「急に大量の抜け毛」が止まらない…ストレス?病気?原因別の対処法

「急に大量の抜け毛」が止まらない…ストレス?病気?原因別の対処法

シャワーの排水溝や朝の枕元を見て、抜け毛の量が急に増えたと感じると、強い不安に襲われるものです。

「何か悪い病気だろうか」「このまま薄くなってしまうのでは…」と悩んでいる方も多いかもしれません。その抜け毛、単なるストレスや季節的なものと片付けるのは早い可能性があります。

この記事では、急に大量の抜け毛が起こる様々な原因を深掘りし、それぞれの原因に応じた具体的な対処法を解説します。

ご自身の状況を正しく理解し、適切な一歩を踏み出すための情報を得ることで、不安を和げ、健やかな頭皮環境を取り戻す手助けとなるはずです。

目次

この記事の執筆者

AGAメディカルケアクリニック統括院長 前田 祐助
Dr.前田 祐助

AGAメディカルケアクリニック 統括院長

前田 祐助

【経歴】

慶應義塾大学医学部医学研究科卒業

慶應義塾大学病院 初期臨床研修課程終了

大手AGAクリニック(院長)を経て、2018年に薄毛・AGA治療の「AGAメディカルケアクリニック」新宿院を開設

2020年に横浜院、2023年に東京八重洲院を開設

院長プロフィール

資格・所属学会・症例数

【資格】

  • 医師免許
  • ⽇本医師会認定産業医
  • 医学博士

【所属学会】

  • 日本内科学会
  • 日本美容皮膚科学会
  • 日本臨床毛髪学会

【症例数】

3万人以上※

※2018年5月~2022年12月AGAメディカルケアクリニック全店舗の延べ患者数

「急に大量の抜け毛」は危険信号か

急に抜け毛が増えたと感じた場合、それは頭皮や身体が発している何らかのサインである可能性が高いです。

正常なヘアサイクル(毛周期)の範囲内での抜け毛もありますが、「いつもと違う」と感じる量であれば、その背景にある原因を探る必要があります。

抜け毛の状態や本数、その他の症状に注意を向けることが、問題解決の第一歩となります。

正常な抜け毛と異常な抜け毛の見分け方

髪の毛には「成長期」「退行期」「休止期」というサイクルがあり、休止期に入った髪は自然に抜け落ちます。これが正常な抜け毛です。

正常な抜け毛は、毛根部分(毛球)がふっくらと丸みを帯びていることが多いです。

一方、異常な抜け毛は、毛根が細く尖っていたり、毛根自体が付いていなかったり、細く短い毛が多く含まれていたりする特徴があります。

また、抜け毛だけでなく、頭皮にかゆみ、赤み、フケ、痛みなどを伴う場合も注意が必要です。

抜け毛の毛根チェックポイント

状態毛根の特徴考えられる状況
正常な抜け毛白く、ふっくら丸みがあるヘアサイクルによる自然な抜け毛
異常な抜け毛(細い)細く、尖っている、または形がない栄養不足、血行不良、AGAの可能性
異常な抜け毛(皮脂付着)毛根にベタついた皮脂が付着頭皮環境の悪化、脂漏性皮膚炎など

自分の抜け毛を観察し、どのような特徴があるかを確認してみましょう。もし異常な抜け毛の特徴が多く見られる場合は、早めに対策を考えることが重要です。

1日に何本抜けると「大量」といえるか

一般的に、健康な人でも1日に50本から100本程度の髪の毛は自然に抜けているといわれます。これはあくまで平均値であり、季節(特に秋)や個人の毛髪量によっても変動します。

しかし、毎日コンスタントに100本を大きく超える量が抜けていると感じる場合や、以前と比べて明らかに「倍以上になった」と感じる場合は、「大量の抜け毛」として注意すべきサインと考えられます。

シャンプー時やドライヤー時、朝起きた時の枕元の抜け毛の本数を意識的に数日間チェックしてみると、客観的な判断材料になります。

抜け毛以外に注意すべき頭皮や体調の変化

急な抜け毛と同時に、他の症状が現れていないかも重要です。

頭皮に関して言えば、フケの量が急に増えた(乾燥したフケ、ベタついたフケの両方)、頭皮が赤い、かゆみが止まらない、ニキビや湿疹ができやすい、といった症状は頭皮環境が悪化している証拠です。

また、身体全体のサインとして、極端な疲労感、だるさ、急な体重の増減、気分の落ち込み、不眠などが伴う場合、抜け毛は全身の健康状態を反映している可能性があります。

これらのサインを見逃さず、トータルで自分の状態を把握することが大切です。

考えられる主な原因1 ストレス

現代社会において、ストレスは急な抜け毛を引き起こす大きな要因の一つです。精神的なプレッシャーや悩みだけでなく、身体的な疲労も髪の健康に深く関わっています。

ストレスがどのようにして抜け毛につながるのか、その関係性を理解することが対策の第一歩です。

精神的ストレスが髪に与える影響

仕事のプレッシャー、人間関係の悩み、将来への不安といった精神的ストレスは、自律神経のバランスを乱します。

自律神経には交感神経と副交感神経があり、ストレス状態が続くと交感神経が優位になります。交感神経が活発になると血管が収縮し、頭皮への血流が悪化します。

その結果、髪の成長に必要な栄養素や酸素が毛根まで十分に行き渡らなくなり、髪が細くなったり、成長期が短縮されて抜け毛が増えたりします。

身体的ストレス(疲労・睡眠不足)と抜け毛

精神的なものだけでなく、身体的なストレスも抜け毛の原因となります。過度な残業による慢性的な疲労、夜更かしによる睡眠不足、不規則な生活リズムなどは、身体にとって大きな負担です。

特に睡眠中は、髪の成長を促す「成長ホルモン」が分泌される重要な時間です。睡眠が不足すると、このホルモンの分泌が減少し、頭皮や毛髪の修復・再生が妨げられ、抜け毛につながりやすくなります。

ストレスによる血行不良と栄養不足

前述の通り、ストレスは血管を収縮させ、頭皮の血行不良を引き起こします。血流は、私たちが食事から摂取した栄養素を身体の隅々まで運ぶ役割を担っています。

頭皮の血流が悪くなるということは、髪の毛の「工場」である毛母細胞に、髪の主成分であるタンパク質(アミノ酸)や、それをサポートするビタミン、ミネラルが届きにくくなることを意味します。

栄養不足に陥った毛根は、健康な髪を育てることができなくなり、結果として細く弱い毛が増え、抜け毛が目立つようになります。

ストレスによる抜け毛のサイン

サインの種類具体的な症状髪への影響
自律神経の乱れイライラ、不眠、動悸血管収縮による血行不良
ホルモンバランス男性ホルモンの影響(間接的)ヘアサイクルの乱れ
行動の変化食欲不振、過食栄養バランスの偏り

ストレス性抜け毛の特徴

ストレスによる抜け毛は、AGA(男性型脱毛症)のように特定の部位から進行するのとは異なり、頭部全体から均等に抜ける「びまん性脱毛」の傾向が見られることがあります。

また、ストレスの原因がはっきりしている場合、その出来事から数ヶ月遅れて抜け毛が始まることも特徴です(休止期脱毛)。

円形脱毛症のように、コイン大の脱毛斑が突然現れる場合もあり、これは自己免疫機能がストレスによって異常をきたすことが一因とも考えられています。

考えられる主な原因2 AGA(男性型脱毛症)

急に大量の抜け毛を感じた場合、男性にとって最も可能性の高い原因の一つがAGA(男性型脱毛症)です。

これは進行性の脱毛症であり、ストレスや生活習慣とは異なる、特有の原因によって引き起こされます。早期の認識と対策が非常に重要です。

AGAとは何か

AGA(Androgenetic Alopecia)は、一般的に「男性型脱毛症」と呼ばれるもので、成人男性に多く見られる進行性の脱毛症です。

主な原因は、男性ホルモンの一種である「テストステロン」が、頭皮に存在する「5αリダクターゼ」という酵素によって、より強力な「ジヒドロテストステロン(DHT)」に変換されることです。

このDHTが、毛根にある受容体と結合することで、髪の成長期を短縮させ、毛髪が太く長く成長する前に抜け落ちてしまいます。その結果、徐々に髪が細く短くなり(軟毛化)、薄毛が目立つようになります。

AGAの進行パターンとセルフチェック

AGAの進行パターンには個人差がありますが、いくつかの典型的な型があります。

額の生え際が後退していく「M字型」、頭頂部(つむじ周り)から薄くなる「O字型」、そしてその両方が同時に進行する「U字型(またはM+O字型)」などです。

AGAセルフチェックリスト

  • 家族(特に父方・母方の祖父や父)に薄毛の人がいる。
  • 以前より髪のハリやコシがなくなったと感じる。
  • 抜け毛に細く短い毛が多く含まれている。
  • 生え際が後退してきた、または頭頂部が透けて見えるようになった。
  • 頭皮がベタつきやすいと感じる。

これらの項目に複数当てはまる場合、AGAの可能性を考慮する必要があります。

AGAは「急に」始まることもあるか

AGAは一般的に「徐々に進行する」脱毛症とされています。しかし、抜け毛の増加を「急に」と感じるケースは少なくありません。

これは、AGAの初期段階では軟毛化がゆっくり進むため気づきにくいものの、何かのきっかけ(例えば、ストレスや生活習慣の乱れが重なるなど)でヘアサイクルがさらに乱れ、抜け毛が一気に目立つようになるためです。

また、それまで自分の抜け毛の量を意識していなかった人が、ある日突然、排水溝の髪の毛の量に気づき、「急に増えた」と認識するパターンもあります。

AGAの進行が始まったサインを見逃さないことが大切です。

他の脱毛症との違い

急な抜け毛を引き起こす脱毛症はAGAだけではありません。例えば「円形脱毛症」は、自己免疫疾患の一種と考えられており、ストレスなどを引き金に、突然コイン大の脱毛斑が現れます。

AGAのように特定のパターンで薄くなるのとは異なります。「脂漏性脱毛症」は、皮脂の過剰分泌により頭皮が炎症を起こし、毛穴が詰まったりすることで抜け毛が増える状態です。

こちらは頭皮の赤みやベタついたフケを伴うことが多いです。

主な脱毛症の比較

脱毛症の種類主な原因特徴的な症状
AGA(男性型脱毛症)男性ホルモン(DHT)、遺伝生え際・頭頂部から進行、軟毛化
円形脱毛症自己免疫疾患、ストレス等円形・楕円形の脱毛斑が突然出現
脂漏性脱毛症皮脂の過剰分泌、マラセチア菌ベタつくフケ、頭皮の赤み・かゆみ

自分の抜け毛がどのタイプに近いかを見極めることは難しい場合が多いため、自己判断せず専門家の意見を求めることが賢明です。

考えられる主な原因3 生活習慣の乱れ

髪の健康は、日々の生活習慣と密接に結びついています。不規則な生活や偏った習慣が続くと、頭皮環境や髪の成長サイクルに悪影響を及ぼし、急な抜け毛の引き金となることがあります。

全身の健康を見直すことが、抜け毛対策にもつながります。

食生活の偏りと髪への影響

髪の毛は主に「ケラチン」というタンパク質で構成されています。そのため、日々の食事でタンパク質が不足すると、健康な髪を作ることができません。

また、タンパク質の合成を助ける「亜鉛」や、頭皮の血行を促進する「ビタミンE」、頭皮環境を整える「ビタミンB群」なども髪の成長には必要です。

インスタント食品やファストフード中心の食生活、過度なダイエットによる栄養不足は、髪に必要な栄養素が届かない原因となります。

髪の成長をサポートする主な栄養素

栄養素主な働き多く含まれる食品例
タンパク質髪の主成分(ケラチン)の材料肉、魚、卵、大豆製品
亜鉛タンパク質の合成を助ける牡蠣、レバー、赤身肉、ナッツ類
ビタミンB群頭皮の新陳代謝、皮脂分泌の調整豚肉、レバー、マグロ、納豆

睡眠不足が頭皮環境を悪化させる理由

睡眠は、単に体を休ませるだけでなく、細胞の修復や再生を行うための重要な時間です。特に、入眠後に深く眠っている間(ノンレム睡眠中)に「成長ホルモン」が最も多く分泌されます。

この成長ホルモンは、頭皮の細胞分裂を促し、日中に受けた紫外線などのダメージを修復し、髪の成長をサポートします。

睡眠不足が続くと、成長ホルモンの分泌が不十分になり、頭皮のターンオーバーが乱れたり、髪の成長が妨げられたりして、抜け毛が増える原因となります。

運動不足と血流の関係

デスクワークが中心で日常的に運動する習慣がないと、全身の血流が悪化しがちです。特に心臓から遠い頭頂部は、血流が滞りやすい部位の一つです。

運動不足は筋力の低下を招き、血液を送り出すポンプ機能が弱まることにもつながります。頭皮の血流が悪くなれば、毛根にある毛母細胞に十分な栄養と酸素が供給されず、髪の成長が阻害されます。

適度な運動は、血行を促進するだけでなく、ストレス解消にも役立つため、抜け毛予防において一石二鳥といえます。

喫煙・過度な飲酒のリスク

喫煙は、抜け毛にとって大きなリスク要因です。タバコに含まれるニコチンには強力な血管収縮作用があり、頭皮の毛細血管を細くして血流を著しく悪化させます。

また、喫煙によって体内で大量に発生する活性酸素は、毛母細胞を攻撃し、老化を早める可能性があります。

一方、適度な飲酒は血行を良くする面もありますが、過度な飲酒は問題です。アルコールを分解する際に、髪の栄養となるアミノ酸やビタミンB群が大量に消費されてしまいます。

さらに、飲み過ぎは睡眠の質を低下させ、成長ホルモンの分泌を妨げることにもつながります。

考えられる主な原因4 頭皮環境の悪化

髪が育つ土壌である頭皮の環境が悪化すると、健康な髪が育ちにくくなり、抜け毛が急に増えることがあります。

日々のヘアケアや生活習慣が、知らず知らずのうちに頭皮にダメージを与えているかもしれません。頭皮の状態をチェックし、適切なケアを行うことが重要です。

間違ったヘアケア(シャンプー方法など)

良かれと思って行っているヘアケアが、逆に頭皮を傷つけているケースがあります。

例えば、洗浄力の強すぎるシャンプーを毎日使うと、頭皮を守るために必要な皮脂まで奪ってしまい、乾燥やバリア機能の低下を招きます。

逆に、すすぎ残しがあると、シャンプー剤が毛穴に詰まり、炎症の原因となります。また、頭皮を清潔にしようと爪を立ててゴシゴシ洗う行為は、頭皮を傷つけ、そこから雑菌が入る可能性もあります。

1日に何度もシャンプーするのも洗いすぎです。

皮脂の過剰分泌と炎症

頭皮の皮脂が過剰に分泌されると、毛穴が詰まりやすくなります。詰まった毛穴の中ではアクネ菌などが増殖しやすく、ニキビ(毛嚢炎)などの炎症を引き起こします。

また、過剰な皮脂は、頭皮に常在するマラセチア菌のエサとなり、菌が異常増殖すると「脂漏性皮膚炎」を発症することがあります。

脂漏性皮膚炎は、強いかゆみやベタついたフケ、赤みを伴い、頭皮環境を著しく悪化させるため、毛根がダメージを受けて抜け毛が増加(脂漏性脱毛症)することがあります。

皮脂の過剰分泌は、脂っこい食事やホルモンバランスの乱れ、間違ったヘアケアなどが原因で起こります。

乾燥による頭皮ダメージ

皮脂の取りすぎや、湿度の低い環境、紫外線の影響などで頭皮が乾燥すると、頭皮のバリア機能が低下します。

バリア機能が弱まると、外部からのわずかな刺激(シャンプー剤、花粉、ホコリなど)にも敏感に反応しやすくなり、かゆみやフケ(カサカサした乾燥性のフケ)、炎症を引き起こします。

かゆみで頭皮を掻きむしってしまうと、さらに頭皮が傷つき、健康な髪が育つ環境が損なわれ、抜け毛につながります。特に冬場やエアコンの効いた室内では乾燥しやすいため注意が必要です。

頭皮トラブルのサインとセルフケア

頭皮の状態主な症状考えられるケア
乾燥カサカサしたフケ、かゆみ保湿ローションの使用、シャンプーの見直し
脂性(オイリー)ベタつくフケ、ニオイ、かゆみ適切なシャンプー、食生活の見直し
炎症赤み、痛み、湿疹刺激の少ないケア、皮膚科受診

考えられる主な原因5 病気や薬の影響

急に大量の抜け毛が始まった場合、AGAや生活習慣だけでなく、背景に何らかの病気が隠れている可能性も否定できません。また、現在服用している薬の副作用として脱毛が起こることもあります。

これらは自己判断が難しいため、特に体調不良を伴う場合は医療機関の受診が重要です。

甲状腺機能の異常

喉元にある甲状腺は、全身の新陳代謝をコントロールするホルモンを分泌しています。

この甲状腺の機能が亢進(働きすぎ)する「バセドウ病」や、逆に低下(働きが悪い)する「橋本病(慢性甲状腺炎)」などの疾患があると、ヘアサイクルに異常をきたし、抜け毛が増えることがあります。

特に甲状腺機能低下症では、髪がパサつき、細くなり、全体的に薄くなる傾向が見られます。

抜け毛以外に、極端な体重の増減、異常な疲労感、動悸、むくみ、暑がり・寒がりなどの症状がある場合は、内分泌科などでの検査を検討する必要があります。

自己免疫疾患(円形脱毛症など)

円形脱毛症は、最も代表的な自己免疫疾患による脱毛症です。通常、免疫システムは外部からの異物(ウイルスや細菌)を攻撃しますが、

何らかの原因で免疫システムに異常が生じ、自分の毛根を異物と間違えて攻撃してしまうことで、髪が抜けてしまいます。

ストレスが引き金になることも多いといわれていますが、明確な原因はまだわかっていません。

円形や楕円形の脱毛斑が突然現れるのが特徴で、単発の場合もあれば、多発したり、頭部全体や全身の毛に及んだりすることもあります。

皮膚疾患(脂漏性皮膚炎など)

頭皮環境の悪化でも触れましたが、「脂漏性皮膚炎」は、皮脂の多い頭皮や顔などに起こりやすい皮膚炎です。

マラセチア菌というカビ(真菌)の一種が関与しているとされ、頭皮が赤くなり、ベタついたフケやかゆみを生じます。

炎症が慢性化すると、毛根がダメージを受け、健康な髪の成長が妨げられて抜け毛が増加します(脂漏性脱毛症)。

他にも、アトピー性皮膚炎が頭皮にある場合や、接触性皮膚炎(ヘアカラーやシャンプーが合わない)などでも、炎症とかゆみによって抜け毛が起こり得ます。

薬の副作用による脱毛

特定の薬を服用し始めた後、あるいは長期間服用しているうちに、副作用として抜け毛が起こることがあります。これは「薬剤性脱毛症」と呼ばれます。

原因となる薬は様々ですが、代表的なものには、抗がん剤(細胞分裂を抑えるため)、一部の抗うつ薬、高血圧の薬(β遮断薬など)、血液をサラサラにする薬(抗凝固薬)、高脂血症治療薬などが知られています。

もし、新しい薬を飲み始めてから抜け毛が増えたと感じる場合は、自己判断で中断せず、処方した医師に相談することが絶対に必要です。

原因別「急に大量の抜け毛」への対処法

急に大量の抜け毛が起きた場合、その原因によってとるべき対処法は異なります。

まずは自分の抜け毛の原因が何に近いかを冷静に分析し、適切な行動に移すことが、不安を解消し、健やかな髪を取り戻すための鍵となります。

ストレスが原因の場合(セルフケアと専門家への相談)

精神的・身体的ストレスが原因と考えられる場合、まずはストレス源を特定し、可能であればそれを取り除くか、距離を置く工夫が必要です。

しかし、仕事や人間関係など、すぐに解決が難しい問題も多いでしょう。その場合は、ストレスを溜め込まないためのセルフケアが重要です。

十分な睡眠時間を確保し、就寝前のリラックスタイム(入浴、音楽鑑賞、軽いストレッチなど)を設けること。趣味に没頭する時間を作ること。

適度な運動で心身ともにリフレッシュすることなどが挙げられます。

ストレス軽減のためのセルフケア例

  • 質の良い睡眠(7時間程度を目安に)
  • 湯船に浸かってリラックス
  • ウォーキングなどの軽い有酸素運動
  • 親しい友人や家族との会話
  • 瞑想やヨガ

セルフケアだけでは気分の落ち込みや不眠が改善しない場合は、一人で抱え込まず、カウンセラーや心療内科などの専門家に相談することも大切な選択肢です。

生活習慣が原因の場合(食事・睡眠・運動の見直し)

食生活の偏り、睡眠不足、運動不足が当てはまる場合は、日々の生活を根本から見直す必要があります。

食事については、髪の材料となるタンパク質(肉・魚・卵・大豆製品)を毎食取り入れることを基本に、ビタミンやミネラル(野菜・海藻類・ナッツ類)もバランス良く摂取することを心がけます。

外食やコンビニ食が多い場合は、一品でも栄養バランスを考えたメニューを選ぶ工夫をしましょう。 睡眠は、時間だけでなく質も重要です。

寝る1時間前からはスマートフォンやPCの画面を見るのを避け、リラックスできる環境を整えましょう。運動は、ハードなものである必要はありません。

まずはエスカレーターを階段に変える、一駅分歩くなど、日常の中で体を動かす機会を増やすことから始めてみましょう。

頭皮環境が原因の場合(正しいヘアケア方法)

頭皮のベタつき、乾燥、かゆみなどが気になる場合は、ヘアケア方法を見直します。シャンプーは1日1回、夜に行うのが基本です。洗いすぎは乾燥を招き、洗わなすぎは皮脂詰まりの原因になります。

シャンプー前にはぬるま湯で予洗い(湯シャン)をしっかり行い、汚れの大半を落とします。シャンプー剤は手のひらでよく泡立ててから、頭皮を指の腹でマッサージするように優しく洗います。

爪を立てるのは厳禁です。すすぎは、シャンプー剤が残らないよう、時間をかけて念入りに行います。

シャンプーが合わないと感じる場合は、アミノ酸系などの洗浄力がマイルドなものに変えてみるのも良いでしょう。

AGAや病気が疑われる場合(早期の専門医受診)

セルフケアを試みても抜け毛が減らない場合や、AGAの特徴(生え際の後退、頭頂部の薄毛)が見られる場合、あるいは円形脱毛症や体調不良を伴う場合は、自己判断での対策には限界があります。

AGAは進行性のため、放置すると薄毛が目立つようになります。AGA専門のクリニックや皮膚科では、内服薬(5αリダクターゼ阻害薬)や外用薬(ミノキシジルなど)を用いた科学的根拠のある治療が可能です。

また、皮膚疾患や内科的な病気が疑われる場合も、まずは皮膚科や内科を受診し、正確な診断を受けることが根本的な解決につながります。

早期の受診が、結果として時間的・金銭的な負担を減らすことにもなります。

季節・ストレス・生活習慣に戻る

部位・症状別の薄毛(M字・つむじ)TOP

育毛剤TOP - おすすめランキング(男性)

育毛ガイドTOP

Q&A

「急に大量の抜け毛」に関して多くの方が抱く疑問についてお答えします。

抜け毛が急に増えたら、まず何をすべきですか?

まずは慌てずに、ご自身の最近の生活を振り返ってみてください。

強いストレスはなかったか、睡眠はとれているか、食事は偏っていないか、ヘアケア方法を変えていないかなどをチェックします。

同時に、抜け毛の状態(毛根の形、細さ)や頭皮の状態(かゆみ、赤み、フケ)も観察しましょう。

生活習慣の乱れに心当たりがあれば、まずそこから改善を試みます。

2〜3週間様子を見ても改善しない、あるいは抜け毛がさらに増える、特定の部位だけ抜ける、体調不良がある場合は、早めに専門医(皮膚科やAGA専門クリニック)に相談することをお勧めします。

食生活で特に気をつけることはありますか?

髪の健康のためには、特定の食品だけを食べるのではなく、バランスの取れた食事が基本です。

特に重要なのは、髪の主成分である「タンパク質」(肉、魚、卵、大豆製品)、タンパク質の合成を助ける「亜鉛」(牡蠣、レバー、赤身肉)、頭皮の血行を良くする「ビタミンE」(ナッツ類、アボカド)、頭皮環境を整える「ビタミンB群」(豚肉、レバー、青魚)です。

脂っこいものや糖分の多い食事は、皮脂の過剰分泌につながる可能性があるため、摂りすぎには注意しましょう。

市販の育毛剤を使っても大丈夫ですか?

市販の育毛剤(医薬部外品)の多くは、頭皮環境を整えたり、血行を促進したりすることで、今ある髪を健康に保ち、抜け毛を「予防」することを目的としています。

そのため、頭皮環境の悪化や血行不良が原因の抜け毛であれば、一定のサポートが期待できます。

しかし、AGAが原因で抜け毛が起きている場合、育毛剤だけでは進行を止めるのは難しいのが実情です。

AGAには、医療機関で処方される「発毛剤」(医薬品)が必要です。

ご自身の抜け毛の原因がわからない段階で高額な育毛剤を試すよりも、まずは原因を特定することを優先する方が賢明かもしれません。

抜け毛は一度始まったらもう止まらないのでしょうか?

そんなことはありません。

抜け毛の原因が一時的なストレスや生活習慣の乱れ、頭皮環境の悪化であれば、その原因を取り除き、適切なケアを行うことで、ヘアサイクルが正常に戻り、抜け毛は改善する場合がほとんどです。

AGA(男性型脱毛症)の場合も、進行性ではありますが、適切な治療を早期に開始すれば、進行を遅らせたり、毛髪の状態を改善させたりすることは十分に可能です。

大切なのは、抜け毛のサインに気づいた時点で放置せず、原因に応じた正しい対策をできるだけ早く始めることです。

Reference

YI, Yanhua, et al. Effect of behavioral factors on severity of female pattern hair loss: an ordinal logistic regression analysis. International Journal of Medical Sciences, 2020, 17.11: 1584.

THOMPSON, Katherine G., et al. Evaluation of physiological, psychological, and lifestyle factors associated with premature hair graying. International journal of trichology, 2019, 11.4: 153-158.

MALTA JR, Mauri; CORSO, German. Understanding the Association Between Mental Health and Hair Loss. Cureus, 2025, 17.5.

MOHAMED, Noha E., et al. Female pattern hair loss and negative psychological impact: possible role of brain-derived neurotrophic factor (BDNF). Dermatology Practical & Conceptual, 2023, 13.3: e2023139.

SAWANT, Neena, et al. Androgenetic alopecia: quality-of-life and associated lifestyle patterns. International journal of trichology, 2010, 2.2: 81-85.

INDRASTITI, Retno, et al. The Relationship Between Stress Levels And The Incidence Of Hair Loss (Telogen Effluvium) In Beginning And Final Level Students Of Unimus Faculty Of Medicine. Innovative: Journal Of Social Science Research, 2024, 4.2: 7149-7158.

ALENIZI, Dhaifallah, et al. A comprehensive investigation on stress-induced hair loss in Saudi Arabia: A systematic review. Revista iberoamericana de psicología del ejercicio y el deporte, 2024, 19.6: 632-636.

CASH. The psychosocial consequences of androgenetic alopecia: a review of the research literature. British Journal of Dermatology, 1999, 141.3: 398-405.

PICARDI, Angelo; ABENI, Damiano. Stressful life events and skin diseases: disentangling evidence from myth. Psychotherapy and psychosomatics, 2001, 70.3: 118-136.

目次