デュタステリドとフィナステリドの違いは？効果や副作用を徹底比較

男性の薄毛はいくつかのタイプに分類できますが、そのうちのひとつがAGAです。
ご自身がAGAかもしれないと思っても、あきらめる必要はありません。
AGA治療を専門とする医師に相談することで、毛髪や頭皮の状態に合った治療を選択可能です。

この記事では、AGAが起こるメカニズムのほか、AGA治療薬に使用される「デュタステリド」と「フィナステリド」という成分の特徴をご紹介します。
また、AGA治療薬を服用する際の、注意点についても見ていきましょう。

毛髪の成長サイクルとAGAのメカニズム

AGA（男性型脱毛症）は、主に成人男性に見られる脱毛症の一種で、頭頂部や前頭部の髪が徐々に薄くなる進行性の症状です。
主な原因は遺伝のほか、男性ホルモンが毛髪の成長サイクルを短縮させることが挙げられます。
ここでは、毛髪の成長サイクルや、AGAのメカニズムについて見ていきましょう。

毛髪の成長サイクル

毛髪には、毛周期と呼ばれる成長サイクルがあり、一定の周期で生え変わります。
1本の毛髪は毛根にある毛母細胞が分裂することで成長し、3～6年程度で抜けていきますが、この成長サイクルは、「成長期」「退行期」「休止期」の3つの段階に分かれています。

成長期は、毛髪が最も活発に成長する期間で、通常3～5年です。
成長期が長いほど、毛髪は太くしっかりと伸びていきます。
その後、毛根が次第に縮小して成長が止まる退行期を迎え、数週間で抜け落ちます。
毛髪が抜けた毛根から、再び新しい毛髪が生えてくるまでを休止期と呼び、数ヵ月の期間が必要です。

1日に抜ける毛髪は100本前後とされますが、健康な状態であれば抜けていく本数と生えてくる本数の均衡が保たれているため、薄毛になることはありません。
ところが、AGAになると成長期が著しく短縮されるため、抜けていくスピードが生えてくるスピードを上回ってしまい、全体の毛量が減少してしまうのです。

AGAが起こるメカニズム

AGAの主な原因は、遺伝と男性ホルモンの影響とされています。
ここでは、男性ホルモンがAGAを引き起こすメカニズムを見ていきましょう。

AGAを引き起こす男性ホルモンはテストステロンといい、「骨・筋肉を発達させる」「髭や胸毛などの毛を濃くする」といった、男性らしさに影響を与えるホルモンです。
テストステロンは、特定の酵素の働きによってDHT（ジヒドロテストステロン）に変換されると、より活性が強くなります。
DHTが前頭部や頭頂部の受容体に結合すると、毛母細胞の分裂が抑制され、毛髪の成長期は短縮してしまいます。
こうして、毛髪が十分に育たずに細くなったり、早めに抜けてしまったりして、薄毛が進行するのです。

一方で、DHTは髭や体毛の受容体に結合すると、成長期を延長させます。
毛髪は薄いのに、髭や体毛が濃いことがあるのはこのためです。

AGA治療に使われる成分

AGAの治療は、主に投薬によるものです。
AGAの進行を抑え、薄毛を改善するためによく使われる成分には、下記のようなものがあります。

ミノキシジル

ミノキシジルは、血管を拡張させることで毛髪の成長を促進する成分です。
一般用医薬品として販売されている外用薬のほか、国内では承認・製造されていませんが海外製品の内服薬があります。

フィナステリドル

フィナステリドは、テストステロンをDHTに変換する酵素の働きを阻害し、DHTが受容体に結合する量を減少させることでAGAの進行を抑える成分です。
医師の処方により使用できる医療用医薬品として、内服薬の「プロペシア」が有名ですが、現在は同成分のジェネリック医薬品も選択できます。

デュタステリド

デュタステリドは、フィナステリドよりも後に国内承認された成分で、フィナステリドと同じくテストステロンをDHTに変換する酵素の働きを阻害します。
フィナステリドよりも阻害できる酵素の種類が多いため、効果の範囲が広いことが特徴です。
「ザガーロ」の名称で、医師の処方により使用できる医療用医薬品の内服薬として発売されていますが、ジェネリック医薬品もあります。

AGA治療に使われるデュタステリドとフィナステリド

AGA治療に広く使用されている、デュタステリドとフィナステリド。
この2つの成分には共通点もありますが、作用する範囲や副作用に違いがあります。
ここでは、それぞれの成分の特徴を詳しく解説します。

作用する範囲の違い

デュタステリドとフィナステリドはいずれも、テストステロンをDHTに変換する5-α還元酵素を阻害する成分です。
この2成分の違いは、作用する範囲にあります。

5-α還元酵素には「I型」と「II型」があります。
デュタステリドはI型とII型両方の5-α還元酵素を阻害することができますが、フィナステリドはII型のみに作用します。
つまり、テストステロンがDHTに変換されることを抑える効果は、フィナステリドよりもデュタステリドのほうが強いといえるでしょう。

一方で、デュタステリドはフィナステリドよりも、効果が出るまでに時間がかかる場合があります。
ただし、個人差があるため、医師と相談しながら治療を進めることが大切です。

副作用の違い

どんな薬にも副作用があります。
副作用を正しく理解し、異常を感じた場合はすみやかに医師に相談することが重要です。

デュタステリドとフィナステリドは作用の仕組みが似ているため、副作用も共通のものがあります。
主な副作用は、性欲減退、勃起不全などです。
また、妊娠している女性が服用すると、胎児が男児の場合に生殖器の発育に悪影響を及ぼす可能性があるため、女性は服用してはいけません。

なお、デュタステリドはフィナステリドよりも作用範囲が広いことから、副作用の出現率がやや高めです。

デュタステリドとフィナステリド、どっちがおすすめ？

AGAの治療にデュタステリドとフィナステリドのどちらを使用するかは、患者様の症状の進行度や体質によって異なります。
ここでは、それぞれの成分がどのようなケースに適しているのかを解説します。

初期段階のAGAにはフィナステリド

初期段階のAGAで症状が軽度な場合は、まずフィナステリドを処方することが一般的です。
フィナステリドは、5-α還元酵素のII型のみを阻害するため効果は限定的ですが、副作用のリスクが比較的低いとされます。
そのため、症状が軽度な場合や、副作用のリスクを避けたい場合に適しているといえるでしょう。
AGA治療は、できるだけ早期に開始することが、症状の進行を抑えるために重要です。

進行したAGAにはデュタステリド

AGAの症状が進行している場合や、フィナステリドで十分な効果が得られなかった場合には、デュタステリドが選択されます。
デュタステリドはI型とII型の5-α還元酵素を阻害するため、テストステロンからDHTへの変換抑制効果はフィナステリドより高いといえます。
このことから、進行したAGAに対しても高い発毛効果が期待できます。

ただし、フィナステリドに比べて副作用のリスクが高いとされるため、処方には慎重な判断が必要です。
また、フィナステリドによってアレルギーや重篤な副作用を経験したことのある患者様は、デュタステリドでも同様の副作用を起こす可能性が高いため、処方を避けることがほとんどです。
もし、医薬品によってアレルギーや副作用を起こしたことがあれば、受診の際に医師に伝えるようにしましょう。

デュタステリドとフィナステリドの併用はNG

デュタステリドとフィナステリドを併用することはNGとされていますが、これを「併用禁忌」といいます。

この2つの成分はどちらも5-α還元酵素を阻害する作用を持ち、効果が重複することで副作用のリスクが大幅に高まることから併用禁忌とされています。
なお、デュタステリドまたはフィナステリドと、ミノキシジルは作用の仕組みが異なるため、併用可能です。

デュタステリドやフィナステリドを処方された際の注意点

デュタステリドやフィナステリドを配合した内服薬は、医師の処方により使用する医療用医薬品です。
処方された場合は、下記の点に注意してください。

長期間の服用が必要

デュタステリドやフィナステリドは、即効性がある成分ではありません。
効果が現れるまでには、数ヵ月以上かかることが一般的です。
効果が現れる前に服用を中止してしまうと、AGAが再び進行する可能性が高まります。

治療の効果が出ていないように感じたとしても、自己判断で服用を中止したり、服用量を調整したりしないでください。
まずは専門医に相談し、納得して治療を続けることが重要です。

副作用が出た場合はすぐに医師に相談

デュタステリドやフィナステリドを使用すると、副作用が発生することがあります。
体に異常を感じた場合は、すぐに医師に相談してください。
これらの成分の主な副作用は、性欲減退や勃起不全、肝機能障害などです。
服用中にこうした症状が現れた場合は、すぐに服用を中止して医師に相談する必要があります。

薬の特徴を理解して、AGA治療を進めよう

デュタステリドとフィナステリドは、AGAの治療において主流となっている成分です。
フィナステリドは、初期のAGAや副作用への懸念がある場合に適しており、デュタステリドは進行したAGAやより高い発毛効果を求める場合に適しています。

これらの選択は医師の診断によるものですが、不安があれば医師に相談することで、納得して治療を進めることができます。
ただし、どちらも継続的な服用が必要で、副作用が発生した場合は医師に相談することが重要です。
医師の指導のもとで治療を進めることでAGAの進行を抑え、効果的な発毛を目指しましょう。

これらの選択は医師の診断によるものですが、不安があれば医師に相談することで、納得して治療を進めることができます。
ただし、どちらも継続的な服用が必要で、副作用が発生した場合は医師に相談することが重要です。
医師の指導のもとで治療を進めることでAGAの進行を抑え、効果的な発毛を目指しましょう。