ケトコナゾールでかゆみが生じるときの対処法と注意点 | AGA・抜け毛・薄毛治療のAGAメディカルケアクリニック【公式】

ケトコナゾールでかゆみが生じるときの対処法と注意点

更新日
ケトコナゾールでかゆみが生じるときの対処法と注意点
前田 祐助
監修医師

前田 祐助

AGAメディカルケアクリニック 統括院長

【経歴】

  1. 慶應義塾大学医学部医学研究科卒業
  2. 慶應義塾大学病院 初期臨床研修課程終了
  3. 大手AGAクリニック(院長)を経て、薄毛・AGA治療の2018年AGAメディカルケアクリニック新宿院を開設
  4. 2020年に2院目となるAGAメディカルケアクリニック横浜院を開設
  5. 2023年に3院目となるAGAメディカルケアクリニック東京八重洲院を開設

【資格】

  1. 医師免許
  2. ⽇本医師会認定産業医
  3. 医学博士

【所属学会】

  1. 日本内科学会
  2. 日本美容皮膚科学会
  3. 日本臨床毛髪学会

【症例数】

  1. 3万人以上※
  2. ※2018年5月~2022年12月AGAメディカルケアクリニック全店舗の延べ患者数

統括院長プロフィール詳細

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頭皮や皮膚の症状に使われる治療薬のひとつとして、ケトコナゾールを含む外用剤が挙げられます。

真菌(カビ)の繁殖を抑える目的で処方されるケースが多い一方で、使い始めるとかゆみが気になるという声も少なくありません。

そこで、ケトコナゾールによってかゆみが起こる仕組みや、具体的な対処法と注意点について解説します。

ケトコナゾールの基本的な概要

ケトコナゾールは主に真菌が原因の皮膚疾患や頭皮トラブルに用いられています。

皮膚科やクリニックで処方される外用剤(シャンプーやローションタイプ)や、内服薬などの形で提供される場合があります。

ケトコナゾールとは

ケトコナゾールは抗真菌薬の一種で、カンジダなどの真菌が原因となる皮膚感染症に幅広く使われてきました。

シャンプーやローションとして頭皮に使用する場合は、脂漏性皮膚炎やマラセチア毛包炎などの改善を期待できます。

内服薬として、全身性の真菌感染症に対応するケースもあります。

ケトコナゾールが対象とする真菌と症状

真菌の種類主な症状ケトコナゾールの働き
マラセチア属脂漏性皮膚炎、フケ頭皮や皮脂腺周辺の真菌増殖を抑える
カンジダ属口腔内・陰部の炎症粘膜や皮膚の感染部位で真菌の活動を抑制
皮膚糸状菌(白癬菌)水虫、爪白癬、体部白癬など皮膚表面に広がる真菌を抑える

ケトコナゾールは、抗真菌薬のなかでも比較的多くの方に利用されてきた成分です。

ただし、内服では肝機能への影響などが問題になる場合もあるため、使用形態の違いで注意すべき点が変わります。

ケトコナゾールを使用する目的

ケトコナゾールの主な目的は、頭皮や皮膚に増殖した真菌を抑えることです。フケやかゆみが気になる脂漏性皮膚炎などに役立ちます。

頭皮環境が整えば毛髪にも良い影響が期待できるため、AGA治療の補助的役割として注目される場合もあります。ただし、毛髪を直接増やす薬ではないため、用途を正しく理解しておくことが大切です。

ケトコナゾールで期待できるメリット

  • 真菌を抑制し、炎症やかゆみを緩和する
  • フケの量を抑え、頭皮環境を整える
  • 頭皮や皮膚のトラブルを軽減することで、ヘアサイクルを整える土台になる場合がある

ケトコナゾールの使用形態

ケトコナゾールは外用剤(シャンプー、クリーム、ローション)と内服薬の2種類があります。

頭皮ケアを中心とした対策が目的の場合は、シャンプーやローションが選ばれるケースが多いです。

内服薬は効果が全身に及ぶため、重症の場合や内科的要因と関わる場合に処方されます。

外用剤と内服薬の特徴

形態主な特徴使用上の注意
シャンプー頭皮の真菌を抑えつつ、フケを軽減する過度な摩擦に注意
クリーム皮膚への塗布に向く指定の部位へ適切な量を塗布
ローション液体状で皮膚の広範囲に使いやすい塗布後はしっかり乾かす
内服薬全身性の真菌感染症などに対応できる肝機能障害のリスクなど考慮

外用剤は使いやすい反面、薬液が目に入ったり洗い流しが不十分だったりするとトラブルを招きやすい点に気をつけます。

内服薬は医師の指示を守り、定期的な検査を受けると安全性を高められます。

医療現場での位置づけ

ケトコナゾールは、古くから用いられてきた抗真菌薬で、医療現場ではいまも有用性が評価されています。

近年は複数の抗真菌薬が登場しているため、病状や耐性の有無などを考慮して処方が決まります。

AGA治療や薄毛対策としてケトコナゾール入りシャンプーを使う場合は、あくまで頭皮環境の改善が狙いです。髪そのものを増やす薬ではない点を念頭に置き、必要に応じて専門家の相談を受けるのが望ましいです。

かゆみが生じる原因とメカニズム

ケトコナゾールを使っている人のなかには、「使い始めてからかゆみが強くなった」という声が聞かれます。

なぜそのようなことが起こるのか、皮膚のバリア機能や皮脂との関係、またアレルギー反応などを含めて原因を整理しておくと良いです。理解が深まれば、症状が現れた際の対応もスムーズに進められます。

皮膚のバリア機能との関係

皮膚や頭皮は外部刺激から身体を守るバリア機能を持っています。しかし、何らかの要因でバリアが損なわれると、刺激に過敏になりやすい状態に陥ります。

ケトコナゾールのシャンプーやローションは真菌対策には有効ですが、成分が肌を乾燥させたり、強い洗浄力で皮脂を過度に奪ったりする場合があります。

その結果、皮膚のバリアが弱り、かゆみなどの刺激症状が出やすくなるときがあります。

肌や頭皮の乾燥を招く要因

要因内容
強い洗浄力のシャンプー皮脂を必要以上に取り除いてしまい、乾燥を招く
熱いお湯での洗髪頭皮の皮脂バランスを崩してしまい、バリア機能の低下を招く
過度なブラッシングや摩擦表皮が傷つき、外的刺激を受けやすくなる
皮膚に合わないヘアケア剤刺激が強い成分が含まれていると、乾燥やかゆみのリスクが高くなる

バリア機能を維持するには、適度な皮脂や水分量を保つ心がけが大切です。

ケトコナゾール製剤の使用中でも、頭皮をいきなりゴシゴシこすらないなどの基本的なケアを見直しておきましょう。

皮脂や油分との関連

真菌は皮脂を栄養源とするものが多いため、ケトコナゾールで真菌を抑えるのが合理的です。

ただし、皮脂を急激に減らしすぎると、皮膚はさらに皮脂を過剰に分泌してしまうケースもあります。

過剰な皮脂分泌は毛穴の詰まりや炎症を引き起こし、かゆみの悪化につながる場合があります。そのため、皮脂のバランスを整えながらケアする視点が欠かせません。

  • 過剰な皮脂分泌は毛穴の詰まりや炎症を招きやすい
  • 油分をとりすぎる洗浄も、逆に皮脂の過剰分泌を誘発することがある
  • かゆみが生じたら、一時的に洗髪の回数や温度を見直すと緩和が期待できる

アレルギー反応の可能性

ケトコナゾール成分自体、あるいは配合されている他の成分に対してアレルギー反応を示す人もいます。

特に、シャンプーやクリームなどの外用剤には保湿成分や保存料、香料などさまざまな添加物が含まれるため、それが刺激となってかゆみを引き起こす場合があります。

ケトコナゾール製剤でアレルギーを起こしやすい要素

原因内容
防腐剤や保存料長期保存に向けて配合された化学物質が刺激になる
香料や着色料香りや外観を整えるために添加された成分
他の薬剤成分との相乗作用別の外用薬などと併用した場合の化学反応

アレルギーの可能性が疑われるときは、医師に相談してパッチテストを行うなどの対策を検討してください。

かゆみだけでなく、赤みや腫れ、水ぶくれなどの強い炎症症状が現れたら速やかに医療機関を受診すると良いです。

菌や炎症とのかかわり

かゆみを引き起こす真菌はもちろん、細菌感染による炎症や、別の要因で生じた皮膚炎が複合的に絡んでいることもあります。

ケトコナゾールはあくまで真菌対策なので、もし細菌性の炎症が原因だった場合は別の抗生物質を使うことも視野に入れなければなりません。

症状の原因が複数重なっている可能性があるので、見極めには医師の診断が大切です。

ケトコナゾールによるかゆみの特徴

実際にケトコナゾールを使い始めたあと、どのようなタイミングでかゆみが出やすいのか、またかゆみ以外の症状はあるのかなどの特徴を知っておくと、早めの対応がしやすいです。

ここでは、かゆみの傾向を整理しておきます。

使用後にかゆみが増すタイミング

多くの場合、ケトコナゾールの外用剤を使用した直後や数時間後にかゆみを感じる方がいます。

シャンプーの場合は、頭皮を洗ったあとにかゆみを訴えるケースがとくに目立ちます。これは、成分が皮膚に浸透する過程で刺激が強くなったり、洗髪時の摩擦で頭皮が傷ついたりしている可能性があります。

入浴後の頭皮はデリケートな状態なので、乾燥や雑菌の繁殖を防ぐためにも保湿ケアや適切な乾燥方法を心がけましょう。

シャンプー直後のかゆみ対策

  • 髪を洗う温度はぬるま湯(35〜37℃)を基本とする
  • シャンプーをよく泡立ててから頭皮を洗う
  • 洗い流し残しを徹底的になくす
  • 洗髪後はタオルで優しく押さえるように水分を取る

かゆみと赤みなど他の症状の関連

かゆみだけでなく、頭皮が赤くなる、炎症で熱を持つ、フケが急に増えるといった症状を伴う場合は注意が必要です。

単なる刺激による一時的なかゆみではなく、薬剤が合わない可能性や、真菌以外の原因による皮膚トラブルが併発しているかもしれません。

特に赤みが強い場合は医療機関を受診し、適切な治療を受けると良いです。

ケトコナゾール使用後に見られる可能性がある症状

症状考えられる理由目安となる対処
頭皮の赤み薬剤刺激、アレルギー、炎症悪化すぐに医師に相談
フケの急増ターンオーバー亢進、皮脂バランスの乱れシャンプー回数や方法を見直す
チクチク感皮膚バリアの低下、乾燥保湿剤や低刺激のケア製品を検討

慢性的なかゆみか、一時的なかゆみか

ケトコナゾールの使用開始後すぐにかゆみが強まる場合、1〜2週間程度で落ち着くケースも珍しくありません。これは頭皮が薬に慣れてくることで、刺激を徐々に受けにくくなるためです。

しかし、1か月以上かゆみが続く、あるいはだんだん悪化するようであれば問題を抱えている可能性があります。

自己判断で使用を続けるより、専門医に相談して使用方法を変えたり、別の薬剤に切り替えたりすることを考えましょう。

注意すべき症状のサイン

かゆみだけでなく、頭皮のただれや大量の抜け毛、膿が出るような症状は重症化を示すサインと考えられます。

その際はすぐに医師や薬剤師に相談し、適切な治療を受けてください。放置すると頭皮環境が悪化し、薄毛や脱毛リスクが高まる場合もあります。

受診を考慮したほうがいい症状

症状考えられる状態早めの対策
頭皮のただれ感染症や炎症の重症化医師に相談し、適切な薬を検討する
明らかな脱毛皮膚炎と併発する脱毛、AGAの悪化薄毛専門クリニックなどで診断
膿や出血がある細菌感染や深い皮膚ダメージ抗生物質の検討、専門的なケアが必要

かゆみを感じたときの対処法

ケトコナゾールを使用していてかゆみが気になるときは、まずは対処法を冷静に把握して行動するようにします。

自分でできるケアと、医師や専門家に相談すべきタイミングを知っておくことで、トラブルを最小限に抑えられます。

使用の一時中断と医師への相談

かゆみが耐えられないほど強い、あるいは赤みや痛みが伴う場合は、いったん使用を中断して医師に相談してください。

無理に使い続けて症状が悪化すると、治療期間が長引くおそれがあります。

医療機関でアレルギーの有無や皮膚の状態をチェックしてもらい、別の薬剤に切り替えるなど適切な指示を受けるのが安全策となります。

ケトコナゾールの使用を中断する目安

状況中断を考慮すべき理由
かゆみの度合いが非常に強い我慢して悪化させるより早めに対処
頭皮や皮膚に赤みや水ぶくれがある薬剤が合わない、もしくはアレルギー疑い
発熱などの全身症状が伴う別の感染症や身体的反応の可能性

保湿ケアや皮膚の保護

ケトコナゾールによって乾燥や刺激が起こり、かゆみが出る場合は、保湿ケアが効果的な対処になります。

皮膚のバリア機能が低下しているときは、保湿剤やオイルなどを適切に使って頭皮や肌のうるおいをキープしましょう。

ただし、保湿製品の成分がかゆみを引き起こす可能性もゼロではないため、自分に合う製品を選ぶ必要があります。

  • シャンプーの頻度やお湯の温度を見直し、頭皮への負担を減らす
  • 保湿ローションやオイルを使う場合は、アルコールフリーや低刺激のものを選ぶ
  • 乾燥が気になるときは洗浄力の強いシャンプーを避け、マイルドな製品に切り替える

かゆみ止めの利用

市販のかゆみ止めローションやクリームを一時的に使うのも手段の1つです。

しかし、ケトコナゾールを塗布した場所に別の薬剤を重ねて使うと、相互作用でトラブルが生じる可能性があります。使用前に医師や薬剤師に相談し、併用が安全かどうかを確認してください。

場合によってはステロイド外用薬が処方されるケースもありますが、長期連用は副作用のリスクが高まるため注意が必要です。

かゆみ止めを使う際に気をつけたいポイント

ポイント理由
医師や薬剤師の確認を取る薬剤同士の干渉や刺激が強まるリスクがあるため
使用量と回数を守る過度な使用は副作用を招く恐れがある
長期間続く場合は再度受診原因不明のかゆみ悪化を見逃さないため

再発防止のポイント

一度かゆみが出て対処をしても、ケトコナゾールの使用を続けるかぎり再発するリスクはゼロではありません。

そのため、以下のような点に留意しながら頭皮環境の改善を目指しましょう。

  • 洗髪やケアのやり方を見直し、頭皮に負担がかからない習慣を身につける
  • シャンプー後のしっかりとしたすすぎや、髪と頭皮の乾燥を怠らない
  • 食事や生活習慣を整え、皮脂分泌やホルモンバランスの乱れを抑える
  • 気になる症状が長引くときは早めに専門医を受診する

ケトコナゾール使用時の注意点

ケトコナゾールを安全に使うためには、用量や使用頻度を守るだけでなく、相互作用や市販製品との違いなども知っておく必要があります。

特に長期使用を検討する場合は、メリットとリスクを適切に判断することが重要です。

用量や使用頻度の守り方

ケトコナゾールの外用剤を処方された場合、医師から示された使用回数や期間を守るのが基本です。

シャンプーであれば週に何回使用するか、塗り薬やローションであれば1日何回塗るのかなど、細かい指示に従ってください。

症状が改善してきたとしても、自己判断で急に使用を中止したり、量を勝手に減らしたりすると再燃リスクが高まります。

  • 1回の使用量を守る(シャンプーなら適量をよく泡立てる)
  • 使用回数や期間を途中で勝手に変えない
  • 症状が消えてもしばらくは医師の指示通りに続ける

相互作用に関する知識

ケトコナゾールは、ほかの薬剤(特に内服薬)と併用する場合に注意が必要です。

肝臓の酵素に影響を及ぼし、薬の代謝や血中濃度を変化させる可能性があるため、他の薬を飲んでいる方は必ず医師に伝えてください。

外用剤のみでも、同じ部位にステロイド外用薬を使う場合など、専門家のアドバイスが欠かせません。

ケトコナゾールと相互作用が問題となる薬

薬の種類相互作用のリスク対策
一部の抗凝固薬(血液をさらさらにする薬)作用が増強または減弱する可能性血液検査で凝固状態を確認しながら調整
一部の降圧薬血中濃度が上昇し、低血圧のリスク定期的な血圧測定と副作用チェックが必要
ステロイド外用薬皮膚刺激が強まる場合がある使用部位や時間をずらすなどの工夫

市販品との違い

ドラッグストアなどで販売されているケトコナゾール入りのシャンプーやローションもありますが、医療用と成分や濃度が異なるのが一般的です。

市販品は誰でも手軽に入手できますが、重度の症状には効果が不十分な場合や、逆に刺激が強すぎる成分が含まれている場合もあります。

症状が長引いたり、改善が見られなかったりするときは、早めに医療機関を受診すると良いでしょう。

  • 市販品と処方薬では有効成分の濃度が違う
  • 市販品は比較的マイルドな作用を狙っているが、人によっては刺激やかゆみを感じることもある
  • 重症の場合や根本的な治療が必要な場合は処方薬が望ましい

長期使用のリスクとメリット

ケトコナゾールを長期にわたって使用すると、真菌の抑制効果を維持できる一方、耐性が出たり肝機能に負担がかかったりする可能性があります(特に内服薬の場合)。

外用剤であっても、皮膚のバリア機能が常に刺激を受ける状態になるケースもあります。

長期間使う必要があると判断された場合は、定期的に医師と相談しながら、安全性と効果のバランスを考慮した使用を継続しましょう。

AGA治療・薄毛治療との関連

ケトコナゾールを使ったシャンプーが、AGA治療や薄毛治療を検討している方の間で注目を集めています。直接的な発毛効果はないものの、頭皮環境を整える目的で導入する方が多いです。

ここでは、かゆみと薄毛の関連や、クリニックでのAGA治療について触れます。

ケトコナゾールが頭皮ケアで注目される理由

ケトコナゾールで頭皮の真菌や過剰な皮脂分泌を抑えることができれば、毛根の負担を軽減できると考えられます。

AGAの原因には男性ホルモンや遺伝的要素がありますが、頭皮環境の乱れも抜け毛の増加に影響するとされています。

頭皮ケアの一環としてケトコナゾール入りのシャンプーを使用すると、余計な炎症やフケを抑え、髪の成長をサポートする土壌を整える効果が期待できます。

ケトコナゾールが頭皮環境に与える良い影響

項目期待される効果
真菌抑制フケや脂漏性皮膚炎の症状緩和
炎症緩和かゆみや頭皮の赤みを和らげる
皮脂バランスの調整毛穴詰まりを起こしにくい環境づくり

かゆみと薄毛の関係

頭皮のかゆみが強い状態は、皮膚炎などで炎症が起きている可能性があり、それが抜け毛を増やす要因となり得ます。

炎症により頭皮の血行が悪化すると毛根への栄養供給が滞り、髪の成長が妨げられやすいです。結果として薄毛が目立ちやすくなるので、かゆみを放置せずにケアすることが大切です。

  • かゆみが続く → 頭皮を掻く → 摩擦で毛根がダメージ → 抜け毛が増える
  • 皮膚炎がある → 頭皮の血行不良 → 毛髪の成長サイクルが乱れる
  • かゆみを抑えるケアは薄毛予防にもつながる可能性がある

AGA治療を検討するタイミング

「ただのかゆみだと思っていたら、実は薄毛が進行していた」というケースもあります。

AGA治療は早めの対策が効果的とされているため、頭皮のかゆみが続く中で抜け毛の増加が気になった場合は、クリニックで相談してみるのも一手です。

専門医の視点で頭皮や毛髪の状態を評価すれば、適切な治療法(内服薬や外用薬の選択など)が見つかるかもしれません。

専門クリニックの役割

AGA治療や薄毛対策を行う専門クリニックでは、患者さんの頭皮環境を総合的に評価し、必要に応じてケトコナゾール製剤の使用を勧める場合もあります。

かゆみがある場合は、その原因を特定してから適した治療を組み合わせるのが重要です。専門のカウンセラーや医師がいるクリニックでは、頭皮ケアから育毛、発毛にいたるまで一貫したサポートを受けられます。

受診するかどうかの判断基準

かゆみが多少ある程度であれば市販のケア製品で対処しようと考える人も多いかもしれません。

しかし、症状が長引いたり重症化したりする場合は早めに専門医に相談したほうが安心です。受診の判断基準を明確にしておくと、トラブルを見過ごさずに済みます。

自宅でのセルフケアが難しい場合

市販のシャンプーやクリームを試してもかゆみが改善しなかったり、むしろ悪化したりするときは、自宅で対処するより医師の診断を受けるほうが適切です。

セルフケアでは原因を正確に把握できないため、かゆみを引き起こしている要因を見逃してしまうリスクがあります。

  • 市販製品をいくつも試しても効果が感じられない
  • かゆみに伴うフケや炎症が引かない
  • 頭皮だけでなく、首や顔まわりにも広がる

頭皮や皮膚がただれている場合

かゆみを我慢して掻き続けるうちに、頭皮や皮膚がただれたり炎症が進行したりすると、真菌だけでなく細菌や他の病原体が入り込む余地が大きくなります。

その状態でケトコナゾールを使用しても、根本的な改善につながらないばかりか、症状を複雑化させる恐れがあります。はやめに受診して、より広範な取り組みを検討しましょう。

長引くかゆみや脱毛症状

かゆみが1か月以上続いたり、抜け毛の量が明らかに増えてきたと感じるなら、薄毛やAGAの進行が潜んでいる可能性があります。

自己流ケアを続けていると治療の機会を逃し、さらに脱毛が進むリスクがあるため、専門家に診てもらうと良いでしょう。

受診を考える目安

状況考えられる問題
1か月以上かゆみが断続的に続く真菌以外の要因(細菌感染、アレルギーなど)
抜け毛が急増し髪のボリュームが減っているAGAの初期症状、頭皮環境の深刻な乱れ
フケが塊状になり頭皮にこびりついている脂漏性皮膚炎の悪化、他の皮膚病併発

専門医に相談するメリット

専門医に相談すれば、頭皮や毛髪の状態を正しく診断でき、ケトコナゾール以外の適した治療薬やケア方法を提案してもらえます。

AGAの疑いがある場合は、血液検査や画像診断などを通じて原因を詳しく調べるため、早期治療が望めます。

また、自分に合わない治療を続けてかゆみや薄毛をこじらせるリスクも減らせるでしょう。

Q&A:患者さんからよくある質問

かゆみが気になるとき、誰に相談すればよいのか、他の治療薬との併用はどうなのかなど、多くの方が疑問に思うポイントを整理しました。

かゆみがすぐに治まらないとき

ケトコナゾールのシャンプーやクリームを使っても、かゆみが数日で劇的に治まるケースばかりではありません。

皮膚のターンオーバーに時間がかかることや、アレルギーなど他の要因が絡んでいる可能性もあります。

2週間ほど続けても良くならない場合や、逆に悪化している場合は、医療機関で相談するのが賢明です。

  • 皮膚の再生サイクルは約28日かかるとされる
  • 原因を特定しないと対処が後手にまわる
  • 2週間がひとつの目安、悪化傾向なら早めの相談が重要

ほかの治療薬との併用

AGA治療薬(フィナステリドやデュタステリドなど)や、他の外用薬との併用を考える場合は、医師の判断が必須です。

ケトコナゾールと併用しても問題ない場合もあれば、作用がぶつかり合って副作用を強める可能性もあります。

自己判断で複数の薬を使うのは避け、専門のクリニックやかかりつけの医師に相談してください。

併用時に気をつけたい薬剤

カテゴリ留意点
AGA治療薬(フィナステリドなど)血中ホルモンレベルの変化をチェック
抗生物質や抗炎症薬同時に使用すると皮膚刺激が強まる可能性
栄養補助食品(ビタミン剤など)大きな問題は少ないが、医師への報告が必要

妊娠中や授乳中の使用

妊娠中や授乳中のケトコナゾール使用については、リスクと効果を慎重に考える必要があります。

外用剤は内服薬に比べて全身への影響は少ないとされていますが、妊娠や授乳に影響がないとは言い切れません。

自己判断で使用を続けるのではなく、産婦人科や皮膚科の医師に相談し、必要であれば別の治療法を検討してください。

どのクリニックを選べばいいのか

かゆみが気になり、薄毛治療やAGA治療も視野に入れる場合は、頭皮や毛髪に詳しい医師が在籍するクリニックを選ぶとよいです。

皮膚科や頭髪専門外来、AGA専門クリニックなど、さまざまな選択肢があります。

以下のポイントを参考に、自分に合ったクリニックを見極めてください。

  • 医師がケトコナゾールなどの薬の作用や副作用に詳しいか
  • カウンセリングや検査体制が整っているか
  • 通いやすい場所や予約体制があるか
  • 保険適用の範囲や費用が明確になっているか

頭皮や皮膚に対する薬の作用は人それぞれ異なるため、必要に応じて専門医に相談しながら上手に活用しましょう。

参考文献

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HAY, Roderick. Ketoconazole. British Medical Journal (Clinical research ed.), 1982, 285.6342: 584.

VAN TYLE, Jeanne Hawkins. Ketoconazole; mechanism of action, spectrum of activity, pharmacokinetics, drug interactions, adverse reactions and therapeutic use. Pharmacotherapy: The Journal of Human Pharmacology and Drug Therapy, 1984, 4.6: 343-373.

DISMUKES, WILLIAM E., et al. Treatment of systemic mycoses with ketoconazole: emphasis on toxicity and clinical response in 52 patients: National Institute of Allergy and Infectious Diseases collaborative antifungal study. Annals of Internal Medicine, 1983, 98.1: 13-20.

JODH, Rahul, et al. Ketoconazole: A promising drug for fungal infections. 2023.

FORD, G. P., et al. The response of seborrhoeic dermatitis to ketoconazole. British Journal of Dermatology, 1984, 111.5: 603-607.

SYMOENS, J., et al. An evaluation of two years of clinical experience with ketoconazole. Reviews of Infectious diseases, 1980, 2.4: 674-691.

HEEL, R. C., et al. Ketoconazole: a review of its therapeutic efficacy in superficial and systemic fungal infections. Drugs, 1982, 23: 1-36.

前田 祐助

この記事の監修者
AGAメディカルケアクリニック 統括院長

経歴

  1. 慶應義塾大学医学部医学研究科卒業
  2. 慶應義塾大学病院 初期臨床研修課程終了
  3. 大手AGAクリニック(院長)を経て、2018年AGAメディカルケアクリニック新宿院を開設
前田 祐助

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