日差しが強い季節だけでなく、一年を通して紫外線対策は重要です。特に、顔や腕のケアはしていても、頭皮や髪の紫外線対策は見落としがちではないでしょうか。
頭皮は体の最も高い位置にあり、紫外線の影響を強く受けやすい場所です。
頭皮が日焼けすると、乾燥や炎症を引き起こし、健康な髪が育つ環境を損ねてしまいます。これは、女性の薄毛や抜け毛の遠因にもなり得ます。
この記事では、なぜ女性の頭皮ケアに紫外線対策が必要なのか、そして手軽に使える「ヘアUVスプレー」の有効性について、薄毛治療専門クリニックの視点から詳しく解説します。
この記事の執筆者

AGAメディカルケアクリニック 統括院長
前田 祐助
【経歴】
慶應義塾大学医学部医学研究科卒業
慶應義塾大学病院 初期臨床研修課程終了
大手AGAクリニック(院長)を経て、2018年に薄毛・AGA治療の「AGAメディカルケアクリニック」新宿院を開設
2020年に横浜院、2023年に東京八重洲院を開設
資格・所属学会・症例数
【資格】
- 医師免許
- ⽇本医師会認定産業医
- 医学博士
【所属学会】
- 日本内科学会
- 日本美容皮膚科学会
- 日本臨床毛髪学会
【症例数】
3万人以上※
※2018年5月~2022年12月AGAメディカルケアクリニック全店舗の延べ患者数
なぜ女性の頭皮に紫外線対策が必要なのか
多くの女性が肌の紫外線対策には熱心ですが、頭皮の対策は後回しになりがちです。しかし、健康な髪を維持するためには、頭皮のUVケアが非常に重要です。
女性の薄毛の悩みに向き合う多くのクリニックでは、この「頭皮の日焼け」を重要な問題と捉えています。
頭皮は顔の2倍以上の紫外線を浴びている
頭皮は、私たちの体の中で最も太陽に近い位置にあります。遮るものがない限り、顔の2倍以上、場所によっては3倍もの紫外線を浴びていると言われます。
特に髪の分け目やつむじは地肌が露出しやすく、紫外線が直接当たりやすい部分です。
髪の毛がある程度の日除けにはなりますが、髪が細くなったり、密度が低くなったりしている場合は、さらに紫外線の影響を受けやすくなります。
紫外線が引き起こす頭皮の「光老化」とは
肌が紫外線を浴びることでシミやしわが増える現象を「光老化」と呼びます。これは頭皮でも同様に起こります。
紫外線のなかでもUV-A波は頭皮の奥深く(真皮層)まで到達し、髪の成長に大切なコラーゲンやエラスチンを破壊します。
その結果、頭皮は弾力を失い硬くなります。硬くなった頭皮は血行不良を招きやすく、毛根にある毛母細胞へ十分な栄養が届きにくくなるのです。
紫外線の種類と頭皮への主な影響
| 紫外線の種類 | 到達する深さ | 頭皮への主な影響 |
|---|---|---|
| UV-A (A波) | 真皮層 | 頭皮の弾力低下、硬化(光老化)、毛母細胞への影響 |
| UV-B (B波) | 表皮 | 炎症(赤み・ヒリヒリ)、乾燥、フケの原因 |
頭皮ダメージが薄毛につながる流れ
紫外線によるダメージは、即座に薄毛になるわけではありませんが、確実に頭皮環境を悪化させます。UV-B波による炎症は、頭皮のバリア機能を低下させ、乾燥やかゆみを引き起こします。
また、紫外線によって発生する「活性酸素」は毛母細胞の働きを直接的に妨げ、正常なヘアサイクル(毛周期)を乱す原因となります。
このため、髪が十分に成長する前に抜けてしまったり、新しく生えてくる髪が細くなったりする「薄毛」の状態へとつながっていきます。
女性ホルモンと頭皮のバリア機能の関係
女性ホルモン(エストロゲン)は、髪の成長を促進するだけでなく、肌の潤いを保ちバリア機能を維持する働きも担っています。
しかし、年齢やストレス、生活習慣の乱れによって女性ホルモンのバランスが崩れると頭皮が乾燥しやすくなり、紫外線の影響をさらに受けやすくなります。
紫外線対策は、この弱ったバリア機能を守るためにも必要なのです。
紫外線が髪と頭皮に与える具体的なダメージ
紫外線は髪のタンパク質を変性させてパサつきや切れ毛を引き起こすだけでなく、頭皮に炎症や乾燥をもたらし、毛根の毛母細胞の働きを妨げてヘアサイクルを乱します。
目に見えない光線ですが、そのエネルギーは強力で、頭皮と髪の毛そのものに深刻なダメージを与えるのです。
毛髪へのダメージ(乾燥・パサつき・切れ毛)
髪の毛は主にタンパク質でできています。紫外線はタンパク質を変性させ、髪の内部の結合を弱めてしまいます。
また、髪の表面を覆ってツヤや手触りを守っているキューティクルも、紫外線を浴びると剥がれやすくなります。
その結果、髪内部の水分が蒸発しやすくなり、乾燥やパサつき、ツヤの低下を招きます。ダメージが進行すると髪がもろくなり、切れ毛や枝毛の原因にもなります。
頭皮へのダメージ(炎症・乾燥・フケ・かゆみ)
頭皮が強い紫外線を浴びると、軽い火傷(やけど)と同じ状態になります。赤みやヒリヒリとした痛み(サンバーン)が現れるのは、UV-B波による急性炎症です。
炎症が治まった後も頭皮の水分は奪われ、乾燥が進みます。乾燥した頭皮はバリア機能が低下し、少しの刺激にも敏感になり、フケやかゆみを引き起こしやすくなります。
毛母細胞への影響とヘアサイクルの乱れ
最も懸念すべきは、毛根の奥にある「毛母細胞」への影響です。
毛母細胞は、髪の毛を作り出す工場のような存在です。紫外線が頭皮の深くまで到達すると、この毛母細胞のDNAを傷つける可能性があります。
また、紫外線によって発生する活性酸素は、毛母細胞の活動を低下させます。
そうなると正常なヘアサイクルが乱れ、髪の成長期が短くなったり休止期が長くなったりして、結果として抜け毛の増加や薄毛の進行につながるのです。
ヘアUVスプレーとは? 他の日焼け止めとの違い
ヘアUVスプレーは、髪や頭皮への使用を前提に設計された専用の日焼け止めです。
ベタつきにくく、手を汚さずに広範囲へ手軽に塗布できる点が、顔や体用の製品との大きな違いです。頭皮と髪を紫外線から守るアイテムとして、近年注目されています。
髪・頭皮専用設計の特徴
ヘアUVスプレーは、その名の通り、髪と頭皮への使用を前提に設計されています。
顔や体用の日焼け止めクリームやミルクを髪につけると、ベタついて重い仕上がりになりがちです。
ヘアUVスプレーは髪の質感や手触りを損なわないよう、サラサラとした使用感のものが多く、シリコンなどが配合されている場合もあります。
また、頭皮についても毛穴を詰まらせにくい成分構成や、頭皮を保湿・ケアする成分が配合されている製品もあります。
スプレータイプのメリットと手軽さ
最大のメリットは、その手軽さです。クリームやジェルタイプでは塗りにくい頭皮の分け目や後頭部、そして髪全体に、手を汚さずに素早く塗布できます。
逆さにしても使える製品も多く、外出先での塗り直しにも便利です。
髪をセットした後でも、スタイルを崩さずに上からスプレーできる点も、多くの女性に支持される理由です。
顔や体用日焼け止めを頭皮に使ってはいけない?
緊急時であれば仕方がないかもしれませんが、日常的な使用は推奨しません。
顔や体用の製品、特にクリームタイプやウォータープルーフタイプは油分が多く、頭皮の毛穴に詰まりやすい傾向があります。
毛穴が詰まると皮脂が正常に排出されず、炎症やニオイ、さらには抜け毛の原因となる雑菌の繁殖を招く可能性があります。シャンプーで落としきれずに残留しやすい点も問題です。
日焼け止めのタイプと頭皮への使用
| タイプ | 頭皮への使用 | 主な懸念点 |
|---|---|---|
| ヘアUVスプレー | ◎ (専用品) | 特になし (製品の成分を確認) |
| クリーム・ミルク | △ (非推奨) | 毛穴詰まり、ベタつき、洗い残し |
| ジェル | △ (非推奨) | 髪が固まる、ベタつき |
SPFとPAの基礎知識と選び方
日焼け止めを選ぶ際に見る「SPF」と「PA」は、ヘアUVスプレーにも表示されています。
- SPF (Sun Protection Factor)は、UV-B波(肌を赤くする紫外線)を防ぐ効果の指標。数値が大きいほど効果が高い。
- PA (Protection Grade of UVA)は、UV-A波(肌を黒くし、光老化を進める紫外線)を防ぐ効果の指標。「+」の数(最大4段階)で示される。
日常生活や通勤・通学程度であればSPF20~30、PA++~+++程度でも十分ですが、炎天下でのレジャーや長時間屋外で過ごす場合は、SPF50+、PA++++といった高い数値のものが安心です。
ただし、数値が高いほど頭皮への負担も増す可能性があるため、シーンに合わせて使い分けると良いです。
女性のためのヘアUVスプレー選び 4つの視点
女性がヘアUVスプレーを選ぶ際は、「頭皮への優しさ(成分)」「使用感(ベタつき・白残り)」「香りや付加価値(保湿など)」「ウォータープルーフの必要性」の4つの視点を持つことが大切です。
多くの製品が市場に出回る中、どれを選べばよいか迷うかもしれませんが、女性のデリケートな頭皮環境を守るために、これらの視点で選ぶことをおすすめします。
頭皮への優しさ(成分チェック)
頭皮は顔の皮膚とつながっており、非常にデリケートです。特に薄毛や抜け毛が気になる方は、頭皮環境が敏感になっている場合があります。
アルコール(エタノール)が高濃度で配合されているものは、清涼感はありますが頭皮の水分を奪い乾燥させる可能性があります。
また、紫外線吸収剤が肌に合わない方は、紫外線散乱剤を使用した「ノンケミカル処方」を選ぶとよいでしょう。
チェックしたい成分
| 注目ポイント | 優しい成分 (例) | 注意したい成分 (例) |
|---|---|---|
| 保湿・保護 | ヒアルロン酸、セラミド、コラーゲン | 高濃度のアルコール(エタノール) |
| 紫外線防御剤 | 紫外線散乱剤 (酸化チタン、酸化亜鉛) | 紫外線吸収剤 (肌に合わない場合) |
| その他 | 無香料、無着色、パラベンフリー | 強い香料、刺激の強い添加物 |
使用感(ベタつき・白残り)
毎日快適に使い続けるためには、使用感が非常に重要です。スプレーした後に髪がベタついたり、重くなったりすると、スタイリングが崩れる原因にもなります。
また、製品によってはスプレー後に成分が白く残り、フケのように見えてしまうものもあります。
透明タイプや粒子が細かい製品を選ぶと、こうした失敗が少なくなります。「サラサラ仕上げ」など、使用感をうたった製品を試してみるのも良い方法です。
香りやその他の付加価値(保湿成分など)
ヘアUVスプレーには、香り付きのものも多くあります。
好みの香りであれば気分も上がりますが、香りが強すぎると食事の際や職場で不快に思われる可能性もあります。無香料タイプを選ぶか、香りが穏やかなものを選びましょう。
また、単に紫外線を防ぐだけでなく、頭皮や髪の保湿成分、ダメージ補修成分、ニオイを抑える成分などが配合された高機能な製品もあります。ご自身の悩みに合わせて、付加価値にも注目してみてください。
ウォータープルーフの必要性
汗をかきやすい夏場やスポーツ、レジャーの際には、汗や水で日焼け止めが流れ落ちてしまうのを防ぐ「ウォータープルーフ」タイプが有効です。
ただし、ウォータープルーフタイプは肌への密着度が高い分、シャンプーで落ちにくい場合があります。
その日の活動内容に合わせて、通常のタイプとウォータープルーフタイプを使い分けるのが賢明です。
効果を高めるヘアUVスプレーの正しい使い方
せっかくヘアUVスプレーを使っていても、使い方が間違っていると十分な効果を得られません。紫外線から頭皮と髪をしっかり守るための、正しい使い方を確認しましょう。
スプレー前の準備(髪をとかす・振る)
使用前には、まず髪をブラッシングして、ほこりや絡まりを取り除いておきます。このようにすると、スプレーが均一に付着しやすくなります。
また、ヘアUVスプレーは、紫外線防御成分やその他の成分が分離・沈殿している場合があります。
使用直前に缶を上下によく振って(製品の指示に従ってください)、中身を均一に混ぜ合わせることが非常に重要です。
頭皮(分け目・つむじ)への付け方
最も日焼けしやすいのは、地肌が露出している分け目やつむじです。髪をかき分けながら、頭皮に直接スプレーが届くようにします。
この時、頭皮から15~20cm程度離し、1~2秒ずつ、ジグザグを描くように動かしながらスプレーするとムラになりにくいです。
同じ場所に長時間噴射し続けると、ベタつきや凍傷の原因になるため注意してください。
髪全体への均一なスプレー方法
髪の表面だけでなく、髪を持ち上げながら内側にもスプレーします。毛先は特に乾燥しやすくダメージを受けやすいため、忘れずにスプレーしましょう。
全体にまんべんなく行き渡るように、髪から15~20cm離して円を描くようにスプレーするのがコツです。
塗り直しの適切なタイミングと頻度
ヘアUVスプレーの効果は永久ではありません。汗をかいたりタオルで拭いたり、時間が経過したりすると効果が薄れていきます。
塗り直しの目安
- 2~3時間ごと
- 汗をたくさんかいた後
- 髪をタオルで拭いた後
特に紫外線の強い時間帯(午前10時~午後2時頃)や、長時間屋外にいる日は、こまめな塗り直しを心がけてください。
塗り直しの際も、可能であれば一度汗や皮脂を軽くティッシュなどで押さえてからスプレーすると、より快適に使用できます。
ヘアUVスプレー使用時のよくある悩みと対策
ヘアUVスプレー使用時の「ベタつき」「白残り」「頭皮に届かない」といった悩みは、スプレーする距離や振り方、製品選びによって対策できます。
手軽なスプレーですが、「使ってみたけれど、どうも使い心地が…」と感じる方もいます。よくある悩みと、その対策や製品選びのコツを見ていきましょう。
髪がベタつく・重くなる
これは、スプレーする距離が近すぎたり、一箇所に集中して噴射しすぎたりするのが主な原因です。
髪や頭皮から必ず15~20cmは離して、手を動かしながら全体に薄く均一にスプレーするように意識してください。
また、オイル成分が多く配合されている「しっとりタイプ」の製品は、髪質によってはベタつきやすい場合もあります。髪が細い方や皮脂が多い方は、「サラサラタイプ」を選ぶと良いでしょう。
白く粉を吹いたようになる
スプレー後に髪が白くなるのは、紫外線散乱剤(パウダー状の成分)が均一に分散していないか、噴射する勢いが強すぎて一箇所に固まって付着してしまうためです。
白残りを防ぐコツ
- 使用前に缶をしっかり振る(30回以上目安)
- 髪から十分(20cm以上)離してスプレーする
- スプレー後に手ぐしやコームで軽く髪をほぐす
最近は白残りを抑えた透明タイプや、粒子が非常に細かい製品が増えています。
ノンケミカル処方(散乱剤使用)の製品はやや白くなりやすい傾向がありますが、技術の進歩で改善されています。
スプレーが頭皮にしっかり届いているか不安
髪の量が多い方は特に、スプレーが髪の表面にばかり付着し、肝心な頭皮に届いていないのではないかと不安になるときもあるでしょう。
この場合は、面倒でも髪をブロッキング(小分け)にして、分け目を作りながら頭皮を露出させ、そこに直接スプレーする方法が確実です。
特にてっぺんの分け目、つむじ周りは念入りに行いましょう。
悩み別対策のまとめ
| 悩み | 主な原因 | 対策 |
|---|---|---|
| ベタつく・重い | 距離が近い、かけすぎ | 20cm離す、手を動かす、サラサラタイプを選ぶ |
| 白くなる | 振り不足、距離が近い | よく振る、20cm離す、透明タイプを選ぶ |
| 頭皮に届かない | 髪の量が多い | 髪をかき分け、地肌に直接スプレーする |
敏感肌でも使える?
敏感肌の方は、新しい化粧品を使う際に不安を感じるものです。ヘアUVスプレーも同様に、配合されている成分によっては刺激を感じる可能性があります。
敏感肌の方は、「敏感肌用」「低刺激処方」「ノンケミカル」「アルコールフリー」「パッチテスト済み」などの記載がある製品を選ぶのがおすすめです。
使用前には、腕の内側などで試してから頭皮に使うと、より安心です。
紫外線対策と合わせて行いたい女性の薄毛予防
紫外線対策に加え、「バランスの取れた食事」「質の高い睡眠」「正しいシャンプーとマッサージ」「ストレス管理」を日常的に行うことが、総合的な女性の薄毛予防につながります。
ヘアUVスプレーによる対策は重要な柱の一つですが、健康な髪は日々の生活習慣全体の積み重ねによって育まれます。
バランスの取れた食事と髪に必要な栄養素
髪の毛は、私たちが食べたものから作られています。特に、髪の主成分であるタンパク質(ケラチン)の摂取は重要です。
肉や魚、卵や大豆製品などをバランスよく取り入れましょう。
髪の成長を支える主な栄養素
| 栄養素 | 主な働き | 多く含む食品 |
|---|---|---|
| タンパク質 | 髪の主成分となる | 肉、魚、卵、大豆製品 |
| 亜鉛 | タンパク質の合成を助ける | 牡蠣、レバー、牛肉(赤身) |
| ビタミンB群 | 頭皮の代謝を促す | 豚肉、レバー、マグロ、納豆 |
質の高い睡眠と成長ホルモン
髪の成長や頭皮のダメージ修復は、主に睡眠中に行われます。特に、入眠から最初の3時間に多く分泌される「成長ホルモン」は、毛母細胞の分裂を活発にします。
睡眠時間が不足したり眠りが浅かったりすると、この修復作業が十分に行われません。
毎日決まった時間に寝る、寝る前のスマートフォン操作を控えるなど、睡眠の質を高める工夫をしましょう。
正しいシャンプー方法と頭皮マッサージ
頭皮環境を清潔に保つ習慣は基本中の基本です。しかし、洗いすぎやゴシゴシ洗いは、かえって頭皮を傷つけ、乾燥を招きます。
シャンプーは手のひらでよく泡立て、指の腹を使って頭皮を優しくマッサージするように洗いましょう。すすぎ残しは、かゆみやフケの原因になるため、十分な時間をかけて洗い流してください。
また、シャンプー時やリラックスタイムに頭皮マッサージを取り入れると、硬くなった頭皮がほぐれ、血行が促進されます。
ストレス管理と血行促進
過度なストレスは自律神経のバランスを乱し、血管を収縮させます。その結果、頭皮への血流が悪くなり、毛根に栄養が届きにくくなります。
また、ストレスはホルモンバランスの乱れにもつながり、女性の薄毛に影響を与えます。
適度な運動(ウォーキングなど)、趣味の時間、リラックスできる入浴などは、ストレス解消と全身の血行促進の両方に効果的です。
ヘアUVスプレーに関するよくある質問(FAQ)
さいごに、患者さんからよく寄せられるヘアUVスプレーに関するご質問にお答えします。
- ヘアUVスプレーは毎日使うべきですか?
-
紫外線を浴びる機会がある日は、毎日使用することを推奨します。
紫外線は夏や晴れた日だけでなく、曇りの日や冬場でも一年中降り注いでいます。通勤や買い物、洗濯物干しなどで短時間でも屋外に出る場合は、使用する習慣をつけるのが望ましいです。
紫外線によるダメージは日々蓄積されていくため、毎日の防御が将来の頭皮と髪の健康を守ります。
- スタイリング剤(ワックスなど)と併用できますか?
-
併用可能ですが、使用する順番が重要です。
一般的には、ワックスやヘアオイルなどのスタイリング剤で髪型を整えた後、仕上げとしてヘアUVスプレーを使用します。
UVスプレーを先にしてしまうと、その後のスタイリング剤がなじみにくくなる場合があります。
ただし、製品によっては順番が指定されているものもあるため、使用前に説明書きを確認してください。
- どのように落とすのが正しいですか?(シャンプーで落ちる?)
-
ほとんどの製品は、毎日のシャンプーで洗い流せます。
多くのヘアUVスプレーは、「専用クレンジング不要」と記載されており、通常のシャンプーで落とせるように設計されています。
ただし、ウォータープルーフタイプや密着度の高い製品の場合、一度のシャンプーでは落ちにくいケースがあります。
その場合は、シャンプー前にお湯でしっかり予洗い(素洗い)をする、または丁寧に二度洗いするなどを試みてください。
- 子供や妊娠中でも使用できますか?
-
製品によりますが、低刺激処方のものを選んでください。
お子様や妊娠中・授乳中の方は、肌が通常よりもデリケートになっている可能性があります。
アルコールフリー、無香料、無着色、ノンケミカル(紫外線吸収剤不使用)といった、できるだけシンプルな成分構成の低刺激な製品を選ぶのがおすすめです。
「お子様にも使える」と明記された製品を選ぶのも良いでしょう。使用前には、念のため腕の内側などでパッチテストを行うと安心です。
参考文献
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