

前田 祐助
AGAメディカルケアクリニック 統括院長
【経歴】
- 慶應義塾大学医学部医学研究科卒業
- 慶應義塾大学病院 初期臨床研修課程終了
- 大手AGAクリニック(院長)を経て、薄毛・AGA治療の2018年AGAメディカルケアクリニック新宿院を開設
- 2020年に2院目となるAGAメディカルケアクリニック横浜院を開設
- 2023年に3院目となるAGAメディカルケアクリニック東京八重洲院を開設
【資格】
- 医師免許
- ⽇本医師会認定産業医
- 医学博士
【所属学会】
- 日本内科学会
- 日本美容皮膚科学会
- 日本臨床毛髪学会
【症例数】
- 3万人以上※
- ※2018年5月~2022年12月AGAメディカルケアクリニック全店舗の延べ患者数
男性が気になる薄毛の原因は多岐にわたり、その改善方法もさまざまです。その中で、ペルー原産のハーブ「マカ」に注目が集まっています。
マカは豊富な栄養素を含む食品として知られ、男性特有の体調管理や育毛に良い影響をもたらす可能性があるといわれています。
マカとは?
マカは、南米ペルーのアンデス地方で古くから食用や伝統的な健康維持の目的で利用されてきた植物です。主に根の部分を乾燥させて粉末状にしたり、サプリメントとして摂取したりします。
マカは栄養バランスに優れ、男性の体に対する良い効果の可能性が指摘されています。
マカの概要
マカはアブラナ科の多年草で、標高4,000m前後の高地に生息します。
昼夜の寒暖差が激しい過酷な環境で育つため、栄養分を根に蓄える特徴があります。
根は丸形からやや楕円形をしており、色は白色から黒色までさまざまです。
マカの品種と栄養成分の傾向
品種の色 | 一般的な特徴 | 代表的な栄養素例 |
---|---|---|
白色系 | 甘みがやや強い | タンパク質、食物繊維 |
黄色系 | 風味にクセが少ない | 鉄分、カルシウム |
赤色系 | 色素成分が豊富 | ポリフェノール、亜鉛 |
黒色系 | 香ばしく苦みを感じやすい | マグネシウム、アミノ酸 |
このように品種によって風味や含有する成分に差がありますが、どの品種にもミネラルやビタミンが含まれています。
マカの歴史
インカ文明の時代から、マカは貴重な作物として扱われ、主に戦士の滋養源や儀式用の食材として重宝されました。
険しい山岳地帯で育つ特性があるため、大量生産が難しく、地域によっては交易品としての高い価値を持っていたようです。
長年にわたる利用実績から、現代でも健康維持を目指す人々が積極的に取り入れています。
生産地
マカの主要生産地はペルーのアンデス山脈高地です。ここでは標高が高く酸素濃度が薄い環境であるため、マカは生存するために多くの有用成分を根に蓄えます。
一方、近年では栽培技術の進歩によってボリビアやエクアドルなどでも生産が試みられています。
品質の見分け方
マカの品質を見極めるポイントには、加工方法や原料の産地、含有成分の濃度などがあります。
粉末タイプでは無添加・無着色のものを選び、サプリメントでは信頼できるメーカーによる成分表示をチェックすることが大切です。
品質をしっかりと見極めると、男性の育毛を含む健康サポートに役立つマカを取り入れられます。
マカに含まれる栄養素
マカは男性のからだに有益とされる成分を多く含んでいることで有名です。
炭水化物やたんぱく質だけでなく、各種ビタミンやミネラルなど、幅広い栄養素がマカに詰まっています。
タンパク質
マカには植物性のタンパク質が含まれています。タンパク質は筋肉や髪の毛、内臓の材料として重要です。
髪の毛も主成分はケラチンというタンパク質なので、マカを含む食品からタンパク質を摂取すると健やかな髪を育む一助になる可能性があります。
タンパク質を意識した食事
- 魚や肉、卵、大豆製品などをバランスよく食べる
- 補助的にマカのサプリを活用する
- 間食にナッツ類を取り入れる
ミネラル類
マカには鉄、亜鉛、マグネシウム、カルシウムなどさまざまなミネラルが含まれています。
特に亜鉛は、髪や皮膚の健康維持に関わりがあり、男性ホルモンの代謝にもかかわる成分です。
育毛ケアを考える際には、亜鉛をしっかり摂ることが大切といわれます。
ミネラルの種類と育毛・健康への役割
ミネラル | 役割 | 主な食品例 |
---|---|---|
亜鉛 | タンパク質合成、免疫機能 | 牡蠣、牛肉、かぼちゃの種 |
鉄 | 酸素運搬、エネルギー産生 | レバー、ほうれん草 |
マグネシウム | 筋肉や神経の正常な働き | ナッツ類、海藻類 |
カルシウム | 骨・歯の強化、神経伝達のサポート | 乳製品、小魚 |
マカはこれらのミネラルを比較的バランスよく含んでいるため、日常生活で不足しがちな成分を補給したい方にとって選択肢の1つになり得ます。
ビタミン群
マカにはビタミンB群やビタミンC、ビタミンEなどが含まれています。
ビタミンB群はエネルギー代謝や細胞増殖に関わり、髪を構成する細胞の健康維持にも関係が深いです。
ビタミンCやビタミンEは抗酸化作用が期待され、血行促進や頭皮環境のケアに役立つ可能性があります。
アミノ酸
アミノ酸はタンパク質を構成する基本的な要素ですが、髪のケラチンもアミノ酸が合わさってできています。
マカに多く含まれるアルギニンやリジンなどは男性の体調や活力をサポートする成分とされています。
これらのアミノ酸を意識的に摂取することで、髪への栄養供給をサポートできるかもしれません。
マカが男性の体にもたらす作用
マカは多様な栄養素を含むことから、男性の体に対していろいろな形でサポートする可能性があると考えられています。
性機能やホルモンバランス、エネルギー面への良い影響が取り沙汰されることが多く、育毛との関連においても興味深い点がいくつかあります。
エネルギーサポート
マカは炭水化物やビタミンB群などエネルギー代謝に関わる栄養素が豊富です。
仕事や日常生活が忙しい男性にとって、エネルギー不足は疲労感や集中力の低下につながります。
エネルギーの産生を助ける栄養素を含むマカを日々の食生活にプラスすることで、活力アップを期待できるかもしれません。
エネルギーサポートを考えるうえでのポイント
- 炭水化物とタンパク質を適度に組み合わせる
- ビタミンB群を意識して摂取する
- 運動の前後に栄養をとり、回復を早める
ホルモンバランスの調整
マカにはアルカロイドやステロールなど、ホルモンバランスに関連するといわれる成分が含まれています。
男性ホルモンやストレスホルモンの調整をサポートし、結果として性機能や活力に良い影響を及ぼす可能性が指摘されています。
このホルモンへの働きかけが、育毛においても注目を集める一因となっています。
ホルモンバランスを改善させる取り組み
項目 | 例 | メリット |
---|---|---|
質の良い脂質 | オメガ3脂肪酸など | ホルモン合成を助け、炎症を緩和する |
適度な運動 | 有酸素運動、筋トレなど | ストレスホルモン分泌の抑制、テストステロン向上 |
ビタミン・ミネラル | 亜鉛、ビタミンDなど | 男性ホルモンの生成やホルモンバランス調整に関与 |
規則正しい睡眠 | 7時間〜8時間程度の就寝 | ホルモン分泌リズムを整えて心身の回復を促す |
性機能への影響
昔からマカは男性の活力を高めるハーブとして親しまれ、研究の一部では性欲や勃起機能の向上に関する可能性が示唆されています。
これは上記のホルモンバランス調整に加え、血流改善や精神面のストレス緩和が影響していると考えられています。
精神面への効果
マカに含まれる成分がエネルギーやホルモンをサポートすることによって、疲労やストレスを感じにくくなる可能性があります。
ストレスは抜け毛や薄毛の要因の1つとされるため、心理的なサポートを得ることは結果的に頭皮環境を守るうえでも大きな意味を持ちます。
男性の育毛との関連性
マカを取り入れることが男性の育毛にどうつながるのか、興味を持つ方も多いのではないでしょうか。
マカの栄養素やホルモン調整機能は、髪にとって良い影響をもたらす可能性があります。
育毛に影響を与える因子
育毛を考えるうえでは、髪と頭皮に十分な栄養が行き渡ることが重要です。
血行不良や過度なストレス、栄養不足、ホルモンの乱れなどが髪の発育を妨げる主な要因です。
こうした要因を多面的にケアすることで、より健康な髪が育つ下地を整えられます。
育毛に影響する代表的な因子
- 血流や頭皮環境の状態
- 男性ホルモンの過剰活性
- ストレスレベル
- 栄養バランス
ホルモンと薄毛の関係
男性の薄毛の大きな原因として、男性ホルモンであるテストステロンが5αリダクターゼによってDHT(ジヒドロテストステロン)に変換されることが挙げられます。
DHTは髪の成長を阻害して抜け毛を進行させやすいとされます。
マカの成分には、ホルモンバランスを整える可能性があり、この点で男性が抱える薄毛や抜け毛に対して良い影響が期待されています。
ホルモンと薄毛の基本
項目 | 説明 |
---|---|
テストステロン | 男性ホルモンの中心的な存在。筋肉量や性機能に影響 |
5αリダクターゼ | テストステロンをDHTに変換する酵素 |
DHT | 毛母細胞の活動を抑制し、抜け毛を進行させるとされる男性ホルモン |
ホルモンバランス調整 | 亜鉛やマカの成分などが酵素活性やホルモンレベルをサポートする可能性があるといわれる |
マカによるホルモンバランス調整
マカにはアルカロイドやステロールが豊富に含まれています。これらが男性ホルモンやその他の内分泌系に作用することで、DHTを増やしすぎないように働きかける可能性が示唆されています。
ただし、万人に同じ効果が得られるとは限らないため、育毛の一手段として上手に取り入れるのがよいでしょう。
抗酸化作用と頭皮環境
マカに含まれるポリフェノールやビタミンCなどの抗酸化成分は、頭皮の酸化ストレスを軽減する可能性があります。
酸化ストレスが高まると頭皮や髪に悪影響が及びやすく、抜け毛のリスクが上がるとされます。
マカを含む抗酸化作用をもつ食品を積極的に摂ることで、頭皮環境を良好に保つことにつながるかもしれません。
マカの効果的な摂取方法
マカの効果を感じるためには、正しい摂取のタイミングや形態を理解することが大切です。
男性が育毛を含めた健康サポートを得たい場合にも、マカの摂取を日常生活に溶け込ませる工夫をするとよいでしょう。
サプリメントの形態
マカのサプリメントはカプセル、粉末、エキスなどさまざまな形で市販されています。
粉末は料理に混ぜやすいメリットがあり、カプセルやエキスは手軽に摂取しやすい特徴があります。
生活スタイルに合わせた形態を選ぶと、習慣として長く続けやすくなるでしょう。
サプリメント形態の特徴
形態 | メリット | 注意点 |
---|---|---|
カプセル | 持ち運びが容易、味や匂いを気にせずに摂取可 | 大量摂取しすぎに注意 |
粉末 | 料理やドリンクに混ぜやすい、量を調節しやすい | 味や風味の好みが分かれることがある |
エキス | 即効性を感じやすい可能性がある | 濃度が高いため、摂りすぎに気をつける必要あり |
飲用タイミング
マカの摂取タイミングは大きく分けて、朝食時や昼食時などエネルギーの必要性が高いときと、夜の就寝前にゆったりと飲むという2つのパターンがあります。
朝食時や昼食時に摂取すると日中の活力サポートが期待でき、就寝前に飲む場合はリラックス効果やホルモンバランスの調整をサポートする可能性があります。
マカを食生活に取り入れる際のポイント
- サラダやスムージーに粉末マカを混ぜる
- 朝食のヨーグルトやシリアルにふりかける
- 夕食後の温かい飲み物に少量混ぜてリラックス
注意事項
マカは一般的に安全性が高いとされていますが、過剰摂取は体調不良を引き起こす可能性があります。
特に血圧が高い方、ホルモン関連疾患を持つ方、妊娠中の方などは医療従事者に相談のうえで摂取を検討したほうがよいでしょう。
食生活との組み合わせ
マカだけに頼るのではなく、総合的な食生活を整えることも大切です。
タンパク質やビタミン、ミネラル、食物繊維などをバランスよく摂取することで、マカの力をより引き出しやすくなります。
食事の中心に野菜やタンパク質源を置き、マカを補助的に取り入れるイメージで続けるのがおすすめです。
育毛治療との併用メリット
マカを摂るだけで抜け毛がすべて解消されるとは限りませんが、育毛治療と併用することで相乗効果を期待できる可能性があります。
治療薬やクリニックでの専門的なケアと合わせれば、髪をはぐくむための環境をより整えやすくなるでしょう。
AGA治療との相性
AGA(男性型脱毛症)の治療では、5αリダクターゼの働きを抑制する内服薬や、頭皮に直接働きかける外用薬が用いられます。
ホルモンバランスをサポートするマカをあわせて摂取することで、薄毛の進行を抑えるうえでのバックアップとして機能する可能性があります。
AGA治療で用いられる方法
方法 | 具体例 | 期待できる働き |
---|---|---|
内服薬 | フィナステリドなど | 5αリダクターゼの抑制 |
外用薬 | ミノキシジルなど | 血行促進と発毛因子の刺激 |
メソセラピー | 成長因子の注入など | 局所的な毛母細胞への栄養補給と刺激 |
自毛植毛 | 採取した毛根の移植 | 生えにくい部位に毛根を直接移動 |
マカがサポートするポイント
マカに含まれる亜鉛やアミノ酸は、髪の主成分であるタンパク質合成に関わります。
さらに、ホルモンバランスの調整や血行促進に役立つ成分が含まれていることから、育毛治療で土台となる頭皮ケアを内側からサポートできる可能性が期待されます。
クリニックでの治療の選択肢
育毛に悩む男性がクリニックを利用する場合、薬物療法や頭皮環境改善、メソセラピーなどの選択肢があります。
医療機関で血液検査や頭皮診断を行うと、個々の原因に合わせた適切なアプローチが可能です。
こうした検査結果を踏まえながら、マカをサポート的に取り入れる方法も提案されるケースがあります。
専門医への相談
マカはサプリメントであるため、副作用が少ないとはいえ相性が合わないケースもあります。
医師はホルモン関連の基礎知識や処方薬の有無を踏まえてアドバイスを行いますので、不安や疑問がある場合は専門医に相談してください。
適切な治療を継続しながらマカを活用すると、より安心して育毛対策を進められます。
育毛に取り組む男性が意識したい生活習慣
育毛には複数の要素が絡み合うため、食事やサプリメント以外にも生活習慣を整えることが大切です。
マカが持つ良い影響を最大限に活かすためにも、日常生活で気をつけたいポイントを押さえておきましょう。
ストレス管理
過度のストレスはホルモンバランスを乱し、血行不良を招く原因になります。
ストレスを適度に発散する手段を持つことが、育毛だけでなく全身の健康にも良い影響を与えます。
深呼吸や軽い運動、趣味の時間を確保するなど、小さな対策が長期的な成果につながります。
ストレスを和らげるための具体策
- 1日15分のウォーキング
- ゆったりと湯船に浸かる
- 呼吸法やマインドフルネスの実践
栄養バランス
マカを摂取していても、そもそもの食生活が乱れていれば髪に十分な栄養を届けることは難しくなります。
野菜、果物、タンパク質、良質な脂質をバランスよく摂る食生活が、マカの効果をサポートします。
育毛を支える食事
食事構成 | 具体例 | 栄養のポイント |
---|---|---|
朝食:タンパク質+野菜 | 卵や納豆、野菜サラダ | タンパク質とビタミン・ミネラルを補給 |
昼食:バランス定食 | 魚定食や鶏肉料理と副菜 | アミノ酸やミネラルをまんべんなく摂取 |
夕食:低脂質で多彩な栄養 | 豚肉の生姜焼きと野菜炒めなど | 良質なタンパク質とビタミン、ミネラルを補える |
睡眠と育毛の関連
睡眠不足や不規則な生活は、ホルモン分泌や新陳代謝に影響します。髪の成長や修復が活発になるのは主に寝ている間ですので、質の良い睡眠を確保することが重要です。
就寝前にスマホやPCを長時間見ない、寝る前にカフェインを避けるなど、基本的なルールを守るとよいでしょう。
日常的な頭皮ケア
髪と頭皮の健康を支えるには、日常的なケアも欠かせません。頭皮環境を整えるシャンプー選びやブラッシング方法の見直しなど、実践できる工夫が多々あります。
頭皮を傷つけないよう優しく洗い、血行を促すようにマッサージを加えると効果が高まります。
頭皮ケアのポイント
- シャンプー剤は低刺激のものを選ぶ
- 洗髪後はしっかりと乾かす
- ときどき頭皮マッサージを取り入れる
マカは、エネルギーサポートやホルモンバランスの調整など、男性にとってさまざまな効果が期待できるサプリメントです。
自分に合った形状や摂取タイミングを見つけて、髪にも身体にも良い取り組みを行っていきましょう。
参考文献
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