前田 祐助
AGAメディカルケアクリニック 統括院長
【経歴】
- 慶應義塾大学医学部医学研究科卒業
- 慶應義塾大学病院 初期臨床研修課程終了
- 大手AGAクリニック(院長)を経て、薄毛・AGA治療の2018年AGAメディカルケアクリニック新宿院を開設
- 2020年に2院目となるAGAメディカルケアクリニック横浜院を開設
- 2023年に3院目となるAGAメディカルケアクリニック東京八重洲院を開設
【資格】
- 医師免許
- ⽇本医師会認定産業医
- 医学博士
【所属学会】
- 日本内科学会
- 日本美容皮膚科学会
- 日本臨床毛髪学会
【症例数】
- 3万人以上※
- ※2018年5月~2022年12月AGAメディカルケアクリニック全店舗の延べ患者数
サウナブームが加速する今日、サウナに通おうか検討されている方・実際に通い始めた方も多いはず。本記事は、サウナに通う上で、「サウナは健康にいい」というイメージはあるものの、「サウナで気をつけるべきことは?」「実際にどんな効果があるの?」と気になっている方にとって必見の記事です。
この記事では、サウナに潜む危険・デメリットや、その対処法を解説。サウナの持つメリットについても、もちろん紹介していきます。
サウナのデメリットは主に7つ|リスクと理由を解説
「サウナは健康にいい」というのは事実。デトックス効果や血流改善など、さまざまな効果が期待できます。ですがその反面、入る際に注意すべき点も。
早速、「サ活」をするにあたって知っておくべきデメリットを7つ紹介します。
①脱水症状・熱中症のリスクがある
サウナ室内は、言うまでもなく超高温。日本にある一般的なドライサウナの室内は、80~100度となっています。また、サウナ1回で失われる体の水分量は300~400ミリリットルと言われており、3セット繰り返せば1リットル前後の水分が体から失われることに。
水分補給を怠ったり、必要以上にサウナ室内にいたりすると、高温と汗のかきすぎによる脱水症状・熱中症の危険性が高くなります。
②心臓や血管に負担がかかる
サウナで脱水が起こるのは、血管内も同じ。血管内の水分が蒸発することで血液がドロドロになる「血管内脱水」が起こり、血管や心臓に大きな負担をかけることになるのです。
また、サウナ室内の高温にさらされた後に一気に水風呂に浸かると、血管の急激な収縮が起こり、これも心臓に負担をかけてしまいます。順応しやすい若者にとっては気持ちよさを感じられますが、体が弱い方や高齢者の場合は特に注意が必要です。
③肺や呼吸器に負担がかかる
サウナ室内は高温で、空気はとても乾燥しています。高温で乾燥した空気は呼吸器や肺に刺激を与えるため、喘息や慢性気管支炎など、呼吸器・肺に疾患がある方は注意が必要です。
④精子に悪影響を及ぼす
男性の陰嚢(睾丸を保持する袋)は熱に弱く、サウナによる熱が精子の生産や活動に悪影響を及ぼすということが多くの研究で立証されています。
しかし、その影響は短期的なものであると言われているほか、生殖能力への影響までは未だに解明されていない部分が多くあります。避妊の手段となったり、妊活に影響が出たりということは、現時点では断言できないことに注意です。
⑤肌や髪の毛にも負担がかかる
サウナ室内の空気は高温で乾燥しており、非常に湿度が低い状態。さらに大量の汗をかくため、髪の毛や肌の水分もどんどん奪われていくことになります。
乾燥がお肌の大敵であることは言わずもがなですが、髪の毛のほとんどはタンパク質で構成されており、タンパク質は熱に弱いのが特徴。軟毛の人や、敏感肌・乾燥肌の人は特に注意が必要です。
⑥入りすぎると疲労の原因に
サウナに入って体温が上がることで、体内から疲労物質が排出されるというメリットがあります。しかし逆に入りすぎてしまうと、体に必要以上の負担がかかって疲労の原因になることにも注意。
無理してサウナに入りすぎたり、何セットも繰り返し入ったりするのは逆効果になってしまいます。
⑦飲酒後のサウナは特に危険
飲酒後にサウナに入ると起こる危険性は以下の2つです。まず、血圧が乱高下することにより、不整脈や心臓発作のリスクが高まります。
また、アルコールの利尿作用によって脱水のリスクが高まり、熱中症や心筋梗塞の危険性を高めることにつながります。飲酒後のサウナはとても危険なので、絶対にやめましょう。
高温・乾燥対策5選|サウナのデメリットへの対処法
サウナのデメリットを紹介してきましたが、ここではデメリットへの対処法を紹介します。適切に利用すれば、大きな効果が期待できるサウナ。以下の5つの点に気をつけてみましょう。
①入る時間・回数の目安を知っておく
入りすぎは体に負担を与え、疲労の蓄積や重大な疾患につながることも。一般的には、1回の入浴時間は6〜10分が適切とされています。サウナ初心者は、まず1セット5分からスタートしてみましょう。
回数については、1日に1~3セットほど繰り返すのが一般的。4セット以上1日に入るのは避けた方が良いでしょう。
②サウナ前にしっかり水分を補給する
サウナ内は高温かつ乾燥した環境なので、脱水症状・熱中症の危険が伴います。脱水症状対策でこまめに水を飲むことや、体感温度が比較的低めな下段に座ることなどを意識してみましょう。
③サウナハットで髪を守る
髪の毛は高温・乾燥した環境に弱いため、サウナ室ではサウナハットを被るのがおすすめ。サウナハットには、頭部が過剰に温められるのを妨げ、のぼせを予防するという機能もあります。
サウナハットの代わりにバスタオルを使う方も多いですが、これはあまりおすすめできません。サウナハットに比べ、タオルは熱伝導率が高く、十分な断熱効果を有しているとは言えないからです。
あくまでバスタオルは、サウナハットがない場合に代用するものとして考えておきましょう。
④サウナ後はすぐに肌の保湿をする
サウナ入浴後は、全身から水分が失われており、身体も顔も乾燥している状態。特に顔の乾燥はニキビの原因になりうるので、サウナの後は何よりも先に保湿を優先しましょう。
⑤乾燥が気になるならミストサウナを選ぶ
肌や髪の毛へのダメージや、呼吸器への負担が気になる方は、ドライサウナではなくミストサウナを選ぶことも対策の1つ。ドライサウナほど温度が高くない場合が多いため、初心者や女性でも入りやすいといえます。
サウナにはメリットも!リラックス・快眠効果など6選
サウナのデメリットばかり紹介してきて、少し怖い印象を持ってしまった方もいるかもしれません。しかしサウナには、多くの人がハマるのも納得なさまざまなメリットがあります。ここでは主に期待できる効果を6つ紹介します。
①発汗によるデトックス効果
サウナで汗をかくことにより、乳酸などの疲労物質が体外に排出されるという効果が期待できます。また新陳代謝が活発になったり、身体の各器官が亢進したりというメリットも。
さらに定期的にサウナに行く人の場合、慣れてきてよりたくさんの汗をかき、デトックス効果を高めることができる可能性があります。
②発汗による美肌効果
サウナでの発汗により毛穴の汚れも汗と一緒に流れ落ちていくので、ニキビのできにくい肌を目指せるのもメリットの1つ。
汗腺の働きを促進して老廃物をしっかり排出させることで、体臭予防・改善にも効果が期待できると言われています。
③適度な疲労感による安眠効果
サウナに入っていると、心臓がドキドキしてくる経験がある人がほとんどではないでしょうか。汗をたくさんかき、体に負担がかかっている状態なので、適度な疲労感が体に与えられます。
寝つきが良くなったり、眠りが深くなったりといった効果を得られるでしょう。
④血流改善による疲労回復
サウナで体が温まると血管が広がり、血流が改善します。この時通常の2倍の血液が流れるとも言われます。体の隅々まで栄養が行き渡るので、疲労回復につながるでしょう。
血流促進によって肌の調子も整うので、素肌の美しさにもつながります。
⑤リラックス効果
サウナには、自律神経のバランスが整ってリラックスできるというメリットも。「ととのう」感覚にはちゃんと理由があるのです。
サウナで汗をかいているときや水風呂で体を冷やしているときは、交感神経が優位になります。そして外気浴をしているときは、副交感神経が優位になります。「サウナ→水風呂→外気浴」を繰り返し行うことで、自律神経のバランスが整い、リラックス効果が期待できるのです。
「ととのう」感覚を作り出していると考えられるのは、以下の3つの物質。
- 鎮痛効果や多幸感が得られる「β-エンドルフィン」
- ストレスや不安を軽減する「オキシトシン」
- 精神を安定させる「セロトニン」
サウナの刺激によって得られるもので、これらが「ととのう」感覚の原因なのではと考えられています。
⑥免疫力の向上
サウナには、免疫力の向上も期待できます。サウナに入って体温が38以上になると体内で生成される、ヒートショックプロテイン(HSP)という物質がポイント。
ヒートショックプロテイン(HSP)は、ストレスや疲労に強い体を作ったり、免疫力を高めたりする働きがあります。HSPが体内にたくさんあると、怪我や病気に強い身体につながるのです。
健康的なサウナの入り方を解説
ここまではサウナの効果や危険性について解説してきました。ここからは、初心者さんでもサウナを楽しめる入り方について紹介していきます。
①しっかり体を洗ってからサウナに入る
体を洗う前の汚れた状態ではしっかり汗をかきにくいため、体を洗ってからサウナに入るようにしましょう。水分補給も忘れずに。
②5〜10分間汗をかく
初心者は5分程度を目安にしましょう。慣れてきたら6〜10分の間で調節してみてくださいね。
低い場所に座ると比較的熱気を感じにくいため、慣れていない方におすすめです。
③シャワーや水風呂で健康刺激を加える
サウナを出たら水風呂に入るのが一般的ですよね。一度シャワーでしっかり汗を流してから、水風呂に浸かりましょう。
冷水に飛び込む勇気がない方は、温度をぬるめに設定してシャワーを浴びてみましょう。
④水分を補給しながら3回程度繰り返す
「サウナ→水風呂→外気浴」の流れを2、3セット繰り返すのが一般的。サウナ室内は高温で乾燥しているため、脱水症状には充分注意してくださいね。
サウナのデメリットを理解して楽しく健康的に「サ活」を楽しもう
注意点をしっかり理解して正しく生活に取り入れれば、サウナはいいことだらけ。脱水症状を起こすなど体に負担がかかるリスクや、髪の毛や肌がダメージを受けるリスクがあることを、注意しておきましょう。
しかしサウナには、発汗・血流改善によるデトックス効果や、免疫力の向上などたくさんのメリットがあります。ぜひ参考にしてくださいね。