![コラーゲンと髪の関係は? 頭皮ケアで見直す薄毛対策](https://agacare.clinic/wp-content/uploads/2025/01/hair-growth-collagen.png)
前田 祐助
AGAメディカルケアクリニック 統括院長
【経歴】
- 慶應義塾大学医学部医学研究科卒業
- 慶應義塾大学病院 初期臨床研修課程終了
- 大手AGAクリニック(院長)を経て、薄毛・AGA治療の2018年AGAメディカルケアクリニック新宿院を開設
- 2020年に2院目となるAGAメディカルケアクリニック横浜院を開設
- 2023年に3院目となるAGAメディカルケアクリニック東京八重洲院を開設
【資格】
- 医師免許
- ⽇本医師会認定産業医
- 医学博士
【所属学会】
- 日本内科学会
- 日本美容皮膚科学会
- 日本臨床毛髪学会
【症例数】
- 3万人以上※
- ※2018年5月~2022年12月AGAメディカルケアクリニック全店舗の延べ患者数
![前田 祐助](https://agacare.clinic/wp-content/themes/agamedical22/agamedical22/src/img/shared/img_maeda_usuke.jpg)
コラーゲンは肌の弾力や爪などをイメージさせる成分ですが、頭皮や毛髪との関わりも考えられます。
実際、コラーゲンに含まれるアミノ酸は頭皮環境を整えるうえで重要とされ、17型コラーゲンなどの研究が進むにつれて、髪への影響が注目されるようになりました。
ただし、コラーゲンを摂取したからといって直接毛が生えるわけではないため、正しい理解と合わせてAGA(男性型脱毛症)治療など専門のアプローチを取り入れることが大切です。
この記事では、コラーゲンと薄毛対策の関係、頭皮や髪に対する具体的な働き方、また効率的な摂取方法などを解説します。
コラーゲンと髪を取り巻く基本知識
コラーゲンはタンパク質の一種であり、肌や爪、骨など体内の様々な部分に存在しています。髪に着目した場合、直接的に毛を生やすというよりは頭皮の健康をサポートする働きが期待され、毛髪を作る環境を整える一助になると考えられています。
コラーゲンが体内で担う役割
コラーゲンは身体を形作るための主要なタンパク質で、皮膚や軟骨などで弾力を保ち、外部からの摩擦や衝撃に対してある程度の強度を与えます。
頭皮や毛髪の健康維持においても、保湿性や弾力性が不足すると、毛が育ちにくい条件になりかねません。
コラーゲンの基本的な特徴
項目 | 内容 |
---|---|
成分構成 | アミノ酸からなる高分子タンパク質 |
存在部位 | 皮膚、関節、骨、爪、頭皮など |
主な働き | 弾力や保湿性を支え、組織同士を結合しやすくする |
種類 | 多種多様(I型~XXVIII型などが知られている) |
頭皮や毛髪で注目される17型コラーゲン
近年、17型コラーゲンと呼ばれるタイプが髪や毛根部分に関与している可能性が指摘されています。
17型コラーゲンは毛包幹細胞を保護し、抜け毛や髪の老化を遅らせるメカニズムに寄与しているのではないかと考えられており、研究が進められているところです。
AGAと薄毛におけるコラーゲンの位置づけ
AGAや薄毛の主な原因にはホルモンバランスや遺伝的要因が大きく、コラーゲンだけで根本的な対策が完結するわけではありません。
ただし、頭皮環境の向上や毛髪のハリやツヤをサポートする点で、コラーゲンの摂取や頭皮ケアに活用する価値が見い出されています。
コラーゲン=発毛という誤解
「コラーゲンを摂れば直接的に毛が生える」という単純な図式は誤解です。コラーゲンは体内に入るとアミノ酸に分解されるため、すぐに髪へ行き渡るわけではありません。
ただし、身体全体が健康になりやすい環境が整うことによって、頭皮にとっても間接的なメリットを得る可能性があります。
コラーゲンが頭皮や髪に及ぼす影響
頭皮は毛髪が成長する土台となる部分なので、血行や保湿、栄養状態が悪いと髪が十分に育ちません。コラーゲンの働きはあくまでサポート的な要素ですが、薄毛対策を総合的に行ううえで考慮する意義があります。
頭皮の保湿とバリア機能
頭皮も皮膚の一部であり、適度な水分量と皮脂量のバランスが保たれていることが髪の成長には大切です。
コラーゲンが豊富だと皮膚組織が保湿され、バリア機能が維持されやすくなり、外部刺激から守られた状態で毛根が育つと考えられています。
頭皮のバランスを維持する主な指標
項目 | 内容 |
---|---|
水分量 | 過乾燥や脂ぎった状態を避ける |
皮脂分泌 | 過剰分泌が続くと毛穴詰まりや炎症につながる |
pHバランス | 極端に酸性・アルカリ性に傾くとトラブルが増える |
タンパク質の状態 | コラーゲンを含むタンパク質構造の健全さ |
毛根周囲のクッション性
頭皮の真皮層にはコラーゲンが存在しており、毛根周りのクッションとして働く面があります。物理的な摩擦や衝撃から毛根を守る役割を担い、髪が抜けやすくなる状況を緩和するかもしれません。
頭皮のハリと血行促進
コラーゲンがしっかり存在していると頭皮にハリが生まれ、血管を圧迫しにくい状態で栄養が毛根まで行き届きやすくなります。毛髪への栄養供給は血液を通じて行われるため、頭皮の血行促進は発毛への一歩につながりやすいです。
コラーゲンと血行の関連性
- コラーゲンが豊富な皮膚は弾力が高く血管が圧迫されにくい
- 血行が良いと酸素・栄養素が毛母細胞まで運ばれやすい
- AGA治療での血行促進成分も併用すると相乗効果が見込める可能性
薄毛予防の一因としてのコラーゲン
AGAや他の薄毛の原因を大きく変えることは難しいですが、コラーゲンの充足によって頭皮環境が悪化しにくい状態を保ち、抜け毛を抑える補助手段として作用する可能性があります。
単独では抜本的対策になりにくいものの、育毛剤や治療薬との組み合わせで効果的に働くケースがあるかもしれません。
効果的なコラーゲンの摂り方と注意点
コラーゲンを摂取する際に気をつけたいのは、体内でアミノ酸に分解されるプロセスです。単にコラーゲンを多量に摂るだけでなく、日々の食生活やサプリ選びのポイント、そして他の栄養素とのバランスを考える必要があります。
食事でコラーゲンを摂取する例
肉類、魚類、特に皮や筋といった部位にコラーゲンが多く含まれています。ゼラチンは動物由来のコラーゲンを加熱処理したもので、唐揚げの皮や鶏軟骨などにも含まれますが、揚げ物はカロリーが高いため摂りすぎに注意が必要です。
コラーゲンを含む食品
食品名 | コラーゲン含有の特徴 |
---|---|
鶏皮 | コラーゲンが豊富だが脂質も多い |
豚足 | 弾力があり、コラーゲンを多く含む |
スッポン | すっぽん鍋などで知られ、滋養強壮にも注目される |
フカヒレ | 高級食材として有名、コラーゲン含有量が多い |
- 日常的に摂る場合はカロリーや脂質の過剰摂取にも留意
- ビタミンCなどコラーゲン生成をサポートする栄養素との併用が効果的
サプリメントでの補給
コラーゲンペプチドや17型コラーゲンを謳ったサプリメントが市販されており、手軽に取り入れやすく、特に魚由来のフィッシュコラーゲンは吸収が速いとされ、豚や牛由来のものよりも低カロリーな場合があります。
サプリ選び
- 原料が何由来かを確認する(魚、豚、鶏など)
- 添加物や香料、糖分の有無をチェックする
- 1日の摂取量と価格のバランスを考える
- 体質に合わせてアレルギーの有無を確認する
AGA治療薬との併用
フィナステリドやデュタステリドなどの内服薬、ミノキシジルなどの外用薬を使用している方がコラーゲンを摂ることは基本的に問題ありません。
ただし、サプリメント全般にいえることですが、過剰摂取にならないようにし、万が一頭皮に異常やかゆみが生じた場合は医師に相談したほうが良いでしょう。
コラーゲン摂取とAGA治療薬の併用
治療薬種別 | 主な働き | コラーゲンとの併用可否 |
---|---|---|
フィナステリド | 5αリダクターゼ阻害 | 併用可(相互作用の報告は少ない) |
デュタステリド | 5αリダクターゼ阻害 | 併用可(ただし医師に報告推奨) |
ミノキシジル外用薬 | 血行促進 | 頭皮トラブルがなければ併用可 |
ミノキシジル内服薬 | 血管拡張など | 副作用管理のため医師と連携しながら |
過剰摂取や誇大広告への注意
コラーゲン自体はタンパク質であり、過剰摂取するとカロリーオーバーや体重増加につながる場合があります。
さらに、インターネット上で「コラーゲンだけで発毛が劇的に改善する」といった誇大広告を見かけることがありますが、実際には薄毛改善には多角的なアプローチが必要です。摂りすぎや過度の期待には注意しましょう。
17型コラーゲンと発毛研究の視点
17型コラーゲンは従来のI型やIII型などとは異なり、毛包周辺での機能がクローズアップされている成分です。専門家の間でも研究が進められており、老化に伴う脱毛や毛髪の白髪化などとも関連があるのではないかと議論されています。
17型コラーゲンの機能
17型コラーゲンは毛根の幹細胞を保護し、細胞が正常に増殖するための足場を提供するといわれています。欠乏すると、毛髪の成長が阻害されるほか、髪色を保つ細胞への影響も示唆されるなど、複数の研究結果があります。
17型コラーゲンの研究報告
研究内容 | 主張 |
---|---|
マウス実験で毛包幹細胞が保持される | 17型コラーゲンが毛髪の成長期維持を助ける |
ヒト細胞の老化と関連性を示唆 | 老化に伴う髪の細さや脱毛に関与する可能性 |
白髪化への影響 | メラノサイトの機能低下を阻害するか検討中 |
- 研究段階の要素が強く、即効性や治療薬への応用はまだ限られる
- 17型コラーゲンを直接摂取しても同成分が毛根で増えるわけではない
現在の課題と応用の可能性
17型コラーゲンを含む食品やサプリを飲んでも、実際に頭皮に届くかは別問題で、さらに、一般的なサプリなどで「17型コラーゲン」を謳う場合、学術的根拠が薄いことも多く、気軽に信じない方が良いでしょう。
今後、医学の進展次第では発毛に活かせる技術が確立されるかもしれません。
育毛商品や化粧品での17型コラーゲン表示
一部の育毛剤や化粧品で「17型コラーゲン配合」をアピールするケースがありますが、実際には成分がどの程度配合され、どのように毛包へ作用するのか不透明な面もあります。
広告文言だけで判断するよりも、医師や専門家に相談しながら選んだほうが安全です。
育毛関連商品を選ぶ際の注意点
- 医薬部外品か化粧品かを確認する
- 医薬部外品でも育毛効果がどの成分で得られるのかチェック
- 誇大広告や口コミに踊らされず、客観的データを探す
- AGA治療薬やサプリと併用する場合は成分の重複にも注意する
コラーゲンと発毛ケアを組み合わせた実践例
コラーゲンが毛髪の土台を整える働きがあるとしても、それだけでAGA治療が完結するわけではありません。ここでは、コラーゲンとその他の頭皮ケアや治療法を組み合わせるうえでの具体的なヒントをまとめます。
食事+サプリ+適切なシャンプー
生活習慣の乱れや栄養不足が薄毛を招く一因となるため、食事でタンパク質・ビタミン・ミネラルをバランス良く摂ることが重要になります。
コラーゲンサプリを取り入れたい場合は、過剰にならないよう摂取量を管理しつつ、頭皮にやさしいシャンプーやコンディショナーを使ってケアを行うと効果的です。
食事・サプリ・シャンプーの連携
項目 | ポイント |
---|---|
食事 | 魚・肉・大豆製品・野菜・果物をバランス良く |
サプリ | コラーゲン+ビタミンCや亜鉛を併用 |
シャンプー・コンディショナー | 刺激の少ないもの、頭皮環境を整える成分配合 |
AGA治療と平行して行う
AGA治療薬やクリニックでの発毛治療を受けている場合は、医師に相談したうえでコラーゲンのサプリや食品を取り入れましょう。
治療の進捗を観察しながら、血液検査や頭皮の状態を見てアドバイスを受けることで、無駄な出費やリスクを抑えられます。
頭皮マッサージと温熱療法
頭皮をケアするうえで、マッサージや温感施術は血行を高める手段として知られています。
コラーゲンがアミノ酸レベルで頭皮組織を保護・保湿する一方、外部からのマッサージでさらに血流を促進すれば、育毛剤や外用薬の浸透率アップが期待できます。
頭皮マッサージ実践
- 指の腹を使い、爪を立てないように注意
- 生え際から頭頂部に向けて円を描くようにマッサージ
- 1日あたり5分程度を継続し、過度な力はかけない
- 入浴後は頭皮が柔らかくなっているので効果的
ストレスケアも欠かさない
ストレスはホルモンバランスや生活習慣を乱し、結果的に薄毛の進行を加速させる可能性があります。コラーゲン摂取だけでなく、ストレス源を適度に発散する趣味や運動、睡眠の確保などが発毛対策をサポートします。
コラーゲンに関するQ&A
以下によくある疑問と簡潔な回答を挙げます。コラーゲンに対して過剰な期待や誤解が広まりがちですが、正しく理解することで薄毛対策に役立てられるでしょう。
Q1. コラーゲンを塗れば頭皮から吸収できる?
コラーゲンの分子量は大きいため、頭皮に塗布しても深部まで浸透するのは難しいです。保湿やバリア機能の向上を通じて、表面のコンディションを整えることは期待できますが、直接発毛に結びつくわけではありません。
Q2. コラーゲン製品を飲めば短期間で髪が増える?
コラーゲンは体内で一度アミノ酸に分解されるため、そのまま毛に行き渡るわけではありません。髪が増えるまでにはヘアサイクル(通常は数か月~数年)が関わるため、短期間で劇的な変化を求めるのは現実的ではありません。
Q3. 育毛剤に「17型コラーゲン」が含まれているときの注意点は?
多くの場合、17型コラーゲンが具体的にどのように抽出・配合され、毛包に作用するかが不透明なケースが多いです。根拠データを確認し、また過剰な宣伝文句には気をつけると良いでしょう。
Q4. コラーゲン摂取は女性向け?男性にも効果ある?
コラーゲンが皮膚や毛髪を支える点は性別を問いません。男性型脱毛症(AGA)はホルモン要因が大きいですが、頭皮環境を整えるサポートとしては男性でもコラーゲンを取り入れる意味はあります。
まとめ
コラーゲンは頭皮や髪の土台をサポートする可能性がありますが、それだけで発毛を保証するわけではありません。
AGAや薄毛に向けては、ホルモンバランスの調整や血行促進といった多角的なアプローチが必要になります。
コラーゲンを活用するなら、食生活や睡眠などの生活習慣を改善し、医療機関の治療も併せながら頭皮環境を底上げしていきましょう。
参考文献
Chen P, Cescon M, Bonaldo P. Lack of collagen VI promotes wound-induced hair growth. Journal of Investigative Dermatology. 2015 Oct 1;135(10):2358-67.
Hwang SB, Park HJ, Lee BH. Hair-growth-promoting effects of the fish collagen peptide in human dermal papilla cells and C57BL/6 mice modulating Wnt/β-catenin and BMP signaling pathways. International journal of molecular sciences. 2022 Oct 7;23(19):11904.
Rustad AM, Nickles MA, McKenney JE, Bilimoria SN, Lio PA. Myths and media in oral collagen supplementation for the skin, nails, and hair: A review. Journal of cosmetic dermatology. 2022 Feb;21(2):438-43.
Parakkal PF. Role of macrophages in collagen resorption during hair growth cycle. Journal of ultrastructure research. 1969 Nov 1;29(3-4):210-7.
Lee JO, Kim Y, Lee JM, Suk JM, Jung I, Choi SY, Yoo KH, Seok J, Kim BJ. AP collagen peptides (APCPs) promote hair growth by activating the GSK‐3β/β‐catenin pathway and improve hair condition. Experimental dermatology. 2024 Jul;33(7):e15137.
Cheng H, Liu F, Zhou M, Chen S, Huang H, Liu Y, Zhao X, Zhang Q, Zhou X, Li Z, Cai H. Enhancement of hair growth through stimulation of hair follicle stem cells by prostaglandin E2 collagen matrix. Experimental Cell Research. 2022 Dec 15;421(2):113411.