ヘアスプレーの使用やシャンプーの頻度が薄毛につながるのではないかと心配される方が少なくないようです。
「ケープを使うとはげるのでは?」「シャンプーしないと髪に悪いの?」といった疑問をお持ちの方もいらっしゃるでしょう。
この記事では、ヘアスプレーやシャンプー習慣が頭皮や髪の健康に与える影響について解説します。
ヘアスプレーと薄毛の関係性 – 本当にはげる?
ヘアスプレーをはじめとするスタイリング剤が薄毛の直接的な原因になるという医学的根拠は、現在のところ明確には示されていません。
しかし、使い方によっては頭皮環境に悪影響を与え、抜け毛のリスクを高める可能性は否定できません。
ヘアスプレーが頭皮に与える影響
ヘアスプレーを髪に噴射する際、意図せず頭皮にも付着するときがあります。スプレーに含まれる成分が毛穴を塞いでしまうと皮脂や汚れが排出されにくくなり、頭皮の常在菌バランスが崩れる可能性があります。
これにより、頭皮の炎症やかゆみ、フケといったトラブルが発生しやすくなります。頭皮環境の悪化は健康な髪の成長を妨げる要因となり、間接的に抜け毛につながることも考えられます。
ヘアスプレーの主な成分と頭皮への影響可能性
成分の種類 | 影響の可能性 | 対策・注意点 |
---|---|---|
高分子ポリマー | 毛髪をコーティングするが、頭皮付着で毛穴詰まりも | 頭皮への直接噴射を避け、使用後はよく洗い流す |
アルコール類 | 揮発性が高く、頭皮の乾燥を招くことがある | 保湿成分配合のものを選ぶ、使用量を守る |
香料・色素 | 人によってはアレルギー反応や刺激の原因となる | 無香料・無着色の製品を選ぶ、パッチテストを行う |
成分による違いはある?
ヘアスプレーには様々な種類があり、配合されている成分も異なります。例えば、セット力の高い製品には多くの高分子ポリマーが含まれている傾向があります。
また、アルコールが多く含まれる製品は頭皮の水分を奪いやすく、乾燥を招く可能性があります。LPGなどの噴射剤も、近距離で大量に噴射すると頭皮に刺激を与える場合があります。
自分の髪質や頭皮の状態、使用目的に合わせて製品を選ぶことが大切です。
正しい使い方と注意点
ヘアスプレーによる頭皮トラブルを避けるためには、正しい使い方を心がけることが重要です。
髪から15cmから20cm程度離して、髪全体に均一にスプレーするようにしましょう。頭皮に直接スプレーがかからないように注意が必要です。
また、1箇所に集中してスプレーしすぎないようにしてください。そして最も大切なのは、その日のうちにシャンプーでしっかりと洗い流すことです。
スタイリング剤が頭皮や髪に残ったまま寝てしまうと、毛穴詰まりや頭皮トラブルの原因となります。
「ケープを使うとはげる」は本当か?
特定の製品名、例えば「ケープ」を名指しして「はげる」と心配する声を聞くときがあります。しかし、前述の通り、特定のヘアスプレー製品が直接的な薄毛の原因になるという科学的根拠はありません。
ケープを使うとはげるというよりは、ヘアスプレー全般に言えることですが、使い方を誤ったり使用後にしっかり洗い流さなかったりすると頭皮環境が悪化し、結果として抜け毛につながる可能性があるということです。
製品自体が悪いのではなく、使用方法とケアが重要になります。
シャンプーしないと薄毛になる? – 頭皮環境との関連
「シャンプーをしすぎると髪が抜ける」「むしろシャンプーしない方が髪に良い」といった話を耳にします。一方で、「シャンプーしないとはげる」という不安の声もあります。
実際のところ、シャンプーの頻度や方法は頭皮環境、ひいては髪の健康にどのように関わっているのでしょうか。
ここでは、シャンプーの役割から、頻度が低い場合や過剰な場合のそれぞれのリスク、そして噂の真相について解説します。
シャンプーの役割とは?
シャンプーの主な役割は、頭皮や髪に付着した汗や皮脂、ほこりや整髪料などの汚れを洗い流し、頭皮を清潔に保つことです。
頭皮は体の他の部分と同様に皮脂を分泌し、新陳代謝によって古い角質が剥がれ落ちます。これらの汚れを放置すると毛穴が詰まったり雑菌が繁殖したりして、フケやかゆみ、炎症などの頭皮トラブルを引き起こす原因となります。
健康な髪は、健やかな頭皮環境から育まれます。そのため、適切なシャンプーは美しい髪を維持するために必要です。
シャンプー頻度が低い場合のリスク
シャンプーの頻度が極端に低い、あるいは全くしない場合、頭皮には過剰な皮脂や汚れが蓄積していきます。これにより毛穴が塞がれ、皮脂を栄養源とするマラセチア菌などの常在菌が異常繁殖しやすくなります。
その結果、脂漏性皮膚炎などの炎症を引き起こし、フケやかゆみが増加する可能性があります。炎症が慢性化すると毛根にダメージを与え、髪の成長サイクルが乱れて抜け毛が増えやすいです。
不衛生な状態は、頭皮の血行不良を招く可能性も考えられます。
シャンプー頻度と頭皮状態の関係
シャンプー頻度 | 頭皮の状態(可能性) | 起こりうるトラブル例 |
---|---|---|
毎日(適切) | 清潔、皮脂バランス良好 | 特になし(洗浄力強すぎは除く) |
2〜3日に1回 | やや皮脂・汚れ蓄積の可能性 | 乾燥肌・普通肌なら許容範囲の場合も |
週に1回以下 | 皮脂・汚れの蓄積、毛穴詰まり、菌の繁殖 | フケ、かゆみ、炎症、ニオイ、抜け毛リスク増 |
過剰なシャンプーも逆効果?
一方で、シャンプーのしすぎも頭皮にとっては負担となる可能性があります。洗浄力の強すぎるシャンプーを毎日使ったり1日に何度もシャンプーしたりすると、頭皮を守るために必要な皮脂まで洗い流してしまいます。
皮脂が不足すると頭皮のバリア機能が低下し、外部からの刺激を受けやすくなったり乾燥が進んだりします。
頭皮が乾燥すると体はかえって皮脂を過剰に分泌しようとする場合があり、これがまた別のトラブルの原因となるケースもあります。
「シャンプーしないとはげる」噂の真相
「シャンプーしないとはげる」という表現は、少し極端かもしれません。しかし、シャンプーを長期間怠り、頭皮が不潔な状態が続けば頭皮環境が悪化し、結果的に抜け毛につながるリスクは高まると言えます。
重要なのは「しない」こと自体ではなく、汚れや過剰な皮脂が蓄積することです。逆に、洗いすぎによる乾燥も頭皮環境を悪化させます。
つまり、薄毛を予防するためにはシャンプーを全くしないのでも、過剰にするのでもなく、自分の頭皮タイプや生活スタイルに合った適切な頻度と方法でシャンプーを行うのが大切です。
頭皮と毛髪の健康を保つヘアケアの基本
ヘアスプレーやシャンプーの頻度だけでなく、日々のヘアケア習慣全体が頭皮と髪の健康を左右します。間違ったケアは、知らず知らずのうちに頭皮にダメージを与え、薄毛のリスクを高めてしまう可能性があります。ここでは、健やかな髪を育むための基本となる、正しいシャンプーの方法、自分に合ったシャンプーの選び方、ドライヤーの使い方、そして頭皮マッサージについて解説します。
正しいシャンプーの方法
効果的なシャンプーはただ洗うだけでなく、いくつかのポイントを押さえることが重要です。
シャンプー剤をつける前に、ぬるま湯で髪と頭皮を十分に予洗いします。これにより表面の汚れの多くが落ち、シャンプーの泡立ちも良くなります。
次に、シャンプー剤を手のひらでよく泡立ててから髪につけ、指の腹を使って頭皮を優しくマッサージするように洗いましょう。爪を立ててゴシゴシ洗うのは頭皮を傷つける原因になるので避けてください。
最後に、すすぎ残しがないように時間をかけて丁寧に洗い流します。特に生え際や耳の後ろはすすぎ残しやすい部分です。
正しいシャンプーの手順ポイント
- 予洗いはぬるま湯で1分以上、髪と頭皮をしっかり濡らす。
- シャンプー剤は手のひらで泡立ててからつける。
- 指の腹で頭皮をマッサージするように優しく洗う。
- すすぎはシャンプー剤が残らないよう、時間をかけて丁寧に洗い流す。
自分に合ったシャンプーの選び方
市場には多種多様なシャンプーが出回っており、どれを選べばよいか迷うこともあるでしょう。シャンプー選びの基本は、自分の頭皮タイプ(乾燥肌、脂性肌、敏感肌など)と髪質に合ったものを選ぶことです。
例えば、脂性肌の人はさっぱりとした洗い上がりのもの、乾燥肌や敏感肌の人は洗浄力がマイルドで保湿成分が配合されたものを選ぶと良いでしょう。
成分表示を確認し、刺激の強い可能性のある成分(例:硫酸系洗浄成分など)を避けたり、アミノ酸系などの優しい洗浄成分を選んだりするのも一つの方法です。
主なシャンプーの種類と特徴
種類 | 特徴 | おすすめのタイプ |
---|---|---|
高級アルコール系 | 洗浄力高い、泡立ち良い、比較的安価 | 脂性肌、しっかり洗いたい人 |
石けん系 | 洗浄力高い、さっぱり感、アルカリ性が多い | 脂性肌、さっぱり感重視の人 |
アミノ酸系 | 洗浄力マイルド、低刺激、保湿性 | 乾燥肌、敏感肌、ダメージ毛 |
ドライヤーの正しい使い方
シャンプー後のドライヤーも、使い方によっては髪や頭皮にダメージを与える原因となります。
濡れた髪はキューティクルが開いており、非常にデリケートな状態です。自然乾燥は時間がかかり、雑菌が繁殖しやすくなるため、ドライヤーで素早く乾かすと良いです。ただし、熱風を長時間同じ場所に当て続けるのは避けましょう。
まず、タオルドライで髪の水分をできるだけ優しく拭き取ります。その後、ドライヤーを髪から15cm以上離し、全体に風が行き渡るように動かしながら乾かします。
根元から乾かし始め、毛先は最後に乾かすようにするとダメージを抑えられます。最後に冷風を当てるとキューティクルが引き締まり、髪にツヤが出やすくなります。
頭皮マッサージの効果
頭皮マッサージは頭皮の血行を促進し、毛根への栄養供給をサポートする効果が期待できます。血行が良くなると髪の成長に必要な酸素や栄養素が行き渡りやすくなり、健やかな髪の育成につながると考えられています。
シャンプー中やリラックスタイムなどに、指の腹を使って頭皮全体を優しく揉みほぐすようにマッサージしてみましょう。
ただし、力を入れすぎたり、爪を立てたりしないように注意が必要です。心地よいと感じる程度の強さで行うと良いです。
薄毛につながる生活習慣とは?
髪の健康は日々のヘアケアだけでなく、生活習慣全体と深く関わっています。不規則な生活や偏った食事、ストレスなどは、気づかないうちに髪の成長サイクルを乱して薄毛のリスクを高める可能性があります。
食生活の重要性
髪の毛は主にケラチンというタンパク質からできています。そのため、良質なタンパク質の摂取は、健康な髪を育む上で非常に重要です。肉、魚、卵、大豆製品などをバランス良く食事に取り入れましょう。
また、タンパク質の合成を助けたり、頭皮の血行を促進したりするビタミンやミネラルも欠かせません。特に、亜鉛、鉄、ビタミンB群、ビタミンC、ビタミンEなどは髪の健康維持に関わる栄養素として知られています。
インスタント食品やファストフードに偏らず、多様な食材から栄養を摂るのを意識しましょう。
髪の成長に役立つ栄養素と含まれる食品例
栄養素 | 主な働き | 含まれる食品例 |
---|---|---|
タンパク質 | 髪の主成分(ケラチン)の材料 | 肉、魚、卵、大豆製品、乳製品 |
亜鉛 | ケラチンの合成を助ける、細胞分裂に関わる | 牡蠣、レバー、牛肉、ナッツ類、チーズ |
ビタミンB群 | 代謝を助ける、頭皮環境を整える | レバー、豚肉、マグロ、カツオ、卵、納豆 |
睡眠不足の影響
髪の成長には、成長ホルモンが重要な役割を果たしています。成長ホルモンは主に睡眠中に分泌されるため、質の高い睡眠を十分にとると髪の健康維持につながります。
睡眠不足が続くと成長ホルモンの分泌が減少し、髪の成長サイクルが乱れたり毛母細胞の働きが低下したりする可能性があります。また、睡眠不足は自律神経のバランスを崩して血行不良を招くケースもあります。
毎日決まった時間に寝起きするなど、規則正しい睡眠習慣を心がけましょう。
ストレスと髪の関係
過度なストレスは心身に様々な影響を与えますが、髪も例外ではありません。
ストレスを感じると自律神経のうち交感神経が優位になり、血管が収縮しやすくなります。これにより頭皮への血流が悪化し、毛根に十分な栄養や酸素が届きにくくなる可能性があります。
また、ストレスはホルモンバランスの乱れを引き起こす場合もあり、これが抜け毛の原因となる例もあります。
ストレスを完全に無くすのは難しいですが、適度な運動や趣味の時間、リラックスできる方法を見つけるなど自分なりのストレス解消法を持つと良いでしょう。
喫煙・飲酒のリスク
喫煙はニコチンの作用により血管を収縮させ、全身の血行を悪化させます。頭皮の毛細血管も例外ではなく、血行不良は毛根への栄養供給を妨げて髪の成長に悪影響を与えます。
また、喫煙は体内のビタミンCを大量に消費すると知られています。ビタミンCはコラーゲンの生成や抗酸化作用に関わる重要な栄養素です。
一方、過度な飲酒は肝臓でのタンパク質合成を妨げたり、睡眠の質を低下させたり、栄養の吸収を阻害したりする可能性があります。髪の健康を考えるのであれば、禁煙して適量の飲酒を心がけるのが望ましいでしょう。
ヘアスプレー・シャンプー以外の薄毛の原因
ヘアスプレーの使い方やシャンプー習慣、生活習慣を見直しても薄毛の進行が止まらない、あるいは改善が見られない場合、他の原因が考えられます。
薄毛には様々なタイプがあり、その原因も多岐にわたります。特に、成人男性の薄毛の多くを占めるAGA(男性型脱毛症)や、女性特有の薄毛など専門的な知識と対応が必要なケースも少なくありません。
AGA(男性型脱毛症)とは?
AGA(Androgenetic Alopecia)は、男性ホルモンと遺伝的要因が関与して発症する進行性の脱毛症です。思春期以降に発症し、生え際の後退や頭頂部の毛髪が薄くなるのが特徴です。
主な原因は、男性ホルモンの一種であるテストステロンが5αリダクターゼという酵素の働きによって、より強力なジヒドロテストステロン(DHT)に変換されることです。
このDHTが毛乳頭細胞にある男性ホルモン受容体と結合すると髪の成長期が短縮され、毛髪が十分に太く長く成長する前に抜け落ちてしまいます。
これが繰り返されて徐々に薄毛が進行します。AGAはセルフケアだけで改善するのが難しく、医療機関での治療が必要です。
AGAの特徴
項目 | 特徴 |
---|---|
発症時期 | 思春期以降 |
進行パターン | 生え際の後退、頭頂部の菲薄化 |
主な原因 | 男性ホルモン(DHT)、遺伝的要因 |
進行性 | あり(放置すると徐々に進行) |
治療法 | 内服薬、外用薬、注入療法、植毛など(医療) |
女性の薄毛(FAGA)の原因
女性の薄毛は男性のAGAとは異なり、特定の部位だけでなく頭部全体の髪が細く少なくなる「びまん性の脱毛」が特徴です。FAGA(Female Androgenetic Alopecia)と呼ばれますが、その原因は男性ほど明確に解明されていません。
加齢による女性ホルモン(エストロゲン)の減少やホルモンバランスの乱れ、遺伝的要因やストレス、過度なダイエットによる栄養不足や甲状腺疾患などが関与していると考えられています。
また、ピルの服用中止や出産後に一時的に抜け毛が増えるケースもあります(分娩後脱毛症)。
その他の脱毛症の種類
AGAや女性の薄毛以外にも、様々な原因で起こる脱毛症があります。
脱毛症の種類 | 特徴 |
---|---|
円形脱毛症 | 自己免疫疾患の一種と考えられており、突然、円形または楕円形に毛が抜け落ちる。単発型、多発型、全頭型など様々なタイプがある。 |
牽引性脱毛症 | ポニーテールなど髪を強く引っ張る髪型を長期間続け、毛根に負担がかかって生え際などを中心に毛が抜けてしまう状態。 |
脂漏性脱毛症 | 頭皮の皮脂が過剰に分泌され、マラセチア菌が増殖して起こる脂漏性皮膚炎が悪化し、抜け毛につながる状態。 |
薬剤性脱毛症 | 抗がん剤や一部の薬剤の副作用として脱毛が起こる。 |
これらの脱毛症は、それぞれ原因が異なるため、適切な診断と原因に応じた対応が必要です。
遺伝的要因について
薄毛、特にAGAの発症しやすさには、遺伝的な要因が関与していると分かっています。AGAの原因となる男性ホルモン感受性の高さや5αリダクターゼの活性度は、遺伝によって受け継がれる傾向があります。
家族に薄毛の人がいる場合、自身も将来的に薄毛になるリスクが高い可能性があります。
ただし、遺伝的要因があるからといって必ずしも薄毛になるわけではなく、発症の有無や進行度には個人差があります。また、遺伝以外の要因も複合的に関わっています。
薄毛が気になり始めたら – 専門家への相談
「最近、抜け毛が増えた気がする」「髪のボリュームが減ってきた」「ヘアスプレーを使っても髪型が決まりにくくなった」など、薄毛のサインを感じ始めたら、早めに専門家である医師への相談を検討しましょう。
セルフケアで改善を試みるのも大切ですが、原因によっては専門的な診断と治療が必要な場合があります。
セルフケアの限界
正しいシャンプー方法や生活習慣の改善は、頭皮環境を整え、薄毛の予防につながる重要な要素です。
しかし、AGAのように進行性の脱毛症の場合や他の病気が原因となっている場合、セルフケアだけで進行を止めたり発毛を促したりするのは困難です。
原因を特定せずに自己流のケアを続けていると、かえって症状を悪化させてしまう可能性もあります。また、市販の育毛剤なども、原因によっては効果が期待できない場合があります。
クリニックでの診断内容
薄毛治療を専門とするクリニックでは、まず医師による詳細な問診が行われます。いつから薄毛が気になり始めたか、生活習慣、既往歴、家族歴などを詳しく確認します。
その後、視診によって頭皮の状態や薄毛の進行パターンを確認し、必要に応じてマイクロスコープを使って毛穴の状態や毛髪の太さなどを詳細に観察します。
これらの診察を通して薄毛の原因を特定し、適切な治療方針を立てます。場合によっては血液検査などを行い、他の疾患の可能性を除外するときもあります。
クリニックでの主な検査・診察項目
項目 | 内容 | 目的 |
---|---|---|
問診 | 症状、生活習慣、病歴、家族歴などの聴取 | 全体像の把握、原因の推定 |
視診 | 頭皮の色、炎症、フケ、薄毛の範囲・程度の確認 | 脱毛パターンの確認、他の皮膚疾患の有無確認 |
マイクロスコープ | 毛穴の状態、毛髪の太さ・密度の拡大観察 | 毛髪サイクルの異常、毛穴の状態評価 |
主な薄毛治療法
クリニックでは診断結果に基づき、様々な治療法の中から患者さん一人ひとりに合った治療を提案します。
代表的な治療法には、以下のようなものがあります。
内服薬 | AGAの進行を抑制する効果が認められているフィナステリドやデュタステリド、発毛を促進するミノキシジルなど(主に男性向け)。 |
外用薬 | 頭皮に直接塗布するタイプのミノキシジル外用薬など。血行を促進し、毛母細胞を活性化させる効果が期待できる。 |
注入療法(メソセラピーなど) | 発毛効果のある薬剤や成長因子などを、注射や特殊な機器を用いて頭皮に直接注入する治療法。 |
自毛植毛 | 後頭部などAGAの影響を受けにくい部位の自身の毛髪を、薄毛の気になる部分に移植する外科的な治療法。 |
これらの治療法は単独で行われる場合もあれば、複数を組み合わせて行われるケースもあります。
早期相談のメリット
薄毛、特にAGAは進行性のため、放置しておくと症状は徐々に悪化していきます。治療の開始が遅れるほど改善までに時間がかかったり、十分な効果が得られにくくなったりする可能性があります。
薄毛のサインに気づいたらできるだけ早い段階で専門医に相談することが、効果的な治療への第一歩となります。
早期に適切な診断を受けて治療を開始すると、薄毛の進行を食い止め、より良い改善効果が期待できます。一人で悩まず、まずは専門のクリニックに相談してみましょう。
よくある質問
ヘアスプレーやシャンプー、そして薄毛全般に関して、患者様から寄せられることの多い質問とその回答をまとめました。
ヘアスプレーは毎日使っても大丈夫ですか?
正しい使い方をしてその日のうちにしっかり洗い流せば、毎日使用しても問題ない場合が多いです。ただし、頭皮に異常を感じたら使用を中止し、医師に相談してください。
シャンプーは朝と夜、どちらが良いですか?
基本的には夜のシャンプーをおすすめします。1日の汚れや皮脂、スタイリング剤をその日のうちに洗い流すと頭皮を清潔に保て、健やかな髪の成長環境を整えられます。
薄毛予防に特に効果的な食べ物は何ですか?
特定の食品だけが劇的に効くわけではありませんが、髪の主成分であるタンパク質、亜鉛、ビタミンB群などをバランス良く摂取することが重要です。肉、魚、大豆製品、緑黄色野菜、ナッツ類などを意識して摂りましょう。
AGA治療はいつから始めるべきですか?
AGAは進行性のため、薄毛が気になり始めたらできるだけ早く専門医に相談し、診断を受けると良いでしょう。早期に治療を開始するほうが進行を抑制しやすく、改善効果も期待しやすくなります。
シャンプーしない方が髪に良いというのは本当?
シャンプーを全くしないと皮脂や汚れが蓄積し頭皮環境が悪化するため、推奨できません。自分の頭皮タイプに合ったシャンプーで、適切な頻度(通常は1日1回程度)で洗うのが基本です。
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