妊娠初期に髪の毛が抜ける原因と対策 – ホルモンバランスの影響

妊娠初期に髪の毛が抜ける原因と対策 - ホルモンバランスの影響

妊娠という喜ばしい出来事の一方で、抜け毛が増えるという悩みを抱える女性は少なくありません。

妊娠初期は体調も気持ちも不安定になりがちで、ちょっとした変化に不安を感じる方もいるでしょう。

この記事では、なぜ妊娠初期に髪の毛が抜けるのか、その原因となるホルモンバランスの変化を中心に、ご自身でできる対策や専門的なケアについて詳しく解説します。

目次

妊娠初期の抜け毛は多くの女性が経験します

妊娠初期の抜け毛は決して珍しいことではなく、多くの妊婦さんが経験する体の変化の一つであり、過度に心配する必要はありません。

抜け毛はいつから始まるのか

妊娠初期の抜け毛が始まる時期には個人差がありますが、一般的には妊娠2ヶ月から4ヶ月頃に変化を感じ始める方が多いようです。

この時期は、つわりが始まったり、体がだるくなったりと、ホルモンバランスが大きく変動し始める時期と重なります。

髪の毛の成長サイクルがこのホルモンの変化に影響を受け、一時的に抜け毛が増加する場合があります。

どれくらいの量が「ひどい」抜け毛なのか

健康な人でも1日に50本から100本程度の髪の毛は自然に抜けます。妊娠初期には、この量が一時的に150本から200本以上に増える場合もあります。

シャンプーの時やブラッシングの際に以前よりも明らかに多くの髪が指に絡んだり、排水溝に溜まったりすることで「ひどい」と感じる方が多いでしょう。

ただし、髪全体のボリュームが目に見えて減るほど重度になるケースは稀です。

妊娠中の抜け毛は一時的なもの

最も重要な点は、妊娠に伴う抜け毛の多くは一時的な現象であるということです。

これは「休止期脱毛」と呼ばれる症状の一種で、ホルモンバランスが安定してくる妊娠中期から後期にかけて、自然と落ち着くケースがほとんどです。

出産後に再びホルモンバランスが変化し、「産後脱毛症」として抜け毛が増える方も多いですが、これも多くは一過性のものです。

なぜ妊娠初期に髪が抜けるのか?ホルモンの大変動

妊娠初期の抜け毛の最大の原因は、女性ホルモンの急激な変動です。

妊娠を維持するために、体内では「エストロゲン」と「プロゲステロン」という2つの主要な女性ホルモンが劇的に増加します。

これらのホルモンは、髪の毛の成長サイクルに直接的な影響を与えます。

女性ホルモン「エストロゲン」の役割

エストロゲンは一般的に「美のホルモン」とも呼ばれ、髪の毛の成長期を維持し、髪にツヤやハリを与える働きがあります。

妊娠中はエストロゲンの分泌量が増えるため、本来であれば髪は抜けにくくなり、豊かになる傾向があります。

しかし、体が急激なホルモン増加に適応する過程で一時的にヘアサイクルが乱れ、かえって抜け毛につながる場合があります。

「プロゲステロン」の増加とその影響

一方、プロゲステロンは妊娠を維持するために重要なホルモンです。このプロゲステロンの増加もまた、ヘアサイクルに影響を及ぼします。

プロゲステロンは皮脂の分泌を促す作用があるため、頭皮環境が変化し、毛穴の詰まりや炎症を引き起こすときがあります。

この頭皮環境の悪化が、抜け毛の一因となるケースも考えられます。

妊娠初期の主なホルモン変化と髪への影響

ホルモン名主な役割髪への影響(妊娠初期)
エストロゲン髪の成長期を維持する急激な増加でヘアサイクルが一時的に乱れることがある
プロゲステロン妊娠を維持する皮脂分泌を促進し、頭皮環境を変化させる可能性がある
hCG妊娠の維持を助けるつわりなどを通じて間接的に栄養状態に影響する

妊娠維持を支えるホルモンの髪への作用

これらのホルモンは、お腹の赤ちゃんを育むために連携して働きます。このダイナミックな変化に体が適応しようとする中で、自律神経のバランスも乱れがちになります。

自律神経は血管の収縮や拡張をコントロールしており、乱れると頭皮への血流が悪化する可能性があります。

血行不良は髪の成長に必要な栄養が毛根に届きにくくなる原因となり、抜け毛を助長します。

ホルモンバランス以外の抜け毛の要因

妊娠初期の抜け毛はホルモンバランスの変化が主な原因ですが、それ以外の要因も複雑に絡み合っています。

特に、妊娠初期特有の体の変化が、間接的に髪の健康に影響を与えることがあります。

栄養不足とつわりの関係

つわりがひどいと、食事が思うように摂れなくなりやすいです。

特定の物しか食べられなくなったり、吐き気が続いて十分な量を摂取できなかったりすると、髪の毛の成長に必要な栄養素が不足しがちになります。

髪は主にケラチンというタンパク質でできており、その生成には亜鉛やビタミン類も必要です。

これらの栄養が不足すると、健康な髪を維持できなくなり、抜け毛が増える原因となります。

髪の成長に大切な栄養素

栄養素主な働き多く含む食品例
タンパク質髪の主成分であるケラチンを作る肉、魚、卵、大豆製品
亜鉛ケラチンの合成を助ける牡蠣、レバー、牛肉、チーズ
ビタミンB群頭皮の新陳代謝を促す豚肉、うなぎ、玄米、納豆

精神的なストレスと自律神経の乱れ

妊娠は喜ばしいことであると同時に、体調の変化や出産への不安、将来の生活への期待と心配など、大きな精神的ストレスを伴う時期でもあります。

ストレスは自律神経のバランスを乱し、血管を収縮させて頭皮の血行を悪化させます。

この血行不良が、髪の毛に十分な栄養を届けられなくなり、抜け毛を引き起こす一因となります。

生活習慣の変化による影響

妊娠を機に、生活リズムが大きく変わる方も少なくありません。

例えば、眠気が強くなって日中の活動量が減ったり、つわりで夜中に目が覚めてしまったりと、睡眠パターンが乱れがちです。

質の良い睡眠は、体の修復や髪の成長を促す成長ホルモンの分泌に重要です。

睡眠不足や不規則な生活は、ホルモンバランスや自律神経の乱れを助長し、結果として髪の健康にも影響します。

髪と頭皮のために今すぐできるセルフケア

妊娠中の抜け毛はホルモンの影響が大きいため、完全に止めるのは難しいかもしれません。

しかし、適切なセルフケアを行うと、頭皮環境を整え、抜け毛を最小限に抑えられます。

母子の健康を第一に考えながら、無理のない範囲で取り入れてみましょう。

栄養バランスを意識した食事の工夫

つわりで食欲がない時でも、少しでも栄養を摂る工夫が大切です。

一度にたくさん食べようとせず、少量ずつ何回かに分けて食べる「分食」を試してみましょう。

そうめんやゼリー、スープなど、のどごしの良いものを選ぶのも一つの方法です。

髪の材料となるタンパク質、ビタミン、ミネラルをバランス良く摂るように意識し、特に亜鉛や鉄分は不足しがちなので、意識して食事に取り入れると良いでしょう。

つわり中でも摂りやすい食品

栄養素工夫のポイント食品例
タンパク質冷たくても食べやすいもの豆腐、茶碗蒸し、ヨーグルト
ビタミン酸味がありさっぱりしたものトマト、柑橘類、キウイ
ミネラルスープや飲み物で補給味噌汁、野菜スープ、麦茶

ストレスを溜めないリラックス方法

心と体の緊張をほぐす時間を作ることは、自律神経を整え、頭皮の血行を改善するためにとても重要です。

全てを完璧にこなそうとせず、意識的に休む時間を取りましょう。

  • 好きな音楽を聴く
  • 温かいハーブティーを飲む(カフェインレスのもの)
  • 軽いストレッチやマタニティヨガを行う
  • 信頼できる友人や家族と話す

自分に合ったリラックス方法を見つけ、毎日の生活に取り入れてみてください。

正しいシャンプーと頭皮マッサージ

頭皮を清潔に保つ習慣は、健康な髪を育む基本です。

ただし、抜け毛が気になるからと髪を洗うのをためらうのは逆効果です。古い皮脂や汚れが毛穴に詰まり、かえって頭皮環境を悪化させます。

低刺激のアミノ酸系シャンプーなどを使い、指の腹で優しくマッサージするように洗いましょう。

血行促進のために、シャンプー時以外にも、指の腹で頭皮全体を優しく動かすマッサージを取り入れるのもおすすめです。

正しいシャンプーの基本手順

手順ポイント
1. ブラッシング乾いた髪の状態で、毛先の絡まりをほどき、汚れを浮かせる
2. 予洗いぬるま湯で1〜2分かけて、頭皮と髪全体をしっかりと濡らす
3. シャンプーシャンプーを手のひらで泡立て、指の腹で頭皮をマッサージするように洗う
4. すすぎシャンプー剤が残らないよう、時間をかけて丁寧にすすぐ

睡眠の質を高める重要性

質の高い睡眠は、体の回復と髪の成長に欠かせません。

寝る前にスマートフォンやパソコンの画面を見るのは避け、部屋を暗くして静かな環境を整えましょう。

抱き枕を使ったり、楽な姿勢を見つけたりして、できるだけリラックスして眠れるように工夫することが大切です。

つわりがひどくないときで構いませんが、日中に適度な運動をすると夜の深い眠りにつながります。

変化する自分自身との向き合い方

体の変化は心の変化と密接に結びついており、特に髪の毛のような外見の変化は、女性の気持ちに大きな影響を与えます。

周囲に理解されにくい「見た目の変化」への不安

お腹が大きくなる変化は「妊婦さんらしい」と祝福されますが、抜け毛や肌荒れといった変化は、なかなか人に相談しにくいものです。

「妊娠中だから仕方ない」と周りから言われたり、自分でもそう言い聞かせたりしていても、鏡に映る自分の姿に落ち込んでしまうときもあるでしょう。

それは、あなたが弱いからではありません。妊娠中であっても女性として、美しくありたいと願う自然な気持ちです。この気持ちを、まずはご自身が認めてあげることが大切です。

完璧な母親である必要はないという考え方

妊娠すると、「お腹の赤ちゃんのために、栄養もストレス管理も完璧にしなくては」と、自分に厳しい基準を課してしまう方がいます。

そして、抜け毛が増えると「自分の管理が悪いからだ」と自分を責めてしまうケースも見受けられます。

しかし、妊娠中の体の変化は、自分の意志だけではコントロールできない部分が大きいのです。

完璧を目指すあまりストレスを溜め込むよりも、「今はこういう時期なのだ」と受け入れ、少し肩の力を抜くことが、結果的に心と体の健康につながります。

ストレスを感じた時の心の持ち方

よくある考え新しい視点
「抜け毛がひどい。どうしよう…」「体が赤ちゃんを育てるために頑張っている証拠なんだな」
「完璧な食事を摂らないと…」「食べられるものを、少しでも口にできれば大丈夫」
「周りに心配をかけたくない」「不安な気持ちを話すことで、自分も相手も楽になれるかも」

悩みを共有できる場所を見つける

夫やパートナー、家族や友人など、信頼できる人に今の気持ちを話してみましょう。言葉にするだけで、気持ちが整理され、楽になる場合があります。

また、同じ経験をしている、あるいは経験したことのある妊婦さんや先輩ママと話すのも良いでしょう。

地域の母親学級やオンラインのコミュニティなどで、悩みを共有できる仲間を見つけると、心の支えになります。

一人で抱え込まず、誰かとつながることが、この時期を乗り越える大きな力となります。

妊娠中でも安全な抜け毛対策とは

抜け毛が気になると、育毛剤や特別なヘアケア製品に頼りたくなりますが、妊娠中は使用できるものが限られます。

お腹の赤ちゃんへの影響を第一に考え、安全性を確認することが何よりも重要です。自己判断でケアを始める前に、まずは基本的な知識を身につけましょう。

使用を避けたいヘアケア成分

市販の育毛剤やヘアケア製品の中には、妊娠中の使用が推奨されない成分が含まれているものがあります。

特に、ホルモンに作用する成分や、経皮吸収によって赤ちゃんへの影響が懸念される成分には注意が必要です。

製品を選ぶ際は成分表示をよく確認し、「妊娠中・授乳中の方は使用を避けてください」といった注意書きがないか必ずチェックしてください。

妊娠中に注意したいヘアケア成分

成分カテゴリー注意が必要な理由
一部の精油(アロマオイル)ホルモン様作用や子宮収縮作用を持つ可能性がある
ミノキシジルなどの医薬品成分胎児への安全性が確立されていない
サリチル酸(高濃度配合の場合)大量使用による影響の懸念

医師に相談すべきタイミング

ほとんどの妊娠初期の抜け毛は生理的な範囲内ですが、中には注意が必要なケースもあります。

抜け毛だけでなく、頭皮に強いかゆみや湿疹、痛みがある場合や、円形脱毛症のように局所的にごそっと髪が抜ける場合は、皮膚科や薄毛治療の専門クリニックへの相談をおすすめします。

また、甲状腺機能の異常など、他の病気が隠れている可能性もゼロではありません。

抜け毛以外にも気になる症状(極端な体重の増減、強い倦怠感など)があれば、産婦人科の主治医に伝えましょう。

  • 円形など局所的な脱毛
  • 頭皮の強い炎症やかゆみ
  • 全体のボリュームが著しく減少

育毛剤やサプリメント使用の注意点

「妊娠中も使える」と謳っている育毛剤やサプリメントもありますが、使用する前には必ず産婦人科の主治医や専門医に相談してください。

安全性が高いとされる保湿成分や血行促進成分が中心のものであっても、体質に合うかどうかは個人差があります。

特にサプリメントは、特定の栄養素の過剰摂取につながるリスクもあります。

葉酸など、妊娠中に必要なサプリメントを既に服用している場合は、成分が重複しないかどうかの確認も重要です。

産後の抜け毛との違いと共通点

妊娠中の抜け毛について話すとき、しばしば「産後脱毛症」が話題に上ります。

妊娠初期の抜け毛と産後脱毛症の二つは、ホルモンバランスが関わるという点では共通していますが、その状態は異なります。

産後脱毛症の主な原因

産後脱毛症は出産後2〜3ヶ月頃から始まり、半年から1年ほど続くケースが多い症状です。

これは、妊娠中に高濃度で維持されていたエストロゲンが、出産を終えて急激に減少するのが主な原因です。

エストロゲンの働きで成長期が延長されていた髪の毛が一斉に休止期に入り、まとまって抜け落ちるために起こります。

妊娠初期と産後の抜け毛の比較

項目妊娠初期の抜け毛産後の抜け毛(産後脱毛症)
時期妊娠2〜4ヶ月頃産後2〜6ヶ月頃
主な原因ホルモン急増への適応、つわり、ストレスなど複合的エストロゲンの急激な減少
特徴比較的緩やかに増加することが多い一時的にまとまって抜けることが多い

妊娠初期の抜け毛との関連性

妊娠初期に抜け毛が多かったからといって、必ずしも産後の抜け毛がひどくなるとは限りません。逆もまた同様です。

しかし、妊娠初期の段階で栄養不足や強いストレス、不規則な生活などが続いていると、頭皮や髪自体の体力が落ちてしまう可能性があります。

これは、産後の回復力にも影響を与えるかもしれません。妊娠中から頭皮環境を整え、健やかな生活を心がけると、産後の抜け毛対策の土台作りにもなります。

産後を見据えた長期的な視点

妊娠から出産、そして育児へと続く期間は、女性の体と心にとって大きな変化の連続です。

髪の毛の問題も、妊娠初期だけで終わるのではなく産後まで続く可能性があると理解しておくと、心の準備ができます。

今行っている栄養管理やストレスケア、正しいヘアケアは、産後の自分のためにもなる投資だと考えて、前向きに取り組んでいきましょう。

抜け毛以外の妊娠初期の髪の変化

妊娠初期は、抜け毛以外にも髪や頭皮に様々な変化が現れる場合があります。

ホルモンバランスや体調の変化が、髪質そのものや頭皮の状態に影響を与えるためです。

髪質の変化(パサつき・うねり)

「今まで直毛だったのに、髪がうねるようになった」「髪がパサパサしてまとまらない」といった髪質の変化を感じる方もいます。これもホルモンバランスの変化が一因と考えられます。

また、つわりによる栄養不足で髪の内部の水分や油分が不足し、パサつきや切れ毛につながる場合もあります。

保湿効果の高いトリートメントを使ったり、洗い流さないトリートメントで保護したりするケアが有効です。

頭皮の乾燥やかゆみ

プロゲステロンの影響で皮脂が増える方もいれば、逆に体の水分バランスが変化して頭皮が乾燥しやすくなる方もいます。

頭皮が乾燥するとバリア機能が低下して外部からの刺激に敏感になり、かゆみやフケの原因となります。

刺激の少ないシャンプーを選び、洗いすぎに注意することが大切です。保湿成分の入った頭皮用ローションなどを使うのも良いでしょう。

髪や頭皮の変化とセルフケア

変化の種類考えられる原因セルフケアのポイント
パサつき・ごわつきホルモンバランス、栄養不足保湿力の高いトリートメント、オイルケア
うねり・くせ毛ホルモンバランスによる毛穴の形の変化スタイリング剤の活用、負担の少ない髪型
頭皮の乾燥・かゆみ水分不足、バリア機能の低下低刺激シャンプー、頭皮用保湿ローション

白髪が増えることはあるのか

妊娠中に白髪が増えたと感じる方もいるようです。

白髪の直接的な原因は、髪を黒くするメラニン色素を作る細胞(メラノサイト)の機能低下ですが、妊娠が直接的に白髪を増やすという医学的根拠は明確ではありません。

しかし、妊娠に伴うストレスや栄養不足がメラノサイトの働きに間接的に影響を与え、白髪が目立つようになる可能性は考えられます。

Q&A

さいごに、妊娠初期の髪の悩みについて、患者さんからよくいただく質問とその回答をまとめました。

妊娠中のヘアカラーやパーマは問題ないですか?

妊娠中のヘアカラーやパーマが、お腹の赤ちゃんに直接影響するという科学的根拠はほとんどありません。

しかし、妊娠中は頭皮が非常にデリケートになっているため、薬剤がしみたり、かぶれたりするリスクが高まります。また、つわりの時期は薬剤のにおいで気分が悪くなるときもあります。

もし行う場合は、体調が安定している時期を選び、事前に美容師に妊娠中であることを伝え、頭皮に薬剤がつかないように塗ってもらうなどの配慮をしてもらうと良いでしょう。

抜け毛はいつ頃落ち着きますか?

個人差が大きいですが、多くの場合、ホルモンバランスが安定してくる妊娠中期(5ヶ月頃)から後期にかけて、抜け毛は次第に落ち着いてきます。

つわりが治まって栄養状態が改善することも、抜け毛が減る一因です。

もし妊娠後期になっても抜け毛が減らない、あるいは悪化するような場合は、一度専門医に相談すると良いでしょう。

二人目の妊娠でも同じように抜けますか?

一人目の妊娠時に抜け毛がひどかったからといって、二人目も同じとは限りません。その逆も然りです。

妊娠のたびにホルモンの変動の仕方や体の反応は異なるため、抜け毛の程度も変わる場合があります。

ただし、一度経験していると心の準備ができたり、対策を早めに始められたりするという利点はあります。

抜け毛がひどい場合、何科を受診すればよいですか?

まずは、かかりつけの産婦人科医に相談するのが第一歩です。

その上で、より専門的な診断や治療が必要と判断された場合は、皮膚科、あるいは女性の薄毛治療を専門とするクリニックの受診を検討してください。

特に、頭皮の炎症が強い場合や、明らかに一部分だけが抜ける円形脱毛症のような症状がある場合は、早めの受診が大切です。一人で悩まず、専門家の力を頼ってください。

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この記事を書いた人

Dr.前田祐助のアバター Dr.前田祐助 AGAメディカルケアクリニック 統括院長

経歴
慶應義塾大学医学部医学研究科卒業
慶應義塾大学病院 初期臨床研修課程終了
大手AGAクリニック(院長)を経て、2018年AGAメディカルケアクリニック新宿院を開設

資格
医師免許
⽇本医師会認定産業医
医学博士

所属学会
日本内科学会
日本美容皮膚科学会
日本臨床毛髪学会

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