プロペシアの購入費用は医療費控除の対象？AGA治療費の扱いとは

AGA（男性型脱毛症）の治療費は、年間10万円以上かかるケースもめずらしくありません。そのため、AGA治療費が医療費控除の対象になるのかどうか気になる方も多いのではないでしょうか。

ただ、現状プロペシアをはじめとしたAGA治療は医療費控除の対象外です。この記事では、プロペシアが医療費控除の対象外とされる理由を掘り下げて解説します。

AGA治療・プロペシアが医療費控除の対象外である理由

現時点でAGA治療やプロペシアが医療費控除の対象外である理由は、AGA治療が病気や怪我に対する治療ではないと判断されているからです。

AGA治療は病気の治療ではないと判断されている

男性型脱毛症（AGA）は、一般的に病気とは見なされていません。AGAが生命や健康に直接的な影響を与えないためです。

医学的には、AGAは遺伝的要因や男性ホルモンの影響によって生じる生理的な現象です。そのため、治療というよりも、症状の改善や進行の抑制を目的とした対処法と位置づけられることが多くなっています。

このような背景から、AGAの治療は医療費控除の対象外となっています。医療費控除は、病気やケガの治療に要した費用を対象としているため、AGAのような生理的な現象に対する処置は含まれません。

AGA治療の特徴	医療費控除との関係
生理的現象	対象外
美容目的	対象外
生命非脅威	対象外

プロペシアは毛髪用薬剤として分類されている

プロペシアはAGAの治療に用いられる代表的な薬剤ですが、毛髪用薬剤のため医療費控除の対象外です。

厚生労働省の定める薬価基準において、プロペシアは「その他の外皮用薬」といったカテゴリーに分類されています。「その他の外皮用薬」は、主に美容や整容を目的とした薬剤を指します。

医療費控除の対象となる薬剤は、主に疾病の治療や予防を目的としたものに限定されています。

薬剤分類	医療費控除
治療用薬剤	対象
毛髪用薬剤	対象外
美容用薬剤	対象外

医療費控除の対象は病気やケガの治療に限定されている

医療費控除制度は、納税者やその家族の病気やケガの治療にかかった費用の一部を所得から控除する仕組みです。この制度の目的は、高額な医療費負担を軽減し、必要な医療を受けやすくする点にあります。

控除の対象となる医療費は、決められた条件を満たす必要があります。

• 病気やケガの治療のために支払った費用
• 医師や歯科医師による診療や治療の費用
• 病院や診療所での入院費用
• 医師の処方箋に基づいて購入した薬の費用

医療費控除の対象となる治療、美容医療の違い

医療費控除の対象となる治療と美容医療には違いがあります。ただ、例外として医療費控除の対象となる美容医療もありますし、治療と美容威容の境界線が不明瞭であるのも事実です。

医療費控除の対象となる治療の概要

医療費控除は、納税者とその家族の医療費負担を軽減する制度です。年間の医療費が一定額を超えた場合、その超過分を所得から控除できます。

対象となる治療は、主に健康の保持や回復を目指す医療行為です。

対象治療	費用例
診察・検査	診察料、血液検査費
入院	入院費、食事代
薬剤	処方薬、市販薬
通院費	交通費、介護タクシー代

ただし、健康診断や予防接種などの直接的な病気の治療を目的としない医療行為は、原則として医療費控除の対象外です。

医療費控除を受けるには、医療機関や薬局から発行された領収書や明細書の保管が必要で、基本的には確定申告時に提出を求められます。

美容医療の定義と範囲

美容医療は病気やけがの治療ではなく、容姿の改善や若返りを目的とした医療行為を指します。

• 美容整形手術（二重まぶた、豊胸など）
• シミ・そばかす除去
• 脱毛治療
• アンチエイジング治療
• 歯のホワイトニング

美容整形手術や脱毛治療は、健康上の問題解決ではなく外見の改善が主な目的であるため、通常は医療費控除の対象になりません。

医療費控除の対象となる美容医療の例外

一部の美容医療は、特定の条件下で医療費控除の対象となるケースがあります。これは、美容目的だけでなく、健康上の理由や機能改善を目的とする場合です。

例えば、重度のやけどによる瘢痕（はんこん）の修復手術や先天性の形成異常に対する矯正手術などは、医療費控除の対象となる可能性があります。外見の改善だけでなく、身体機能の回復や精神的な健康の維持にも貢献するのが理由です。

次の表は、医療費控除の対象となる可能性がある美容医療の例を示しています。

美容医療の種類	控除対象となる可能性がある条件
形成手術	事故や疾病による変形の修復
レーザー治療	先天性のアザの除去
脱毛治療	ホルモン異常による多毛症の治療

これらの例外的なケースでも、医療費控除の適用には医師の診断書など、医学的な必要性を証明する書類が求められる場合があります。

治療と美容医療の境界線の不明確さ

治療と美容医療の境界線は、必ずしも明確ではありません。一見美容目的に見える施術でも、健康上の問題を解決する側面を持つ場合があります。

例えば、AGA（男性型脱毛症）の治療は外見の改善を目的としているように見えますが、脱毛による精神的なストレスの軽減や社会生活への悪影響の防止など健康面での効果も考慮されます。健康面での効果が考慮されたときは、医療費控除の対象となる可能性があります。

また、重度のニキビの治療や多汗症に対するボトックス注射なども、美容的な側面と医学的な必要性が混在する例です。

施術の種類	美容的側面	医学的側面
AGA治療	外見の改善	精神的ストレスの軽減
ニキビ治療	肌質の改善	感染予防、瘢痕形成の防止
多汗症治療	見た目の改善	日常生活の質の向上

このような境界線の不明確さゆえに、医療費控除の適用には個別の判断が必要です。医療機関での診断結果や治療の目的、症状の程度などを総合的に考慮し、税務当局が判断を行います。

AGA治療費用の年間支出を抑える方法とは？

AGA治療費用の年間支出を抑えるためには、ジェネリック医薬品の活用、長期処方による受診回数の削減が有効です。

ただし、費用を抑えるだけでなく、安全性や効果にも着目するようにします。

ジェネリック医薬品の活用

AGA治療において、ジェネリック医薬品の活用は治療費用を抑える有効な手段です。ジェネリック医薬品は新薬（先発医薬品）の特許期間が切れた後に製造・販売される後発医薬品であり、新薬と同等の有効成分、効能・効果を持ちながら価格が大幅に安くなっています。

AGAの代表的な治療薬であるフィナステリドやデュタステリドにもジェネリック医薬品が存在し、これらを選択すると治療費を削減できます。

薬剤名	先発医薬品	ジェネリック医薬品
フィナステリド	約9,000円/月	約3,000円/月
デュタステリド	約10,000円/月	約4,000円/月

ただ、個々の状況や体質によっては先発医薬品の方が適している場合もあるため、医師との相談を踏まえて判断することが必要です。

長期処方による受診回数の削減

AGA治療は長期的な取り組みが必要ですので、定期的な通院が求められます。この通院頻度を調整すると治療費用を抑えられます。

長期処方を受けると通院回数を減らせて、結果として診察料や交通費などの付随する費用の削減が可能です。

• 副作用の有無や治療効果を定期的に確認する
• 処方薬の正しい管理と服用を徹底する
• 体調の変化があった場合は速やかに医師に相談する

長期処方のメリットとデメリットを比較すると、以下のようになります。 

メリット	デメリット
通院回数の減少	副作用の早期発見が遅れる可能性
診察料の削減	薬の管理責任が増える
時間の節約	治療効果の確認間隔が長くなる

長期処方を受ける際は、自身の生活スタイルや治療の進捗状況を考慮し、医師と相談しながら処方期間を決定するようにします。

治療費の見直しと優先順位の決定

AGA治療費用を効果的に管理するためには、定期的に治療内容と費用を見直し、優先順位を決定するとよいでしょう。

検討項目	内容
治療の効果	現在の治療法による改善度合いの評価
副作用の有無	副作用の発現状況と対処法の検討
生活への影響	治療が日常生活に与える影響の確認
経済的負担	現在の治療費用と家計への影響の分析

治療費用の見直しをする際には、複数の医療機関での相談や比較検討をする、治療のタイミングや頻度を調整する、自宅でのケア方法を習得して実践する、といった工夫が大切です。

効果や副作用、生活への影響や経済的な負担のなかで優先順位を決定し、ご自身に合ったAGA治療を続けていきましょう。