プロペシアの主成分フィナステリドって？ホルモンバランスへの作用と期待できる効果

プロペシアは、男性型脱毛症の治療に広く用いられている薬剤です。その主成分である「フィナステリド」には、薄毛の進行を抑える効果が期待されています。

本記事では、フィナステリドの作用メカニズムやホルモンバランスへの影響、服用期間の目安、そして治療を継続する際のポイントについて詳しく解説します。

男性型脱毛症に効果を発揮するプロペシアの成分とは

プロペシアの主成分フィナステリドは、男性型脱毛症（AGA）治療に用いられる薬剤です。

主成分フィナステリドの概要

フィナステリドは5α還元酵素タイプII阻害薬として、テストステロンからジヒドロテストステロン（DHT）への変換を抑制します。

フィナステリドの作用	効果
5α還元酵素阻害	DHT生成抑制
毛包保護	毛髪成長促進

フィナステリドは体内のホルモンバランスに影響を与えるため、AGAの進行抑制だけでなく、一部の症例では発毛効果も認められています。

AGA治療薬として承認されたプロペシアの特徴

プロペシアはフィナステリドを主成分とする経口薬で、世界の60カ国以上で販売されており、2005年に日本でもAGA治療薬として承認されました。

プロペシアの特徴は、DHT濃度を効果的に低下させる点です。服用により、血中DHT濃度が約70%減少するとの報告があります。

服用開始から3～6ヶ月程度で効果が現れ始め、1年以上の継続使用で最大の効果が得られます。

プロペシアの特徴	内容
主成分	フィナステリド1mg
服用方法	1日1回経口投与
DHT低下率	約70%

プロペシアに含まれるその他の添加物について

プロペシアには、主成分のフィナステリド以外にもいくつかの添加物が含まれています。これらは薬剤の安定性や吸収性を向上させる役割を果たします。

• 乳糖水和物
• 結晶セルロース
• デンプングリコール酸ナトリウム
• ステアリン酸マグネシウム
• ヒプロメロース

これらの添加物は一般的に安全性が確認されていますが、まれに過敏症を引き起こす場合があるため注意が必要です。

添加物	主な役割
乳糖水和物	賦形剤
結晶セルロース	崩壊剤
ステアリン酸マグネシウム	滑沢剤

プロペシアの服用方法と注意点

プロペシアは、通常1日1回、1錠（1mg）を服用します。食事の有無に関わらず服用できますが、毎日同じ時間に服用するとより安定した効果が期待できます。

飲み忘れに気づいたときにはすぐに服用しますが、次の服用時間が近い場合は1回分を飛ばし、通常のスケジュールに戻ります。2回分を同時に服用しないよう注意します。

プロペシアの服用にあたっては、以下の点に注意します。

• 18歳未満の男性や女性は服用不可
• 妊婦や妊娠の可能性がある女性は触れない
• 肝機能障害のある患者は慎重に投与する
• 前立腺がんのスクリーニングに影響を与える可能性があるため、定期的な検査が必要

プロペシアの服用中は、定期的に医師の診察を受け、効果や副作用を確認することが大切です。

5α還元酵素の働きを抑制してDHT産生を防ぐフィナステリド

プロペシアの主成分であるフィナステリドは、5α還元酵素の活動を抑えてテストステロンからジヒドロテストステロン（DHT）への変換を阻止することで、薄毛の進行を抑制します。

5α還元酵素の働きとDHTの関係性

5α還元酵素は、体内でテストステロンをDHTに変換する酵素です。この過程により、テストステロンの一部がDHTになります。

DHT（ジヒドロテストステロン）は、テストステロンよりも強い作用を持つ男性ホルモンの一種です。特に毛包に対する影響が強く、男性型脱毛症の主な原因となります。

ホルモン	特徴
テストステロン	男性の基本的なホルモン
DHT	テストステロンから生成される強力なホルモン

5α還元酵素の活性が上昇すると比例するようにDHTの産生量が増加し、毛包へのDHTの影響が強まって薄毛が進行します。

フィナステリドが5α還元酵素に与える影響

フィナステリドは、5α還元酵素の働きを特異的に阻害します。特に、5α還元酵素のタイプII型に対して強い親和性を示します。

プロペシアの服用により、テストステロンからDHTへの変換が抑えられます。その結果、体内のDHT濃度が減少し、毛包へのDHTの悪影響を抑制します。

フィナステリドの作用	効果
5α還元酵素の抑制	DHT生成の減少
DHT濃度の低下	毛包への負の影響軽減

フィナステリドを服用すると、血中DHT濃度は約70%低下します。この効果は、薄毛の進行を抑制する上で非常に重要な役割を果たします。

ただし、フィナステリドの効果には個人差があり、全ての人に同じ効果が現れるわけではありません。

DHTが男性型脱毛症に及ぼす作用メカニズム

DHTは、毛包の成長サイクルに大きく影響します。具体的には、次のような作用を示します。

• 毛包の成長期（アナジェン期）の短縮
• 休止期（テロジェン期）の延長
• 毛包の小型化（ミニチュア化）の促進

毛髪が成長する期間が短くなって休止期が長くなり、毛包が小さくなる作用によって、毛髪は細く、短くなり、最終的には生えなくなります。

DHTの作用	毛髪への影響
成長期短縮	毛髪の成長抑制
休止期延長	新しい毛髪の生成遅延

DHTの作用は、遺伝的に感受性の高い毛包でより顕著です。そのため、男性型脱毛症の症状は、頭頂部や前頭部から始まることが多いです。

フィナステリドの副作用

フィナステリドは効果的な薬剤ですが、一部の人に副作用が生じます。主な副作用には以下のようなものがあります。

• 性機能障害（勃起不全、性欲減退など）
• 乳房腫大
• うつ症状

副作用は服用を中止すると通常は改善しますが、まれに服用中止後も症状が続くケースがあります。

副作用	発現頻度
性機能障害	1-2%
乳房腫大	1%未満

副作用の発現リスクは、服用期間や個人の体質によって異なります。そのため、医師の指示に従い、定期的な経過観察を受けるようにしましょう。

発毛効果が期待できる服用期間と継続的な治療のポイント

さいごに、フィナステリドの発毛効果が現れるまでの期間や服用中断の影響、併用療法について解説します。

プロペシアの発毛効果が現れるまでの期間

プロペシアの発毛効果は、服用開始から3〜6ヶ月程度で実感できるようになります。

初期段階では、抜け毛の減少が見られるケースが多いです。その後、細くなっていた毛が太くなり、新しい毛が生えてくる過程を経て、発毛効果が顕著になります。

効果の段階	一般的な期間
抜け毛減少	1〜3ヶ月
毛髪の太さ増加	3〜6ヶ月
新しい毛の成長	6〜12ヶ月

1年以上の服用を続けると、より明確な効果を実感できる場合もあります。

長期的な服用が推奨される理由

プロペシアの長期服用が推奨される主な理由は、男性型脱毛症が慢性的な進行性疾患である点にあります。フィナステリドは、男性ホルモンの一種であるジヒドロテストステロン（DHT）の産生を抑制することで作用します。

DHTは毛包を萎縮させる働きがあるため、その産生の継続的な抑制が、薄毛の進行を防ぐ上で極めて重要です。

服用期間	期待される効果
短期（〜6ヶ月）	抜け毛の減少
中期（6ヶ月〜1年）	毛髪の太さ増加
長期（1年以上）	新しい毛の成長、効果の維持

長期服用によって、以下のような利点が期待できます。

• 発毛効果の維持
• 薄毛の進行抑制
• 毛髪の質の改善

服用を中断した場合の影響と再開時の注意点

プロペシアの服用を中断すると、その効果は徐々に失われていきます。一般的に、中断後3〜6ヶ月程度で服用前の状態に戻ります。

服用中断後の影響として、DHT産生の再活性化、抜け毛の増加、毛髪が細くなる、新しい毛の成長の停滞が挙げられます。

中断期間が短い場合は、服用を再開したときに比較的スムーズに効果を取り戻せます。一方で、長期間中断していたケースでは、効果の回復に時間を要する方が多いです。

中断期間	効果回復の目安
1ヶ月以内	比較的早い
1〜3ヶ月	やや時間がかかる
3ヶ月以上	長期間を要する

再開時は、必ず医師の診察を受けて指示を仰ぎます。副作用のリスクや他の治療法との併用の必要性について、専門家のアドバイスを受けることが大切です。

プロペシアと併用すると効果的な治療法

プロペシアの効果をさらに高めるために、他の治療法との併用が有効なときがあります。

ミノキシジルには外用薬と内服薬があり、血流を改善して毛包を活性化させる働きがあります。プロペシアと併用すると相乗効果が期待できます。

また、各種育毛成分を含む育毛剤を使用すると、頭皮環境を整えてプロペシアの効果を補完できる場合があります。

併用療法	期待される効果
ミノキシジル	血流改善、毛包活性化
育毛剤	頭皮環境の改善
低出力レーザー療法	毛包細胞の活性化

低出力レーザー療法は、特定波長の光を照射して毛包細胞を活性化させる治療法です。プロペシアとの併用により、より高い効果が得られる可能性があります。

これらの併用療法を検討する際は、必ず医師に相談してご自身の状態に合った方法を選択します。また、定期的な経過観察を行い、効果や副作用の有無を確認しながら、治療を進めていくようにしましょう。