クリニックでの抜け毛治療｜初診時の検査と流れ

シャワーの排水溝や枕元の抜け毛を見て、ため息をつく毎日。

このまま薄くなってしまうのだろうか…。そんな不安を抱えながらも、「クリニックに行くのは大げさかもしれない」と、一歩を踏み出せずにいませんか。

この記事では抜け毛治療の第一歩であるクリニックの初診で何をするのか、検査や診察の流れを具体的に解説します。あなたの不安を和らげ、勇気を持って相談できるよう私たちが道案内します。

なぜ抜け毛の相談はクリニックが良いのか

市販の育毛剤やサプリメントを試す前に、なぜ専門のクリニックに相談することが重要なのでしょうか。その理由は、自己判断による対策には限界とリスクがあるからです。

自己判断による対策の限界

抜け毛の原因は人それぞれ異なり、非常に多岐にわたります。

原因がわからないまま闇雲に対策をしても効果は期待できません。それどころか、貴重な時間とお金を無駄にしてしまう可能性があります。

専門家による正確な診断こそが改善への最短ルートです。

抜け毛の原因は一つではない

抜け毛と一括りにいっても、その原因はAGA（男性型脱毛症）だけではありません。生活習慣の乱れやストレス、あるいは他の病気が隠れている可能性も考えられます。

これらの原因を正しく見極めるためには医師の専門的な知見が必要です。

考えられる抜け毛の主な原因

原因の種類	代表的な例	特徴
ホルモン・遺伝	AGA（男性型脱毛症）	特定のパターンでゆっくり進行する
自己免疫疾患	円形脱毛症	突然、円形に毛が抜ける
生活習慣など	牽引性脱毛症、脂漏性脱毛症	物理的刺激や頭皮環境の悪化が原因

早期発見・早期治療の重要性

特にAGAの場合、何もしなければ薄毛は進行し続けます。毛髪を作り出す毛母細胞が完全に活動を停止してしまうと、どんな治療をしても髪を再生させることは困難になります。

手遅れになる前にできるだけ早く治療を開始することが、あなたの髪の未来を守る上で何よりも重要です。

クリニックでの初診｜予約から診察までの流れ

「クリニックに行く」と決めても、実際に何をするのか分からなければ不安ですよね。

ここでは予約から診察室に入るまでの一般的な流れを説明します。

予約方法と事前の準備

多くのクリニックでは電話やウェブサイトから簡単に予約ができます。

特に準備するものは必要ありませんが、もし過去に他の病気の治療歴や服用中の薬があれば、その情報をまとめておくと問診がスムーズに進みます。

受付から問診票の記入

来院したらまずは受付で簡単な手続きをします。その後、待合室で問診票を記入します。

問診票では抜け毛が気になり始めた時期や生活習慣、家族の髪の状態などについて質問します。これはあなたの状態を正確に把握するための重要な情報となります。

プライバシーに配慮された診察室へ

多くの専門クリニックでは患者様のプライバシーに最大限配慮しています。

個室のカウンセリングルームや診察室へ案内するので、他の患者様の目を気にすることなく安心して悩みを打ち明けられます。

初診で行う主な検査内容

診察室ではあなたの抜け毛の原因を特定するためにいくつかの検査を行います。痛みを伴うような検査はほとんどないのでリラックスして受けてください。

医師による問診

記入した問診票をもとに医師がさらに詳しくお話を伺います。いつから、どこが、どのくらい抜けているのか、あなたの感じている不安など、どんな些細なことでも話してください。

視診とマイクロスコープによる頭皮チェック

医師が直接、頭皮や髪の状態を目で見て確認します（視診）。

さらにマイクロスコープという特殊な拡大鏡を使って肉眼では見えない毛穴の状態や髪の太さ、頭皮の色などを詳しく観察します。

この検査でAGA特有の症状である「軟毛化（髪が細く弱々しくなること）」などがわかります。

マイクロスコープでわかること

観察項目	健康な状態	注意が必要な状態
頭皮の色	青白い	赤い（炎症）、茶色い（血行不良）
毛穴の状態	一つの毛穴から2～3本生えている	皮脂が詰まっている、1本しか生えていない
髪の太さ	太さが均一で、ハリ・コシがある	細く短い毛が混在している（軟毛化）

血液検査で体内の状態を確認

AGA治療薬を安全に使用できるか確認するため、また、抜け毛の原因として甲状腺機能の低下など他の病気が隠れていないかを調べる目的で血液検査を行うことがあります。

肝機能や腎機能などに問題がないかを確認します。

「どう話せばいい？」医師に悩みを伝える心の準備

検査や治療の流れは分かっても、いざ医師を前にすると「何をどう話せばいいのか分からない」と、頭が真っ白になってしまうかもしれません。

長年抱えてきたデリケートな悩みを打ち明けるのは、とても勇気がいることです。

悩みを正直に話すことの重要性

恥ずかしさから症状を軽く話してしまったり、見栄を張ってしまったりする必要は全くありません。

あなたの悩みの深さや、それによって日常生活にどんな影響が出ているのかを正直に話すことが医師があなたの状況を正確に理解し、最適な治療法を提案するための第一歩です。

私たちはその悩みに真摯に耳を傾けるプロフェッショナルです。

「いつから」「どこが」「どうなった」を整理する

うまく話せるか不安な方は事前に少しだけ情報を整理しておくと落ち着いて話せます。

• **いつから：** 抜け毛が気になり始めたのは半年前？それとも3年前？
• **どこが：** 特に気になるのは生え際？頭頂部？それとも全体？
• **どうなった：** 髪が細くなった？地肌が透けて見えるようになった？

この3点を伝えるだけでも診断の大きな助けになります。

医師に伝えるべきポイント整理表

項目	伝える内容の例
悩み始めた時期	大学3年生の頃から、シャンプー時の抜け毛が増えた。
気になる部位	特に、おでこのM字部分が後退してきた気がする。
あなたの目標	せめて、これ以上進行するのを止めたい。

理想のゴールを伝える

「フサフサになりたい」という大きな目標だけでなく、「現状を維持したい」「結婚式までに少しでも改善したい」など、あなたが治療を通じてどうなりたいのか、その理想のゴールを遠慮なく伝えてください。

その目標を共有することが、あなたと医師が二人三脚で治療を進めていく上での大切な指針となります。

診断後に提案される主な治療法

検査と診察の結果、抜け毛の原因がAGAと診断された場合、医学的根拠に基づいた治療法が提案されます。治療の基本は、内服薬と外用薬の組み合わせです。

内服薬による抜け毛の抑制（守りの治療）

AGAの進行を止めるためには、原因物質であるDHT（ジヒドロテストステロン）の生成を抑えることが最も重要です。フィナステリドやデュタステリドといった内服薬が、その役割を担います。

外用薬による発毛促進（攻めの治療）

抜け毛を食い止めると同時に、今ある髪を太く長く育てるための治療も行います。

ミノキシジルという成分を含む外用薬は頭皮の血行を促進し、毛母細胞を活性化させることで発毛を促します。

主なAGA治療薬の種類

薬の種類	主な成分	作用
内服薬	フィナステリド、デュタステリド	DHTの生成を抑制し、抜け毛を防ぐ
外用薬	ミノキシジル	血行を促進し、発毛を促す

より積極的な注入治療やLED治療

より高い効果を希望する方には、投薬治療に加えて成長因子などを頭皮に直接注入する「注入治療」や、特定の波長の光を照射する「LED治療」などを組み合わせることもあります。

治療にかかる期間と費用の目安

治療を始めるにあたり、期間と費用は誰もが気になる点です。具体的なイメージを持つことで安心して治療に臨めます。

効果を実感するまでの期間

AGA治療はヘアサイクルを正常に戻すための治療なので、効果を実感するまでには時間が必要です。

一般的に抜け毛の減少を実感するのに約3ヶ月、明らかな発毛効果を感じるまでには最低でも6ヶ月の継続が必要です。

治療内容別の費用感

AGA治療は自由診療のため費用は全額自己負担となります。費用は治療内容によって大きく異なります。

月々の治療費の目安

治療内容	費用（1ヶ月あたり）
内服薬のみ	5,000円～15,000円程度
内服薬＋外用薬	15,000円～30,000円程度
上記＋注入治療など	30,000円～

無理のない治療計画の立て方

治療は継続することが何よりも重要です。専門クリニックでは患者様の希望や予算に合わせて無理なく続けられる最適な治療計画を提案します。

費用について不安な点があれば遠慮なく相談してください。

よくある質問

抜け毛治療の初診に関して、多くの方が抱く疑問にお答えします。

痛い検査や治療はありますか？

血液検査で採血する際にチクッとした痛みはありますが、問診やマイクロスコープでの検査に痛みは全くありません。

治療に関しても、基本的な投薬治療は薬を飲んだり塗ったりするだけです。

注入治療の場合は多少の痛みを伴うことがありますが、冷却や麻酔などで痛みを最小限に抑える工夫をしています。

薬の副作用が心配です。

どのような薬にも副作用のリスクはゼロではありません。AGA治療薬ではごくまれに性欲減退や肝機能障害などが報告されています。

しかし、その頻度は非常に低く、ほとんどの方は問題なく治療を継続しています。

治療開始前には必ず医師から詳しい説明があり、治療中も定期的な診察で健康状態を確認するので、過度な心配は不要です。

治療を始めたらすぐに抜け毛は止まりますか？

逆に治療開始後1ヶ月前後で一時的に抜け毛が増える「初期脱毛」が起こることがあります。

これは乱れたヘアサイクルが正常化する過程で古い髪が新しい髪に押し出されるために起こる良い兆候です。

通常は1～2ヶ月で収まりますので、自己判断で治療をやめないでください。

健康保険は使えますか？

いいえ、AGA（男性型脱毛症）の治療は病気の治療ではなく容姿を改善する目的と見なされるため、健康保険は適用されず自由診療となります。

ただし、抜け毛の原因が他の皮膚疾患などであった場合は保険が適用されることもあります。

以上

参考文献

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