medicines in Japan. Risk Management and Healthcare Policy, 2016, 173-183.

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LULIC, Zrinka, et al. Understanding patient and physician perceptions of male androgenetic alopecia treatments in Asia–Pacific and Latin America. The Journal of Dermatology, 2017, 44.8: 892-902.