プロペシアからフィンペシアへの切り替えで注意すべきポイントとは？副作用について解説

男性型脱毛症の治療薬であるプロペシアとフィンペシアには、それぞれ特徴や使用方法の違いがあります。

多くの男性にとって、二つの薬剤の切り替えは重要な決断です。特に、効果や副作用に関する知識を持たずに自己判断で切り替えると、治療効果の低下や体調への影響を招く恐れがあります。

プロペシアとフィンペシアの違いは？

プロペシアとフィンペシアは、どちらも男性型脱毛症（AGA）の治療薬として広く知られています。

有効成分は同じフィナステリドですが、製品自体には微妙な違いがあるのも事実です。

成分とその作用

プロペシアとフィンペシアは、ともにフィナステリドを主成分とする薬剤です。フィナステリドは、5α還元酵素阻害薬としてテストステロンからジヒドロテストステロン（DHT）への変換を抑制します。

成分名	作用
フィナステリド	5α還元酵素阻害

DHTは男性型脱毛症の主な原因物質であり、これを減少させて薄毛の進行を抑制します。

ジェネリック医薬品であるフィンペシアの特徴

フィンペシアは、プロペシアのジェネリック医薬品（後発医薬品）です。ジェネリック医薬品には、以下のような特徴があります。

• 先発医薬品と同等の効果・安全性
• 低価格
• 製造・品質管理基準の遵守

ジェネリック医薬品は、特許期間が終了した先発医薬品と同じ有効成分を使用しますので、効果や安全性は先発医薬品と同等であると考えられます。価格面では、ジェネリック医薬品は先発医薬品よりも安価です。

ただし、フィンペシアは国内で承認されていない薬です。

先発品であるプロペシアの特徴

プロペシアはアメリカトルク社が開発した薬で、男性型脱毛症治療薬の先駆けとして長年にわたり多くの方に使用されてきました。先発医薬品としての信頼性や実績が、プロペシアの大きな特徴と言えます。

60カ国以上の国で販売されているプロペシアは、効果や安全性について多くの臨床試験データがあるため、処方する医療機関も多く患者さんからの信頼も厚いです。

項目	プロペシア
種類	先発医薬品
実績	豊富

ただし、プロペシアは新薬開発にかかった費用を回収する必要があるため、価格が比較的高くなっています。

服用方法の違い

プロペシアとフィンペシアの服用方法は、基本的に同じです。両者とも1日1回、1錠を服用します。

服用のタイミングは朝でも夜でも構いません。ただし、体内の薬物濃度を一定に保つために、毎日同じ時間の服用を推奨します。

食事の影響については、両薬とも食事の有無に関わらず服用可能です。胃腸への負担を感じるときは、食後に服用するとよいでしょう。

飲み忘れた場合の対応も同様です。気づいたときにすぐに服用し、次回からは通常のスケジュールに戻ります。次の服用時間が近い場合は、1回分をスキップして通常通り服用を続けます。

服用方法	プロペシア	フィンペシア
用量	1日1回1錠	1日1回1錠
タイミング	朝または夜	朝または夜

製造国や品質基準の違い

日本で流通しているプロペシアは、国内の製薬会社（オルガノン株式会社）によって製造されています。一方、フィンペシアは、インドの製薬会社が製造している治療薬です。

製造国の違いは、品質管理基準や規制の差異につながります。国内では厳格なGMP（Good Manufacturing Practice：医薬品等の製造管理及び品質管理の基準）基準が適用されています。

項目	プロペシア	フィンペシア
主な製造国	日本	インド
品質基準	厳格なGMP	インドの基準

インドでも品質管理は行われていますが、基準や監視体制が異なる場合があります。そのため、品質のばらつきが生じる可能性があることへの認識が必要です。

プロペシアからフィンペシアへの切り替えの手順と注意点

プロペシアからフィンペシアに関わらず、AGA治療薬の切り替えをする際には、医師の指導のもとで行うのが基本です。

医師との相談時のチェックポイント

プロペシアからフィンペシアへの切り替えを考えたときは、いちど医師に相談してみましょう。

相談時には、現在の症状や治療経過、副作用の有無などの詳細な説明が大切です。また、フィンペシアへの切り替えを希望する理由も明確に伝えます。

確認項目	内容
現在の症状	脱毛の程度、改善状況
副作用	発現の有無、種類、程度
治療目標	期待する効果、治療期間
生活習慣	服薬管理、ストレス状況

ただし、国内で承認されていないといった理由から、フィンペシアを推奨していない医師が多いのも事実です。

切り替え期間とタイミングの設定

プロペシアからフィンペシアへの切り替えは、急激な変更を避けて段階的に行うのが望ましいです。一般的な切り替え期間は2〜4週間程度ですが、一人ひとりの状況により異なります。

切り替えのタイミングは、現在の治療効果や副作用の状況を踏まえて決定します。例えば、プロペシアによる副作用が気になる場合は、早めの切り替えを検討するケースもあります。

以下は、一般的な切り替えスケジュールの例です。

• 1週目：プロペシアを隔日投与に変更
• 2週目：プロペシアとフィンペシアを交互に投与
• 3週目：フィンペシアの投与回数を増やす
• 4週目：完全にフィンペシアに切り替え

このスケジュールは参考例であり、実際の切り替え方法は医師の指示に従います。

正しい服用量の確認と調整方法

フィンペシアへの切り替え時には、正しい服用量の確認と調整が必要です。プロペシアとフィンペシアは同じ有効成分（フィナステリド）を含みますが、製剤の特性が異なる場合があります。

一般的に、フィンペシアの推奨用量はプロペシアと同じ1mg/日ですが、個々の状況により調整が必要なときもあります。

注意点	詳細
過剰投与の回避	推奨用量を超えない
効果の確認	定期的な経過観察
副作用の監視	新たな症状に注意
徐々な調整	急激な変更を避ける

服用量の調整は必ず医師の指示に従って行います。自己判断での増減は控え、定期的な診察を受けながらご自身に合った用量を見つけていくことが重要です。

治療効果の維持に向けた注意点

フィンペシアへの切り替え後も、継続的な治療効果の維持をしていきます。

• 規則正しい服用：決められた時間に確実に服用する
• 生活習慣の改善：バランスの良い食事、適度な運動、十分な睡眠を心がける
• ストレス管理：過度のストレスは薄毛の進行を促進する
• 定期的な経過観察：医師との相談を継続し、必要に応じて治療方針を調整する

フィンペシアへ切り替えた後も、定期的な頭皮の状態チェックや写真撮影による経過観察を続けるようにします。

コスト面や効果・副作用など切り替えによるメリットは？

プロペシアからフィンペシアへの切り替えをすると、効果はそのままでコストが抑えられるのかというと、そういった訳でもありません。

切り替えを検討する際には、メリットとリスクを総合的にみて判断しましょう。

コスト削減のメリット

プロペシアからフィンペシアへの切り替えにおいて、最も大きなメリットは経済的負担の軽減です。

フィンペシアはプロペシアのジェネリック医薬品であり、同じ有効成分（フィナステリド）を含有しながら、価格が大幅に抑えられています。

薬剤名	価格帯（1ヶ月分）
プロペシア	8,000円〜12,000円
フィンペシア	3,000円〜6,000円

長期的な治療を要する男性型脱毛症（AGA）では、大きく負担軽減ができますので、治療を続けやすくなるメリットもあります。

効果の同等性

フィンペシアとプロペシアの効果の同等性は、多くの臨床研究や実際の使用例から確認されています。両薬剤とも、主成分のフィナステリドが5α還元酵素を阻害し、テストステロンからジヒドロテストステロン（DHT）への変換を抑制します。

項目	プロペシア	フィンペシア
主成分	フィナステリド	フィナステリド
含有量	1mg	1mg
作用機序	5α還元酵素阻害	5α還元酵素阻害

この作用機序により、頭皮のDHT濃度が低下して毛包の萎縮が抑制されます。既存の毛髪の脱落を防ぎ、新しい毛髪の成長を促進する効果が期待できます。

効果の発現時期や持続性についても、両薬剤間で顕著な差は報告されていません。通常、使用開始から3〜6ヶ月程度で効果を実感し、継続使用により効果が維持されます。

副作用の発生率の比較

プロペシアとフィンペシアの副作用プロファイルは、基本的に同等と考えられています。両薬剤とも同じ有効成分を同量含有しているため、副作用の種類や発生率に大きな差異はありません。副作用の発生率は、一般的に1〜2％程度です。

副作用の多くは、服用中止により改善する傾向にあります。ただし、稀に服用中止後も症状が持続する例が報告されているため、副作用が現れた場合は速やかに医師に相談します。

• リビドー（性欲）の低下
• 勃起障害
• 射精障害
• 乳房腫大や乳房痛

プロペシアからフィンペシアへの切り替えをした際に、プロペシアとは違う副作用が現れる可能性も否定できません。その理由には、プロペシアとは異なる添加物が含まれる、日本で承認されていないために衛生上の危険性が存在する、入手は個人輸入に頼らざるを得ないために購入したものが偽造品である可能性もある、などが挙げられます。

プロペシアからフィンペシアへの切り替えは経済的メリットが大きく、効果の同等性も確認されているものの、切り替え方法や入手方法には注意が必要です。

切り替えを検討する際には、必ず医師に相談するようにしましょう。