
AGAは成人男性に見られる進行性の脱毛症です。
前頭部や頭頂部が薄くなりやすいのが特徴で、日本人男性の3人に1人が発症すると言われています。放置すると進行しやすいため、早期に対処することが大切です。
「生え際が後退してきた」
「つむじが透けて見える」
このようなお悩みをお持ちの方のため、本記事ではAGAの原因と対処法をわかりやすく解説します。見分け方や治る確率なども説明するので、ぜひ参考にしてください。
前田 祐助
AGAメディカルケアクリニック 統括院長
【経歴】
- 慶應義塾大学医学部医学研究科卒業
- 慶應義塾大学病院 初期臨床研修課程終了
- 大手AGAクリニック(院長)を経て、2018年AGAメディカルケアクリニック新宿院を開設

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AGAとは|男性ホルモンや遺伝が影響する男性特有の薄毛症状

AGA(Androgenetic Alopecia)とは「男性型脱毛症」のことで、生え際や頭頂部(つむじ周辺)を中心に薄毛が進行する脱毛症状です。
薄毛は中年男性特有の症状というイメージがありますが、AGAは成人以降であれば年齢を問わずに発症します。日本人男性の発症頻度は約30%と報告されているほど、実に多くの方がAGAに悩まされているという現実があります。
AGAの発症には男性ホルモンや遺伝が関与し、放置しても自然に治ることはありません。
参照:男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版|日本皮膚科学会
AGAの進行パターンと見分け方
AGAによる薄毛の進み具合をパターン化したものを「ハミルトンノーウッド分類」と呼びます。

上記のイラストを見れば、AGAがどのレベルまで進行しているかが把握できます。また進行度がわかれば、どのような治療でどの程度の期間治療をすれば成果が出てくるか、大まかな予測を立てることも可能です。
AGAの原因

AGAの発症・進行に影響を与える要因には次のものがあります。
- 男性ホルモン
- 遺伝
- 生活習慣の乱れやストレス
それぞれの原因を詳しく解説します。
原因①男性ホルモン

男性の身体は「テストステロン」という男性ホルモンの働きによって、骨や筋肉、血液など全身の健康を維持しています。
テストステロンは血液を通して全身を巡るのですが、頭皮に存在する「5αリダクターゼ」という酵素と結びつくことで、より強力な男性ホルモン「ジヒドロテストステロン(DHT)」へと変換されます。
DHTが男性ホルモンレセプターと結合するとTGF-βと呼ばれる脱毛因子が増加し、結果として抜け毛の増加を引き起こしてしまうことに。この一連の流れがAGAの発症メカニズムです。
原因②遺伝

薄毛の遺伝子は親から子へ受け継がれやすく、両親や祖父母が薄毛だと子が高い確率でAGAを発症することがわかっています。
遺伝によって引き継がれる薄毛情報は次の2つです。
- 5αリダクターゼの活性度
- 男性ホルモンレセプターの感受性
5αリダクターゼは、AGA発症のきっかけとなる物質です。どんな人の身体にも存在するものですが、AGAを発症するかしないかは5αリダクターゼの活性度によって変わります。
さらに、男性ホルモンレセプターの感受性が強ければ強いほど、悪玉ホルモンDHTをキャッチしやすくなります。
薄毛の遺伝は、母方の祖父が薄毛だった場合に見られることが多いですが、家族の薄毛が必ずしも子に遺伝するわけではありませんが、遺伝の可能性を探るために薄毛治療のクリニックでは家族歴を確認することが多いです。
原因③生活習慣の乱れやストレス
不規則な生活習慣は自律神経やホルモンバランスの乱れにつながり、AGAの進行に間接的な影響を与える可能性があります。
睡眠不足は育毛の妨げになりますし、栄養バランスの悪い食生活で健康な髪は育ちません。
ストレスも血行不良やヘアサイクルの乱れを引き起こすため、結果的に抜け毛の増加を助長する恐れがあるでしょう。
AGAの年代別発症率

若くてもAGAを発症する可能性があることをお伝えしましたが、実際にAGAにお悩みの方が、どの年代で発症したかをチェックしてみましょう。
年代 | 発症率 |
---|---|
20〜29歳 | 6% |
30〜39歳 | 12% |
40〜49歳 | 32% |
50〜59歳 | 44% |
60〜69歳 | 51% |
70〜79歳 | 61% |
参考
Takashima T et al.In: Orfanos CE et al, eds. Hair Research
Springer Berlin, Heidelberg New York: 1981: 287-293
AGAかも?すぐにできるセルフチェック

抜け毛や薄毛が気になる方は、次のチェック項目でAGAのセルフ診断を行なってください。
- 抜け毛が増えたように感じる
- 髪が細くなったように感じる
- 生え際または頭頂部の薄毛が目立つ
- 家族や親族に薄毛の人がいる
- 同年代と比べて毛量が少ない
- 不規則な生活が続いている
- ストレスを感じることが多い
上記に1つでも当てはまるものがあれば、すでにAGAを発症している、もしくは将来的に薄毛になる可能性が高いといえます。
AGAは早期対策で改善が目指せますので、気になる方はできるだけ早く専門医に相談することをおすすめします。
AGAは発症したら終わり?自力で治すのは難しい

AGAは男性ホルモンや遺伝の影響を受ける脱毛症ですから、市販のヘアケア用品のみで改善を目指すのは難しいでしょう。
薄毛を予防しつつ、髪のボリュームを取り戻すには医療機関で治療を受けることが大切です。
適切に対処すれば進行を食い止められるので、早め早めの対策を講じてください。
AGAは治せる?5つの治療法

AGAの治療法は次の5種類です。
- 内服薬
- 外用薬
- 注入療法
- 再生医療
- 植毛
ここからはそれぞれの治療法を詳しく解説します。
治療法①飲み薬
AGAの治療方法の中でもっともポピュラーなのが内服薬による治療です。
AGA治療に使われる内服薬は大きく2種類に分類されます。
- 薄毛の進行を予防するもの
- 発毛を促進するもの
よく知られるAGA治療薬の種類は次の通りです。
効果 | 薬の種類 |
---|---|
薄毛の進行を予防 | プロペシア(成分名:フィナステリド)ザガーロ(成分名:デュタステリド) |
発毛作用 | ミノキシジルアロビックスなど |
どの薬で治療を行うかは、薄毛の進行度や患者様の体質に合わせて提案されます。
治療法②塗り薬
AGA治療ではミノキシジル外用薬を使用します。
ミノキシジルはもともと高血圧症治療のために開発された薬ですが、服用した人に多毛の症状が見られたことから現在は発毛薬としても使用されています。
ミノキシジルのおもな効果は次の2つです。
- 血管拡張作用による血行改善
- 髪の成長因子を産生
ミノキシジル外用薬はAGA診療ガイドラインにおいて、推奨度が最高Aランクと評価されています。
治療法③注入療法(HARG療法・メソセラピー)
頭皮に発毛因子を直接注入する治療法です。
HARG療法とメソセラピーの2種類があり、以下の表にそれぞれの違いをまとめました。
HARG療法 | メソセラピー | |
---|---|---|
注入する薬液 | HARGカクテル※ | ミノキシジル・成長因子・銅ペプチド等の発毛因子をブレンドした薬液 |
注入方法 | 注射 | ・注射 ・針付きのローラー(ダーマローラー法) ・炭酸ガス ・レーザー照射 |
※健康な成人女性から採取した幹細胞を培養・ろ過し、粉末化したもの。成長因子や、細胞間の伝達物質が含まれており、頭皮や毛根を再生する効果がある
どちらも優れた発毛効果が期待できますが、費用はHARG療法の方が高額です。(年間200万円ほど)
これに対し、メソセラピーの治療費は1年で80〜100万円ほどが相場です。
また、メソセラピーは患者様ご自身で注入方法が選択できるので、痛みが不安な方も安心して治療が受けられます。
治療法④再生医療
自分の血液から採取した再生因子を活用し、縮小してしまった毛包を復活させる治療です。
毛包には血液から受け取った栄養をもとに髪を成長させるはたらきがあるのですが、AGAが重症化している方は血管そのものに損傷が認められるケースが多いです。
そのような場合に有効なのが再生医療で、死にゆく毛包の寿命を長くする効果が期待できます。
再生医療ではまず採血を行い、特殊開発されたキットでPRP(多血小板血漿)を作製します。自己PRPの作製には日数がかかるため、患部への注入は後日改めて来院が必要です。
当院の再生医療はこちら
治療法⑤植毛
薄毛が進行してしまった部分に自毛や人工毛を植え付ける治療法です。
日本では比較的副作用の少ない自毛植毛が主流で、後頭部などAGAの影響を受けにくい部分の毛を移植するのが一般的です。
自毛植毛の場合、一度移植が完了すると抜け落ちても再び髪が生えてくるのが最大のメリットです。定期的な通院は必要なく、メンテナンスもほとんど必要ありません。
ただし、移植するのに十分な毛量が必要なことや、治療費が300万円を超えるケースが多い点をデメリットととらえる方もいます。
また、ヘアサイクルが乱れたままでは、植毛を受けても再びAGAが進行することがあります。そのため、植毛を受けても内服薬での治療が必要となるケースが多いです。
AGAにまつわるよくある質問

AGAについて、患者様から多く寄せられる質問をまとめてみました。
AGAが治る確率はどれくらいですか?
AGAは進行性の脱毛症なので、治療せずに症状が改善する可能性は限りなくゼロに近いでしょう。
AGAと脂漏性皮膚炎はどのように見分けますか?
AGAは男性ホルモンや遺伝が影響する男性特有の脱毛症で、生え際や頭頂部の薄毛が顕著に認められます。
これに対して、脂漏性皮膚炎はマラセチアと呼ばれる皮膚常在菌の増殖によって生じます。皮脂の分泌量が多い部位(頭部・生え際・耳の裏・眉・鼻など)に炎症が認められるのが特徴です。
AGAは完治しますか?
AGAは、治療なくして薄毛の進行を止めることは難しいです。
「薬をやめても薄毛にならない」状態を完治と捉えるならば、完治を目指すことは難しいでしょう。
AGAは適切な治療で毛量を取り戻すことができます。投薬治療を続ける必要はありますが、減薬によって患者様の負担を軽減することは可能です。
どの状態をゴールとするかは患者様によって異なりますので、まずは専門医に相談することをおすすめします。
20代でもAGAになりますか?
なります。
AGAは成人以降の男性であれば誰でも起こりうる脱毛症で、早ければ20代前半から薄毛が進行します。
AGA治療は一生続けなければいけませんか?
効果を持続させたいうちは治療を継続する必要があります。
治療を中断するタイミングは患者様によって実にさまざまです。傾向としては「年齢とともに薄毛を受け入れられるようになった」との理由で治療を中断する患者様が多いように感じます。
医師が治療を強制することはありませんのでご安心ください。
AGAは写真だけで診断できますか?
写真のみで診断はできません。
AGAの診断には問診や触診、スコープを用いた頭皮と毛髪の確認が必要です。生え際や頭頂部が確認できる写真も重要な判断材料ではありますが、医師による診察の上でAGAかどうかを診断します。
AGAとFAGAの違いは何ですか?
AGA(=男性型脱毛症)は男性ホルモンや遺伝の影響による男性特有の薄毛症状です。
これに対して、FAGA(=女性男性型脱毛症)は女性に見られる薄毛症状を指します。ホルモンバランスや遺伝のほか、過度なダイエット、ストレスなど、原因が多岐にわたるのが大きな特徴です。
FAGAはFPHL(Female Pattern Hair Loss)と呼ばれることもあります。
AGA治療は皮膚科で受けられますか?
医療機関によります。
一部の皮膚科ではAGA治療薬(フィナステリドなど)を処方しています。
薄毛治療に理解があり、治療実績の多い医師が在籍する皮膚科であれば選択肢の一つとしてもいいでしょう。
AGAが治る前兆はありますか?
抜け毛の減少や産毛の発現が認められます。
患者様の中には伸びた毛先が皮膚に触れ、チクチクとした刺激やかゆみを感じたという方もいます。
AGAは怖くない!薄毛治療で悩みのないヘアスタイルを手に入れましょう

AGAは一度発症すると、適切な治療なくして改善することはありません。
若くして発症する方は多いですし、短期間でみるみる薄毛が進行する方もいます。「AGAかも?」と思った方は、1人で悩まずにまずは専門のクリニックへ相談してください。
当院は患者ファーストのマインドを大切にし、本当に必要な治療だけをご提案いたします。治療効果や費用など、不安な点はお気軽にお問い合わせください。