妊娠すると希望に満ちたマタニティライフが始まる一方で、身体には様々な変化が現れます。その一つが「抜け毛」です。
ある日突然、枕や排水溝に増えた髪の毛を見て、不安に感じる方は少なくありません。「妊娠中に髪の毛が抜けるのは何か問題があるのでは?」と心配になるときもあるでしょう。
この現象の多くは、妊娠に伴うホルモンバランスの劇的な変化が原因です。
この記事では、妊娠中の抜け毛の理由と、ご自身でできる対策、そして専門的なサポートについて詳しく解説します。正しい知識を得て、心穏やかな毎日を送りましょう。
妊娠中の髪とホルモンバランスの大きな波
妊娠中の抜け毛を理解する上で、女性ホルモンの働きを知ることが重要です。
特に「エストロゲン」と「プロゲステロン」という二つのホルモンが、髪の毛のサイクルに深く関わっています。
エストロゲン(卵胞ホルモン)の急増
エストロゲンは、女性らしい身体つきを保ち、髪の毛の成長を促進する働きを持つホルモンです。
妊娠すると胎盤からこのエストロゲンが大量に分泌され、その血中濃度は妊娠していない時の数十倍から百倍以上にもなります。
このエストロゲンの作用により髪の毛の成長期が通常より長く維持され、太く艶やかになります。
本来であれば寿命を終えて抜けるはずの髪が、抜けずに成長し続ける状態になるのです。
プロゲステロン(黄体ホルモン)の役割
プロゲステロンもまた、妊娠を維持するために欠かせないホルモンです。このホルモンも妊娠中に分泌量が増加します。
プロゲステロンは髪の成長を直接促すわけではありませんが、エストロゲンと共に妊娠状態を維持し、間接的にヘアサイクルに影響を与えます。
女性ホルモンとヘアサイクルの関係
ホルモン名 | 妊娠中の変化 | 髪への主な影響 |
---|---|---|
エストロゲン | 大幅に増加 | 髪の成長期を延長させ、抜けにくくする |
プロゲステロン | 増加 | 妊娠状態を維持し、ヘアサイクルを安定させる |
本来抜けるはずの髪が維持される「休止期」の延長
髪の毛には「成長期」「退行期」「休止期」というサイクルがあります。
通常、髪の毛の約90%が成長期にあり、約10%が休止期に入って自然に抜けていきます。
しかし、妊娠中はエストロゲンの影響で多くの髪が成長期にとどまります。これにより、一時的に抜け毛が減り、髪全体のボリュームが増えたように感じる場合があります。
これは、来るべき出産と育児に備えて、身体がエネルギーを蓄えている状態とも言えます。
「産後の抜け毛」とは違う?妊娠中の抜け毛の特徴
「抜け毛は産後に起こるもの」というイメージが強いかもしれませんが、実際には妊娠中に抜け毛を経験する方もいます。
妊娠中の抜け毛と、よく知られる「分娩後脱毛症」には、時期や原因に違いがあります。
妊娠初期に見られる抜け毛
妊娠初期は、ホルモンバランスが急激に変化し始める時期です。
身体がこの変化に適応する過程で、一時的にヘアサイクルが乱れ、抜け毛が増えるケースがあります。
また、つわりによる食欲不振やストレスも、この時期の抜け毛の一因となりえます。
妊娠中期から後期の状態
妊娠中期から後期にかけては、エストロゲンの分泌がピークに達し、髪の状態は比較的安定します。
前述の通り、本来抜けるはずの髪が抜けにくくなるため、抜け毛が減少て髪が豊かになったと感じる方が多い時期です。
もしこの時期に抜け毛が気になる場合、ホルモン以外の要因が関係している可能性を考えます。
妊娠期間と産後の抜け毛比較
時期 | 主な状態 | 主な原因 |
---|---|---|
妊娠初期 | 抜け毛が増えることがある | ホルモンバランスの急変、つわり |
妊娠中期~後期 | 抜け毛が減り、髪が豊かになる | 高濃度のエストロゲン |
産後2ヶ月~6ヶ月 | 抜け毛が急増する(分娩後脱毛症) | ホルモンバランスの正常化 |
「分娩後脱毛症」との根本的な違い
産後に起こる「分娩後脱毛症」は、出産を終えてエストロゲンの分泌量が急激に減少するのが直接的な引き金です。
妊娠中に抜けずにいた髪の毛が一斉に休止期に入り、まとまって抜け落ちる現象です。
一方、妊娠中の抜け毛は、ホルモンバランスの変動期や栄養不足、ストレスなど、より複合的な要因によって起こるケースが多いという違いがあります。
ホルモンだけじゃない!妊娠中の抜け毛を加速させる要因
妊娠中の抜け毛の原因はホルモンバランスの変化だけではありません。
妊娠という特別な期間に特有の、身体的・精神的な変化も髪の健康に影響を与えます。
つわりによる栄養不足
特に妊娠初期のつわりは、多くの妊婦さんを悩ませます。
食事が思うように摂れなくなると、髪の主成分であるタンパク質をはじめ、亜鉛や鉄分、ビタミンといった髪の成長に必要な栄養素が不足しがちになります。
この栄養不足が、健康な髪の育成を妨げ、抜け毛につながる場合があります。
精神的なストレスと自律神経の乱れ
妊娠中は身体の変化や出産への不安、将来の生活に対する期待と心配など、様々な感情が入り混じり、精神的に不安定になりやすい時期です。
強いストレスは自律神経のバランスを乱し、血管を収縮させて頭皮の血行不良を招きます。
頭皮に十分な酸素や栄養が届かなくなると毛根が弱り、抜け毛を引き起こす原因となります。
睡眠不足や生活リズムの変化
お腹が大きくなるにつれて寝苦しくなったり、頻尿になったりしやすいため、睡眠の質が低下する方も多いです。
髪の毛は、私たちが眠っている間に成長ホルモンが分泌されることで健やかに育ちます。
このため、睡眠不足が続くと髪の成長が妨げられ、抜け毛や髪質の低下につながる可能性があります。
抜け毛につながる生活習慣チェック
チェック項目 | 髪への影響 | 対策の方向性 |
---|---|---|
食事が偏りがち | 髪の栄養不足 | バランスの良い食事を心がける |
不安やイライラを感じる | 血行不良 | リラックスできる時間を作る |
十分な睡眠がとれていない | 成長ホルモンの分泌低下 | 睡眠環境を整える |
抜け毛が気になり始めたらまず実践したいセルフケア
妊娠中の抜け毛に気づいた時、不安から様々なケアを試したくなるかもしれません。
しかし、妊娠中は身体がデリケートな時期です。まずは頭皮と髪に優しい、基本的なケアから始めましょう。
頭皮に優しいシャンプーの選び方
洗浄力の強いシャンプーは頭皮に必要な皮脂まで洗い流してしまい、乾燥やかゆみの原因になるときがあります。
アミノ酸系やベタイン系など、マイルドな洗浄成分のシャンプーを選びましょう。
また、香りが強いものはつわりの時期には気分が悪くなるときもあるため、無香料や自然な香りのものがおすすめです。
シャンプーの洗浄成分比較
成分系統 | 特徴 | おすすめの肌質 |
---|---|---|
アミノ酸系 | 洗浄力がマイルドで保湿力が高い | 乾燥肌、敏感肌 |
高級アルコール系 | 洗浄力が強く泡立ちが良い | 脂性肌(ただし刺激に注意) |
石けん系 | 洗浄力は高いが、髪がきしみやすい | 健康な頭皮の方向け |
正しい髪の洗い方と乾かし方
洗髪時は、爪を立てずに指の腹で優しくマッサージするように洗いましょう。熱いお湯は頭皮を乾燥させるため、38度前後のぬるま湯が適しています。
シャンプーやトリートメントのすすぎ残しは頭皮トラブルの原因になるので、時間をかけて丁寧に洗い流します。
洗髪後はタオルでゴシゴシ擦らず、優しく押さえるように水分を拭き取り、できるだけ早くドライヤーで乾かしましょう。
濡れたまま放置すると、雑菌が繁殖しやすいです。
物理的な刺激を避けるヘアスタイル
髪を強く引っ張るポニーテールやきつい編み込みなどは、毛根に負担をかけ、「牽引性脱毛症」の原因になる場合があります。
妊娠中は髪や頭皮に負担の少ない、ゆったりとしたヘアスタイルを心がけましょう。
また、ブラッシングも優しく行い、髪が絡まっている場合は毛先から少しずつほぐすようにしてください。
食生活で内側からサポート!髪に良い栄養素とは
健康な髪を育てるためには、外側からのケアだけでなく、内側からの栄養補給がとても重要です。
特に妊娠中は、お母さんと赤ちゃんの両方のために、バランスの取れた食事が必要です。
タンパク質の重要性
髪の毛の約90%は「ケラチン」というタンパク質でできています。そのため、良質なタンパク質の摂取は、丈夫な髪を作るための基本です。
肉や魚、卵や大豆製品などを毎日の食事にバランスよく取り入れましょう。
髪の成長を支える栄養素
栄養素 | 主な働き | 多く含まれる食品 |
---|---|---|
タンパク質 | 髪の主成分となる | 肉、魚、卵、大豆製品 |
亜鉛 | タンパク質の合成を助ける | 牡蠣、レバー、牛肉 |
鉄分 | 頭皮への酸素供給を助ける | レバー、赤身肉、ほうれん草 |
鉄分と亜鉛の役割
亜鉛は、食事から摂ったタンパク質を髪の毛の成分であるケラチンに再合成する際に必要なミネラルです。
亜鉛が不足すると、うまく髪を作れなくなり、抜け毛や髪質の低下につながります。
また、鉄分は血液中のヘモグロビンの材料となり、全身に酸素を運ぶ役割を担います。
鉄分が不足して貧血気味になると頭皮に十分な酸素が届かず、毛根が栄養不足に陥ってしまいます。
妊娠中は特に鉄分が不足しやすく、脳貧血を起こす方も少なくありません。髪のためはもちろん、ご自身の身体と赤ちゃんのためにも意識して鉄を摂取することが大切です。
ビタミン・ミネラルをバランス良く摂取する工夫
ビタミン類も髪の健康維持に欠かせません。例えば、ビタミンB群は頭皮の新陳代謝を促し、ビタミンCはコラーゲンの生成を助け、ビタミンEは血行を促進します。
特定の栄養素だけを大量に摂るのではなく、様々な食材を組み合わせて、多品目の食事を心がけるのが理想です。
つわりで食事が難しい場合は、食べられるものを少しずつでも口にするようにしましょう。
多くの妊婦さんが見落とす「頭皮環境」の重要性
ホルモンや栄養に意識が向きがちですが、「頭皮」という髪の土台の状態も、妊娠中の抜け毛に大きく影響します。
しかし、この頭皮環境の変化はご自身では気づきにくいケースが多く、見過ごされがちです。
妊娠中の皮脂バランスの変化と頭皮トラブル
妊娠中はホルモンの影響で皮脂の分泌量が変化しやすくなります。
皮脂が増えれば頭皮がべたつき、毛穴が詰まって炎症を起こす原因になります。逆に皮脂が減れば頭皮が乾燥し、フケやかゆみが出やすいです。
これまで何ともなかったシャンプーが急に合わなくなったと感じるときは、頭皮の皮脂バランスが変化しているサインかもしれません。
血行不良が招く頭皮の硬化
ストレスや運動不足、身体の冷えは頭皮の血行不良を引き起こします。血行が悪くなると、頭皮は青白くなったり、硬くなったりします。
硬い頭皮は、いわば栄養の乏しい痩せた土地のようなものです。そのような場所からは、健康で丈夫な髪は育ちにくくなります。
ご自身の頭皮を指の腹で軽く動かしてみてください。もし頭蓋骨に張り付いたように動きにくい場合は、頭皮が硬くなっている可能性があります。
頭皮のコンディションチェック
頭皮の色 | 考えられる状態 |
---|---|
青白い | 健康的(血行が良い) |
黄色・茶色 | 血行不良、代謝の低下 |
赤みがある | 炎症、刺激 |
「なんとなく」のかゆみやフケはサインかもしれない
「最近、少し頭がかゆい」「黒い服を着ると肩のフケが気になる」など、多くの妊婦さんが経験する些細な変化ですが、頭皮環境が悪化し始めている重要なサインです。
この段階で適切に対処することが、深刻な抜け毛を防ぐ鍵となります。自分の頭皮の状態に、少しだけ注意を向けてみてください。
頭皮マッサージの注意点とおすすめの方法
血行促進に効果的な頭皮マッサージですが、やり方を間違えると逆効果になるケースもあります。
爪を立てたり、強く擦ったりするのは絶対にやめましょう。指の腹を使い、頭皮全体を優しく持ち上げるようなイメージで行います。
シャンプーのついでや、リラックスタイムに数分行うだけでも効果が期待できます。
ただし、体調が優れない時や、お腹の張りを感じる時は無理に行わないでください。
いつまで続くの?抜け毛のピークと回復の時期
抜け毛が続くと、「このまま髪がなくなってしまうのでは」と不安になるかもしれません。
しかし、妊娠・出産に伴う抜け毛の多くは一時的なものです。一般的な経過を知っておくと、少しは心を落ち着かせられるでしょう。
抜け毛が目立ち始める時期
個人差が大きいですが、妊娠中の抜け毛はホルモンバランスが不安定になる妊娠初期や、ストレス・栄養不足が重なった時に見られるケースがあります。
しかし、より多くの人が抜け毛を実感するのは、産後になってからです。
産後2〜3ヶ月がピークになる理由
出産を終えると、高濃度で維持されていたエストロゲンの量が急激に元の状態に戻ります。こ
のホルモンの急降下により、妊娠中に抜けずにいた髪の毛が一斉に休止期に入ります。
髪の毛が休止期に入ってから実際に抜け落ちるまでには数ヶ月のタイムラグがあるため、産後2〜3ヶ月頃に抜け毛のピークを迎える方が多いのです。
自然に回復するまでの一般的な期間
分娩後脱毛症は、通常、産後半年から1年ほどで自然に落ち着き、新しい髪が生えそろってきます。
ただし、育児によるストレスや睡眠不足、栄養の偏りなどがあると回復が遅れる方もいます。
妊娠中からの抜け毛が気になる場合も、出産を経てホルモンバランスが安定すれば、多くは改善に向かいます。
抜け毛の時期と回復の目安
期間 | 状態 | アドバイス |
---|---|---|
妊娠中 | ホルモンや生活習慣の変化で抜け毛が起こることがある | 基本的なヘアケアと栄養バランスを重視する |
産後2ヶ月~6ヶ月 | 抜け毛のピーク。一時的にかなり薄く感じることも | 一時的な現象と理解し、ストレスを溜めない |
産後6ヶ月~1年 | 徐々に抜け毛が減り、新しい髪が生え始める | 引き続き栄養と休息を心がける |
専門クリニックに相談するタイミングと治療法
ほとんどのケースで一時的なものであるとはいえ、抜け毛の量が非常に多い場合や産後1年以上たっても回復の兆しが見られない場合は、専門家への相談を検討しましょう。
相談を検討すべき抜け毛のサイン
以下のようなサインが見られたら、一度専門クリニックのカウンセリングを受けるのがおすすめです。
受診をお勧めするサイン
- 明らかに地肌が透けて見える部分がある
- 産後1年を過ぎても抜け毛が減らない
- 抜け毛に加えて、強いかゆみやフケ、湿疹がある
- 精神的な落ち込みが激しく、日常生活に影響が出ている
クリニックで行うカウンセリングの内容
専門クリニックでは、まず医師による詳しい問診と視診、マイクロスコープを使った頭皮の状態のチェックなどを行います。
生活習慣や食事内容、ストレスの状況なども詳しく伺い、抜け毛の根本的な原因を探ります。
一人ひとりの状態を正確に把握することが、適切な治療への第一歩です。
妊娠中でも受けられる安全な治療
クリニックではお母さんと赤ちゃんの安全を最優先に考え、妊娠中・授乳中でも安心して受けられる治療法を提案します。
内服薬や身体に強い影響を与える薬剤の使用は避け、頭皮環境を整えるための専門的な施術や、栄養指導、安全性の高い外用薬の処方などを中心に行います。
不安な点は何でも相談しましょう。
妊娠中の抜け毛に関するよくある質問
妊娠中の身体の変化は、ママだけではなく赤ちゃんのこともあるため、普段よりも不安になりやすいです。
妊婦検診を行う産婦人科の医師に相談するのも一つの方法ですが、どうしても気になるときは、髪の専門家である薄毛治療クリニックを受診するのも良いでしょう。
- 妊娠中のカラーやパーマは抜け毛に影響しますか?
-
カラー剤やパーマ液が直接的な抜け毛の原因になるという医学的根拠は明確ではありません。
しかし、これらの薬剤は頭皮への刺激となり、アレルギー反応やかぶれを引き起こす可能性があります。
妊娠中は肌が敏感になっているため、できれば安定期に入ってから、体調の良い日に行うのが良いでしょう。
ただ、後期になってくるとお腹が大きいため、シャンプー台での仰向けの姿勢を苦しく感じる方も多いです。
施術前には必ず美容師に妊娠中であることを伝え、パッチテストをしてもらうと安心でしょう。
- 育毛剤は使っても大丈夫ですか?
-
市販の育毛剤には様々な成分が含まれており、中には胎児への影響が不明なものや、ホルモンに作用する成分を含むものもあります。
自己判断での使用は避けるべきです。特に男性用の育毛剤の使用は絶対にやめてください。
もし育毛剤の使用を考える場合は、必ずかかりつけの産婦人科医や、薄毛治療の専門医に相談しましょう。妊娠中でも安全に使える女性向けの製品もあります。
- 二人目の妊娠では抜け毛がひどくなりますか?
-
「二人目の方が抜け毛がひどかった」と感じる方は少なくありません。
これには、一人目の育児をしながらの妊娠・出産となるため、肉体的・精神的な負担が大きくなることが関係していると考えられます。
睡眠不足やストレス、自分の食事を後回しにしがちな生活などが、一人目の時よりも頭皮環境に影響を与えやすいのです。
一人目の経験があるからこそ、早めにセルフケアを意識したり、周囲のサポートを得たりする工夫が大切です。もし不安が強い場合は、一人で抱え込まずにご相談ください。
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