オンライン治療とAGA診療の進め方

「薄毛が気になるけれど、忙しくてクリニックに行く時間がない」「近くに専門のクリニックがない」「他人の目が気になって通院しづらい」。

このような理由で、AGA治療の第一歩を踏み出せずにいる方は少なくありません。その解決策として近年急速に普及しているのが「オンライン診療」です。

スマートフォンやパソコンを使い、自宅にいながら専門医の診察を受け、治療薬を処方してもらえるこの方法は多忙な現代人にとって大きなメリットがあります。

この記事ではAGAのオンライン治療の具体的な進め方、対面診療との違い、そして安心して治療を始めるための注意点までを詳しく解説します。

目次

この記事の執筆者

AGAメディカルケアクリニック統括院長 前田 祐助
Dr.前田 祐助

AGAメディカルケアクリニック 統括院長

前田 祐助

【経歴】

慶應義塾大学医学部医学研究科卒業

慶應義塾大学病院 初期臨床研修課程終了

大手AGAクリニック(院長)を経て、2018年に薄毛・AGA治療の「AGAメディカルケアクリニック」新宿院を開設

2020年に横浜院、2023年に東京八重洲院を開設

院長プロフィール

資格・所属学会・症例数

【資格】

  • 医師免許
  • ⽇本医師会認定産業医
  • 医学博士

【所属学会】

  • 日本内科学会
  • 日本美容皮膚科学会
  • 日本臨床毛髪学会

【症例数】

3万人以上※

※2018年5月~2022年12月AGAメディカルケアクリニック全店舗の延べ患者数

なぜ今、AGA治療でオンライン診療が選ばれるのか

AGA治療をオンラインで始める方が増えています。その背景には対面診療にはない、オンラインならではの利便性や心理的なメリットがあります。

時間や場所を選ばない利便性

オンライン診療の最大の利点は時間と場所の制約が少ないことです。

仕事の休憩中や自宅でのリラックスタイムなど、ご自身の都合の良い時間に予約を入れ、好きな場所で診察を受けられます。

クリニックの診療時間に合わせる必要がないため、多忙な方でも治療を始めやすいのが特徴です。

周囲の目を気にせず相談できる安心感

薄毛の悩みは非常にデリケートであり、クリニックに出入りするところを他人に見られたくないと感じる方も多くいます。

オンライン診療なら自宅などプライバシーが確保された空間で医師に相談できるため、周囲の目を一切気にすることなく安心して悩みを打ち明けられます。

交通費や移動時間の削減

クリニックに通院する場合、交通費や往復の移動時間といったコストがかかります。特に専門クリニックが遠方にある方にとっては、この負担は小さくありません。

オンライン診療はこれらの物理的なコストをゼロにできるため、経済的かつ効率的に治療を継続できます。

オンライン診療と対面診療の違いは?

AGAオンライン診療と対面診療の違いを直感比較|2分割図解(視診・問診・触診・プライバシー)

オンライン診療と対面診療はどちらも医師が診察し治療を行う点では同じですが、いくつかの違いがあります。

それぞれの特徴を理解し、ご自身に合った方法を選ぶことが大切です。

診察方法の比較

最も大きな違いは医師が患者様の状態をどのように確認するかという点です。

対面診療では直接頭皮を触診できますが、オンライン診療ではビデオ通話の映像や写真を通じて診察します。

診療方法による診察内容の違い

項目オンライン診療対面診療
視診ビデオ通話、写真医師による直接の目視
問診ビデオ通話、事前問診票対面でのヒアリング
触診不可可能

処方される治療薬に違いはあるか

処方される治療薬についてはオンライン診療と対面診療で基本的に違いはありません。

医師が診察の結果AGAであると診断すれば、フィナステリドやデュタステリドといった内服薬や、ミノキシジル外用薬など医学的根拠に基づいた標準的な治療薬が処方されます。

費用面の比較

治療費自体に大きな差はありませんが、オンライン診療では通院にかかる交通費が不要になるというメリットがあります。

ただし、クリニックによっては薬の配送料が別途必要になる場合があります。

費用項目における比較

費用項目オンライン診療対面診療
診察料クリニックによるクリニックによる
薬剤費同等同等
交通費・移動時間不要必要

AGAオンライン診療の具体的な流れ

AGAオンライン診療の流れ|予約→問診・写真→ビデオ診察→決済・配送の4ステップ

実際にオンライン診療を受ける際の、予約から薬の受け取りまでの一般的な流れを解説します。多くのクリニックで簡単な手順を採用しています。

予約から準備するもの

まずは、クリニックの公式ウェブサイトや専用アプリから診療の予約を行います。

予約が完了したら、診察に必要なものを準備します。ビデオ通話が可能なスマートフォンやパソコン、本人確認のための身分証明書、そして決済用のクレジットカードなどが必要です。

オンライン診療の準備

準備するもの目的
スマートフォン・PCビデオ通話での診察に使用
身分証明書本人確認のため
クレジットカード診察料や薬代の決済に使用

ビデオ通話による医師の診察

予約した日時になると、医師からビデオ通話の着信があります。

事前に入力した問診票の内容に基づき、現在の頭髪の状態や悩み、体調、治療に関する希望などを詳しくヒアリングします。カメラを通して頭皮の状態も確認します。

治療薬の処方と受け取り方法

診察の結果、治療が必要と判断されれば、医師があなたに合った治療薬を処方します。

診察後にオンラインで会計を済ませると、数日以内に処方された薬が自宅などの指定した住所に配送されます。

プライバシーに配慮し、中身が分からないように梱包されていることがほとんどです。

オンライン診療で本当に自分の状態は伝わるのか

「画面越しでちゃんと診てもらえるのか不安だ」と感じるのは当然の気持ちです。

多くの情報サイトではこの不安に深く触れませんが、私たちはその気持ちに寄り添い、医師がオンラインで何をどのように見ているのか、そして患者さん側でできる工夫についてお話しします。

「画面越しでは不安」という気持ち

直接触れられないオンライン診療では、対面と同じレベルの診察ができるのか疑問に思うのは自然なことです。

特にご自身の深刻な悩みが映像だけで正確に伝わるのかという不安は、治療への一歩をためらわせる大きな要因になります。

私たちは、その不安を解消することが安心して治療を始めるための第一歩だと考えています。

医師がオンラインで確認しているポイント

オンラインで医師が確認する薄毛のポイント|生え際・頭頂部・頭皮色・毛の密度

経験豊富な医師は限られた情報から多くのことを見抜きます。

ビデオ通話の映像や事前に送っていただいた写真から、薄毛の進行パターン、頭皮の色、毛の密度、細くなっている毛の割合などを注意深く観察し、AGAの進行度を判断しています。

医師のオンライン診察チェックリスト

確認項目見ているポイント
薄毛のパターン生え際の後退、頭頂部の菲薄化など
頭皮の色炎症による赤み、血行不良の有無
毛髪の状態細い毛(軟毛)の割合、全体の密度

事前問診と写真提出の重要性

オンライン診療の精度を高める上で非常に重要なのが、詳細な事前問診票と、ご自身で撮影した頭部の写真です。

いつから、どの部分が、どのように気になっているのか。これらの情報と様々な角度から撮影された鮮明な写真が、医師にとって触診に代わる重要な判断材料となります。

この準備を丁寧に行うことが、的確な診断につながります。

言葉で伝えるための準備とコツ

診察の限られた時間でご自身の状態を正確に伝えるためには、少し準備をしておくとスムーズです。聞きたいことや不安な点をメモにまとめておきましょう。

また、「つむじ周りの地肌が透けて見える」「シャンプー時の抜け毛が手のひらに収まらなくなった」など、具体的な言葉で表現すると医師に状態がより伝わりやすくなります。

オンライン診療を受ける前の注意点と準備

スムーズで正確な診察を受けるために、事前にいくつか確認・準備しておきたい点があります。

通信環境の確認

ビデオ通話が途中で途切れたり、映像が乱れたりすると、十分な診察ができません。

Wi-Fi環境が安定している場所や、電波の良い場所で診察を受けるようにしましょう。

事前に伝えておくべき情報

問診票にはできるだけ正確な情報を記入することが大切です。特に以下のような情報は診断や処方に重要な役割を果たします。

  • 既往歴や現在治療中の病気
  • 服用中の薬
  • アレルギーの有無
  • ご家族の薄毛の状況

静かでプライバシーが保てる場所の確保

診察中は個人的な健康に関する話をするため、第三者に会話が聞こえない静かな個室などで行うのが望ましいです。

周囲の騒音で医師の声が聞こえにくくなることも防げます。

診察に適した環境

要素良い例避けるべき例
場所自宅の個室、書斎カフェ、公共の場所、車内
明るさ顔や頭部がはっきり見える照明逆光、暗すぎる部屋
通信安定したWi-Fi環境電波の弱い場所、移動中
オンライン診療に適した環境と避けたい環境の比較|明るさ・通信・場所のポイント

信頼できるオンライン診療クリニックの選び方

オンライン診療は手軽な反面、どのクリニックを選べば良いか迷う方も多いでしょう。安心して治療を任せられるクリニックを見つけるためのポイントを紹介します。

医師の経歴や専門性を確認する

ウェブサイトなどで診察を担当する医師が皮膚科や形成外科の専門医であるか、AGA治療の実績が豊富かなどを確認しましょう。

AGAに関する深い知識と経験を持つ医師に診てもらうことが、適切な治療への近道です。

料金体系の透明性

治療にかかる費用が明確に提示されているかを確認することは非常に重要です。「診察料」「薬剤費」「配送料」など、総額でいくらかかるのかが事前に分かるクリニックを選びましょう。

安さだけを強調するクリニックには注意が必要です。

料金体系の確認ポイント

費用項目確認内容
診察料初診料、再診料はかかるか
薬剤費1ヶ月あたりの費用が明記されているか
その他配送料や決済手数料の有無

サポート体制と相談のしやすさ

治療を始めると、副作用や効果について不安な点が出てくることがあります。

そのような時に電話やメール、チャットなどで気軽に相談できるサポート体制が整っているかも、クリニック選びの重要な基準です。

オンライン治療で処方される主なAGA治療薬

オンライン診療で処方されるAGA治療薬は対面診療と変わりません。主に作用の異なる内服薬と外用薬を、個々の症状に合わせて組み合わせます。

進行を抑える内服薬

AGAの原因物質であるDHT(ジヒドロテストステロン)の生成を抑えることで、薄毛の進行を止める効果が期待できる薬です。

「フィナステリド」や「デュタステリド」が代表的で、AGA治療の基本となります。

発毛を促す外用薬

頭皮の血行を促進して毛母細胞を活性化させることで、発毛を促す効果がある塗り薬です。

「ミノキシジル」が主成分で、内服薬と併用することで、より高い効果が期待できます。

治療薬の副作用について

AGA治療薬には、ごく稀に副作用が起こる可能性があります。

どのような薬にも副作用のリスクはありますが、事前に正しい知識を持っておくことが大切です。

主な治療薬と副作用の可能性

薬剤名ごく稀に見られる副作用
フィナステリド性機能不全、肝機能障害など
デュタステリド性機能不全、肝機能障害など
ミノキシジル外用薬頭皮のかゆみ、かぶれ、動悸など
この記事のまとめ

オンラインでのAGA治療に関するよくある質問

最後に、オンラインでのAGA治療を検討されている方からよく寄せられる質問にお答えします。

保険は適用されますか?

AGA治療は容姿を改善する目的の自由診療と位置づけられているため、公的医療保険は適用されません。費用は全額自己負担となります。

家族に知られずに治療を始められますか?

はい、可能です。オンラインで完結するため、クリニックに通う姿を見られる心配がありません。

また、治療薬はプライバシーに配慮して梱包・配送されるため、ご家族に中身を知られることなく受け取ることができます。

どのくらいの期間で効果が出ますか?

治療効果には個人差がありますが、一般的に治療開始から3ヶ月〜6ヶ月ほどで抜け毛の減少や産毛などの初期効果を実感し始める方が多いです。

見た目に明らかな変化を感じるまでには、半年から1年程度の継続治療が必要です。

治療期間と効果の目安

期間期待される変化
~3ヶ月初期脱毛、抜け毛の減少
3~6ヶ月産毛の発生、髪のハリ・コシ改善
6ヶ月~見た目の変化を実感
対面診療に切り替えることはできますか?

多くのクリニックで可能です。

治療を進める中で、より詳細な診察を希望する場合や医師と直接話したいと感じた際には、対面診療に切り替えることができます。

オンラインと対面を柔軟に組み合わせられるクリニックを選ぶと、より安心です。

以上

参考文献

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