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女性の薄毛に効く食品と栄養素|日常の食事改善法

女性の薄毛に効く食品と栄養素|日常の食事改善法

クリニックの診察で、「薄毛に効果のある食べ物は?」「食生活と薄毛は関係している?」「薄毛を治す食べ物を知りたい」といった質問をいただくときがあります。

食べ物で薄毛対策・予防を行いたい方も多いようです。実は、毎日の食事が髪の健康に大きな影響を与えています。

この記事では、女性の薄毛対策として、髪に良い栄養素や具体的な食品、そして日常で続けやすい食事改善のポイントを分かりやすく解説します。

目次

食事と髪の健康の深いつながり

私たちの体は、食べたものから作られています。髪も例外ではなく、日々の食事がその健康状態を左右します。

バランスの取れた食事は、健やかな髪を育むための土台となります。

髪の毛は何からできている?

髪の主成分は「ケラチン」というタンパク質です。このケラチンは、約18種類のアミノ酸から構成されています。

つまり、良質なタンパク質の摂取が、丈夫な髪を作るための第一歩です。

タンパク質が不足すると、髪が細くなったり、ツヤが失われたりする原因になります。

栄養バランスが髪に与える影響

髪の健康にはタンパク質だけでなく、ビタミンやミネラルといった栄養素も深く関わっています。

これらの栄養素がバランス良く働くことで頭皮環境が整い、毛母細胞が活性化し、健康な髪が育ちます。

特定の栄養素だけを過剰に摂取するのではなく、多様な食品からバランス良く栄養を摂る工夫が大切です。

髪の成長に関わる主な栄養素群

栄養素群役割不足時の影響例
タンパク質髪の主成分を構成髪の細り、ツヤ低下
ビタミン頭皮環境の維持、代謝促進頭皮の乾燥、フケ、抜け毛
ミネラル髪の成長サポート、ホルモンバランス調整髪のパサつき、成長不良

食生活の乱れが薄毛を招くことも

偏った食事や無理なダイエット、欠食などは髪に必要な栄養素の不足を引き起こし、薄毛の原因となるケースがあります。

なかでもインスタント食品やファストフードに偏った食生活は、ビタミンやミネラルが不足しがちです。

また、過度な飲酒や喫煙も、髪の健康に悪影響を与えることが知られています。

健やかな髪を育むために必要な栄養素

美しい髪を維持するためには、さまざまな栄養素が必要です。

ここでは、特に重要な栄養素とその働きについて詳しく見ていきましょう。

タンパク質|髪の基本となる成分

前述の通り、髪の約80~90%はケラチンというタンパク質で構成されています。

そのため、肉や魚、卵や大豆製品などから良質なタンパク質を十分に摂取することが、健康な髪を作る上で基本となります。

タンパク質が不足すると髪が細くなったり、パサついたり、抜けやすくなったりします。

ビタミン群|頭皮環境を整え、髪の成長をサポート

ビタミンにはA、Bなどの種類がありますがは、それぞれが髪の健康に異なる形で貢献します。

ビタミンA

頭皮の新陳代謝を促し、健康な状態に保ちます。不足すると頭皮が乾燥しやすくなります。

ビタミンB群

特にビタミンB2やB6、ビオチンやパントテン酸などが重要です。これらは、タンパク質の代謝を助け、頭皮の血行を促進し、皮脂の分泌を調整する働きがあります。

ビタミンC

コラーゲンの生成を助け、頭皮の弾力性を保ちます。また、鉄分の吸収を高める働きもあります。

ビタミンE

強い抗酸化作用を持ち、血行を促進して毛母細胞に栄養を届けやすくします。

髪に良いとされるビタミンとその働き

ビタミン主な働き多く含む食品例
ビタミンA頭皮の新陳代謝促進レバー、うなぎ、緑黄色野菜
ビタミンB群タンパク質代謝、血行促進豚肉、マグロ、カツオ、納豆
ビタミンE血行促進、抗酸化作用アーモンド、アボカド、植物油

ミネラル|髪の生成や成長に不可欠

ミネラルもまた、髪の健康維持に欠かせない栄養素です。

亜鉛

ケラチンの合成に必要で、不足すると髪の成長が遅れたり、抜け毛が増えたりする場合があります。

鉄分

血液中のヘモグロビンの材料となり、頭皮への酸素供給に関わります。不足すると髪に十分な栄養が行き渡らず、薄毛の原因になるときがあります。

メラニン色素の生成に関わり、髪の色を保つ働きがあります。また、鉄分の吸収を助けます。

薄毛対策に効果が期待できる食品群

具体的にどのような食品を摂取すれば、髪に良い栄養素を効率的に摂れるのでしょうか。

ここでは、薄毛対策に役立つとされる食品群を見ていきましょう。

良質なタンパク質源|肉・魚・卵・大豆製品

髪の主成分であるタンパク質をしっかり摂るのが基本です。脂肪分の少ない赤身の肉や鶏むね肉、青魚(サバ、イワシなど)、卵、豆腐や納豆などの大豆製品をバランス良く食事に取り入れましょう。

大豆製品に含まれるイソフラボンは女性ホルモンと似た働きをすると言われ、薄毛対策にも期待されています。

タンパク質を多く含む代表的な食品

  • 鶏むね肉
  • 豆腐

ビタミン・ミネラルが豊富|緑黄色野菜や果物

ほうれん草、ブロッコリー、パプリカなどの緑黄色野菜や、柑橘類、ベリー類などの果物には、ビタミンA・C・Eや葉酸などが豊富に含まれています。

これらのビタミンは頭皮環境を整え、髪の成長をサポートします。

色の濃い野菜や果物を積極的に摂るように心がけましょう。

亜鉛を多く含む食品|牡蠣・レバー・ナッツ類

亜鉛は髪の毛の主成分であるケラチンの合成に不可欠なミネラルです。

牡蠣は特に亜鉛が豊富ですが、レバーや牛肉(赤身)、ナッツ類(アーモンド、カシューナッツなど)や種実類(かぼちゃの種など)にも含まれています。

ただし、ナッツ類はカロリーが高いので食べ過ぎには注意が必要です。

亜鉛が豊富な食品とその含有量目安(可食部100gあたり)

食品名亜鉛含有量(mg)備考
牡蠣(生)14.0非常に豊富
豚レバー(生)6.9鶏・牛レバーも豊富
牛肉(もも、赤身、生)4.4部位により異なる

鉄分補給に役立つ食品|レバー・赤身肉・緑黄色野菜

鉄分は、頭皮への酸素供給に重要な役割を果たします。

レバーや赤身の肉、カツオなどの魚介類、ほうれん草や小松菜などの緑黄色野菜、ひじきなどの海藻類に多く含まれます。

ビタミンCと一緒に摂ると鉄分の吸収率がアップします。

コンビニ食や外食が多いけど大丈夫?忙しい女性のための食事選びのコツ

毎日自炊をするのが難しい、仕事が忙しくてついコンビニ食や外食に頼ってしまう、という女性も多いのではないでしょうか。

「栄養バランスが偏りがちで、髪に良くないのでは…」と心配になるかもしれません。

しかし、選び方次第で、忙しい中でも髪に良い食事を摂ることが可能です。

コンビニ食を選ぶ際のポイント

コンビニエンスストアでも、選び方次第で栄養バランスを整えられます。

お弁当を選ぶ際は、野菜が多く、揚げ物が少ないものを選びましょう。

単品で購入するときはおにぎりやサンドイッチだけでなく、サラダやゆで卵、ヨーグルトや豆乳などを組み合わせるのがおすすめです。海藻類やきのこ類が入った味噌汁やスープも良いでしょう。

コンビニでの賢い組み合わせ例

主食主菜・副菜その他
鮭おにぎり野菜サラダ(海藻入り)、ゆで卵豆乳
全粒粉サンドイッチ鶏むね肉のサラダチキン、温野菜無糖ヨーグルト

外食時のメニュー選びの注意点

外食では定食スタイルのメニューを選ぶと主食・主菜・副菜が揃いやすく、比較的バランスが取りやすいです。

丼物や麺類単品よりも、野菜やタンパク質がしっかり摂れるものを選びましょう。

例えば、焼き魚定食、生姜焼き定食などがおすすめです。洋食の場合は、サラダやスープを付ける、パンよりもライスを選ぶなどの工夫も有効です。

脂質の多い揚げ物やクリーム系の料理は控えめにしましょう。

間食の選び方で栄養をプラス

小腹が空いた時の間食も、髪に良いものを選べば栄養補給のチャンスになります。

スナック菓子や甘いお菓子ではなく、素焼きのナッツ類やドライフルーツ(無糖)、ヨーグルトやチーズなどがおすすめです。

これらはタンパク質やビタミン、ミネラルを手軽に補給できます。

サプリメントを上手に活用する

どうしても食事だけでは必要な栄養素を十分に摂るのが難しいときは、サプリメントを活用するのも一つの方法です。

ただし、サプリメントはあくまで食事の補助として考え、基本はバランスの取れた食事を心がけることが大切です。

どのサプリメントが良いか迷う場合は、医師や管理栄養士に相談しましょう。

薄毛予防・改善のための食事改善プラン

髪の健康のためには特定の食品を食べるだけでなく、食生活全体の見直しが重要です。

1日に摂りたい栄養素の目標量

厚生労働省が策定する「日本人の食事摂取基準」では、各栄養素の推奨量や目標量が示されています。

これを参考に、自分の年齢や活動量に合った量を摂取するのが理想です。なかでもタンパク質や亜鉛、鉄分やビタミンB群などは意識して摂りたい栄養素です。

成人女性(30~49歳)の主な栄養素摂取推奨量/目標量(1日あたり)

栄養素推奨量/目標量備考
タンパク質50g体重1kgあたり1.0~1.2gが目安
亜鉛8mg吸収率を考慮
鉄(月経あり)10.5mg月経なしの場合は6.5mg

上記はあくまで目安です。個々の状況により必要な量は異なります。

バランスの良い献立の立て方

バランスの良い食事の基本は「主食・主菜・副菜」を揃えることです。

主食(ごはん、パン、麺類)でエネルギー源となる炭水化物を、主菜(肉、魚、卵、大豆製品)でタンパク質を、副菜(野菜、きのこ類、海藻類)でビタミン、ミネラル、食物繊維を摂るように意識しましょう。

1日3食、できるだけ決まった時間に食べる習慣も大切です。

髪に良くない食習慣の見直し

以下のような食習慣は、髪の健康に悪影響を与える可能性があるため、見直しを検討しましょう。

  • 過度な脂質の摂取
  • 糖質の摂りすぎ
  • 刺激物の過剰摂取(香辛料、カフェインなど)
  • 極端な食事制限

これらは頭皮環境を悪化させたり、必要な栄養素の吸収を妨げたりする可能性があります。

調理方法の工夫で栄養価アップ

食材の栄養を効率よく摂るためには、調理方法も大切です。

ビタミンB群やビタミンCは水に溶けやすい性質があるため、茹でるよりも蒸したり、スープにして汁ごと食べたりするのがおすすめです。

また、油を使った炒め物はビタミンAやEの吸収を高めますが、油の使いすぎには注意しましょう。

食事改善を続けるためのヒントと注意点

髪に良い食生活は、一日だけ頑張っても効果は現れません。継続が何よりも大切です。

ここでは、薄毛にいい食べ物を無理なく続けるためのヒントや注意点をお伝えします。

無理なく続けられる目標設定

どんなことでもそうですが、最初から完璧を目指すと長続きしません。

「まずは1日1品、髪に良い食材を取り入れる」「外食では野菜の多いメニューを選ぶ」など、小さな目標から始めましょう。

少しずつ習慣化していくのが、成功の秘訣です。

記録をつけるメリット

毎日の食事内容を簡単に記録するのもおすすめです。何を食べたかを見返すと、栄養の偏りに気づいたり、改善点が見えてきたりします。

最近では、食事記録アプリなども手軽に利用できます。

食事だけで改善しない場合の考え方

バランスの取れた食事を心がけても、なかなか薄毛が改善しない場合は、他の原因が隠れている可能性もあります。

ホルモンバランスの乱れや、遺伝的要因、ストレス、あるいは何らかの疾患が影響していることも考えられます。

そのようなときは自己判断せずに専門のクリニックを受診し、医師に相談すると良いです。食事改善はあくまで薄毛対策の一環であり、根本的な解決には専門的な治療が必要なケースもあります。

過度な食事制限は逆効果

早く効果を出したいからといって、極端な食事制限をするのは禁物です。

特定の食品だけを食べるような偏った食事や、カロリーを極端に抑えるダイエットは、かえって髪に必要な栄養素が不足し、薄毛を悪化させる可能性があります。

健康的な髪は、健康な体から作られる点を忘れないようにしましょう。

サプリメントの活用法と選び方

忙しい現代人にとって、毎日の食事だけで髪に必要な全ての栄養素を完璧に摂取するのは難しい場合もあります。

そのような時に、補助的にサプリメントを活用するのも一つの選択肢です。

サプリメントはあくまで補助

まず理解しておきたいのは、サプリメントはあくまで「栄養補助食品」であり、食事の代わりにはならないという点です。

基本はバランスの取れた食事が前提であり、サプリメントはその上で不足しがちな栄養素を補うものと考えましょう。

髪に良いとされるサプリメントの成分

薄毛対策として注目されるサプリメントの成分には、以下のようなものがあります。

成分名期待される主な働き
亜鉛ケラチン合成のサポート
ビオチン(ビタミンB群)皮膚や粘膜の健康維持、タンパク質代謝
ノコギリヤシ男性ホルモンの影響抑制(主に男性型脱毛症向け)
イソフラボン女性ホルモン様作用

ただし、これらの成分の効果には個人差があり、科学的根拠が十分でないものもあります。

サプリメントを選ぶ際の注意点

サプリメントを選ぶ際は、成分表示や含有量、製造元などをしっかり確認しましょう。

過剰摂取はかえって健康を害する場合もあるため、推奨される摂取量を守るのが大切です。

また、複数のサプリメントを併用する方は、成分の重複や相互作用にも注意が必要です。

医師や専門家への相談

どのサプリメントを選べば良いか分からないときや、持病がある方、薬を服用中の方は、自己判断せずに医師や薬剤師、管理栄養士などの専門家に相談しましょう。

自分の体質や食生活に合ったアドバイスを受けられます。

女性の薄毛と食事に関するよくある質問

女性の薄毛と食生活は密接に関わっています。

薄毛を治すためにはコツコツとした積み重ねが必要ですので、髪にいい食べ物をまんべんなく摂り続けるようにしましょう。

特定の食品を食べれば髪は生えてきますか?

残念ながら、「これを食べれば必ず髪が生える」という魔法のような食品はありません。

髪の健康はさまざまな栄養素がバランス良く働くことで保たれます。特定の食品に頼るのではなく、多様な食品を組み合わせたバランスの良い食事を継続していきましょう。

ただ、薄毛の原因は食事だけでなくホルモンバランスや遺伝、ストレスなど多岐にわたるため、食事改善だけで全てが解決するわけではない点には注意が必要です。

ダイエットをすると薄毛になりますか?

極端な食事制限を伴う無理なダイエットは、髪に必要な栄養素が不足し、薄毛を引き起こす可能性があります。

特に、タンパク質や亜鉛、鉄分などが不足すると、髪の成長に悪影響が出やすいです。

健康的に体重を管理する場合でもバランスの取れた食事を心がけ、必要な栄養素はしっかり摂取するようにしましょう。

髪に良い食事を続ければ、どれくらいで効果が出ますか?

食事改善による髪への効果は、すぐには現れません。

髪の毛には成長サイクル(毛周期)があり、新しい健康な髪が育ち、その効果が目に見えるようになるまでには一般的に3ヶ月から6ヶ月程度の期間が必要と言われています。

効果の現れ方には個人差があるため、焦らずに根気強く続けることが大切です。

また、食事改善はあくまで薄毛対策の一つであり、他の要因が関わっている場合は専門医の診断と治療が必要になるケースもあります。

妊娠中や授乳中に特に気を付けるべき食事はありますか?

妊娠中や授乳中は、通常時よりも多くの栄養素が必要となるため、特にバランスの取れた食事が重要です。鉄分やカルシウム、葉酸やタンパク質などを意識して摂取しましょう。

ただし、ビタミンAの過剰摂取は胎児に影響を与える可能性があるため、レバーなどの摂取量には注意が必要です。また、特定の食品を極端に避けたり、偏った食事をしたりするのは良くありません。

不安な点があれば、かかりつけの医師や管理栄養士に相談すると安心です。

参考文献

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この記事を書いた人

Dr.前田祐助のアバター Dr.前田祐助 AGAメディカルケアクリニック 統括院長

経歴
慶應義塾大学医学部医学研究科卒業
慶應義塾大学病院 初期臨床研修課程終了
大手AGAクリニック(院長)を経て、2018年AGAメディカルケアクリニック新宿院を開設

資格
医師免許
⽇本医師会認定産業医
医学博士

所属学会
日本内科学会
日本美容皮膚科学会
日本臨床毛髪学会

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