治療費用の目安と医療費控除 – AGA治療の経済的な考え方

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AGA治療を始めたいけれど、一体いくらかかるのか、費用への不安が大きな壁になっていませんか。

薄毛治療は継続が重要だからこそ、経済的な見通しを立てることは、安心して治療に踏み出すための第一歩です。

この記事ではAGA治療がなぜ自由診療なのかという基本から治療法別の費用相場、コストを抑える賢い方法、そして医療費控除の適用まで、お金に関する疑問を徹底的に解説します。

正しい知識を身につけ、あなたにとって価値ある治療選択をしましょう。

目次

この記事の執筆者

AGAメディカルケアクリニック統括院長 前田 祐助
Dr.前田 祐助

AGAメディカルケアクリニック 統括院長

前田 祐助

【経歴】

慶應義塾大学医学部医学研究科卒業

慶應義塾大学病院 初期臨床研修課程終了

大手AGAクリニック(院長)を経て、2018年に薄毛・AGA治療の「AGAメディカルケアクリニック」新宿院を開設

2020年に横浜院、2023年に東京八重洲院を開設

院長プロフィール

資格・所属学会・症例数

【資格】

  • 医師免許
  • ⽇本医師会認定産業医
  • 医学博士

【所属学会】

  • 日本内科学会
  • 日本美容皮膚科学会
  • 日本臨床毛髪学会

【症例数】

3万人以上※

※2018年5月~2022年12月AGAメディカルケアクリニック全店舗の延べ患者数

なぜAGA治療は自由診療なのか

AGA治療を検討する際に、まず理解しておくべきなのが、公的医療保険が適用されない「自由診療」であるという点です。

なぜ治療であるにもかかわらず、保険が使えないのでしょうか。

公的医療保険の基本的な考え方

日本の公的医療保険制度は、病気やケガの治療にかかる経済的負担を軽減することを目的としています。

保険が適用されるのは生命の維持や身体機能の回復に直接関わる、治療の必要性が高いと判断される医療行為です。風邪や骨折の治療などがこれにあたります。

AGA治療が美容医療に分類される理由

AGA(男性型脱毛症)は、生命に直接的な危険を及ぼす病気とは見なされていません。

薄毛の状態であっても健康上の問題はないと判断されるため、その治療は「QOL(生活の質)の向上」や「外見上のコンプレックス改善」を目的とした美容医療の範疇に含まれます。

このため、保険適用外の自由診療となるのです。

脱毛症による保険適用の違い

脱毛症の種類保険適用の可否理由
AGA(男性型脱毛症)適用外生命に直接影響しないため(美容目的)
円形脱毛症適用自己免疫疾患など、病気としての治療が必要なため
その他皮膚疾患に伴う脱毛適用原因となる病気の治療が必要なため

他の脱毛症との保険適用の違い

一方で、同じ脱毛症でも「円形脱毛症」や他の皮膚疾患が原因で起こる脱毛の治療には保険が適用されます。

これらは身体の異常が原因で起こる「病気」として扱われるためです。

ご自身の薄毛がどのタイプの脱毛症なのかを正確に診断してもらうことが、費用の問題を考える上でも重要になります。

AGA治療の費用内訳と相場

自由診療であるAGA治療の費用はクリニックによって様々です。一般的にどのような費用がかかるのか、その内訳と相場を把握しておきましょう。

初診料・再診料・検査費用

治療を始めるにあたり、まずは医師による診察が必要です。

初診料や、治療経過を見るための再診料がかかります。また、治療の適応を判断したり、薬の副作用をチェックしたりするために血液検査などを行うこともあります。

これらの費用を無料としているクリニックもあれば、数千円程度かかる場合もあります。

診察・検査費用の目安

項目費用相場備考
初診料・カウンセリング料無料~5,000円クリニックにより異なる
再診料無料~3,000円薬代に含まれる場合もある
血液検査費用5,000円~10,000円治療開始前や定期的に実施

治療薬(内服薬・外用薬)の費用

AGA治療の中心となるのが、治療薬の費用です。抜け毛を抑えるフィナステリドやデュタステリド、発毛を促すミノキシジルなど、処方される薬の種類や量によって費用は変動します。

以上が毎月かかる基本的な費用となります。

注入治療やその他の治療費用

内服薬や外用薬による治療に加えて、より積極的な発毛を希望する場合には、頭皮に直接有効成分を注入する「注入治療(メソセラピー)」などの選択肢もあります。

これらの治療は、薬物治療に比べて費用が高額になる傾向があります。

治療プラン別の年間費用シミュレーション

AGA治療は長期的に継続することが前提です。月々の費用だけでなく、年間でどのくらいの費用がかかるのかをシミュレーションしてみましょう。

抜け毛予防を目的としたプラン

「これ以上薄毛を進行させたくない」「将来のために予防したい」という方向けのプランです。

主にフィナステリドなどの抜け毛抑制薬を単体で服用します。費用を抑えながら、現状維持を目指します。

積極的な発毛を目指す標準プラン

抜け毛を抑えつつ、発毛も促したいという最も一般的なプランです。

フィナステリドなどの内服薬に加えて、ミノキシジルの内服薬や外用薬を組み合わせます。多くの方がこのプランで治療効果を実感しています。

年間治療費用のシミュレーション

治療プラン月額費用の目安年間費用の目安
予防プラン6,000円~10,000円72,000円~120,000円
標準プラン15,000円~25,000円180,000円~300,000円
高度治療プラン30,000円~360,000円~

より高度な治療を組み合わせたプラン

標準プランでも効果が不十分な場合や、より早く効果を実感したい場合に、注入治療などを組み合わせるプランです。

費用は高くなりますが、高い発毛効果が期待できます。

治療費を抑えるための賢い選択

継続が必要な治療だからこそ少しでも経済的な負担は軽くしたいものです。治療費を抑えるためのいくつかの方法を知っておきましょう。

ジェネリック医薬品(後発医薬品)の活用

先発医薬品(新薬)の特許が切れた後に、他のメーカーが同じ有効成分で製造・販売するのがジェネリック医薬品です。

開発コストが抑えられているため、先発医薬品と同等の効果をより安い価格で得ることができます。

フィナステリドなど、多くのAGA治療薬にジェネリックが存在します。

先発薬とジェネリックの価格比較例

薬剤の種類月額費用の目安
先発医薬品8,000円~10,000円
ジェネリック医薬品5,000円~7,000円

クリニックの割引プランやモニター制度

クリニックによっては数ヶ月分の薬をまとめて購入することで割引が適用されるプランや、症例写真の提供などを条件に通常より安く治療を受けられるモニター制度を設けている場合があります。

カウンセリング時に確認してみましょう。

長期契約のメリットと注意点

年間契約など長期で契約することで、月々の費用が割安になるプランもあります。

治療を続ける意思が固まっている場合にはメリットが大きいですが、途中で解約する場合の条件(返金の有無など)を事前にしっかりと確認することが重要です。

治療費を「投資」と考える – あなたの未来への自己投資

AGA治療の費用を単なる「出費」と捉えると、どうしても負担に感じてしまうかもしれません。

しかし視点を変え、これを「自分の未来への投資」と考えてみてはいかがでしょうか。

薄毛の悩みがもたらす機会損失

髪のことで悩み、自信を失う時間は非常にもったいないものです。その悩みが原因で仕事のパフォーマンスが上がらなかったり、恋愛や人付き合いに消極的になったりしていませんか。

これらは目には見えない「機会損失」といえます。治療によって悩みから解放されることで、本来あなたが発揮できるはずだった力を取り戻すことができます。

  • 仕事や学業への集中力低下
  • 人前に出ることへの抵抗感
  • 髪型を気にする時間的・精神的コスト
  • 新しい挑戦へのためらい

自信を取り戻すことの金銭的価値

自信に満ちた表情や態度はあなたの印象を大きく左右し、ビジネスやプライベートにおける成功の可能性を高めます。

薄毛のコンプレックスを解消して自信を取り戻すことは、昇進や新しい人間関係といった金銭には換えがたい価値を生み出す可能性があります。

治療費用は、そのための自己投資と考えることができるのです。

価値ある治療のためのクリニック選び

「投資」であるからには、そのリターンを最大化することが重要です。

単に安いという理由だけで選ぶのではなく、医師が親身に相談に乗ってくれるか、自分に合った治療法を提案してくれるか、安全管理は徹底されているかなど、総合的に見て「価値」のある治療を提供してくれるクリニックを選びましょう。

AGA治療と医療費控除の真実

「治療なのだから、医療費控除の対象になるのでは?」と考える方もいるかもしれません。ここではAGA治療と医療費控除の関係について正確な情報をお伝えします。

医療費控除の対象となる医療とは

医療費控除は、一年間に支払った医療費が一定額を超えた場合に所得税や住民税が軽減される制度です。

対象となるのは医師による「治療」を目的とした費用です。人間ドックや美容目的の費用は、原則として対象外です。

原則としてAGA治療は対象外

前述の通り、AGA治療は美容目的の医療と見なされるため、原則として医療費控除の対象にはなりません。

治療薬の費用や診察料などを確定申告しても、残念ながら認められないのが一般的です。

医療費控除の対象となるかの判断

治療内容控除対象の可否理由
AGA治療(自由診療)原則、対象外容姿を美化するための費用と見なされるため
他の疾患が原因の脱毛症治療(保険診療)対象病気の治療と見なされるため

対象となる可能性のある例外的なケース

ただし、例外もあります。例えば他の病気(うつ病など)の治療のために医師がAGA治療を必要と判断した場合など、治療目的であると認められれば、医療費控除の対象となる可能性もゼロではありません。

しかしこれは非常に稀なケースであり、税務署の判断によります。基本的には対象外と考えておくのが無難です。

「安い」だけで選ぶことの危険性

費用を抑えたい気持ちは分かりますが、価格の安さだけでクリニックや治療法を選ぶことには大きなリスクが伴います。

個人輸入薬に潜むリスク

インターネットで安価に販売されている海外製の治療薬は、絶対に購入しないでください。

偽造薬や不純物が混入している可能性があり、効果がないばかりか、深刻な健康被害を引き起こす危険性があります。

安全な治療は、医師の監督下でのみ成り立ちます。

個人輸入薬の危険性

リスク内容
偽造薬・不純物混入有効成分が異なる、または有害物質が含まれている
健康被害重篤な副作用やアレルギー反応の危険
法的問題副作用被害救済制度の対象外となる

必要な検査を省略するクリニック

極端に価格が安いクリニックの中には、安全な治療に必要な血液検査などを省略している場合があります。

副作用のリスク管理を怠ることは、患者さんの健康を危険にさらす行為です。価格だけでなく、安全対策がきちんと行われているかを確認することが重要です。

よくある質問

最後に、治療費用に関して患者さんからよくいただく質問とその回答をまとめました。

支払いにクレジットカードや分割払いは使えますか?

多くのクリニックで、現金の他にクレジットカードでの支払いが可能です。また、高額なプランの場合は医療ローンを利用した分割払いに対応しているクリニックもあります。

支払い方法の選択肢については、カウンセリング時にご確認ください。

途中で治療をやめた場合、返金はありますか?

クリニックの規定によります。

特に、まとめて数ヶ月分や年間プランで契約した場合の途中解約については、返金の可否や条件が定められています。

契約前に解約時の規定についてもしっかりと書面で確認しておくことが大切です。

治療費以外に追加でかかる費用はありますか?

クリニックによっては提示された薬代の他に、診察料や検査料が別途必要になる場合があります。

カウンセリングの際に「毎月支払う総額はいくらですか?」と明確に質問し、後から追加費用が発生しないかを確認しましょう。

なぜクリニックによってこんなに値段が違うのですか?

AGA治療は自由診療のため、各クリニックが独自に価格を設定できます。

価格差は処方する薬が先発品かジェネリックか、人件費や賃料などの立地条件、カウンセリングやサポート体制の充実度、広告宣伝費など様々な要因によって生じます。

以上

参考文献

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KATAYAMA, Hideki, et al. Cancer-related alopecia and wig acquisition: how age, sex, and treatment affect patient choices. Supportive Care in Cancer, 2025, 33.4: 1-7.

MANABE, Motomu, et al. Guidelines for the diagnosis and treatment of male‐pattern and female‐pattern hair loss, 2017 version. The Journal of Dermatology, 2018, 45.9: 1031-1043.

WOMAN, Androgenetic Alopecia In. A Comparative Analysis of Quality of Life for Adolescents Versus Adults Affected by Alopecia Areata.

NESTOR, Mark S., et al. Treatment options for androgenetic alopecia: Efficacy, side effects, compliance, financial considerations, and ethics. Journal of cosmetic dermatology, 2021, 20.12: 3759-3781.

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