プロペシアの発がん性リスク - 使用をためらっている方へ | AGA・抜け毛・薄毛治療のAGAメディカルケアクリニック【公式】

プロペシアの発がん性リスク – 使用をためらっている方へ

更新日
プロペシアの発がん性リスク – 使用をためらっている方へ
監修医師

前田 祐助

AGAメディカルケアクリニック 統括院長

【経歴】

  1. 慶應義塾大学医学部医学研究科卒業
  2. 慶應義塾大学病院 初期臨床研修課程終了
  3. 大手AGAクリニック(院長)を経て、薄毛・AGA治療の2018年AGAメディカルケアクリニック新宿院を開設
  4. 2020年に2院目となるAGAメディカルケアクリニック横浜院を開設
  5. 2023年に3院目となるAGAメディカルケアクリニック東京八重洲院を開設

【資格】

  1. 医師免許
  2. ⽇本医師会認定産業医
  3. 医学博士

【所属学会】

  1. 日本内科学会
  2. 日本美容皮膚科学会
  3. 日本臨床毛髪学会

【症例数】

  1. 3万人以上※
  2. ※2018年5月~2022年12月AGAメディカルケアクリニック全店舗の延べ患者数
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前田 祐助

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プロペシアは男性型脱毛症に効果のある医薬品ですが、その発がん性リスクについて、前立腺がんや乳がんなどの発症リスクが高まるのではないかという不安を感じている方もいらっしゃるようです。

ここでは、プロペシアの発がん性リスクについて詳しく解説していきます。

プロペシアによる発がん性の可能性は?

プロペシアの発がん性に関する研究結果や長期使用のリスクについては、現在のところ明確な結論が出ていませんが、現在も様々な研究が行われています。

プロペシアと前立腺がんの関連性

プロペシアの主成分であるフィナステリドと前立腺がんの関連性については、長年にわたり議論が続いています。

一部の研究ではフィナステリドが前立腺がんのリスクを低下させる可能性を示唆していますが、高悪性度の前立腺がんのリスクが増加する懸念も指摘されています。

研究名参加者数結果
PCPT試験18,882人全体的な前立腺がんリスク25%減少、高悪性度がんリスク微増
REDUCE試験8,231人全体的な前立腺がんリスク23%減少、高悪性度がんリスクに有意差なし

研究結果から、フィナステリドが前立腺がん全体のリスクを低下させる一方で、高悪性度がんのリスクについては慎重な解釈が求められます。

フィナステリドの長期使用と乳がんリスク

男性も乳がんになる可能性がありますが、フィナステリドの長期使用と乳がんリスクの関連性については男性患者を対象とした研究が限られています。ただ、いくつかの観察研究や症例報告から注目すべき知見が得られています。

研究タイプ結果
観察研究乳がんリスクの有意な増加なし
症例報告極めて稀な男性乳がん症例の報告あり

フィナステリドの使用と男性の乳がんリスクの間に強い関連性は見られませんが、完全に否定することもできません。

プロペシアが他のがんに与える影響

プロペシアの主成分であるフィナステリドが前立腺がんや乳がん以外のがんに与える影響については、現在のところ明確なエビデンスは限られています。一方で、いくつかの研究が他のがんとの関連性を調査しています。

がんの種類研究結果
膀胱がんリスク増加の有意な証拠なし
大腸がん一部の研究でリスク低下の可能性を示唆
皮膚がん明確な関連性は確認されていない

これらの研究結果は、プロペシアが他のがんに対して重大な影響を与える可能性は低いことを示唆しています。

発がんリスクに関する研究結果

プロペシアの発がんリスクに関する研究は、長期にわたって継続されており、さまざまな角度から検討が行われています。

  1. 10年以上のフィナステリド使用データでは、重大な発がんリスクの増加は確認されていません。
  2. 用量依存性:通常の治療用量(1mg/日)では、発がんリスクの有意な増加は見られません。
  3. 年齢による影響:高齢者におけるフィナステリド使用の安全性については、さらなる研究が必要です。

プロペシアの使用を検討している方にとって、発がんリスクは重要な懸念事項の一つです。現在の科学的知見からは「正しい使用方法を守り、定期的な経過観察を行うとリスクが最小限に抑えられる」と考えられています。

プロペシアの長期使用で気をつけるべき点とは

プロペシアは男性型脱毛症に効果が期待できる薬剤ですが、長期服用による副作用の蓄積が懸念材料となっています。長期使用する際には、効果と副作用のバランスを慎重に考えます。

長期服用による副作用の蓄積

プロペシアの最も一般的な副作用として性機能障害が挙げられますが、その他にもうつ症状や乳房腫大などの症状が報告されています。

副作用発生頻度
性機能障害1-2%
うつ症状1% 未満
乳房腫大1% 未満

副作用は、服用期間が長くなるほど発生リスクが高まる傾向があります。

服用期間と用量の厳守

プロペシアの効果を最大限に引き出し、副作用のリスクを最小限に抑えるには、医師の指示に従った正しい服用が求められます。

項目推奨
1日の用量0.2-1mg
服用タイミング1日1回
最小効果確認期間3-6ヶ月

プロペシアは症状や体質に合わせて1日0.2mgから最大1mgを服用します。用量を増やしたら増やした分だけ効果が高まるものではなく、むしろ副作用のリスクが増大しますので、自己判断での用量変更は避けましょう。

他の薬剤との相互作用

プロペシアは他の薬剤と相互作用を起こす可能性があります。

薬剤名相互作用の内容
ケトコナゾールプロペシアの血中濃度上昇
リトナビルプロペシアの代謝阻害
タムスロシン性機能障害リスク増加

これらの薬剤だけではなく、他の薬やサプリメントなどと併用する際は医師や薬剤師に必ず相談して飲み合わせを確認しましょう。

長期間の使用中断後に現れるリスク

プロペシアの長期使用を中断すると、薄毛の進行再開や、稀に副作用の遷延化が起こります。

薄毛の進行再開を防ぐためには、少しずつ用量を減らしたり代替療法を検討したりするのが有効です。

  • 徐々に減量する:突然の中止は避け、医師の指導のもと徐々に減量
  • 代替療法の検討:ミノキシジル外用薬や内服薬などへの切り替え
  • 定期的な経過観察:中止後も定期的に頭皮の状態をチェックし、必要に応じて再開を検討

副作用の遷延化については、稀ではあるものの報告例があります。中止後も副作用が継続する場合は、専門医の診察を受けるのが望ましいです。

プロペシア服用中に定期検査すべき項目とは

プロペシア服用中の定期検査は、男性型脱毛症治療の安全性と有効性を確保する上で欠かせません。前立腺特異抗原(PSA)値の変化、肝機能・腎機能のモニタリング、ホルモン値の変動チェック、血液検査による初期症状の発見、定期的な皮膚状態のチェックなど、多岐にわたる項目を綿密に観察します。

これらの検査を通じて、副作用の早期発見や治療効果の評価を行い、安心して治療を継続できる環境を整えましょう。

前立腺特異抗原(PSA)値の変化

プロペシアの主成分フィナステリドは前立腺に影響を与えるため、PSA値を定期的に測定します。フィナステリドはPSA値を見かけ上、低下させるケースがあるため、慎重な評価が必要です。

PSA値の変化対応
50%以上の低下細かな検査を検討
25%未満の低下経過観察を続ける

服用前のベースライン値と比較しながらPSA値の推移を注意深く監視し、急激な上昇や予想外の変動が見られたときは前立腺の詳細な検査を行います。

肝機能および腎機能のモニタリング

プロペシアは主に肝臓で代謝されて腎臓から排泄されるため、これらの臓器の機能チェックが重要です。

検査項目主な指標
肝機能AST, ALT, γ-GTP
腎機能クレアチニン, eGFR

定期的な血液検査を通じて、肝機能や腎機能の異常を早期に発見します。異常値が検出された場合、投薬量の調整や一時的な休薬を考慮します。

ホルモン値の変動チェック

フィナステリドはDHT(ジヒドロテストステロン)の産生を抑制するため、体内のホルモンバランスに影響を与えます。

  • テストステロン
  • エストラジオール
  • プロラクチン

ホルモンバランスの乱れは性機能や気分の変化にもつながりますので、ホルモン値を定期的にチェックして、体調の変化や副作用の兆候を早い段階で把握することが大切です。

血液検査で見つかる初期症状

プロペシアの服用に伴う副作用の中には、血液検査で早期に発見できるものがあります。

検査項目関連する症状
血球数貧血、感染症
血糖値代謝異常

定期的な血液検査により異常を早期に発見し、対応を取ります。特に、長期服用者においては血液検査の重要性が増すため、医師の指示に従って検査を受けましょう。

定期的な皮膚の状態チェック

プロペシアの主な目的は薄毛の改善ですが、同時に皮膚の状態も注意深く観察します。

  • 頭皮の炎症
  • 発疹や湿疹
  • 脱毛の進行状況

皮膚の状態を定期的にチェックすることで治療の効果を評価するとともに、副作用の早期発見につなげます。

頭皮チェックはご自身でもできますが、気になる点や心配な点があれば遠慮せずに医師に診てもらうようにしましょう。

参考文献
WU, Min; YU, Qingxiong; LI, Qingfeng. Differences in reproductive toxicology between alopecia drugs: an analysis on adverse events among female and male cases. Oncotarget, 2016, 7.50: 82074.

CHIU, Hui-Wen, et al. Preventive effects of Monascus on androgen-related diseases: androgenetic alopecia, benign prostatic hyperplasia, and prostate cancer. Journal of agricultural and food chemistry, 2013, 61.18: 4379-4386.

GILES, Graham G., et al. Androgenetic alopecia and prostate cancer: findings from an Australian case-control study. Cancer Epidemiology Biomarkers & Prevention, 2002, 11.6: 549-553.

SHI, Xianghua, et al. Does androgenic alopecia aggravate the risk of prostate cancer? Evidence from Mendelian randomization. Prostate International, 2024, 12.2: 110-115.

SAWAYA, Marty E.; SHAPIRO, Jerry. Androgenetic alopecia: new approved and unapproved treatments. Dermatologic clinics, 2000, 18.1: 47-61.

SÁNCHEZ, Pilar, et al. mRNA Levels of Aromatase, 5α-Reductase Isozymes, and Prostate Cancer-Related Genes in Plucked Hair from Young Men with Androgenic Alopecia. International Journal of Molecular Sciences, 2023, 24.24: 17461.

前田 祐助

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経歴

  1. 慶應義塾大学医学部医学研究科卒業
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