髪の毛の抜け毛が多い時期と原因の関係性

ふと気づくと、枕元や排水溝にたまる髪の毛の量が増えている気がする…。「最近、髪の毛の抜け毛が多いかもしれない」と感じると、このまま薄くなってしまうのではないかと不安になりますよね。

その抜け毛、特定の時期に集中していませんか？実は、髪の毛には抜けやすい時期があり、それには季節や生活習慣、さらにはAGA（男性型脱毛症）といった深刻な原因が関係している場合があります。

この記事では髪の毛の抜け毛が多い時期と、その背景にあるさまざまな原因との関係性を詳しく解説します。

季節性のものか、注意すべきサインなのかを見極める知識を得ることであなたの不安を解消し、今すぐできる対策を理解する手助けをします。

髪の毛の抜け毛が多いと感じるサインとは？

抜け毛が多いと感じる基準は人それぞれですが、一般的に1日の抜け毛が100本を超えると多い状態と考えられます。

ただし、これはあくまで目安です。以前の自分と比較して明らかに量が増えたと感じる場合は注意が必要です。

正常なヘアサイクルと抜け毛の関係

髪の毛には「成長期」「退行期」「休止期」というサイクル（毛周期）があります。休止期に入った髪の毛が自然に抜け落ちるのは正常な現象です。

しかし、何らかの原因でこのサイクルが乱れると成長期が短くなり、抜け毛の量が増加します。

1日の平均的な抜け毛の本数

健康な人でも、1日に50本から100本程度の髪の毛は自然に抜けています。

特にシャンプー時は髪が濡れて摩擦を受けやすいため抜けやすく、1日の抜け毛の半分以上がこの時に集中することもあります。

「抜け毛が多い」と判断する具体的な基準

毎日枕につく髪の毛の数を数えたり、シャンプー後の排水溝にたまる量を比較したりするのが一つの方法です。また、抜けた毛の毛根の状態を確認するのもよいでしょう。

正常な抜け毛は毛根がふっくらしていますが、AGAなどの場合は毛根が小さかったり、細い毛が多かったりする特徴があります。

正常な抜け毛と異常な抜け毛の見分け方

正常な抜け毛は、太くしっかりとした「休止期毛」です。毛根部には白い塊（毛根鞘）が付着していることがあります。

一方で、細く短い毛や毛根の形がいびつな毛が多い場合はヘアサイクルが短縮している可能性があり、注意が必要です。

抜け毛が多い時期「秋」に注目が集まる理由

抜け毛が最も多い時期として、一般的に「秋（9月～11月頃）」が挙げられます。

これは夏に受けたダメージの蓄積や、動物としての換毛期の名残など、複数の要因が複合的に関わっていると考えられています。

夏の紫外線ダメージの蓄積

夏場に浴びた強い紫外線は頭皮に炎症や乾燥を引き起こします。紫外線は頭皮の細胞にダメージを与え、毛母細胞の働きを弱らせることがあります。

このダメージが時間差で秋頃に現れ、頭皮環境の悪化として抜け毛を増加させる一因となります。

夏バテによる栄養不足の影響

夏の暑さによる食欲不振や、そうめんや冷たい飲み物など偏った食事は、栄養バランスの乱れを招きます。

髪の毛の成長に必要なタンパク質やビタミン、ミネラルが不足すると、数ヶ月後に髪の毛の質が低下し、抜け毛として影響が出ることがあります。

動物的な「換毛期」の名残

人間にも、他の動物ほど顕著ではありませんが、季節の変わり目に毛が生え変わるリズムが残っているという説があります。

特に秋は気候の変動に対応するために体内のホルモンバランスが微妙に変化し、その影響が抜け毛として出やすい時期とされています。

秋の抜け毛対策の基本

秋に抜け毛が多いと感じたら、まずは夏のダメージケアを意識することが大切です。保湿力の高いシャンプーを選んだり、頭皮用のトリートメントで潤いを補給したりしましょう。

また、頭皮マッサージで血行を促進する習慣を取り入れるのも良い方法です。

季節以外で抜け毛が多いと感じる時期

秋以外にも、個人の生活環境や体調の変化によって抜け毛が多いと感じる時期があります。特に生活が大きく変わるタイミングや、心身に強い負荷がかかった後は注意が必要です。

新生活や環境の変化（春先など）

春は就職、転職、引っ越しなどで生活環境が大きく変わりやすい時期です。新しい環境への適応に伴う精神的な緊張や、生活リズムの乱れが自律神経に影響を与えます。

自律神経が乱れると血管が収縮して頭皮への血流が悪くなり、抜け毛を引き起こすことがあります。

極端なダイエットを行った数ヶ月後

体重を急激に減らすような過度な食事制限によるダイエットは、体にとって大きなストレスです。

髪の毛の主成分であるタンパク質や、成長を助ける亜鉛、ビタミンなどの栄養素が深刻に不足します。健康的な髪の毛を維持するためには、バランスの取れた食事が重要です。

栄養不足の影響はすぐには現れず、2～3ヶ月後に抜け毛として表面化することが多いです。

強いストレスを感じた後

精神的なストレスは交感神経を優位にし、血管を収縮させて頭皮の血行を悪化させます。また、ホルモンバランスの乱れも引き起こし、ヘアサイクルに悪影響を与えます。

強いストレスイベントの2～3ヶ月後に「休止期脱毛症」として一時的に抜け毛が増えることもあります。

時期的な要因とは異なる「注意すべき抜け毛」

季節や一時的なストレスによる抜け毛は原因が解消されれば自然と回復することが多いです。

しかし、特定の時期に関わらず抜け毛が多い状態が続く場合、AGA（男性型脱毛症）など進行性の脱毛症の可能性があります。

AGA（男性型脱毛症）の初期サイン

AGAは男性ホルモン（DHT：ジヒドロテストステロン）の影響でヘアサイクルの「成長期」が極端に短縮し、髪の毛が十分に成長する前に抜け落ちてしまう脱毛症です。

生え際の後退（M字）や頭頂部の薄毛（O字）が特徴で、抜け毛が細く短くなるというサインが見られます。

頭皮環境の悪化（脂漏性皮膚炎など）

フケやかゆみ、過剰な皮脂分泌を伴う場合、脂漏性皮膚炎などの頭皮トラブルが原因で抜け毛が増えている可能性があります。

皮脂の過剰分泌やマラセチア菌という常在菌の異常増殖により頭皮が炎症を起こし、毛根にダメージを与え、正常な発毛を妨げます。

全体的に髪の毛のボリュームが減る

特定の時期に関係なく、髪の毛全体のハリやコシがなくなり、1本1本が細くなった結果、地肌が透けて見えるようになってきた場合、AGAや他の脱毛症が進行しているサインかもしれません。

セットがうまくいかなくなった、と感じる方もいます。

AGAと季節性抜け毛の違い

季節性の抜け毛は一時的であり、ヘアサイクルを終えた太い毛も、ダメージを受けた細い毛も混じって抜けます。

一方、AGAは進行性であり、主に成長しきれなかった細く短い毛（軟毛）の割合が増えていく点で区別できます。

抜け毛の特徴比較

項目	季節性の抜け毛	AGA（男性型脱毛症）
時期	秋などに一時的に増加	時期に関わらず継続・進行
抜ける毛質	太い毛、細い毛が混在	細く短い毛（軟毛）が多い
進行性	一時的（回復傾向）	進行性（徐々に悪化）

抜け毛の原因を特定するためのセルフチェック

髪の毛の抜け毛が多いと感じた場合、まずはご自身の生活習慣や頭皮の状態を見直すことが原因特定の第一歩です。当てはまる項目がないか確認してみましょう。

最近の生活習慣の振り返り

食生活の乱れ、睡眠不足、運動不足は、髪の毛の健康に直結します。

特に外食やインスタント食品が多く、脂質や糖質の多い食事に偏っていると髪に必要な栄養素が不足し、皮脂の過剰分泌を招くこともあります。

ストレスレベルの自己評価

仕事や人間関係などで強いプレッシャーを感じていないか、リラックスできる時間が取れているかを見直します。

ストレスは自律神経を乱し、頭皮の血行不良を招くだけでなく、睡眠の質を低下させる原因にもなります。

抜けた髪の毛の毛根チェック

抜けた毛をよく観察し、毛根部を見てみましょう。正常なヘアサイクルを終えた毛根は、マッチ棒の先端のように丸く膨らんでいます。

毛根がなかったり、細く尖っていたり、ギトギトした皮脂が付着していたりする場合は注意が必要です。

毛根の状態で見る健康度

毛根の状態	健康度	想定される原因・状態
白く丸い膨らみがある	正常	正常なヘアサイクルによる抜け毛
毛根がない・細く尖る	注意	栄養不足、血行不良、AGAの可能性
黄色くベタつく皮脂が付着	注意	頭皮環境の悪化、脂漏性皮膚炎

頭皮の色や状態の確認

鏡を使ってご自身の頭皮の色を確認してみてください。健康な頭皮は透明感のある青白い色をしています。

赤みを帯びている場合は炎症、茶色っぽくくすんでいる場合は血行不良や代謝の低下が考えられます。フケやかゆみの有無も重要なチェックポイントです。

頭皮の色でわかる健康サイン

頭皮の色	状態	考えられる要因
青白い	健康	血行が良く、水分が保たれている
赤い	炎症	日焼け、シャンプーの刺激、皮脂の酸化
茶色・黄色っぽい	不健康	血行不良、代謝低下、皮脂の酸化

髪の毛の抜け毛が多い時期にできる対策

抜け毛が多い時期には、まず頭皮環境を整え、髪の毛の成長に必要な栄養をしっかり届けることが大切です。日常生活の中で意識的に取り組める対策から始めましょう。

栄養バランスの取れた食事

髪の毛の主成分であるタンパク質、その合成を助ける亜鉛、頭皮の健康を保つビタミン類（特にB群、C、E）をバランス良く摂取することが重要です。

特定の食品だけを食べるのではなく、多様な食材を取り入れた食事を心がけます。

髪の毛の成長に必要な主な栄養素

栄養素	働き	多く含む食品
タンパク質	髪の毛の主成分（ケラチン）	肉、魚、卵、大豆製品
亜鉛	タンパク質の合成を助ける	牡蠣、レバー、ナッツ類、牛肉
ビタミンB群	頭皮の代謝を促進、皮脂調整	豚肉、レバー、マグロ、バナナ

質の高い睡眠の確保

髪の毛は、私たちが寝ている間に分泌される成長ホルモンによって細胞分裂が活発になり、成長します。特に睡眠の質が重要です。

毎日決まった時間に寝る、寝る前のスマートフォン操作を控えるなど深く眠れる環境を整え、6～7時間程度の十分な睡眠時間を確保するよう努めましょう。

正しいヘアケアと頭皮マッサージ

シャンプーは1日1回、夜に行うのが基本です。頭皮をゴシゴシと強くこするのではなく、指の腹を使って優しくマッサージするように洗い、すすぎ残しがないように十分注意します。

洗浄力の強すぎるシャンプーは必要な皮脂まで奪い、乾燥や過剰な皮脂分泌を招くため、自分の頭皮に合ったものを選びましょう。

入浴中や入浴後に頭皮マッサージを行い、血行を促進するのも効果的です。

• お湯（38～40度）で予洗い（1～2分）
• シャンプーは手のひらで泡立ててから髪につける
• 指の腹で頭皮を揉むように洗う（爪を立てない）
• すすぎは洗い時間の2倍を目安に十分行う

ストレスの軽減と適度な運動

ウォーキングやジョギング、ヨガなどの有酸素運動は全身の血行を良くし、ストレス解消にも役立ちます。運動を習慣化することで自律神経のバランスが整いやすくなります。

また、趣味の時間を持つ、湯船にゆっくり浸かるなど、自分なりのリラックス方法を見つけることも大切です。心身の健康が、健やかな髪の毛を育みます。

対策をしても抜け毛が減らない場合に考えるべきこと

セルフケアを一定期間（2～3ヶ月程度）続けても抜け毛の量に変化が見られない、あるいは抜け毛の質が細く短いものばかりになるなど、悪化の傾向が見られることもあります。

そのような場合は、AGA（男性型脱毛症）や他の病気が原因である可能性を考慮する必要があります。

AGA（男性型脱毛症）の進行

AGAは一度発症すると自然に治ることはなく、男性ホルモンの影響でゆっくりと進行していきます。

生え際や頭頂部の薄毛が目立つようになり、抜け毛の多さが継続する場合はAGAが進行しているサインと考えられます。

季節性の抜け毛と勘違いして放置すると、対策が遅れてしまう可能性があります。

専門クリニックへの相談の重要性

抜け毛の原因は多岐にわたるため、自己判断で対策を続けることには限界があります。特にAGAは、医学的な介入なしに進行を止めることは困難であり、早期の対応が非常に重要です。

抜け毛が多い状態が3ヶ月以上続く場合や、薄毛の進行を感じる場合は、皮膚科やAGA専門のクリニックで医師の診断を受けることを強く推奨します。

専門クリニックでの主な診断内容

診断方法	内容
問診	抜け毛が始まった時期、生活習慣、既往歴、家族歴などを確認
視診・触診	頭皮の状態（色、炎症の有無）、毛髪の密度や太さを詳細に確認
血液検査	ホルモン値や、甲状腺機能、栄養状態など、他の脱毛原因がないかを確認

クリニックで受けられる治療の選択肢

クリニックでは、まず抜け毛の原因を正確に診断します。AGAと診断された場合、内服薬や外用薬による治療が一般的です。

AGAの進行度や体質、患者の希望に合わせて、医師が適切な治療法を提案します。自己判断での育毛剤使用よりも、医学的根拠に基づいた治療を行うことが、改善への近道です。

AGA治療で用いられる主な薬剤

種類	主な作用	使用方法
内服薬（フィナステリドなど）	AGAの原因物質（DHT）の生成を抑制	原則として1日1回服用
外用薬（ミノキシジル）	頭皮の血行を促進し発毛を促す	1日2回、気になる部分の頭皮に塗布

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髪の毛の抜け毛が多い時期と原因の関係性に関するよくある質問

ここでは髪の毛の抜け毛が多い時期やその原因に関して、多くの方が抱く疑問についてお答えします。

春も抜け毛が多いと聞きますが本当ですか？

本当です。秋ほどではありませんが、春（3月～5月頃）も抜け毛が増加傾向にあるとされます。

これは、冬の寒さや乾燥による頭皮ダメージの影響が春先に出ることや、花粉などのアレルゲンによる頭皮環境の悪化、新生活のストレスなどが複合的に関わっていると考えられています。

シャンプーの時に抜ける毛が多いのは危険ですか？

1日の抜け毛の多くはシャンプー時に発生するため、ある程度の抜け毛は正常です。健康な人でも50～100本抜けます。

ただし、排水溝にたまる量が以前と比べて明らかに増えた、または抜けた毛が細く短いものばかりという場合は頭皮環境やヘアサイクルに何らかの問題がある可能性があります。

髪の毛の抜け毛が多い時期はどのくらい続きますか？

季節性の抜け毛（主に秋）であれば、通常1～2ヶ月程度で自然と落ち着くことが多いです。

もし3ヶ月以上抜け毛が多い状態が続く場合や、抜け毛の量が減る気配がない場合は、AGA（男性型脱毛症）や他の脱毛症の可能性を疑い、専門家へ相談することをおすすめします。

生活習慣を改善すれば抜け毛は必ず減りますか？

食生活の乱れ、睡眠不足、ストレスなどが原因の一時的な抜け毛であれば、生活習慣の改善によって減少が期待できます。

しかし、抜け毛の主な原因がAGA（男性型脱毛症）である場合、生活習慣の改善は頭皮環境を整える上で大切ですが、それだけではAGAの進行を止めることは難しく、医学的な治療が必要です。

親族に薄毛の人がいると抜け毛も多くなりますか？

AGA（男性型脱毛症）は遺伝的要因が強く関わっていることが知られています。

そのため、ご両親や祖父母など、ご親族に薄毛の方がいる場合、ご自身もAGAを発症しやすい体質である可能性は高いと言えます。

抜け毛が多いと感じたら他の人よりも早めに注意を払い、対策を検討することが大切です。