毎日のスタイリングにヘアアイロンが欠かせない方も多いのではないでしょうか。
手軽に理想の髪型を作れる一方で、使い方を誤ると髪に大きなダメージを与えてしまう可能性があります。
「アイロンの適切な温度は何度?」「高温で使うと髪はどうなるの?」といった疑問をお持ちの方は多いようです。
この記事では、ヘアアイロンが髪に与える影響と、髪質に合わせた正しい温度設定、そしてダメージを最小限に抑えるための具体的な対策について、専門的な視点から詳しく解説します。
美しい髪を保ちながら、ヘアアイロンと上手に付き合っていくための知識を深めましょう。
ヘアアイロンによる熱ダメージのメカニズム
ヘアアイロンは、熱を利用して髪の形状を一時的に変える便利な道具です。
髪の健康を守るためには、その熱が髪にどのような影響を与えるのかを理解しておくことが非常に重要です。
誤った使い方や過度な熱は髪の主成分であるタンパク質を変化させ、乾燥や枝毛、切れ毛といった様々なトラブルを引き起こします。
髪の基本構造と熱の影響
髪の毛は3つの層から成り立っています。中心部にある「メデュラ」、その周りを覆う「コルテックス」、そして一番外側でうろこ状に重なり合っている「キューティクル」です。
コルテックスには髪の色素や水分が含まれており、髪のしなやかさや強さを保つ役割を担っています。
ヘアアイロンの熱は、これらの構造、特にキューティクルとコルテックスに影響を与えます。
髪の各層の役割
髪の層 | 主な役割 | 熱による影響 |
---|---|---|
キューティクル | 髪の内部を保護、ツヤを与える | 剥がれ、めくれ上がり、ツヤの消失 |
コルテックス | 髪の強度、弾力性、水分保持 | タンパク質変性、水分蒸発、空洞化 |
メデュラ | 髪の芯(存在しない場合もある) | 直接的な影響は少ないが、髪全体の構造に関わる |
キューティクルの損傷とは
健康な髪のキューティクルは、うろこ状の細胞が整然と重なり合い髪の内部を保護しています。
しかし、ヘアアイロンの高温にさらされると、このキューティクルが剥がれたり、めくれ上がったりやすいです。
キューティクルが損傷すると髪の内部の水分やタンパク質が流出しやすくなり、髪のパサつきや手触りの悪化につながります。
また、外部からの刺激にも弱くなり、さらなるダメージを受けやすい状態になります。
タンパク質変性と水分蒸発
髪の約80%はケラチンというタンパク質で構成されています。
タンパク質は熱に弱く、一定以上の温度に達すると変性してしまいます。これを「熱変性」と呼びます。卵を加熱すると白く固まるのと同じ現象です。
髪のタンパク質が熱変性を起こすと髪は硬くなり、もろくなってしまいます。
また、アイロンの熱は髪内部の水分を急激に蒸発させます。適度な水分は髪の柔軟性やうるおいを保つために必要ですが、これが失われると髪は乾燥し、パサパサとした手触りになります。
特に高温でアイロンを当てると髪内部で水蒸気爆発が起こり、髪の内部構造を破壊するケースもあります。
熱ダメージによる髪質の変化
ヘアアイロンによる熱ダメージが蓄積すると、髪質は徐々に悪化していきます。
初期の段階では手触りの変化やツヤの減少程度かもしれませんが、進行すると以下のような様々な問題が現れます。
- パサつき、乾燥
- 枝毛、切れ毛の増加
- 髪の広がり、まとまりのなさ
- ツヤの消失
- ごわつき、硬化
これらの変化は、見た目の美しさを損なうだけでなく、スタイリングのしにくさにもつながります。
髪のダメージは一度進行すると完全に元に戻すのは難しいため、日頃からの予防と適切なケアが大切です。アイロンの温度管理は、その第一歩と言えるでしょう。
ヘアアイロンの正しい温度設定
ヘアアイロンを使用する上で最も重要なポイントの一つが「温度設定」です。髪質や状態に合わない温度で使用し続けると、深刻なダメージを引き起こす可能性があります。
アイロンの高温は何度を指すのか、何度までなら大丈夫なのか、多くの方が気にされる点です。
ここでは、髪質別の推奨温度や、温度設定が高すぎたり低すぎたりする場合のリスクについて解説します。
髪質別推奨温度の目安
一概に「この温度がベスト」とは言えません。髪の太さ、硬さ、ダメージの度合いによって、適切な温度は異なります。一般的に、細く柔らかい髪は低温で、太く硬い髪はやや高めの温度でスタイリングしやすい傾向があります。しかし、ダメージヘアの場合は、髪質に関わらず低温設定を心がけることが重要です。
髪質とアイロン温度の目安
髪質 | 推奨温度範囲 | ポイント |
---|---|---|
細い・柔らかい髪 | 120℃~140℃ | 低温でも形がつきやすい。高温は避ける。 |
普通の髪 | 140℃~160℃ | 髪の状態を見ながら調整。 |
太い・硬い髪・くせ毛 | 160℃~180℃ | 高温になりすぎないよう注意。180℃を超える場合は短時間で。 |
ダメージ毛(カラー、パーマ等) | 100℃~120℃ | できるだけ低温で。必要に応じてスタイリング剤を併用。 |
ご自身の髪質がわからない場合は、美容師に相談してみるのも良いでしょう。
また、初めてアイロンを使用する際は低い温度から試し、徐々に上げていくと髪への負担を抑えられます。
温度設定が高すぎることのリスク
「高温の方が早くスタイリングできるし、しっかりクセがつく」と考え、常に高い温度で使用している方もいるかもしれません。
しかし、180℃を超えるような高温設定は、髪に深刻なダメージを与えるリスクが非常に高まります。
髪のタンパク質は、乾いた状態では約130℃から、濡れた状態では約60℃から変性を始めると言われています。
高温でアイロンを当てると、このタンパク質変性を急激に進行させ、髪を硬くもろくしてしまいます。
また、キューティクルが大きく損傷し、髪内部の水分が過剰に蒸発するため極度の乾燥やパサつき、枝毛や切れ毛を招きます。
特に細い髪やダメージ毛の場合、高温は致命的なダメージにつながるケースもありますので、注意が必要です。
温度設定が低すぎることの影響
逆に、温度設定が低すぎるとスタイリングに時間がかかったり、クセがつきにくかったりする場合があります。その結果、同じ箇所に何度もアイロンを当ててしまい、かえって髪に負担をかけてしまうケースも見られます。
低温であればダメージがないというわけではなく、長時間熱にさらされるのも髪には良くありません。
髪質に合った適切な温度で、手早くスタイリングを終えるのが理想的です。もし低温でうまくスタイリングできない場合は、アイロンの当て方やスタイリング剤の使用を見直してみましょう。
ヘアアイロンの種類と特徴 – あなたに合う一台は?
ヘアアイロンには様々な種類があり、それぞれ特徴や得意なスタイリングが異なります。
プレートの材質や機能、形状などを理解してご自身の髪質や目的に合ったものを選ぶと、美しいスタイリングと髪の健康維持につながります。
材質別プレートの特徴
ヘアアイロンのプレートに使われる主な材質には、セラミック、チタン、テフロンなどがあります。
それぞれの材質が持つ特性を理解し、自分の髪質や使い方に合ったものを選びましょう。
プレート材質の比較
材質 | 特徴 | メリット・デメリット |
---|---|---|
セラミック | 熱伝導が均一、滑りが良い | メリット:髪への摩擦が少ない、遠赤外線効果で芯から温める。 デメリット:衝撃に弱い場合がある。 |
チタン | 熱伝導が速い、耐久性が高い | メリット:短時間で設定温度に達する、滑りが非常に良い。 デメリット:価格が高めな傾向。 |
テフロン(コーティング) | 滑りが良い、薬剤に強い | メリット:髪が絡みにくい、パーマ液などが付着しても傷みにくい。 デメリット:コーティングが剥がれると性能が低下する。 |
スチーム機能付きアイロンの効果
スチーム機能付きのヘアアイロンは、高温の蒸気を髪に当てながらスタイリングするものです。
スチームによって髪に水分を補給しながらクセを伸ばすため、乾燥を抑え、しっとりとした仕上がりが期待できます。特に髪のパサつきが気になる方や、よりダメージを抑えたい方に向いています。
ただし、スチームの量や温度が適切でないと、かえって髪を傷める可能性もあるため、製品の取扱説明書をよく読んで正しく使用することが重要です。
コードレスアイロンの利便性と注意点
コードレスタイプのヘアアイロンは、コンセントがない場所でも手軽に使用できるため、旅行先や外出先での化粧直しなどに便利です。
充電式でコンパクトな製品が多く、持ち運びにも適しています。
一方で、コード付きの製品に比べてパワーが劣る場合や、連続使用時間が短い場合があります。
また、充電が切れると使用できないため、使用シーンや頻度を考慮して選ぶ必要があります。
メインのアイロンとして使うか、サブとして携帯用にするかなど用途に合わせて検討しましょう。
形状別(ストレート、カール)選びのポイント
ヘアアイロンの形状は、主にストレート用とカール用に分けられます。
ストレートアイロンはプレートが平らで、髪を挟んでまっすぐに伸ばすのに適しています。
一方、カールアイロンは、プレート部分が円筒状になっており、髪を巻き付けてカールやウェーブを作るのに使います。
最近では、一台でストレートとカールの両方が作れる2wayタイプや、アタッチメントを交換することで様々なスタイルに対応できる製品もあります。
ご自身がどのようなヘアスタイルを楽しみたいかによって、適した形状を選びましょう。
ヘアアイロン使用時のNG行動と正しい使い方
ヘアアイロンは正しく使えば美しいスタイルを実現できますが、誤った使い方は髪に大きな負担をかけます。
ここでは、特に避けたいNG行動と、髪を守るための正しい使い方について解説します。日々の習慣を見直してみましょう。
濡れた髪への使用は絶対NG
濡れた髪に高温のヘアアイロンを当てるのは、最も避けたい行動の一つです。
髪が濡れている状態ではキューティクルが開いており、非常にデリケートです。そこに高温のプレートを当てると、髪内部の水分が急激に沸騰し、水蒸気爆発を起こすケースがあります。
この現象は髪の内部構造を破壊し、深刻なダメージを引き起こします。
アイロンを使用する前には、必ず髪をしっかりと乾かすのが鉄則です。タオルドライ後、ドライヤーで根元から毛先まで丁寧に乾かしましょう。
同じ箇所への長時間の使用
クセがつきにくいからといって、同じ箇所に何度もアイロンを滑らせたり、長時間プレートで挟み続けたりするのも髪には良くありません。
髪の同じ部分に熱が集中するとその部分だけが過度に乾燥し、タンパク質変性を起こしやすいです。
スタイリングの際はアイロンをゆっくりと、しかし止めずに一定の速度で滑らせるようにしましょう。
一度でクセがつかないときは少し時間を置いてから再度試すか、温度設定やスタイリング剤の使用を見直してみると良いです。
スタイリング剤の適切な使用タイミング
スタイリング剤はヘアアイロンの熱から髪を守ったり、スタイルをキープしたりするのに役立ちます。
しかし、使用するタイミングや種類を間違えると、効果が半減したり、かえって髪に負担をかけたりする場合もあります。
熱保護成分が含まれたスタイリング剤は、アイロンを使用する前に塗布するのが一般的です。これにより、熱による直接的なダメージを軽減できます。
一方、キープ力の高いスプレーなどは、スタイリングの最後に使用します。
スタイリング剤の種類と使用タイミング
スタイリング剤の種類 | 主な使用タイミング | 期待できる効果 |
---|---|---|
ヒートプロテクト剤(ミスト、オイル等) | アイロン前(乾いた髪に) | 熱ダメージ軽減、保湿 |
スタイリングローション・ウォーター | アイロン前(軽く湿らせる程度) | クセ付け補助、まとまり向上 |
ヘアワックス・クリーム | アイロン後 | 束感、動き、質感調整 |
ヘアスプレー | アイロン後(仕上げ) | スタイルキープ |
製品によって推奨される使用方法が異なる場合があるため、必ず説明書を確認しましょう。
アイロン前のブラッシングの重要性
ヘアアイロンを使用する前のブラッシングは、意外と見落としがちな重要なステップです。
ブラッシングには以下のようなメリットがあります。
- 髪の絡まりを解き、アイロンをスムーズに通しやすくする
- ホコリや汚れを取り除き、熱が均一に伝わるようにする
- 髪の流れを整え、スタイリングしやすくする
髪が絡まったままアイロンを当てると摩擦でキューティクルを傷つけたり、熱が均一に伝わらずスタイリングにムラができたりする原因になります。
毛先から優しくときほぐし、全体を丁寧にブラッシングしてからアイロンを使用しましょう。
髪へのダメージを最小限に抑えるためのデイリーヘアケア
ヘアアイロンによるダメージを完全に避けるのは難しいかもしれませんが、日々の適切なヘアケアによって、その影響を最小限に抑えることは可能です。
アイロンを使う習慣がある方こそ、髪をいたわるケアを心がけましょう。
アイロン前後の保湿ケア
ヘアアイロンの熱は髪の水分を奪いやすいため、使用前後の保湿ケアが非常に重要です。
アイロン前には洗い流さないトリートメントやヘアオイルなどを髪に塗布し、熱からの保護と水分補給を心がけましょう。特に毛先など乾燥しやすい部分は念入りにケアします。
アイロン後も、髪の熱が冷めてから再度保湿剤を使用するとパサつきを抑え、うるおいをキープするのに役立ちます。
ただし、つけすぎるとベタつきの原因になるため、適量を守ることが大切です。髪の状態に合わせて、水分と油分のバランスを考えた保湿をしましょう。
熱保護成分配合のスタイリング剤の活用
ヒートプロテクト効果のあるスタイリング剤は、ヘアアイロンの熱ダメージから髪を守る強い味方です。
これらの製品には、髪の表面に保護膜を形成して熱の直接的な影響を和らげる成分や、髪内部の水分蒸発を抑える成分が含まれています。
シリコンやポリマー、植物性オイルなどが代表的な熱保護成分です。
熱保護スタイリング剤の選び方
ポイント | 内容 | 選び方のヒント |
---|---|---|
髪質に合わせる | オイル、ミルク、ミストなど剤型も様々 | 細い髪には軽いミスト、太い髪や乾燥毛にはオイルやミルクなど |
保湿成分をチェック | セラミド、ヒアルロン酸、アミノ酸など | 熱による乾燥を防ぐ成分が配合されているか確認 |
使用感 | ベタつかないか、香りはどうか | 毎日使うものなので、好みの使用感であることも重要 |
アイロン前に適量を髪全体になじませるとダメージを軽減しつつ、スタイリングの仕上がりも向上させられます。
定期的なトリートメントの重要性
日常的なケアに加えて、週に1~2回程度のスペシャルケアとして、集中トリートメントを取り入れることをおすすめします。
洗い流すタイプのトリートメントやヘアマスクは髪の内部に栄養成分を浸透させ、ダメージを補修する効果が期待できます。
ケラチンやコラーゲン、アミノ酸などの補修成分が配合されたものを選ぶと良いでしょう。
また、美容室でのサロントリートメントも効果的です。プロの技術で、髪の状態に合わせた集中的なケアを受けると、ダメージの進行を食い止めて髪本来の美しさを取り戻す手助けとなります。
トリートメントの種類
- インバストリートメント(洗い流すタイプ)
- アウトバストリートメント(洗い流さないタイプ)
- ヘアマスク、ヘアパック
- サロントリートメント(システムトリートメントなど)
洗髪方法とドライヤーの正しい使い方
美しい髪を保つためには、シャンプーやドライヤーといった基本的なケアも見直すことが大切です。
シャンプーはまず髪と頭皮をしっかりとお湯で予洗いし、シャンプー剤をよく泡立ててから、指の腹で優しくマッサージするように洗います。すすぎ残しがないように、丁寧に洗い流しましょう。
ドライヤーは髪から15~20cm程度離し、同じ箇所に熱風が集中しないように、常に動かしながら乾かします。根元から乾かし始め、中間、毛先の順に乾かすと効率的です。
オーバードライ(乾かしすぎ)は髪の乾燥を招くため、8割程度乾いたら冷風に切り替えて仕上げると、キューティクルが引き締まりツヤが出やすくなります。
ヘアアイロンによるダメージが進行してしまったら
気をつけていてもヘアアイロンによるダメージが進行し、髪のパサつきや枝毛、切れ毛が目立ってくることがあります。
そのような場合は、早めに適切な対処を行うのが重要です。ダメージの程度に応じたケア方法を知っておきましょう。
自宅でできる応急処置
ダメージが気になり始めた初期段階であれば、自宅での集中ケアで改善が見込める場合があります。
まずは、保湿効果の高いシャンプーやトリートメントに切り替え、洗い流さないトリートメントやヘアオイルを普段よりもしっかりと使用しましょう。
特に毛先のダメージがひどい場合はトリートメントを塗布した後、蒸しタオルで髪を包み、数分間置いてから洗い流す「蒸しタオルパック」も効果的です。
また、一時的にヘアアイロンの使用頻度を減らすか、低温設定で使用するのも大切です。
美容室での専門的なケア
自宅でのケアだけでは改善が難しいときは、美容室でプロによる専門的なトリートメントを検討しましょう。
美容室では、髪の内部構造に働きかける高濃度の補修成分や、専用の機器を使用したトリートメントなど、より効果の高いケアが受けられます。
髪質やダメージの状態に合わせてトリートメントを選んでもらえるため、集中的なダメージ補修が期待できます。
また、傷んだ部分をカットしてもらうのも、さらなるダメージの進行を防ぐためには有効な手段です。
クリニックでの毛髪診断と治療の選択肢
セルフケアや美容室でのケアでも改善が見られないときや、ダメージが薄毛や抜け毛につながっているのではないかと心配な場合は、専門のクリニックへの相談がおすすめです。
クリニックでは、医師による診察やマイクロスコープを用いた詳細な毛髪診断を行い、ダメージの原因や程度を正確に把握します。
クリニックでの毛髪診断
検査項目例 | わかること | 治療への繋がり |
---|---|---|
マイクロスコープ検査 | 頭皮の色、毛穴の状態、髪の太さ、キューティクルの状態 | 頭皮環境の改善指導、適切な外用薬の選択 |
血液検査(必要な場合) | 栄養状態、ホルモンバランスなど | 内服薬の処方、栄養指導 |
問診 | 生活習慣、ヘアケア習慣、既往歴など | 総合的な治療計画の立案 |
その上で、ダメージの回復を促すための専門的な治療(例:育毛メソセラピー、内服薬・外用薬の処方など)や、正しいヘアケア方法の指導を行います。
特に女性の薄毛治療を専門とするクリニックでは、ヘアアイロンの使用習慣も含めたトータルな視点からのアドバイスが可能です。
ダメージヘアのサインを見逃さない
髪はダメージを受けると様々なサインを発します。
これらのサインに早めに気づき、対処することが、深刻なダメージを防ぐためには重要です。
- 髪が絡まりやすくなった
- 手ぐしが通りにくい
- ドライヤーで乾くのが異常に早い(水分保持力が低下している可能性)
- スタイリングが持続しなくなった
- 髪色が明るくなったように感じる(キューティクルが剥がれ、光が乱反射するため)
これらのサインを感じたらヘアケア方法を見直したり、ヘアアイロンの使用を一時的に控えたりするなど、髪をいたわる行動を心がけましょう。
よくある質問(FAQ)
ヘアアイロンの使用に関して、多くの方が抱える疑問にお答えします。正しい知識を身につけ、安心してヘアアイロンを使いこなしましょう。
- 毎日ヘアアイロンを使っても大丈夫?
-
毎日使用すること自体が必ずしも悪いわけではありませんが、髪への負担は蓄積します。
使用する場合は適切な温度設定(髪質に合わせて120℃~160℃程度、ダメージ毛はそれ以下)を守り、同じ箇所に長時間当てない、必ず乾いた髪に使用する、熱保護剤を使用するなどの対策を徹底することが重要です。
また、週に1~2日は髪を休ませる日を設けるなど、使用頻度を工夫するのも髪のためには良いでしょう。
髪の状態をよく観察し、ダメージの兆候が見られたら使用を控える勇気も必要です。
- アイロンの寿命はどのくらい?
-
ヘアアイロンの寿命は製品の種類や使用頻度、メンテナンス状況によって異なりますが、一般的には3~5年程度と言われています。
プレート部分のコーティングが剥がれてきたり、温度調整がうまくいかなくなったり、コードの接触が悪くなったりしたら、買い替えのサインです。
古いアイロンや故障したアイロンを使い続けると、髪に均一に熱が伝わらず、かえってダメージを与える原因になるときもありますので定期的に状態をチェックしましょう。
- 旅行先でのヘアアイロンはどうする?
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旅行先でもヘアスタイルを整えたいという方は多いでしょう。持ち運びにはコンパクトなコードレスタイプや、海外対応(電圧切り替え機能付き)の製品が便利です。
ただし、航空機への持ち込みには制限がある場合があるため(特にリチウムイオン電池内蔵のコードレスタイプ)、事前に航空会社の規定を確認することが大切です。
また、宿泊先の電圧やプラグ形状も確認しておくと安心です。変圧器が必要な場合もあります。
- 子供の髪にアイロンを使ってもいい?
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子供の髪は大人に比べて細くデリケートなため、ヘアアイロンの使用は慎重に行う必要があります。もし使用する場合は、必ず最低温度(100℃~120℃程度)に設定し、短時間で手早く済ませるようにしましょう。
また、熱保護剤を使用し、保護者が安全に注意しながら行うのが大切です。日常的な使用は避け、七五三や発表会など、特別な機会に限定するのが望ましいでしょう。
基本的には、子供の髪にはアイロンを使わない方が髪の健康のためには良いと考えられます。
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