育毛剤初期脱毛の原因を知る　使用時の抜け毛と対処法

育毛剤初期脱毛と呼ばれる抜け毛は、AGA（男性型脱毛症）の治療やミノキシジルなどの薬を使用し始めてから短期的に見られる現象です。

せっかく育毛剤を使っているのに脱毛が増えると不安になる方も多いのですが、毛周期（ヘアサイクル）による正常な抜け替わりの可能性が高いとされています。

ただし、副作用やほかの脱毛症との見分け方を知っておくことも大切です。

この記事では、育毛剤の初期脱毛が起こる理由や期間、AGA治療薬の効果・副作用との関係、対策方法などを解説し、髪の毛の健康を保ちながら薄毛を改善するポイントをまとめます。

育毛剤と初期脱毛の基礎知識

育毛剤を使い始めた直後に髪の毛が抜ける現象を「初期脱毛」と呼びます。

まずは、なぜ初期脱毛が起こるのかというメカニズムや、育毛剤とはどのような働きをするのかを確認すると、現象に対する理解が深まるでしょう。

育毛剤とは何か

育毛剤とは、毛根や頭皮環境を整え、髪の毛の成長をサポートする外用薬の総称で、市販品の育毛剤には、血行促進効果や保湿成分などが配合されていることが多く、一定の範囲で薄毛を予防・改善できる可能性があります。

医療機関で使用される育毛剤の主成分としては「ミノキシジル」が代表的で、髪の毛の成長期を延長し、毛髪の密度や太さを高める効果が期待されています。

育毛剤と発毛剤の違い

分類	主な目的	主成分の例	特徴
育毛剤	毛母細胞や頭皮環境の保護	各種保湿成分、血行促進成分など	予防的・補助的な性格が強い
発毛剤	髪の毛を積極的に生やす目的	ミノキシジルなど	認可された有効成分が含まれ、発毛効果が認められやすい

なお、発毛剤という言葉は、医薬部外品や医薬品などで法的に区別される場合がありますが、一般的な会話では育毛剤とほぼ同じ意味で用いられることも多いため注意が必要です。

初期脱毛の仕組み

初期脱毛は、髪の毛が新たに生え変わろうとして古い毛が抜け落ちる現象と説明されることが多いです。

ヘアサイクルは成長期、退行期、休止期の3つから成り立ちますが、育毛剤やAGA治療薬によって成長期を活性化すると、今までダメージを受けていた髪の毛が押し出されるように抜ける場合があり、初期脱毛のメカニズムだと考えられています。

毛周期（ヘアサイクル）の主な段階

段階	髪の状態	特徴
成長期	毛母細胞が活発に細胞分裂し、毛が伸び続ける	髪の毛が太く長くなる時期で、2～6年程度と個人差がある
退行期	毛母細胞の活動が衰え始める	髪の成長が止まり、抜ける準備を始める時期（2週間程度）
休止期	髪の成長が完全に止まり抜けやすくなる	新しい髪の毛が生えてくると古い毛が抜け落ちる（3～4か月程度）

育毛剤やAGA治療薬を使用すると、休止期にある髪の毛が早めに抜けることがあり、これを一時脱毛や初期脱毛と呼ぶことが多いです。

一定期間後には抜け落ちた部分から新しい毛が生え始めるため、この現象そのものは過度に心配する必要はないとされています。

AGAと初期脱毛の関連

AGA（Androgenetic Alopecia）は、男性型脱毛症とも呼ばれ、男性ホルモンのジヒドロテストステロン（DHT）が原因で髪の毛の成長期が短縮される脱毛症です。

AGA治療には、内服薬のフィナステリドやデュタステリド、外用薬のミノキシジルなどが使われますが、これらの薬を使い始めた際にも初期脱毛が起こるケースがあります。

とくにミノキシジルは毛の成長期を強力に刺激するとされ、開始直後の抜け毛が顕著に見られることが多いです。

ただし、この抜け毛はAGA進行によるものではなく、髪の生え変わりに伴う正常な反応である可能性が高いため、焦らず様子をみることが大切になります。

不安を感じる方へ

育毛剤やAGA治療薬を使用して初期脱毛が起こると、治療が逆効果なのではないかと感じる方もいますが、多くの場合、これはヘアサイクルの乱れた髪の毛が正常化するために必要な通過点だと説明されています。

あまりにも抜け毛の量が多い場合や、期間を大きく超えて抜け毛が続く場合は別の原因がある可能性もあるため、医師や専門家に相談すると良いでしょう。

ミノキシジルと初期脱毛の関係

ミノキシジルは血管を拡張し、頭皮への血流を促進することで髪の毛の成長を促す作用があるとされ、男性のみならず女性の薄毛に対しても使用される場合がありますが、強力な発毛作用の反面、一時的に抜け毛が増える現象も見受けられます。

ミノキシジルの作用と特徴

ミノキシジルはもともと血圧を下げる薬として開発されたものですが、使用した患者の体毛が濃くなった事例が多く見られたため、育毛作用が注目されるようになりました。

頭皮の血行を促進し、毛母細胞の活動をサポートすると考えられており、AGA治療において外用薬や内服薬として利用されています。厚生労働省に認可された発毛成分の1つであり、多くの臨床データが蓄積している点が特徴です。

ミノキシジルの主なメリットとデメリット

観点	内容
メリット	発毛効果が認められており、幅広い薄毛に対応可能
メリット	外用薬だけでなく内服薬も存在し、使用方法を選びやすい
デメリット	血流を促進するため血圧への影響が懸念される場合がある
デメリット	初期脱毛やかゆみ、頭皮のかぶれといった副作用の可能性

外用薬の場合は副作用が比較的少なく、女性も使用できることがある一方、内服薬（通称：ミノタブ）は発毛効果が高いと考えられていますが、副作用も大きくなる場合があるため、医師の管理下で使用することが推奨されています。

初期脱毛が起こる期間と抜け毛の特徴

ミノキシジルによる初期脱毛は、使用開始から2～6週間程度で現れる場合が多いと報告されています。ヘアサイクルの乱れが大きい方や、もともと薄毛が進行していた方ほど、抜け毛の本数や期間が目立ちやすい傾向があるでしょう。

• 抜け毛の始まる時期：2～6週間後が多い
• 初期脱毛が続く期間：数週間から2か月前後が目安
• 抜ける髪の毛の特徴：細くて弱った毛が多い

初期脱毛が通常より長引く場合は、AGA以外の脱毛症が隠れている可能性も考えられるので、抜け毛の状態や頭皮の様子を観察しながら、医師へ相談すると安心です。

ミノキシジル使用時に見られる頭皮の変化

状態	予測される要因
かゆみ・赤み	頭皮が乾燥または刺激を受けている
フケの増加	毛穴から皮脂や角質が排出されやすい
べたつき	皮脂の分泌量増加、または洗浄不十分
抜け毛の増加	初期脱毛、またはヘアサイクルの乱れの是正

多くのケースでは、しばらく使用を続けると頭皮環境が整い、抜け毛が減って髪の毛が太く成長していくと考えられています。

早期に使用を中断するとせっかくの治療効果を得にくくなる場合があるため、医師の判断を仰ぎながら継続を検討するとよいでしょう。

初期脱毛と副作用の見分け方

ミノキシジルの副作用として、頭皮のかぶれやかゆみ、動悸などが挙げられますが、初期脱毛はこれらとは異なる現象です。

副作用は体質や使用量により現れ方が異なりますが、皮膚に赤みが出たり、心拍数の増加といった全身症状を伴う場合は副作用の疑いが強まります。

一方で初期脱毛は、頭皮に明確な痛みや腫れがなく、毛だけが抜けるといった特徴を示す場合が多く、気になる症状があるときは無理をせず、医師に相談して適切な措置をとることが大切です。

AGA治療薬全般と初期脱毛の注意点

ミノキシジル以外にも、AGA治療にはさまざまな薬が使われ、代表的な内服薬であるフィナステリドやデュタステリドでも、治療開始後に抜け毛が増えるケースが報告されています。

初期脱毛を正しく理解するためにも、これらの薬や薄毛治療の流れを全体的に把握しておきましょう。

フィナステリドとデュタステリド

フィナステリド（商品名：プロペシア）やデュタステリド（商品名：ザガーロ）は、男性ホルモン（テストステロン）がDHTに変換されるのを抑制する薬です。

DHTが毛母細胞に与える悪影響を軽減し、髪の成長を阻害しにくくする効果が期待されています。

• フィナステリド：主に5αリダクターゼのII型を阻害
• デュタステリド：5αリダクターゼのI型・II型の両方を阻害

デュタステリドのほうがやや強力にDHTを抑制する作用をもち、その分副作用のリスクや症状も個人差が生じやすいため、医師とよく相談しながら治療薬を選びます。

これらの薬でも、治療初期に抜け毛が増える現象が起きる場合はありますが、髪の毛の成長サイクルが整う過程だと捉えられることが多いです。

フィナステリド・デュタステリドと初期脱毛

薬名	主な特徴	初期脱毛の起こる可能性
フィナステリド	DHT生成を部分的に抑制し、AGAの進行を遅らせる	起こる場合がある
デュタステリド	2種類の5αリダクターゼを阻害し、フィナステリドより作用が広範囲	起こる場合がある

長期間使用することで効果が得られやすいとされる一方、服用を中断すると再びAGAが進行するリスクが高まるため、継続的な治療が重要です。

治療開始から数週間から数か月の間に脱毛が増える現象が見られても、自己判断でやめず、医師に相談することが望ましいでしょう。

初期脱毛中の過ごし方

初期脱毛が起きている間は、抜け毛が増えている感覚にとまどい、不安になる方が多いですが、これは髪の毛が新しい成長期へ移行している過程です。

過度なストレスを感じるとホルモンバランスが乱れ、薄毛を悪化させる場合もあるため、冷静に状況を観察することが大切になります。

不安を軽減するためのヒント

• 日々の抜け毛の本数を過度に気にしすぎない
• ヘアスタイルを工夫して髪が薄く見えにくいようにする
• 生活習慣を整えて頭皮や毛母細胞を良い状態に保つ
• 医療機関やクリニックで定期的に相談し、状況を客観的に把握する

初期脱毛が一時的なものであれば、ある程度の期間を経過すると落ち着き、髪の毛が徐々に増えたり太くなったりする感覚を得られる可能性があります。

生活習慣と頭皮ケアの重要性

AGA治療薬による効果を高めるためには、生活習慣の見直しや頭皮ケアも欠かせません。睡眠不足や栄養バランスの乱れ、喫煙や過度の飲酒は血流に影響を及ぼし、ヘアサイクルを乱す一因となるため、治療の妨げになります。

シャンプーやコンディショナーを選ぶ際も、頭皮に優しい成分が含まれた製品を使うなどの工夫が必要です。

初期脱毛が長引く場合の原因と対処法

通常、初期脱毛は一定の期間で落ち着き、新たな髪の毛が生えてくると説明されますが、なかには数か月以上続くケースもあります。

こうした場合、AGA以外の脱毛症や薬の副作用、生活習慣の乱れなどが影響している可能性があるため、原因を見極めることが重要です。ここでは、初期脱毛が長引く主な原因と対処法を紹介します。

他の脱毛症の疑い

AGA以外にも、円形脱毛症や粃糠性（ひこうせい）脱毛症、FAGA（女性男性型脱毛症）など、脱毛症にはいくつかのタイプがあり、ミノキシジルを使用していても、もともとの脱毛症の種類によっては効果が十分に得られない場合があります。

自己判断が難しいときは皮膚科やAGA専門クリニックを受診し、診察・検査を通じて適切な治療方針を立てると良いでしょう。

主な脱毛症の特徴

種類	特徴
円形脱毛症	突然丸い範囲で脱毛が起こる。自己免疫との関係が疑われる
粃糠性脱毛症	頭皮にフケが多く発生し、炎症やかゆみにより髪が抜ける
FAGA（女性型）	女性ホルモンの減少やストレス、加齢などが影響し、頭頂部が薄くなる
牽引性脱毛症	髪をきつく結ぶなどの外的力で部分的に髪が抜ける

初期脱毛だと思っていたが実は他の脱毛症だった場合、現状の治療方法が合わず改善が見られないこともあるため、専門家の診断が役立ちます。

生活習慣の乱れ

初期脱毛が長引くときは、食生活や睡眠不足、ストレスといった生活習慣が問題になる場合があります。

頭皮に栄養を届けるためには十分な血流と栄養素が必要であり、バランスの良い食事や適度な運動、質の良い睡眠によってヘアサイクルを正常に保ちやすくなります。

毛の成長をサポートするための栄養素

栄養素	働き	含まれる食品例
タンパク質	髪の毛の主成分であるケラチンの材料になる	肉、魚、大豆製品、卵
ビタミンB群	頭皮や毛母細胞の代謝を助ける	レバー、緑黄色野菜、納豆など
ビタミンC	コラーゲン生成に関与し、毛根を保護する	柑橘類、イチゴ、ピーマン
ミネラル	血行促進やホルモンバランスの維持に役立つ	海藻類、ナッツ、貝類

過度の喫煙や飲酒も血管を収縮させ、頭皮への血流を阻害する場合があります。ストレスは自律神経を乱し、ホルモン分泌にも影響が及ぶため、可能性としては髪の毛の健康に悪影響が及ぶことが考えられます。

薬や治療方法が合っていない

ミノキシジルやフィナステリドなどの薬は、個人差が大きい治療法で、ある薬が体質に合わず、逆に頭皮環境を悪化させるケースも否定できません。

治療開始後に異常なほど抜け毛が増え続けている場合は、医師に相談し、薬の種類や用量を調整するなどの対策をとる必要があります。

主なAGA治療薬の特徴とリスク

治療薬	主な作用	リスク・注意点
フィナステリド（内服薬）	DHTの生成を部分的に抑制する	性欲減退、肝機能への影響など
デュタステリド（内服薬）	2種類の5αリダクターゼを阻害しDHTを強力に抑制	フィナステリドより作用が強く副作用の可能性
ミノキシジル外用薬	血管拡張による頭皮への血行促進	かゆみ、かぶれなどの頭皮トラブル
ミノキシジル内服薬（ミノタブ）	発毛効果が高いとされるが副作用も強め	動悸、血圧への影響など

自分に合わない治療を続けると、初期脱毛が改善しないばかりか頭皮のトラブルを引き起こす場合があります。医療機関できちんと診断を受け、検査データや症状を基に治療方針を検討することが重要です。

医師への相談が重要

初期脱毛が長引いたり、想像以上に抜け毛が増えたりすると、自己判断で薬を中断する方もいますが、誤った対処によってAGAがさらに進行するリスクもあります。

状態を正確に把握し、適切なアドバイスを受けるためにも、医師への相談が望ましいです。

初期脱毛の対策とヘアサイクルを整える方法

初期脱毛を必要以上に恐れず、髪の毛を健やかに育てるためには、いくつかの対策を組み合わせると効果的です。ここでは、頭皮ケアや生活習慣の改善、医師との連携など、具体的な方法を紹介します。

正しいシャンプーと頭皮マッサージ

頭皮を清潔に保ち、過度な皮脂や汚れを落とすことは、ヘアサイクルを正常化するうえで大切なポイントです。刺激の少ないシャンプーを使い、指の腹でやさしく頭皮をマッサージすると、血行が促進されて毛根へ栄養が行き渡りやすくなります。

シャンプー時の注意点

• 熱すぎないぬるま湯で洗髪する
• 爪を立てず、指の腹で円を描くように洗う
• 洗浄後はしっかりとすすぎ、シャンプー残りを防ぐ
• ドライヤーは頭皮から少し離して風を当てる

洗いすぎや温度の高いお湯は頭皮を乾燥させ、かえって皮脂分泌を過剰にさせる場合があるため注意が必要です。

バランスの良い食事と生活リズム

髪の毛を構成する主成分はタンパク質ですが、その合成にはビタミンやミネラルなど多様な栄養素が必要とされます。食品から摂取できる栄養は、頭皮や毛母細胞の健康を支える重要な要素です。

加えて、睡眠中は成長ホルモンが分泌されるため、夜更かしなどで十分な睡眠が確保できないと毛の成長が滞る可能性があります。

実践しやすい生活習慣

• 肉や魚、大豆製品などをバランス良く食べる
• 暴飲暴食や過度のダイエットは避ける
• なるべく毎日同じ時間に就寝し、6～8時間の睡眠をとる
• ストレスを溜めすぎないようリラックス法を取り入れる

食事と睡眠だけでなく、適度な運動や禁煙、飲酒の節度も、健康的な頭皮環境づくりを後押しします。

AGA専門クリニックの活用

初期脱毛が不安な方や、自己流の対策だけでは改善が見られない方は、AGA専門クリニックや皮膚科での診察を受けると安心です。血液検査や頭皮の状態チェックなどを通じて、原因がAGAなのか他の脱毛症なのかを判別できます。

さらに、フィナステリドやデュタステリドなどの処方薬を使うことで、髪の毛が生える可能性を高めることも期待できます。

クリニックで行う主な診察・治療内容

診察項目	内容
カウンセリング	脱毛の症状や経過を医師やスタッフに相談
頭皮チェック	専用機器で頭皮や毛根の状態を確認
血液検査	ホルモン値や健康状態をチェック
処方薬の選定	フィナステリドやデュタステリド、ミノキシジルなど
メソセラピー	頭皮に成長因子や栄養を注入する治療

治療期間や費用、薬の効果、副作用など、納得いくまで説明を受けてから治療方針を決定すると良いでしょう。

続けるか中断するかの判断

初期脱毛が起きても、多くの場合は2か月程度で落ち着くといわれて、効果が徐々に現れるのが育毛剤やAGA治療薬の特徴でもあるため、短期間で「効いていない」と結論づけるのは早計です。

ただし、頭皮の炎症が重い、全身的な副作用が気になる、脱毛があまりにも激しいなど不安な点がある場合は、医師への相談を優先し、服用や塗布の中断・変更を検討してください。

続行と中断、それぞれのメリット・デメリット

判断	メリット	デメリット
続行	発毛効果が出る可能性を維持できる	副作用が強いときは症状が悪化するリスク
中断	副作用や頭皮トラブルを回避しやすい	治療効果も同時に失われ、AGAが進行する場合がある

自己判断ではなく、医師の診察結果に基づいて決定するのが望ましいです。

よくある質問

初期脱毛は女性にも起こるのか？

女性がミノキシジルなどを使用した場合でも、髪の毛の成長期が活性化することで初期脱毛が起こる可能性があります。

女性特有のホルモンバランスの乱れやFAGA（女性男性型脱毛症）の影響が絡む場合があるため、薄毛治療を検討する際は女性向けのAGA専門外来や皮膚科での診察を受けると安心です。

初期脱毛が2回起こることはあるのか？

個人差がありますが、ミノキシジル使用中に2回目の脱毛期が来る方もいて、これはヘアサイクルが整う過程で新たに休止期を迎えた髪の毛が抜け落ちるためだと考えられます。

ただし、長期的に抜け毛が減らない場合は別の原因を疑ったほうがよいかもしれません。

初期脱毛で抜ける髪の毛はどのくらいの量？

初期脱毛で抜ける量は、人によって大きく差があります。普段より50本～100本程度多く感じる方から、さらに多い抜け毛を実感する方までさまざまです。

あまりにも本数が増えたと感じた場合は、頭皮の状態を記録したり医師に相談したりすることをおすすめします。

抜け毛が増えて不安なとき、いったん薬の使用を控えても良い？

副作用の疑いがある場合や頭皮が炎症を起こしている場合は、医師の指示のもとで中断を検討できます。

単なる初期脱毛の場合は続けることで効果が得られやすくなるケースが多いので、勝手に中止せず、医療機関に問い合わせるのが望ましいです。

ヘアサイクルが整えば、脱毛量は減るのか？

一般的にはヘアサイクルが正常化すると、成長期が延びて髪の毛が抜けにくくなります。初期脱毛は成長期と休止期が変化するときに起こるので、薬の効果で成長期が安定すれば抜け毛量も落ち着いてくることが期待されます。

ただし、AGAは慢性的に進行するため、長期的なケアが重要です。

参考文献

Redmond LC, Limbu S, Farjo B, Messenger AG, Higgins CA. Male pattern hair loss: Can developmental origins explain the pattern?. Experimental Dermatology. 2023 Jul;32(7):1174-81.

York K, Meah N, Bhoyrul B, Sinclair R. A review of the treatment of male pattern hair loss. Expert opinion on pharmacotherapy. 2020 Mar 23;21(5):603-12.

Oiwoh SO, Enitan AO, Adegbosin OT, Akinboro AO, Onayemi EO. Androgenetic alopecia: A review. Nigerian Postgraduate Medical Journal. 2024 Apr 1;31(2):85-92.

Ishino A, Takahashi T, Suzuki J, Nakazawa Y, Iwabuchi T, Tajima M. Contribution of hair density and hair diameter to the appearance and progression of androgenetic alopecia in Japanese men. British journal of dermatology. 2014 Nov 1;171(5):1052-9.

Kamishima T, Hirabe C, Myint KZ, Taguchi J. Divergent progression pathways in male androgenetic alopecia and female pattern hair loss: Trichoscopic perspectives. Journal of Cosmetic Dermatology. 2024 May;23(5):1828-39.

Iwabuchi T, Takeda S, Yamanishi H, Ideta R, Ehama R, Tsuruda A, Shibata H, Ito T, Komatsu N, Terai K, Oka S. The topical penta‐peptide Gly‐Pro‐Ile‐Gly‐Ser increases the proportion of thick hair in Japanese men with androgenetic alopecia. Journal of Cosmetic Dermatology. 2016 Jun;15(2):176-84.