![食べ物で髪をサポート 薄毛予防に必要な栄養と取り入れ方](https://agacare.clinic/wp-content/uploads/2025/01/food-for-hair-growth.png)
前田 祐助
AGAメディカルケアクリニック 統括院長
【経歴】
- 慶應義塾大学医学部医学研究科卒業
- 慶應義塾大学病院 初期臨床研修課程終了
- 大手AGAクリニック(院長)を経て、薄毛・AGA治療の2018年AGAメディカルケアクリニック新宿院を開設
- 2020年に2院目となるAGAメディカルケアクリニック横浜院を開設
- 2023年に3院目となるAGAメディカルケアクリニック東京八重洲院を開設
【資格】
- 医師免許
- ⽇本医師会認定産業医
- 医学博士
【所属学会】
- 日本内科学会
- 日本美容皮膚科学会
- 日本臨床毛髪学会
【症例数】
- 3万人以上※
- ※2018年5月~2022年12月AGAメディカルケアクリニック全店舗の延べ患者数
![前田 祐助](https://agacare.clinic/wp-content/themes/agamedical22/agamedical22/src/img/shared/img_maeda_usuke.jpg)
発毛食べ物とはいったいどのようなものを指すのか、また薄毛と食生活の関係はどのようになっているのか、気になっている方は多いかもしれません。
髪の主成分や頭皮環境への影響を考えると、栄養バランスを整えた食事は毛髪の成長を後押しする重要な手段になります。
ただし、食事だけで劇的に発毛が起きるわけではありませんが、日々の食習慣を見直すことで頭皮への血流や栄養供給を改善し、抜け毛を減らす補助となる可能性があるのです。
薄毛と食べ物の関係を理解しよう
髪が抜けて薄毛になる原因は、AGA(男性型脱毛症)をはじめとしてホルモンや遺伝、ストレスなど多岐にわたりますが、食事が全く関係しないわけではありません。
髪の毛はタンパク質を主成分とする組織であるため、栄養バランスが乱れると髪の成長サイクルに影響を与えやすく、結果的に抜け毛や薄毛の進行に拍車がかかる場合があります。
薄毛の背景には栄養不足も潜む?
髪の成長は毛母細胞の細胞分裂が要であり、その細胞分裂に必要なのは良質のタンパク質とビタミン、ミネラルなどの栄養素です。
食事から摂取する栄養が不足すると、髪が十分に成長できず細く弱々しくなり、抜けやすくなるリスクが高まります。
髪の成長に関わる主な栄養素と役割
栄養素 | 役割 | 食品例 |
---|---|---|
タンパク質 | 髪の主成分(ケラチン)を構成 | 肉、魚、大豆製品、卵など |
亜鉛 | タンパク質合成や細胞分裂を促進 | 牡蠣、レバー、牛肉、ナッツ類など |
ビタミンB群 | 細胞増殖・エネルギー代謝を支える | 豚肉、豆類、緑黄色野菜、レバーなど |
ビタミンC | 抗酸化作用やコラーゲン生成をサポート | 柑橘類、いちご、ブロッコリーなど |
鉄分 | 血行を整え、毛根への酸素供給を助ける | レバー、赤身の肉、ほうれん草など |
血行不良が頭皮環境を悪化させる
髪に必要な栄養素は血液を通じて毛根へ届けられますが、高カロリー・高脂質の食生活で血液がドロドロになれば血行が悪化し、頭皮への血流も滞りやすくなり、毛母細胞が充分な栄養を受け取れず、毛が細く抜け毛も増える恐れがあります。
肥満と男性ホルモンの関係
肥満の度合いが高いと、体内の男性ホルモン代謝やインスリン抵抗性が乱れ、AGAリスクが高まるとされる報告もあります。
体重や腹囲が増加するほど、薄毛の進行を早める可能性があることから、ダイエットと薄毛予防が同時に進むよう食生活を見直すことが大切です。
食習慣の乱れが抜け毛リスクを上げる
偏食や暴飲暴食だけでなく、深夜の食事や不規則な食事のタイミングもホルモンバランスや代謝を乱す原因になり、飲酒量が多い場合も肝臓に負担がかかり、栄養利用効率が下がって髪への栄養供給が低下します。
髪に良い栄養素と主な食べ物の例
髪の主成分はケラチンというタンパク質であり、合成するためには様々な栄養素が必要で、ここでは、特に髪を育む上で重要な栄養素と、それらを豊富に含む食材を紹介します。
タンパク質(ケラチンの基礎)
髪の約80~90%を構成しているのがケラチンというタンパク質です、タンパク質摂取量が不足すれば、髪の原料が足りずに細毛や抜け毛が起こりやすくなります。
良質なタンパク質を多く含む食品
食品 | 特徴 |
---|---|
大豆製品 | アミノ酸バランスが良く、イソフラボンも含む |
卵 | 必須アミノ酸がバランスよく含まれる |
魚 | 脂質が少なく良質タンパク質源である |
鶏むね肉 | 高タンパク・低脂肪 |
牛肉(赤身) | ヘム鉄も同時に摂れる |
亜鉛(タンパク質合成をサポート)
亜鉛はタンパク質を合成し細胞分裂を促すために欠かせないミネラルであり、不足すると髪の生成速度が低下して抜け毛や薄毛の進行を助長しかねません。
- 髪だけでなく、肌や爪の健康にも関わる
- 牡蠣、牛肉、レバー、ナッツ類などに多く含まれる
亜鉛を多く含む食材
- 牡蠣(100gあたり亜鉛含有量がトップクラス)
- 牛赤身肉(タンパク質も同時に摂れる)
- ナッツ類(クルミ、アーモンド)
- レバー(鉄分やビタミンも豊富)
ビタミンB群(細胞の新陳代謝を促進)
ビタミンB群はエネルギー代謝に深く関わり、毛母細胞の活発な増殖や頭皮環境の改善に寄与し、B2やB6、パントテン酸などは皮脂分泌やタンパク質代謝の面で重要です。
ビタミンB群が豊富な代表的食品
ビタミンB名 | 食品例 |
---|---|
B2 | レバー、卵、納豆、ほうれん草など |
B6 | 魚(カツオ、マグロ)、バナナ、ナッツ類 |
パントテン酸 | レバー、卵黄、きのこ類、アボカド |
ビタミンC(コラーゲンや抗酸化)
ビタミンCは抗酸化作用で頭皮の老化を抑え、コラーゲン生成をサポートすることで血管を強化し、毛根への血流を安定化させます。
柑橘類や野菜に多く含まれ、水溶性なので毎日の摂取が大切です。
ビタミンC摂取におすすめの食品
- レモンやオレンジなどの柑橘類
- ブロッコリー、パプリカ、ケール
- いちご、キウイなどの果物
鉄分(血行と酸素運搬をサポート)
血行が悪いと毛根が栄養不足に陥りやすいため、血液中のヘモグロビンを形成する鉄分も頭皮・毛髪の健康に影響します。
特に女性は鉄分不足になりやすく、貧血を起こすことで薄毛が進むリスクがあるので、注意が必要です。
鉄分を多く含む食品とポイント
食品 | ポイント |
---|---|
レバー | ヘム鉄が豊富で吸収率が高い |
赤身肉 | たんぱく質と一緒に摂れる |
ほうれん草 | ビタミンCと組み合わせると吸収増加 |
薄毛を促す食べ物・習慣を避けよう
髪に良い食材や栄養素を意識するだけでなく、逆に薄毛を促しかねない食事や生活習慣を把握して、できるだけ避けることも大切です。
高脂質・高カロリーの食事や、糖質過多、過度の飲酒は頭皮環境を悪化させやすいので注意を要します。
高脂質・高カロリー食品
揚げ物、スナック菓子、ファストフードなどを頻繁に食べると、血中脂質の増加や肥満につながりやすく、頭皮の皮脂分泌を過剰にしてしまう恐れがあります。
高脂質・高カロリー食品の例
食品 | 薄毛への悪影響の可能性 |
---|---|
揚げ物(フライなど) | 皮脂分泌過多+血行不良を引き起こすリスク |
スナック菓子 | 高塩分、高脂肪で脂質代謝を乱す |
ファストフード | トランス脂肪酸や塩分が多く血液をドロドロにしやすい |
糖分の過剰摂取
清涼飲料水や菓子類など、糖分が多い飲食物を過剰に摂ると血糖値の急上昇とインスリン分泌が頻繁に起こり、ホルモンバランスを乱し、頭皮環境や毛母細胞への栄養供給に支障をきたすことも考えられます。
は糖分過多を招く例
- 甘い炭酸飲料や果糖ブドウ糖液糖入りジュースの多飲
- 大量のお菓子・チョコレート・アイスクリームなど
- 白米・白パンなど精製された炭水化物中心の食事
アルコールの飲み過ぎ
適度な飲酒なら大きな影響は少ないかもしれませんが、過度な飲酒は肝臓に負担をかけ、栄養の利用効率が下がるほか、血行障害や脱水を招いて髪に悪影響を及ぼす恐れがあります。
アルコールが髪に及ぼす影響
要素 | 内容 |
---|---|
肝臓への負担 | 代謝に必要なビタミン類を消耗しやすい |
脱水 | 血液濃縮を招き、頭皮への血流が滞りがち |
栄養吸収阻害 | タンパク質やミネラルの吸収が落ちやすい |
過剰な塩分
塩分過多は高血圧を助長し、血管に負担をかける結果、頭皮の毛細血管への血流が制限されるリスクがあり、加工食品や外食中心の生活では塩分が増えがちなので、注意して摂取量をコントロールすることが大切です。
効果的な食習慣とAGAクリニックでの治療
食生活を整えることは薄毛や抜け毛の進行を抑える上で欠かせませんが、AGA(男性型脱毛症)を本格的に改善するには、医療的なアプローチとの併用が効果的です。
バランスの取れた食事術
髪の成長には複数の栄養素が必要であるため、単一の栄養素だけに注目してもあまり効果は得にくいです。
- タンパク質、ビタミン、ミネラルをバランスよく含む献立を基本にする
- 野菜や果物、海藻類も十分に取り入れて抗酸化作用を高める
- 良質な油脂(オメガ3系など)を適度に摂り、トランス脂肪酸は避ける
バランス食の一例
食事 | メニュー例 |
---|---|
朝食 | 全粒粉パン+卵+サラダ(オリーブオイルドレッシング)+果物 |
昼食 | 魚の塩焼き+野菜たっぷり味噌汁+玄米ご飯 |
夕食 | 赤身肉のステーキ(適量)+緑黄色野菜のソテー+ナッツ入りサラダ |
正しい食事タイミングと量
食べ物が頭皮と髪に良い影響を及ぼすには、タイミングや食べる量にも気を配る必要があります。
- 就寝直前の食事は肥満リスクや血糖コントロールの乱れにつながり、毛髪に悪影響
- 1日3食を基本とし、間食や夜食を控えめに
- 朝食を抜くとビタミンやミネラルが不足しやすく、頭皮にマイナス
AGAクリニックでの治療と食事の併用
AGAの原因は男性ホルモンDHT(ジヒドロテストステロン)による毛包のミニチュア化が中心であり、食事だけで抑えるのは難しいです。
AGA専門クリニックで処方されるフィナステリドやデュタステリドなどの内服薬、ミノキシジル外用薬を使用しつつ、食生活を整えましょう。
AGAクリニックでの治療と食事の両立
- フィナステリドでDHT生成をブロック → 食生活で毛母細胞に十分な栄養補給
- ミノキシジルで血管拡張 → 食事のバランスで血行をさらにサポート
- 生活習慣を見直すことで薬の効果を最大限に引き出す
運動や睡眠との組み合わせ
食事だけでなく、運動や十分な睡眠も髪に好影響をもたらす要素で、適度な有酸素運動で血行を促進し、筋力を維持すれば基礎代謝も上がって体重管理がしやすくなります。
また、良質な睡眠によって成長ホルモンが分泌され、毛母細胞の修復や分裂がサポートされることもあります。
よくある質問(Q&A)
髪によい食べ物や食生活について、患者さんが抱きやすい疑問に答えます。
Q:髪を増やすために特定の食品だけたくさん食べればいいですか?
A:単一の食品を過度に偏食しても、他の栄養素が不足すれば毛髪形成にはプラスにならない可能性が高いです。むしろ栄養のバランスが乱れるデメリットが上回るので、幅広い食材を組み合わせてバランス良く摂取することが大切です。
Q:1日どのくらいのタンパク質を摂ればいいですか?
A:一般的に体重1kgあたり1.0g~1.2g程度のタンパク質摂取が望ましいとされますが、運動量や体格によって異なります。また、腎臓に持病がある人はタンパク質制限が必要な場合もあるため、医師や栄養士に相談しましょう。
Q:お酒は発毛に悪影響があるのですか?
A:適量を超える飲酒は肝臓に大きな負担をかけ、栄養素の代謝を阻害する恐れがあります。さらに血管拡張によって一時的に血行が良くなるように感じても、翌日に脱水や二日酔いで頭皮環境が乱れることが少なくありません。
Q:外食やコンビニ食が多い場合、どう改善すればいいですか?
A:主菜(タンパク質源)だけでなく、副菜を意識して野菜や海藻類を取り入れる、選べるときは脂身の少ない肉や魚料理を選ぶなど、少しずつバランスを整える方法があります。塩分や油分の多いメニューを避けることも重要です。
食生活とAGA治療を併用し薄毛改善へ
髪に良い食べ物や栄養素を日々の食事に取り入れることは、薄毛を予防し、髪の健康をサポートするうえで大切ですが、AGA(男性型脱毛症)そのものを食事だけで完璧に止めるのは難しいのが現実です。
そこで、以下のポイントを意識して、総合的にアプローチすることが求められます。
- タンパク質や亜鉛、ビタミン、ミネラルをバランス良く摂取し、頭皮や毛母細胞への栄養補給をサポート
- 高脂質、高カロリー、塩分・糖分過多、アルコール過多などをできるだけ控え、血行不良や脂質代謝異常を防ぐ
- 毎日の食事だけでなく、有酸素運動や十分な睡眠など生活習慣全般を改善し、ホルモンバランスを安定化
- すでに抜け毛や薄毛が顕著な場合には、AGA治療薬(フィナステリド、ミノキシジル)や頭皮ケアを医療機関で相談しながら進める
発毛を促進するうえで、食べ物の選び方や食事のバランスは確かに大きな意味を持ちますが、髪の成長を支えるためには多方面からの対策が不可欠です。
AGA専門クリニックを受診して、医師の診察を受けながら適切な治療と食生活の見直しを並行して行うことで、薄毛改善の可能性をより高められます。
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