マラセチアの餌となる成分と頭皮環境の整え方

マラセチアの餌となる成分と頭皮環境の整え方

薄毛や抜け毛の悩みを抱える男性にとって、頭皮の常在菌であるマラセチア菌との付き合い方は非常に重要です。この菌は皮脂や特定の油分を餌として増殖し、頭皮環境を悪化させる原因となります。

特に、良かれと思って使っているヘアケア製品に含まれる「オレイン酸」などが、かえって菌を増やしているケースも少なくありません。

この記事では、マラセチア菌が好む具体的な成分を明らかにし、それらを避けながら頭皮を健やかに保つための実践的なケア方法を解説します。

目次

この記事の執筆者

AGAメディカルケアクリニック統括院長 前田 祐助
Dr.前田 祐助

AGAメディカルケアクリニック 統括院長

前田 祐助

【経歴】

慶應義塾大学医学部医学研究科卒業

慶應義塾大学病院 初期臨床研修課程終了

大手AGAクリニック(院長)を経て、2018年に薄毛・AGA治療の「AGAメディカルケアクリニック」新宿院を開設

2020年に横浜院、2023年に東京八重洲院を開設

院長プロフィール

資格・所属学会・症例数

【資格】

  • 医師免許
  • ⽇本医師会認定産業医
  • 医学博士

【所属学会】

  • 日本内科学会
  • 日本美容皮膚科学会
  • 日本臨床毛髪学会

【症例数】

3万人以上※

※2018年5月~2022年12月AGAメディカルケアクリニック全店舗の延べ患者数

常在菌であるマラセチア菌がなぜ悪さをするのか?

頭皮には多くの細菌や真菌が存在しており、マラセチア菌もその一種です。普段は大人しいこの菌が、なぜ急に牙をむき、フケや痒み、そして薄毛の原因となる炎症を引き起こすのでしょうか。

そのしくみを正しく知る必要があります。敵を知ることは、薄毛対策の第一歩となります。

誰もが持っている常在菌としての役割

マラセチア菌と聞くと、何か特別な病原菌のように感じるかもしれませんが、実は健康な人の皮膚にも必ず存在する「常在菌」の一つです。

通常の状態であれば、外部からの病原菌の侵入を防ぐバリア機能の一端を担っているとも言われています。

つまり、マラセチア菌そのものが悪者なのではなく、彼らと私たち宿主とのバランスが保たれているかどうかが問題となるのです。

健康な頭皮環境では、マラセチア菌は皮脂を分解して脂肪酸を作り出し、皮膚を弱酸性に保つ手助けをしています。

しかし、このバランスが崩れたとき、彼らは驚異的なスピードで増殖を始めます。薄毛に悩む多くの男性が、この「共存バランス」を無意識のうちに崩してしまっている可能性があります。

まずは、排除することだけを考えるのではなく、共存できる環境を取り戻すという視点を持つと良いです。

爆発的に増殖してしまうきっかけは何か?

おとなしいはずのマラセチア菌が急激に増えるには、明確な理由があります。彼らは高温多湿な環境を好み、そして何よりも「餌」となる成分が豊富にある場所で活発になります。

日本の夏のようなジメジメした気候や、帽子を長時間かぶり続けて蒸れた頭皮は、彼らにとって楽園のような環境です。

また、過剰な皮脂分泌も大きな要因です。男性ホルモンの影響やストレス、乱れた食生活によって皮脂が増えると、それを餌とするマラセチア菌も比例して増えていきます。

さらに、洗いすぎによる乾燥が招く皮脂の過剰分泌という、皮肉なスパイラルに陥っている方も少なくありません。日常の些細な習慣が、知らず知らずのうちに菌の培養装置となっているのです。

頭皮環境を悪化させる具体的な要因

要因のカテゴリ具体的な状況菌への影響
物理的環境帽子やヘルメットの長時間着用、洗髪後の生乾き湿度と温度が上昇し、菌の活動が活発化する
皮脂の状態脂っこい食事、洗髪不足、ホルモンバランスの乱れ菌の餌となるトリグリセリドが過剰に供給される
皮膚バリア機能洗浄力の強すぎるシャンプー、爪での引っ掻き防御機能が低下し、菌の代謝産物が炎症を起こす

薄毛トラブルと菌の増殖にはどんな関係があるか?

マラセチア菌が増えすぎると、なぜ薄毛につながるのでしょうか。菌は皮脂に含まれるトリグリセリドを分解し、「遊離脂肪酸」という物質を排出します。

この遊離脂肪酸のなかには、皮膚への刺激が強いものが含まれており、それが頭皮に炎症を引き起こします。これを「脂漏性皮膚炎」と呼びます。

炎症が起きた頭皮は、正常なヘアサイクルを維持できなくなります。毛根がダメージを受け、髪が十分に育つ前に抜け落ちてしまうのです。

また、炎症による痒みで頭皮をかきむしると、さらに物理的なダメージを与え、抜け毛を加速させるケースもあります。

つまり、マラセチア菌の異常増殖を放置することは、直接的に毛根の寿命を縮める行為に等しいのです。

具体的にどの成分がマラセチア菌の餌になるのか?

頭皮ケアのために良かれと思って使っているヘアオイルやシャンプーが、実はマラセチア菌にご馳走を与えているとしたらどうでしょうか。

避けるべき具体的な成分名と、逆に安心して使える成分について詳しく解説します。成分表示を見る目を養うことが、頭皮環境を守る強力な武器となります。

菌が好んで食べる脂肪酸の仕組み

マラセチア菌はすべての油分を食べるわけではありません。彼らには明確な「好き嫌い」があります。具体的には、炭素原子の数が特定の範囲にある脂肪酸を好んで摂取します。

特に彼らが好むのは、オリーブオイルや椿油などに多く含まれる「オレイン酸」などの長鎖脂肪酸です。

これらの成分が頭皮に供給されると、マラセチア菌はそれを分解してエネルギー源とし、さらに仲間を増やします。そして分解の過程で、頭皮に刺激を与える物質を放出します。

つまり、これらの成分を含む製品を頭皮に塗ることは、火に油を注ぐようなものです。天然由来成分だからといって、必ずしも頭皮に優しいとは限らないという事実を認識する必要があります。

ヘアケア選びで注意すべきオイル成分

植物由来のオイルは髪に良いイメージがありますが、頭皮、特にマラセチア菌の増殖が懸念される場合には注意が必要です。

代表的なものとして「オリーブ果実油」「ツバキ種子油(椿油)」「馬油」などが挙げられます。これらはオレイン酸を豊富に含んでおり、マラセチア菌の格好の餌となります。

一方で、マラセチア菌が利用しにくい、あるいは利用できないオイルも存在します。例えば「ホホバオイル」は植物ロウという成分であり、構造が異なるため餌になりにくいとされています。

また、「スクワラン」や「ミネラルオイル(鉱物油)」も、菌の餌になりにくい成分です。成分表示を確認し、リスクのあるオイルが上位に記載されている製品は、頭皮への使用を避けるのが賢明です。

意外な商品にも配合されているリスク

注意すべき成分は、ヘアオイルだけに含まれているわけではありません。しっとりタイプのシャンプーやトリートメント、整髪料、さらには育毛剤の一部にも、保湿成分や基剤として配合されているものがあります。

「オーガニック」「無添加」と謳われている商品でも、マラセチア菌の餌となる植物油脂がたっぷり使われているケースは珍しくありません。

特に、洗い流さないトリートメントや頭皮用ローションなど、長時間頭皮に留まる製品に関しては、成分のチェックを厳重に行う必要があります。

パッケージのイメージやキャッチコピーに惑わされず、裏面の成分表示を確認する習慣をつけましょう。自分の頭皮を守れるのは、正しい知識を持った自分自身だけなのです。

避けるべき成分と比較的安全な成分の分類

分類主な成分名使用時の注意点
餌になりやすい成分(避けるべき)オリーブ油、ツバキ油、馬油、アーモンド油、シア脂、脂肪酸エステル類頭皮に直接塗布する製品には極力使用しない。毛先のみに使用する。
比較的安全な成分ホホバ種子油、スクワラン、ミネラルオイル(ワセリン等)、MCTオイル保湿が必要な場合はこちらを選択するが、つけすぎには注意が必要。
殺菌・抗真菌成分ミコナゾール硝酸塩、ピロクトンオラミン、サリチル酸菌の増殖を抑える効果がある。医薬部外品に含まれることが多い。

毎日の食事で皮脂の質と量をコントロールできるか?

頭皮の外側からのケアと同じくらい、あるいはそれ以上に重要なのが内側からのケアです。私たちの体は食べたもので作られており、頭皮から分泌される皮脂も例外ではありません。

食べたものが皮脂の量を変える事実

脂っこい食事をした翌日、顔や頭皮がベタつくと感じた経験はないでしょうか。食事で摂取した脂質や糖質は、体内で代謝され、最終的に皮脂として排出されます。

特に、中性脂肪を増やしやすい食事を続けていると、皮脂腺からの分泌量が増加し、常に頭皮が脂っぽい状態になります。

マラセチア菌は皮脂が大好物ですから、皮脂量が増えることは、そのまま彼らの食糧供給量が増えることを意味します。

高カロリーな食事、ファストフード、スナック菓子などは、頭皮環境を悪化させる要因となります。

皮脂をコントロールするためには、まず「何を食べるか」を意識的に選択する必要があります。高価な育毛剤を使う前に、毎日のランチ選びから見直してみましょう。

糖質と脂質のバランスをどう取るべきか

脂質だけでなく、糖質の摂りすぎも皮脂の増加に直結します。糖質を過剰に摂取すると、血糖値が急上昇し、それを下げるためにインスリンというホルモンが分泌されます。

このインスリンには、皮脂腺を刺激して皮脂分泌を促す作用があるのです。つまり、甘いものや炭水化物のドカ食いは、間接的に頭皮を脂漬けにしていることになります。

皮脂過多を招きやすい控えるべき食品

  • 揚げ物全般(唐揚げ、天ぷら、フライなど)
  • バターやラードを多く使う洋菓子
  • 糖分を多く含む清涼飲料水やエナジードリンク
  • 白砂糖を大量に使用したスイーツ
  • 〆のラーメンや深夜の炭水化物摂取

もちろん、これらを完全に断つ必要はありませんが、摂取頻度を減らすだけでも頭皮への影響は変わってきます。

また、脂質を摂るなら、青魚に含まれるEPAやDHA、アマニ油などのオメガ3系脂肪酸を積極的に選ぶと良いでしょう。これらは炎症を抑える働きが期待でき、質の良い皮脂を作ることにつながります。

ビタミン摂取が頭皮環境に与える影響

皮脂の分泌を適正に保つために役立つのが、ビタミンB群です。特にビタミンB2とB6は「皮脂コントロールのビタミン」とも呼ばれ、脂質の代謝を助け、過剰な皮脂分泌を抑制する働きがあります。

ビタミンB2はレバー、納豆、卵などに、ビタミンB6はマグロ、カツオ、バナナなどに多く含まれています。

また、抗酸化作用のあるビタミンCやビタミンEも重要です。分泌された皮脂が酸化すると、過酸化脂質という刺激物質に変わり、これが頭皮にダメージを与えて抜け毛の原因となります。

ビタミン類を豊富に含む野菜や果物をバランスよく摂取すると、酸化を防ぎ、頭皮の健康レベルを底上げできます。サプリメントを上手に活用するのも一つの手段です。

マラセチア菌対策に特化したシャンプー選びの正解

毎日の洗髪は、頭皮環境をリセットする重要な儀式です。しかし、間違ったシャンプー選びや洗い方は、逆にトラブルを招く原因となります。

マラセチア菌対策においては、「菌を減らす」と「頭皮を守る」の両立が必要です。

洗浄力の強さが逆効果になる理由

「皮脂が菌の餌になるなら、根こそぎ洗い流せばいい」と考えるのは危険です。洗浄力が強すぎるシャンプー(高級アルコール系など)を使用すると、頭皮に必要な保湿成分まで奪ってしまい、頭皮が乾燥します。

すると、人間の体は防御反応として、失われた油分を補おうと過剰に皮脂を分泌し始めます。これを「インナードライ」と呼びます。

結果として、洗った直後はサッパリしても、数時間後には以前よりも多くの皮脂が出てしまい、マラセチア菌の餌が増えるという悪循環に陥ります。

必要なのは「適度な洗浄力」です。アミノ酸系やベタイン系など、頭皮への刺激が穏やかな洗浄成分を選び、優しく洗う習慣が、長期的な皮脂コントロールにつながります。

抗真菌成分入りシャンプーはどう使う?

フケや痒みがひどい場合や、脂漏性皮膚炎の疑いがある場合は、抗真菌(抗カビ)成分が配合された薬用シャンプーの使用が有効です。

代表的な成分として「ミコナゾール硝酸塩」や「ピロクトンオラミン」があります。これらはマラセチア菌の増殖を直接的に抑える効果が認められています。

ただし、これらのシャンプーはあくまで「対症療法」的な側面があります。症状が落ち着いているのに漫然と使い続けると、常在菌のバランスを崩しすぎる可能性もゼロではありません。

症状が強い時期には毎日使用し、改善してきたら週に数回に減らす、あるいは通常の優しいシャンプーと併用するなど、頭皮の状態を見ながら柔軟に使い分けましょう。

すすぎ残しが招く最悪のシナリオ

どれほど良いシャンプーを使っていても、すすぎが不十分であれば全てが台無しです。

シャンプーの洗浄成分やコンディショナーの油分が頭皮に残ると、それ自体が刺激物となり、さらにはマラセチア菌の格好の隠れ家や餌となってしまいます。特に耳の後ろや襟足はすすぎ残しが多いゾーンです。

洗う時間の倍以上の時間をかけて、丁寧にお湯ですすぐように意識してください。指の腹で頭皮を優しく撫でながら、ヌルつきが完全になくなるまで流します。

この「徹底的なすすぎ」こそが、どんな高級な育毛剤よりも確実な頭皮ケアとなる場合も多いのです。

シャンプーのタイプ別特徴と選び方

シャンプーの種類洗浄力・特徴マラセチア対策への適合度
高級アルコール系非常に強い洗浄力。安価で泡立ちが良い。皮脂を取りすぎるため、過剰分泌を招くリスクがあり不向き。
アミノ酸系適度な洗浄力。頭皮に優しく保湿力がある。頭皮環境を整えるのに適している。成分残留に注意してよくすすぐこと。
薬用(抗真菌成分配合)菌の増殖を抑える成分が入っている。洗浄力は製品による。フケ・痒みがある場合に有効。症状改善用として使用する。

頭皮環境を劇的に変える入浴後の習慣

お風呂上がりの過ごし方も、マラセチア菌の増殖に大きく関わっています。濡れた髪を放置することは、菌にとって最高の繁殖環境を提供しているのと同じです。

ドライヤーで菌の繁殖を防ぐテクニック

洗髪後、自然乾燥で済ませていませんか?生乾きの頭皮は湿度が高く、マラセチア菌が爆発的に増殖する温床となります。

どれだけ綺麗に洗っても、その後の乾燥が不十分なら意味がありません。タオルドライで水分をしっかり吸い取った後、すぐにドライヤーを使って頭皮を乾かしましょう。

ただし、熱風を頭皮に近づけすぎると、熱によるダメージや乾燥を招きます。ドライヤーは頭皮から20センチ以上離し、一箇所に熱が集中しないように振りながら風を当ててください。

そして、8割ほど乾いたら冷風に切り替えるのがプロの技です。冷風を当てることで頭皮の温度を下げ、汗による蒸れを防ぐとともに、キューティクルを引き締める効果も期待できます。

枕カバーが菌の温床になっていないか

盲点となりがちなのが、毎日使う枕カバーです。寝ている間に分泌された皮脂や汗、剥がれ落ちたフケが付着した枕カバーは、雑菌の培養器のようなものです。

不衛生な枕で毎晩8時間近く過ごすことは、洗ったばかりの頭皮に再び菌を擦り付けているようなものです。

清潔な睡眠環境を作るためのチェック

  • 枕カバーは毎日、あるいは最低でも2日に1回は洗濯する
  • 洗濯が面倒な場合は、清潔なタオルを枕に巻いて毎日交換する
  • 枕本体も定期的に天日干しを行い、湿気を飛ばす
  • 布団乾燥機を活用し、寝具全体のダニやカビ対策を行う

特に雨が続く時期や夏場は注意が必要です。清潔な寝具で眠ることは、頭皮の衛生状態を保つだけでなく、質の高い睡眠にもつながり、結果として成長ホルモンの分泌を促して髪の成長を助けます。

ストレスとホルモンバランスの深い関係

物理的なケアだけでなく、精神的なケアも頭皮環境には欠かせません。強いストレスを感じると、自律神経が乱れて血管が収縮し、頭皮への血流が悪化します。

さらに、ストレスに対抗するために分泌されるホルモンが、男性ホルモンの働きを活性化させ、皮脂分泌を促進してしまうときがあります。

「ストレスでハゲる」というのは迷信ではなく、科学的な根拠がある現象です。趣味の時間を持つ、適度な運動をする、湯船にゆっくり浸かるなど、自分なりのリラックス方法を見つけましょう。

心の健康は、そのまま頭皮の健康に直結しています。余裕のない生活は、菌にとっても好都合な環境を作り出してしまうのです。

保湿はしたいが餌は与えたくない時の対処法

頭皮の乾燥は防ぎたいけれど、保湿剤の油分がマラセチア菌の餌になるのは怖い。このジレンマに悩む方は多いはずです。

乾燥と過剰皮脂という両極端なトラブルを防ぎ、頭皮を理想的な水分バランスに保つためには、正しい保湿アイテムの選び方と使い方が求められます。

オイルフリーという選択肢のメリット

最も安全な策は、そもそも油分を含まない、あるいは極めて少ない「オイルフリー」または「ノンオイル」の保湿ローションを選ぶことです。これならマラセチア菌に餌を与える心配がありません。

成分としては、ヒアルロン酸、コラーゲン、セラミド、アロエベラエキスなどの水溶性の保湿成分がメインのものが適しています。

特に「セラミド」は、皮膚のバリア機能を修復し、水分保持能力を高める効果が高い成分です。

油分で蓋をするのではなく、角質層そのものの保水力を高めるケアを行うと、ベタつきを避けながら乾燥を防げます。

男性向けのさっぱりとした使い心地の頭皮用ローションも増えていますので、テクスチャーの好みで選ぶと良いでしょう。

ローション選びで失敗しないポイント

市販の頭皮用ローションや育毛トニックを選ぶ際は、やはり成分表示の確認が必要です。

エタノール(アルコール)が多量に含まれているものは、スーッとして爽快感がありますが、敏感な頭皮には刺激となり、乾燥を助長する場合があるため注意が必要です。

成分表の最初の方にエタノールがある場合は、使用感を確かめてから本格的に導入するのがおすすめです。

また、抗炎症成分である「グリチルリチン酸ジカリウム」や「アラントイン」が配合されているものは、マラセチア菌による微細な炎症を鎮める効果が期待できるため、痒みが気になる方には適しています。

保湿と同時にトラブルケアもできる製品を選ぶのが、効率的な頭皮ケアの鍵です。

塗布するタイミングと頻度の最適解

保湿を行うベストなタイミングは、洗髪後、タオルドライをしてドライヤーをかける「前」です。頭皮が清潔で、かつ水分を含んで柔らかくなっている状態で塗布すると、成分が浸透しやすくなります。

また、ドライヤーの熱から頭皮を守る役割も果たします。

頻度は基本的に1日1回、入浴後で十分ですが、朝起きて乾燥や痒みを感じる場合は、朝にも軽く塗布して構いません。

ただし、つけすぎは毛穴の詰まりやベタつきの原因になるため、製品の指定量を守り、頭皮全体に薄く馴染ませるようにマッサージしながら塗布するのがコツです。

頭皮保湿成分のタイプ別比較

成分タイプ主な成分名特徴とメリット
水溶性保湿成分ヒアルロン酸、コラーゲン、グリセリン菌の餌にならず安全。水分を抱え込み、表面を潤す。
細胞間脂質類似成分セラミド、アミノ酸肌のバリア機能をサポート。内部の水分蒸発を防ぐ。
植物エキスアロエベラ、センブリエキス、カミツレエキス保湿に加え、抗炎症や血行促進などの付加効果が期待できる。

生活環境を見直して菌の住みにくい場所を作る

最後に、より広い視点で生活環境を見直してみましょう。頭皮は常に外気にさらされており、周囲の環境からダイレクトに影響を受けます。

湿度、紫外線、そして睡眠の質。これらを管理すると、マラセチア菌が繁殖しにくい、防御力の高い頭皮環境を構築できます。

湿気と温度が菌の活動を決める

マラセチア菌はカビの一種(真菌)ですから、高温多湿を愛します。日本の梅雨から夏にかけての時期は、彼らにとっての活動ピークです。

この時期は特に、エアコンを活用して室内の湿度を適切に保つ工夫が頭皮ケアにもつながります。除湿機を使い、部屋の湿度を60%以下にキープするように意識してください。

また、冬場であっても、暖房の効きすぎた部屋や、厚着による発汗には注意が必要です。

電車の中などで汗をかいたら、こまめに拭き取るか、帰宅後すぐにシャワーを浴びるなどして、頭皮が高温多湿の状態にある時間を極力短くしましょう。

環境要因と具体的な対策

環境要因頭皮への悪影響具体的な対策
紫外線皮脂を酸化させ、炎症を引き起こす刺激物質に変える日傘、帽子、頭皮用UVスプレーの使用
乾燥した空気頭皮の水分を奪い、過剰な皮脂分泌を誘発する加湿器の利用、直接エアコンの風に当たらない
残留塩素水道水の塩素が肌のバリア機能を低下させる可能性浄水シャワーヘッドの導入を検討する

紫外線ダメージが引き金になる皮脂酸化

紫外線は肌の老化だけでなく、頭皮環境の悪化にも深く関わっています。紫外線が頭皮の皮脂に当たると「酸化」が起こります。

酸化した皮脂は、マラセチア菌が分解して生じる遊離脂肪酸と同様に、頭皮に強い炎症を引き起こします。さらに、酸化皮脂は毛穴を詰まらせやすく、粘着性が高いためシャンプーでも落ちにくくなります。

頭頂部は体の中で最も太陽に近い場所であり、直射日光を浴びやすい箇所です。外出時は帽子や日傘を活用するほか、最近では頭皮や髪に使えるスプレータイプの日焼け止めも販売されています。

夏だけでなく、紫外線は年中降り注いでいるため、年間を通じた対策が薄毛予防には必要です。

成長ホルモンと睡眠の質の関係

「寝る子は育つ」と言いますが、髪も同様です。髪の成長や頭皮の修復に必要な成長ホルモンは、深い睡眠中に最も多く分泌されます。

睡眠不足や昼夜逆転の生活は、この修復タイムを奪い、ダメージを蓄積させることになります。

就寝前のスマホ操作を控えてブルーライトをカットする、入浴で深部体温を上げてから布団に入るなど、睡眠の質を高める工夫を取り入れましょう。

良質な睡眠によって体の免疫力が上がれば、常在菌のバランスを保つ力も自然と高まり、マラセチア菌の暴走を抑えられるのです。

よくある質問

マラセチア菌は完全に殺菌すべきですか?

完全に殺菌する必要はありません。マラセチア菌は常在菌の一種であり、通常は外部の病原菌から頭皮を守る役割も果たしています。

完全にゼロにしようと強力な殺菌を続けると、かえって他の菌が増殖したり、頭皮のバリア機能が壊れたりして環境が悪化する恐れがあります。

目指すべきは「根絶」ではなく、炎症を起こさない適正な量に抑える「共存」とコントロールです。

オリーブオイルはマラセチア菌のエサになりますか?

オリーブオイルはマラセチア菌のエサになりやすい成分です。オリーブオイルに多く含まれるオレイン酸などの脂肪酸は、マラセチア菌が好んで摂取し増殖のエネルギー源とします。

健康な頭皮であれば問題ないケースもありますが、フケや痒み、薄毛が気になっている場合は、頭皮への直接の使用は避けたほうが安全です。保湿にはホホバオイルやスクワランなどが推奨されます。

マラセチア菌が増えると必ず薄毛になりますか?

必ず薄毛になるわけではありませんが、リスクは確実に高まります。

マラセチア菌が増殖し、その代謝産物が頭皮に炎症(脂漏性皮膚炎)を引き起こすと、毛根がダメージを受けて抜け毛が増える原因になります。

また、痒みによるひっかき傷が頭皮環境をさらに悪化させるケースもあります。炎症が慢性化する前にケアを行い、菌の増殖を抑えることが、将来の薄毛予防につながります。

市販のシャンプーでマラセチア菌対策はできますか?

可能です。ドラッグストア等で販売されているシャンプーの中には、「ミコナゾール硝酸塩」や「ピロクトンオラミン」などの抗真菌成分を配合した薬用シャンプー(医薬部外品)があります。

これらはマラセチア菌の増殖を抑える効果が認められています。

また、菌のエサとなる皮脂を適度に取り除きつつ、頭皮に優しいアミノ酸系シャンプーを選ぶのも有効な対策の一つです。

頭皮の赤みはマラセチア菌が原因ですか?

その可能性は高いですが、断定はできません。頭皮の赤みは、マラセチア菌による脂漏性皮膚炎の代表的な症状の一つです。

しかし、接触性皮膚炎(かぶれ)や乾燥、アトピー性皮膚炎など、他の原因も考えられます。

もし赤みに加えて、大きめのフケや強い痒みを伴う場合はマラセチア菌の影響が疑われますが、症状が長引く場合は自己判断せず、皮膚科専門医の診断を受けましょう。

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参考文献

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