フィナステリドとプロペシアは何が違う？どうして2つ名前があるの？

フィナステリドとプロペシアはAGA（男性型脱毛症）治療に使われる薬ですが、それぞれの名前が示す意味や違いについて混乱する人もいるかもしれません。

フィナステリドとプロペシアの違いを知ることは、ご自身に合った効果的な治療法を選ぶ第一歩です。

フィナステリドとプロペシアの違いとは？名前が異なる理由

フィナステリドとプロペシアは、男性型脱毛症（AGA）治療薬として広く知られています。

両者の違いや名称の由来について、成分の役割から商標名の関係、さらには国際的な名称の違いを知ると、薬選びの一助となります。

フィナステリドの成分としての役割

フィナステリドは、AGAの治療に用いられる有効成分で、5α還元酵素タイプ2を阻害する働きを持ちます。

5α還元酵素は、テストステロンをジヒドロテストステロン（DHT）に変換する酵素です。DHTは毛包を萎縮させる作用があり、これがAGAの主な原因となります。

フィナステリドは、この変換プロセスを抑制してDHTの生成を減少させるため、毛包の萎縮を防いで健康な髪の成長を促進します。

成分名	主な作用
フィナステリド	5α還元酵素阻害
テストステロン	男性ホルモン
DHT	毛包萎縮

プロペシアはフィナステリドを含むブランド薬

プロペシアは、フィナステリドを有効成分として含む医薬品のブランド名です。このブランド名は、製薬会社MSDが開発・販売している薬剤を指します。

プロペシアは1mgのフィナステリドを含有しており、これはAGAの治療に適した用量です。一方、同じフィナステリドを含む薬剤でも、前立腺肥大症の治療に用いられるものは5mgの含有量となっています。

ブランド薬としてのプロペシアは、品質管理や製造過程において厳格な基準を満たしています。また、パッケージデザインや付属の説明書なども使用者にとって分かりやすく設計されています。

商品名	有効成分	含有量
プロペシア	フィナステリド	1mg
プロスカー	フィナステリド	5mg

ジェネリック医薬品との違い

ジェネリック医薬品は、先発医薬品（ブランド薬）の特許期間が終了した後に、同じ有効成分を用いて製造される後発医薬品です。フィナステリドのジェネリック医薬品も存在していて、プロペシアと同様の効果が期待できます。

主な違いは以下の点にあります。

• 価格：ジェネリック医薬品は一般的に安価
• 外観：錠剤の色や形状が異なる場合がある
• 添加物：主成分以外の成分が異なることがある

ジェネリック医薬品は、先発医薬品と同等の品質、有効性、安全性が確認されています。ただし、製造元や販売元が異なるため、商品名やパッケージデザインは全く別のものとなります。

項目	ブランド薬	ジェネリック
価格	高め	安め
外観	統一	多様
品質	高品質	同等品質

商標名と一般名の関係

医薬品には、一般名（generic name）と商標名（brand name）が存在します。フィナステリドは一般名であり、プロペシアは商標名に当たります。

一般名はその薬の有効成分を指す国際的に統一された名称で、商標名は特定の製薬会社が自社製品に付けた固有の名前です。

医療現場では、混乱を避けるため一般名を用いるケースが多いです。とはいえ、患者さん向けの説明では、馴染みのある商標名を使用することもあります。

海外と日本での名称の違い

フィナステリドを含む薬剤の名称は、国や地域によって異なる場合があります。日本では「プロペシア」という商標名が使用されていますが、他の国では異なる名称で販売されているときもあります。

一般名のフィナステリドは国際的に統一された名称ですので、どの国でも同じ呼び名が使用されます。ただし、発音や表記方法に多少の違いが生じる可能性はあります。

海外で処方された薬を日本で使用する際や逆に日本の薬を海外で使用する際には、一般名（フィナステリド）を確認します。これにより、同じ有効成分を含む薬剤であると確認できます。

国	商標名の例
日本	プロペシア
米国	Propecia
英国	Propecia
ドイツ	Propecia

効果や副作用に違いはある？

フィナステリドとプロペシアの効果や副作用には、ほぼ違いはありません。

ただし、ジェネリック医薬品としてのフィナステリドと先発品としてのプロペシアは添加物の差があるため、使用感や副作用に微妙な違いが生じる可能性があります。

フィナステリドとプロペシアの効果の比較

フィナステリドとプロペシアは同一の有効成分を含んだ、5α還元酵素阻害薬です。

臨床試験の結果、両薬剤ともに約90%の男性で脱毛の進行抑制効果が、約65%の男性で発毛効果が確認されています。

効果	フィナステリド	プロペシア
脱毛抑制	約90%	約90%
発毛効果	約65%	約65%

効果の発現には通常3〜6ヶ月かかり、最大の効果を得るには1年以上の継続使用が必要です。ただ、効果の現れ方や程度には個人差があります。

副作用の種類と頻度

フィナステリドとプロペシアは同一の有効成分を含むため、副作用の種類や頻度も同様です。主な副作用として、性機能障害が挙げられます。

• リビドー（性欲）の低下
• 勃起障害
• 射精障害

これらの副作用は使用者の1〜2%に発生します。多くの場合、薬の使用を中止すると症状は改善します。

副作用	発生頻度
性機能障害	1〜2%
乳房腫大	0.5%未満

稀に乳房腫大や抑うつ症状が報告されるケースもありますが、その頻度は0.5%未満と極めて低いです。これらの副作用も薬剤の使用を中止すると改善する傾向にあります。

長期使用での安全性

フィナステリドとプロペシアの長期使用における安全性は同等と考えられています。10年以上の長期使用に関する研究では、重大な副作用の増加は報告されていません。

一部の使用者では、薬剤の使用中止後も性機能障害が持続するといった報告があり、この現象は「ポストフィナステリド症候群」と呼ばれ注目されています。

長期使用の影響	フィナステリド	プロペシア
重大な副作用増加	報告なし	報告なし
ポストフィナステリド症候群	稀に報告あり	稀に報告あり

長期使用の安全性については、一人ひとりの状態や反応を慎重に観察しながら、定期的な診察と評価が必要です。

服用時の注意点とリスク

フィナステリドとプロペシアを服用する際は、以下の点に気をつけます。

• 1日1回の服用を継続すること
• 効果が現れるまで最低3〜6ヶ月の継続使用が必要
• 妊婦や妊娠の可能性がある女性は薬剤との接触を避けること

特に、妊婦や妊娠の可能性がある女性が薬剤に接触すると、男性胎児の生殖器官の発達に影響を与える可能性があるため、細心の注意が必要です。

服用を中止すると通常6〜12ヶ月で効果が失われ、脱毛が再び進行します。そのため、長期的な使用を前提とした治療計画が重要です。

効果の個人差が生じる要因

フィナステリドとプロペシアの効果や副作用の現れ方には、個人差があります。この個人差が生じる要因としては、以下のようなものが考えられます。

個人差の要因	影響度
遺伝的要因	大
ホルモンバランス	中
年齢	中
脱毛の進行度	中
生活習慣	小〜中

また、ジェネリック医薬品のフィナステリドと先発薬のプロペシアでは、添加物の違いによって薬が溶ける速さや吸収速度に微妙な違いが出ます。そのため、薬の合う・合わないのような個人差が生まれる可能性があります。

薄毛治療にはどちらが良い？フィナステリドとプロペシアの選び方

さいごに、「フィナステリドとプロペシアのどっちを選べば良い？」といった疑問をお持ちの方に向けて、自分に合った薬の選び方、初心者向けの選択基準、医師との相談ポイントなどを解説します。

治療費用を考慮した選び方

一般的に、ジェネリック医薬品であるフィナステリドの方が、ブランド薬のプロペシアよりも安価です。

長期的な治療を考えると、コスト面での差異は無視できない金額になる場合があります。ただし、価格だけでなく、効果や副作用のリスクなども総合的に判断するようにしましょう。

薬剤名	1ヶ月あたりの概算費用
フィナステリド	3,000円〜5,000円
プロペシア	7,000円〜10,000円

医療機関や薬局によって価格が異なることがあるため、複数の選択肢を比較検討するとよいでしょう。

ジェネリック薬とブランド薬の選択基準

フィナステリドはジェネリック医薬品、プロペシアはブランド薬という違いがありますが、ジェネリック医薬品は特許期間が終了した後に製造される後発医薬品で、有効成分や効能はブランド薬と同等です。

• 価格：ジェネリック医薬品の方が一般的に安価
• 信頼性：ブランド薬は長期間の使用実績がある
• 製造品質：両者とも厳格な品質管理基準を満たしている
• 副作用：有効成分が同じため、基本的に差はない

価格や信頼性、品質などの点から個人の価値観や経済状況に応じて、ご自身に適した治療薬を選択しましょう。

効果を重視する場合の選び方

効果を重視する場合、フィナステリドとプロペシアの有効成分は同一であるため、どちらを選んでも本質的な違いはありません。

項目	フィナステリド	プロペシア
有効成分	フィナステリド	フィナステリド
含有量	0.2mg/1mg	0.2ｍｇ/1mg
作用機序	5α-還元酵素阻害	5α-還元酵素阻害

効果には個人差があるのは前提ですが、医学的には同等の効果が期待できます。ただし、心理的な面で、ブランド薬であるプロペシアの方が安心感を得られる方もいます。

初心者におすすめなのはどちら？

男性型脱毛症の治療を始める初心者には、まずブランド薬であるプロペシアから開始するのが望ましいといえます。理由として、以下の点が挙げられます。

プロペシアは長期間の使用実績があり、安全性や効果に関するデータが豊富です。初めて薬物治療を行う方にとって、この点は安心材料となります。

また、医師や薬剤師からの情報提供も充実している場合が多く、副作用や使用方法について詳しい説明を受けやすい環境にあります。

慣れてきた段階で、コスト面を考慮しフィナステリドへの切り替えを検討するのも一つの選択肢です。

医師との相談で選ぶ際のポイント

医師との相談時には、以下の点について詳しく話し合うことが大切です。

• 現在の脱毛の状態と進行度
• 期待する効果と治療期間
• 副作用のリスクと対処法
• 既往歴や現在服用中の薬剤との相互作用
• 治療費用と保険適用の有無

これらの情報を基に、医師は患者個々の状況に適した薬剤を提案します。

確認項目	詳細
効果の個人差	個々の体質や脱毛の程度による違い
副作用の可能性	発生頻度や症状の種類
治療の継続期間	効果が現れるまでの期間と維持の必要性

フィナステリドとプロペシアの選択は、個々の状況や優先事項によって異なります。コスト、効果、安全性などを総合的に判断し、医師との相談を通じて治療法を選ぶことが重要です。