前田 祐助
AGAメディカルケアクリニック 統括院長
【経歴】
- 慶應義塾大学医学部医学研究科卒業
- 慶應義塾大学病院 初期臨床研修課程終了
- 大手AGAクリニック(院長)を経て、薄毛・AGA治療の2018年AGAメディカルケアクリニック新宿院を開設
- 2020年に2院目となるAGAメディカルケアクリニック横浜院を開設
- 2023年に3院目となるAGAメディカルケアクリニック東京八重洲院を開設
【資格】
- 医師免許
- ⽇本医師会認定産業医
- 医学博士
【所属学会】
- 日本内科学会
- 日本美容皮膚科学会
- 日本臨床毛髪学会
【症例数】
- 3万人以上※
- ※2018年5月~2022年12月AGAメディカルケアクリニック全店舗の延べ患者数
AGA治療薬として人気のプロペシアですが、一部の人では眠気が副作用として現れるケースがあります。
「プロペシアを飲んだら眠くなった」という声も聞きますが、実際のところどのくらいの頻度で起こるのでしょうか。
当記事では、プロペシア服用時の眠気の発生率や特徴、そして眠気を感じた際の対処法について詳しく解説します。
プロペシアを服用すると眠気が出る?実際の発生率と症状の特徴
プロペシアは男性型脱毛症(AGA)治療薬として一般的に使用されていますが、副作用の一つに眠気があります。
プロペシアによる眠気の発生率
プロペシアによる眠気の発生率は、一般的に低いとされています。臨床試験のデータによると、プロペシア服用者の約1.5%から2%に眠気の症状が報告されています。
群 | 眠気の発生率 |
---|---|
プロペシア服用群 | 1.5%~2% |
プラセボ群 | 1%~1.5% |
実際の使用環境では報告されている割合よりも高い可能性がありますが、これは軽度の眠気を副作用として認識せず、報告しない方もいるためです。
眠気の具体的な症状とその程度
プロペシアによる眠気の症状には、以下のような特徴があります。
- 日中の倦怠感
- 集中力の低下
- 反応時間の遅延
- 軽度のめまい感
多くの場合、これらの症状は軽度から中程度であり、日常生活に大きな支障をきたすほどではありません。
研究結果においてもプロペシアによる眠気は一時的なものであり、多くの方は数週間から数ヶ月で改善することが示されています。
眠気の程度 | 症状の特徴 |
---|---|
軽度 | わずかな眠気、日常生活への影響は少ない |
中程度 | 明らかな眠気、集中力低下が顕著 |
重度 | 強い眠気、日常生活に支障をきたす |
眠気の程度は、服用量や体質によって変化する可能性があります。
眠気が出やすい時間帯や状況
プロペシアによる眠気は、特定の時間帯や状況で顕著になる場合があります。多くの方が報告している傾向として、以下のようなときに眠気を感じやすいようです。
- 服用直後の数時間
- 朝方の起床時
- 長時間の座位作業中
- 運転中や機械操作時
特に、服用後の数時間は眠気のピークとなる方が多いため、就寝前に服用すると日中の眠気を軽減できる可能性があります。
眠気が長期間続く場合のリスク
プロペシアによる眠気が長期間続く場合は、生活の質に影響を与える可能性があります。持続的な眠気は、以下のようなリスクを伴います。
- 作業効率の低下
- 事故のリスク増加(特に運転時)
- 慢性的な疲労感
- 気分の落ち込みや抑うつ症状
これらのリスクを避けるため、眠気が2~3ヶ月以上続くときは、医師に相談して投薬の調整や代替治療の検討を行うことが重要です。
眠気への対処法・予防法
つづいて、プロペシアによる眠気への対処法と予防策について解説します。副作用に正しく対応し、AGAの治療を続けながら快適な生活を送りましょう。
日常生活での眠気対策
プロペシアの副作用である眠気に悩む方は、日々の生活で対策を講じる必要があります。まず、十分な睡眠時間の確保が基本です。各自の生活リズムに合わせて、7〜8時間程度の睡眠をとりましょう。
適度な運動や外出は体内時計の調整に役立ちますので、日中の活動量を増やすのも効果的です。ただし、激しい運動は避けて、ウォーキングやストレッチなど無理のない範囲で行うのがポイントです。
対策 | 効果 |
---|---|
十分な睡眠 | 眠気の緩和 |
適度な運動 | 体内時計の調整 |
仕事や勉強の合間に短い休憩を取るのも有効です。15分程度の仮眠やリラックスタイムを設けると眠気を和らげますが、長時間の昼寝は夜の睡眠に影響を与えるため控えめにします。
服用時間の調整による眠気軽減
プロペシアの服用時間を見直すと、眠気の影響を最小限に抑えられます。就寝前に服用すると眠気の影響を軽減できる方が多いです。
ただし、薬の吸収や代謝のスピードには個人差があるため、最適な服用時間は一人ひとり異なります。医師と相談しながら、自分に合った服用時間を探りましょう。
服用タイミング | メリット |
---|---|
就寝前 | 日中の眠気軽減 |
朝食後 | 夜間の副作用軽減 |
朝食後の服用も選択肢の一つです。この方法では、夜間の副作用を軽減できる可能性がありますが、日中の眠気に注意します。
眠気を防ぐための食事
プロペシアによる眠気を予防するために、バランスの取れた食事を心がけ、特に以下の栄養素を積極的に摂取します。
- ビタミンB群(レバー、納豆、魚類など)
- 鉄分(ほうれん草、レバー、赤身肉など)
- オメガ3脂肪酸(青魚、ナッツ類など)
これらの栄養素は脳の機能を活性化し、眠気の予防に役立ちます。カフェインの摂取も眠気対策として効果的ですが、過剰摂取は逆効果になる可能性があるため適量を守るようにします。
医師に相談すべきタイミング
プロペシアによる眠気が日常生活に支障をきたす場合は、速やかに医師に相談しましょう。特に、以下のような症状が現れた際は、早めに受診します。
- 極度の眠気が続き、日中の活動に支障がある
- 眠気以外の副作用(めまい、頭痛など)が現れる
- 自己判断で服用を中止したくなる
場合によっては、投薬量の調整や代替薬の検討が行われます。
症状 | 対応 |
---|---|
極度の眠気 | 医師に相談 |
他の副作用 | 速やかに受診 |
突然の中止はAGAの症状悪化や他の副作用を引き起こしますので、自己判断で服用を中止するのは避けましょう。
短期的な眠気対策と長期的な予防法
プロペシアによる眠気に対しては、短期的な対策と長期的な予防法を組み合わせるのが効果的です。短期的な対策としては、以下のような方法があります。
- 冷たい水で顔を洗う
- 軽い運動や深呼吸を行う
- 明るい場所で過ごす
これらの方法は、一時的に眠気を払拭するのに役立ちます。ただし、効果は一時的であり、根本的な解決にはなりません。
長期的な予防法としては、食事や生活習慣の改善に加えてストレス管理も重要です。ストレスは眠気を増強させる要因となるため、適度なリラックスタイムを設けます。
対策 | 効果の持続性 |
---|---|
冷水で顔を洗う | 短期的 |
生活習慣の改善 | 長期的 |
定期的な運動習慣も長期的な予防法として効果的で、有酸素運動を中心に週3回程度の運動を心がけるとよいでしょう。ただし、過度な運動は逆効果になる可能性があるため、適度な強度を保つことが大切です。
眠気が出る場合は他の薬に変えたほうが良い?
プロペシアによる眠気の副作用は、AGA(男性型脱毛症)の治療継続に影響を与えます。薬の変更を考える際は、他のAGA治療薬との比較や、利点・欠点の評価が欠かせません。
眠気を軽減する別の治療法や医師との相談内容も重要で、状況に応じた判断が必要です。
他のAGA治療薬との比較
プロペシアの副作用が気になる方には、他の選択肢もあります。
ミノキシジルを主成分とする外用薬は、頭皮に直接塗布するため、全身への影響が比較的小さいとされています。
薬剤名 | 主成分 | 使用方法 |
---|---|---|
プロペシア | フィナステリド | 飲み薬 |
ミノキシジル | ミノキシジル | 塗り薬 |
また、デュタステリドを含む内服薬も選択肢の一つです。プロペシアと同じ5α還元酵素阻害薬ですが、より強い効果が期待できるとされています。
一方、サプリメントタイプの育毛剤も販売されていて、医薬品ではありませんが副作用のリスクが低いのが特徴です。
薬の変更に伴う利点と欠点
薬を変更すると、眠気などの副作用が軽減される可能性があります。ただし、新しい薬剤にも固有のリスクがある点を理解しておく必要があります。
利点としては生活の質の向上が挙げられます。眠気が改善されれば日中の活動性が上がり、仕事や日常生活への支障が減ります。
利点 | 欠点 |
---|---|
副作用軽減 | 効果の変化 |
生活の質向上 | 新たなリスク |
欠点としては、新しい薬剤への体の反応が予測できない点があります。効果が弱まったり、別の副作用が現れたりする可能性も考慮しなければなりません。
医師との相談内容
薬の変更を検討する際は、必ず担当医師と相談します。
相談内容 | 具体例 |
---|---|
副作用の程度 | 眠気の強さ、頻度 |
生活への影響 | 仕事、日常生活への支障 |
他の選択肢 | 代替薬、治療法の可能性 |
まず、現在感じている眠気の程度や頻度について具体的に伝えます。日中の活動にどの程度支障をきたしているかも、詳しく説明しましょう。
次に、他の副作用の有無やAGAの進行状況についても確認します。プロペシアの効果が十分に出ているかどうかも、変更を検討する上で重要な要素です。
さらに、生活習慣や仕事の状況など、個人的な背景も医師に伝えるのが大切です。
薬の変更が適しているケースとその判断基準
薬の変更を検討すべきケースには、いくつかの特徴があります。
- 眠気が日常生活に著しい支障をきたす
- 他の副作用も同時に現れる
- プロペシアの効果が十分に感じられない
- 長期服用にもかかわらず症状が改善しない
判断基準としては、副作用の重症度と頻度、生活への影響度、そして治療効果のバランスを総合的に考慮します。例えば、眠気が軽度で時々しか現れず薄毛の改善が顕著なときは、変更の必要性は低いでしょう。
判断基準 | 変更を検討する状況 |
---|---|
副作用の重症度 | 中度から重度 |
生活への影響 | 仕事や日常に支障 |
治療効果 | 効果不十分または停滞 |
一方で、眠気が強く毎日続き、仕事のパフォーマンスに影響を与える場合は、変更を真剣に検討します。また、薄毛の進行が止まらないときも別の治療法を試す価値があります。
最終的な判断はご自身の価値観や生活スタイルも考慮して行い、医師との十分な相談を通じて治療方法を選択をしましょう。
- 関連文献
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