テストステロン摂取と副作用｜ホルモン補充の注意点

年齢とともに活力や意欲の低下を感じ、「男性ホルモン（テストステロン）の摂取」に関心を持つ方が増えています。

テストステロンが心身の健康に重要な役割を果たすのは事実ですが、その「摂取」という言葉には大きな誤解が含まれている可能性があります。

安易な自己判断によるテストステロンの摂取は、AGA（男性型脱毛症）の悪化を含む、深刻な副作用を招く危険性があります。

この記事ではテストステロンの本当の役割、医療機関で行うホルモン補充療法の実態、食品やサプリメントとの違い、そして最も注意すべき副作用やAGAとの関係について詳しく解説します。

正しい知識を得て、ご自身の健康を守る判断に役立ててください。

テストステロンとはどのようなホルモンか

テストステロンは、一般的に「男性ホルモン」として知られるアンドロゲン（男性ホルモン）の代表格であり、男性の身体的・精神的な健康維持に生涯を通じて多大な影響を与えるステロイドホルモンです。

主に精巣（睾丸）で産生されますが、副腎でもわずかに作られます。

男性らしさを作る（第二次性徴）

テストステロンの働きが最も顕著に現れるのが思春期です。テストステロンの分泌量が急激に増加することで、いわゆる「第二次性徴」が起こります。

声変わりが起こり、筋肉が発達して骨格がたくましくなり、髭（ひげ）や体毛が濃くなるといった、男性特有の身体的特徴が形成されます。

この時期にテストステロンは男性としての身体の基盤を作り上げる重要な役割を担います。

生涯を通じた心身への影響

思春期を過ぎた後も、テストステロンは男性の健康を維持するために働き続けます。

筋肉量や筋力の維持、骨密度の保持（骨粗しょう症の予防）、体脂肪の適切な分布、赤血球の産生促進などに深く関わっています。

また、精神面においても意欲、決断力、競争心、性的欲求（リビドー）といった、いわゆる「バイタリティ（活力）」の源泉となります。

テストステロン値が正常に保たれていることは、QOL（生活の質）を高く維持するために重要です。

テストステロン値が低下する原因

テストステロンの分泌量は20代をピークに、加齢とともに徐々に減少していくのが自然な現象です。しかし、加齢以外にもテストステロン値を低下させる要因は日常生活に潜んでいます。

過度な精神的ストレス、慢性的な睡眠不足、栄養バランスの偏った食事、運動不足などはホルモンバランス全体を乱し、テストステロンの産生を妨げる原因となります。

特に強いストレスは、テストステロンの産生を強力に抑制することが知られています。

テストステロン値が低下する主な要因

• 加齢（自然な減少）
• 持続的な強いストレス
• 睡眠不足
• 運動不足
• 肥満（特に内臓脂肪）
• 過度なアルコール摂取
• 特定の疾患や薬剤の影響

テストステロン摂取が注目される理由

テストステロンの「摂取」が注目される背景には、テストステロン値の低下によって引き起こされる様々な心身の不調を改善したいという期待があります。

これは特にLOH症候群（加齢男性性腺機能低下症候群）、いわゆる「男性更年期障害」の認知度が高まったことと関連しています。

活力や意欲の低下（メンタルヘルス）

テストステロン値が低下すると、精神面に大きな影響が出ることがあります。

「なんとなくやる気が出ない」「以前楽しかったことに興味が持てなくなった」「集中力が続かない」「理由もなく不安になったり、気分が落ち込んだりする」といった症状です。

これらの精神的な活力の低下はうつ症状と間違われることもありますが、背景にテストステロンの減少が関わっている可能性があります。

筋力低下や体脂肪の増加

テストステロンは筋肉の合成を促進し、体脂肪の蓄積を抑える働きがあります。

「以前と同じ生活をしているのに筋肉が落ちて体がたるんできた」「お腹周りの脂肪が落ちにくくなった」「疲れやすくなった」といった身体的な衰えも、テストステロンの減少が一因となっている場合があります。

特に内臓脂肪が増加すると、それがさらにテストステロンの減少を招くという悪循環に陥ることもあります。

性機能（リビドー）の減退

テストステロンは性的欲求（リビドー）の源であり、正常な勃起機能（ED）にも間接的に関わっています。

テストステロン値が低下すると「性的な関心が薄れた」「朝立ち（早朝勃起）が減った」といった、性機能の減退を自覚することが多くなります。

これは男性としての自信にも関わるため、深刻な悩みとなり得ます。

LOH症候群（男性更年期障害）との関連

これらの精神的、身体的、性機能に関する様々な不調が、加齢によるテストステロン値の低下によって複合的に引き起こされている状態を「LOH症候群（加齢男性性腺機能低下症候群）」または「男性更年期障害」と呼びます。

このLOH症候群の存在が知られるようになり、その治療法の一つとして「テストステロン補充療法」が注目されたことが、「テストステロン摂取」という言葉が一般に広まる大きなきっかけとなりました。

LOH症候群（男性更年期障害）の主な症状

• 精神症状（意欲低下、抑うつ、不安、不眠、記憶力低下）
• 身体症状（筋力低下、筋肉痛、関節痛、疲労感、ほてり、発汗）
• 性機能症状（性欲減退、勃起障害）

テストステロンの「摂取」方法

一般的に「テストステロン摂取」と呼ばれるものには医学的な診断に基づき、医師の厳格な管理下で行う「ホルモン補充療法」と、それ以外の食品やサプリメントによる「間接的なサポート」の2種類があります。

これらは根本的に異なり、両者を混同してはいけません。

医療機関でのテストステロン補充療法（注射・外用薬）

これは、LOH症候群など血液検査によってテストステロン値の明らかな低下が確認され、かつ臨床症状が認められる場合にのみ、医師の判断で行われる「医療行為」です。

テストステロン製剤（注射剤や塗り薬（ゲル剤））を直接体内に投与し、不足しているテストステロンを生理的なレベルまで補充します。

これは「治療」であり、安易な「若返り」や「ドーピング」目的で行うものではありません。厳格な検査と管理のもと、副作用のリスクを監視しながら慎重に進められます。

医療機関での補充療法の種類

種類	特徴	メリット・デメリット
注射剤	テストステロンエナント酸エステルなど。2～4週間に1回程度、筋肉注射する。	【メリット】血中濃度を確実に上げられる。 【デメリット】通院が必要。血中濃度の変動が起こりやすい。
外用薬（ゲル剤）	テストステロンを含むゲル（クリーム）を毎日、皮膚（肩や腹部など）に塗布する。	【メリット】自宅で可能。血中濃度が安定しやすい。 【デメリット】塗布の手間。他者（特に女性や子供）への付着リスク。

食品によるテストステロン向上の試み

特定の食品を食べることによって、体外からテストステロンそのものを「摂取」することはできません。

しかし、体内でテストステロンがスムーズに産生されるのを「サポート」する栄養素を摂ることは可能です。

例えば、テストステロンの原料となる良質な脂質（コレステロール）や、合成に不可欠なミネラル（亜鉛）、ビタミンDなどがそれにあたります。

これらはあくまで「材料」や「環境整備」であり、テストステロンの産生を直接的に増やすものではありません。

テストステロン向上を謳うサプリメントの実態

市場には「テストステロンブースター」などと称し、男性機能の向上や筋力増強を謳うサプリメントが多数存在します。

これらはテストステロンそのものを含んでいるわけではありません（もし含んでいれば違法な医薬品です）。

多くの場合、亜鉛やビタミン、あるいは「トンカットアリ」「フェヌグリーク」「D-アスパラギン酸」といったテストステロンの産生をサポートするとされるハーブやアミノ酸が配合されています。

これらの効果は科学的に明確に証明されていないものが多く、医薬品のような直接的な作用は期待できません。

サプリメント利用の注意点

サプリメントはあくまで「食品」の扱いです。医薬品のような厳格な品質管理や、有効性・安全性の審査を受けていないものも多く含まれます。

特に海外製のサプリメントの中には、日本では未承認の医薬品成分（アナボリックステロイドなど）が違法に混入しているケースも報告されており、深刻な健康被害につながるリスクがあります。

安易に「テストステロンが摂取できる」と誤解し、これらのサプリメントに手を出すことは非常に危険です。

医療的なテストステロン補充療法の重大な副作用

医師の厳格な管理下で行う正規のテストステロン補充療法でさえ全ての人に適しているわけではなく、重大な副作用を引き起こす可能性があるため、治療中は定期的な検査が必須となります。

多血症（血液が濃くなる）のリスク

テストステロン補充療法の副作用として、最も注意が必要なものの一つが「多血症（赤血球増加症）」です。

テストステロンには赤血球の産生を促す作用があるため、補充療法によってテストステロン値が上昇すると赤血球が過剰に作られ、血液が「濃く、ドロドロ」の状態になることがあります。

これにより血管が詰まりやすくなり、脳梗塞や心筋梗塞といった深刻な血栓症のリスクが高まります。

治療中は定期的に血液検査（ヘモグロビン値やヘマトクリット値）を行い、多血症の兆候がないかを厳重に監視します。

肝機能への影響

投与されたテストステロンは肝臓で代謝されるため、肝臓に負担がかかる可能性があります。

特にかつて使用されていた経口薬（飲み薬）のテストステロン製剤は、肝機能障害のリスクが高いことが知られていました。

現在主流の注射剤や外用薬（ゲル剤）は

肝臓への初回通過（肝臓で代謝されてから全身に回る）の影響を受けにくいため、リスクは低減されていますが、それでも定期的な肝機能検査（AST、ALTなど）は重要です。

もともと肝機能が悪い人は、治療が受けられない場合があります。

睡眠時無呼吸症候群の悪化

テストステロン補充療法によって、睡眠時無呼吸症候群（SAS）が悪化、あるいは新たに発症することが報告されています。

テストステロンが中枢神経や上気道の筋肉に何らかの影響を与え、睡眠中の呼吸が止まりやすくなるのではないかと考えられています。

いびきがひどくなった、日中の強い眠気を感じるようになったといった症状が出た場合は、すぐに医師に相談する必要があります。

前立腺への影響

テストステロン補充療法が前立腺がんを「発症」させるという直接的な証拠は現在のところ確立されていません。

しかし、すでに存在している（発見されていない）前立腺がんの進行を「早める」可能性は否定できません。そのため補充療法を開始する前と、開始後も定期的に前立腺がんのスクリーニング検査（PSA検査や直腸診）を受けることが必須条件となります。

前立腺がんの疑いがある人や治療中の人は、この治療を受けることができません。

テストステロン補充療法の主な副作用と検査

副作用のリスク	概要	必要な検査（例）
多血症（血栓症リスク）	赤血球が増加し血液が濃くなる。	血液検査（ヘモグロビン値、ヘマトクリット値）
前立腺への影響	既存のがんの進行を早める可能性。	血液検査（PSA値）、直腸診
肝機能障害	肝臓での代謝による負担。	血液検査（AST、ALTなど）
睡眠時無呼吸症候群	悪化または発症のリスク。	問診（いびき、日中の眠気など）

テストステロン摂取とAGA（薄毛）の関係

テストステロンの「摂取」がAGA（男性型脱毛症）に与える影響は非常に複雑であり、「テストステロンを増やせば髪が生える」という単純なものではなく、むしろ逆の影響を及ぼす可能性があります。

「男性ホルモン＝薄毛の原因」というイメージが先行していますが、その関係性は正しく理解する必要があります。

AGA（男性型脱毛症）の本当の原因（DHT）

AGAによる薄毛の直接的な「犯人」は、テストステロンそのものではありません。

AGAはテストステロンが「5αリダクターゼ」という酵素によって、より強力な男性ホルモンである「DHT（ジヒドロテストステロン）」に変換され、このDHTが毛根の受容体に結合することによって引き起こされます。

DHTが毛根に作用すると毛髪の成長期が極端に短くなり、髪が太く長く成長する前に抜け落ちてしまいます。

つまり、テストステロンはDHTの「材料」ではありますが、テストステロン値が高いこととAGAの発症が必ずしもイコールではありません。

テストステロンがDHTに変換される

AGA治療薬であるフィナステリドやデュタステリドが、5αリダクターゼを阻害する薬であることからも分かるように、薄毛対策の鍵は「いかにDHTの生成を抑えるか」にあります。

テストステロンは、このDHTの「前駆体（材料）」です。体内のテストステロンが多ければ、それだけDHTに変換される「材料」も多くなる可能性があるということです。

テストステロン補充によるAGA悪化のリスク

ここで、テストステロン補充療法を行った場合の影響を考えます。

医療行為であれ、安易な自己判断（ドーピングなど）であれ、体外からテストステロンを「摂取（補充）」すれば、当然ながら体内のテストステロン濃度は上昇します。

テストステロン濃度が上昇すれば、その分5αリダクターゼによってDHTに変換される量も増加する可能性があります。

AGAの素因（DHTへの感受性が高い毛根）を持っている人がテストステロンを補充すると、DHTの生成が促進され、結果としてAGAの症状が「悪化」する、あるいは「発症が早まる」リスクがあるのです。

テストステロンとDHTとAGAの関係

ホルモン	役割	AGAへの関与
テストステロン	主要な男性ホルモン。活力の源。	DHTの「材料」となる。
5αリダクターゼ	テストステロンをDHTに変換する酵素。	AGAの発症に必須。
DHT	強力な男性ホルモン。	毛根に作用し、ヘアサイクルを短縮させる「直接の原因」。

薄毛対策としてのテストステロン摂取は間違い

「テストステロンが減ると元気がなくなる」「薄毛も老化現象の一つだ」といったイメージから、「テストステロンを摂取すれば髪も元気になる（生えてくる）」と考えるのは、残念ながら大きな誤解です。

AGA（男性型脱毛症）に限って言えば、その「材料」となるテストステロンを外部から摂取することは、薄毛の改善どころか、むしろ悪化させるリスクをはらんでいます。

薄毛の悩みを解決したいのであればテストステロンの摂取ではなく、AGA専門クリニックで医師の診断を受け、DHTを抑制する（フィナステリドなど）といった、科学的根拠のある適切なAGA治療を選択することが唯一の道です。

安易な自己判断によるテストステロン摂取の危険性

医師の処方箋に基づかない安易なテストステロンの「摂取」は、医学的な管理下で行う補充療法とは全く異なり、深刻な健康被害や副作用を招く極めて危険な行為です。

特に、筋肉増強などを目的とした個人輸入には重大なリスクが伴います。

個人輸入される薬剤（筋肉増強剤など）のリスク

インターネットなどを通じて、医師の処方なく海外から購入できるテストステロン製剤（注射剤、経口薬）や、アナボリックステロイド（テストステロン誘導体）が存在します。

これらは、ボディビルディングや運動能力向上のためのドーピング目的で使用されることがありますが、その実態は非常に危険です。

正規の医薬品である保証はなく、不純物が混入していたり、表示されている成分量と実際の含有量が異なったりする粗悪品である可能性も高いです。

何より、医師の監視なしに使用すること自体が、健康を著しく害する行為です。

ホルモンバランスの破綻

体外から強力な男性ホルモン（テストステロンやアナボリックステロイド）を大量に「摂取」すると、体は「ホルモンが十分すぎる」と勘違いし、自らテストステロンを作る機能（精巣の機能）を停止させてしまいます。

その結果、薬剤の使用を中止した後、体内でテストステロンが作れない「ホルモン枯渇状態」に陥り、深刻な性機能障害（無精子症、勃起不全）や重度のうつ症状を引き起こす可能性があります。

一度壊れたホルモンバランスを元に戻すのは非常に困難です。

健康被害の具体例

医師の管理外でのテストステロンの過剰摂取は医療的な補充療法で懸念される副作用（多血症、肝機能障害、前立腺への影響、睡眠時無呼吸）のリスクを際限なく高めます。

それらに加え、心臓への負担増大（心筋梗塞、心不全）、攻撃性の亢進（いわゆる”ロイドレイジ”）、重度のニキビ、女性化乳房（男性の胸が女性のように膨らむ）など、全身にわたる深刻な健康被害が報告されています。

自己判断によるテストステロン摂取の主な危険性

危険性の分類	具体的な内容（例）
ホルモンバランス関連	精巣機能の停止、無精子症、女性化乳房、AGAの悪化
循環器系	多血症、血栓症（脳梗塞、心筋梗塞）、心不全、高血圧
精神・その他	攻撃性の亢進、うつ症状、肝機能障害、重度のニキビ

ドーピング違反の問題

言うまでもありませんが、プロ・アマチュアを問わず、スポーツ競技に参加する選手が治療目的（TUE：治療使用特例）の許可なくテストステロンやアナボリックステロイドを使用することは、重大なドーピング（禁止薬物使用）違反です。

競技者としてのキャリアを失うだけでなく、上記のような深刻な健康被害を被るリスクを冒すことになります。

テストステロン値を自然に高める生活習慣

医薬品や危険なサプリメントに頼る前に、ご自身のテストステロン値を健やかに保つための基本的な生活習慣を見直すことが最も安全で持続可能な対策となります。

不足しているのではなく、生活習慣によって「低下させられている」可能性をまず疑うべきです。

質の高い睡眠の確保

テストステロンは主に睡眠中に多く分泌されます。特に深いノンレム睡眠の間に産生が活発になると言われています。

慢性的な睡眠不足や、睡眠の質が低い状態（夜中に何度も目が覚めるなど）が続くと、テストステロンの分泌は著しく低下します。

毎日7～8時間の十分な睡眠時間を確保し、寝る前のスマートフォン操作を控えるなど睡眠の質を高める工夫をすることが非常に重要です。

適度な運動（特に筋力トレーニング）

運動不足はテストステロン値の低下につながります。

適度な運動、特に筋肉に負荷をかける筋力トレーニング（スクワット、デッドリフト、ベンチプレスなど、大きな筋肉群を使う運動）は、テストステロンの分泌を促す効果的な方法であることが知られています。

また、ウォーキングなどの有酸素運動もストレス解消や血流改善、肥満解消に役立ち、間接的にテストステロン値をサポートします。運動を習慣化することが大切です。

栄養バランスの取れた食事

テストステロンの産生には様々な栄養素が必要です。これらの栄養素が不足しないよう、バランスの取れた食事を心がけることが基本です。

特定の食品だけを食べるのではなく、多様な食材から栄養を摂ることが重要です。

テストステロン産生をサポートする栄養素

栄養素	役割	多く含まれる食品（例）
良質な脂質	テストステロンの主原料（コレステロール）	青魚（DHA/EPA）、オリーブオイル、ナッツ類、卵
亜鉛	テストステロンの合成に不可欠なミネラル	牡蠣、レバー、牛肉（赤身）、チーズ
ビタミンD	テストステロン値との関連が指摘される	鮭、サンマ、キノコ類、卵黄（日光浴も有効）
タンパク質	筋肉の維持・増強（間接的にサポート）	肉、魚、大豆製品、卵

テストステロン値を高めるとされる食品（一例）

食品群	代表的な食品	期待される理由
香味野菜	ニンニク、玉ねぎ、ニラ	アリシンなどが産生をサポートする可能性
アブラナ科野菜	ブロッコリー、キャベツ	女性ホルモンの働きを調整する可能性
魚介類（亜鉛）	牡蠣、アサリ	亜鉛の補給（必須ミネラル）

ストレス管理

ストレスを感じると、体はそれに対抗するために「コルチゾール」というホルモンを分泌します。

コルチゾールとテストステロンは産生される経路の一部が競合するとも言われ、慢性的にコルチゾールが高い状態（ストレス過多の状態）が続くと、テストステロンの産生が抑制されてしまうことが知られています。

趣味の時間を持つ、リラックスできる環境を作る、瞑想やヨガを取り入れるなど、ご自身に合った方法でストレスを上手に発散させることが、テストステロン値を守ることにもつながります。

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テストステロンの摂取や副作用に関するよくある質問

テストステロンの摂取や副作用に関して、多くの方が抱く疑問や不安についてお答えします。

テストステロン値が低いと必ず薄毛になりますか？

いいえ、必ずしもそうとは言えません。

AGA（男性型脱毛症）の直接の原因はテストステロン値の「高さ」や「低さ」ではなく、テストステロンから変換される「DHT（ジヒドロテストステロン）」に対する毛根の感受性の高さ（遺伝的要因）です。

テストステロン値が低くてもAGAの素因を持っていれば薄毛は進行しますし、逆にテストステロン値が高くても、素因がなければ薄毛にならない人もいます。

両者は単純に比例するものではありません。

テストステロン補充療法中にAGA治療（フィナステリド等）は併用できますか？

はい、医師の厳格な管理下であれば併用は可能です。

LOH症候群の治療としてテストステロン補充療法を行うと前述の通りDHTが増加し、AGAが悪化するリスクがあります。

そのため、LOH症候群とAGAの両方の治療が必要な患者に対してテストステロン補充療法と同時に、DHTの生成を抑えるフィナステリドやデュタステリドを併用処方することは、専門のクリニックでは行われることがあります。

ただし、これは高度なホルモン管理が必要なため、必ず専門医の指導のもとで行わなければなりません。

食品（ニンニクや玉ねぎなど）でテストステロンは本当に増えますか？

ニンニクや玉ねぎなどに含まれる含硫アミノ酸（アリシンなど）が、動物実験などでテストステロン値の上昇をサポートしたという報告はあります。

しかし、これがそのまま人間において食べただけテストステロンが顕著に増加することを意味するものではありません。

これらの食品は健康維持に有益であり、バランスの良い食事の一環として取り入れることは良いことですが、「摂取すればするだけテストステロンが増える」といった医薬品のような効果を期待すべきではありません。

テストステロンのサプリメントに副作用はありませんか？

サプリメントは「食品」扱いですが、副作用（体質に合わない、アレルギー反応など）が全くないわけではありません。

特に「テストステロン向上」を謳う海外製のサプリメントには注意が必要です。

効果を謳うあまり、日本では許可されていない成分や、アナボリックステロイドなどの禁止薬物が違法に混入されているケースが後を絶ちません。

これによる深刻な健康被害（肝機能障害やホルモンバランスの破綻など）のリスクは、正規の医薬品の副作用リスクよりもはるかに高いと言えます。安易な使用は絶対に避けるべきです。