
「頭皮に湿疹ができるのはなぜ?」
「ボコボコとしたかさぶたが治らない」
毎日丁寧にシャンプーしていても、湿疹や炎症、かゆみといった頭皮トラブルに悩まされることがあります。
心当たりがあれば対処のしようがありますが、なぜ頭皮トラブルが生じているのか原因がわからないという方は多いです。中でも頭皮湿疹は痛みやフケを伴う場合があるため、日常生活に支障が出ている方もいるでしょう。
そこで本記事では、頭皮湿疹の原因と対策をわかりやすくまとめました。詳しい治療法や予防策も解説するので、頭皮トラブルでお悩みの方はぜひお読みください。
前田 祐助
AGAメディカルケアクリニック 統括院長
【経歴】
- 慶應義塾大学医学部医学研究科卒業
- 慶應義塾大学病院 初期臨床研修課程終了
- 大手AGAクリニック(院長)を経て、2018年AGAメディカルケアクリニック新宿院を開設

頭皮湿疹はなぜ起こる?4つの原因

頭皮湿疹の原因として考えられるものは次の4つです。
- 接触皮膚炎
- 脂漏性湿疹
- アトピー性皮膚炎
- 皮脂欠乏性皮膚炎
ここからはそれぞれの原因を詳しく解説します。ご自身の症状に当てはまるものがないかチェックしてみてください。
原因①接触皮膚炎
接触性皮膚炎とは、頭皮に直接触れるものに対して刺激やアレルギー反応が出る皮膚炎の一種です。
かゆみを伴う湿疹が出るのが特徴で、症状が悪化すると大きく腫れ上がった水ぶくれができます。刺激物に対する反応には個人差があり、一度の接触で反応する場合もあれば数回接触しなければ症状が出ない場合もあります。
接触性皮膚炎は身の回りにあるすべてのものが刺激物になりえますが、何に反応するかは人によってさまざまです。
以下に接触性皮膚炎で刺激物となりうるものの一例をまとめました。
- 植物
- 化粧品
- 金属
- 日用品(ゴム製品・洗剤・衣類など)
- 医薬品など
接触性皮膚炎が原因の頭皮湿疹では、タオルや帽子、ヘアケア用品などが刺激物となるケースが多いです。
原因②脂漏性湿疹
脂漏性湿疹は頭部や生え際、耳の周りなど、皮脂分泌が活発な部位にできる湿疹のことです。
皮脂量が増加すると、マラセチアと呼ばれる常在菌が繁殖します。本来、常在菌は肌のバリア機能を保つ役割を担うものですが、増殖すると湿疹や炎症が起きやすくなります。
脂漏性湿疹は皮脂分泌が盛んな男性に多く認められるのが特徴です。このほか、栄養バランスの悪い食生活や睡眠不足、ホルモンバランスの乱れなども指摘されています。
原因③アトピー性皮膚炎
アトピー性皮膚炎による湿疹は、乾燥やフケを伴うケースが多く認められます。
気温や湿度の変化で症状が出やすいのが特徴で、花粉や汗、乾燥が刺激となって湿疹やかゆみを悪化させます。
アトピー性皮膚炎の発症には遺伝や体質が関係しますが、ダニやハウスダスト、ストレスなどの外的要因も症状を悪化させる原因です。
原因④皮脂欠乏性皮膚炎(乾燥性皮膚炎)
皮脂量の低下もまた、頭皮湿疹が生じる原因の一つです。
皮脂欠乏症皮膚炎は、湿度の低下や洗浄力の強いシャンプーなど頭皮を乾燥させる要因によって生じる皮膚炎です。
皮脂には外的刺激から肌を守るためのバリア機能が備わっていますが、皮脂量が極端に減少することでバリア機能が低下します。その結果として頭皮に炎症や湿疹が生じてしまうのです。
乾燥が悪化すると皮膚表面に細かいシワができ、角質がフケのようにポロポロとはがれていきます。強いかゆみを伴いますが、バリア機能が低下した状態でかきむしるとアレルギー反応や感染症が起こりやすくなります。
ストレスで頭皮湿疹が悪化する?
ストレスによって免疫力が低下し、皮脂分泌やホルモンバランスが乱れると頭皮湿疹が生じる場合があります。
過度なストレスは皮脂の分泌量を増加させることがわかっています。皮脂量が増えると脂漏性湿疹につながる恐れがあり、悪化すればニオイやベタつきといった別のトラブルが起こる可能性もあるでしょう。
ストレスは育毛の妨げとなる要因の一つなので、頭皮環境を整えるには日頃からストレスをためない生活を心がけたいものです。
頭皮湿疹の治し方|有効な治療薬は3つ

頭皮湿疹を治すには、できるだけ早く医療機関で治療を受けるのがおすすめです。
頭皮湿疹に有効な治療法は3つあります。
- ステロイド外用薬
- 抗真菌剤
- 抗生剤
ここからはそれぞれの治療薬の効果を見ていきましょう。
治療法①ステロイド外用薬
ステロイドは、脂漏性皮膚炎やアトピー性皮膚炎が起因する頭皮湿疹の治療に用いられる塗り薬です。
炎症を抑え、赤みや腫れを改善させる効果が期待できます。ステロイドは薬効の強さで5段階に分けられ、どのタイプを使うかは症状を確認した上で医師が判断します。(薬効の弱いものはドラッグストアでも購入可能です)
ステロイドには軟膏やクリーム、ローションなどの種類があり、頭皮湿疹はローションタイプで治療を行う場合が多いです。
治療法②抗真菌剤
抗真菌剤は、おもにマラセチア菌の繁殖によってできる脂漏性湿疹の治療に用いられます。
頭皮湿疹の場合、ケトコナゾール(ニゾラール)という薬で治療を行うのが一般的です。ローションを頭皮に直接塗布するか、シャンプーに混ぜて薬を頭皮に浸透させます。
ケトコナゾールは副作用が少なく、子どもにも使用できるのが大きな特徴です。頭皮湿疹が改善した後も予防的に使用する場合があります。
脂漏性湿疹はビタミンB2・B6の欠乏が関与するとの考え方もあり、患者様によってはビタミン剤を処方するケースもあります。
治療法③抗生剤
細菌感染による頭皮湿疹の治療では抗生剤が用いられる場合があります。
抗生剤は細菌感染が軽快したら投与を中止し、その後はステロイドや抗真菌剤で治療を進めていきます。
頭皮湿疹は市販薬で治せる?
症状の軽い頭皮湿疹は市販薬で改善する可能性があります。
頭皮湿疹向けの市販薬にはさまざまな種類があり、ドラッグストアや薬局だけでなくネットショップでも購入できます。
ただし市販薬を使っても改善しない、または症状が悪化するようであればすぐに使用を中止し、速やかに医療機関を受診してください。
頭皮湿疹の予防策|すぐにできる3つのセルフケア

頭皮湿疹を治すには早期の治療がもっとも効果的ですが、予防にはセルフケアも有効です。
すぐにはじめられるものとしては次の3つの方法があります。
- シャンプーを変える
- 枕カバーを清潔に保つ
- 生活習慣を改善する
ここからは詳しいケア方法を解説します。
予防策①シャンプーを変える
頭皮への負担を最小限に抑えるには、シャンプーを低刺激のものに変えてみましょう。
シャンプーは皮脂や汚れを落とし、頭皮を清潔に保つためのアイテムです。しかし洗浄力が強すぎるものは必要な皮脂まで取り除いてしまい、乾燥や湿疹を悪化させる恐れがあります。
洗髪後に頭皮がピリピリしたりフケが出たりするようであれば、洗浄力が穏やかなシャンプーに変えることをおすすめします。
頭皮がべたつきやすい方は毎日のシャンプーを丁寧に行ってください。雑菌の繁殖を防ぐには、洗髪後にしっかりと乾かすことも大切です。
予防策②枕カバーを清潔に保つ
頭皮環境を清潔に保つには、枕カバーなどの寝具類は定期的に交換しましょう。
枕カバーは就寝中の汗や皮脂を吸収します。アカやダニも付着しているため、たった1回の使用でも菌が繁殖しやすい状態となります。
気温や湿度の高い季節の枕は菌の温床となりやすく、使用を続ければ頭皮トラブルの原因となる恐れがあるのです。
枕カバーは毎日交換するのが理想ですが、難しい場合は週1回の洗濯を心がけましょう。洗濯できない日は日光に当てたり抗菌・除菌スプレーを使用したりするなどして、寝具の清潔を保ちましょう。
予防策③生活習慣を改善する
体の内側から頭皮湿疹を予防するには、栄養バランスのいい食事と質の高い睡眠が欠かせません。
高カロリー・高脂質な食事は控え、タンパク質と野菜中心のメニューを心がけましょう。お酒は適量であれば問題ありませんが、睡眠の質を低下させるような過度な飲酒は控えてください。
睡眠については毎日決まった時間にベッドに入り、まとまった睡眠時間を確保しましょう。就寝前の入浴や軽めのストレッチもおすすめです。
ストレスによる自律神経の乱れは皮脂の分泌過多につながるため、自分なりの方法でストレスを解消することも大切です。
頭皮湿疹は抜け毛・薄毛リスクを高める

頭皮湿疹が長く続くと、抜け毛の増加や薄毛の進行につながる恐れがあります。
湿疹や炎症などのトラブルが起きている頭皮は、育毛や発毛が妨げられているのと同じ状態です。頭皮湿疹が治れば抜け毛も落ち着きますが、改善しなければ健やかな毛髪を育てるのは難しいでしょう。
補足ですが、頭皮湿疹が起因する抜け毛とAGAは根本的な原因が異なります。頭皮湿疹は年齢や性別を問わず起こりうるものですが、AGAは成人以降の男性のみの薄毛症状です。

条件が揃えば頭皮湿疹とAGAの併発もありえますが、それぞれ治療法が異なるため別々の対処が必要となります。
頭皮湿疹のかさぶたやボコボコを治す方法

毛髪に覆われている頭皮は傷が治りにくく、皮膚のボコボコやかさぶたが残りやすいです。
セルフケアで改善しない頭皮湿疹は、一人で悩まずに専門医へ相談してください。水ぶくれや汁が出るような状態は重度であり、市販薬での改善が難しい場合が多いです。
また頭皮湿疹の原因はいくつかありますが、原因に合わない対処法では症状が悪化する可能性もあります。
炎症やかゆみがストレスとなり、頭皮湿疹を悪化させる悪循環とならないよう早めの受診をおすすめします。
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頭皮湿疹にまつわるよくある質問

頭皮湿疹について、患者様から寄せられるご質問と回答をまとめました。
脂漏性皮膚炎による湿疹はうつりますか?
脂漏性皮膚炎は感染する病気ではないので、他人にうつることはありません。
仮に脂漏性皮膚炎の患者様と温泉やプールに入ったとしても、湿疹が出ることはないのでご安心ください。
頭皮のかさぶたをはがす癖をやめる方法はありますか?
頭皮に触らないよう意識したり、別の行動に置き換える癖をつけることが大切です。
頭皮湿疹のかさぶたをはがすのがやめられない場合「頭皮むしり症」という病名がつくことがあります。不安やストレスの緩和、満足感を得られるという理由から、かさぶたをはがす行為がやめられなくなってしまう病気です。
自力での改善が難しい場合は、医療機関での投薬療法や認知行動療法が推奨されます。
頭皮湿疹があっても美容院に行っていいですか?
カットだけであれば問題ないでしょう。
頭皮湿疹があり美容院にいくのが恥ずかしいと考える方もいますが、頭皮湿疹自体は決して珍しいものではありません。
店側も頭皮に負担をかけないようカットしてくれるはずなので、不安があれば予約の時点で相談することをおすすめします。
なお、カラーやパーマは湿疹が落ち着いてから行うのが望ましいです。
頭皮湿疹を防ぐには規則正しい生活と適切なヘアケアが必要

頭皮湿疹が起こる原因は実にさまざまです。
アトピーなど体質的な要因もありますが、皮脂の過剰分泌や乾燥、誤ったヘアケアが頭皮湿疹を悪化させるケースもあります。
頭皮湿疹は生活習慣の見直しで予防が可能です。重症化するとセルフケアのみで改善するのが難しいため、日頃から頭皮を清潔に保つことを意識しましょう。
頭皮湿疹とは別に、抜け毛や薄毛で気になることがあれば当院までお気軽にお問い合わせください。